以下、アクチュエータの実施形態について順に説明する。
第1実施形態のアクチュエータは、可動部と、当該可動部を取り囲む支持部と、前記可動部が揺動可能なように前記可動部と前記支持部とを接続するトーションバーと、前記可動部に形成されると共に、前記可動部の外部に伸長していない駆動コイルと、前記支持部に形成されると共に、前記可動部を揺動させるための制御電流が供給される電源コイルと、前記駆動コイルに静磁界を印加する磁界印加部とを備える。
第1実施形態のアクチュエータによれば、トーションバーによって懸架された可動部が遥動する。可動部は、例えば、トーションバーが伸長する方向を中心軸として回転するように遥動してもよいし、或いは、トーションバーが伸長する方向に沿って又はトーションバーが伸長する方向と交わる方向に沿って移動するように遥動してもよい。
このとき、トーションバーは、可動部と支持部とを直接的に接続していてもよい。或いは、トーションバーは、可動部と支持部とを間接的に(言い換えれば、間に任意の部材を介在させた上で)接続してもよい。
第1実施形態のアクチュエータでは、可動部には、駆動コイルが形成されている。このとき、駆動コイルは、可動部の表面上に形成されていてもよいし、可動部の内部に埋め込まれるように形成されていてもよい。第1実施形態では特に、駆動コイルは、可動部の外部に伸長していない。言い換えれば、駆動コイルは、可動部上で又は可動部内でのみ伸長している。更に言い換えれば、駆動コイルは、トーションバーや支持部には形成されない。
更に、第1実施形態のアクチュエータでは、支持部には、電源コイルが形成されている。電源コイルには、可動部を遥動させるための制御電流が供給される。制御電流は、例えば、アクチュエータが備える又はアクチュエータの外部に用意される電源から電源コイルに対して供給される。尚、上述したように、駆動コイルは、可動部の外部に伸長していない。従って、電源コイルは、駆動コイルに対して、電気的に接続されていない。このため、制御電流は、駆動コイルに対しては供給されない。加えて、電源コイルが駆動コイル側に向かって伸長する必要性が薄い又はない以上、電源コイル(或いは、当該電源コイルにつながる配線)もまた、トーションバー上には形成されないことが好ましい。
このような第1実施形態のアクチュエータでは、以下のように可動部が遥動する。まず、電源コイルに制御電流が供給される。その結果、電源コイルからは、アンペールの法則に従って、磁界(或いは、磁力線)が生ずる。電源コイルから生ずる磁界の一部又は全部は、支持部によって取り囲まれている(言い換えれば、支持部に形成されている電源コイルによって取り囲まれている)可動部にも到達する。つまり、電源コイルから生ずる磁界の一部又は全部は、可動部に形成されている駆動コイルにも到達する。その結果、駆動コイルには、電源コイルから生ずる磁界に起因した誘導電流(つまり、電源コイルから生ずる磁界に起因した電磁誘導作用による電流)が発生する。一方で、駆動コイルには、磁界印加部によって静磁界が印加されている。従って、駆動コイルには、磁界印加部から印加される静磁界と駆動コイルに発生する誘導電流との電磁相互作用に起因した力(つまり、ローレンツ力)が生ずる。その結果、駆動コイルが形成されている可動部は、磁界印加部から印加される静磁界と駆動コイルに発生する誘導電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって遥動する。
このように、第1実施形態のアクチュエータによれば、遥動させるべき可動部に駆動コイルを形成することができる。従って、可動部を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができる。
その一方で、第1実施形態のアクチュエータによれば、駆動コイルに生ずる誘導電流を用いて(言い換えれば、電源コイルから無線伝送される電力ないしは電流を動力源として用いて)可動部を遥動させることができるため、駆動コイルが可動部の外部に伸長しなくともよくなる。従って、駆動コイルにつながる配線をトーションバーに形成しなくともよくなる。従って、アクチュエータの構造が単純化すると共に、アクチュエータの製造工程もまた単純化する。このため、アクチュエータの設計の自由度を相対的に高めつつ、可動部を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができる。
更には、ねじれ等の応力が加わり且つ相対的に幅が狭いトーションバーに配線を形成しなくともよくなるため、配線の断線を考慮しなくともよくなる。つまり、アクチュエータの耐久性(或いは、耐故障性)を相対的に向上させることができる。
第1実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記電源コイルから生ずる磁界が前記駆動コイル内を通過することで、前記駆動コイルに誘導電流が発生し、前記可動部は、前記磁界印加部から印加される前記静磁界と前記駆動コイルに発生する前記誘導電流との電磁相互作用によって遥動する。
この態様によれば、上述したように、可動部は、磁界印加部から印加される静磁界と駆動コイルに発生する誘導電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって遥動する。従って、上述した各種効果を好適に享受することができる。
第1実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記駆動コイル及び前記電源コイルは、前記制御電流が供給されることで前記電源コイルから生ずる磁界が前記駆動コイル内を通過する位置関係を有するように形成される。
この態様によれば、電源コイルから生ずる磁界の一部又は全部は、可動部に形成されている駆動コイルに好適に到達する。その結果、駆動コイルには、電源コイルから生ずる磁界に起因した誘導電流が好適に発生する。このため、可動部は、磁界印加部から印加される静磁界と駆動コイルに発生する誘導電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって好適に遥動する。従って、上述した各種効果を好適に享受することができる。
第1実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記可動部は、磁性材料を含む。
この態様によれば、可動部が磁性材料を含んでいない場合と比較して、可動部に形成される駆動コイルには、電源コイルから生ずる磁界に起因した誘導電流が発生しやすくなる。或いは、可動部が磁性材料を含んでいない場合と比較して、可動部に形成される駆動コイルには、より大きな誘導電流が発生しやすくなる。その結果、可動部が磁性材料を含んでいない場合と比較して、駆動コイルには、より大きなローレンツ力が生じやすくなる。従って、可動部を効率的に遥動させることができる。
第1実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記支持部には、前記電源コイルが複数形成される。
この態様によれば、複数の電源コイルを形成することで、複数の電源コイルから生ずる磁界が駆動コイル内を通過しやすくなる。このとき、駆動コイル内を磁界が適切に通過するように、複数の電源コイルの配置を好適に調整することが好ましい。
尚、電源コイルが複数形成される状態として、文字通り、夫々が独立した(例えば、電気的に又は物理的に分離した)電源コイルが複数形成される状態の他に、1つの電源コイルが複数のコイル部分を含んでいる状態も想定される。
第2実施形態のアクチュエータは、可動部と、当該可動部を取り囲む内側支持部と、前記可動部が揺動可能なように前記可動部と前記内側支持部とを接続する内側トーションバーと、当該内側支持部を取り囲む外側支持部と、前記内側支持部が揺動可能なように前記内側支持部と前記外側支持部とを接続する外側トーションバーと、前記可動部に形成されると共に、前記可動部の外部に伸長していない駆動コイルと、前記内側支持部に形成されると共に、前記可動部及び前記内側支持部を揺動させるための制御電流が供給される電源コイルと、前記駆動コイルに第1静磁界を印加する第1磁界印加部と、前記電源コイルに第2静磁界を印加する第2磁界印加部とを備える。
第2実施形態のアクチュエータによれば、内側トーションバーによって懸架された可動部が遥動する。可動部は、例えば、内側トーションバーが伸長する方向を中心軸として回転するように遥動してもよいし、或いは、内側トーションバーが伸長する方向に沿って又は内側トーションバーが伸長する方向と交わる方向に沿って移動するように遥動してもよい。
このとき、内側トーションバーは、可動部と内側支持部とを直接的に接続していてもよい。或いは、内側トーションバーは、可動部と内側支持部とを間接的に(言い換えれば、間に任意の部材を介在させた上で)接続してもよい。
更に、第2実施形態のアクチュエータによれば、外側トーションバーによって懸架された内側支持部が遥動する。内側支持部は、例えば、外側トーションバーが伸長する方向を中心軸として回転するように遥動してもよいし、或いは、外側トーションバーが伸長する方向に沿って又は外側トーションバーが伸長する方向と交わる方向に沿って移動するように遥動してもよい。
このとき、外側トーションバーは、内側支持部と外側支持部とを直接的に接続していてもよい。或いは、外側トーションバーは、内側支持部と外側支持部とを間接的に(言い換えれば、間に任意の部材を介在させた上で)接続してもよい。
第2実施形態のアクチュエータでは、可動部には、駆動コイルが形成されている。このとき、駆動コイルは、可動部の表面上に形成されていてもよいし、可動部の内部に埋め込まれるように形成されていてもよい。第2実施形態では特に、駆動コイルは、可動部の外部に伸長していない。言い換えれば、駆動コイルは、可動部上で又は可動部内でのみ伸長している。更に言い換えれば、駆動コイルは、内側トーションバーや内側支持部や外側トーションバーや外側支持部には形成されない。
