JP4961579B2 - 近赤外分光を用いた慢性疲労症候群(cfs)診断法および装置 - Google Patents

近赤外分光を用いた慢性疲労症候群(cfs)診断法および装置 Download PDF

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Description

本発明は、近赤外分光法により慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・診断を行う方法、及び同方法に使用する装置に関するものである。
現在、慢性疲労症候群(CFS)の診断は臨床症状を指標に行われている。具体的には、 (1)生活が著しく損なわれるような強い疲労を主症状とし、少なくとも6ヶ月以上の期間持続ないし再発を繰り返す(50%以上の期間認められること)、(2)病歴、身体所見、検査所見で既知の器質的疾患やうつ病と異なること、が大基準(大クライテリア)として厚生省CFS診断基準に定められている(後記の非特許文献1参照)。
また、以下の症状クライテリア、および身体所見クライテリアが小基準(小クライテリア)として厚生省CFS診断基準に定められている。
A)症状クライテリア(以下の症状が6月以上にわたり持続または繰り返し生ずること)1. 徴熱(腋窩温37.2〜38.3℃)ないし悪寒 2. 咽頭痛 3. 頸部あるいは腋窩リンパ節の腫張 4. 原因不明の筋力低下 5. 筋肉痛ないし不快感 6. 軽い労作後に24時間以上続く全身倦怠感 7. 頭痛 8. 腫脹や発赤を伴わない移動性関節痛 9. 精神神経症状(いずれか1つ以上)羞明,一過性暗点,物忘れ,易刺激性,錯乱,思考力低下,集中力低下,抑うつ 10. 睡眠障害(過眠,不眠)11. 発症時,主たる症状が数時間から数日の間に発現、
B)身体所見クライテリア(少なくとも1月以上の間隔をおいて2回以上医師が確認)1. 微熱 2. 非浸出性咽頭炎 3. リンパ節の腫大(頸部,腋窩リンパ節)
そして、上記の大クライテリア2項目、小クライテリア(症状クライテリア11項目,身体所見クライテリア3項目)より構成され、大クライテリア2項目に加えて小クライテリアの症状クライテリア8項目以上か、症状クライテリア6項目+身体所見クライテリア2項目以上満たすと「CFS」と診断されている。大クライテリア2項目を備えるが、小クライテリアで診断基準を満たさない例は「CFS疑診例」とされている。上記基準で診断されたCFS(疑診例は除く〉のうち、感染症が確診された後、それに続発して症状が発現した例は「感染後CFS」と呼ばれている。
しかし、上記方法は、医師による臨床症状所見にたよるため、客観的で技術および経験を必要としない診断法が必要とされている。
ところで最近では、種々の分野で近赤外線を用いた成分分析が行われている。例えば、可視光及び/又は近赤外線を試料に照射して、特定成分に吸収される波長帯を検出することで、前記特定成分を定量分析することが行われている。
これは、例えば石英セル中に試料を注入し、これに近赤外分光器(例えば、ニレコ社製近赤外分光器NIRSystem6500)を用いて、400nm〜2500nmの波長範囲の可視光及び/又は近赤外線を照射して、その透過光、反射光、又は透過反射光を分析することで行う。
一般に、近赤外線は、物質の吸光係数が非常に小さく散乱を受け難く、エネルギーの低い電磁波であるので、試料にダメージを与えることなく化学的・物理的情報を得ることができる。
そのために、試料からの透過光等を検出して、試料の吸光度データを求めて、得られた吸光度データを多変量解析することで、直ちに試料の情報を得ることができ、例えば生体分子の構造や機能の変化の過程を直接的にまたリアルタイムに捉えることができる。
このような近赤外線分光法に関する従来技術として、下記の特許文献1・2記載のものが挙げられる。特許文献1には、可視−近赤外線を用いて被検体から情報を得る方法、具体的には、未知の被検体が属する群を判別する方法、未知の被検体を同定する方法、及び被検体における経時変化をリアルタイムでモニターする方法が開示されている。近赤外線分光法によるCFS診断法については当該文献に開示されていない。
特許文献2には、可視光及び/又は近赤外線領域における水分子の吸収バンドを用いて、得られた吸光度データを多変量解析することで、牛乳または乳房中の体細胞を測定して牛の乳房炎の診断を行う方法が開示されている。その他の従来技術として、非特許文献2には、慢性疲労症候群(CFS)の臨床症状および現在考えられている発病機構について開示されている。
厚生省CFS診断基準試案(平成7年3月) Adler RH. Chronic fatigue syndrome (cfs)., Swiss Med Wkly. (2004) 134:268-76. 特開2002−5827号公報(第1−9頁、第1図) 国際公開WO01/75420号公報(第1−5頁、第1図)
前述のように、CFS診断において、簡易、迅速かつ高精度な検査・診断法が求められている。特に、大量の検体を一斉に検査する必要がある場合などには、このような簡易迅速な検査法開発の要請が高い。
そこで、本発明は、近赤外線分光法を使用して、簡易、迅速かつ高精度にCFSに関する検査・診断を行うための新規な方法および装置を提供することをその課題とする。
