JP4961765B2 - コニフェリル誘導体およびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は新規コニフェリル誘導体、その用途、及びその製造方法に関する。詳しくは、本発明は新規コニフェリル誘導体及びこれを有効成分として含有する医薬組成物、食品組成物等に関する。
従来より、トウガラシ属に属する植物体(以下、トウガラシ類という。)に含有される天然成分として、辛味成分であるカプサイシン、ジヒドロカプサイシンなどを含むカプサイシノイド類、辛味の少ない成分であるカプシエイト、ジヒドロカプシエイトなどを含むカプシノイド類が報告されている(特許文献1、非特許文献1)。しかし、植物体における生合成経路には甚だ不明な点も多く、希少量の有効成分がトウガラシ類に含まれている可能性は高い。
一方、キキョウ科植物の微量成分として、パルミチン酸(C16)、オレイン酸(C18)とコニフェリルアルコールのエステル類が抗酸化活性を有するものとして報告されており(非特許文献2)、また、クチナシ属植物から抽出された微量成分として、ステアリン酸(C18)とコニフェリルアルコールのエステル類の存在が報告されている(非特許文献3)。しかし、これより鎖長の短い側鎖を有する天然のコニフェリル脂肪酸エステル類は報告されていない。
また、フェノール性水酸基を有する化合物と脂肪酸類の選択的なエステル化反応の検討例の1種として、ノナン酸コニフェリルの合成例が報告されている(非特許文献4)。しかし、その薬理作用は報告されていない。
日本国特許第3345744号公報 J. Agric. Food Chem., Vol. 46, No. 5 (1998), 1695-1697頁 Phytochemistry, 65 (2004), 3033-3039頁 J. Nat. Prod., 67 (2004), 532-536頁 Organic Letters, Vol. 4, No. 22 (2002), 3839-3841頁
本発明は、トウガラシ類に含まれる新規有用成分を同定し、これらを有効成分として含有する医薬組成物、食品組成物等を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を続けた結果、トウガラシの新品種から新規コニフェリル誘導体を単離同定した。また、本発明者らは当該コニフェリル誘導体の合成法を検討し、その新規製造方法を確立した。さらには、その薬理作用を検討したところ、これら化合物が交感神経賦活剤として使用可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1]下記一般式(I)
(式中、Xはエチレン基又はビニレン基を示し、m及びnはそれぞれ、m+n=2〜8を満足する0〜7の整数を示し、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子、メチル基又はエチル基を示す。但し、R1及びR2が水素原子であり、かつXがエチレン基であるとき、m及びnはそれぞれ、m+n=5を満足する整数でない。R1及びR2の一方が水素原子、他方がメチル基であり、かつXがエチレン基であるとき、m及びnはそれぞれ、m+n=4を満足する整数でない。R1及びR2の一方が水素原子、他方がエチル基であり、かつXがエチレン基であるとき、m及びnはそれぞれ、m+n=3を満足する整数でない。)で表わされる化合物(以下、化合物(I)ともいう。)。
[2]Xがエチレン基であり、m及びnはそれぞれ、m+n=4を満足する整数であり、R1及びR2がメチル基である上記[1]記載の化合物。
[3]Xがビニレン基であり、mが4であり、nが0であり、R1及びR2がメチル基である上記[1]記載の化合物。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物の一種以上を含有する医薬組成物。
[5]下記一般式(I’)
(式中、Xはエチレン基又はビニレン基を示し、l及びkはそれぞれ、l+k=2〜8を満足する0〜7の整数を示し、R1’及びR2’はそれぞれ独立して、水素原子、メチル基又はエチル基を示す。)で表わされる化合物(以下、化合物(I')ともいう。)の1種以上を有効成分として含有する、交感神経賦活剤。
[6]lが4であり、kが0であり、R1’及びR2’がメチル基である上記[5]記載の交感神経賦活剤。
[7]抗肥満剤、免疫賦活剤、血行促進剤または鎮痛剤の有効成分として含有される、上記[5]または[6]記載の交感神経賦活剤。
[8]化合物(I’)の1種以上を含有する食品組成物。
[9]lが4であり、kが0であり、R1’及びR2’がメチル基である上記[8]記載の食品組成物。
[10]交感神経賦活用食品である、上記[8]または[9]記載の食品組成物。
[11]ダイエット用食品である、上記[8]〜[10]のいずれかに記載の食品組成物。
[12]下記一般式(IIa)
〔式中、R3は、下記一般式(III)
