JP4963037B2 - スパッタリング用コバルトターゲット及びその製造方法 - Google Patents

スパッタリング用コバルトターゲット及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、スパッタリング用コバルトターゲット及びその製造方法に関し、特にスパッタリング用ターゲットが、例えば、LSI用の電極又は配線材料としての薄膜又は微細配線を形成するために用いられる薄膜形成用高純度のものに関する。
スパッタリング用ターゲットに求められる特性として、成膜した膜の膜厚分布の均一性がある。これは、ターゲット面内での成膜速度の差、つまりはターゲット上の磁束密度の大きさによるプラズマの均一性によって左右される。しかし、コバルトは強磁性体であるため、漏洩磁束密度が小さくなる傾向があり、ターゲットの厚みが厚いうちは放電が立ちにくくなることもある。しかもターゲットの磁気特性によってこの値が大きく変化するという短所がある。また、コバルトは変形能が小さい材質であるため、塑性加工(鍛造、圧延)が難しく、その加工条件によってはその磁気特性が大きく変化することも知られている。
さらに、磁性体ターゲットは厚みが薄くなると急激に漏洩磁束密度が大きくなるために部分的に急峻なエロージョン形状となり、ターゲットの使用効率が悪くなると言う短所もある。
上記したような漏洩磁束密度の低下に関する問題を解決すべく、コバルトにクロムやタンタルを添加して、X線的に面心立方組織を歪んだ状態にし、スパッタリング用コバルトターゲットの保持力を高め、それによって漏洩磁束を高めようとする提案がある(例えば、特許文献1、2及び3参照)。しかし、上記したように、コバルトは変形能が小さい材質であり、塑性加工(鍛造、圧延)の条件によってその磁気特性が大きく変化するために、必ずしも満足できる技術ではない。
特開平10−219439号公報(特許請求の範囲等) 特開平09−272970号公報(特許請求の範囲等) 特開2001−200356号公報(特許請求の範囲等)
バルトターゲットを製造する際に行われる鍛造及び圧延からなる塑性加工において、例えば、直方体の板材での1軸圧延では面の配向性が圧延方向の影響を受ける上に、圧延する際の幅方向に分布ができてしまうことがある。また、円形の板材での多軸圧延では、面の配向性はランダムになるが、中心部と周辺部とでは圧延される幅に違いがあるため、圧延による金属組織の均一性に差が出てしまい、均一な磁気特性を得ることが困難であるという問題がある。
さらに、ターゲット製作の際の最終加工を冷間圧延とする場合、この冷間圧延加工において圧延率が高すぎるとターゲットに割れが発生する可能性が高くなり、好ましくないという問題がある。
本発明の課題は、上述の従来技術の問題点を解決することにあり、従来の矩形及び円形の板材での圧延では得られなかった、配向性及び中心部と周辺部とで差のない均一な磁気特性を持ったスパッタリング用コバルトターゲット及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、スパッタリング用のコバルトターゲットにおいて、このコバルトターゲットを表面に配置するバッキングプレートの裏面側に配置するマグネットとして、バッキングプレートの裏面に平行で、所定長さを有する直線マグネットを用い、この直線マグネットは、バッキングプレートを貫通してその表面に漏洩する磁束の水平方向漏洩磁束密度のばらつきが、直線マグネットの両端部を除く所定範囲で±5%以下となるものであり、裏面側に前記直線マグネットを配置したパッキングプレートの表面にコバルトターゲットを配置した状態で、バッキングプレートとコバルトターゲットとを貫通してその表面に漏洩する磁束の水平方向漏洩磁束密度のばらつきが、直線マグネットの両端部を除く所定範囲で±5%以内であり、前記コバルトターゲットが、コバルトインゴットから熱間鍛造と熱間圧延とを施して得られた正方形の板材で、その厚みが均一に加工された板材を、正方形の2組の対辺の対向方向に夫々平行な2軸方向へ同じ圧延率で圧延して得られたものであることを特徴とする。
