JP4962709B2 - 感圧記録体用顕色剤水分散液および感圧記録体シート - Google Patents
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すなわち、サリチル酸誘導体の多価金属塩の乳化分散方法としては、顕色剤を有機溶媒に溶解してから乳化分散剤を含有する水中でホモミキサーやホモジナイザーなどの乳化分散メディアで乳化分散させた後で有機溶媒を蒸留除去する溶媒法が一般的である(特許文献1など)。しかし、有機溶媒を蒸留除去する際に、凝集を引き起こしやすく、また、分散水溶液の製造時点において凝集しなくても、長期保存している間に、凝集を引き起こしやすい。水分散液の凝集や沈降は、顕色剤粒子の粒子径を不均一化させるため、このような顕色剤水溶液を使用すると、得られる感圧記録紙の品質の低下を引き起こしてしまうという問題がある。
また、高濃度化された水分散液は、高粘度化するため、使用時に液送工程などにおいて、送液ポンプにより強いせん断力を受け、顕色剤粒子が破壊されるという問題などがある。
合成例1
攪拌機、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた2リットル容のフラスコに、水542g、イソプロピルアルコール361g、アクリルアミド120.9g、アクリル酸ブチル38.5g(アクリルアミド:アクリル酸ブチル=85:15mol%)を仕込み、攪拌、溶解した。硫酸を少量添加し、液のpHを4.5とした。液中に窒素ガスを導入し、液中の溶存酸素濃度を1ppm以下とした後、液温を40℃に保った。この温度にて、過硫酸アンモニウム1.6gを水5g溶解した水溶液、亜硫酸水素ナトリウム0.4gを水5g溶解した水溶液を順に投入した。加熱を行い約85℃にて還流状態とし、このまま3時間還流状態を継続した。その後、冷却管を蒸留器と取替え、液温が100℃となるまで加熱を継続した。冷却後、反応液の濃度を20%に調整し、透明な乳化分散剤797gを得た。得られた乳化分散剤の組成(モル%)と平均重合度を表1に示す。平均重合度は40であった。
攪拌機、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた2リットル容のフラスコに、水519g、イソプロピルアルコール222g、アクリルアミド130.8g、メタクリル酸ブチル22.8g(アクリルアミド:メタクリル酸ブチル=92:8mol%)を仕込み、攪拌、溶解した。硫酸を少量添加し、液のpHを4.5とした。液中に窒素ガスを導入し、液中の溶存酸素濃度を1ppm以下とした後、液温を40℃に保った。この温度にて、過硫酸アンモニウム1.5gを水5g溶解した水溶液、亜硫酸水素ナトリウム0.4gを水5g溶解した水溶液を順に投入した。加熱を行い約85℃にて還流状態とし、このまま3時間還流状態を継続した。その後、冷却管を蒸留器と取替え、液温が100℃となるまで加熱を継続した。冷却後、反応液の濃度を20%に調整し、透明な乳化分散剤768gを得た。得られた乳化分散剤の組成(モル%)と平均重合度を表1に示す。平均重合度は80であった。
攪拌機、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた2リットル容のフラスコに、水435g、イソプロピルアルコール435g、アクリルアミド128.0g、アクリル酸ブチル25.6g(アクリルアミド:アクリル酸ブチル=90:10mol%)を仕込み、攪拌、溶解した。硫酸を少量添加し、液のpHを4.5とした。液中に窒素ガスを導入し、液中の溶存酸素濃度を1ppm以下とした後、液温を40℃に保った。この温度にて、過硫酸アンモニウム2.0gを水5g溶解した水溶液、亜硫酸水素ナトリウム0.8gを水5g溶解した水溶液を順に投入した。加熱を行い約85℃にて還流状態とし、このまま3時間還流状態を継続した。その後、冷却管を蒸留器と取替え、液温が100℃となるまで加熱を継続した。冷却後、反応液の濃度を20%に調整し、透明な乳化分散剤768gを得た。得られた乳化分散剤の組成(モル%)と平均重合度を表1に示す。平均重合度は20であった。