(式中、Xはエチレン基又はビニレン基を示し、l及びkはそれぞれ、l+k=2〜8を満足する0〜7の整数を示し、R1’及びR2’はそれぞれ独立して、水素原子、メチル基又はエチル基を示す。)で表される基(以下、置換基(III)ともいう。)を示す。〕で表される脂肪酸(以下、脂肪酸(IIa)ともいう。)、下記一般式(IIb)
(式中、R4は脂肪族炭化水素基を示し、R3は前記と同義である。)で表される脂肪酸エステル(以下、脂肪酸エステル(IIb)ともいう。)、および下記一般式(IIc)
(式中、R5、R6およびR7の少なくとも一つは置換基(III)を示し、残りはそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基を示す。)で表されるトリグリセリドからなる群から選ばれる少なくとも一つと、コニフェリルアルコールとを、リパーゼの存在下反応させる工程を含む、化合物(I')の製造方法。
本発明により、トウガラシ類に含まれる新規有用成分が提供され、これにより、安全かつ有望な、交感神経賦活作用を有する医薬、ダイエット用食品等が提供される。
以下に、本発明を詳細に説明する。
R4等の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖のアルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチルなど)又は、炭素数2〜6の直鎖または分岐鎖のアルケニル基(例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、2−メチルアリル、1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニルなど)が挙げられ、中でもメチル、エチルまたはビニルが好ましい。
本発明により見出された新規化合物は、下記一般式(I)で表わされる化合物である。
(式中、Xはエチレン基又はビニレン基を示し、m及びnはそれぞれ、m+n=2〜8を満足する0〜7の整数を示し、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子、メチル基又はエチル基を示す。但し、R1及びR2が水素原子であり、かつXがエチレン基であるとき、m及びnはそれぞれ、m+n=5を満足する整数でない。R1及びR2の一方が水素原子、他方がメチル基であり、かつXがエチレン基であるとき、m及びnはそれぞれ、m+n=4を満足する整数でない。R1及びR2の一方が水素原子、他方がエチル基であり、かつXがエチレン基であるとき、m及びnはそれぞれ、m+n=3を満足する整数でない。)
化合物(I)は、コニフェリルアルコール(coniferyl alcohol, 4-hydroxy-3-methoxy-cinnamyl alcool)と脂肪酸がエステル結合した化学構造を有することを特徴とする。
しかしながら、下記式
で表されるノナン酸コニフェリルは、フェノール性水酸基を有する化合物と脂肪酸類の選択的なエステル化反応の検討例の1種として開示されている(非特許文献4)。したがって偶然の一致を回避するために、ノナン酸コニフェリルは但し書きにより排除される。
化合物(I)の好適な例としては、炭素数4〜20、好ましくは炭素数8〜14の分岐鎖脂肪酸のコニフェリルエステルや、炭素数2〜8、10〜15、好ましくは炭素数8、10〜13の直鎖脂肪酸のコニフェリルエステル(オクタン酸コニフェリル、デカン酸コニフェリル、ウンデカン酸コニフェリル、ドデカン酸コニフェリル、トリデカン酸コニフェリル)が挙げられる。
化合物(I)のさらに好適な具体例としては、コニフェリルアルコールと、トウガラシ類に含有されるカプサイシノイド類の部分構造である飽和または不飽和の分岐脂肪酸とのエステル体が挙げられる。
カプサイシノイド類の分岐脂肪酸側鎖を有するコニフェリルエステル誘導体の具体例を下記表1−1および表1−2に示す。
なかでも、カプサイシンおよびジヒドロカプサイシンの脂肪酸側鎖部分を有するコニフェリルエステル誘導体である、8-メチルノナン酸コニフェリル(化合物1、式(I)において、Xがビニレン基であり、mが4であり、nが0であり、R1及びR2がメチル基である化合物)および(E)-8-メチル-6-ノネン酸コニフェリル(化合物2、式(I)において、Xがエチレン基であり、m及びnはそれぞれ、m+n=4を満足する整数であり、R1及びR2がメチル基である化合物)が好ましい。
本発明の別の態様は、下記一般式(I’)
(式中、Xはエチレン基又はビニレン基を示し、l及びkはそれぞれ、l+k=2〜8を満足する0〜7の整数を示し、R1’及びR2’はそれぞれ独立して、水素原子、メチル基又はエチル基を示す。)で表わされる化合物で表される化合物の1種以上を含有する医薬組成物、食品組成物に関する。
化合物(I’)は、化合物(I)に加え、ノナン酸コニフェリルをも含む。具体例、好ましい態様等は化合物(I)と同様である。
本発明の化合物(I')は、カプサイシンレセプターの刺激活性を有することから、交感神経賦活作用、エネルギー代謝亢進作用、免疫賦活作用、脂肪分解促進作用、肥満抑制作用、体脂肪蓄積抑制作用、血行促進作用、鎮痛作用等のカプサイシノイド類と同様の様々な生理活性作用を有し、したがって、医薬の有効成分および食品添加物として有用である。