更に、第2実施形態のアクチュエータでは、内側支持部には、電源コイルが形成されている。電源コイルには、可動部及び内側支持部の双方を遥動させるための制御電流が供給される。制御電流は、例えば、アクチュエータが備える又はアクチュエータの外部に用意される電源から電源コイルに対して供給される。尚、上述したように、駆動コイルは、可動部の外部に伸長していない。従って、電源コイルは、駆動コイルに対して、電気的に接続されていない。このため、制御電流は、駆動コイルに対しては供給されない。加えて、電源コイルが駆動コイル側に向かって伸長する必要性が薄い又はない以上、電源コイル(或いは、当該電源コイルにつながる配線)もまた、内側トーションバー上には形成されないことが好ましい。
このような第2実施形態のアクチュエータでは、以下のように可動部が遥動する。まず、電源コイルに制御電流が供給される。一方で、電源コイルには、第2磁界印加部によって第2静磁界が印加されている。従って、電源コイルには、第2磁界印加部から印加される第2静磁界と電源コイルに供給される制御電流との電磁相互作用に起因した力(つまり、ローレンツ力)が生ずる。その結果、電源コイルが形成されている内側支持部は、第2磁界印加部から印加される第2静磁界と電源コイルに供給される制御電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって遥動する。ここで、内側支持部には内側トーションバーを介して可動部が接続されている。このため、内側支持部の遥動に伴って、可動部もまた遥動する。
加えて、電源コイルに制御電流が供給されると、電源コイルからは、アンペールの法則に従って、磁界(磁力線)が生ずる。電源コイルから生ずる磁界の一部又は全部は、内側支持部によって取り囲まれている(言い換えれば、内側支持部に形成されている電源コイルによって取り囲まれている)可動部にも到達する。つまり、電源コイルから生ずる磁界の一部又は全部は、可動部に形成されている駆動コイルにも到達する。その結果、駆動コイルには、電源コイルから生ずる磁界に起因した誘導電流(つまり、電源コイルから生ずる磁界に起因した電磁誘導作用による電流)が発生する。一方で、駆動コイルには、第1磁界印加部によって第1静磁界が印加されている。従って、駆動コイルには、第1磁界印加部から印加される第1静磁界と駆動コイルに発生する誘導電流との電磁相互作用に起因した力(つまり、ローレンツ力)が生ずる。その結果、駆動コイルが形成されている可動部は、第1磁界印加部から印加される第1静磁界と駆動コイルに発生する誘導電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって遥動する。
このように、第2実施形態のアクチュエータによれば、遥動させるべき可動部に駆動コイルを形成し且つ遥動させるべき内側支持部に電源コイル(つまり、実質的には駆動コイルとしても作用し得る電源コイル)を形成することができる。従って、可動部及び内側支持部の双方を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができる。
その一方で、第2実施形態のアクチュエータによれば、駆動コイルに生ずる誘導電流を用いて(言い換えれば、電源コイルから無線伝送される電力ないしは電流を動力源として用いて)可動部を遥動させることができるため、駆動コイルが可動部の外部に伸長しなくともよくなる。従って、駆動コイルにつながる配線を内側トーションバーに形成しなくともよくなる。従って、アクチュエータの構造が単純化すると共に、アクチュエータの製造工程もまた単純化する。このため、アクチュエータの設計の自由度を相対的に高めつつ、可動部を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができる。
更には、ねじれ等の応力が加わり且つ相対的に幅が狭い内側トーションバーに配線を形成しなくともよくなるため、配線の断線を考慮しなくともよくなる。つまり、アクチュエータの耐久性(或いは、耐故障性)を向上させることができる。
第2実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記電源コイルから生ずる磁界が前記駆動コイル内を通過することで、前記駆動コイルに誘導電流が発生し、前記可動部は、前記第1磁界印加部から印加される前記第1静磁界と前記駆動コイルに発生する前記誘導電流との電磁相互作用によって遥動し、前記内側支持部は、前記第2磁界印加部から印加される第2静磁界と前記電源コイルに供給される前記制御電流との電磁相互作用によって遥動する。
この態様によれば、上述したように、可動部は、第1磁界印加部から印加される第1静磁界と駆動コイルに発生する誘導電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって遥動する。内側支持部は、第2磁界印加部から印加される第2静磁界と電源コイルに供給される制御電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって遥動する。従って、上述した各種効果を好適に享受することができる。
第2実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記駆動コイル及び前記電源コイルは、前記制御電流が供給されることで前記電源コイルから生ずる磁界が前記駆動コイル内を通過する位置関係を有するように形成される。
この態様によれば、電源コイルから生ずる磁界の一部又は全部は、可動部に形成されている駆動コイルに好適に到達する。その結果、駆動コイルには、電源コイルから生ずる磁界に起因した誘導電流が好適に発生する。このため、可動部は、第1磁界印加部から印加される第1静磁界と駆動コイルに発生する誘導電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって好適に遥動する。従って、上述した各種効果を好適に享受することができる。
第2実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記制御電流には、前記可動部を遥動させるための電流成分と前記内側支持部を遥動させるための電流成分とが重畳されている。
この態様によれば、このような制御電流を電源コイルに供給することで、可動部及び内側支持部の双方を好適に遥動させることができる。
第2実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記可動部は、磁性材料を含む。
この態様によれば、可動部が磁性材料を含んでいない場合と比較して、可動部に形成される駆動コイルには、電源コイルから生ずる磁界に起因した誘導電流が発生しやすくなる。或いは、可動部が磁性材料を含んでいない場合と比較して、可動部に形成される駆動コイルには、より大きな誘導電流が発生しやすくなる。その結果、可動部が磁性材料を含んでいない場合と比較して、駆動コイルには、より大きなローレンツ力が生じやすくなる。従って、可動部を効率的に遥動させることができる。
第2実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記内側支持部には、前記電源コイルが複数形成される。
この態様によれば、複数の電源コイルを形成することで、複数の電源コイルから生ずる磁界が駆動コイル内を通過しやすくなる。このとき、駆動コイル内を磁界が適切に通過するように、複数の電源コイルの配置を好適に調整することが好ましい。
尚、電源コイルが複数形成される状態として、文字通り、夫々が独立した(例えば、電気的に又は物理的に分離した)電源コイルが複数形成される状態の他に、1つの電源コイルが複数のコイル部分を含んでいる状態も想定される。
第3実施形態のアクチュエータは、可動部と、当該可動部を取り囲む内側支持部と、前記可動部が揺動可能なように前記可動部と前記内側支持部とを接続する内側トーションバーと、当該内側支持部を取り囲む外側支持部と、前記内側支持部が揺動可能なように前記内側支持部と前記外側支持部とを接続する外側トーションバーと、前記可動部に形成されると共に、前記可動部の外部に伸長していない第1駆動コイルと、前記内側支持部に形成されると共に、前記内側支持部の外部に伸長していない第2駆動コイルと、前記外側支持部に形成されると共に、前記可動部及び前記内側支持部を揺動させるための制御電流が供給される電源コイルと、前記第1駆動コイルに第1静磁界を印加する第1磁界印加部と、前記第2駆動コイルに第2静磁界を印加する第2磁界印加部とを備える。
第3実施形態のアクチュエータによれば、内側トーションバーによって懸架された可動部が遥動する。可動部は、例えば、内側トーションバーが伸長する方向を中心軸として回転するように遥動してもよいし、或いは、内側トーションバーが伸長する方向に沿って又は内側トーションバーが伸長する方向と交わる方向に沿って移動するように遥動してもよい。
このとき、内側トーションバーは、可動部と内側支持部とを直接的に接続していてもよい。或いは、内側トーションバーは、可動部と内側支持部とを間接的に(言い換えれば、間に任意の部材を介在させた上で)接続してもよい。
更に、第3実施形態のアクチュエータによれば、外側トーションバーによって懸架された内側支持部が遥動する。内側支持部は、例えば、外側トーションバーが伸長する方向を中心軸として回転するように遥動してもよいし、或いは、外側トーションバーが伸長する方向に沿って又は外側トーションバーが伸長する方向と交わる方向に沿って移動するように遥動してもよい。
このとき、外側トーションバーは、内側支持部と外側支持部とを直接的に接続していてもよい。或いは、外側トーションバーは、内側支持部と外側支持部とを間接的に(言い換えれば、間に任意の部材を介在させた上で)接続してもよい。
