図1は、本発明の最良の実施の形態に係る帯巻装置1の内部構造を正面側から見る縦断面図である。この帯巻装置1は、箱形状の本体1Aと、本体1Aよりも高さの低い載置テーブル1Bとが横に一体に連結した形状をしている。載置テーブル1Bの上面2にアーチ状のフィルムガイド1Cが立設されている。
載置テーブル1Bの上面2に左右に延びる凹溝3が形成されている。この凹溝3のやや本体1A寄りの位置にシール当て板6が配置されている。帯巻きしようとする物品Xは、このシール当て板6の上で、凹溝3を跨ぐように、載置テーブル1Bの上面2に載置される。
フィルムガイド1Cは、載置テーブル1Bに載置された物品Xを取り巻くように、正面視で「C」字状に滑らかに湾曲形成されたレール部材5を有している。レール部材5は、正面側と背面側の一対の側板9,9の間に挟まれている(図1は背面側の側板のみ図示)。各側板9には物品Xを載置テーブル1Bに載置したり載置テーブル1Bから取り上げるための窓9aが開いており、これにより、フィルムガイド1Cがアーチ状を呈している。側板9の下端部が載置テーブル1Bの上面2に対接し、側板9の左端部が本体1Aの右側面に対接し、この状態で、レール部材5の下部分が凹溝3内に突入し、レール部材5の左部分が本体1A内に突入している。レール部材5の右部分に連続する右下部分4は凹溝3の底面を提供し、本体1Aの内部に設けられた支持板7(後述する)と同じ高さで左右に水平に延びている。レール部材5の左部分に連続する左下部分は、前記支持板7の直上方で左右に水平に延びている。
この帯巻装置1は、本体1Aの内部に、帯体であるフィルムFのロールRを支持するフィルムロール支持部10と、前記フィルムロールRから繰り出されたフィルムFに印字をする印字部20と、フィルムFを載置テーブル1Bの側へ供給し又は載置テーブル1Bの側から引き戻すフィルム供給部30と、フィルムFにラベルを貼付するラベル貼付部40とを備え、一方、載置テーブル1Bの内部に、載置テーブル1Bに載置された物品Xの周囲でループを形成したフィルムFの先端部と後続部分との重合部を固定し、ヒートシールし、切断するシールカットユニット50を備えている。シールカットユニット50は、シール当て板6の直下方で、支持板7とレール部材5の右下部分4との間の空所に位置している。
フィルムロールRから載置テーブル1Bへ向けてのフィルムFの供給経路(矢印a…a)を説明する。フィルムロールRから繰り出されたフィルムFは、矢印a…aで示すように、ダンサローラ8a、ガイドローラ8b、ガイド板8c、印字部20のサーマルヘッド21とプラテンローラ22との間、フィルム供給部30の一対のフィードローラ31,32の間、ガイドローラ8d、及び押えローラ8eと支持板7との間を通過する。この押えローラ8eを抜けた直後の位置がフィルムFの原点位置Aである。フィルムFは、さらに、支持板7の上面を水平に右方向に進んで、貼付部40の剥離棒41の直下方、ラベル押えローラ8f、載置テーブル1Bに載置された物品Xの下方、及びシールカットユニット50を通過して、載置テーブル1Bの凹溝3の底面(レール部材5の右下部分4の上面)に到達する。
フィルムFは、さらに、凹溝3の底面を水平に右方向に進んだのち、レール部材5の内周面に沿って物品Xの右側方から上方にかけての空間を滑らかに湾曲しながら通過し、再び載置テーブル1Bの凹溝3に上方から入って、支持板7上を通過しているフィルムFの後続部分の上に重なり合う。そして、この状態で水平に右方向に進んで、フィルムFの先端部がシール当て板6の下面に設けられたストッパ6aに当接したところで停止する。このフィルムFの先端部がストッパ6aに当接して停止する位置が待機位置Bである。ここにおいて、フィルムFが物品Xの周囲を環状に取り巻いたループが完成する。
