JP4961878B2 - 車両の挙動制御装置及び車輪 - Google Patents

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Description

本発明は、車輪を転舵させずに車両を旋回させることができる車両の挙動制御装置及び車輪に関する。
一般に、車両では、運転者によるステアリングホイールの操作に応じて前輪を転舵させて旋回している。前輪を転舵させると、前輪が向いている方向と実際に車両が向いている方向とがずれ、その角度(スリップ角)の分だけタイヤがスリップしながら回転している。このスリップ角によってタイヤ接地面に抵抗(コーナリング抵抗)が発生し、このコーナリング抵抗によって進行方向に対して垂直方向にコーナリングフォースが発生する。このコーナリングフォースが旋回力となり、車両が旋回する。
しかしながら、車輪(タイヤ)を転舵させて車両を旋回させる場合、旋回する毎にコーナリング抵抗が発生するので、この抵抗によって駆動力がロスする。また、転舵時にタイヤがフェンダと干渉することを避けるためにフェンダを半円状に切り欠いているので、その切り欠き部分に空気が入り込み、その入り込んだ空気が乱流となって空気抵抗が発生する。これらが要因となって、燃費が悪化する。さらに、タイヤを転舵させる分のスペースを確保するために、タイヤハウスがエンジンルームやキャビン内に大きく張り出る構造となるので、エンジンルームやキャビンのスペースが制限される。また、車輪を転舵させて旋回すると遠心力によって車両の外輪側が沈み込むロールが発生するので、そのロールを抑制するために、スタビライザやアブソーバなどのサスペンションの各種チューニングが必要となる。そこで、特許文献1には、右輪と左輪とで車輪の半径を異ならせることによって、車両を旋回させる車両の挙動制御装置が開示されている。この車両の挙動制御装置では、アクチュエータによってインナホイール及びアウタホイールのうちの少なくとも一方を車両幅方向にスライドさせることによってリム幅を変化させ、車輪の半径を変化させる。
特願2005−360667号
上記した車両の挙動制御装置は、インナホイール又は/及びアウタホイールをスライドさせるために、ホイール内に軸送出機構部が設けられている。軸送出機構部は、アウタホイールやインナホイールに連結する軸を車幅方向に沿って伸縮させるために、モータ、減速機構、ラックピニオン機構などを備えている。そのため、軸送出機構部は、その体積が大きくなり、ホイール内の大きなスペースを占める。しかし、ホイール内には、ブレーキ機構やインホイールモータ式駆動車の場合にはインホイールモータが配置され、これらブレーキ機構などを配置するための大きなスペースも必要となる。したがって、ホイール内に軸送出機構部とブレーキ機構などを全て配置できない可能性があり、全て配置できた場合でも小型化するためにブレーキ機構などの性能を低下させる必要がある。
そこで、本発明は、リム幅を変化させるためにインホイール又は/及びアウタホイールをスライドさせる車輪においてホイール内に十分なスペースを確保することができる車両の挙動制御装置及び車輪を提供することを課題とする。
本発明に係る車両の挙動制御装置は、左右輪の半径を設定する半径設定手段と、車両幅方向の内側に配置されるインナホイールと外側に配置されるアウタホイールからなるホイールと、インナホイールのリムとアウタホイールのリムにそれぞれ結合される空気タイヤと、インナホイール及びアウタホイールのうちの少なくとも一方を車両幅方向にスライドさせるアクチュエータとを備え、アクチュエータは、ホイールのスライド部分に配置され、半径設定手段で設定した半径に応じてアクチュエータを駆動し、インナホイール及びアウタホイールのうちの少なくとも一方をスライドさせてリム幅を変化させ、左輪又は/及び右輪の半径を変化させることを特徴とする。
この挙動制御装置の車輪は、ホイールがインナホイールとアウタホイールからなり、インナホイール及びアウタホイールの少なくとも一方が車両幅方向にスライド可能な構造となっている。また、この車輪は、空気タイヤがインナホイールのリムとアウタホイールのリムにそれぞれ結合している。したがって、この車輪では、アクチュエータによってインナホイール又は/及びアウタホイールの少なくとも一方をスライドさせることによって、ホイールのリム幅が変化し、リム幅の変化に応じて空気タイヤの幅が変化する。空気タイヤの幅が変化すると、空気タイヤの高さが変化するので、車輪の半径が変化する。挙動制御装置では、半径設定手段により、車両の旋回、車両の走行状況、車両の積載状況、路面状況などに応じて左右輪の半径を設定する。例えば、車両を旋回する場合、車輪の半径を左右輪で差を設けることにより、左右輪が同一の回転速度で回転するなら、半径を小さくした側の車輪が内輪、大きくした側の車輪が外輪となって車両が旋回する。そして、挙動制御装置では、半径変更手段により設定した各車輪の半径に応じてアクチュエータを駆動し、インナホイール及びアウタホイールのうちの少なくとも一方をスライドさせてホイールのリム幅を変化させ、各車輪の半径を変化させる。このように、この挙動制御装置では、ホイールのリム幅を変化させることにより、タイヤの偏平率を変化させ、車輪の半径を変更する。これを車両旋回に適用することにより、車輪を転舵させずに、車両を旋回させることが可能となる。特に、挙動制御装置の車輪では、アクチュエータがインナホイールとアウタホイールとがスライドする部分(外周側や内周側)に配置される。したがって、ホイールの内部には、スライドさせるためのアクチュエータを配置しなくてよいので、十分なスペースが確保されることになる。その結果、この挙動制御装置では、ホイールの内部に高性能な(大型の)ブレーキ機構やインホイールモータを配置することができ、車両としての性能を向上させることができる。
本発明の上記車両の挙動制御装置では、アクチュエータは、ホイールのスライド部分の外周側に配置されると好適である。
この挙動制御装置の車輪では、アクチュエータがインナホイールとアウタホイールとがスライドする部分の外周側に配置される。ホイールの外周側は、空気タイヤの内部空間となり、十分なスペースがある。したがって、ホイールの外周側には、高性能な(大型の)アクチュエータやインホイールモータとアウタホイールとのスライドを高精度に行うための各種機構(減速機構、ねじ機構、ラックピニオン機構など)を配置することが可能である。その結果、この挙動制御装置では、インホイールモータとアウタホイールとのスライド性能を向上させることができる。
本発明の上記車両の挙動制御装置では、車両の旋回量を設定する旋回量設定手段を備え、旋回量設定手段で設定した旋回量が小さいときより大きいときに旋回内輪の半径に対する旋回外輪の半径を大きくする構成としてもよい。
この挙動制御装置では、旋回量設定手段により車両の旋回量を設定する。この旋回量としては、例えば、運転者のステアリング操作による操舵量、自動操舵による操舵量、レーンキープによる操舵量、車両挙動を安定化させるための操舵量である。そして、挙動制御装置では、旋回方向側の車輪を旋回内輪、他方側の車輪を旋回外輪として、旋回量が大きいほど旋回内輪の半径に対する旋回外輪の半径を大きくするような各車輪の半径を設定する。このように、挙動制御装置では、設定した旋回量に応じて旋回内輪と旋回外輪の相対的な半径比を制御することにより、車輪を転舵させずに目標とする旋回量分だけ車両を旋回させることができる。
本発明の上記車両の挙動制御装置では、アクチュエータを、超音波モータで構成してもよい。
この挙動制御装置では、アクチュエータとして超音波モータ(例えば、超音波リニアモータ、超音波回転モータ)を用いることにより、スライド時には低速で高推力を得ることができるとともに静止時には優れた安定性(位置決め性)を得ることができ、また、電磁ノイズも発生しない。例えば、超音波リニアモータを適用した場合、圧電素子で発生した超音波振動により弾性体を波状に振動させ、その波状の振動により弾性体をアウタホイールに押し付けることでアウタホイールに対して直線運動を直接与えることができる。
本発明の上記車両の挙動制御装置では、アクチュエータとホイールとの間に減速機構を設ける構成としてもよい。