第3実施形態のアクチュエータでは、可動部には、第1駆動コイルが形成されている。このとき、第1駆動コイルは、可動部の表面上に形成されていてもよいし、可動部の内部に埋め込まれるように形成されていてもよい。第3実施形態では特に、第1駆動コイルは、可動部の外部に伸長していない。言い換えれば、第1駆動コイルは、可動部上で又は可動部内でのみ伸長している。更に言い換えれば、第1駆動コイルは、内側トーションバーや内側支持部や外側トーションバーや外側支持部には形成されない。
更に、第3実施形態のアクチュエータでは、内側支持部には、第2駆動コイルが形成されている。このとき、第2駆動コイルは、内側支持部の表面上に形成されていてもよいし、内側支持部の内部に埋め込まれるように形成されていてもよい。第3実施形態では特に、第2駆動コイルは、内側支持部の外部に伸長していない。言い換えれば、第2駆動コイルは、内側支持部上で又は内側支持部内でのみ伸長している。更に言い換えれば、第2駆動コイルは、可動部や内側トーションバーや外側トーションバーや外側支持部には形成されない。
更に、第3実施形態のアクチュエータでは、外側支持部には、電源コイルが形成されている。電源コイルには、可動部及び内側支持部の双方を遥動させるための制御電流が供給される。制御電流は、例えば、アクチュエータが備える又はアクチュエータの外部に用意される電源から電源コイルに対して供給される。尚、上述したように、第1駆動コイルは、可動部の外部に伸長していない。同様に、第2駆動コイルは、内側支持部の外部に伸長していない。従って、電源コイルは、第1駆動コイル及び第2駆動コイルの双方に対して、電気的に接続されていない。このため、制御電流は、第1駆動コイル及び第2駆動コイルの夫々に対しては供給されない。加えて、電源コイルが第1駆動コイル及び第2駆動コイル側に向かって伸長する必要性が薄い又はない以上、電源コイル(或いは、当該電源コイルにつながる配線)もまた、内側トーションバーや外側トーションバー上には形成されないことが好ましい。
このような第3実施形態のアクチュエータでは、以下のように可動部が遥動する。まず、電源コイルに制御電流が供給される。電源コイルからは、アンペールの法則に従って、磁界(或いは、磁力線)が生ずる。電源コイルから生ずる磁界の一部又は全部は、外側側支持部によって取り囲まれている(言い換えれば、外側支持部に形成されている電源コイルによって取り囲まれている)可動部にも到達する。つまり、電源コイルから生ずる磁界の一部又は全部は、可動部に形成されている第1駆動コイルにも到達する。その結果、第1駆動コイルには、電源コイルから生ずる磁界に起因した誘導電流(つまり、電源コイルから生ずる磁界に起因した電磁誘導作用による電流)が発生する。一方で、第1駆動コイルには、第1磁界印加部によって第1静磁界が印加されている。従って、第1駆動コイルには、第1磁界印加部から印加される第1静磁界と駆動コイルに発生する誘導電流との電磁相互作用に起因した力(つまり、ローレンツ力)が生ずる。その結果、第1駆動コイルが形成されている可動部は、第1磁界印加部から印加される第1静磁界と第1駆動コイルに発生する誘導電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって遥動する。
更に、電源コイルから生ずる磁界の一部又は全部は、外側支持部によって取り囲まれている(言い換えれば、外側支持部に形成されている電源コイルによって取り囲まれている)内側支持部にも到達する。つまり、電源コイルから生ずる磁界の一部又は全部は、内側支持部に形成されている第2駆動コイルにも到達する。その結果、第2駆動コイルには、電源コイルから生ずる磁界に起因した誘導電流(つまり、電源コイルから生ずる磁界に起因した電磁誘導作用による電流)が発生する。一方で、第2駆動コイルには、第2磁界印加部によって第2静磁界が印加されている。従って、第2駆動コイルには、第2磁界印加部から印加される第2静磁界と第2駆動コイルに発生する誘導電流との電磁相互作用に起因した力(つまり、ローレンツ力)が生ずる。その結果、第2駆動コイルが形成されている内側支持部は、第2磁界印加部から印加される第2静磁界と駆動コイルに発生する誘導電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって遥動する。ここで、内側支持部には内側トーションバーを介して可動部が接続されている。このため、内側支持部の遥動に伴って、可動部もまた遥動する。
このように、第3実施形態のアクチュエータによれば、遥動させるべき可動部に第1駆動コイルを形成し且つ遥動させるべき内側支持部に第2駆動コイルを形成することができる。従って、可動部及び内側支持部の双方を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができる。
その一方で、第3実施形態のアクチュエータによれば、第1駆動コイルに生ずる誘導電流を用いて(言い換えれば、電源コイルから無線伝送される電力ないしは電流を動力源として用いて)可動部を遥動させることができるため、第1駆動コイルが可動部の外部に伸長しなくともよくなる。従って、第1駆動コイルにつながる配線を内側トーションバーに形成しなくともよくなる。従って、アクチュエータの構造が単純化すると共に、アクチュエータの製造工程もまた単純化する。このため、アクチュエータの設計の自由度を相対的に高めつつ、可動部を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができる。
加えて、第3実施形態のアクチュエータによれば、第2駆動コイルに生ずる誘導電流を用いて(言い換えれば、電源コイルから無線伝送される電力ないしは電流を動力源として用いて)内側支持部を遥動させることができるため、第2駆動コイルが内側支持部の外部に伸長しなくともよくなる。従って、第2駆動コイルにつながる配線を内側トーションバーや外側トーションバーに形成しなくともよくなる。従って、アクチュエータの構造が単純化すると共に、アクチュエータの製造工程もまた単純化する。このため、アクチュエータの設計の自由度を相対的に高めつつ、内側支持部を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができる。
更には、ねじれ等の応力が加わり且つ相対的に幅が狭い内側トーションバー及び外側トーションバーの双方に配線を形成しなくともよくなるため、配線の断線を考慮しなくともよくなる。つまり、アクチュエータの耐久性(或いは、耐故障性)を向上させることができる。
第3実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記電源コイルから生ずる磁界が前記第1駆動コイル内及び前記第2駆動コイル内を通過することで、前記第1駆動コイル及び前記第2駆動コイルの夫々に誘導電流が発生し、前記可動部は、前記第1磁界印加部から印加される前記第1静磁界と前記第1駆動コイルに発生する前記誘導電流との電磁相互作用によって遥動し、前記内側支持部は、前記第2磁界印加部から印加される前記第2静磁界と前記第2駆動コイルに発生する前記誘導電流との電磁相互作用によって遥動する。
この態様によれば、上述したように、可動部は、第1磁界印加部から印加される第1静磁界と第1駆動コイルに発生する誘導電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって遥動する。内側支持部は、第2磁界印加部から印加される第2静磁界と第2駆動コイルに発生する誘導電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって遥動する。従って、上述した各種効果を好適に享受することができる。
第3実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記第1駆動コイル、前記第2駆動コイル及び前記電源コイルは、前記制御電流が供給されることで前記電源コイルに生ずる磁界が前記第1駆動コイル内及び前記第2駆動コイル内の双方を通過する位置関係を有するように形成される。
この態様によれば、電源コイルから生ずる磁界の一部又は全部は、可動部に形成されている第1駆動コイルや内側支持部に形成されている第2駆動コイルに好適に到達する。その結果、第1駆動コイルや第2駆動コイルには、電源コイルから生ずる磁界に起因した誘導電流が好適に発生する。このため、可動部は、第1磁界印加部から印加される第1静磁界と第1駆動コイルに発生する誘導電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって好適に遥動する。加えて、内側支持部は、第2磁界印加部から印加される第2静磁界と第2駆動コイルに発生する誘導電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって好適に遥動する。従って、上述した各種効果を好適に享受することができる。
第3実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記制御電流には、前記可動部を遥動させるための電流成分と前記内側支持部を遥動させるための電流成分とが重畳されている。
この態様によれば、このような制御電流を電源コイルに供給することで、可動部及び内側支持部の双方を好適に遥動させることができる。
第3実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記可動部及び前記内側支持部の少なくとも一方は、磁性材料を含む。
この態様によれば、可動部が磁性材料を含んでいる場合には、可動部が磁性材料を含んでいない場合と比較して、可動部に形成される第1駆動コイルには、電源コイルから生ずる磁界に起因した誘導電流が発生しやすくなる。或いは、可動部が磁性材料を含んでいる場合には、可動部が磁性材料を含んでいない場合と比較して、可動部に形成される第1駆動コイルには、より大きな誘導電流が発生しやすくなる。その結果、可動部が磁性材料を含んでいる場合には、可動部が磁性材料を含んでいない場合と比較して、第1駆動コイルには、より大きなローレンツ力が生じやすくなる。従って、可動部を効率的に遥動させることができる。