ここで、化合物(I')を医薬および食品の成分として使用する場合、化合物(I')の1種のみを含有させてもよく、また、化合物(I')の2種以上の混合物として含有させてもよい。
本発明の化合物(I')を含有する医薬組成物は、とりわけ交感神経賦活剤として有用であり、抗肥満剤、免疫賦活剤、血行促進剤、鎮痛剤等として使用できる。
本発明の医薬組成物の形態は特に制限はなく、当該技術分野で公知の任意の剤形を採用することができる。
例えば、固形製剤や液剤等の経口製剤、皮下、筋肉、又は静脈内用の注射剤、貼付剤、坐剤、吸入剤などの非経口製剤が挙げられ、いずれも、当該技術分野で自体公知の方法により製造することができる。
固形製剤としては、内服用の散剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤、坐剤などが、液剤としては、溶液剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、吸入剤などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、錠剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
医薬組成物における化合物(I’)の含量は、指示された範囲の適当な用量が得られるように適宜決められる。
本発明の医薬組成物は、必要に応じて、担体、賦形剤、結合剤、膨化剤、潤滑剤、流動性改善剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、防腐剤、抗酸化剤、被覆剤、各種ビタミン類、各種アミノ酸類等を含有することができる。
本発明の医薬組成物に含有することができる具体的な成分としては、微晶性セルロース、結晶セルロース、乳糖、コーンスターチ、白糖、ブドウ糖のような賦形剤;例えばトラガント、アラビアゴム、コーンスターチ、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、メチルセルロース、ジェシェラック、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ポリビニルピロリドンのような結合剤;コーンスターチ、前ゼラチン化デンプン、アルギン酸、デキストリンのような膨化剤;ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;微粒二酸化ケイ素のような流動性改善剤;グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ、硬化植物油のような滑沢剤;ショ糖、乳糖、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、モナティン、ステビア、サッカリンなどのような甘味剤;ペパーミント、バニラ香料、チェリー、ラズベリーケトンなどの各種食用に用いられる香味剤;パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、ソルビン酸などのような防腐剤;亜硫酸塩、アスコルビン酸、ビタミンE、ブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸ナトリウムのような抗酸化剤;シェラック、ショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロースなどのような被覆剤等が挙げられる。
本発明の化合物の投与量は、疾患の種類、病態、年齢、投与形態によって異なるが、通常、成人1人あたり1日0.01mg〜20g、好ましくは0.1mg〜10g程度を1回又は数回に分けて投与することができる。
本発明の食品組成物は、交感神経賦活用食品として有用であり、特に交感神経賦活作用による脂肪燃焼亢進に寄与することが考えられ、ダイエット用途の食品として好適に使用可能である。
本発明の「食品」は、食品全般を意味するが、いわゆる健康食品を含む一般食品の他、厚生労働省の保健機能食品制度に規定される特定保健用食品や栄養機能食品をも含むものであり、さらにダイエタリーサプリメントも包含される。
本発明の食品組成物の形態は特に限定はなく、経口摂取できる形態であればいずれの形態であってもよい。
例えば、粉末、顆粒、タブレット、ハードカプセル、ソフトカプセル、液体(飲料、ゼリー飲料など)、キャンディ、チョコレート等を挙げることができ、いずれも、当該技術分野で自体公知の方法により製造することができる。
食品組成物における化合物(I’)の含量は、指示された範囲の適当な用量が得られるように適宜決められる。
本発明の食品組成物は、必要に応じて、他の食品添加剤を使用することができる。このような食品添加剤としては、味を調整改良する果汁、デキストリン、環状オリゴ糖、糖類(果糖、ブドウ糖等の単糖類及び多糖類)、酸味料、香料、抹茶粉末など、またテクスチャーを改善する乳化剤、コラーゲン、全粉乳、増粘多糖類や寒天など、更にはビタミン類、卵殻カルシウム、パントテン酸カルシウム、その他ミネラル類、ローヤルゼリー、プロポリス、蜂蜜、食物繊維、アガリクス、キチン、キトサン、フラボノイド類、カロテノイド類、ルテイン、漢方生薬、コンドロイチン、各種アミノ酸等の通常健康食品等の成分として使用されているものを挙げることができる。
