JP2007237795A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】陸部15に、一端が周方向溝11に開口する緩傾斜溝16の終端に連通し、他端が上記陸部15内で終端する、タイヤ周方向に対して折れ曲がって延長する第1の屈曲溝14を設け、陸部18に、一端が周方向溝12に開口し、他端が上記陸部18内で終端する、タイヤ周方向に対して折れ曲がって延長する第2の屈曲溝17を設けるとともに、上記第1の屈曲溝14を構成する第1の傾斜溝14aとこの第1の傾斜溝14aの終端から折れ曲がって延長する第2の傾斜溝14bの傾斜角α,β、上記第2の屈曲溝17を構成する第3の傾斜溝17aとこの第3の傾斜溝17aの終端から折れ曲がって延長する第4の傾斜溝17bの傾斜角α,βとをα=30°±15°の範囲に設定した。
【選択図】図1
Description
一方、制動性能を得るためには、ラグ溝によるヒステリシス摩擦と接地面積確保のための周方向剛性のバランスをとることが有効である。
また、上記のような、周方向溝51〜53と傾斜溝54,55とを備えた従来のトレッドパターンでは、上記周方向溝51〜53の接地長さに対応する周波数の共鳴音(気柱管共鳴音)が発生し高周波ノイズが増加する。この気柱管共鳴音は、上記周方向溝51〜53が接地する際に、タイヤと路面との間に形成された管状の空洞の共鳴現象により発生するもので、気柱の長さ、すなわち、接地面内に内包される周方向溝の長さの2倍の波長で共鳴する。
一方、制動性を得るためにはラグ溝配置が有効だが、ラグ溝のエッジの剛性が不十分だと接地面積を損ない十分な制動性能が得られないだけでなく、限られた陸部幅においては傾斜溝を上記従来例のように大きくするとラグ溝の長さが制限されるため、上記高周波ノイズを低減することが困難であった。
すなわち、本願の請求項1に記載の発明は、トレッド表面に設けられたタイヤ周方向に沿って延びる複数本の周方向溝と、この周方向溝により区画された陸部とを備えた空気入りタイヤにおいて、上記陸部に、一端が直接もしくはラグ溝を介して周方向溝に開口し、他端がトレッドの陸部内で終端する、タイヤ周方向に対して折れ曲がって延長する屈曲溝を設けるとともに、上記屈曲溝を構成するそれぞれの傾斜溝のタイヤ周方向に対する傾斜角を30°±15°としたことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤであって、上記屈曲溝同士は互いに連通していないことを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の空気入りタイヤにおいて、上記開口部を、当該タイヤの車両装着内側に設けたことを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の空気入りタイヤであって、上記第2の緩傾斜溝は上記屈曲溝と連通しないことを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載の空気入りタイヤにおいて、上記屈曲溝と上記第2の緩傾斜溝とをほぼ一定の間隔をおいてタイヤ周方向に配置したものである。
また、上記屈曲溝同士を連通させず独立にするようにすれば、気柱管共鳴音を更に分散させることができる。
また、ラグ溝の開口部は陸部剛性が低くなるが、上記開口部を、コーナリング時の横入力に対して影響の少ない車両装着内側に設けるようにすれば、剛性低下の影響を低減することができる。
図1は、本発明の最良の形態に係る空気入りタイヤのトレッドパターンの展開図で、同図において、11〜13はタイヤトレッド部10に、タイヤ周方向に沿って形成された周方向溝、14はトレッドの車体側とは反対側の端部に位置する陸部15に形成された、一端が周方向溝11に開口する緩傾斜溝16の終端に連通し、他端が上記陸部15内で終端する、タイヤ周方向に対して折れ曲がって延長する第1の屈曲溝、17は中央の陸部18に形成された、一端が周方向溝12に開口し、他端が上記陸部18内で終端する、タイヤ周方向に対して折れ曲がって延長する第2の屈曲溝、19a,19bはそれぞれタイヤサイド部から上記第1の屈曲溝14方向に延長し上記陸部15内で終端し、かつ、トレッドの接地端に開口する第2の緩傾斜溝である端部側緩傾斜溝である。なお、同図中のTWはトレッド接地幅を、CLはトレッドパターンのセンターを示す。
上記第1の屈曲溝14は、タイヤ周方向に対する傾斜角がα=30°±15°の範囲にある第1の傾斜溝14aとこの第1の傾斜溝14aの終端から折れ曲がって延長する傾斜角がβ=−30°±15°の範囲にある第2の傾斜溝14bとを備えており、上記第1の傾斜溝14aの他端は上記緩傾斜溝16の終端に連通し、上記第2の傾斜溝14bの他端は上記陸部15内で終端している。
また、上記第2の屈曲溝17は、一端が周方向溝12に開口する、タイヤ周方向に対する傾斜角がα=30°±15°の範囲にある第3の傾斜溝17aとこの第3の傾斜溝14aの終端から折れ曲がって延長し、かつ、上記陸部15内で終端する、傾斜角がβ=−30°±15°の範囲にある第4の傾斜溝17bとを備えている。