同様に、内側支持部が磁性材料を含んでいる場合には、内側支持部が磁性材料を含んでいない場合と比較して、内側支持部に形成される第2駆動コイルには、電源コイルから生ずる磁界に起因した誘導電流が発生しやすくなる。或いは、内側支持部が磁性材料を含んでいる場合には、内側支持部が磁性材料を含んでいない場合と比較して、内側支持部に形成される第2駆動コイルには、より大きな誘導電流が発生しやすくなる。その結果、内側支持部が磁性材料を含んでいる場合には、内側支持部が磁性材料を含んでいない場合と比較して、第2駆動コイルには、より大きなローレンツ力が生じやすくなる。従って、内側支持部を効率的に遥動させることができる。
第3実施形態のアクチュエータの他の態様では、前記外側支持部には、前記電源コイルが複数形成される。
この態様によれば、複数の電源コイルを形成することで、複数の電源コイルから生ずる磁界が第1駆動コイル内や第2駆動コイル内を通過しやすくなる。このとき、第1駆動コイル内や第2駆動コイル内を磁界が適切に通過するように、複数の電源コイルの配置を好適に調整することが好ましい。
尚、電源コイルが複数形成される状態として、文字通り、夫々が独立した(例えば、電気的に又は物理的に分離した)電源コイルが複数形成される状態の他に、1つの電源コイルが複数のコイル部分を含んでいる状態も想定される。
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされる。
以上説明したように、第1実施形態のアクチュエータによれば、可動部と、支持部と、トーションバーと、駆動コイルと、電源コイルと、磁界印加部とを備えている。第2実施形態のアクチュエータによれば、可動部と、内側支持部と、内側トーションバーと、外側支持部と、外側トーションバーと、駆動コイルと、電源コイルと、第1磁界印加部と、第2磁界印加部を備えている。第3実施形態のアクチュエータによれば、可動部と、内側支持部と、内側トーションバーと、外側支持部と、外側トーションバーと、第1駆動コイルと、第2駆動コイルと、電源コイルと、第1磁界印加部と、第2磁界印加部を備えている。従って、設計の自由度を向上させつつも可動部を相対的に高精度に遥動させることができる。
以下、実施例について図を参照しつつ説明する。
(1)第1実施例
以下、図1から図4を参照して、第1実施例のアクチュエータ100について説明する。
(1−1)構成
初めに、図1を参照して、第1実施例のアクチュエータ100の構成について説明する。図1は、第1実施例のアクチュエータ100の構成の一例を示す平面図である。
図1に示すように、第1実施例のアクチュエータ100は、例えばレーザ光のスキャニングに用いられるプレーナ型電磁駆動アクチュエータ(即ち、MEMSスキャナ)である。アクチュエータ100は、支持部110と、可動部120と、一対のトーションバー130と、一対の永久磁石160とを備えている。
支持部110、可動部120及び一対のトーションバー130は、例えばシリコン基板等の非磁性基板から一体的に形成されている。即ち、支持部110、可動部120及び一対のトーションバー130は、例えばシリコン基板等の非磁性基板の一部が除去されることにより間隙が形成されることで形成されている。このときの形成プロセスとして、MEMSプロセスが用いられることが好ましい。尚、シリコン基板に代えて、任意の弾性材料から、支持部110、可動部120及び一対のトーションバー130が一体的に形成されてもよい。
支持部110は、可動部120を取り囲むような枠形状を有しており、一対のトーションバー130によって可動部120と接続されている。支持部110の表面には、電源コイル150が形成されている。但し、電源コイル150は、支持部110の内部に形成されてもよい。
電源コイル150は、支持部110の枠形状に沿って伸長するコイルである。電源コイル150は、例えば相対的に導電率の高い材料(例えば、金や銅等)を用いて形成されてもよい。また、電源コイル150は、めっきプロセスやスパッタリング法等の半導体製造プロセスを用いて形成されてもよい。或いは、電源コイル150は、支持部110、可動部120及び一対のトーションバー130を形成するためのシリコン基板に対してインプラント法を用いて埋め込まれてもよい。
電源コイル150には、支持部110上に形成されている電源端子151を介して、電源から制御電流が供給される。制御電流は、可動部120を遥動させるための制御電流であって、典型的には、可動部120が遥動する周波数と同期した周波数の信号成分を含む交流電流である。尚、電源は、アクチュエータ100自身が備えている電源であってもよいし、アクチュエータ100の外部に用意される電源であってもよい。
また、電源コイル150は、駆動コイル140と電気的に又は物理的に接続されていない。従って、電源コイル150が可動部120側に向かって伸長する必要性が薄い又はない以上、電源コイル150(或いは、当該電源コイル150につながる配線)は、一対のトーションバー130上には形成されないことが好ましい。
可動部120は、揺動可能なように一対のトーションバー130によって支持部110に軸支されている。可動部120の表面には、レーザ光を反射する不図示のミラーが形成される。可動部120の表面には、更に、駆動コイル140が形成されている。但し、駆動コイル140は、可動部120の内部に形成されてもよい。
駆動コイル140は、例えば、可動部120の表面に形成される不図示のミラーを取り囲むように伸長するコイルである。駆動コイル140は、例えば相対的に導電率の高い材料(例えば、金や銅等)を用いて形成されてもよい。また、駆動コイル140は、めっきプロセスやスパッタリング法等の半導体製造プロセスを用いて形成されてもよい。或いは、駆動コイル140は、支持部110、可動部120及び一対のトーションバー130を形成するためのシリコン基板に対してインプラント法を用いて埋め込まれてもよい。
第1実施例では、駆動コイル140は、可動部120内でのみ伸長している。言い換えれば、駆動コイル140は、可動部120の外部に向かって伸長していない。より具体的には、駆動コイル140は、一対のトーションバー130や支持部110には形成されない。このため、駆動コイル140は、電源コイル150とは電気的に接続されていない。或いは、駆動コイル140は、電源コイル150とは物理的に接続されていない。従って、駆動コイル140には、電源端子151を介して制御電流が直接的に供給されることはない。
一対のトーションバー130は、可動部120が支持部110に対して揺動可能なように、可動部120と支持部110とを接続する。一対のトーションバー130の弾性によって、可動部120は、一対のトーションバー130が伸長する方向に沿った軸を中心軸(言い換えれば、回転軸)として回転するように遥動する。つまり、可動部120は、図1における左右の方向に沿った軸を中心軸として、当該中心軸の周りで回転するように遥動する。
一対の永久磁石160は、支持部110の外部に取り付けられている。一対の永久磁石160は、駆動コイル140に対して所定の静磁界を印加することができるように、その磁極の向きが適切に設定されていることが好ましい。尚、一対の永久磁石160には、静磁界の強度を高めるために、ヨークが付加されていてもよい。
(1−2)動作態様
続いて、図2を参照して、第1実施例のアクチュエータ100の動作態様について説明する。図2(a)は、第1実施例のアクチュエータ100の動作中の各電流及び各磁界の向きを示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)のII−II’断面図である。
第1実施例のアクチュエータ100が動作する(具体的には、可動部120が遥動する)場合には、まず、電源から、電源端子151を介して、電源コイル150に対して制御電流が供給される。
その結果、図2(a)及び図2(b)に示すように、電源コイル150からは、アンペールの法則(ないしは、右ねじの法則)に従って、磁界(磁力線)が生ずる。具体的には、電源コイル150の周囲には、電源コイル150を中心軸として、当該制御電流の進行方向に向かって時計回りの方向に沿った磁界が生ずる。
ここで、電源コイル150から生ずる磁界の一部又は全部は、図2(a)及び図2(b)に示すように、当該電源コイル150が形成されている支持部110によって取り囲まれている可動部120にも到達する。そうすると、電源コイル150から生ずる磁界の一部又は全部は、図2(a)及び図2(b)に示すように、可動部120に形成されている駆動コイル140にも到達する。
このため、電源コイル150と駆動コイル140とは、図2(a)及び図2(b)に示すように、電源コイル150から生ずる磁界の一部又は全部が駆動コイル140のコイル内部を通過することができる位置関係を有して形成されていることが好ましい。言い換えれば、電源コイル150と駆動コイル140とは、電源コイル150から生ずる磁界の全部が駆動コイル140のコイル内部を通過することができない位置関係を有していないことが好ましい。