のように均一な厚みを有する板材を圧延することにより、圧延による加工効果をターゲット面内で均一とすることができ、結果として金属組織の粒径がターゲット内で均一となる。
前記コバルトターゲットは、正方形の2組の対辺の対向方向に夫々平行な2軸方向への圧延加工の圧延率を10%以上、好ましくは10〜16%とした冷間圧工程と、熱処理温度を420〜600℃とした熱処理工程とを繰り返すことにより製作されたものであることを特徴とする。圧延率を10%未満とすると、冷間加工による加工効果が十分でなく、ターゲット表面における漏洩磁束密度が小さくなり、或いは平均粒径が大きくかつ不均一になる。また、16%を超えると、加工中の板材の割れが発生する可能性が高くなる。
前記冷間圧延工程と熱処理工程との繰り返し工程の後、最終工程を冷間圧延工程として、ターゲット表面での漏洩磁束密度が大きくなるように、(0002)面への配向が強まるように((0002)/(10-11))面の配向比を増大させたものであることを特徴とする。
また、本発明において、前記コバルトターゲットの表面での漏洩磁束密度が大きくなるように、このターゲット表面の平行な方向の透磁率が、ターゲット面と垂直な方向の透磁率に比較して小さくなるようにして異方性を持たせたものであることが好ましい。
更に、本発明において、前記コバルトターゲットが、純度3N5〜5Nであることが好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明のスパッタリング用コバルトターゲットの製造方法は、コバルトインゴットに対して熱間鍛造と熱間圧延とを施して正方形の板材を製作し、この板材の厚みを均一にした後、正方形の2組の対辺の対向方向に夫々平行な2軸方向への同じ圧延率での冷間圧延工程と所定の温度での熱処理工程とを繰り返し施すことを特徴とする。
上記製造方法に係る発明においては、板材は正方形であり、この板材を圧延前に平面研削やフライス盤などの機械加工によりその厚みを均一に加工してなること、冷間圧延加工の圧延率が10〜16%であり、前記熱処理温度が420〜600℃であること、冷間圧延工程における加工中の板材の割れを防止するように、また、磁気特性がターゲット面内で均一となるように制御すること、冷間圧延工程と熱処理工程とにより、金属組織の平均粒径を100μm以下とすること、冷間圧延工程と熱処理工程との繰り返し工程の後、最終工程を冷間圧延工程として、ターゲット表面での漏洩磁束密度が大きくなるようにして、(0002)面への配向が強まるように((0002)/(10-11))面の配向比を増大させること、コバルトターゲットの表面での漏洩磁束密度が大きくなるように、このターゲット表面の平行な方向の透磁率を、ターゲット表面と垂直な方向の透磁率に比較して小さくなるようにして異方性を持たせること、コバルトターゲットの純度は、3N5〜5Nであることが好ましい。
本発明のスパッタリング用コバルトターゲット及びその製造方法によれば、従来の矩形及び円形の板材での圧延では得られなかった、配向性及び中心部と周辺部とで差のない均一な磁気特性を持ったターゲットを提供できるという効果を奏すると共に、このターゲットを用いてスパッタ成膜を行うことにより、膜厚分布の均一な薄膜又は微細配線を製作できるという効果を奏する。
本発明の実施形態によれば、コバルトインゴットから熱間鍛造と熱間圧延により板材を製作し、この板材を前記したように平面研削やフライス盤等の機械加工により、その厚みを均一にした後、圧延率10〜16%程度であって、2軸方向へ同じ圧延率で行う冷間圧延工程と420〜600℃の温度での熱処理工程とを複数回(1〜2回)繰り返し、表面での漏洩磁束密度のばらつきが±5%以内となるようなコバルトターゲットを製造することができる。