以上述べたフィルムFの供給経路a…aにおいて、上流側(フィルムロールR側)から、フィルムFに印字をする印字部20、フィルムFを載置テーブル1Bの側へ供給するフィルム供給部30、フィルムFにラベルLを貼付するラベル貼付部40、の順に配置されている。
本実施形態において、載置テーブル1Bに載置される物品Xは、例えばコンビエンスストア等で販売される弁当等の蓋付トレイである。図2(図中の矢印は、図1及び図4に示した物品Xを見ている方向を示す)に示すように、この物品Xは、帯巻装置1により、外周面にフィルムFが巻き締められる。その場合に、フィルムFには、前記印字部20により印字が施される印字領域が設定されている。
図3(図中の矢印aは、フィルムFがロールRから繰り出される方向を示す)に示すように、個々の物品Xに巻き締められるフィルムFには、繰り出し側から、前部シール領域、印字領域、非印字領域、及び後部シール領域が順に設けられている。前部シール領域は、ロールRからの繰り出し時において、フィルムFの先端部を構成する部分であり、後部シール領域は、ロールRからの繰り出し時において、フィルムFの後続部分を構成する部分である。その場合に、先端の前部シール領域の上に後続の後部シール領域が重合されて、前記シールカットユニット50によりヒートシールされる(図4参照)。印字領域は、バーコードや商品説明あるいは商品マーク等が表示される部分である。バーコードの部分と商品マークの部分とに、前記ラベル貼付部40により不透明なラベルL,Lがウラ面から貼付されている(図4参照)。これは、フィルムFが透明な樹脂製であり、物品X(蓋付トレイ)が表面に模様や柄が印刷された樹脂製であって、そのままでは購買者が目視で商品マーク等を視認し難く、販売者がスキャナでバーコード等を読み取り難くなるから、不透明ラベルLをフィルムFのウラ面に貼付することで、商品マーク等の視認及びバーコード等の読み取りを確実とするためである。なお、印字領域内においても、何も印字されない非印字部分が存在している。
図5に拡大して示すように、印字部20は、本実施形態においては、熱により印字を行う感熱式プリンタを採用し、特にインクリボンIを用いる熱転写プリンタを搭載している。すなわち、印字部20は、サーマルヘッド21と、このサーマルヘッド21に対してフィルムFを挟んで反対側に配置されたプラテンローラ22と、サーマルヘッド21とフィルムFとに挟まれて走行するインクリボンIの繰り出し側ローラ23と、巻き取り側ローラ24とを含む。サーマルヘッド21、繰り出し側ローラ23、及び巻き取り側ローラ24は、印字部フレーム20aに支持され、プラテンローラ22は、本体1A側に支持されている。サーマルヘッド21は、印字部フレーム20aに設けられた支点21aを中心に揺動自在であり、印字時に電磁ソレノイド(図示せず)がオンされると、矢印bのように、プラテンローラ22に所定の圧力で押しつけられ、非印字時に電磁ソレノイドがオフされると、矢印cのように、プラテンローラ22から離間する。サーマルヘッド21がプラテンローラ22に押しつけられる印字中は、インクリボンIが矢印oのように巻き取り側ローラ24に連続して巻き取られる。
図6に拡大して示すように、フィルム供給部30は、フィルムFを挟んで配置された一対のフィードローラ31,32を含む。比較的大径の上側のフィードローラ31は、金属製であり、駆動側であって、矢印d方向に回転することにより、フィルムFを載置テーブル1Bの側へ供給し、矢印e方向に回転することにより、フィルムFを載置テーブル1Bの側から引き戻す。比較的小径の下側のフィードローラ32は、ラバー又は樹脂製であり、受け側であって、本体1A側に設けられた支点33aを中心に揺動自在のブラケット33の一端部に支持されている。ブラケット33の他端部は、リターンスプリング34を介して、本体1A側に設けられた支点35aを中心に揺動自在のアーム部材35に連結されている。