この挙動制御装置では、アクチュエータとホイールとの間に減速機構を設けることにより、アクチュエータの回転を減速機構によって減速してインホイールモータ又は/及びアウタホイールに伝達するので、インホイールモータ又は/及びアウタホイールを高精度にスライドさせることができる。
本発明の上記車両の挙動制御装置では、アクチュエータとホイールとの間にねじ機構を設ける構成としてもよい。
この挙動制御装置では、アクチュエータとホイールとの間にねじ機構を設けることにより、アクチュエータの回転をねじ機構によって調整でき、インホイールモータ又は/及びアウタホイールを高精度にスライドさせることができる。
本発明に係る車輪は、車両幅方向の内側に配置されるインナホイールと外側に配置されるアウタホイールからなるホイールと、インナホイールのリムとアウタホイールのリムにそれぞれ結合される空気タイヤと、インナホイール及びアウタホイールのうちの少なくとも一方を車両幅方向にスライドさせるアクチュエータとを備え、アクチュエータは、ホイールのスライド部分に配置され、アクチュエータを駆動してインナホイール及びアウタホイールのうちの少なくとも一方をスライドさせてリム幅を変化させ、車輪の半径を変化させることを特徴とする。さらに、本発明の上記車輪では、アクチュエータは、ホイールのスライド部分の外周側に配置されると好適である。
この車輪は、上記の車両の挙動制御装置における車輪と同様の構成を有しており、リム幅(タイヤの偏平率)を変化させて車輪半径を変化させることができる車輪であり、さらに、ホイール内部のスペースが十分に確保された車輪である。したがって、この車輪は、上記した車両の挙動制御装置の車輪として適用することができ、転舵させずに車両を旋回させることができる車輪としても機能することができる。
本発明は、インナホイール及び/又はアウタホイールをスライドさせるためのアクチュエータをホイールのスライド部分に配置することにより、ホイール内に十分なスペースを確保することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係る車両の挙動制御装置及び車輪の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、本発明を、車両に搭載される挙動制御装置に適用する。本実施の形態に係る挙動制御装置は、全ての車輪においてインナホイールに対してアウタホイールをスライドさせることによってホイールのリム幅が変化し、そのリム幅の変化によって車輪の半径を変更する。そして、本実施の形態に係る挙動制御装置では、各車輪の半径を変更することによって、車両旋回、車両姿勢調整、空力抵抗低減などを行う。本実施の形態には、ホイールのスライド部分の外周側に配設させるスライド機構駆動部の構成の違いにより4つの実施の形態があり、第1の実施の形態がスライド機構駆動部を超音波リニアモータで構成し、第2の実施の形態がスライド機構駆動部をモータとギヤの組み合わせで構成し、第3の実施の形態がスライド機構駆動部を超音波回転モータ及びインホイールモータとのねじ機構で構成し、第4の実施の形態がモータとギヤの組み合わせ及びインホイールモータとのねじ機構で構成する。
なお、車両の駆動方式としては、特に限定するものでなく、例えば、各輪にインホイールモータが設けられるインホイールモータ式の駆動方式、1個のエンジンによる駆動方式、1個のモータによる駆動方式である。
図1〜図5を参照して、第1の実施の形態に係る挙動制御装置1について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る挙動制御装置の構成図である。図2は、第1の実施の形態に係る挙動制御装置の車輪(前輪側)の一部破断正面図である。図3は、本実施の形態に係る右輪側の軸受部内の正面図である。図4は、本実施の形態に係る左右の半径差による旋回の原理図である。図5は、本実施の形態に係る車両旋回時の車両を後方から見た場合の模式図である。
挙動制御装置1では、各車輪の半径を独立して変更することによって、車両旋回など様々な車両の挙動を制御する。そのために、挙動制御装置1では、ホイールがインナホイールとアウタホイールからなり、インナホイールに対してアウタホイールがスライドすることによってホイールのリム幅を変化させ、タイヤの偏平率を変化させる。特に、挙動制御装置1は、ホイール内部のスペースを十分に確保するために、ホイールの外周側にスライド機構駆動部として超音波リニアモータが設けられる。挙動制御装置1は、操舵角センサ2、車速センサ3、ストロークセンサ4、着座センサ5、右前輪6A、左前輪6B、右後輪6C、左後輪6D、左右の車輪間の連結機構及びECU[Electronic Control Unit]7を備えている。
操舵角センサ2は、運転者によって入力されるステアリングホイールの操舵角を検出するセンサである。操舵角センサ2では、検出した操舵角を操舵角信号としてECU7に送信する。この操舵角信号に示される操舵角には、大きさの情報と操舵方向の情報が含まれる。
車速センサ3は、車両の速度を検出するセンサである。車速センサ3では、検出した車速を車速信号としてECU7に送信する。
ストロークセンサ4は、各輪におけるサスペンションのストロークを検出するセンサである。ストロークセンサ4では、検出したストロークをストローク信号としてECU7に送信する。なお、図1には、ストロークセンサ4を1つして描いていないが、各輪にそれぞれ設けられ、ECU7には各輪のストロークセンサ4からのストローク信号がそれぞれ送信される。
着座センサ5は、各座席に人が座っているか否かを検出するセンサである。着座センサ5では、検出した着座情報を着座信号としてECU7に送信する。なお、図1には、着座センサ5を1つして描いていないが、各座席にそれぞれ設けられ、ECU7には各座席の着座センサ5からの着座信号がそれぞれ送信される。
右前輪6A、左前輪6B、右後輪6C、左後輪6Dは、同様の構成を有している。車輪6は、主なものとして、ホイール6a、タイヤ6b、軸受部6c、スライド機構駆動部6gを備えている。車輪6は、軸受部6cで回転自在に支持される。また、車輪6では、スライド機構駆動部6gによってホイール6aのリム幅を変化させることにより、タイヤ6bの断面幅が変化し、その断面幅の変化に応じてタイヤ6bの高さが変化し(したがって、タイヤ6bの偏平率(=タイヤ高さ/タイヤ断面幅)が変化し)、タイヤ6bの外径(車輪径)が変化する。
ホイール6aは、車幅方向の内側に配置されるインナホイール6dと外側に配置されるアウタホイール6eからなる。インナホイール6dは、円形の凹形状であり、凹形状の底部の中央に円形状の孔が形成され、車幅方向の内側にリムを有している。アウタホイール6eは、インナホイール6dより径が若干大きい円形の凹形状であり、凹形状の底部の中央に円形状の孔が形成され、車幅方向の外側にリムを有している。インナホイール6dはアウタホイール6eの内側に嵌め込まれ、インナホイール6dの外周面とアウタホイール6eの内周面とはスプライン機構によって結合されている。そのため、アウタホイール6eはインナホイール6dに対して所定長さスライド可能であり、ホイール6aはリム幅(インナホイール6dのリムとアウタホイール6eのリムとの間隔)が変更可能である。また、インナホイール6dとアウタホイール6eとは、スプライン機構により一体となって同期回転する。
タイヤ6bは、両端のビードがインナホイール6dのリムとアウタホイール6eのリムにそれぞれ結合される。この結合方法としては、例えば、勘合、接着である。タイヤ6bの内部には、複数箇所(例えば、8箇所、16箇所)にその内面に沿って補強材6f,・・・が取り付けられている。補強材6f,・・・は、所定幅を有するヘアバンドのような形状であり、タイヤ6bの周方向に沿って一定間隔毎に配置される。補強材6fは、例えば、樹脂、ワイヤなどで形成される。タイヤ6bは、ホイール6aのリム幅の変化に応じてその断面幅が変化し、断面幅が広がるほどタイヤ高さが低くなり、断面幅が狭くなるほどタイヤ高さが高くなる。このタイヤ6bの形状の変化に応じて、補強材6f,・・・もその形状が変化する。
左右の車輪間の連結機構として前輪における機構について説明するが、後輪も前輪と同様の構成を有している。右前輪6Aと左前輪6Bとは、連結軸6mによって連結されており、同じ回転速度で回転する。また、各前輪6A,6Bは、軸受部6cを備えており、軸受部6cによって連結軸6mが回転自在に支持される。