本発明者は、上記の課題に鑑み鋭意研究を進めた結果、近赤外線分光法によってCFSの検査・診断が可能であること、特に、可視光−近赤外線(VIS−NIR)スペクトルの測定方法、および、得られたスペクトルデータの解析方法を工夫して解析モデルを作成することにより、当該解析モデルを用いた良好な検査・診断が可能であること、等を見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、医療上及び産業上有用な発明として、以下の発明を包含するものである。
A) 波長400nm〜2500nmの範囲またはその一部範囲の波長光を被検者その他動物由来の検体試料に照射し、その反射光、透過光または透過反射光を検出して吸光度スペクトルデータを得た後、その中の測定全波長あるいは特定波長の吸光度を、予め作成した解析モデルを用いて解析することによって定量的または定性的に慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・判定(診断)を行う方法。
B) PLS法などの回帰分析により作成した定量モデルを用いて、慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・判定を行うことを特徴とする上記A)記載の検査・判定方法。
C) SIMCA法などのクラス判別解析により作成した定性モデルを用いて、慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・判定を行うことを特徴とする上記A)記載の検査・判定方法。
D) 600−700nm、700−900nm、950−960nm、1020nm、および1080nm内の各波長の±5nmの範囲の複数の波長域から選ばれる、2以上の波長の吸光度スペクトルデータを用いた解析によって、慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・判定を行うことを特徴とする上記A)〜C)のいずれかに記載の検査・判定方法。
E) 650nm、670nm、700−715nm、740nm、850nm、950−960nm、1020nm、および1080nm内の各波長の±5nmの範囲の複数の波長域から選ばれる、2以上の波長の吸光度スペクトルデータを用いた解析によって、慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・判定を行うことを特徴とする上記A)〜C)のいずれかに記載の検査・判定方法。
F) 前記検体試料が、血液(血漿・血清を含む)、尿、その他の体液、組織、組織抽出液、または、耳、手足の指先など生体の一部であることを特徴とする上記A)〜E)のいずれかに記載の検査・判定方法。
G) 上記A)記載の方法に使用される解析モデル。
H) 600−700nm、700−900nm、950−960nm、1020nm、および1080nm内の各波長の±5nmの範囲の複数の波長域から選ばれる、2以上の波長の吸光度スペクトルデータを用いて解析することを特徴とする上記G)記載の解析モデル。
I) 650nm、670nm、700−715nm、740nm、850nm、950−960nm、1020nm、および1080nm内の各波長の±5nmの範囲の複数の波長域から選ばれる、2以上の波長の吸光度スペクトルデータを用いて解析することを特徴とする上記G)記載の解析モデル。
J) 上記A)記載の方法に使用される解析モデルの作成、更新、または作成した解析モデルを用いた検査・診断をコンピュータに実行させる、慢性疲労症候群(CFS)の検査・診断用プログラム。
K) 波長400nm〜2500nmの範囲またはその一部範囲の波長光を被検者その他動物由来の検体試料に照射する投光手段と、
投光前又は投光後に分光する分光手段、および、前記試料に照射された光の反射光、透過光または透過反射光を検出する検出手段と、
検出により得られた吸光度スペクトルデータの中の測定全波長あるいは特定波長の吸光度を、予め作成した解析モデルを用いて解析することによって定量的または定性的に慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・診断を行うデータ解析手段と、を備えたことを特徴とする検査・診断装置。
L) PLS法などの回帰分析により作成した定量モデルを用いて、慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・診断を行うことを特徴とする上記K)記載の検査・診断装置。
M) SIMCA法などのクラス判別解析により作成した定性モデルを用いて、慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・診断を行うことを特徴とする上記K)記載の検査・診断装置。
N) 600−700nm、700−900nm、950−960nm、1020nm、および1080nm内の各波長の±5nmの範囲の複数の波長域から選ばれる、2以上の波長の吸光度スペクトルデータを用いた解析によって、慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・診断を行うことを特徴とする上記K)〜M)のいずれかに記載の検査・診断装置。