本発明の化合物(I')は、トウガラシの新品種から分離・精製することによって製造することができる。また、当該トウガラシの粗抽出物を、化合物(I’)を含む有効成分として使用してもよい。
しかしながら、これら緒成分は、天然においては微量成分であるため、抽出により相当量得ることは困難である。したがって、本発明により確立された新規合成法により製造するのが好ましい。以下に、化合物(I’)の製造方法について説明する。
1.植物体からの抽出方法
本発明の化合物(I')はトウガラシ類に含有される。トウガラシ類の中でも、辛味の少ないトウガラシが好ましい。
具体的には、トウガラシ類の実を凍結乾燥した後、酢酸エチル、アセトン、ヘキサン等の有機溶媒により抽出する。粗抽出物は、各種クロマトグラフィーやHPLC等により分離精製することができる。
クロマトグラフィーとしては、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、シリカゲル分取薄層クロマトグラフィー、逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどが挙げられる。展開溶媒もしくは溶離液としては、酢酸エチル、メタノール、エタノール、ヘキサン、ヘプタン、アセトン、トルエン、クロロホルム、水など、およびそれらの混合溶媒が挙げられる。
HPLCに使用するカラムとしては、J’s sphere-ODS H80 (YMC)などの逆相シリカゲルカラムが好ましい。溶離液としては、アセトニトリル、メタノール、水などおよびそれらの混合溶媒が挙げられる。
クロマトグラフィー、HPLCによる精製の際、以下に記載する合成法に従って合成した化合物を標品として使用することにより、分離精製を効率的に行うことができる。
2.合成法
化合物(I')は、コニフェリルアルコールと対応する脂肪酸および/またはそのエステル体を、溶媒中、リパーゼにより脱水縮合させることにより製造することができる。添加順序は特に限定されない。
反応触媒に使用されるリパーゼは、本反応を触媒しうる限りいかなるものであってもよく、微生物、動植物由来のリパーゼを制限なく使用することができる。これらのリパーゼは、それぞれ単独でも、あるいは、混合物として用いることもできる。また、再利用の観点から、これらのリパーゼを常法により固定化したものが好ましく用いられる。
とりわけ微生物由来のリパーゼが好ましく、具体的には、カンジダ属(例えば、カンジダ・アンタルクシア(Candida antarctica)、カンジダ・シリンドラセア(Candida cylindracea)等)、シュードモナス属(例えば、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)等)、アルカリゲネス属(例えば、アルカリゲネス・エスピー(Alcaligenes sp.)等)、アスペルギルス属(例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)等)、リゾプス属(例えば、リゾプス・デレマー(Rhizopus delemar)、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)等)由来のリパーゼが挙げられる。
これらのリパーゼは、それらを生産する微生物の培養等によって得られるが、市販品も好適に使用することができる。かかる市販のリパーゼとしては、Novozyme 435(ノボザイム社製)、Lipase AK(天野エンザイム社製)、Lipase PL(名糖産業社製)、Lipase QL(名糖産業社製)等の固定化酵素が挙げられる。
リパーゼの使用量は、コニフェリルアルコールに対して、通常1〜10倍重量、好ましくは通常5〜10倍重量である。
脂肪酸は、フリー体である脂肪酸(IIa)に加え、脂肪酸エステル(IIb)、トリグリセリド(IIc)などの各種脂肪酸誘導体の形態(以下、合わせて脂肪酸等と省略する。)であってもよい。
脂肪酸等は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を用いる場合、その使用量は含まれる置換基(III)のモル数で換算すればよい。
脂肪酸等の使用量は、コニフェリルアルコールに対して5〜20倍モルの割合もしくはさらに脂肪酸等の割合を増やして使用してもよい。
使用する溶媒は、反応を阻害しない限り特に限定はなく、例えば、アセトン、3−メチル−2−ブタノン、エチルメチルケトンなどのケトン溶媒;ジオキサン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル溶媒;アセトニトリルなどのニトリル溶媒;クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン溶媒;ヘキサン、ヘプタン、トルエンなどの炭化水素系溶媒などが挙げられ、なかでも、アセトン、テトラヒドロフランが好ましい。溶媒の使用量は、コニフェリルアルコールに対して、通常50〜500倍重量、好ましくは通常50〜100倍重量である。