連結軸6mは、中央連結軸6n、左右の外側連結軸6i,6i及び左右の等速ジョイント6o,6oからなる。中央連結軸6n、外側連結軸6i,6i及び等速ジョイント6o,6oは、前輪6Aと前輪6Bとの間に、同一軸上に配置される。中央連結軸6nは、車体BDに回転自在に取り付けられ、その各端部が左右の等速ジョイント6o,6oの一端部にそれぞれ結合される。各外側連結軸6i,6iは、その一端が等速ジョイント6o,6oの他端部にそれぞれ結合される。等速ジョイント6o,6oは中央連結軸6nと外側連結軸6i,6iとを同じ回転速度で回転させるので(相対回転自由度を規制するので)、中央連結軸6nを介して左右の外側連結軸6i,6iは同じ回転速度で回転する。したがって、連結軸6mは、全域にわたって同じ回転速度で回転する。
なお、1つのエンジンやモータによる駆動方式の車両における駆動輪の場合、連結軸6mがドライブシャフトに相当し、ドライブシャフトが、中央ドライブシャフト、左右の外側ドライブシャフト及び左右の等速ジョイントからなる。そして、エンジンによる駆動力がミッション及びファイナル機構などを介して中央ドライブシャフトに伝達され、中央ドライブシャフトが回転する。中央ドライブシャフトの回転に伴って、左右の等速ジョイントを介して左右の外側ドライブシャフトが同じ回転速度で回転する。したがって、ドライブシャフトは、エンジンの駆動力に応じて、全域にわたって同じ回転速度で回転する。また、インホイールモータ式の駆動方式の場合、各輪のインホイールモータによって左右輪を同じ回転速度に制御することができるので、上記のような左右輪が同一の回転速度で回転するための機構が無くてもよい。
外側連結軸6iは、その他端がボルト形状となっている。また、アウタホイール6eの凹形状の底部の中央に、外側連結軸6iが嵌通する円形状の孔が形成されている。各外側連結軸6i,6iは、その他端が各アウタホイール6e,6eの各孔を嵌通し、各アウタホイール6e,6eにナット6j,6jによってボルト締め固定されている。したがって、左右のアウタホイール6e,6eは、連結軸6mによって連結され、同じ回転速度で回転する。また、外側連結軸6iは、軸受部6cの内部を挿通し、アウタホイール6eの車幅方向に沿ったスライドに応じて車幅方向に伸縮する。
等速ジョイント6oは、ジョイント内のボールベアリングが伸縮方向(車幅方向)にスライドする。これによって、等速ジョイント6oでは、外側連結軸6iの伸縮及び左右の車輪6A,6Bの相対距離の変化(路面外乱やボディの動きによって左右の車輪6A,6Bが動くことによる変化)を吸収する。
軸受部6cは、筒状のケース6v内にベアリング6w、接点ブラシ6y、接点リング6zを備えている。軸受部6cは、インナホイール6dの内側に配置され、内部に外側連結軸6iが挿通する。軸受部6cでは、外側連結軸6iを回転自在に支持するとともに、ECU7からスライド機構駆動部6gへの電気的な配線の接続点となる。
ベアリング6wは、ケース6v内の車幅方向の両端に2個配置される。各ベアリング6wのインナレースには、外側連結軸6iが挿入され、外側連結軸6iが取り付けられる。したがって、外側連結軸6iは、回転自在である。
接点ブラシ6yの一端には、ECU7に繋がるワイヤハーネス6sの電線6xが接続される。接点ブラシ6yの他端は、接点リング6zの外周部に接触する位置に配置され、外側連結軸6iが回転しているときでも常に接点リング6zの外周部に接触する。接点ブラシ6yは、軸受部6cに対して固定され、軸受部6c内での位置は一定である。接点リング6zは、円筒形状であり、外側連結軸6iの外周面に取り付けられる。したがって、接点リング6zは、外側連結軸6iの移動に伴って車幅方向に沿って移動するとともに外側連結軸6iの回転に伴って回転し、軸受部6c内での車幅方向の位置が変動する。そこで、接点リング6zは、外側連結軸6iが車幅方向に移動した場合でも接点ブラシ6yが常に接触するように、車幅方向に十分な長さを有している。また、接点ブラシ6yには、外側連結軸6i内を挿通する電線6tの一端が接続されている。この電線6tは、外側連結軸6i内を通り、外側連結軸6iの端部から出てアウタホイール6eの凹形状の底部内を通って(あるいはアウタホイール6eに内面側に沿って)スライド機構駆動部6gまで延びる。
したがって、ECU7からの制御電圧(制御電流)は、電線6x、接点ブラシ6y、接点リング6z、電線6tの順に伝わってスライド機構駆動部6gに供給される。超音波リニアモータの場合、90°の位相差を持った2つの制御電圧を供給する必要があるので、スライド機構駆動部6g毎に電線6x、接点ブラシ6y、接点リング6z、電線6tが2セット必要となる。例えば、車輪6に5個のスライド機構駆動部6gを設ける場合、10セット必要となる。ちなみに、他の実施の形態で用いるモータ、超音波リニアモータの場合、スライド機構駆動部毎に電線6x、接点ブラシ6y、接点リング6z、電線6tが1セット必要となり、各車輪にはスライド機構駆動部の数に応じたセットが必要となる。
また、軸受部6cのケース6vは、その外周部6kが車幅方向の外側に向けて突出している。外周部6kは、インナホイール6dの中央の孔まで延び、インナホイール6dにベアリング6lを介して取り付けられている。したがって、インナホイール6dは、軸受部6cに対して位置が移動しないが、軸受部6cに対して回転自在である。
軸受部6cの車幅方向の内端部には、サスペンションのアブソーバABの一端部が取り付けられるとともに、ロアアームLAの一端部が取り付けられている。アブソーバABの他端部及びロアアームLAの他端部は、車体BDに取り付けられている。したがって、軸受部6c(ひいては、インナホイール6d)は、アブソーバABやロアアームLAを介して車体BDに取り付けられている。
スライド機構駆動部6gは、超音波リニアモータ6p及び保持部6uを備えている。スライド機構駆動部6gでは、保持部6uによって超音波リニアモータ6pをアウタホイール6eに押さえ付けた状態で、超音波リニアモータ6pによってアウタホイール6eをインナホイール6dに対してスライド移動させる。スライド機構駆動部6gは、車輪6毎に、少なくとも2個(好ましくは、5個程度)設けられる。そして、複数個のスライド機構駆動部6gは、ホイール6aの外周側(タイヤ6bの内部)に等間隔で配置される。このように等間隔で複数個設けるのは、アウタホイール6eをインナホイール6dに対して全周にわたって均等(平行)にスライド移動させるためである。ちなみに、スライド機構駆動部6gが1個の場合、1点でアウタホイール6eをスライド移動させることになり、アウタホイール6eがインナホイール6dに対して全周にわたって均等にスライド移動しない場合がある。
超音波リニアモータ6pは、弾性体6qと圧電アクチュエータ(圧電素子)6r,6rを備えている。弾性体6qは、コ字形状であり、そのコ字形状の2本の脚部がアウタホイール6eの外周面上に接触するように配置される。弾性体6qは、保持部6uによって押圧され、アウタホイール6eに押し付けられる。保持部6uは、一方側の脚部が短いコ字形状であり、一方側の脚部が弾性体6qの胴部の外面に固定され、他方側の脚部がインナホイール6dの外周面に固定される。したがって、弾性体6qは、保持部6uによって位置決めされ、インナホイール6dに対して位置固定される。
圧電アクチュエータ6r,6rは、弾性体6qの2つの角部に取り付けられる。圧電アクチュエータ6r,6rには、電線6t,6tが接続され、ECU7からの制御電圧が供給される。2つの圧電アクチュエータ6r,6rに90°位相の異なる所定の電圧がそれぞれ供給されると、2つの圧電アクチュエータ6r,6rでは異なる方向の超音波振動が発生する。この異なる方向の超音波振動によって、弾性体6qの2本の脚部が異なる方向の伸縮運動を行う(波状の振動が発生する)。この波状の振動が弾性体6qの2本の脚部とアウタホイール6eとの間の摩擦力で直線運動に変換され、アウタホイール6eがインナホイール6dに対してスライド移動する。このように、電圧供給時には保持部6uに押さえ付けられている弾性体6qに対してアウタホイール6eがスライド移動し、電圧非供給時には保持部6uに押さえ付けられている弾性体6qを介してアウタホイール6eが固定される。
