JP4961337B2 - サンドイッチ射出成形体及びその製造方法 - Google Patents

サンドイッチ射出成形体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、サンドイッチ射出成形体及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、スキン層とコア層との層間の界面密着強度が高く、耐衝撃性、引張強度等の機械強度に優れるサンドイッチ射出成形体およびその製造方法に関する。
異なる特性を有する複数のプラスチックを、それぞれの特長を効果的に発現させるべく、アロイ,ブレンド,コンポジットなどの様々な検討がなされている。しかし、一つの特性を改良すると、これとは別の特性が犠牲になる等、所謂トレードオフの問題が常に付きまとい、そのバランスを取るのに多大な労力を要している。
そして、コンポジットの代表的な技術として、二本のシリンダを用い、異なった材料を同時に成形するサンドイッチ射出成形技術がある。この技術によれば、たとえば、内部(コア)層の樹脂によって十分な機械的強度を有し、さらに、表皮(スキン)層の樹脂によって有利な表面特性(塗装性,耐候性,光沢等)を有するといった、理想的な射出成形品を実用化できるものと、期待されている。
ところが、サンドイッチ射出成形に於いて、スキン樹脂とコア樹脂の相溶性が悪いと、成形後にスキン/コア間の界面剥離が容易に生じるために良好な機械特性を有する射出成形体が得られないため、スキン、コア同種類の樹脂の組合せが一般的である。
特に、従来のサンドイッチ射出成形技術では、一般的に、表皮(スキン)層の樹脂が容積の70%以上を占め、内部(コア)層の樹脂が30%以下となる。このため、内部(コア)層の樹脂として、十分な機械的強度を有する樹脂を使用しても、実際に成形された製品は、内部(コア)層の割合が低すぎるので、製品として十分な機械的強度を備えておらず、実用化でなかった。また、実用化できたとしても、極めて限定された用途においてのみ利用できるものであった。
上記事情にかんがみ、近年、サンドイッチ射出成形体の表皮(スキン)層を薄くする技術について、研究開発が行なわれ、提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
上記特許文献1では、熱可塑性樹脂のサンドイッチ成形により多層構造の成形品を得る成形方法において、(1)コア層を形成する熱可塑性樹脂を金型キャビティ内に充填する際の射出速度を300mm/sec以上とし、かつ(2)該スキン層の熱可塑性樹脂のガラス転移温度をTgとしたとき、主金型温度をTgより低い温度で保持するとともに、かかる熱可塑性樹脂が金型のキャビティ表面およびコア表面に接触している際のキャビティ表面およびコア表面の最高温度を、[Tg+1](℃)〜[Tg+50](℃)とした成形方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載された成形方法によれば、表皮(スキン)層の厚さをある程度薄くすることができるものの(記載された実施例の最小厚さは340μmである。)、広範囲の用途に使用可能なサンドイッチ射出成形体を実用化することを目的とした場合には、表皮(スキン)層を十分薄く成形できたとはいえない。
また、特許文献2では、表皮(スキン)層と内部(コア)層が異なる組成物からなり、かつ、表皮層の厚さを300μm以下としたことを特徴とするサンドイッチ射出成形体(請求項1)、表皮層と内部層を形成する組成物を同一系の樹脂としたサンドイッチ射出成形体(請求項3)、表皮層を形成する組成物と前記内部層を形成する組成物を、非相溶性の樹脂の組合せとしたサンドイッチ射出成形体(請求項4)が開示されている。
表皮層と内部層とが同一系の樹脂を用いたサンドイッチ射出成形体では、スキン層とコア層に顕著な特性差が現れにくいため、大幅な性能改良は図りにくい。また、表皮層を形成する組成物と前記内部層を形成する組成物を、非相溶性の樹脂の組合せとしたサンドイッチ射出成形体では、界面密着強度が不十分で高い強度が求められる部材には適用しにくい問題がある。
また、スキン層が薄くなるにつれて、スキン層自体の絶対的な強度が低下するため、界面層も含め破壊が生じやすくなる理由から、より高い界面密着強度が求められるようにもなってきた。
特開2001−88165号公報 特開2005−132016号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、スキン層とコア層との界面密着強度が高く、耐衝撃性、引張強度等の機械強度に優れるサンドイッチ射出成形体およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究の結果、特に、スキン層樹脂とコア層樹脂の組み合わせについて、種々検討した結果、熱可塑性樹脂(a)からなるスキン層と、熱可塑性樹脂(b)と熱可塑性樹脂(c)を特定割合で含有する樹脂組成物からなるコア層とからなる射出成形体であって、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)とが非相溶性で、また、熱可塑性樹脂(b)と熱可塑性樹脂(c)とが非相溶性で、一方、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(c)とが相溶性であり、かつ、コア層の成形時の温度における熱可塑性樹脂(b)の粘度(ηb)と熱可塑性樹脂(c)の粘度(ηc)とが特定の関係式を満たしたサンドイッチ射出成形体とすると、スキン層とコア層との界面密着強度が高く、耐衝撃性、引張強度等の機械強度にも優れたサンドイッチ射出成形体が得られることを、見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、熱可塑性樹脂(a)からなるスキン層(S)と、40〜85重量%の熱可塑性樹脂(b)及び15〜60重量%の熱可塑性樹脂(c)を含有する樹脂組成物からなるコア層(C)とからなるサンドイッチ射出成形体であって、