アーム部材35は、ステッピングモータ36により正逆両方向に所定角度だけ揺動される。結果として、駆動側フィードローラ31に対する受け側フィードローラ32の押し圧がステッピングモータ36により調整される。すなわち、ステッピングモータ36が矢印f方向に回転し、アーム部材35が矢印h方向に揺動するほど、リターンスプリング34が引き延ばされて、フィードローラ31,32間の押し圧が増大する。逆に、ステッピングモータ36が矢印g方向に回転し、アーム部材35が矢印i方向に揺動するほど、リターンスプリング34が戻されて、フィードローラ31,32間の押し圧が減少する。そして、フィードローラ31,32間の押し圧が増大するほど、フィードローラ31,32によるフィルムFのグリップ力が増し、フィルムFを安定かつ高速に供給することができる。また、フィルムFを載置テーブル1Bの側から引き戻すときの引締力(図9(c)のフィルムマスタに予め登録されている)を増大することができる。
図7に拡大して示すように、ラベル貼付部40は、支持板7の上面を進むフィルムFの直上方に配置された剥離棒41と、この剥離棒41でラベルLが剥離された後のラベル台紙シートSを挟んで配置された一対のシート搬送用ローラ42,42と、多数のラベルL…L(図には剥離中の1枚のラベルのみ図示)が剥離可能に並設されたラベル台紙シートSの繰り出し側ローラ43(図1参照)と、巻き取り側ローラ44(図1参照)とを含む。ラベル台紙シートSは、ガイドローラ45,45及び剥離棒41により急角度で曲折され、これにより、ラベル台紙シートSからラベルLが剥離され、フィルムFにおいて印字部20により印字がされた面(オモテ面:本実施形態ではフィルムFの下面)と反対の面(ウラ面:本実施形態ではフィルムFの上面)にラベルLが貼付されることになる。ラベルLが貼付されたフィルムFは、すぐに支持板7とラベル押えローラ8fとの間を通過することにより、ラベルLの貼付が確実とされる。
図8に示すように、この帯巻装置1には、フィルムFによる物品Xの帯巻動作を総合管理する制御ユニット100が搭載されている。この制御ユニット100は、操作パネル101からの各種操作信号の他、載置テーブル1B上に物品Xが載置されていることを検知する物品載置センサ102等からの検知信号を入力する。なお、この他に、フィルムFの先端部が原点位置Aに戻ったことを検知する原点位置センサ、フィルムFの先端部が待機位置Bに至ったことを検知する待機位置センサ等を備えてもよい。ただし、本実施形態では、フィルムFの供給量(図9(c)のフィルムマスタに予め登録されている)で位置A,Bの検知を行うようになっている。すなわち、フィルムFの供給量がゼロのときフィルムFの先端部が原点位置Aにあり、フィルムFの供給量がフィルムマスタに登録された値のときフィルムFの先端部が待機位置Bにある、とする。
一方、制御ユニット100は、フィルムロールRを矢印m,n方向(図1参照)に回転させる駆動モータ111、サーマルヘッド21を矢印b,c方向(図5参照)に揺動させるソレノイド112、インクリボンIを矢印o方向(図5参照)に巻き取る駆動モータ113、駆動側フィードローラ31を矢印d,e方向(図6参照)に回転させるフィードローラ駆動モータ114、受け側フィードローラ32を矢印h,i方向(図6参照)に揺動させるステッピングモータ36、ラベル台紙シートSを矢印p方向(図1参照)に巻き取る駆動モータ115、シールカットユニット50を作動させるためのアクチュエータ116(シールカットユニット50の動作については図12を参照して後述する)、シール当て板6を凹溝3内に進出させ及び凹溝3内から退避させるためのアクチュエータ117等に各種制御信号を出力する。また、印字部20のプラテンローラ22を印字中に回転駆動させる場合は、該プラテンローラ22を矢印q方向(図5参照)に回転させるプラテンローラ駆動モータ118が備えられ、このプラテンローラ駆動モータ118にも制御信号が出力される。なお、印字部20のプラテンローラ22を印字中に回転駆動させない場合(従動とする場合)は、プラテンローラ駆動モータ118は備えられない。