アウタホイール6eがインナホイール6dに対して車幅方向の外側にスライド移動すると、ホイール6aのリム幅が広がってタイヤ6bの高さが低くなる。一方、アウタホイール6eがインナホイール6dに対して車幅方向の内側にスライド移動すると、ホイール6aのリム幅が狭まってタイヤ6bの高さが高くなる。このアウタホイール6eのスライド移動に応じて外側連結軸6iが車幅方向に伸縮する。この際、外側連結軸6iの伸縮を、等速ジョイント6oが吸収する。
ECU7は、CPU[Central ProcessingUnit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、モータ駆動回路などからなる電子制御ユニットである。ECU7では、操舵角センサ2などの各種センサが接続され、一定時間毎に各種センサからの検出信号を取り入れる。そして、ECU7では、各検出信号に基づいて車両旋回制御、高速走行制御、路面状況制御、積載状況制御、モータ駆動制御などの制御を行い、車輪6A,6B,6C,6Dの各超音波リニアモータ6pを駆動制御する。なお、第1の実施の形態では、ECU7における各処理が特許請求の範囲に記載する半径設定手段、旋回量設定手段に相当する。
車両旋回制御について説明する。図4に示すように、円錐台形状(例えば、紙コップ)のものを倒して転がした場合、左右の径の差により、径が小さい方側に旋回してゆく。車両旋回制御では、この原理を利用し、操作角の操舵方向に応じて旋回外輪の径を旋回内輪の径より大きくし、操舵角の大きさが大きくなるほどこの左右輪の径の差が大きくなるような制御を行う。
具体的には、ECU7では、操舵角信号に示される操舵角に基づいて、直進(操舵角が0又はほぼ0)かあるいは旋回かを判定する。直進と判定した場合、ECU7では、全ての車輪6A,6B,6C,6Dの半径が同一となるリム幅を設定し、全ての車輪6A,6B,6C,6Dのリム幅が設定したリム幅となるような各超音波リニアモータ6pの制御電圧をそれぞれ設定する。直進時には、通常、図2の破線で示すように、比較的小さい車輪半径を設定する(比較的広いリム幅を設定する)。この車輪半径は、走行時の基準となり、旋回時には旋回内輪がこの車輪半径となる。なお、この直進時の車輪半径は車速などによって予め求められており、ECU7内に保持しているマップなどから設定する。なお、各車輪6には複数の超音波リニアモータ6pが設けられるが、同一の車輪の超音波リニアモータ6pには同じ制御電圧が設定され、90°の位相差を持った2つの制御電圧からなる。
旋回と判定した場合、ECU7では、操舵角信号に示される操舵角から旋回方向を判定し、その旋回外輪となる前後の車輪6,6の半径を操舵角の大きさに応じて設定する。そして、ECU7では、その設定した半径となるリム幅を設定し、旋回外輪となる車輪6,6のリム幅が設定したリム幅となるような各超音波リニアモータ6pの制御電圧をそれぞれ設定する。旋回時には、旋回内輪のリム幅は直進時のリム幅に固定する。また、旋回外輪となる前後の車輪6,6の半径は、操舵角が大きいほど大きい値が設定される。旋回時には、図2の実線で示すように、旋回外輪に対して比較的大きい車輪半径を設定する(比較的狭いリム幅を設定する)。なお、この旋回時の旋回外輪の半径は直進時のリム幅及び操舵角に応じて予め求められており、ECU7内に保持しているマップなどから設定する。
旋回外輪の径を旋回内輪の径より大きくすることによって旋回する場合、図5に示すように、車体は旋回内側に傾く理想的なロールとなり、車両が安定する。また、旋回時、タイヤを転舵させないので、スリップ角が発生しない。そのため、タイヤ接地面においてコーナリング抵抗が0かあるいはほぼ0となっている。
高速走行制御について説明する。高速走行時には車両の重心高を低下し、空気抵抗を低減して高速走行性能を向上させることが望ましい。そこで、高速走行制御では、高速走行時には全ての車輪6A,6B,6C,6Dの径を小さくし、車高を低くする。したがって、高速走行時には、通常の直線走行時の比較的小さい車輪半径から更に小さい車輪半径(偏平率)となる。具体的には、ECU7では、車速信号に示される車速に基づいて高速走行か否かを判定し、高速走行と判定した場合には車速に応じて全ての車輪6A,6B,6C,6Dの半径を設定する。そして、ECU7では、その設定した半径となるリム幅を設定し、全ての車輪6A,6B,6C,6Dのリム幅が設定したリム幅となるような各超音波リニアモータ6pの制御電圧をそれぞれ設定する。高速走行時には、車輪6A,6B,6C,6Dの半径は、車速が高くなるほど小さい値が設定される。なお、この車速に応じた車輪半径は予め求められており、ECU7内に保持しているマップなどから設定する。
路面状況制御について説明する。凹凸の多い路面では乗心地が悪化するので、乗心地を向上させることが望ましい。逆に、フラットな路面では乗心地が悪化しないので、操縦安定性や動力性を向上させることが望ましい。そこで、路面状況制御では、凹凸の多い路面では全ての車輪6A,6B,6C,6Dの径を大きくし、タイヤの偏平率を大きくし、凹凸の少ない路面では全ての車輪6A,6B,6C,6Dの径を小さくし、タイヤの偏平率を小さくする。具体的には、ECU7では、各車輪のストローク信号に示されるストロークから4つの車輪間でストロークの差が閾値以上か否かを判定し、閾値以上の差がある場合には凹凸の多い路面と判定する。凹凸の多い路面と判定した場合、ECU7では、ストロークの差に応じて偏平率を設定し、全ての車輪6A,6B,6C,6Dの半径をその設定した偏平率となるように設定する。そして、ECU7では、その設定した半径となるリム幅を設定し、全ての車輪6A,6B,6C,6Dのリム幅が設定したリム幅となるような各超音波リニアモータ6pの制御電圧をそれぞれ設定する。ストロークの差が閾値未満の場合には、凹凸が少ない路面なので、直進時の比較的小さい車輪半径(偏平率)に固定される。なお、この偏平率は車輪間のストロークの差などに応じて予め求められており、ECU7内に保持しているマップなどから設定する。
積載状況制御について説明する。各座席に人が座っている場合と座っていない場合には、車両姿勢が変化し、座っている位置近傍が少し沈み込む。そこで、積載状況制御では、座席に座っている位置に対応する車輪の半径を一定量大きし、車両姿勢を調整する。具体的には、ECU7では、各座席に対応する着座信号に示される着座情報から人が座っている座席に対応する車輪を判定し、その判定した車輪の半径を一定量大きくした半径に設定する。そして、ECU7では、その判定した車輪に対して設定した半径となるリム幅を設定し、その判定した車輪のリム幅が設定したリム幅となるような各超音波リニアモータ6pの制御電圧をそれぞれ設定する。
モータ駆動制御について説明する。各超音波リニアモータ6pの制御電圧をそれぞれ設定すると、ECU7では、モータ駆動回路で各制御電圧をそれぞれ発生し、各制御電圧を電線6xからそれぞれ供給する。この際、実際の電圧などを検出し、設定した制御電圧になるようにフィードバック制御を行ってもよい。
図1〜図3を参照して、挙動制御装置1の動作について説明する。ここでは、車両が直進から運転者のステアリング操作に応じて右旋回する場合の挙動制御装置1における動作について説明する。
直進時、挙動制御装置1では、全ての車輪6A,6B,6C,6Dに対して比較的小さい半径を設定し、その設定した半径になるために必要なリム幅に調整している(図2の破線参照)。このとき、各車輪6A,6B,6C,6Dでは、各超音波リニアモータ6pがアウタホイール6eのブレーキとして作用するとともに各保持部6uが超音波リニアモータ6pを介してアウタホイール6eを押さえ付けているので、アウタホイール6eはインナホイール6dに対して強固に位置決めされている。したがって、車両は、右輪6A,6Cと左輪6B,6Dとが同一の比較的小さい半径となっており、直進走行する。このとき、運転者が、ステアリングホイールを時計周り操作する。すると、ステアリングホイールの操舵角が0から変化してゆく。操舵角センサ2では、ステアリングホイールの操舵角を検出し、その検出値を操舵角信号としてECU7に送信している。この検出される操舵角の大きさは、ステアリングホイールの操作量に応じて0から大きくなり、変化する。