O) 650nm、670nm、700−715nm、740nm、850nm、950−960nm、1020nm、および1080nm内の各波長の±5nmの範囲の複数の波長域から選ばれる、2以上の波長の吸光度スペクトルデータを用いた解析によって、慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・診断を行うことを特徴とする上記K)〜M)のいずれかに記載の検査・診断装置。
P) 前記検体試料が、血液(血漿・血清を含む)、尿、その他の体液、組織、組織抽出液、または、耳、手足の指先など生体の一部であることを特徴とする上記K)〜O)のいずれかに記載の検査・診断装置。
本発明によれば、客観的、簡易迅速かつ高精度にCFSに関する検査・診断が可能である。簡易迅速であるため、大量の検体を一斉に検査する必要がある場合などに特に有用である。
本発明によれば、たとえば血漿・血清など血液由来の試料を使用して、CFSの診断が可能である。そのほか、試料には、尿その他の体液、耳や手足の指先など生体の一部を検体として、生体を傷つけることなく非侵襲的に検査することも可能である。
本発明における解析モデルの作成方法、および作成した解析モデルによるCFSの検査・診断について説明する図である。 本発明の実施例1に係るCFS検査において、5倍希釈した各検体試料のSIMCA解析により得られたCoomans Plotを示すグラフである。 本発明の実施例1に係るCFS検査において、SIMCA解析を行った結果得られた、各波長(横軸)における識別力(縦軸)を示すグラフである。 本発明の実施例2に係るCFS検査において、PCAにより得られた解析モデル(PCAモデル)を用いた検査・診断結果であり、グラフAは、第1主成分(PC1)軸および第2主成分(PC2)軸に対して各試験サンプルのPCAスコアをプロットしたもの、グラフBは、PC1軸およびPC2軸に対して各未知サンプルのPCAスコアをプロットしたものであり、いずれも○印は健常者の検体、●印はCFS患者の検体である。またグラフCは、上記PCAモデルにおけるPC1(実線)およびPC2(破線)のローディングを示す。 本発明の実施例2に係るCFS検査において、SIMCA法により得られた解析モデル(SIMCAモデル)を用いた検査・診断結果であり、グラフAは、各試験サンプルについて健常者群(○印)とCFS患者群(●印)とを良好にクラス分けできたことを示すCoomans Plot、グラフBは、各未知サンプルについて健常者群(○印)とCFS患者群(●印)とを良好に判別し予測することができたことを示すCoomans Plot、またグラフCは、上記SIMCAモデルの各波長における識別力を示す。 本発明の実施例3に係るCFS検査において、SIMCA解析(Factor10)を行った結果得られた、各波長(横軸)における識別力(縦軸)を示すグラフである。 本発明の実施例3に係るCFS検査において、SIMCA解析(Factor20)を行った結果得られた、各波長(横軸)における識別力(縦軸)を示すグラフである。
以下では、本発明の実施の一形態として、CFSに関する検査・診断を行う装置(以下、「本装置」という。)について、図面を参照しながら説明する。
〔1〕本装置によるVIS−NIRスペクトル測定とデータの解析方法
[1. 1]VIS−NIRスペクトル測定の概略
本装置による検査・診断は、本発明の方法を採用し、即ち、(a)波長400nm〜2500nmの範囲またはその一部範囲の波長光を被検者その他動物由来の検体試料に照射し、(b)その反射光、透過光または透過反射光を検出して吸光度スペクトルデータを得た後、(c)その中の測定全波長あるいは特定波長の吸光度を、予め作成した解析モデルを用いて解析することによってCFSに関する検査・判定を行う。
本装置の第1の特徴点は、客観的、簡易迅速かつ高精度にCFS診断を行う点にある。検体試料に照射する波長の範囲は、400nm〜2500nmの範囲またはその一部の範囲(例えば600〜1100nm)である。この波長の範囲は、解析モデルを作成した後、この解析モデルによる検査・判定に必要な波長光を含む、1又は複数の波長域として設定することができる。
光源としては、ハロゲンランプ・LED等を使用できるが、特に限定されるものではない。光源から発せられた光は、直接またはファイバープローブ等の投光手段を介して検体試料に照射される。後述のように、試料に照射する前に分光器によって分光する前分光方式を採用してもよいし、照射後に分光する後分光方式を採用してもよい。前分光方式の場合は、光源からの光をプリズムで一度に同時に分光する方法と、回折格子のスリット間隔を変化させることにより連続的に波長を変化させる方法とがある。後者の方法の場合には、光源からの光を所定の波長幅で分解することによって、連続的に波長を変化させた連続波長光が試料に照射される。後述の実施例では、600〜1100nmの範囲の波長光を波長分解能2nmで分解し、波長を2nmずつ連続的に変化させた光を試料に照射している。
試料に照射された光の反射光、透過光または透過反射光が検出器により検出され、生の吸光度スペクトルデータが得られる。生の吸光度スペクトルデータをそのまま使用して解析モデルによる検査・判定を行ってもよいが、得られたスペクトル中のピークを分光学的手法あるいは多変量解析手法により要素ピークに分解するなどのデータ変換処理を行い、変換後の吸光度スペクトルデータを使用して解析モデルによる検査・判定を行うことが好ましい。分光学的手法としては、例えば、2次微分処理やフーリエ変換があり、多変量解析手法としてはウェブレット変換、ニューラルネットワーク法等が例示されるが、特に限定されるものではない。