制御ユニット100のメモリ(図示せず)には、図9(a)〜(d)に例示するような各種テーブルが格納されている。図9(a)の商品マスタには、商品コードをキーとして、商品名、金額、印字フォーマット番号、フィルム番号、トレイ番号等の各種データが予め登録されている。図9(b)の印字フォーマットマスタには、印字フォーマット番号をキーとして、印字領域、バーコード座標、商品説明座標、商品マーク座標等の各種データが予め登録されている。図9(c)のフィルムマスタには、フィルム番号をキーとして、フィルムFの引き戻し時の引締力(トレイの強度に基いて設定されている)、シールカットユニット50によるフィルムFの重合部のシール力、フィルムFの原点位置Aから待機位置Bまでの供給量、フィルムFにラベルLを貼付する場合のラベル位置等の各種データが予め登録されている。図9(d)のトレイマスタには、トレイ番号をキーとして、トレイの幅、高さ、長さ等の各種データが予め登録されている。
例えば、商品コード「001」(ホタテ弁当)が指定されると、商品マスタから印字フォーマット番号「P01」が読み出され、これをキーとして、印字フォーマットマスタから「ホタテ弁当」についてのフィルムFへの印字領域、バーコード座標、商品説明座標、商品マーク座標が読み出され、これらのデータに基づいて図3に示したようなフィルムFへの印字が行われる。
また、同じく商品コード「001」(ホタテ弁当)が指定されると、商品マスタからフィルム番号「F01」が読み出され、これをキーとして、フィルムマスタから「ホタテ弁当」についてのフィルムFの引締力(すなわちフィードローラ31,32間の押し圧)、フィルムFの重合部のシール力(シールカットユニット50のヒートシーラ53によりフィルムFの重合部に与えられる熱及び圧力:図12で後述)、原点位置Aから待機位置BまでのフィルムFの供給量、ラベルLの貼付の有無、ラベルLを貼付する場合のフィルムFへのラベルLの貼付位置が読み出され、これらのデータに基づいて図4に示したようなフィルムFによる物品Xの巻き締め及び図1に示したようなフィルムFの供給が行われる。
また、同じく商品コード「001」(ホタテ弁当)が指定されると、商品マスタからトレイ番号「T10」が読み出され、これをキーとして、トレイマスタから「ホタテ弁当」についてのトレイの幅、高さ、長さが読み出され、これらのデータに基づいて物品載置センサ102による載置テーブル1B上の物品Xの検知が行われる。
以下、この帯巻装置1による物品Xの帯巻動作の具体例を図10(印字部20のプラテンローラ22を駆動する場合)及び図11(印字部20のプラテンローラ22を従動とする場合)のフローチャートに従って説明する。まず、操作パネル101を操作して物品Xとしての商品を呼び出す(ステップS1,S51)。このとき、フィルムFの先端部は原点位置Aにある。次いで、プラテンローラ22が従動の場合は、ステッピングモータ36によりフィードローラ31,32間の押し圧が増大される(ステップS52)。一方、プラテンローラ22が駆動の場合は、フィードローラ31,32間の押し圧は初期値(ステップS16参照)のままとされる。次いで、フィードローラ31,32が駆動し、インクリボンIが駆動する(ステップS2,S53)。これにより、フィルムFが供給経路a…aに沿って下流側(載置テーブル1B側)へ移動し始める(フィルムFの供給開始)。プラテンローラ22が駆動の場合は、プラテンローラ22も駆動する(ステップS2)。その場合、フィードローラ31,32のフィルム供給速度は、プラテンローラ22のフィルム供給速度より大きくされる。