尚、電源コイル150から生ずる磁界が到達する範囲や強度等は、(i)支持部110のサイズや、(ii)可動部120のサイズや、(iii)支持部110と可動部120との間の位置関係や、(iv)電源コイル150に供給される制御電流のパラメータ(例えば、電流値や電圧値等)や、(v)電源コイル150そのもののパラメータ(例えば、電源コイル150のサイズや巻き線数等)によって変動し得る。また、電源コイル150に供給される制御電流のパラメータや電源コイル150そのもののパラメータは、可動部120を適切に遥動させるローレンツ力が発生するような適切な値に設定されることが好ましい。一方で、可動部120を適切に遥動させるローレンツ力の強度等は、(vi)駆動コイル140そのもののパラメータ(例えば、駆動コイル140のサイズや巻き線数等)等にも影響を受ける。このため、第1実施例では、(i)支持部110のサイズや、(ii)可動部120のサイズや、(iii)支持部110と可動部120との間の位置関係や、(iv)電源コイル150に供給される制御電流のパラメータや、(v)電源コイル150そのもののパラメータや、(vi)駆動コイル140そのもののパラメータ等を考慮した上で、駆動コイル140及び電源コイル150は、制御電流が供給されることで電源コイル150から生ずる磁界が駆動コイル140のコイル内部を通過する位置関係を有するように形成されることが好ましい。
電源コイル150から生ずる磁界の一部又は全部が駆動コイル140のコイル内部を通過すると、駆動コイル140には、電源コイル150から生ずる磁界に起因した誘導電流(つまり、電源コイル150から生ずる磁界に起因した電磁誘導作用による電流)が発生する。というのも、電源コイル150に供給される制御電流が典型的には交流電流であるがゆえに、電源コイル150から生ずる磁界の強度や方向もまた当該交流電流に従って変動するからである。
一方で、駆動コイル140には、一対の永久磁石160によって静磁界が印加されている。
従って、駆動コイル140には、一対の永久磁石160から印加される静磁界と駆動コイル140に発生する誘導電流との電磁相互作用に起因した力(つまり、ローレンツ力)が生ずる。その結果、駆動コイル140が形成されている可動部120は、一対の永久磁石160から印加される静磁界と駆動コイル140に発生する誘導電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって遥動する。つまり、可動部120は、図2(a)における左右の方向に沿った軸を中心軸として回転するように遥動する。
以上説明したように、第1実施例のアクチュエータ100によれば、遥動させるべき可動部120に駆動コイル140を形成することができる。従って、可動部120に駆動コイル140を形成することなく可動部120を遥動させる比較例のアクチュエータと比較して、可動部120を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができる。
その一方で、第1実施例のアクチュエータ100によれば、駆動コイル140に生ずる誘導電流を用いて(言い換えれば、電源コイル150から無線伝送される電力ないしは電流を動力源として用いて)可動部120を遥動させることができる。このため、駆動コイル140が可動部120の外部に伸長しなくともよくなる。従って、駆動コイル140が可動部120の外部に伸長しないがゆえに、駆動コイル140につながる配線を一対のトーションバー130(更には、支持部110)に形成しなくともよくなる。言い換えれば、第1実施例のアクチュエータ100によれば、電源コイル150に制御電流を供給することで駆動コイル140が形成されている可動部120を遥動させることができるため、駆動コイル140に対して制御電流を供給しなくともよくなる。その結果、第1実施例のアクチュエータ100によれば、駆動コイル140につながる配線を一対のトーションバー130に形成しなくともよくなる。従って、一対のトーションバー130上に配線を形成する比較例のアクチュエータと比較して、アクチュエータ100の構造が単純化すると共に、アクチュエータ100の製造工程もまた単純化する。このため、可動部120に駆動コイル140を形成することなく可動部120を遥動させる比較例のアクチュエータと比較して、アクチュエータの設計の自由度を相対的に高めるという比較例のアクチュエータと同様の効果を相応に享受しつつ、可動部120を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができる。或いは、可動部120に駆動コイル140を形成しつつ当該駆動コイル140につながる配線を一対のトーションバー130に形成する比較例のアクチュエータと比較して、可動部120を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができるという比較例のアクチュエータと同様の効果を相応に享受しつつ、アクチュエータ100の設計の自由度を相対的に高めることができる。
更には、ねじれ等の応力が加わり且つ相対的に幅が狭い一対のトーションバー130に配線を形成しなくともよくなるため、配線の断線を考慮しなくともよくなる。つまり、駆動コイル140につながる配線を一対のトーションバー130に形成する比較例のアクチュエータと比較して、アクチュエータ100の耐久性(或いは、耐故障性)を向上させることができる。
尚、第1実施例のアクチュエータ100では、駆動コイル140に生ずる誘導電流の大きさ(例えば、振幅)等が、可動部120を遥動させるための重要な要素の一つとなる。このため、駆動コイル140に生ずる誘導電流の大きさ(例えば、振幅)を相対的に大きくするために、可動部120は、磁性材料(例えば、強磁性体を含む材料又は透磁率が相対的に高い材料)を含んでいてもよい。例えば、可動部120の内部に、磁性材料からなる磁性部材が埋め込まれてもよい。或いは、可動部120の表面に、磁性材料からなる磁性膜が貼り付けられてもよい。このように構成すれば、可動部120に形成される駆動コイル140には、電源コイル150から生ずる磁界に起因した誘導電流が発生しやすくなる。或いは、可動部120が磁性材料を含んでいない場合と比較して、可動部120に形成される駆動コイル140には、より振幅が大きな誘導電流が発生しやすくなる。その結果、可動部120が磁性材料を含んでいない場合と比較して、駆動コイル140には、より大きなローレンツ力が生じやすくなる。従って、可動部120を効率的に遥動させることができる。
(1−3)第1変形例
続いて、図3を参照して、第1実施例のアクチュエータ100に関連する第1変形例のアクチュエータ100aについて説明する。図3は、第1変形例のアクチュエータ100aの構成の一例を示す変形例である。尚、第1実施例のアクチュエータ100が備える構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
図3に示すように、第1変形例のアクチュエータ100aは、第1実施例のアクチュエータ100と比較して、電源コイル150aの巻き線の形状が異なるという点で異なっている。具体的には、第1変形例では、電源コイル150aは、1本のらせん状の巻き線を含んでいる。一方で、第1実施例では、電源コイル150は、1巻きの巻き線を複数本含んでいる。尚、第1変形例のアクチュエータ100aが備える、電源コイル150aの巻き線の形状以外の構成要素については、第1実施例のアクチュエータ100が備える構成要素と同一であってもよい。
このような第1変形例のアクチュエータ100aであっても、第1実施例のアクチュエータ100が享受することができる各種効果を好適に享受することができる。
尚、電源コイル150は、第1実施例に示す1本のらせん状の巻き線を含む形状及び第1変形例に示す1巻きの巻き線を複数本含む形状以外の任意の形状を有してもよい。より具体的には、電源コイル150は、電源コイル150から生ずる磁界の一部又は全部が駆動コイル140のコイル内部を通過することができるという条件を満たす限りは、任意の形状を有していてもよい。或いは、電源コイル150は、電源コイル150から生ずる磁界の一部又は全部が駆動コイル140のコイル内部を通過することができるという条件に加えて、当該電源コイル150そのもの及び当該電源コイル150につながる配線が一対のトーションバー130上に形成されないという条件を満たすように、任意の形状を有していてもよい。
また、電源コイル150に限らず、駆動コイル140もまた、任意の形状(例えば、1本のらせん状の巻き線を含む形状や、1巻きの巻き線を1本又は複数本含む形状等)を有していてもよい。具体的には、駆動コイル140は、電源コイル150から生ずる磁界の一部又は全部が駆動コイル140のコイル内部を通過することができるという条件及び駆動コイル140が可動部120の外部に伸長しないという条件を満たす限りは、任意の形状を有していてもよい。
(1−4)第2変形例
続いて、図4を参照して、第1実施例のアクチュエータ100に関連する第2変形例のアクチュエータ100bについて説明する。図4は、第2変形例のアクチュエータ100bの構成の一例を示す変形例である。尚、第1実施例のアクチュエータ100が備える構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
図4に示すように、第2変形例のアクチュエータ100bは、第1実施例のアクチュエータ100と比較して、電源コイル150bの巻き線の形状が異なるという点で異なっている。具体的には、第2変形例では、第1実施例のアクチュエータ100と比較して、電源コイル150bが複数のコイル部分151bを含んでいるという点で異なっている。尚、第2変形例のアクチュエータ100bが備える、電源コイル150bの巻き線の形状以外の構成要素については、第1実施例のアクチュエータ100が備える構成要素と同一であってもよい。
このような第2変形例のアクチュエータ100bであっても、第1実施例のアクチュエータ100が享受することができる各種効果を好適に享受することができる。
加えて、第2変形例のアクチュエータ100bによれば、複数のコイル部分151bを形成することで、複数のコイル部分151bから生ずる磁界が駆動コイル140のコイル内部を通過しやすくなる。このとき、駆動コイル140のコイル内部を複数のコイル部分151bから生ずる磁界が適切に通過するように、複数のコイル部分151bの配置位置や形状やサイズ等が適切に調整されることが好ましい。