この場合の熱間鍛造は、例えば、1100〜1200℃で円柱形のインゴットから平板状のスラブを製作する条件で行われ、また、熱間圧延は、温度800〜1200℃、圧延率80〜90%の条件で行われる。
前記したように、Coのように変形能の小さい材料では十分な圧延率を施すことが難しく、一般に、直方体の板材での1軸圧延では表面の配向性や圧延幅方向への分布等に問題が生じ、また、円形の板材での多軸圧延では圧延による金属組織の均一性に差が出てしまうという問題がある。しかし、この問題は、圧延前の厚みを均一にした板材の冷間圧延加工の圧延率を10〜16%として2軸方向へ均一に圧延することにより解決でき、均一な金属組織を有するターゲットを製造することができる。
コバルトは420℃及び380℃付近に変態点があるため、この420℃以上に温度が上昇すると、結晶が急激に変化し(結晶状態1(ε)→結晶状態2(α))、ひずみが開放されて硬度が回復する。また、380℃以下に温度が低下すると、結晶が逆に急激に変化し(結晶状態2(α)→結晶状態1(ε))結晶が微細化される。また、コバルトは、500℃を超えると粒成長が徐々に顕著になり、600℃を超えると結晶粒径が急激に大きくなる。そのため、本発明におけるように、420〜600℃、好ましくは420〜500℃で熱処理することにより、硬度を回復して再度冷間圧延加工を可能とすると同時に、結晶を微細化させることができる。
本実施形態によれば、コバルトターゲットの水平方向の透磁率を小さくすることができ、それによってターゲット内に入る磁束を減らし、ターゲット表面への漏洩磁束密度を大きくすることができる。そのため、本発明によれば、磁気特性の均一化、ひいてはこのターゲットを用いるスパッタリングにより薄膜を形成する際に、その膜厚分布等の均一化を図ることができる。
コバルトの結晶における(0002)面の法線方向<0002>軸は、磁化容易軸であり、本来の主要配向面である(10-11)面との配向比が大きいと、垂直に磁束が抜けやすい傾向がある。そのため、本実施形態では、ターゲット表面での漏洩磁束密度が大きくなるように、(0002)面への配向が強まるように((0002)/(10-11))面の配向比を増大させることが好ましい。従って、本実施形態では、冷間圧延工程と熱処理工程との繰り返し工程の後、最終工程を冷間圧延工程とすることによって、ターゲット表面での漏洩磁束密度が大きくなるように、(0002)/(10-11))面の配向比を増大させている。
本実施形態では、コバルトターゲット表面での漏洩磁束密度が大きくなるように、このターゲット表面と垂直な方向の透磁率に比較して表面に平行な方向の透磁率が小さくなるように異方性を持たせることが好ましい。
また、本実施形態では、最終加工を冷間圧延とすることにより、結晶内に双晶を多数導入することができる。この双晶は、粒界と同様に磁束が抜けやすい部分となるため、双晶の密度を制御することによって、漏洩磁束を制御することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。
EB溶解5N純度のコバルトインゴットからのφ300mmターゲットの製作例:
コバルトのEB溶解5Nインゴットを熱間鍛造(1150℃にてφ170mmから40t)及び熱間圧延(1150℃にて38tから6t)して6tの板材を製作した。この板材から正方形の板材を切り出し、平面研削により厚みを均一にした。この正方形の板材に対して、正方形の2組の対辺の対向方向に夫々平行な2軸方向に同じ圧延率(15%)での冷間圧延と、500℃での熱処理とを繰り返し行った(2回)。最後に、冷間圧延を行った後、熱処理を行わずに機械加工を行って、φ300mmのスパッタリング用コバルトターゲットを製作した。
このターゲット材について、組織観察(光学顕微鏡)及び磁気特性(漏洩磁束密度のばらつき)の確認を行ったところ、従来のものに比較して、組織の微細化及び磁気特性の均一化が達成されていることが確認された。この結果を以下の表1に示す。