攪拌機、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた2リットル容のフラスコに、水508g、イソプロピルアルコール218g、アクリルアミド128.0g、メタクリル酸ブチル28.4g(アクリルアミド:メタクリル酸ブチル=90:10mol%)を仕込み、攪拌、溶解した。硫酸を少量添加し、液のpHを4.5とした。液中に窒素ガスを導入し、液中の溶存酸素濃度を1ppm以下とした後、液温を40℃に保った。この温度にて、過硫酸アンモニウム1.6gを水5g溶解した水溶液、亜硫酸水素ナトリウム0.4gを水5g溶解した水溶液を順に投入した。加熱を行い約85℃にて還流状態とし、このまま3時間還流状態を継続した。その後、冷却管を蒸留器と取替え、液温が100℃となるまで加熱を継続した。冷却後、反応液の濃度を20%に調整し、透明な乳化分散剤782gを得た。得られた乳化分散剤の組成(モル%)と平均重合度を表1に示す。平均重合度は150であった。
過硫酸アンモニウムを0.3g、亜硫酸水素ナトリウム0.1g、還流時間を5時間に延長した以外は、合成例1.と同様にして合成し、透明な乳化分散剤768gを得た。得られた乳化分散剤の特性値を表1に示す。平均重合度は300であった。
上記により得られた各乳化分散剤を用いて、感圧記録体用顕色剤水分散液を調製し、その特性および評価試験を行った。
特性および評価試験に用いた試験方法は、以下のとおりである。
(粒子径)
レーザー回折式粒度分布測定装置(装置名:SALD2000、島津製作所(株)製)を用いて測定を行った。
(顕色剤の濃度)
感圧記録体用顕色剤水分散液のサンプル2gをシャーレに精秤し、105℃にて3時間乾燥する。乾燥残さの重量を用い、不揮発成分として測定した。
(粘度)
感圧記録体用顕色剤水分散液のサンプル200gを容器に測り取り、液温を25℃とした後にB型粘度計を用いて測定した。
(発色性試験)
a)顕色シートの調製
感圧記録体用顕色剤の水性分散液20部に、さらに50%炭酸カルシウムスラリー200部、スチレン−ブタジエンラテックス(不揮発分48%)21部、脱イオン水86部を加え、ペイントシェーカーにて90分間練肉して濃度30%の塗料とした。これをバーコーターで上質紙に固形分重量が5.0g/m2となるように塗布し、顕色シートを得た。
b)発色性の測定方法
調製例1で得られたそれぞれの顕色シートに市販の上用紙を重ね、ロールカレンダーを用いて3MPaの圧力で加圧発色させ、加圧1分後(立ち上り時の発色性)および加圧24時間経過後(飽和時の発色性)の発色率を色差計(商品名:SE−2000、日本電色工業(株)製)によりY値を測定して求めた。数値が小さい方が発色良好であることを示す。
結果を表2に示す。
(安定性(沈降性))
直径3cm、高さ20cmの透明な容器に、高さ18cmとなるように顕色剤エマルジョンを入れる。これを密閉し23℃にて静置保管し、沈降物が堆積し始めるまでの日数を記載した。2週間以上であれば実用上問題ない。
(取扱い性)
感圧記録体用顕色剤の水性分散液の顕色剤粒子の状態について、送液ポンプによる液送前と液送後の状態を観察し、以下の基準で判定した。
○:液送後、顕色剤粒子の破壊がほとんど認められなかった。
△:液送後、顕色剤粒子の破壊の程度が少し認められた。
×:液送後、顕著に認められた。
撹拌機、冷却管、温度計を備えた1リットル容のフラスコに、3,5−ジ−(α−メチルベンジル)サリチル酸亜鉛塩150g、トルエン150gを仕込み、溶解させた。次いで、撹拌しながら60℃まで加熱し、合成例1で得られた乳化分散剤37.5g、水262.