(i)熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)とは、非相溶性であり、
(ii)熱可塑性樹脂(b)と熱可塑性樹脂(c)とは、非相溶性であり、
(iii)熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(c)とは、相溶性であり、及び
(iv)コア層(C)の成形時の温度における熱可塑性樹脂(b)の粘度(ηb)と熱可塑性樹脂(c)の粘度(ηc)とは、次の関係式(1)を満たすことを特徴とするサンドイッチ射出成形体が提供される。
ηc/ηb≦1 ・・・ (1)
本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、スキン層(S)とコア層(C)との厚み比率(S:C)は、1:0.3〜1:20であることを特徴とするサンドイッチ射出成形体が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、熱可塑性樹脂(a)は、ポリプロピレン系樹脂であり、熱可塑性樹脂(b)は、ポリ乳酸又はポリブチレンサクシネートであり、及び熱可塑性樹脂(c)は、(a)とは異なるポリプロピレン系樹脂であることを特徴とするサンドイッチ射出成形体が提供される。
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、スキン層(S)とコア層(C)間のピール強度は、1N/mm以上であることを特徴とするサンドイッチ射出成形体が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、コア層(C)の樹脂組成物は、さらに相溶化剤(d)を含有することを特徴とするサンドイッチ射出成形体が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、相溶化剤(d)は、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体又はこれらの水素添加物、無水マレイン酸またはヒドロキシ変性ポリオレフィン、エチレン−グリシジルメタクリレード共重合体、脂肪族ポリエステル−ポリ乳酸樹脂共重合体及びカルボジイミド基含有化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とするサンドイッチ射出成形体が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、金型内に形成されたキャビティに、スキン層(S)として熱可塑性樹脂(a)を射出する第一射出工程と、第一射出工程開始後にコア層(C)として、40〜85重量%の熱可塑性樹脂(b)及び15〜60重量%の熱可塑性樹脂(c)を含有する樹脂組成物を射出する第二射出工程とを含む射出成形体の製造方法であって、
第二射出工程では、熱可塑性樹脂(b)の粘度(ηb)と熱可塑性樹脂(c)の粘度(ηc)が次の関係式(1)を満たす温度で射出することを特徴とする第1〜4のいずれかの発明に係るサンドイッチ射出成形体の製造方法が提供される。
ηc/ηb≦1 ・・・ (1)
本発明のサンドイッチ射出成形体は、上記構成により、コア層(C)の相中にて、熱可塑性樹脂(c)成分が広がり、スキン/コア層界面にて、スキン層(S)の熱可塑性樹脂(a)成分と接触しやすくなることにより、界面密着強度が向上し、しかも、耐衝撃性、引張強度等の機械強度に優れる射出成形体となる。
本発明のサンドイッチ射出成形体は、スキン層(S)とコア層(C)を有する射出成形体であって、スキン層(S)およびコア層(S)は、いずれも熱可塑性樹脂で構成され、その組み合わせに特徴がある。
以下、本発明のサンドイッチ射出成形体の構成材料、サンドイッチ射出成形体およびその成形法、用途について、詳細に説明する。
[I]サンドイッチ射出成形体の構成材料
1.熱可塑性樹脂
本発明のサンドイッチ射出成形体のスキン層(S)とコア層(C)に用いられる熱可塑性樹脂(a)〜(c)は、従来公知の樹脂から選ばれる。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルスチレン樹脂、ABS樹脂等に代表される汎用プラスチックスや、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂等に代表されるエンジニアリングプラスチックスや、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイドなどのスーパーエンジニアリングプラスチックスと呼ばれるものや、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマー等、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等の生分解性樹脂、及び、それらの組み合わせを挙げることができる。