インダクション溶解3N5純度のコバルトインゴットからのφ300mmターゲットの製作例:
コバルトのインダクション溶解3N5インゴットを熱間鍛造(1150℃にてφ170mmから40t)及び熱間圧延(1150℃にて38tから6t)して6tの板材を製作した。この板材から正方形の板材を切り出し、平面研削により厚みを均一にした。この正方形の板材に対して、正方形の2組の対辺の対向方向に夫々平行な2軸方向に同じ圧延率(15%)での冷間圧延と、500℃での熱処理とを行った(1回)。最後に、冷間圧延を行った後、熱処理を行わずに機械加工を行ってφ300mmのスパッタリング用コバルトターゲットを製作した。
このターゲット材について、実施例1の場合と同様に組織観察及び磁気特性の確認を行ったところ、従来のものに比較して、組織の微細化及び磁気特性の均一化が確認された。この結果を以下の表1に示す。
(比較例1)
インダクション溶解3N5純度のコバルトインゴットからのφ300mmターゲットの製作例(従来工程):
コバルトのインダクション溶解3N5インゴットを熱間鍛造(1150℃にてφ170mmから40t)及び熱間圧延(1150℃にて38tから6t)して6tの板材を製作した。この板材を一方向に圧延率15%で冷間圧延した後、熱処理を行わずに機械加工を行ってφ300mmのスパッタリング用コバルトターゲットを製作した。
このターゲット材について、実施例1の場合と同様に組織観察及び磁気特性の確認を行ったところ、磁気特性の分布に、圧延方向と関連するばらつきが確認された。この結果を以下の表1に示す。
表1:ターゲット中心から120mmの範囲内における、後述のa〜d方向のばらつき平均値
上記実施例1記載の方法に従って製作したコバルトターゲットをバッキングプレート表面に配置し、また、このバッキングプレート裏面に所定長さの直線マグネットを平行に配置して、ターゲット表面に抜けてくる磁束(漏洩磁束)の水平方向漏洩磁束密度をガウスメータ(F.W.BELL社製)で計測した。計測は、ターゲット表面の直径4方向で、45°間隔で行った(この場合、ターゲットの径方向に直線マグネットを配置したとき、この直線マグネットの長手方向に沿った方向をaとする。次に、直線マグネットを、ターゲットの中心を回転中心としてターゲットの周方向に45°回転し、この直線マグネットの長手方向に沿った方向をbとする。前記同様、直線マグネットを周方向に45°回転し、この直線マグネットの長手方向に沿った方向をcとし、更に直線マグネットを周方向に45°回転し、この直線マグネットの長手方向に沿った方向をdとし、ターゲット表面の直径4方向の位置にて測定を行う)これによれば、正方形の2組の対辺の対向方向に夫々平行な2軸方向への圧延により得られたターゲットの場合、ターゲットの中心から径方向120mmの範囲までは、水平方向漏洩磁束密度の平均値が約800ガウスであり、そのばらつきが±5%以下であることが確認された。
た、上記比較例1記載の方法に従って製作したコバルトターゲットを用い、上記と同様に、ターゲット表面に抜けてくる磁束の水平方向漏洩磁束密度を計測した。ターゲットの中心からの距離に対する水平方向漏洩磁束密度(ガウス)の測定結果を図2に示す。図中、線a、b、c及びdは上記と同様である。これによれば、1軸方向への圧延により得られたターゲットの場合、ターゲットの中心から径方向120mmの範囲までは、水平方向漏洩磁束密度の平均値が約670ガウスであり、そのばらつきが±10%程度であることが確認された。
さらに、ターゲットを配置せずに、バッキングプレート裏面に上記したように直線マグネットを配置して、これに対して、上記と同様にしてバッキングプレート表面に抜けてくる磁束の水平方向漏洩磁束密度を計測し、その結果を図3に示す。図中、計測方向a、b、c及びdは上記と同様である。これによれば、水平方向漏洩磁束密度の平均値が約1600ガウスであり、水平方向漏洩磁束密度のばらつき、すなわちマグネット自体のばらつきは、バッキングプレート、ひいては、ターゲットの中心から径方向120mmの範囲までは±3〜5%程度であった
