JP2007203802A - 車輪制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のタイヤは、走行状態が変化しても接地面が大きく変化しないため、タイヤ性能を切り替えることはできなかった。
【解決手段】車輪制御装置において、タイヤ150は、タイヤ幅方向におけるトレッド中央部300が接地したときとトレッド端部302がさらに接地した場合とで性能が異なるように形成される。ホイール152は、ホイールリム幅172を変化させる拡縮装置30を有する。リム幅制御手段は、車両の走行状態に応じてホイールリム幅172が変化するよう拡縮装置30を制御する。タイヤ150は、トレッド端部302のグリップ力がトレッド中央部300のグリップ力より高くなるよう形成されている。リム幅制御手段は、車両の旋回時や制動時にホイールリム幅172が拡大されるよう拡縮装置30を制御する。
【選択図】図3

Description

本発明は、車輪制御装置に関し、特に車両の状態に応じて車輪の状態を制御する技術に関する。
従来、トレッド部に硬質ゴムが配置され、ショルダー部に軟質ゴムが配置された二輪自動車用タイヤが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−189010号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたタイヤは、あくまでも二輪車自動用タイヤのように旋回時と直進時とで異なる接地面が主に使用されるタイヤに有用な技術であって、四輪自動車用タイヤに適用したとしても、旋回時と直進時とで接地面が大きく変化しないため、タイヤ性能を切り替えることはできなかった。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、主に四輪自動車において走行状態に応じてタイヤ性能を切替制御できる装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車輪制御装置は、タイヤ幅方向におけるトレッド中央部が接地したときとトレッド端部がさらに接地した場合とで性能が異なるように形成されたタイヤと、ホイールリム幅を変化させる拡縮装置を有するホイールと、車両の走行状態に応じて前記ホイールリム幅が変化するよう前記拡縮装置を制御するリム幅制御手段と、を備えた。この場合、タイヤのトレッド中央部とトレッド端部とがそれぞれ性能の異なるゴムで形成されてもよいし、それぞれ同質のゴムで形成されてもよい。少なくともホイールリム幅の変化に伴ってタイヤの接地面積も変化するので、全体のグリップ力も変化する。リム幅制御手段は、車両の車体側に設けられてもよいし、車輪側に設けられてもよいし、車体側と車輪側に分散されて構築されてもよい。リム幅制御手段は、走行状態に応じて前後輪または左右輪で異なるリム幅になるよう各車輪を個別に制御してもよい。
この態様によると、ホイールリム幅を変化させることによりタイヤ幅も変化させ、トレッドの接地面積を変化させることができる。これにより、走行状態に応じてタイヤ性能を切り替えることができ、低燃費走行とグリップ力向上の両立を図ることができる。
前記タイヤは、前記トレッド端部のグリップ力が前記トレッド中央部のグリップ力より高くなるよう形成されていてもよい。この場合、トレッド中央部を低転がり抵抗の性能を有するゴムで形成させ、トレッド端部を高グリップ性能を有するゴムで形成させてもよい。これにより、走行状態に応じてタイヤ性能を切り替えることができ、低燃費走行とグリップ力向上の両立を図ることができる。
前記リム幅制御手段は、前記車両の旋回時に前記ホイールリム幅が拡大されるよう前記拡縮装置を制御してもよい。リム幅制御手段は、前輪と後輪のいずれかのリム幅のみを拡大させてもよいし、全後輪の双方のリム幅を拡大させてもよい。また、リム幅制御手段は、左右輪のいずれかのリム幅のみを拡大させてもよいし、左右輪の双方のリム幅を拡大させてもよい。これにより、旋回時における車両の走行安定性を維持して安全性をより高めることができる。
前記リム幅制御手段は、前記車両の制動時に前記ホイールリム幅が拡大されるよう前記拡縮装置を制御してもよい。リム幅制御手段は、前輪と後輪のいずれかのリム幅のみを拡大させてもよいし、全後輪の双方のリム幅を拡大させてもよい。これにより、制動時におけるグリップ力ないし制動力の向上と通常時の走行性ないし低燃費性の向上との両立を図ることができる。