尚、複数のコイル部分151bを形成することに加えて又は代えて、複数の電源コイル150を形成してもよい。
(2)第2実施例
続いて、図5から図6を参照して、第2実施例のアクチュエータ200について説明する。
(2−1)構成
初めに、図5を参照して、第2実施例のアクチュエータ200の構成について説明する。図5は、第2実施例のアクチュエータ200の構成の一例を示す平面図である。尚、第1実施例のアクチュエータ100が備える構成要素と同一の構成要素については、特段の説明を省略する。
図5に示すように、第2実施例のアクチュエータ200は、例えばレーザ光のスキャニングに用いられるプレーナ型電磁駆動アクチュエータ(即ち、MEMSスキャナ)である。アクチュエータ200は、外側支持部211と、内側支持部212と、可動部120と、一対の外側トーションバー231と、一対の内側トーションバー232と、一対の永久磁石160と、一対の永久磁石260とを備えている。
外側支持部211、内側支持部212、可動部120、一対の外側トーションバー231及び一対の内側トーションバー232は、例えばシリコン基板等の非磁性基板から一体的に形成されている。即ち、外側支持部211、内側支持部212、可動部120、一対の外側トーションバー231及び一対の内側トーションバー232は、例えばシリコン基板等の非磁性基板の一部が除去されることにより間隙が形成されることで形成されている。このときの形成プロセスとして、MEMSプロセスが用いられることが好ましい。尚、シリコン基板に代えて、任意の弾性材料から、外側支持部211、内側支持部212、可動部120、一対の外側トーションバー231及び一対の内側トーションバー232が一体的に形成されてもよい。
外側支持部211は、内側支持部212を取り囲むような枠形状を有しており、一対の外側トーションバー231によって内側支持部212と接続されている。
内側支持部212は、揺動可能なように一対の外側トーションバー231によって外側支持部212に軸支されている。内側支持部212は、可動部120を取り囲むような枠形状を有しており、一対の内側トーションバー232によって可動部120と接続されている。内側支持部212の表面には、電源コイル150が形成されている。但し、電源コイル150は、内側支持部212の内部に形成されてもよい。
電源コイル150は、内側支持部212の枠形状に沿って伸長するコイルである。電源コイル150には、外側支持部211上に形成されている電源端子151並びに外側支持部211及び外側トーションバー231上に形成されている配線を介して、電源から制御電流が供給される。制御電流は、可動部120及び内側支持部212を遥動させるための制御電流である。このような制御電流は、典型的には、可動部120が遥動する周波数と同期した周波数の信号成分と内側支持部212が遥動する周波数と同期した周波数の信号成分とが重畳された交流電流である。
また、電源コイル150は、第1実施例と同様に、駆動コイル140と電気的に又は物理的に接続されていない。従って、電源コイル150が可動部120側に向かって伸長する必要性がない以上、電源コイル150(或いは、当該電源コイル150につながる配線)は、一対の内側トーションバー232上には形成されないことが好ましい。
可動部120は、揺動可能なように一対の内側トーションバー232によって内側支持部212に軸支されている。可動部120の表面には、駆動コイル140が形成されている。第2実施例においても、第1実施例と同様に、駆動コイル140は、可動部120内でのみ伸長している。より具体的には、駆動コイル140は、一対の内側トーションバー232や内側支持部212や一対の外側トーションバー231や外側支持部211には形成されない。
一対の外側トーションバー231は、内側支持部212が外側支持部211に対して揺動可能なように、内側支持部212と外側支持部211とを接続する。一対の外側トーションバー231の弾性によって、内側支持部212は、一対の外側トーションバー231が伸長する方向に沿った軸を中心軸(言い換えれば、回転軸)として回転するように遥動する。つまり、内側支持部212は、図5における上下の方向に沿った軸を中心軸として、当該中心軸の周りで回転するように遥動する。このとき、可動部120は、一対の内側トーションバー232を介して内側支持部212に接続されている。従って、内側支持部212の遥動に伴って、可動部120は、実質的には、図5における上下の方向に沿った軸を中心軸として、当該中心軸の周りで回転するように遥動する。
一対の内側トーションバー232は、可動部120が内側支持部212に対して揺動可能なように、可動部120と内側支持部212とを接続する。一対の内側トーションバー232の弾性によって、可動部120は、一対の内側トーションバー232が伸長する方向に沿った軸を中心軸(言い換えれば、回転軸)として回転するように遥動する。つまり、可動部120は、図5における左右の方向に沿った軸を中心軸として、当該中心軸の周りで回転するように遥動する。
このとき、可動部120の2軸駆動を実現する(つまり、可動部120を、図5における上下の方向に沿った軸を中心軸として回転させると共に、図5における左右の方向に沿った軸を中心軸として回転させる)ために、一対の外側トーションバー231が伸長する方向と一対の内側トーションバー232が伸長する方向とは異なっていることが好ましい。典型的には、一対の外側トーションバー231が伸長する方向は、一対の内側トーションバー232が伸長する方向と直交していることが好ましい。
一対の永久磁石160は、外側支持部211の外部に取り付けられている。一対の永久磁石160は、駆動コイル140に対して所定の静磁界を印加することができるように、その磁極の向きが適切に設定されていることが好ましい。尚、一対の永久磁石160には、静磁界の強度を高めるために、ヨークが付加されていてもよい。
一対の永久磁石260は、外側支持部211の外部に取り付けられている。一対の永久磁石260は、電源コイル150に対して所定の静磁界を印加することができるように、その磁極の向きが適切に設定されていることが好ましい。尚、一対の永久磁石260には、静磁界の強度を高めるために、ヨークが付加されていてもよい。
(2−2)動作態様
このような第2実施例のアクチュエータ200が動作する(具体的には、可動部120が遥動する)場合には、まず、電源から、電源端子151を介して、電源コイル150に対して制御電流が供給される。
ここで、電源コイル150には、一対の永久磁石260によって静磁界が印加されている。従って、電源コイル150には、一対の永久磁石260から印加される静磁界と電源コイル150に供給される制御電流との電磁相互作用に起因した力(つまり、ローレンツ力)が生ずる。その結果、電源コイル150が形成されている内側支持部212は、一対の永久磁石260から印加される静磁界と電源コイル150に供給される制御電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって遥動する。このとき、可動部120は、一対の内側トーションバー232を介して内側支持部212に接続されている。従って、内側支持部212の遥動に伴って、可動部120は、実質的には、図5における上下の方向に沿った軸を中心軸として、当該中心軸の周りで回転するように遥動する。
更に、電源コイル150に対して制御電流が供給されると、電源コイル150からは、磁界(磁力線)が生ずる。このような電源コイル150から生ずる磁界の一部又は全部は、可動部120に形成されている駆動コイル140にも到達する。
ここで、第2実施例においても、第1実施例と同様に、電源コイル150と駆動コイル140とは、電源コイル150から生ずる磁界の一部又は全部が駆動コイル140のコイル内部を通過することができる位置関係を有して形成されていることが好ましい。尚、電源コイル150から生ずる磁界が到達する範囲や強度等は、(i)内側支持部212のサイズや、(ii)可動部120のサイズや、(iii)内側支持部212と可動部120との間の位置関係や、(iv)電源コイル150に供給される制御電流のパラメータや、(v)電源コイル150そのもののパラメータによって変動し得る。このため、第2実施例においても、第1実施例と同様に、(i)内側支持部212のサイズや、(ii)可動部120のサイズや、(iii)内側支持部212と可動部120との間の位置関係や、(iv)電源コイル150に供給される制御電流のパラメータや、(v)電源コイル150そのもののパラメータや、(vi)駆動コイル140そのもののパラメータ等を考慮した上で、駆動コイル140及び電源コイル150は、制御電流が供給されることで電源コイル150から生ずる磁界が駆動コイル140のコイル内部を通過する位置関係を有するように形成されることが好ましい。
電源コイル150から生ずる磁界の一部又は全部が駆動コイル140のコイル内部を通過すると、駆動コイル140には、電源コイル150から生ずる磁界に起因した誘導電流する。一方で、駆動コイル140には、一対の永久磁石160によって静磁界が印加されている。従って、駆動コイル140には、一対の永久磁石160から印加される静磁界と駆動コイル140に発生する誘導電流との電磁相互作用に起因した力(つまり、ローレンツ力)が生ずる。その結果、駆動コイル140が形成されている可動部120は、一対の永久磁石160から印加される静磁界と駆動コイル140に発生する誘導電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって遥動する。つまり、可動部120は、図5における左右の方向に沿った軸を中心軸として回転するように遥動する。