ECU7では、一定時間毎に、操舵角センサ2からの操舵角信号を受信し、運転者の操作に応じた操舵角を取得する。そして、ECU7では、取得した操舵角に基づいて直進かあるいは旋回かを判定する。操舵角は0から大きくなっているので、ECU7では、旋回中と判定し、取得した操舵角から操舵方向を右方向と判定する。そして、ECU7では、右操舵方向から旋回内輪を右車輪6A,6C、旋回外輪を左車輪6B,6Dと判別し、その旋回外輪6B,6Dの半径を操舵角の大きさに応じて設定する。旋回中、この設定される半径は、操舵角の大きさが大きくなるのに応じて大きくなり、小さくなるに応じて小さくなる。そして、ECU7では、その設定した半径に応じてリム幅を設定し、設定したリム幅となるために必要な制御電圧を設定する。さらに、ECU7では、モータ駆動回路から設定した各制御電圧をそれぞれ出力する。この各制御電圧は、電線6x、接点ブラシ6y、接点リング6z、電線6tを通って、旋回外輪6B,6Dの各超音波リニアモータ6p(圧電アクチュエータ6r,6r)にそれぞれ供給される。この際、旋回内輪6A,6Cの各超音波リニアモータ6pには制御電圧が供給されない。
旋回外輪6B,6Dにおける各超音波リニアモータ6pでは、供給された90°の位相差を持つ2つの電圧に応じた波状の振動を発生する。このとき、超音波リニアモータ6pは保持部6uによって位置固定されているので、この波状の振動によってアウタホイール6eが直線運動する。このアウタホイール6eの直線運動は、操舵角の大きさが大きくなってゆく場合には車幅方向の内側に移動し、小さくなってゆく場合には車幅方向の外側に移動する。この直線運動によって、アウタホイール6eがインナホイール6dに対してスライド移動する。このアウタホイール6eのスライド移動によって、旋回外輪6B,6Dの各ホイール6aのリム幅が直進時より狭くなり、旋回外輪6B,6Dの半径が大きくなる。旋回外輪6B,6Dの半径は、操舵角の大きさが大きいほど大きくなる。この際、旋回内輪6A,6Cの半径は、直進時の半径に固定される。
旋回外輪6B,6Dの半径が直進時より大きくなることにより、旋回内輪6A,6Cの半径と旋回外輪6B,6Dの半径とに差が生じる。この左右輪の半径の差によって、車両は旋回内輪6A,6Cの方向に旋回する。この際、左右輪の半径の差が大きくなるほど、旋回半径が小さくなる。
この挙動制御装置1によれば、アウタホイール6eをスライド移動させるためのスライド機構駆動部6gをホイール6aの外周側(タイヤ6b内)に配置させることにより、ホイール6aの内部のスペースを確保することができる。そのため、ホイールの内部に高性能な(大型の)ブレーキ機構やインホイールモータを配置することができ、車両としての性能を向上させることができる。特に、挙動制御装置1では、スライド機構駆動部6gとして超音波リニアモータ6pを適用することにより、スライド移動時には低速で高推力を得ることができるとともに静止時には優れた安定性(位置決め性)を得ることができ、また、電磁ノイズも発生しない。
また、この挙動制御装置1によれば、インナホイール6dに対してアウタホイール6eをスライド移動させる簡単な構成によって、走行中、停止中に関係なく、ホイール6aのリム幅を任意に変更できる。これによって、タイヤ6bの高さ(偏平率)を任意に変更することができ、車輪6の径を変更することができる。特に、挙動制御装置1では、旋回内輪の半径と旋回外輪の半径とに差を設けることにより、車輪を転舵させずに車両を旋回させることができる。そのため、スリップ角が無くなり、タイヤ接地面におけるコーナリング抵抗が無くなるかあるいはかなり小さくなるので、走行中の旋回頻度の多さを考慮すると、大いに燃費が向上する。また、タイヤハウスにおけるタイヤの転舵分のエンジンルームやキャビンへの張り出しスペースが不要となるので、エンジンルームやキャビンの自由度が大きくなる。さらに、ステアリングホイールの回転を車輪に伝達するステアリング機構が不要となるので、そのスペースが不要となり、車両重量も軽減できる。これら不要になったスペース分を車両の縮小に利用することにより、車幅を縮小でき、空気抵抗を低減し、燃費も向上する。また、フェンダを半円状に切り欠く必要もなくなり、空気抵抗を低減し、ボディデザインの自由度も拡大する。さらに、車体は旋回内側に傾く理想的なロールとなるので、スタビライザが不要となり、サスペンションチューニングの自由度も拡大する。
図6、図7及び図3を参照して、第2の実施の形態に係る挙動制御装置11について説明する。図6は、第2及び第4の実施の形態に係る挙動制御装置の構成図である。図7は、第2の実施の形態に係る挙動制御装置の車輪(前輪側)の一部破断正面図である。挙動制御装置11では、第1の実施の形態に係る挙動制御装置1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
挙動制御装置11では、第1の実施の形態に係る挙動制御装置1と比較すると、スライド機構駆動部の構成が異なる。具体的には、挙動制御装置11は、スライド機構駆動部としてモータ、減速機構、ラックピニオン機構を備え、制御についてはモータに対する駆動制御を行う。挙動制御装置11は、操舵角センサ2、車速センサ3、ストロークセンサ4、着座センサ5、右前輪16A、左前輪16B、右後輪16C、左後輪16D、左右の車輪間の連結機構及びECU17を備えている。以下の説明では、車輪のスライド機構駆動部以外の構成について第1の実施の形態と同様なので、スライド機構駆動部及びそのスライド機構駆動部に対する駆動制御について詳細に説明する。
スライド機構駆動部16gは、モータ16a、減速機構16b、ラックピニオン機構(ピニオンギヤ16c、ラックギヤ16d)及び保持部16eを備えている。スライド機構駆動部16gでは、保持部16eによってモータ16a、減速機構16b及びピニオンギヤ16cをラックギヤ16dに押さえ付けた状態で、モータ16aの回転を減速機構及びラックピニオン機構を介して伝達することによってアウタホイール6eをインナホイール6dに対してスライド移動させる。スライド機構駆動部16gも、第1の実施の形態と同様に、車輪6毎に、ホイール6aの外周側(タイヤ6bの内部)に等間隔で少なくとも2個設けられる。
アウタホイール6eの外周面には、ラックギヤ16dが刻設されている。そして、アウタホイール6eの外周側には、ラックギヤ16dに噛み合うピニオンギヤ16cが配置される。ピニオンギヤ16cには、減速機構16bを介してモータ16aが接続される。モータ16aには、電線6tが接続され、ECU17からの制御電流が供給される。
モータ16a、減速機構16b及びピニオンギヤ16cは、ケース(図示せず)に収納されている。このケースは、アウタホイール6eの外周面上に配置され、アウタホイール6e側の一部が開口してピニオンギヤ16cの一部が突出している。また、このケースは、保持部16eによって押圧され、アウタホイール6eに押し付けられる。保持部16eは、第1の実施の形態の保持部6uと同様の保持部である。したがって、モータ16a、減速機構16b及びピニオンギヤ16cは、保持部16eによって位置決めされ、インナホイール6dに対して位置固定される。
モータ16aに所定の電流がそれぞれ供給されると、モータ16aが回転する。モータ16aの回転は、減速機構16bを介して減速されてピニオンギヤ16cに伝達され、ピニオンギヤ16cを回転させる。ピニオンギヤ16cの回転は、ラックギヤ16dに伝達され、ラックピニオン機構によって回転運動を直線運動に変換し、アウタホイール6eがインナホイール6dに対してスライド移動する。このように、電流供給時には保持部16eに押さえ付けられているピニオンギヤ16cに対してアウタホイール6eがスライド移動し、電流非供給時には保持部16eに押さえ付けられているピニオンギヤ16cを介してアウタホイール6eが固定される。
ECU17は、第1の実施の形態と比較すると、超音波リニアモータ6pに代わりにモータ16aの駆動制御を行う点で異なる。そこで、この点についてのみ説明する。車両旋回制御、高速走行制御、路面状況制御、積載状況制御では、各車輪6のリム幅を設定すると、その設定したリム幅となるような各モータ16aの制御電流をそれぞれ設定する。各モータ16aの制御電流をそれぞれ設定すると、モータ駆動制御では、モータ駆動回路で各制御電流をそれぞれ発生し、各制御電流を電線6xからそれぞれ供給する。この際、実際の電流などを検出し、設定した制御電流になるようにフィードバック制御を行ってもよい。