[1. 2]データの解析方法(解析モデルの作成)
本装置は、上述のようにして得られた吸光度スペクトルデータの中の特定波長(または測定全波長)の吸光度を解析モデルで解析することによって、CFSの検査・診断を行う。つまり、最終的な検査・診断を行うには、解析モデルが予め作成されていることを要する。もっとも、この解析モデルはスペクトル測定時にあわせて作成することとしてもよい。
すなわち、解析モデルは測定前に予め作成しておくことが望ましいが、測定時に取得するスペクトルデータを解析モデル作成用と検査・診断用とに2分割し、解析モデル作成用データをもとに得られた解析モデルを使用して検査・診断を行ってもよい。例えば、大量の検体を一斉に検査する場合、検体試料の一部を解析モデル作成用とする。この場合は、測定時に解析モデルを作成することになる。この手法では教師データが無くても解析モデルを作成できる。定量および定性モデルの両方に対応可能である。
解析モデルは多変量解析によって作成可能である。例えば、CFSに関する検査として疲労度(症状の程度や進行度)を予測する場合、スペクトル測定により取得した全波長の吸収スペクトルを格納するデータ行列を特異値分解によりスコアとローディングとに分解し、試料中の疲労度の変動を要約する主成分を抽出する(主成分分析)。これにより、共線性(=説明変量間の相関が高いこと)の少ない独立な成分を重回帰分析に使用できるようになる。そして説明変量をスコア、目的変量を疲労度とする重回帰分析を適用する。これにより、測定全波長あるいは特定波長の吸収スペクトルから疲労度を推定する解析モデルを作成できる。これら一連の作業(多変量解析)は主成分回帰法(PCR: Principal Component Regression)あるいはPLS(Partial Least Squares)回帰法として確立されている(参考文献:尾崎幸洋、宇田明史、赤井俊男「化学者のための多変量解析−ケモメトリックス入門」、講談社、2002年)。回帰分析法としてはこのほかにCLS(Classical Least Squares)法、クロスバリデーション法などが挙げられる。
上記方法は定量的解析モデル作成の場合であったが、定性的解析モデルの作成には、クラス判別用の主成分分析法(PCA:Principal Component Analysis)、SIMCA法(soft independent modeling of class analogy)、KNN法(k nearest neighbors)等の多変量解析を適用することができる。SIMCA法は、複数のグループ(クラス)についてそれぞれ主成分分析を行い、各クラスの主成分モデルを作成する。そして、未知試料が各クラスの主成分モデルに対して比べられ、その未知試料が一番適合する主成分モデルのクラスに割り当てられる。また、SIMCA法などのクラス判別解析は、パターン認識により吸収スペクトルや回帰ベクトルを各クラスに分類する方法ということができる。
上記SIMCA法やPLS法などの多変量解析を使用した解析モデルの作成は、自作ソフトや市販の多変量解析ソフトを用いて行うことができる。また、CFSの検査・診断用プログラムとして使用目的に特化したソフトの作成により、迅速な解析が可能になる。
このような多変量解析ソフトを用いて組み立てられた解析モデルをファイルとして保存しておき、未知試料の検査・診断時にこのファイルを呼び出し、未知試料に対して解析モデルを用いた定量的または定性的な検査・診断を行う。これにより、簡易迅速なCFSの検査・診断が可能になる。なお解析モデルは、定量モデル、定性モデルなど複数の解析モデルをファイルとして保存しておき、各モデルは適宜更新されることが好ましい。
このように、本発明の検査・診断用プログラム(解析ソフト)は、解析モデルの作成、更新、あるいは、作成した解析モデルを用いてサンプルのスペクトルデータからCFSに関する検査・診断をコンピュータに実行させるものである。本発明のプログラムは、これを記録した、コンピュータで読み取り可能な記録媒体として提供することができる。このような記録媒体としては、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記憶媒体、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW等の光学記憶媒体、RAMやROM等の電気記憶媒体、およびMO等の磁気/光学記憶媒体を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
解析モデルが作成されれば、当該解析モデルによる検査・診断に必要な波長光が決定される。本装置は、こうして決定された1又は複数の波長域を試料に照射する構成とすることで装置構成をより単純化することができる。
尚、後述の実施例に示すように解析の結果、CFSに関する検査・判定において、600−700nm(特に650nmおよび670nm)、700−900nm(特に700−715nm、740nmおよび850nm)、950−960nm、1020nm、および1080nmが検査に有効な波長と判断されたので、これら各波長の±5nmの範囲の複数の波長域から選ばれる、2以上(好ましくは2〜15個もしくは5〜10個程度)の波長の吸光度スペクトルデータを用いた解析によってCFSに関する検査を行うことは好ましく、また、これらの波長の吸光度スペクトルデータを用いて解析モデルを作成することは好ましい。