更に、ラグ溝を、本例の第1及び第2の屈曲溝14,17のような折れ曲がり溝とすれば、傾斜角度が左,右の成分に分かれるので、路面入力に対して傾斜溝の変形が左右成分により打ち消し合うので、前後制動方向に摩擦力を集中させることができる。
なお、上記第1の屈曲溝14同士及び第2の屈曲溝17同士を互いに連通させないことが肝要で、これにより、気柱管共鳴音を確実に分散させることができる。
また、上記第1及び第2の屈曲溝14,17は、第2の屈曲溝17のように、直接周方向溝12に開口させてもよいし、第1の屈曲溝14のように、周方向溝11に開口する緩傾斜溝16を介して周方向溝11に開口するようにしてもよい。なお、緩傾斜溝16を介して周方向溝に開口させた場合には、直接周方向溝に開口させた場合に比較して、開口部のブロック剛性を確保できるという利点がある。
また、ラグ溝開口部は陸部剛性が低くなるが、本例のように、上記第1及び第2の屈曲溝14,17をタイヤの車体装着側に開口させるようにすれば、コーナリング時の横入力に対する影響を少なくすることができる。
また、上記第1の屈曲溝14と端部側緩傾斜溝19a,19bとをほぼ一定の間隔離してタイヤ周方向に配置することにより、上記第1の屈曲溝14と端部側緩傾斜溝19a,19bとにより形成される擬似的な台形状のショルダーブロックの剛性差をなくすことができるので、タイヤショルダー部の偏磨耗を有効に抑制することができる。
また、本例では、第1及び第2の屈曲溝14,17により高周波ノイズを低減するようにしており、周方向溝11〜13の溝幅や本数を低減させてはいないので、周方向溝11〜13に十分な溝幅を持たせることができるだけでなく、陸部15内で終端し、トレッドの接地端に開口する端部側緩傾斜溝19a,19bを設けているので、十分なウェット性能を得ることができる。
また、上記例では、第1及び第2の傾斜溝の傾斜角α,βの大きさを特定しなかったが、傾斜角α,βはそれぞれ30°±15°の範囲であれば、全て同じであってもよいし、それぞれ異なる値としてもよい。また、第1傾斜溝の傾斜角をいずれもαとし、第2の傾斜溝の傾斜角を上記αとは異なるβとしてもよい。
タイヤサイズは245/40R、トレッド幅は190mmで、各タイヤのトレッドパターンの寸法は下記の表1〜表3に示す通りで、各溝の番号は図1〜図3の当該溝の符号に一致させてある。なお、走行試験でのタイヤ内圧は220kPaとし、荷重については実車2名乗車相当とした。
本発明1のパターン
ウェットハイドロプレーニング性能(直線)は、水深5mmのウェット路を通過時のハイドロプレーニングが発生する最低速度により評価した。
ウェットブレーキ性能は、水深2mmの直線路面上を100km/hrの速度で走行させた状態からフル制動したときの制動距離で評価した。
ドライブレーキ性能は、乾燥路面上を100km/hrの速度で走行させた状態からフル制動したときの制動距離で評価した。
タイヤ騒音は、直線平滑路を100km/hrから惰行したときの車外音を固定マイクロフォンにて採取して評価する車外音テストにて評価した。
その結果を以下の表4に示す。なお、評価はすべて従来例を100とし、その値が大きい方が優れた結果を示すものとした。
14a 第1の傾斜溝、14b 第2の傾斜溝、15,18 陸部、16 緩傾斜溝、
17 第2の屈曲溝、17a 第3の傾斜溝、17b 第4の傾斜溝、
19a,19b,19c 端部側緩傾斜溝、20 副溝、TW トレッド接地幅、
CL トレッドパターンのセンター。
Claims (7)
- トレッド表面に設けられたタイヤ周方向に沿って延びる複数本の周方向溝と、この周方向溝により区画された陸部とを備えた空気入りタイヤにおいて、上記陸部に、一端が直接もしくはラグ溝を介して周方向溝に開口し、他端がトレッドの陸部内で終端する、タイヤ周方向に対して折れ曲がって延長する屈曲溝を設けるとともに、上記屈曲溝を構成するそれぞれの傾斜溝のタイヤ周方向に対する傾斜角を30°±15°としたことを特徴とする空気入りタイヤ。
- 上記ラグ溝を緩傾斜溝としたことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 上記屈曲溝同士は互いに連通していないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 上記開口部を、当該タイヤの車両装着内側に設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- トレッド端部に位置する陸部に、上記端部側陸部内で終端し、かつ、接地端に開口する第2の緩傾斜溝を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 上記第2の緩傾斜溝は上記屈曲溝と連通しないことを特徴とする請求項5に記載の空気入りタイヤ。
- 上記屈曲溝と上記第2の緩傾斜溝とをほぼ一定の間隔をおいてタイヤ周方向に配置したことを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ。
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