図6、図7及び図3を参照して、挙動制御装置11の動作について説明する。ここでは、車両が直進から運転者のステアリング操作に応じて右旋回する場合の挙動制御装置11における動作について説明する。運転者のステアリング操作に応じた各車輪6のリム幅を設定するまでの動作について第1の実施の形態と同様の動作を行うので、それ以降の動作について説明する。
各車輪6のリム幅を設定すると、ECU17では、設定したリム幅となるために必要な制御電流を設定する。さらに、ECU17では、モータ駆動回路から設定した各制御電流をそれぞれ出力する。この各制御電流は、電線6x、接点ブラシ6y、接点リング6z、電線6tを通って、旋回外輪16B,16Dの各モータ16aにそれぞれ供給される。この際、旋回内輪16A,16Cの各モータ16aには制御電流が供給されない。
旋回外輪16B,16Dにおける各モータ16aは、供給された電流に応じたモータトルクを発生し、回転駆動する。このモータ16aの回転は、減速機構16bを介してピニオンギヤ16cに伝達され、ピニオンギヤ16cを回転させる。このピニオンギヤ16cの回転は、ラックギヤ16dに伝達される。このとき、ピニオンギヤ16cは保持部16eによって位置固定されているので、ラックギヤ16d(ひいては、アウタホイール6e)が車幅方向に沿って移動する。このアウタホイール6eの移動は、操舵角の大きさが大きくなってゆく場合には車幅方向の内側に移動し、小さくなってゆく場合には車幅方向の外側に移動する。このアウタホイール6eの移動によって、アウタホイール6eがインナホイール6dに対してスライド移動する。このアウタホイール6eのスライド移動によって、旋回外輪16B,16Dの各ホイール6aのリム幅が直進時より狭くなり、旋回外輪16B,16Dの半径が大きくなる。そして、第1の実施の形態と同様に、旋回外輪16B,16Dの半径が直進時より大きくなることにより、旋回内輪16A,16Cの半径と旋回外輪16B,16Dの半径とに差が生じ、この左右輪の半径の差によって車両は旋回内輪16A,16Cの方向に旋回する。
この挙動制御装置11によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するが、スライド機構駆動部16gの構成が異なるのでその点でのみ異なる効果を奏する。挙動制御装置11では、スライド機構駆動部16gとしてモータ16a、減速機構16b、ラックピニオン機構を適用することにより、減速機構16bによってアウタホイール6eを高精度にスライド移動させることができ、ラックピニオン機構によるギヤの噛み合いによってガタを抑制でき、位置決め精度も向上する。
図8、図9及び図3を参照して、第3の実施の形態に係る挙動制御装置21について説明する。図8は、第3の実施の形態に係る挙動制御装置の構成図である。図9は、第3の実施の形態に係る挙動制御装置の車輪(前輪側)の一部破断正面図である。挙動制御装置21では、第1の実施の形態に係る挙動制御装置1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
挙動制御装置21では、第1の実施の形態に係る挙動制御装置1と比較すると、スライド機構駆動部の構成が異なる。具体的には、挙動制御装置21は、スライド機構駆動部として超音波回転モータ、ねじ機構を備え、制御については超音波回転モータに対する駆動制御を行う。挙動制御装置21は、操舵角センサ2、車速センサ3、ストロークセンサ4、着座センサ5、右前輪26A、左前輪26B、右後輪26C、左後輪26D、左右の車輪間の連結機構及びECU27を備えている。以下の説明では、車輪のスライド機構駆動部以外の構成について第1の実施の形態と同様なので、スライド機構駆動部及びそのスライド機構駆動部に対する駆動制御について詳細に説明する。
スライド機構駆動部26gは、超音波回転モータ26a、ねじ機構(回転ワッシャ26d、ねじ部26e)を備えている。スライド機構駆動部26gでは、超音波回転モータ26aによって回転ワッシャ26dを回転させ、回転ワッシャ26dの回転によってねじ機構を介してアウタホイール6eをインナホイール6dに対してスライド移動させる。スライド機構駆動部16gも、第1の実施の形態と同様に、車輪6毎に、ホイール6aの外周側(タイヤ6bの内部)に等間隔で少なくとも2個設けられる。なお、スライド機構駆動部26gではねじ機構によってアウタホイール6eをインナホイール6dに対して全周にわたって均等にスライド移動させることができるので、スライド機構駆動部26gが車輪6毎に1個でもよい。
超音波回転モータ26aは、弾性体26bと圧電アクチュエータ(圧電素子)26cを備えている。弾性体26b及び圧電アクチュエータ26cはアウタホイール6eの外周面上に固定され、弾性体26bの一面側(車幅方向の外側)に圧電アクチュエータ26cが配置される。圧電アクチュエータ26cには、電線6tが接続され、ECU27からの制御電圧が供給される。
回転ワッシャ26dは、ホイール6aと同じ中心軸である円環形状であり、断面がヒ字形状である。回転ワッシャ26dは、ホイール6aに勘合する内径を有し、一方側(車幅方向の外側)の短い脚部と他方側(車幅方向の内側)の長い脚部との間で係止部26fを挟む位置に配置される。係止部26fは、ホイール6aと同じ中心軸である円環形状であり、断面が長方形状である。係止部26fは、アウタホイール6eの外周面上の車幅方向の内端部に取り付けられ、回転ワッシャ26dを位置決めするとともに回転ワッシャ26dの移動に応じてアウタホイール6eを移動させる。この係止部26fによる位置決めによって、回転ワッシャ26dの胴部の先端が弾性体26bの他面側(車幅方向の内側)に接触し、回転ワッシャ26dの他方側の長い脚部がインナホイール6dの外周面上に位置する。
回転ワッシャ26dの他方側の長い脚部の先端面は、ねじ部26eまで延び、ねじ部26eに噛み合う雌ねじが刻設されている。ねじ部26eは、インナホイール6dの外周面の全周にわたって刻設された雄ねじである。これによって、ねじ部26eと回転ワッシャ26dとは、ねじ機構を構成し、勘合する。したがって、ねじ部26eと回転ワッシャ26dとは、ボルトとナットの関係になり、回転ワッシャ26dが回転すると回転ワッシャ26dがねじ部26e(ひいては、インナホイール6d)に沿って移動する。
圧電アクチュエータ26cに所定の高周波電圧が供給されると、圧電アクチュエータ26cでは超音波振動が発生する。この超音波振動が弾性体26bに伝わり、弾性体26bの他面側には波状の振動が発生する。この波状の振動によって、回転ワッシャ26dが回転する。回転ワッシャ26dが回転すると、ねじ機構によって回転運動が直線運動に変換され、回転ワッシャ26dがねじ部26eで送られ、回転ワッシャ26dが車幅方向に移動する。回転ワッシャ26dが車幅方向の外方に移動する場合、回転ワッシャ26dの他方側の長い脚部が係止部26fを押圧してアウタホイール6eがインナホイール6dに対して車幅方向の外方にスライド移動する。一方、回転ワッシャ26dが車幅方向の内方に移動する場合、回転ワッシャ26dの一方側の短い脚部が係止部26fを押圧してアウタホイール6eがインナホイール6dに対して車幅方向の内方にスライド移動する。
ECU27は、第1の実施の形態と比較すると、超音波リニアモータ6pに代わりに超音波回転モータ26aの駆動制御を行う点で異なる。そこで、この点についてのみ説明する。車両旋回制御、高速走行制御、路面状況制御、積載状況制御では、各車輪6のリム幅を設定すると、その設定したリム幅となるような各超音波回転モータ26aの制御電圧をそれぞれ設定する。各超音波回転モータ26aの制御電圧をそれぞれ設定すると、モータ駆動制御では、モータ駆動回路で各制御電圧をそれぞれ発生し、各制御電圧を電線6xからそれぞれ供給する。この際、実際の電圧などを検出し、設定した制御電圧になるようにフィードバック制御を行ってもよい。
図8、図9及び図3を参照して、挙動制御装置21の動作について説明する。ここでは、車両が直進から運転者のステアリング操作に応じて右旋回する場合の挙動制御装置21における動作について説明する。運転者のステアリング操作に応じた各車輪6のリム幅を設定するまでの動作について第1の実施の形態と同様の動作を行うので、それ以降の動作について説明する。