以上説明した解析モデル作成ステップ、および解析モデルによるCFS検査・診断ステップをまとめたものが図1に示される。解析モデル作成ステップでは、たとえば健常者血漿とCFS患者血漿をサンプルに使用して近赤外分光測定、続いて得られたスペクトルデータの前処理を行う。そして、既存のCFS検査・診断結果を参照しながら多変量解析を行い、解析モデルを作成する。こうして作成した解析モデルを用いて未知サンプルのCFS検査・診断を行い、あるいは解析モデルの作成に使用したデータ(波長情報)を含めてCFSの検査・診断を行うことで、解析モデルを評価することができる。以前作成した解析モデルよりも評価の高い解析モデルが得られれば、更新するなどして適宜モデルを再構築すればよい。
〔2〕本装置の具体的構成
本装置の検査・診断システムの構成としては、(i) プローブ(投光部)、(ii) 分光・検出部、(iii) データ解析部および(iv) 結果表示部の4つの要素を備えて構成することができる。以下では、各要素について説明する。
[2. 1]プローブ(投光手段)
プローブは、ハロゲンランプ・LED等の光源からの光(波長400nm〜2500nmの全範囲またはその一部範囲)を測定対象である試料に導く機能を有する。例えばファイバープローブとし、柔軟な光ファイバーを介して測定対象(試料)に投光する構成が挙げられる。一般に近赤外線分光器のプローブは安価に作製することができ、低コストである。
なお、光源から発せられた光を直接測定対象である試料に投光する構成としてもよいが、その場合プローブは不要であり、光源が投光手段として機能する。
前述のように、解析モデルが作成されれば、当該解析モデルによる検査・診断に必要な波長光が決定される。本装置は、こうして決定された1又は複数の波長域を試料に照射する構成とすることで装置構成をより単純化することができる。
[2. 2]分光・検出部(分光手段および検出手段)
本装置は、測定システムとして近赤外線分光器の構成を有する。近赤外線分光器は一般に、光を測定対象物に照射し、この対象物からの反射光や透過光あるいは透過反射光を検出部で検出する。さらに、検出された光について波長別に入射光に対する吸光度が測定される。
分光方式には前分光と後分光とがある。前分光は、測定対象物に投光する前に分光する。後分光は、測定対象物からの光を検出し分光する。本装置の分光・検出部は、前分光、後分光いずれの分光方式を採用するものであってもよい。
検出方法には3種類あり、反射光検出、透過光検出および透過反射光検出がある。反射光検出および透過光検出は、それぞれ、測定対象物からの反射光と透過光とを検出器によって検出する。透過反射光検出は、入射光が測定対象物内に入射した屈折光が物体内で反射し、再び物体外に放射された光を検出する。本装置の分光・検出部は、反射光検出、透過光検出および透過反射光検出のいずれの検出方式を採用するものであってもよい。
分光・検出部内の検出器は、例えば半導体素子であるCCD(Charge Coupled Device)などによって構成することができるが、勿論これに限定されるものではなく、他の受光素子を使用してもよい。分光器についても公知の手段によって構成することができる。
[2. 3]データ解析部(データ解析手段)
分光・検出部から波長別の吸光度、即ち吸光度スペクトルデータが得られる。データ解析部は、この吸光度スペクトルデータをもとに、前述のように予め作成した解析モデルを使用して、CFS診断を行う。
解析モデルは、定量モデル、定性モデルなど複数の解析モデルを用意しておき、定量的評価を行うか、あるいは定性的評価を行うかに応じて、異なるものを使用してもよい。
データ解析部は、スペクトルデータ、多変量解析用プログラム、解析モデルなどの各種データを記憶する記憶部と、これらのデータおよびプログラムに基づき演算処理を行う演算処理部とによって構成することができ、例えばICチップなどによって実現可能である。したがって、本装置を携帯型とするため小型化することも容易である。上記の解析モデルも、ICチップなどの記憶部に書き込まれる。
[2. 4]結果表示部(表示手段)
結果表示部は、データ解析部における解析結果を表示する。具体的には、解析モデルによる解析の結果得られた疲労度などを表示する。あるいは、定性モデルの場合は、そのクラス判別結果に基づき、「CFS」「CFSの可能性高い」「CFSの可能性低い」「疲労の程度高い」「疲労の程度低い」「健常者」などといった表示を行う。なお、本装置を携帯型とする場合は、結果表示部を液晶等のフラットディスプレイとすることが好ましい。
本装置は、以上のように、CFSに関する検査・診断に用いることができる。ここで、CFSに関する検査・診断とは、単にCFSかどうかの検査・診断に限らず、疲労度(病的疲労の程度)やCFSの病状進行度の定量的評価、発症リスクの評価判定など、CFSに関する種々の検査・診断を含む意味である。
以下、近赤外線分光法によってCFSの検査・診断が可能であることを示す本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
[1. 1]吸収スペクトルの測定
本実施例では、以下の測定方法により、各試料の吸収スペクトルを測定した。