本発明の車輪制御装置によれば、走行状態に応じてタイヤ性能を切替制御することで車両性能を適切な状態に保つことができる。
本実施の形態における車輪制御装置は、車両の走行状態に応じてタイヤのトレッド幅を変更し、タイヤ性能を変化させる。本実施の態様におけるタイヤは、タイヤ幅方向においてトレッドの中央部が低転がり抵抗のゴムで形成され、トレッドの両端部が高グリップ性能のゴムで形成される。ホイールは、ホイールリム幅を変化させる拡縮機構を有し、ホイールリム幅が拡大されるとタイヤのトレッドの接地面も拡大し、ホイールリム幅が縮小されるとタイヤのトレッドの接地面も縮小する。ホイールリム幅を変化させる制御の指示は、車両の走行状態に応じて車体側から送信される。したがって、たとえば車両の制動時や旋回時にタイヤのトレッドの接地面を拡大させて走行中に一時的にグリップ性能を高める制御をすることができ、走行状態に応じたタイヤ性能の切替を実現することができる。このようにタイヤ性能を走行状態に応じて切り替えることにより、グリップ力の向上と低燃費を一つのタイヤで両立することができるとともに、走行状態に応じた適切な車両状態を保つことができる。
図1は、本実施の形態に係る車輪制御装置を備えた車両10の全体構成を示す。車両10は、走行輪としての第1車輪20A、第2車輪20B、第3車輪20C、第4車輪20Dの各車輪と、車体12を備える。第1車輪20A、第2車輪20B、第3車輪20C、第4車輪20Dのそれぞれには、ホイールリム幅を変化させる拡縮装置と、拡縮装置への制御指示を車体側から受信する通信機とが車輪側装置として設けられる。拡縮装置としては、第1拡縮装置30A、第2拡縮装置30B、第3拡縮装置30C、第4拡縮装置30Dが第1車輪20A、第2車輪20B、第3車輪20C、第4車輪20Dのそれぞれに設けられる。通信機としては、第1車輪側通信機40A、第2車輪側通信機40B、第3車輪側通信機40C、第4車輪側通信機40Dと、通信用のアンテナである第1アンテナ50A、第2アンテナ50B、第3アンテナ50C、第4アンテナ50Dとが、第1車輪20A、第2車輪20B、第3車輪20C、第4車輪20Dのそれぞれに設けられる。
以下、各輪を区別しないで構成を説明する場合、各輪の位置を区別する符号A〜Dを適宜省略する。たとえば、第1車輪20A、第2車輪20B、第3車輪20C、第4車輪20Dを車輪20と総称し、第1拡縮装置30A、第2拡縮装置30B、第3拡縮装置30C、第4拡縮装置30Dを拡縮装置30と総称する。また、第1車輪側通信機40A、第2車輪側通信機40B、第3車輪側通信機40C、第4車輪側通信機40Dを車輪側通信機40と総称し、第1アンテナ50A、第2アンテナ50B、第3アンテナ50C、第4アンテナ50Dをアンテナ50と総称する。車輪側通信機40およびアンテナ50は一体に構成されてもよい。
車輪20は、タイヤ、ホイールその他の車輪構成体を含み、拡縮装置30は、ホイールリムの部分に構成される。各車輪20のタイヤは、トレッドの中央部が低転がり抵抗の性能を有するゴムで形成され、トレッドの両端部が高グリップ性能を有するゴムで形成される。ホイールリムはリム幅が可変であり、拡縮装置30によってホイールリム幅が拡大されるとタイヤ幅および接地面積も拡大され、ホイールリム幅が縮小されるとタイヤ幅および接地面積も縮小される。すなわち、タイヤ幅が拡大された状態ではトレッドの中央部だけでなく端部も接地し、タイヤ幅が縮小された状態ではトレッドの中央部のみが接地する。
車体12には、第1車輪20A、第2車輪20B、第3車輪20C、第4車輪20Dの各車輪に設けられた第1車輪側通信機40A、第2車輪側通信機40B、第3車輪側通信機40C、第4車輪側通信機40Dに対し、ホイールリム幅を変化させるための制御指示を送信する車体側通信機200と、送信用の車体側アンテナ210と、車両10を統括的に制御する電子制御装置(以下、「ECU」と表記する)64とが設けられる。