各車輪6のリム幅を設定すると、ECU27では、設定したリム幅となるために必要な制御電圧を設定する。さらに、ECU27では、モータ駆動回路から設定した各制御電圧をそれぞれ出力する。この各制御電圧は、電線6x、接点ブラシ6y、接点リング6z、電線6tを通って、旋回外輪26B,26Dの各超音波回転モータ26a(圧電アクチュエータ26c)にそれぞれ供給される。この際、旋回内輪26A,26Cの各超音波回転モータ26aには制御電圧が供給されない。
旋回外輪26B,26Dにおける各超音波回転モータ26aでは、供給された電圧に応じた波状の振動を発生する。この波状の振動は、回転ワッシャ26dに伝わり、回転ワッシャ26dを回転させる。この回転によって、回転ワッシャ26dは、ねじ部26eに送られて車幅方向に沿って移動し、係止部26fを押圧する。これによって、アウタホイール6eが車幅方向に沿って移動する。このアウタホイール6eの移動は、操舵角の大きさが大きくなってゆく場合には車幅方向の内側に移動し、小さくなってゆく場合には車幅方向の外側に移動する。このアウタホイール6eの移動によって、アウタホイール6eがインナホイール6dに対してスライド移動する。このアウタホイール6eのスライド移動によって、旋回外輪26B,26Dの各ホイール6aのリム幅が直進時より狭くなり、旋回外輪26B,26Dの半径が大きくなる。そして、第1の実施の形態と同様に、旋回外輪26B,26Dの半径が直進時より大きくなることにより、旋回内輪26A,26Cの半径と旋回外輪26B,26Dの半径とに差が生じ、この左右輪の半径の差によって車両は旋回内輪26A,26Cの方向に旋回する。
この挙動制御装置21によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するが、スライド機構駆動部26gの構成が異なるのでその点でのみ異なる効果を奏する。挙動制御装置21では、スライド機構駆動部26gとして超音波回転モータ26a、ねじ機構を適用することにより、超音波回転モータ26aによってスライド移動時には低速で高推力を得ることができるとともに静止時には優れた安定性を得ることができ、また、電磁ノイズも発生せず、ねじ機構によるギヤの噛み合いによってガタを抑制でき、位置決め精度も向上する。
図6、図10及び図3を参照して、第4の実施の形態に係る挙動制御装置31について説明する。図10は、第4の実施の形態に係る挙動制御装置の車輪(前輪側)の一部破断正面図である。挙動制御装置31では、第1の実施の形態に係る挙動制御装置1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
挙動制御装置31では、第1の実施の形態に係る挙動制御装置1と比較すると、スライド機構駆動部の構成が異なる。具体的には、挙動制御装置31は、スライド機構駆動部としてモータ、減速機構、歯車機構、ねじ機構を備え、制御についてはモータに対する駆動制御を行う。挙動制御装置31は、操舵角センサ2、車速センサ3、ストロークセンサ4、着座センサ5、右前輪36A、左前輪36B、右後輪36C、左後輪36D、左右の車輪間の連結機構及びECU37を備えている。以下の説明では、車輪のスライド機構駆動部以外の構成について第1の実施の形態と同様なので、スライド機構駆動部及びそのスライド機構駆動部に対する駆動制御について詳細に説明する。
スライド機構駆動部36gは、モータ36a、減速機構36b、歯車機構(ピニオンギヤ36c、リングギヤ36h)、ねじ機構(回転ワッシャ36d、ねじ部36e)を備えている。スライド機構駆動部36gでは、モータ36aの回転によって減速機構36b及びラックピニオン機構を介して回転ワッシャ36dを回転させ、回転ワッシャ36dの回転によってねじ機構を介してアウタホイール6eをインナホイール6dに対してスライド移動させる。スライド機構駆動部36gも、第1の実施の形態と同様に、車輪6毎に、ホイール6aの外周側(タイヤ6bの内部)に等間隔で少なくとも2個設けられる。なお、第3の実施の形態と同様の理由により、スライド機構駆動部36gが車輪6毎に1個でもよい。
モータ36aは、アウタホイール6eの外周面上に固定され、出力軸が減速機構36bに入力される。モータ36aには、電線6tが接続され、ECU37からの制御電流が供給される。減速機構36bは、アウタホイール6eの外周面上にモータ36aに並べて固定され、出力軸にピニオンギヤ36cが取り付けられている。
回転ワッシャ36dとねじ部36eによるねじ機構及び係止部36fの構成は、第3の実施の形態と同様の構成を有する。さらに、回転ワッシャ36dは、ピニオンギヤ36cと歯車機構を構成する。回転ワッシャ36dの外周面には、全周にわたって、ピニオンギヤ36cと噛み合うリングギヤ36hが刻設されている。したがって、回転ワッシャ36dは、リングギヤ36hの回転に応じて回転する。
モータ36aに所定の電流がそれぞれ供給されると、モータ36aが回転する。モータ36aの回転は、減速機構36bを介して減速してピニオンギヤ36cに伝達され、ピニオンギヤ36cを回転させる。ピニオンギヤ36cの回転は、リングギヤ36hに伝達され、歯車機構によって回転ワッシャ36dの回転に変換され、回転ワッシャ36dを回転させる。回転ワッシャ36dが回転すると、回転ワッシャ36dがねじ部36eで送られ、回転ワッシャ36dが車幅方向に移動する。
ECU37は、第1の実施の形態と比較すると、超音波リニアモータ6pに代わりにモータ36aの駆動制御を行う点で異なる。そこで、この点についてのみ説明する。車両旋回制御、高速走行制御、路面状況制御、積載状況制御では、各車輪6のリム幅を設定すると、その設定したリム幅となるような各モータ36aの制御電流をそれぞれ設定する。各モータ36aの制御電流をそれぞれ設定すると、モータ駆動制御では、モータ駆動回路で各制御電流をそれぞれ発生し、各制御電流を電線6xからそれぞれ供給する。この際、実際の電流などを検出し、設定した制御電流になるようにフィードバック制御を行ってもよい。
図6、図10及び図3を参照して、挙動制御装置31の動作について説明する。ここでは、車両が直進から運転者のステアリング操作に応じて右旋回する場合の挙動制御装置31における動作について説明する。運転者のステアリング操作に応じた各車輪6のリム幅を設定するまでの動作について第1の実施の形態と同様の動作を行うので、それ以降の動作について説明する。
各車輪6のリム幅を設定すると、ECU37では、設定したリム幅となるために必要な制御電流を設定する。さらに、ECU37では、モータ駆動回路から設定した各制御電流をそれぞれ出力する。この各制御電流は、電線6x、接点ブラシ6y、接点リング6z、電線6tを通って、旋回外輪36B,36Dの各モータ36aにそれぞれ供給される。この際、旋回内輪36A,36Cの各モータ36aには制御電流が供給されない。
旋回外輪36B,36Dにおける各モータ36aは、供給された電流に応じたモータトルクを発生し、回転駆動する。このモータ36aの回転は、減速機構36bを介してピニオンギヤ36cに伝達され、ピニオンギヤ36cを回転させる。このピニオンギヤ36cの回転は、リングギヤ36hに伝達され、回転ワッシャ36dを回転させる。この回転によって、回転ワッシャ36dは、ねじ部36eに送られて車幅方向に沿って移動し、係止部36fを押圧する。これによって、アウタホイール6eが車幅方向に沿って移動する。このアウタホイール6eの移動は、操舵角の大きさが大きくなってゆく場合には車幅方向の内側に移動し、小さくなってゆく場合には車幅方向の外側に移動する。このアウタホイール6eの移動によって、アウタホイール6eがインナホイール6dに対してスライド移動する。このアウタホイール6eのスライド移動によって、旋回外輪36B,36Dの各ホイール6aのリム幅が直進時より狭くなり、旋回外輪36B,36Dの半径が大きくなる。そして、第1の実施の形態と同様に、旋回外輪36B,36Dの半径が直進時より大きくなることにより、旋回内輪36A,36Cの半径と旋回外輪36B,36Dの半径とに差が生じ、この左右輪の半径の差によって車両は旋回内輪36A,36Cの方向に旋回する。