以上より、2軸方向への圧延により得られた本発明のコバルトターゲットは、1軸方向への圧延により得られた従来技術のコバルトターゲットと比べて漏洩磁束密度のばらつきは少なく、その数値も大きく安定していることが分かる。
実施例1記載の方法に従って得られた厚みの均一な正方形のコバルト板材を600℃で熱処理した後、二方向に同じ圧延率(0〜16%)で冷間圧延し、圧延率(%)と硬度(HV(500、25))との相関関係を検討し、その結果を図4に示す。図4には、熱処理前平均を示すと共に、2種のコバルト板材サンプル1及び2のそれぞれの平均を示す。
これによれば、圧延率を大きくするにしたがって硬度が大きくなっていることがわかる。また、コバルト板材はその硬度が300を超えると割れが発生する可能性が高くなることから、冷間圧延率は16%前後が限界である。
従って、冷間圧延加工における圧延率を0〜16%程度の間で変化させることにより、所望の硬度を有するコバルトターゲットを製造することができる。この場合、高い硬度を有し、ターゲットの割れが生じる恐れがない圧延率としては、10%以上、好ましくは10〜16%程度である。
なお、本実施例では、圧延率による硬度の変化を検討したが、圧延率による配向性や透磁率の変化も同様の相関があると考えられる。
実施例1記載の方法に従ってコバルトターゲットを製作した。ただし、冷間圧延後の板材を100℃から600℃までの間で熱処理を行い、熱処理後の硬度(ビッカース硬度計にて測定)及び透磁率(VSMにて測定)を計測した。その結果を図5に示す。
これによれば、400℃と450℃の間で相変態によって結晶構造が変化し、ひずみの開放(双晶の消滅)及び磁気特性の変化が起こっていることが分かる。これは、熱処理温度400℃と450℃との間で硬度が急激に下がっているからである。
また、相変態前及び相変態後を比較するために、熱処理温度400℃でのターゲットの加工組織の光学顕微鏡写真及び500℃でのターゲットの微細化された加工組織の光学顕微鏡写真を、それぞれ、図6 (a)及び(b)に示す。図6(a)及び(b)から明らかなように、400℃での低い熱処理後の場合は加工組織のままであるが、500℃で熱処理を行った場合は微細化組織となっていることが分かる。
従って、冷間圧延加工における熱処理温度を420〜600℃程度、好ましくは420〜500℃程度とすることにより、所望の硬度を有するコバルトターゲットを製造することができる。
本発明によれば、配向性及び中心部と周辺部とで差のない均一な磁気特性を持ったターゲットを製作できるので、このターゲットを用いて成膜を行うことにより、膜厚分布の均一な薄膜又は微細配線を製作できる。従って、本発明は、LSI用の電極又は配線材料として薄膜又は微細配線を形成する半導体分野において利用可能である。
本発明のスパッタリング用コバルトターゲットの漏洩磁束密度のばらつきを示すグラフ。 従来のスパッタリング用コバルトターゲットの漏洩磁束密度のばらつきを示すグラフ。 バッキングプレートのみの漏洩磁束密度のばらつきを示すグラフ。 スパッタリング用コバルトターゲットを製作する際の冷間圧延及び熱処理後の得られたターゲットの硬度(HV(500、25))について、圧延率(%)の影響を示すグラフ。 スパッタリング用コバルトターゲットを製作する際の熱処理温度(℃)と得られたターゲットの硬度(HV(500、25))との関係を示すグラフ。 スパッタリング用コバルトターゲットを製作する際の熱処理温度による相変態の状態を示す光学顕微鏡写真であり、(a)は熱処理温度400℃の場合の相変態前の写真であり、(b)は熱処理温度500℃の場合の相変態後の写真である。

Claims (11)

  1. スパッタリング用のコバルトターゲットにおいて、
    このコバルトターゲットを表面に配置するバッキングプレートの裏面側に配置するマグネットとして、バッキングプレートの裏面に平行で、所定長さを有する直線マグネットを用い、