生成した化合物(I’)のリパーゼによる加水分解を抑制するため、使用する溶媒は、モレキュラシーブなどの脱水剤で予め脱水処理したものを用いるのが好ましい。
また、脂肪酸(IIa)を使用した場合は、反応の進行に伴って水が生成してくるため、好ましくは脱水剤を添加して反応が行われる。
脱水剤の使用量は、コニフェリルアルコールに対して、通常10〜100倍重量、好ましくは通常50〜100倍重量である。
反応時間は、おおよそ3〜24時間が良く、これは反応温度に依存し、その範囲は25〜70℃である。
得られる化合物(I')は、常法により単離精製することができる。例えば、濾過、塩析などによってリパーゼを分離回収することにより化合物(I')を単離し、次いで、抽出、濃縮、結晶化、クロマトグラフィーなどによって化合物(I')を精製することができる。
以下、実施例、試験例を挙げて、本発明の有用性を具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
実施例1:トウガラシ植物体中の新規物質の同定
京都産の無辛味トウガラシ(京都大学農学部圃場産,83g)を凍結乾燥し、13gの凍結乾燥品を得た。得られた凍結乾燥物を細かく刻み、酢酸エチル(130 ml)で抽出した。
得られた粗抽出物(0.9 g)をシリカゲルカラム(内径20mmx高さ300mm)で分画し、ヘキサン:酢酸エチル=8:2の混合溶媒溶出画分(34 mg)を得た。これを、逆相シリカゲルカラム(J’s sphere-ODS H80 (YMC) 20x150mm)を用いた下記HPLC条件で分画し、ピークXを含む画分(化合物X,5.1mg)とピークYを含む画分(化合物Y,0.8mg)をそれぞれ得た。HPLCチャートを図1に示す。
HPLC条件:
カラム:J’s sphere-ODS H80 (YMC) 4.6x150mm
溶媒: 85% MeOH (0.1% TFA 含有)
流速: 0.5ml/min
検出波長: UV280nm
それぞれの画分は、混合物であったが、NMRデータにより、化合物Xおよび化合物Yの構造を、それぞれ8-メチル-6-ノネン酸コニフェリルおよび8-メチルノナン酸コニフェリルと推定した。下記実施例5および2に記載の方法に従って合成した各化合物のNMRデータならびにHPLCデータと比較したところ、それぞれ化合物Xおよび化合物Yを含む画分のスペクトルと完全に一致した。
以上の解析の結果、HPLCによる分析中に認められたピークX(化合物X)及びピークY(化合物Y)は、それぞれ以下の化合物1および化合物2の構造を有することが認められた。
化合物X((E)-8-メチル-6-ノネン酸コニフェリル、化合物1)
IR (film) νmax 3430, 2960, 2870, 1730, 1600, 1510, 1460, 1430, 1380, 1270, 1160, 1120, 1030, 970, 860, 800 cm-1;
UV (MeOH) λmax (ε) 297 (4900), 268 (10000) nm;
1H-NMR (CDCl3) δ 6.91 (1H, d, J = 1.6 Hz, H-2'), 6.90 (1H, dd, J = 8.0, 1.6 Hz, H-6’), 6.86 (1H, d, J = 8.0 Hz, H-5'), 6.57 (1H, d, J = 15.6 Hz, H-7'), 6.13 (1H, dt, J = 15.6, 6.4 Hz, H-8'), 5.38 (1H, dd, J = 15.6, 5.6 Hz, H-7), 5.32 (1H, dt, J = 15.6, 6.4 Hz, H-6), 4.71 (2H, d, J = 6.8 Hz, H-9'), 3.89 (3H, s, OCH3), 2.34 (2H, t, J = 7.2 Hz, H-2), 2.21 (1H, oct, J = 6.4 Hz, H-8), 1.99 (2H, q, J = 6.8 Hz, H-5), 1.65 (2H, quint, J = 7.6 Hz, H-3), 1.39 (2H, quint, J = 7.6 Hz, H-4), 0.95 (3H, d, J = 6.8 Hz, H-9); 0.95 (3H, d, J = 6.8 Hz, H-10);
13C-NMR (CDCl3) δ 173.7 (C-1), 146.7 (C-3'), 145.9 (C-4'), 138.1 (C-7), 134.4 (C-7'), 128.9 (C-1'), 126.5 (C-6), 121.0 (C-8'), 120.6 (C-6'), 114.5 (C-5'), 108.4 (C-2'), 65.1 (C-9'), 55.9 (OCH3), 34.3 (C-2), 32.1 (C-5), 31.0 (C-8), 29.1 (C-4), 24.5 (C-3), 22.7 (C-9), 22.7 (C-10).