次いで、サーマルヘッド21がプラテンローラ22に当接して印字部20において印字が開始する(ステップS3,S54)。一方、ラベル貼付部40では、フィルムFのウラ面にラベルLが貼付される(ステップS4,S55)。印字部20で印字が終了すれば、サーマルヘッド21がプラテンローラ22から離間する(ステップS5,S56)。また、インクリボンIの巻取り、走行が停止する(ステップS6,S57)。プラテンローラ22駆動の場合は、プラテンローラ22も停止する(ステップS6)。
次いで、フィードローラ31,32の駆動速度が増速する(ステップS7,S58)。つまり、印字及びラベル貼付が終了したフィルムFを高速で載置テーブル1B(物品X)の側へ供給するのである。そして、フィルムFを供給量(図9(c)のフィルムマスタ参照:供給経路a…aに沿った原点位置Aから待機位置Bまでの距離)だけ供給すれば、フィードローラ31,32を停止する(ステップS8,S59)。つまり、フィルムFの供給を停止する。これにより、図1に示したように、フィルムFの先端部は、待機位置Bに到達する。すなわち、フィルムFの先端部がシールカットユニット50の直上部のシール当て板6の下面に設けられたストッパ6aに当接して停止する。これで、図1に示したように、フィルムFが載置テーブル1B上の物品Xの周囲を所定の間隔を空けて余裕をもって取り巻き、ループを形成することになる。
次は、フィルムFの引き戻しである。すなわち、まず、フィードローラ31,32間の押し圧を、ステッピングモータ36を作動させることにより、引締力(図9(c)のフィルムマスタに登録されている)に応じて調整しておく(ステップS9,S60)。そして、テーブル1B上に物品Xが載置されていることを物品載置センサ102で確認したうえで、フィルムFの引き戻し及び締めつけを開始する(ステップS10,S61)。つまり、まず、シールカットユニット50を上昇させることにより、後述するように、フィルムFの先端部をシール当て板6と押え板51(図12参照)との間に挟んで固定する。そして、フィードローラ31,32及びフィルムロールRを逆転駆動するのである(ステップS11,S62)。このとき、先にステップS9,S60で、フィードローラ31,32間の押し圧を、商品X毎に予め入力された引締力(図9(c)のフィルムマスタに登録されている)に応じて調整しているから、単に、フィードローラ31,32を逆転駆動するだけで、商品Xは、フィルムFにより、商品の強度(図9(d)のトレイマスタに登録されている)に適した所定の引き締め力で引き締められることになる。ここにおいて、フィルムFがフィルムガイド1Cのレール部材5の内周面から離れて縮径し、物品Xの外周面に巻きついて締めつけられ、フィルムFによる物品Xの巻き締めが達成される。
次いで、シールカットユニット50を作動させて、フィルムFの先端部と後続部分との重合部をヒートシールし切断する(ステップS12,S63)。すなわち、図12に示すように、シールカットユニット50は、図面上、左から順に、押え板(固定刃兼用)51、カッタ(可動刃)52、ヒートシーラ53、及び第2押え板54を備えている。これらは、アクチュエータ116により、それぞれ独立に動作する。シールカットユニット50は、シール当て板6の直下方にあり、また支持板7とレール部材5の右下部分4との間の空所を介して、下方からシール当て板6の下面(待機位置Bを規定するストッパ6aが設けられている)を臨んでいる。