車体側通信機200は、ECU64から制御指示を受け取り、その制御指示を走行輪として装着された4輪の第1車輪20A、第2車輪20B、第3車輪20C、第4車輪20Dに対し車体側アンテナ210を介して送信する。ECU64は、車両10の走行状態を監視するとともに、特定の走行状態にあると判定したときにその走行状態に応じてホイールリム幅を変化させる制御指示を生成し、車体側通信機200を用いて各車輪20へ送信する。これにより、グリップ要求が高い走行状態に至ったときに、ECU64が各車輪20のホイールリム幅を拡大させてタイヤの接地面積を拡大し、トレッド端部を接地させることによるグリップ性能の向上を図ることができる。逆にグリップ要求が低い走行状態になったときは、ECU64が各車輪20のホイールリム幅を縮小させてタイヤの接地面積を縮小し、トレッド端部を接地させずにトレッド中央部のみを接地させることにより低燃費性の向上を図ることができる。このように、走行状態に応じてタイヤ性能を切り替えることにより、高グリップと低燃費性という相反するタイヤ性能の両立を図ることができる。
図2は、ECU64における走行状態の監視と車輪制御に係る構成を示す機能ブロック図である。ECU64は、リム幅制御部100、走行状態監視部102、車両制御部104の各機能を有する。リム幅制御部100は、走行状態に応じて各車輪20のホイールリム幅を変化させる制御指示を生成し、その制御指示を車体側通信機200を介して各車輪20へ送信する。走行状態監視部102は、車両10の走行状態を監視し、たとえば車両10が制動状態や旋回状態などの特定走行状態に至ったときにその旨をリム幅制御部100へ通知する。車両制御部104は、図示しない加速度センサ、操舵角センサ、ヨーレートセンサ、車速センサなどの各センサから得られる情報に基づいて、車両10の動作を制御する。たとえば、車両制御部104は、サスペンション装置106、操舵装置108、制動装置110等の動作を制御する。走行状態監視部102は、車両制御部104の制御内容を監視して車両10の走行状態を認識する。リム幅制御部100は、通常状態においてはホイールリム幅が縮小された状態を保つ制御指示を車輪20へ送信し、車両10が制動状態または旋回状態となったときにホイールリム幅を拡大させる制御指示を車輪20へ送信する。車両10が制動状態または旋回状態から通常状態へ戻ったときに、リム幅制御部100はホイールリム幅を縮小させる制御指示を車輪20へ送信する。
車両制御部104は、前後輪や左右輪を別々に制御するなど、以下のような特殊な制御をしてもよい。たとえば、車両10が急旋回したときに車両10が転覆しそうな状態に至った場合、車両制御部104は、外輪のとくに前輪についてホイールリム幅を縮小して積極的にグリップ力を低下させることにより、タイヤを滑らせて転覆を回避する。車両制御部104は、後輪のみホイールリム幅を拡大して前輪のホイールリム幅を縮小することにより車両10の旋回特性をアンダーステア傾向に調整したり、逆に前輪のみホイールリム幅を拡大して後輪のホイールリム幅を縮小することにより車両10の旋回特性をオーバーステア傾向に調整したりすることも可能である。
図3は、通常走行時におけるホイールリム幅およびトレッド接地面を示す断面図である。通常走行時においては、本図に示されるとおりホイールリム幅がタイヤ断面幅より短くなるよう縮小された状態に制御される。車輪20は、タイヤ150とホイール152を含む。タイヤ150は、トレッド中央部300およびトレッド端部302からなるトレッドとサイドウォール部304とを有する。トレッド中央部300は、通常走行時において接地面を形成するとともに、一般的なタイヤで言えばトレッド全体に相当する部分である。トレッド中央部300は、転がり抵抗の低い性能を有するゴムで形成される。トレッド端部302は、通常走行時において接地しない部分であるとともに、一般的なタイヤで言えばショルダー部に相当する部分である。トレッド端部302は、高グリップ性能を有するゴムで形成される。拡縮装置30は、通常走行時においてホイールリム幅172がタイヤ断面幅174より短くなるようホイールリム170を縮小させる。拡縮装置30は、車輪側通信機40およびアンテナ50を内蔵する。
タイヤ150は、拡縮装置30がホイールリム170を縮小した場合、内部の空気圧によりサイドウォール部304が本図のように所定角度で屈曲するとともに、トレッド中央部300とトレッド端部302の接合部も本図のように所定角度で屈曲するように形成される。タイヤ150は、内部の空気圧が良好なレベルに保持される限り本図のような形状が維持されるよう形成される。たとえばトレッド端部302は、柔軟性および可撓性が比較的高いゴムで形成され、ホイールリム幅172が短くされたときに本図のように地面から離れてトレッド中央部300に対して屈曲するよう形成されてもよい。また、トレッド中央部300とトレッド端部302の間、および、サイドウォール部304の略中間位置のそれぞれに、ホイールリム幅172が短くされたときに本図のように所定位置で屈曲しやすくなるよう折り目となる切欠が設けられてもよい。