以上説明したように、第2実施例のアクチュエータ200によれば、遥動させるべき可動部120に駆動コイル140を形成し且つ遥動させるべき内側支持部212に電源コイル150(つまり、実質的には、駆動コイル140としても作用し得る電源コイル150)を形成することができる。従って、可動部120及び内側支持部212のいずれか一方に駆動コイル140を形成することなく可動部120を遥動させる(具体的には、2軸駆動させる)比較例のアクチュエータと比較して、可動部120及び内側支持部212を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができる。その結果、可動部120の2軸駆動の精度を相対的に向上させることができる。
その一方で、第2実施例のアクチュエータ200によれば、駆動コイル140に生ずる誘導電流を用いて(言い換えれば、電源コイル150から無線伝送される電力ないしは電流を動力源として用いて)可動部120を遥動させることができる。このため、駆動コイル140が可動部120の外部に伸長しなくともよくなる。従って、駆動コイル140につながる配線を一対の内側トーションバー232(更には、内側支持部212や一対の外側トーションバー231や外側支持部211)に形成しなくともよくなる。言い換えれば、第2実施例のアクチュエータ200によれば、電源コイル150に制御電流を供給することで駆動コイル140が形成されている可動部120を遥動させることができるため、駆動コイル140に対して制御電流を供給しなくともよくなる。その結果、第2実施例のアクチュエータ200によれば、駆動コイル140につながる配線を一対の内側トーションバー232に形成しなくともよくなる。従って、一対の内側トーションバー230上に配線を形成する比較例のアクチュエータと比較して、アクチュエータ200の構造が単純化すると共に、アクチュエータ200の製造工程もまた単純化する。このため、可動部120に駆動コイル140を形成することなく可動部120を遥動させる比較例のアクチュエータと比較して、アクチュエータの設計の自由度を相対的に高めるという比較例のアクチュエータと同様の効果を相応に享受しつつ、可動部120を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができる。或いは、可動部120に駆動コイル140を形成しつつ当該駆動コイル140につながる配線を一対の内側トーションバー232に形成する比較例のアクチュエータと比較して、可動部120を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができるという比較例のアクチュエータと同様の効果を相応に享受しつつ、アクチュエータ200の設計の自由度を相対的に高めることができる。
更には、ねじれ等の応力が加わり且つ相対的に幅が狭い一対の内側トーションバー232に配線を形成しなくともよくなるため、配線の断線を考慮しなくともよくなる。つまり、駆動コイル140につながる配線を一対の内側トーションバー232に形成する比較例のアクチュエータと比較して、アクチュエータ200の耐久性(或いは、耐故障性)を向上させることができる。
尚、第2実施例のアクチュエータ200においても、第1実施例のアクチュエータ100が取り得る各種態様を適宜採用してもよい。例えば、第2実施例においても、可動部120が磁性材料を含んでいてもよいし、電源コイル150(或いは、駆動コイル140)の形状を変えてもよいし、電源コイル150が複数のコイル部分151bを備えていてもよい。
(2−3)第1変形例
続いて、図6を参照して、第2実施例のアクチュエータ200に関連する第1変形例のアクチュエータ200aについて説明する。図6は、第1変形例のアクチュエータ200aの構成の一例を示す変形例である。尚、第2実施例のアクチュエータ200が備える構成要素と同一の構成要素については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
図6に示すように、第1変形例のアクチュエータ200aは、第2実施例のアクチュエータ200と比較して、一対の永久磁石160の配置位置が異なるという点で異なっている。具体的には、第1変形例では、一対の永久磁石160は、可動部120に隣接するように内側支持部212の更に内側に配置されている。尚、第1変形例のアクチュエータ200aが備える一対の永久磁石160の配置位置以外の構成要素については、第2実施例のアクチュエータ200が備える構成要素と同一であってもよい。
このような第1変形例のアクチュエータ100aであっても、第1実施例のアクチュエータ100が享受することができる各種効果を好適に享受することができる。
尚、一対の永久磁石160の配置位置は、図5及び図6に示す配置以外の位置であってもよい。より具体的には、一対の永久磁石160は、駆動コイル140に対して適切な方向の且つ適切な強度の静磁界を印加することができる限りは、任意の位置に配置されてもよい。尚、第1実施例においても、一対の永久磁石160の配置位置を適宜変えてもよいことは言うまでもない。
また、一対の永久磁石160に限らず、一対の永久磁石260についても、任意の位置に配置してもよい。より具体的には、一対の永久磁石260は、電源コイル150に対して適切な方向の且つ適切な強度の静磁界を印加することができる限りは、任意の位置に配置されてもよい。
(3)第3実施例
続いて、図7を参照して、第3実施例のアクチュエータ300について説明する。図7は、第3実施例のアクチュエータ300の構成の一例を示す平面図である。尚、第1実施例のアクチュエータ100や第2実施例のアクチュエータ200が備える構成要素と同一の構成要素については、特段の説明を省略する。
図7に示すように、第3実施例のアクチュエータ300は、例えばレーザ光のスキャニングに用いられるプレーナ型電磁駆動アクチュエータ(即ち、MEMSスキャナ)である。アクチュエータ300は、外側支持部211と、内側支持部212と、可動部120と、一対の外側トーションバー231と、一対の内側トーションバー232と、一対の永久磁石160と、一対の永久磁石260とを備えている。
第3実施例では、外側支持部211の表面には、電源コイル150が形成されている。但し、電源コイル150は、外側支持部211の内部に形成されてもよい。電源コイル150は、外側支持部212の枠形状に沿って伸長するコイルである。電源コイル150には、外側支持部211上に形成されている電源端子151を介して、電源から制御電流が供給される。制御電流は、第2実施例と同様に、可動部120及び内側支持部212を遥動させるための制御電流である。
また、電源コイル150は、第1実施例及び第2実施例と同様に、後述する駆動コイル140及び駆動コイル340と電気的に又は物理的に接続されていない。従って、電源コイル150が内側支持部212及び可動部120側に向かって伸長する必要性がない以上、電源コイル150(或いは、当該電源コイル150につながる配線)は、一対の外側トーションバー231上や一対の内側トーションバー232上には形成されないことが好ましい。
更に、第3実施例では、内側支持部212の表面には、駆動コイル340が形成されている。但し、駆動コイル340は、内側支持部212の内部に形成されてもよい。駆動コイル340は、例えば、内側支持部212の枠形状に沿って伸長するコイルである。第3実施例においても、第1実施例及び第2実施例と同様に、駆動コイル340は、駆動コイル140と同様のプロセスで形成されてもよい。更に、駆動コイル340は、内側支持部212内でのみ伸長している。言い換えれば、駆動コイル340は、内側支持部212の外部に向かって伸長していない。より具体的には、駆動コイル340は、一対の外側トーションバー231や一対の内側トーションバー232や外側支持部211や可動部120には形成されない。このため、駆動コイル340は、電源コイル150や駆動コイル140とは電気的に接続されていない。或いは、駆動コイル340は、電源コイル150や駆動コイル140とは物理的に接続されていない。従って、駆動コイル340には、電源端子151を介して制御電流が直接的に供給されることはない。
また、第3実施例では、第1実施例及び第2実施例と同様に、可動部120の表面には、駆動コイル140が形成されている。第3実施例においても、第1実施例及び第2実施例と同様に、駆動コイル140は、可動部120内でのみ伸長している。より具体的には、駆動コイル140は、一対の内側トーションバー232や内側支持部212や一対の外側トーションバー231や外側支持部211には形成されない。更には、駆動コイル140は、電源コイル150のみならず、駆動コイル340とも電気的に且つ物理的に接続されていない。
(3−2)動作態様
このような第3実施例のアクチュエータ300が動作する(具体的には、可動部120が遥動する)場合には、まず、電源から、電源端子151を介して、電源コイル150に対して制御電流が供給される。その結果、電源コイル150からは、磁界(磁力線)が生ずる。このような電源コイル150から生ずる磁界の一部又は全部は、可動部120に形成されている駆動コイル140や内側支持部212に形成されている駆動コイル340にも到達する。