健常人の血漿(Normal donor plasma)119検体およびCFS患者の血漿92検体の合計211検体について、それぞれPBS緩衝液で5倍希釈したものを検体試料として使用した。
各試料1mLをポリスチレン製キュベットに入れ、近赤外線分光装置(製品名「FQA−NIRGUN(Japan Fantec Research Institute, Shizuoka, Japan)」)を使用して測定を行った。具体的には、600〜1100nmの波長光を連続して3回試料に照射し、各反射光を検出することによって吸収スペクトルを測定した。波長分解能は2nmである。試料を透過する光路長は10mmに設定した。
[1. 2]吸収スペクトルの解析
本実施例では、得られた吸収スペクトルについてSIMCA法による多変量解析を行い、解析モデルの作成を行った。なお、既知のCFS診断は、厚生省CFS診断基準に従って行った。また、SIMCA法によるクラス分けにおいて、クラス1をCFS、クラス2を健常者と定義した。
本実施例において、解析モデルの作成には市販の多変量解析用ソフト(商品名「Pirouette ver.3.01 (Informetrics社)」)を使用し、下記表1に示されるアルゴリズムによりSIMCA解析を行った。SIMCA解析によるモデル作成には健常人の血漿(Normal donor plasma)109検体およびCFS患者の血漿82検体の合計191検体を用いた。そして、SIMCAモデル作成後、モデルに含まれていない、健常人の血漿10検体およびCFS患者の血漿10検体が正しく診断されるかどうかで、CFS診断への有用性を検討した。
Figure 0004961579
上記アルゴリズムについて簡単に説明すると、「# of Included Samples」は、解析に使用したサンプル数(スペクトル数)であり、サンプル数573は、3回連続照射にて各々得られた3つの吸光度データを使用したことを意味する。
「Preprocessing」は前処理を示し、「Mean-center」はデータセットの中心にプロットの原点を移動したことを示す。「Scope」はGlobalとLocalがあるが、Localを選択した。「Maximum factors」は、最大に解析するFactor(主成分)数を示し、30まで選択した。「Optimal Factors」は解析の結果モデルを作成するのに最適だったFactor数を示し、「30、30」はClass1がFactor30までが最適、Class2がFactor30までが最適であることを示す。「Probability threshold」はあるクラスに属するか判断する際の閾値を示す。「Calibration transfer」は装置間の違いを緩和させる数学的な調整を行うか否かを示す。「Transform」は変換を示し、「Smooth」は平滑化をしたことを示す。平滑化の変換はSavitzky-Golayの多項式フィルターの原理に基づき、中心データの点と片側のn個のポイントを含むウインドウ内の説明変数への回旋を行っており、n=25を選択したことを示している。SNVはばらつきを補正する方法である。まず、各サンプルの変数の標準偏差と平均が計算される。次に各変数の値から平均値が引かれ、さらに標準偏差で割って補正される。
図2は、本実施例のSIMCA解析の結果得られたCoomans Plotを示す。また、下記の表2にはクラス距離(Interclass Distances)の結果を、表3には分類ミス(Misclassification)の結果をそれぞれ示す。
Figure 0004961579
表2において、CS1、CS2は、それぞれ、クラス1、クラス2を意味する(以下同じ)。また、CS1@30は、クラス1でFactor(主成分)を30個使用していることを意味し、以下同様に、@の後の数値は使用したFactor数を示す。
Figure 0004961579
表3において、「Actual1」は実際のクラスが「1」であることを意味し、他も同様である。また、「Pred1」は本実施例のSIMCA解析により得られた解析モデルを用いて予測されたクラスが「1」であることを意味し、他も同様である。「No match」はCFSと健常者のどちらにも判定されなかった場合を数値化したものである。これらの結果に示すように、SIMCA解析により得られた解析モデルによって、CFSかどうかを良好に判別できることがわかった。
次に、本SIMCA解析により得られた解析モデルを用いて、モデルに含めなかった未知試料を診断できるかどうかを検討した。その結果を下記の表4に示す。
Figure 0004961579
表4において、「Actual1」は実際のクラスが「1」であることを意味し、他も同様である。また、「Pred1」は本SIMCA解析により得られた解析モデルを用いて予測されたクラスが「1」であることを意味し、他も同様である。「No match」はCFSと健常者のどちらにも判定されなかった場合を数値化したものである。All Samplesはモデル作成時に使用したサンプルに加えて、未知サンプルを予測した結果である。Excluded samplesは未知サンプルを予測した結果である。表4に示すように、良好に未知検体のCFS診断ができることが示された。