まず、図12(a)は、フィルムFを引き締める前の状態を示している。支持板7から凹溝3の底面を通過するフィルムFは、押え板51の上部に形成されたスリット51aを通過している。図12(b)で、押え板51が上昇してフィルムFの先端部をシール当て板6と押え板51との間に挟んで固定する(ステップS11,S62)。そして、この状態でフィルムFが引き締められる。次いで、図12(c)で、第2押え板54が上昇してフィルムFの後続部分をシール当て板6との間でフィルムFの先端部に押し当てて固定する。そして、図12(d)で、可動刃52とヒートシーラ53とが一体となって上昇し、まず可動刃52がフィルムFを切断し、続いてヒートシーラ53が重合部をヒートシールして結合する。切断された後続側のフィルムFの先端部は原点位置Aに戻ることになる。そして、図12(e)で、シールカットユニット50全体が下降し、初期の状態に戻ることになる(ステップS13,S64)。
次いで、シール当て板6が凹溝3から退避する(ステップS14,S65)。これにより、物品Xに巻き締められたフィルムFのヒートシール部分(結合部分)が物品Xの底面に着き、帯巻きが完了した物品Xを載置テーブル1Bから取り上げることが可能となる。そして、シール当て板6が再び凹溝3内に進出する(ステップS14,S65)。
次いで、ステップS12,S63で切断されたフィルムFの後続部分の先端部が原点位置Aまで戻れば、フィードローラ31,32及びフィルムロールRの逆転駆動を停止する(ステップS15,S66)。そして、フィードローラ31,32の押し圧を所定の初期値にリセットして(ステップS16,S67)終了となる。
以上のように、本実施形態に係る帯巻装置1は、フィルムFを物品Xの周囲でループにし(図1参照)、フィルムFの先端部を固定してフィルムFを引くことによりフィルムFを物品Xに巻き締め、フィルムFの先端部と後続部分との重合部を結合及び切断するものである(図4参照)。この帯巻装置1はフィルム供給部30を備え、フィルム供給部30は、フィルムFの供給源であるフィルムロールRからフィルムFを繰り出して物品Xを載置する載置テーブル1Bの側へ供給する。このフィルム供給部30によるフィルムFの供給経路a…a上で、フィルムFにラベルLを貼付するラベル貼付部40が、フィルムFに印字をする印字部20の下流に設けられている。これにより、本実施形態に係る帯巻装置1においては、フィルムFに印字が先に行われ、ラベルLの貼付が後で行われることになる。その結果、フィルムFに貼付されたラベルLが印字部20を通過することがないので、印字部20のサーマルヘッド21やプラテンローラ22等がフィルムFに貼付されたラベルLに触れ、ラベルLの接着剤やラベルLの表面の印刷インク等で汚れて、印字不良が起き易くなる、というような不具合が解消される。
また、フィルムFが透明である場合に、不透明なラベルLを、印字部20が印字をした部分(特に商品マークや商品名あるいはバーコードの部分)に貼付するから(図3参照)、商品マークや商品名等が目視で視認し易くなり、バーコード等がスキャナで読み取り易くなる。しかも、その場合に、フィルムFにおいて印字部20が印字をした面(オモテ面)と反対の面(ウラ面)にラベルLを貼付するから(図7参照)、先に印字部20が印字した文字や記号等をラベルLで覆って見えなくしてしまう、というような問題も回避される。
また、一対のフィードローラ31,32がフィルムFを挟んで対接し、回転駆動することにより、フィルム供給部30がフィルムFを供給するようになっている場合に(図6参照)、帯巻動作中は、フィードローラ31,32が常に対接状態であるから(ステップS1〜S16及びステップS51〜S67にかけて、フィードローラ31,32間の押し圧が増減調整されても、フィードローラ31,32が離間することがない)、例えば、フィードローラ31,32がフィルムFを挟んで対接したり離間したりするたびにフィルムFの供給経路a…aが振れて移動する、というような問題が回避される。その結果、フィルムFの供給経路上に配設した印字部20によるフィルムFへの印字やラベル貼付部40によるフィルムFへのラベルLの貼付が常に安定に行われる。