図4は、特定の走行状態におけるホイールリム幅およびトレッド接地面を示す断面図である。特定走行状態、たとえば制動時や旋回時においては、本図に示されるとおりホイールリム幅172がタイヤ断面幅174とほぼ等しくなるまで、ホイールリム170が拡縮装置30により拡大される。ホイールリム幅172が拡大されるのに伴い、トレッド中央部300およびトレッド端部302の間は図示するとおり屈曲せず両部が合わさって一つの接地面を形成するとともに、サイドウォール部304もまた図示するとおり屈曲せず全体で一つの側面を形成する。このように、この特定走行状態においては、トレッド中央部300とトレッド端部302がいずれも接地するので、全体としてグリップ性能を高めることができる。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれ得る。以下、変形例を挙げる。
本実施の形態においては、リム幅制御手段が主に車体側に設けられる場合の構成を説明した。変形例においては、各車輪の内部にリム幅制御手段が設けられる構成であってもよい。その場合のリム幅制御手段は、車輪20内に設ける加速度センサなどにより走行状態を推測し、その推測した走行状態に応じてホイールリム幅を変化させてもよい。
本実施の形態においては、タイヤ幅方向において中央部と端部とで性能が異なるように形成されたタイヤを用いる例を説明した。変形例においては、タイヤ幅方向において中央部と端部とで同質のタイヤを用いる構成であってもよい。あるいは、タイヤ幅方向において両端部をさらに外側の帯状領域と内側の帯状領域に区画した上で、それぞれの区画を異なる性能のゴムで形成させたり同質のゴムで形成させたりする構成であってもよい。これらの場合、車両制御部104は走行状態に応じてリム幅を2段階かそれ以上の多段階で変化させることにより、走行状態に応じたタイヤ性能の多段階切替を実現する。また、このようにタイヤ幅方向で多段階に性能を分けた場合、車両制御部104は走行状態と要求グリップ力の対応関係が示されたテーブルを参照して、ホイールリム幅を変化させてもよい。
本実施の形態に係る車輪制御装置を備えた車両の全体構成を示す図である。 ECUにおける走行状態の監視と車輪制御に係る構成を示す機能ブロック図である。 通常走行時におけるホイールリム幅およびトレッド接地面を示す断面図である。 特定の走行状態におけるホイールリム幅およびトレッド接地面を示す断面図である。
符号の説明
10 車両、 12 車体、 20 車輪、 30 拡縮装置、 40 車輪側通信機、 64 ECU、 100 リム幅制御部、 102 走行状態監視部、 104 車両制御部、 150 タイヤ、 152 ホイール、 170 ホイールリム、 172 ホイールリム幅、 174 タイヤ断面幅、 200 車体側通信機、 300 トレッド中央部、 302 トレッド端部。

Claims (4)

  1. タイヤ幅方向におけるトレッド中央部が接地したときとトレッド端部がさらに接地した場合とで性能が異なるように形成されたタイヤと、
    ホイールリム幅を変化させる拡縮装置を有するホイールと、
    車両の走行状態に応じて前記ホイールリム幅が変化するよう前記拡縮装置を制御するリム幅制御手段と、
    を備えたことを特徴とする車輪制御装置。
  2. 前記タイヤは、前記トレッド端部のグリップ力が前記トレッド中央部のグリップ力より高くなるよう形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車輪制御装置。
  3. 前記リム幅制御手段は、前記車両の旋回時に前記ホイールリム幅が拡大されるよう前記拡縮装置を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の車輪制御装置。
  4. 前記リム幅制御手段は、前記車両の制動時に前記ホイールリム幅が拡大されるよう前記拡縮装置を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車輪制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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