    この直線マグネットは、バッキングプレートを貫通してその表面に漏洩する磁束の水平方向漏洩磁束密度のばらつきが、直線マグネットの両端部を除く所定範囲で±5%以下となるものであり、
    裏面側に前記直線マグネットを配置したパッキングプレートの表面にコバルトターゲットを配置した状態で、バッキングプレートとコバルトターゲットとを貫通してその表面に漏洩する磁束の水平方向漏洩磁束密度のばらつきが、直線マグネットの両端部を除く所定範囲で±5%以内であり、
    前記コバルトターゲットが、コバルトインゴットから熱間鍛造と熱間圧延とを施して得られた正方形の板材で、その厚みが均一に加工された板材を、正方形の2組の対辺の対向方向に夫々平行な2軸方向へ同じ圧延率で圧延して得られたものであることを特徴とするスパッタリング用コバルトターゲット。
  2. 前記コバルトターゲットが、正方形の2組の対辺の対向方向に夫々平行な2軸方向への圧延加工の圧延率を10〜16%とした冷間圧延工程と、熱処理温度を420〜600℃とした熱処理工程とを繰り返すことにより製作されたものであることを特徴とする請求項記載のスパッタリング用コバルトターゲット。
  3. 前記冷間圧延工程と熱処理工程との繰り返し工程の後、最終工程を冷間圧延工程として、ターゲット表面での漏洩磁束密度が大きくなるようにして、(0002)面への配向が強まるように((0002)/(10-11))面の配向比を増大させたものであることを特徴とする請求項記載のスパッタリング用コバルトターゲット。
  4. 前記コバルトターゲットの表面での漏洩磁束密度が大きくなるように、このターゲット表面の平行な方向の透磁率が、ターゲット面と垂直な方向の透磁率に比較して小さくなるようにして異方性を持たせたものであることを特徴とする請求項記載のスパッタリング用コバルトターゲット。
  5. 前記コバルトターゲットの純度が、3N5〜5Nであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のスパッタリング用コバルトターゲット。
  6. コバルトインゴットに対して熱間鍛造と熱間圧延とを施して正方形の板材を製作し、この板材の厚みを均一にした後、正方形の2組の対辺の対向方向に夫々平行な2軸方向への同じ圧延率での冷間圧延工程と所定の温度での熱処理工程とを繰り返し施すことを特徴とするスパッタリング用コバルトターゲットの製造方法。
  7. 前記板材を圧延前に平面研削あるいはフライス盤等の機械加工によりその厚みを均一に加工してなることを特徴とする請求項記載のスパッタリング用コバルトターゲットの製造方法。
  8. 前記冷間圧延加工の圧延率が10〜16%であり、前記熱処理温度が420〜600℃であることを特徴とする請求項または記載のスパッタリング用コバルトターゲットの製造方法。
  9. 前記冷間圧延工程における加工中の板材の割れを防止するように、また、磁気特性がターゲット面内で均一となるように制御することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載のスパッタリング用コバルトターゲットの製造方法。
  10. 前記冷間圧延工程と熱処理工程との繰り返し工程の後、最終工程を冷間圧延工程として、ターゲット表面での漏洩磁束密度が大きくなるようにして、(0002)面への配向が強まるように((0002)/(10-11))面の配向比を増大させることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載のスパッタリング用コバルトターゲットの製造方法。
  11. 前記コバルトターゲットとして、その純度が3N5〜5Nのものを用いることを特徴とする請求項10のいずれか1項に記載のスパッタリング用コバルトターゲットの製造方法。
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