また、前記のように、一対のフィードローラ31,32がフィルムFを挟んで対接する構成のフィルム供給部30を、印字部20の下流に設けたから(図1参照)、印字部20の印字中に、印字部20を通過するフィルムFが供給部30で下流側に引っ張られることになり(図5、図6参照)、その結果、フィルムFが弛まず、印字が良好に行われる。また、図示しないが、フィルム供給部30が、ラベル貼付部40に対しても下流に位置する場合は、ラベル貼付部40のラベル貼付中に、ラベル貼付部40を通過するフィルムFが供給部30で下流側に引っ張られることになり、その結果、フィルムFが弛まず、ラベル貼付が良好に行われる。
また、図5に示したように、サーマルヘッド21とプラテンローラ22とがフィルムFを挟んで対接することにより、印字部20がフィルムFに印字をするようになっている場合(すなわち感熱式の場合)に、図10に示した帯巻動作では、印字部20の印字中、駆動モータ118により、プラテンローラ22を矢印q方向に回転駆動させるから、サーマルヘッド21に対するフィルムFの送りが安定し、印字精度が向上する。加えて、印字部20の印字中に、印字部20を通過するフィルムFが供給部30で下流側に引っ張られることにより、例えば、サーマルヘッド21を通過したフィルムFがプラテンローラ22に付着したまま該プラテンローラ22に巻き込まれる、というような問題や、サーマルヘッド21を通過したフィルムFがインクリボンI(熱転写式の場合)に付着したまま該インクリボンIの巻き取り側ローラ24に巻き込まれる、というような問題が抑制される。
一方、同じく、図5に示したように、サーマルヘッド21とプラテンローラ22とがフィルムFを挟んで対接することにより、印字部20がフィルムFに印字をするようになっている場合(すなわち感熱式の場合)に、図11に示した帯巻動作では、印字部20の印字中、プラテンローラ22を駆動させない(すなわち従動とする)から、プラテンローラ22はフィルムFの走行に伴って回転するだけとなり、プラテンローラ22を回転駆動させるための駆動モータ118等を備えずに済むと共に、印字部20の印字中に、プラテンローラ22の回転速度(フィルム供給速度)とフィードローラ31,32の回転速度(フィルム供給速度)とを同期させたり調整したりする必要がなくなる。
なお、フィルムFに貼付するラベルLは、予めキャッチコピーを印字したポップラベル等でもよい。その場合は、フィルムFが透明であるか不透明であるかを問わず、印字部20が印字をした部分とは別の部分にラベルLを貼付することになる。また、フィルムFにおいて印字部20が印字をした面と同じ面にラベルLを貼付してもよい。
以上のように、本実施形態に係る帯巻装置1は、先にフィルムFに印字を行い、そののち該フィルムFにラベルLを貼付するものである。そして、これにより、ラベルLが印字部20を通過せず、印字部20がラベルLに触れないから、印字部20がラベルLの接着剤やラベルLの表面の印刷インク等で汚れることがなく、印字が良好に保たれる、という利点はすでに述べた。ここでは、それ以外に得られる有利な点を、図13、図14を参照して説明する。すなわち、本実施形態に係る帯巻装置1とは逆に、先にラベルを貼付し、後で印字をした場合、そのことに起因して次のような問題が起こり得る。
すなわち、図13(a)に示すように、帯体の先端部(黒丸印)が原点位置にあり、いまから帯体が矢印方向に供給されるとする。帯体の後続部分の経路には上流側(帯体供給源側)から順にラベル貼付手段と印字手段とが配置されている。帯体の供給開始と共に帯体にまずラベルが貼付される。
次いで、図13(b)に示すように、帯体の供給に伴い帯体に貼付されたラベルも下流側へ移動していく。そして、図13(c)に示すように、ラベルが印字手段に到達すればラベルに印字が行われる。この結果、どうしても、帯体の先端部から所定距離だけ(原点位置からラベル貼付手段の配置位置までの距離だけ)離れた位置にラベルが貼付され、このラベルにバーコードが印字されることになる。つまり、ラベル貼付位置ひいてはバーコードの書き出しが遅くなる。