図3は、上記SIMCA解析の結果得られた、各波長(横軸)におけるDiscriminating Power(縦軸)を示す。Discriminating Power(識別力)の値が高い波長ほど、当該波長が2つのクラス間で異なっていることを示す。すなわち、Discriminating Powerの高いシャープなピークの波長が、健常者とCFS患者間の血漿の判別に有効な波長の1つと考えられる。したがって、このようなSIMCA解析により得られた波長に着目して判別を行うことによって、CFSかどうかを簡易迅速かつ精度良く診断することが可能である。
こうして組み立てられた解析モデルをファイルとして保存しておき、未知試料の検査・診断時にこのファイルを呼び出し、未知試料がどのクラスに分類されるかを解析モデルで予測する。これにより、簡易迅速なCFSの検査・診断が可能になる。
[実施例2]
本実施例では、CFS患者の血清77検体および健常者の血清71検体の合計148検体について、それぞれPBS緩衝液で10倍希釈したものを試験サンプルとして使用し、PCA(主成分分析)およびSIMCA法により、それぞれCFS診断用の解析モデルを作成した。さらに、未知サンプルとして99検体(CFS患者群45、健常者群54)を使用し、上記各解析モデルによって正しく診断できるかどうかを評価した。
上記各サンプルの吸収スペクトルの測定については、各サンプル2mLをポリスチレン製キュベットに入れ、近赤外線分光装置(前記FQA−NIRGUN)を使用して測定を行った。具体的には、600〜1100nmの波長光を連続して3回サンプルに照射し、各反射光を検出することによって吸収スペクトルを測定した。波長分解能は2nm、測定時温度は37℃である。
本実施例では、上述のように得られた吸収スペクトルについてPCAおよびSIMCA法による多変量解析を行い、各解析モデルの作成を行った。解析モデルの作成には市販の多変量解析用ソフト(商品名「Pirouette ver.3.11 (Informetrics社)」)を使用した。
図4は、PCAにより得られた解析モデル(PCAモデル)を用いた検査・診断結果であり、グラフAは、第1主成分(PC1)軸および第2主成分(PC2)軸に対して各試験サンプルのPCAスコアをプロットしたもの、グラフBは、PC1軸およびPC2軸に対して各未知サンプルのPCAスコアをプロットしたものであり、いずれも○印は健常者の検体、●印はCFS患者の検体である。またグラフCは、上記PCAモデルにおけるPC1(実線)およびPC2(破線)のローディングを示す。
同図のグラフAに示すように、PC1およびPC2を用いたPCAスコアによって、試験サンプルのCFS患者由来血清と健常者由来血清とを良好に分類することができた。さらに同図のグラフBに示すように、上記PCAモデルによって、未知サンプルのCFS患者由来血清と健常者由来血清とを正確に判別し予測することができ、上記PCAモデルがCFS診断に有用であることが示された。
一方、図5は、SIMCA法により得られた解析モデル(SIMCAモデル)を用いた検査・診断結果であり、グラフAは、各試験サンプルについて健常者群(○印)とCFS患者群(●印)とを良好にクラス分けできたことを示すCoomans Plot、グラフBは、各未知サンプルについて健常者群(○印)とCFS患者群(●印)とを良好に判別し予測することができたことを示すCoomans Plot、またグラフCは、上記SIMCAモデルの各波長における識別力を示す。
より詳細には、上記SIMCAモデルによる試験サンプルのクラス分けについて、健常者群の213中209(98.1%)、CFS患者群の231中220(95.2%)を正確に分類することができた(3回連続照射により、各試験サンプルにつき3個の吸光度データを使用したため)。未知サンプルについては、上記SIMCAモデルによって、健常者群の54中54(100%)、CFS患者群の45中42(93.3%)を正確に判別し予測することができ、上記SIMCAモデルがCFS診断に有用であることが示された。
前記PCAモデルにおいて判別に重要な波長は、ローディング情報により推測することができる。図4のグラフCに示すように、第1主成分(PC1)について、ローディングの正ピークは950nm付近、負ピークは1020nm付近であり、また600−700nm付近がやや低く、700−900nm付近がやや高かった。一方、第2主成分(PC2)については、ローディングの負ピークが950nm付近、正ピークが1020nm付近であり、また600−700nm付近がやや低く、700−900nm付近がやや高かった。
また、上記SIMCAモデルにおいて判別に重要な波長は、識別力により推測することができる。図5のグラフCに示すように、上記SIMCAモデルの識別力は、650,850,1020および1080nm付近で高い値を示した。
以上の結果から、近赤外線分光法により取得した各血清サンプルの吸収スペクトルデータに基づき、PCAおよびSIMCA法により作成した解析モデルによってCFSかどうかを簡易迅速かつ精度良く診断できることがわかった。また、本方法は、CFS診断への利用のみならず、判別に重要な波長の解析等を通じて、CFSの原因物質である血中分子マーカーの発見、当該マーカーによるCFS診断、CFS発症メカニズムの研究、さらにCFS治療法の開発にも利用し得るものである。
[実施例3]