化合物Y(8-メチルノナン酸コニフェリル、化合物2)
IR (film) νmax 3430, 2930, 2860, 1730, 1600, 1510, 1460, 1430, 1370, 1270, 1160, 1120, 1030, 960, 860, 800 cm-1;
UV (MeOH) λmax (ε) 297 (5300), 268 (11100) nm;
1H-NMR (CDCl3) δ 6.91 (1H, d, J = 1.6 Hz, H-2'), 6.90 (1H, dd, J = 8.0, 1.6 Hz, H-6'), 6.86 (1H, d, J = 8.0 Hz, H-5'), 6.57 (1H, d, J = 15.6 Hz, H-7'), 6.14 (1H, dt, J = 15.6, 6.4 Hz, H-8'), 5.69 (1H, s, OH), 4.71 (2H, d, J = 6.8 Hz, H-9'), 3.90 (3H, s, OCH3), 2.34 (2H, t, J = 7.2 Hz, H-2), 1.65 (2H, quint, J = 7.6 Hz, H-3), 1.50 (1H, m, H-8), 1.30 (1H, m, H-5), 1.25 (1H, m, H-6), 1.25 (1H, m, H-4), 1.13 (2H, q, J = 6.5 Hz, H-7), 0.85 (3H, d, J = 6.8 Hz, H-9); 0.85 (3H, d, J = 6.8 Hz, H-10);
13C-NMR (CDCl3) δ 173.7 (C-1), 146.7 (C-3'), 145.9 (C-4'), 134.4 (C-7'), 128.9 (C-1'), 121.0 (C-8'), 120.6 (C-6'), 114.5 (C-5'), 108.4 (C-2'), 65.1 (C-9'), 55.9 (OCH3), 38.9 (C-7), 34.4 (C-2), 29.5 (C-4), 29.2 (C-5), 27.9 (C-8), 27.2 (C-6), 25.0 (C-3), 22.6 (C-9), 22.6 (C-10).
実施例2〜4:8-メチルノナン酸コニフェリル(化合物2)
<脂肪酸量の検討>
5mL容スクリューバイアルに、コニフェリルアルコール(10 mM)及び8-メチルノナン酸(実施例2:200 mM,実施例3:50 mM,実施例4:10 mM)のアセトン(1 mL)溶液を入れ、これにNovozym 435 (5 mg、ノボザイム社製)及びモレキュラシーブ4Å(20 mg)を加え、密封後、50℃でゆっくりと振とうした。
経時的に溶液の一部をサンプリングし、HPLCにて生成する化合物2と残存するコニフェリルアルコールを定量した。結果を図2に示す。
8-メチルノナン酸をコニフェリルアルコールに対して20当量用いた場合、反応は5時間で平衡に達し、その時の化合物2の収率は60%、残存するコニフェリルアルコールは40%であった。HPLC分析において、副反応物は見られなかった。
8-メチルノナン酸の量を減らすと化合物2の平衡収率は低下した(実施例3:40%、実施例4:13%)。
実施例5:(E)-8-メチル-6-ノネン酸コニフェリル(化合物1)
8-メチルノナン酸(200 mM)にかえて、(E)-8-メチル-6-ノネン酸(200 mM)を用いるほかは実施例2と同様にして、化合物1を得た。
実施例6〜9:8-メチルノナン酸コニフェリル(化合物2)
<リパーゼ種の検討>
5mL容スクリューバイアルに、コニフェリルアルコール(10 mM)及び8-メチルノナン酸(50 mM)のアセトン(1 mL)溶液を入れ、これにリパーゼ (5 mg,実施例6:Novozym 435(ノボザイム社製),実施例7:Lipase AK(天野エンザイム社製),実施例8:Lipase PL(名糖産業社製),実施例9:Lipase QL(名糖産業社製))及びモレキュラシーブ4Å(20 mg)を加え、密封後、50℃でゆっくりと振とうした。
経時的に溶液の一部をサンプリングし、HPLCにて生成する化合物2と残存するコニフェリルアルコールを定量した。結果を図3に示す。
Novozym 435が最も収率が高く、他のリパーゼでは収率が低下した。
実施例10〜14:8-メチルノナン酸コニフェリル(化合物2)
<溶媒の検討>
5mL容スクリューバイアルに、コニフェリルアルコール(10 mM)及び8-メチルノナン酸(50 mM)の溶液(1 mL,実施例10:アセトン,実施例11:ジオキサン,実施例12:アセトニトリル,実施例13:テトラヒドロフラン,実施例14:クロロホルム)を入れ、これにNovozym 435 (5 mg、ノボザイム社製)及びモレキュラシーブ4Å(20 mg)を加え、密封後、50℃でゆっくりと振とうした。
経時的に溶液の一部をサンプリングし、HPLCにて生成する化合物2と残存するコニフェリルアルコールを定量した。結果を図4に示す。
アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルで比較的高い収率を示した。
実施例15〜17:8-メチルノナン酸コニフェリル(化合物2)
<反応温度の検討>
5mL容スクリューバイアルに、コニフェリルアルコール(10 mM)及び8-メチルノナン酸(50 mM)のアセトン(1 mL)溶液を入れ、これにNovozym 435 (5 mg、ノボザイム社製)及びモレキュラシーブ4Å(20 mg)を加え、密封後、ゆっくりと振とうした(実施例15:25℃,実施例16:50℃,実施例17:75℃)。
経時的に溶液の一部をサンプリングし、HPLCにて生成する化合物2と残存するコニフェリルアルコールを定量した。結果を図5に示す。
反応温度の間で、収率の顕著な差はみられなかった。
実施例18〜20:ノナン酸コニフェリル
<脂肪酸またはそのエステルの検討>
5mL容スクリューバイアルに、コニフェリルアルコール(10 mM)及び脂肪酸(50 mM,実施例18:ノナン酸,実施例19:ノナン酸メチル,実施例20:ノナン酸エチル)のアセトン(1 mL)溶液を入れ、これにNovozym 435 (5 mg、ノボザイム社製)及びモレキュラシーブ4Å(20 mg)を加え、密封後、ゆっくりと振とうした。
経時的に溶液の一部をサンプリングし、HPLCにて生成するノナン酸コニフェリルと残存するコニフェリルアルコールを定量した。結果を図6に示す。
脂肪酸とそのエステルとの間で、収率の顕著な差はみられなかった。
実施例21:9−メチルデカン酸コニフェリル(化合物3、YA84)
8−メチルノナン酸の代わりに9−メチルデカン酸を用いる以外は実施例2と同様にして9−メチルデカン酸コニフェリルを得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 6.85-6.92 (3H, m), 6.57 (1H, d, J = 15.8 Hz), 6.14 (1H, dt, J = 15.8 Hz, 6.6 Hz), 5.66 (1H, s), 4.71 (2H, d, J = 6.6 Hz), 3.91 (3H, s), 2.34 (2H, t, J = 7.4 Hz), 1.64 (2H, m), 1.50 (1H, m), 1.20-1.40 (8H, m), 1.15 (2H, m), 0.86 (6H, d, J = 6.6 Hz).
実施例22:8−メチルデカン酸コニフェリル(化合物4、YA91)
8−メチルノナン酸の代わりに8−メチルデカン酸を用いる以外は実施例2と同様にして8−メチルデカン酸コニフェリルを得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 6.85-6.92 (3H, m), 6.58 (1H, d, J = 15.8 Hz), 6.15 (1H, dt, J = 15.8 Hz, 6.6 Hz), 5.65 (1H, s), 4.71 (2H, d, J = 6.6 Hz), 3.91 (3H, s), 2.34 (2H, t, J = 7.4 Hz), 1.64 (3H, m), 1.29 (8H, m), 1.10 (2H, m), 0.84 (3H,t), 0.83 (3H, d).
実施例23:6−メチルオクタン酸コニフェリル(化合物5、YA89)
8−メチルノナン酸の代わりに6−メチルオクタン酸を用いる以外は実施例2と同様にして6−メチルオクタン酸コニフェリルを得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 6.85-6.92 (3H, m), 6.57 (1H, d, J = 15.7 Hz), 6.15 (1H, dt, J = 15.7 Hz, 6.6 Hz), 5.66 (1H, s), 4.71 (2H, d, J = 6.6 Hz), 3.91 (3H, s), 2.35 (2H, t, J = 7.5 Hz), 1.64 (3H, m), 1.31 (4H, m), 1.12 (2H, m), 0.84 (3H, t, J = 7.4 Hz), 0.83 (3H, d, J = 6.9Hz).
実施例24
7−メチルノナン酸コニフェリル(化合物13、YA90)
8−メチルノナン酸の代わりに7−メチルノナン酸を用いる以外は実施例2と同様にして7−メチルノナン酸コニフェリルを得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 6.85-6.92 (3H, m), 6.57 (1H, d, J = 15.8 Hz), 6.14 (1H, dt, J = 15.8 Hz, 6.6 Hz), 5.65 (1H, s), 4.71 (2H, d, J = 6.6 Hz), 3.91 (3H, s), 2.35 (2H, t, J = 7.4 Hz), 1.65(3H, m), 1.31 (6H, m), 1.11 (2H, m), 0.85 (3H, d), 0.84 (3H, t).