次に、図14(a)に示すように、この帯体を物品に巻いた場合、帯体の先端部と後続部分との重合部が物品の底面の中央部にくるものとする。そして、バーコードがこの重合部を挟んで物品の底面のどちらかの側に印字され、商品名等が物品の上面の中央部に印字されるものとする。このとき、バーコードを先に印字し商品名等を後で印字する場合の印字領域を(*−*)で示し、商品名等を先に印字しバーコードを後で印字する場合の印字領域を(○−○)で示すと、印字領域の長さが相互に同じであるから、いずれの方式で印字してもインクリボンの消費量は同じである(インクリボンは印字領域中連続して走行する)。よって、バーコードの書き出しが遅い場合は、印字領域(○−○)を採用すればよい。
これに対して、図14(b)に示すように、商品名等が物品の上面の中央部よりも帯体の後続側にずれて印字されるものとする。このとき、印字領域(*−*)の長さよりも、印字領域(○−○)の長さが短くなり、インクリボンの消費量が少なくなるので、印字領域(○−○)の方式が採用されることになる。よって、バーコードの書き出しが遅くても問題にならない。
一方、図14(c)に示すように、商品名等が物品の上面の中央部よりも帯体の先端側にずれて印字されるものとする。このとき、印字領域(○−○)の長さよりも、印字領域(*−*)の長さが短くなり、インクリボンの消費量が少なくなるので、印字領域(*−*)の方式が採用されることになる。しかし、この方式は、バーコードの書き出しが遅い場合は対応できない。その結果、やむなく印字領域(○−○)の方式を採用することになって、インクリボンの消費量が無駄に増えてしまう。このような問題は、帯体におけるラベル貼付位置がどうしても帯体の先端部から離れてしまうことに起因する。
これに対し、本実施形態に係る帯巻装置1では、ラベルを印字の後で貼付するので、ラベル貼付位置ひいてはバーコードの書き出しが遅くなることがない。例えば、図13(a)の時点で印字手段がバーコードを印字し、そののち、図13(b)〜図13(c)にかけて、原点位置より下流のラベル貼付部(図7参照)でラベルを貼付すればよい。したがって、バーコードの書き出しが遅くならないから、図14(a)〜図14(c)のすべての場合で、印字領域(*−*)の方式に対応することができる。もちろん、印字領域(○−○)の方式にも対応可能である。
ところで、前記実施形態では、図9(a)の商品マスタに予め「金額」が登録されており、販売価格の決まった物品を帯巻きしていたが、これに代えて、商品マスタに「単価」を登録し、物品毎に計量をして、販売価格を単価と計量値とからそのつど決定することもある。その場合、物品を計量するための計量器を帯巻装置に内蔵し、例えば物品を載置テーブルに載置したときに該物品の重量を計るようにすることが考えられる。しかし、それでは帯巻装置の大型化を招くばかりでなく、帯巻装置を使用する者はすでに計量器を保有していることが多いので、計量器を何台も持つことになって効率がよくない。
そこで、図15に示すように、帯巻装置と計量器(図例は計量及び値付けラベルの発行を行う計量プリンタ)とをネットワークでデータ通信可能に接続し、計量器で物品の重量を計ってその計量データをネットワークを介して帯巻装置に送信する。帯巻装置は受信した計量データを記録すると共に、予め登録されている単価から販売価格を算出し記録しておく。そして、その物品を帯巻きするときにこれらのデータを読み出してフィルムに「単価」「重量」「価格」を印字する。その場合、通常の値付けラベルの形態でこれらのデータをフィルムに印字するときは、計量プリンタから値付けラベルフォーマットも受信する。以上のように、帯巻装置と計量器との連動させることにより、帯巻装置に計量器を搭載する必要がなくなり、既存の機器を活用することができて、トータルコストの低減が図られる。