この挙動制御装置31によれば、第1の実施の形態と同様の効果を奏するが、スライド機構駆動部36gの構成が異なるのでその点でのみ異なる効果を奏する。挙動制御装置31では、スライド機構駆動部36gとしてモータ36a、減速機構36b、歯車機構、ねじ機構を適用することにより、減速機構36b及び歯車機構によってアウタホイール6eを高精度にスライド移動させることができ、ねじ機構によるギヤの噛み合いによってガタを抑制でき、位置決め精度も向上する。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態ではアウトホイールとインナホイールとのスライドする部分の外周側にスライド機構駆動部を配置する構成としたが、スライドする部分の内周側にスライド機構駆動部を配置する構成としてもよいし、あるいは、スライドする部分のインナホイールの外周側にスライド機構駆動部を配置する構成としてもよい。
また、本実施の形態ではスライド機構駆動部として超音波リニアモータなどを用いる4つの形態を示したが、これら形態に限定するものでなく、アクチュエータを利用した様々な形態で構成してもよい。
また、本実施の形態では車輪半径を変えることによって旋回制御以外にも、高速走行制御、路面状況制御、積載状況制御を行う挙動制御装置に適用したが、旋回のみを行う旋回装置に適用してもよいし、高速走行制御、路面状況制御、積載状況制御のみを行う装置に適用してもよいし、あるいは、これらの以外にも、ヨーレート、横加速度、サスペンションのストロークなどに基づいて車両の挙動を判定し、挙動が安定化するような制御に適用してもよい。
また、本実施の形態では運転者のステアリング操作に応じて車両を旋回させる場合に適用したが、レーンキープによって車両を旋回させる場合、車両の挙動を安定化させるために車両の旋回量を制御する場合、あるいは、自動操舵によって車両を旋回させる場合などにも適用可能である。あるいは、各駆動方式に適した制御を行ってもよい。例えば、後輪駆動車の場合、大きな駆動力を発生させるときには、空力的に有利な前のめりの車両姿勢とするために、前輪の径より後輪の径が大きくなるように制御し、前傾のピッチング方向の車両姿勢調整を行う。
また、本実施の形態では積載状況を各座席に人が着座しているか否かによって判断し、着座している位置に応じて車輪径を大きくし、車両姿勢を調整したが、サスペンションのストロークなどから積載状況を判断してもよいし、あるいは、車両の荷室の積載重量などから積載状況を判断し、これらの積載状況から車両姿勢を調整してもよい。例えば、荷室の積載重量が重い場合、後輪の径を大きくし、車両姿勢を調整する。
また、本実施の形態ではインナホイールに対してアウタホイールをスライドさせる構成としたが、インナホイール及びアウタホイールをスライドさせる構成としてもよいし、あるいは、インナホイールをスライドさせる構成としてもよい。インナホイールをスライドさせる構成の場合、インナホイールを外側にスライドさせて、左右の車輪間のトレッドを拡大することによって、ロールを抑制する効果が得られる。
また、本実施の形態ではタイヤ内の複数箇所に補強材を設ける構成としたが、タイヤが変形に対して十分な耐性を有している場合には補強材が無くてもよい。また、タイヤの内部にチューブを設ける構成としてもよい。チューブを設けることにより、気密性(特にスライド部分)を向上させることができる。
第1の実施の形態に係る挙動制御装置の構成図である。 第1の実施の形態に係る挙動制御装置の車輪(前輪側)の一部破断正面図である。 本実施の形態に係る右輪側の軸受部内の正面図である。 本実施の形態に係る左右の半径差による旋回の原理図である。 本実施の形態に係る車両旋回時の車両を後方から見た場合の模式図である。 第2及び第4の実施の形態に係る挙動制御装置の構成図である。 第2の実施の形態に係る挙動制御装置の車輪(前輪側)の一部破断正面図である。 第3の実施の形態に係る挙動制御装置の構成図である。 第3の実施の形態に係る挙動制御装置の車輪(前輪側)の一部破断正面図である。 第4の実施の形態に係る挙動制御装置の車輪(前輪側)の一部破断正面図である。
符号の説明
1,11,21,31…挙動制御装置、2…操舵角センサ、3…車速センサ、4…ストロークセンサ、5…着座センサ、6,16,26,36…車輪、6A,16A,26A,36A…右前輪、6B,16B,26B、36B…左前輪、6C,16C,26C,36C…右後輪、6D,16D,26D,36D…左後輪、6a…ホイール、6b…タイヤ、6c…軸受部、6d…インナホイール、6e…アウタホイール、6f…補強材、6g,16g,26g,36g…スライド機構駆動部、6i…外側連結軸、6j…ナット、6k…外周部、6l…ベアリング、6m…連結軸、6n…中央連結軸、6o…等速ジョイント、6p…超音波リニアモータ、6q…弾性体、6r…圧電アクチュエータ、6s…ワイヤハーネス、6t…電線、6u…保持部、6v…ケース、6w…ベアリング、6x…電線、6y…接点ブラシ、6z…接点リング、7,17,27,37…ECU、16a…モータ、16b…減速機構、16c…ピニオンギヤ、16d…ラックギヤ、16e…保持部、26a…超音波回転モータ、26b…弾性体、26c…圧電アクチュエータ、26d…回転ワッシャ、26e…ねじ部、26f…係止部、36a…モータ、36b…減速機構、36c…ピニオンギヤ、36d…回転ワッシャ、36e…ねじ部、36f…係止部、36h…リングギヤ

Claims (8)

  1. 左右輪の半径を設定する半径設定手段と、
    車両幅方向の内側に配置されるインナホイールと外側に配置されるアウタホイールからなるホイールと、
    前記インナホイールのリムと前記アウタホイールのリムにそれぞれ結合される空気タイヤと、
    前記インナホイール及び前記アウタホイールのうちの少なくとも一方を車両幅方向にスライドさせるアクチュエータと
    を備え、
    前記アクチュエータは、前記ホイールのスライド部分に配置され、
    前記半径設定手段で設定した半径に応じて前記アクチュエータを駆動し、前記インナホイール及び前記アウタホイールのうちの少なくとも一方をスライドさせてリム幅を変化させ、左輪又は/及び右輪の半径を変化させることを特徴とする車両の挙動制御装置。
  2. 前記アクチュエータは、前記ホイールのスライド部分の外周側に配置されることを特徴とする請求項1に記載する車両の挙動制御装置。
  3. 車両の旋回量を設定する旋回量設定手段を備え、
    前記旋回量設定手段で設定した旋回量が小さいときより大きいときに旋回内輪の半径に対する旋回外輪の半径を大きくすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載する車両の挙動制御装置。
  4. アクチュエータは、超音波モータであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載する車両の挙動制御装置。
  5. アクチュエータとホイールとの間に減速機構を設けることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載する車両の挙動制御装置。
  6. アクチュエータとホイールとの間にねじ機構を設けることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載する車両の挙動制御装置。
  7. 車両幅方向の内側に配置されるインナホイールと外側に配置されるアウタホイールからなるホイールと、
    前記インナホイールのリムと前記アウタホイールのリムにそれぞれ結合される空気タイヤと、
    前記インナホイール及び前記アウタホイールのうちの少なくとも一方を車両幅方向にスライドさせるアクチュエータと
    を備え、
    前記アクチュエータは、前記ホイールのスライド部分に配置され
    前記アクチュエータを駆動して前記インナホイール及び前記アウタホイールのうちの少なくとも一方をスライドさせてリム幅を変化させ、車輪の半径を変化させることを特徴とする車輪。
  8. 前記アクチュエータは、前記ホイールのスライド部分の外周側に配置されることを特徴とする請求項7に記載する車輪。
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