5gを加えて30分予備乳化した後、高圧乳化機(マントンガウリン社製)で乳化した。その後、減圧蒸留によりトルエンを除去し濃度50%、25℃での粘度は80mPa・s、平均粒子径は1.0μmの感圧記録体用顕色剤の水性分散液を得た。
撹拌機、冷却管、温度計を備えた1リットル容のフラスコに、3,5−ジ−(α−メチルベンジル)サリチル酸亜鉛塩150g、トルエン150gを仕込み、溶解させた。次いで、
撹拌しながら60℃まで加熱し、合成例1で得られた乳化分散剤18.8g、水溶性高分子(C)としてポリビニルアルコール(商品名:PVA−205(株)クラレ製)の10重量%水溶液37.5g、水243.7gを加えて30分予備乳化した後、高圧乳化機(マントンガウリン社製)で乳化した。その後、減圧蒸留によりトルエンを除去し濃度50%、25℃での粘度は150mPa・s、平均粒子径は1.0μmの感圧記録体用顕色剤の水性分散液を得た。
実施例1において、乳化分散剤を合成例1に代えて合成例2で得られたものを使用した
こと以外は、実施例1と同様と同様の操作を行い、濃度50重量%、25℃での粘度は80mPa・s、平均粒子径は1.2μmの感圧記録体用顕色剤の水性分散液を得た。
実施例1において、乳化分散剤を合成例1に代えて、合成例3で得られたものを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、濃度50重量%、25℃での粘度は20mPa・s、平均粒子径は2.5μmの感圧記録体用顕色剤の水性分散液を得た。
実施例1において、乳化分散剤を合成例1に代えて、合成例4で得られたものを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、濃度50重量%、25℃での粘度は1550mPa・s、平均粒子径は0.8μmの感圧記録体用顕色剤の水性分散液を得た。
実施例1において、乳化分散剤を合成例1に代えて、合成例5で得られたものを使用したこと以外は、実施例1と同様にして調製し、濃度50重量%、25℃での粘度は2500mPa・s、平均粒子径は1.0μmの感圧記録体用顕色剤の水性分散液を得た。
Claims (6)
- サリチル酸誘導体の多価金属塩を主成分とする顕色剤(A)の有機溶媒溶液を乳化分散剤の存在下に水中に乳化分散させてなる感圧記録体用顕色剤水分散液であって、乳化分散剤として(メタ)アクリルアミド(a)80〜97モル%および(メタ)アクリル酸エステルモノマー(b)3〜20モル%を共重合させて得られる平均重合度30以上100未満の水溶性共重合体(B)を、前記顕色剤(A)100重量部に対し0.5〜10重量部用いて乳化分散した後、有機溶剤を留去することを特徴とする感圧記録体用顕色剤水分散液。
- サリチル酸誘導体の多価金属塩を主成分とする顕色剤(A)の有機溶媒溶液を乳化分散剤の存在下に水中に乳化分散させてなる感圧記録体用顕色剤水分散液であって、乳化分散剤として(メタ)アクリルアミド(a)80〜97モル%および(メタ)アクリル酸エステルモノマー(b)3〜20モル%を共重合させて得られる平均重合度30以上100未満の水溶性共重合体(B)ならびに水溶性共重合体(B)以外の水溶性高分子(C)の混合物を、前記顕色剤(A)100重量部に対し0.5〜10重量部用いて乳化分散した後、有機溶剤を留去することを特徴とする感圧記録体用顕色剤水分散液。
- (メタ)アクリル酸エステルモノマー(b)が、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキシルおよびメタクリル酸ブチルからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または2に記載の感圧記録体用顕色剤水分散液。
- 水溶性高分子(C)が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項2または3に記載の感圧記録体用顕色剤水分散液。
- 分散された顕色剤の平均粒子径が、0.2〜2.0μmである請求項1〜4のいずれかに記載の感圧記録体用顕色剤水分散液。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の感圧記録体用顕色剤水分散液を支持体に塗布して得られる感圧記録体シート。
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