本実施例では、指を被検体とし、指先から非侵襲的にスペクトルデータを取得し、当該データをもとにSIMCA法により作成した解析モデルによるCFS診断を行った。より具体的には、CFS患者42名および健常者50名の合計92名について、各名3回ずつ指からの近赤外分光透過測定を行い、得られた近赤外スペクトルのSIMCA解析により、CFS診断用の解析モデルを作成が可能かを検討した。
本実施例において、解析モデルの作成には実施例2と同じソフトを使用し、下記表5に示されるアルゴリズムによりSIMCA解析を行った。尚、下記のアルゴリズムはFactor数を20個使用した場合であるが、本実施例では、Factor数を10個使用した場合と20個使用した場合の2通り解析を行った。また、本解析によるクラス分けにおいて、クラス1を健常者、クラス2をCFSと定義した。
Figure 0004961579
下記の表6および表7は、Factor数を10個使用した場合の解析結果であり、表6はクラス距離の結果を、表7は分類ミスの結果をそれぞれ示す。これらの結果に示すように、本SIMCA解析により作成した解析モデルによって、CFSかどうかを良好に判別し、検査・診断できることがわかった。
Figure 0004961579
Figure 0004961579
図6は、上記SIMCA解析(Factor10)を行った結果得られたSIMCAモデルの各波長における識別力を示すグラフである。このグラフに示すように、上記SIMCAモデルの識別力は、715,740および960nm付近で高い値を示した。
また、下記の表8および表9は、Factor数を20個使用した場合の解析結果であり、表8はクラス距離の結果を、表9は分類ミスの結果をそれぞれ示す。これらの結果に示すように、本SIMCA解析により作成した解析モデルによって、CFSかどうかを良好に判別し、検査・診断できることがわかった。
Figure 0004961579
Figure 0004961579
図7は、上記SIMCA解析(Factor20)を行った結果得られたSIMCAモデルの各波長における識別力を示すグラフである。このグラフに示すように、上記SIMCAモデルの識別力は、670,700および710nm付近で高い値を示した。
以上のように、本発明は、慢性疲労症候群(CFS)かどうかを客観的に、簡易迅速かつ高精度に検査・判定することができ、CFSに関する検査・診断に広く利用できるものである。


Claims (7)

  1. 波長400nm〜2500nmの範囲またはその一部範囲の波長光を、被検者その他動物由来の血液(血漿・血清を含む)または被検者その他動物の手足の指先に照射し、その反射光、透過光または透過反射光を検出して吸光度スペクトルデータを得た後、その中の測定全波長あるいは特定波長の吸光度を、予め作成した解析モデルを用いてコンピュータが解析することによって、定量的または定性的に慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・判定をコンピュータが行う方法。
  2. PLS法である回帰分析により作成した定量モデルを用いて、慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・判定をコンピュータが行うことを特徴とする請求項1記載の検査・判定方法。
  3. SIMCA法であるクラス判別解析により作成した定性モデルを用いて、慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・判定をコンピュータが行うことを特徴とする請求項1記載の検査・判定方法。
  4. 請求項1記載の方法に使用される解析モデルを作成する手段、当該解析モデルを更新する手段、および/または、当該解析モデルを用いて請求項1記載の方法において得られた測定完全波長あるいは特定波長の吸光度を解析することによって、定量的または定性的に慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・診断を行うデータ解析手段として、コンピュータを機能させるための慢性疲労症候群(CFS)の検査・診断用プログラム。
  5. 波長400nm〜2500nmの範囲またはその一部範囲の波長光を、被検者その他動物由来の血液(血漿・血清を含む)または被検者その他動物の手足の指先に照射する投光手段と、
    投光前又は投光後に分光する分光手段、および、前記試料に照射された光の反射光、透過光または透過反射光を検出する検出手段と、
    検出により得られた吸光度スペクトルデータの中の測定全波長あるいは特定波長の吸光度を、予め作成した解析モデルを用いて解析することによって定量的または定性的に慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・診断を行うデータ解析手段と、を備えたことを特徴とする検査・診断装置。
  6. データ解析手段が、PLS法である回帰分析により作成した定量モデルを用いて、慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・診断を行うことを特徴とする請求項5記載の検査・診断装置。
  7. データ解析手段が、SIMCA法であるクラス判別解析により作成した定性モデルを用いて、慢性疲労症候群(CFS)に関する検査・診断を行うことを特徴とする請求項5記載の検査・診断装置。
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