ここで、第3実施例においても、第1実施例及び第2実施例と同様に、電源コイル150と駆動コイル140及び駆動コイル340とは、電源コイル150から生ずる磁界の一部又は全部が駆動コイル140のコイル内部及び駆動コイル340のコイル内部の少なくとも一方を通過することができる位置関係を有して形成されていることが好ましい。尚、電源コイル150から生ずる磁界が到達する範囲や強度等は、(i)外側支持部211のサイズや、(ii)内側支持部212のサイズや、(iii)可動部120のサイズや、(iv)外側支持部211と内側支持部212との間の位置関係や、(v)内側支持部212と可動部120との間の位置関係や、(vi)電源コイル150に供給される制御電流のパラメータや、(vii)電源コイル150そのもののパラメータによって変動し得る。このため、第3実施例においても、第1実施例と同様に、(i)外側支持部211のサイズや、(ii)内側支持部212のサイズや、(iii)可動部120のサイズや、(iv)外側支持部211と内側支持部212との間の位置関係や、(v)内側支持部212と可動部120との間の位置関係や、(vi)電源コイル150に供給される制御電流のパラメータや、(vii)電源コイル150そのもののパラメータや、(viii)駆動コイル140そのもののパラメータや、(ix)駆動コイル340そのもののパラメータ等を考慮した上で、駆動コイル140及び駆動コイル340並びに電源コイル150は、制御電流が供給されることで電源コイル150から生ずる磁界が駆動コイル140のコイル内部及び駆動コイル340のコイル内部の少なくとも一方を通過する位置関係を有するように形成されることが好ましい。
電源コイル150から生ずる磁界の一部又は全部が駆動コイル340のコイル内部を通過すると、駆動コイル340には、電源コイル150から生ずる磁界に起因した誘導電流する。一方で、駆動コイル340には、一対の永久磁石260によって静磁界が印加されている。従って、駆動コイル340には、一対の永久磁石260から印加される静磁界と駆動コイル340に発生する誘導電流との電磁相互作用に起因した力(つまり、ローレンツ力)が生ずる。その結果、駆動コイル340が形成されている内側支持部212は、一対の永久磁石260から印加される静磁界と駆動コイル340に発生する誘導電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって遥動する。このとき、可動部120は、一対の内側トーションバー232を介して内側支持部212に接続されている。従って、内側支持部212の遥動に伴って、可動部120は、実質的には、図7における上下の方向に沿った軸を中心軸として、当該中心軸の周りで回転するように遥動する。
更に、電源コイル150から生ずる磁界の一部又は全部が駆動コイル140のコイル内部を通過すると、駆動コイル140には、電源コイル150から生ずる磁界に起因した誘導電流する。一方で、駆動コイル140には、一対の永久磁石160によって静磁界が印加されている。従って、駆動コイル140には、一対の永久磁石160から印加される静磁界と駆動コイル140に発生する誘導電流との電磁相互作用に起因した力(つまり、ローレンツ力)が生ずる。その結果、駆動コイル140が形成されている可動部120は、一対の永久磁石160から印加される静磁界と駆動コイル140に発生する誘導電流との電磁相互作用に起因したローレンツ力によって遥動する。つまり、可動部120は、図7における左右の方向に沿った軸を中心軸として回転するように遥動する。
以上説明したように、第3実施例のアクチュエータ300によれば、遥動させるべき可動部120に駆動コイル140を形成し且つ遥動させるべき内側支持部212に駆動コイル340を形成することができる。従って、可動部120及び内側支持部212のいずれか一方に駆動コイル140を形成することなく可動部120を遥動させる(具体的には、2軸駆動させる)比較例のアクチュエータと比較して、可動部120及び内側支持部212を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができる。その結果、可動部120の2軸駆動の精度を相対的に向上させることができる。
その一方で、第3実施例のアクチュエータ300によれば、駆動コイル140に生ずる誘導電流を用いて(言い換えれば、電源コイル150から無線伝送される電力ないしは電流を動力源として用いて)可動部120を遥動させることができる。このため、駆動コイル140が可動部120の外部に伸長しなくともよくなる。従って、駆動コイル140につながる配線を一対の内側トーションバー232(更には、内側支持部212や一対の外側トーションバー231や外側支持部211)に形成しなくともよくなる。言い換えれば、第3実施例のアクチュエータ300によれば、電源コイル150に制御電流を供給することで駆動コイル140が形成されている可動部120を遥動させることができるため、駆動コイル140に対して制御電流を供給しなくともよくなる。その結果、第3実施例のアクチュエータ300によれば、駆動コイル140につながる配線を一対の内側トーションバー232や一対の外側トーションバー231に形成しなくともよくなる。従って、一対の内側トーションバー230上や一対の外側トーションバー231上に配線を形成する比較例のアクチュエータと比較して、アクチュエータ300の構造が単純化すると共に、アクチュエータ300の製造工程もまた単純化する。このため、可動部120に駆動コイル140を形成することなく可動部120を遥動させる比較例のアクチュエータと比較して、アクチュエータの設計の自由度を相対的に高めるという比較例のアクチュエータと同様の効果を相応に享受しつつ、可動部120を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができる。或いは、可動部120に駆動コイル140を形成しつつ当該駆動コイル140につながる配線を一対の内側トーションバー232や一対の外側トーションバー231に形成する比較例のアクチュエータと比較して、可動部120を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができるという比較例のアクチュエータと同様の効果を相応に享受しつつ、アクチュエータ300の設計の自由度を相対的に高めることができる。
同様に、第3実施例のアクチュエータ300によれば、駆動コイル340に生ずる誘導電流を用いて(言い換えれば、電源コイル150から無線伝送される電力ないしは電流を動力源として用いて)内側支持部212(更には、内側支持部212とつながっている可動部120)を遥動させることができる。このため、駆動コイル340が内側支持部212の外部に伸長しなくともよくなる。従って、駆動コイル340につながる配線を一対の外側トーションバー231(更には、可動部120や一対の内側トーションバー232や外側支持部211)に形成しなくともよくなる。言い換えれば、第3実施例のアクチュエータ300によれば、電源コイル150に制御電流を供給することで駆動コイル340が形成されている内側支持部212を遥動させることができるため、駆動コイル340に対して制御電流を供給しなくともよくなる。その結果、第3実施例のアクチュエータ300によれば、駆動コイル340につながる配線を一対の内側トーションバー232や一対の外側トーションバー231に形成しなくともよくなる。従って、一対の内側トーションバー230上や一対の外側トーションバー231上に配線を形成する比較例のアクチュエータと比較して、アクチュエータ300の構造が単純化すると共に、アクチュエータ300の製造工程もまた単純化する。このため、内側支持部212に駆動コイル340を形成することなく内側支持部212を遥動させる比較例のアクチュエータと比較して、アクチュエータの設計の自由度を相対的に高めるという比較例のアクチュエータと同様の効果を相応に享受しつつ、内側支持部212を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができる。或いは、内側支持部212に駆動コイル340を形成しつつ当該駆動コイル340につながる配線を一対の内側トーションバー232や一対の外側トーションバー231に形成する比較例のアクチュエータと比較して、内側支持部212を相対的に高精度に遥動させる(つまり、駆動する)ことができるという比較例のアクチュエータと同様の効果を相応に享受しつつ、アクチュエータ300の設計の自由度を相対的に高めることができる。
更には、ねじれ等の応力が加わり且つ相対的に幅が狭い一対の内側トーションバー232に配線を形成しなくともよくなるため、配線の断線を考慮しなくともよくなる。つまり、駆動コイル140及び駆動コイル340の少なくとも一方につながる配線を一対の内側トーションバー232に形成する比較例のアクチュエータと比較して、アクチュエータ300の耐久性(或いは、耐故障性)を向上させることができる。
更には、ねじれ等の応力が加わり且つ相対的に幅が狭い一対の外側トーションバー231に配線を形成しなくともよくなるため、配線の断線を考慮しなくともよくなる。つまり、駆動コイル140及び駆動コイル340の少なくとも一方につながる配線を一対の外側トーションバー231に形成する比較例のアクチュエータと比較して、アクチュエータ300の耐久性(或いは、耐故障性)を向上させることができる。
尚、第3実施例のアクチュエータ300においても、第1実施例のアクチュエータ100や第2実施例のアクチュエータ200が取り得る各種態様を適宜採用してもよい。例えば、第3実施例においても、可動部120が磁性材料を含んでいてもよいし、電源コイル150(或いは、駆動コイル140ないしは駆動コイル340)の形状を変えてもよいし、電源コイル150が複数のコイル部分151bを備えていてもよいし、一対の永久磁石160(或いは、一対の永久磁石260)の配置位置を変えてもよい。
尚、上述の説明では、可動部がトーションバーの伸長する方向に沿った軸を中心軸として回転するMEMSスキャナに着目して説明を進めている。しかしながら、MEMSスキャナに限らず、任意のアクチュエータに対して上述した各種構成が適用されてもよい。例えば、可動部がトーションバーの遥動に従って平行移動するように遥動するMEMSアクチュエータに対して、上述した各種構成が適用されてもよい。この場合であっても、上述した各種効果は好適に享受される。
本発明は、前述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うアクチュエータもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。