実施例25
7−メチルオクタン酸コニフェリル(化合物14、YA95)
8−メチルノナン酸の代わりに7−メチルオクタン酸を用いる以外は実施例2と同様にして7−メチルオクタン酸コニフェリルを得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 6.85-6.92 (3H, m), 6.58 (1H, d, J = 15.7 Hz), 6.15 (1H, dt, J = 15.7 Hz, 6.6 Hz), 5.66 (1H, s), 4.71 (2H, d, J = 6.6 Hz), 3.91 (3H, s), 2.34 (2H, t, J = 7.3 Hz), 1.65 (2H, m), 1.50 (1H, m), 1.31 (4H, m), 1.17 (2H, m), 0.86 (6H, d, J = 6.6 Hz).
試験例1:カプサイシンレセプター刺激活性の測定
ラットC6 glioma細胞からカプサイシンレセプターであるTRPV1のcDNAをクローニングし、ヒト胎児腎由来細胞HEK293にTRPV1 cDNAを導入し、TRPV1蛋白質を安定的に発現しているHEK293VR11細胞をG418の存在下で選別・樹立した。細胞内Ca2+指示薬であるFura-2 AMを含む緩衝液で細胞を懸濁させて蛍光色素を細胞に取り込ませ、試験化合物添加後1分間の細胞内Ca2+濃度の変化をCAF-110(日本分光)で測定した。10μMのカプサイシンを添加したときの細胞内Ca2+濃度の最大値を100として、相対活性を求めた。
結果を図7に示す。化合物1(X)および2(Y)のTRPV1最大刺激作用はそれぞれ、カプサイシンによるTRPV1最大刺激作用の約20%程度の活性を示した。TRPV1は、知覚神経・迷走神経を介して交感神経を賦活することが知られており、この結果から、化合物1または2を含む本発明の化合物が交感神経賦活剤として利用可能であることが見出された。
試験例2:各種誘導体のカプサイシンレセプター刺激活性の測定
試験例1に記載の方法と同様にして、実施例21〜25記載の方法に従って合成した、以下の化合物について10μMのカプサイシンを添加したときの細胞内Ca2+濃度の最大値を100として相対活性を求めた。なお比較例として、カプサイシン(CAP)、カプシエイト(CST)、試験例1の化合物X、Yの活性も測定した。結果を図8に示す。これらの本発明の化合物についても、交感神経賦活剤として利用可能であることが見出された。
(1)YA95 (7−メチルオクタン酸コニフェリル、化合物14)
(2)YA89 (6-メチルオクタン酸コニフェリル、化合物5)
(3)YA90 (7−メチルノナン酸コニフェリル、化合物13)
(4)YA91 (8-メチルデカン酸コニフェリル、化合物4)
(5)YA84 (9-メチルデカン酸コニフェリル、化合物3)
本発明の化合物は、交感神経賦活作用を有することにより、脂肪燃焼に寄与することが考えられ、交感神経賦活剤、ダイエット用途の食品素材等として好適に使用可能である。
トウガラシ抽出精製画分のHPLCチャートである(実施例1)。 酵素反応における、脂肪酸量の検討結果を示すグラフである(実施例2〜4)。 酵素反応における、リパーゼ種の検討結果を示すグラフである(実施例5〜9)。 酵素反応における、溶媒の検討結果を示すグラフである(実施例10〜14)。 酵素反応における、反応温度の検討結果を示すグラフである(実施例15〜17)。 酵素反応における、脂肪酸エステルを使用した場合の検討結果を示すグラフである(実施例15〜17)。 カプサイシンレセプターに対する本発明化合物の刺激活性を示すグラフである(試験例1)。 カプサイシンレセプターに対する本発明化合物の刺激活性を示すグラフである(試験例2)。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)

    (式中、Xはエチレン基又はビニレン基を示し、m及びnはそれぞれ、m+n=2〜8を満足する0〜7の整数を示し、R1及びR2はそれぞれ独立して、メチル基又はエチル基を示す。)で表わされる化合物の一種以上を含有する交感神経賦活用医薬組成物
  2. Xがエチレン基であり、m及びnはそれぞれ、m+n=4を満足する整数であり、R1及びR2がメチル基である請求項1記載の医薬組成物
  3. Xがビニレン基であり、mが4であり、nが0であり、R1及びR2がメチル基である請求項1記載の医薬組成物
  4. 下記一般式(I’)

    (式中、Xはエチレン基又はビニレン基を示し、l及びkはそれぞれ、l+k=2〜8を満足する0〜7の整数を示し、R1’及びR2’はそれぞれ独立して、メチル基又はエチル基を示す。)で表わされる化合物の1種以上を有効成分として含有する、交感神経賦活剤。
  5. lが4であり、kが0であり、R1’及びR2’がメチル基である請求項記載の交感神経賦活剤。
  6. 抗肥満剤、免疫賦活剤、血行促進剤または鎮痛剤の有効成分として含有される、請求項または記載の交感神経賦活剤。
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