2.スキン層(S)を構成する材料
(1)熱可塑性樹脂(a)
本発明のサンドイッチ射出成形体におけるスキン層(S)に用いられる熱可塑性樹脂(a)は、前記熱可塑性樹脂等から選ぶことができる。
例えば、熱可塑性樹脂(a)としては、ポリプロピレン系樹脂が好ましく、プロピレン単独重合体、プロピレンと炭素数2〜10のプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合体、例えば、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体などから選ばれる樹脂が挙げられる。共重合体に用いるα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどから選ばれ、なかでも、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましく、特にエチレンが好ましい。
(2)任意成分
(i)充填剤
本発明で用いる熱可塑性樹脂(a)には、必要に応じて、充填剤を配合することができる。本発明において、充填剤は、組成、形状等は、特に限定されず、ポリマー用充填剤として市販されているものはいずれも使用できる。
具体的には、タルク、マイカ、モンモリロナイト等の板状無機充填剤、短繊維ガラス繊維、長繊維ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ゾノライト等の繊維状無機充填剤、チタン酸カリウム、マグネシウムオキシサルフェート、窒化珪素ホウ酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、ワラストナイト、炭酸カルシウム等の針状(ウィスカー)無機充填剤、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の粒状無機充填剤、ガラスバルーンのようなバルン状無機充填剤、ポリエステル繊維・ケナフ・ジュート・木粉等の有機フィラーが例示される。
充填剤は、重合体との接着性或いは分散性を向上させる等の目的で、有機チタネート系カップリング剤、有機シランカップリング剤、不飽和カルボン酸、又はその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル等によって表面処理したものを用いてもよい。
充填剤の配合割合は、スキン層(S)中に、0〜60重量%程度が好ましい。
(ii)その他
本発明に係る熱可塑性樹脂(a)には、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、分散剤、顔料、帯電防止剤、滑剤、金属不活性剤等を含んでいてもよい。また、熱硬化性樹脂などの樹脂成分を含んでいてもよい。
3.コア層(C)を構成する材料
本発明においてコア層(C)に用いられる熱可塑性樹脂は、重量割合が多い順の2種類が熱可塑性樹脂(b)、熱可塑性樹脂(c)の組み合わせを構成するものとする。
(1)熱可塑性樹脂(b)
本発明のサンドイッチ射出成形体におけるコア層(C)に用いられる熱可塑性樹脂(b)は、前記熱可塑性樹脂等から選ぶことができる。
ここで熱可塑性樹脂(b)は、スキン層(S)に用いる熱可塑性樹脂(a)とは、非相溶性であることが重要で必須の要件である。
非相溶性とは、例えば、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)間の溶解性パラメータ(溶解度パラメータ)差にて、1(MJ/m1/2以上なる尺度、または電子顕微鏡等にて、観察される相分離サイズが10nm以上等の尺度で、判断することができる。
熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)間の溶解性パラメータ(溶解度パラメータ)差は、好ましくは2(MJ/m1/2以上、より好ましくは3〜10(MJ/m1/2である。
本発明における溶解性パラメータ(SP値)とは、Smallによって提案された下記の式(2)によって定義される値である。SP値の詳細については、“ジャーナル・オブ・アプライド・ケミストリー(Journal of Applied Chemistry)、3巻、71〜80頁(1953年)”に詳しく記載されている。
SP値=ΣFi/V=ρ・ΣFi/M (2)
式(2)において、Fiは、分子を構成する原子又は原子団、結合型など構成グループのモル吸引力、Vはモル容積、ρは密度をそれぞれ示す。Mは分子量を示し、高分子の場合は繰り返し単位(つまりモノマー単位)の分子量を示す。Fiの値は、上記の文献に記載されているSmallの値を用いる。共重合体のρ、ΣFiおよびMについては、共重合体を構成するモノマー単位の各単独重合体のρ、ΣFiまたはMの数値にモノマー単位のモル分率を乗じたものの和を算出して用いる。
これによれば、ポリプロピレン系樹脂は、16.4(MJ/m1/2、ポリブチレンサクシネート樹脂は、20.2(MJ/m1/2である。
具体的には、スキン層(S)の熱可塑性樹脂(a)がポリプロピレン、ポリエチレン等ポリオレフィンの場合には、コア層(C)に用いられる熱可塑性樹脂(b)としては、耐薬品性、耐候性に劣る樹脂、例えばポリ乳酸等の生分解性樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックなどがあげられる。
上記生分解性樹脂としては、乳酸重合体(ポリ乳酸)、ポリブチレンサクシネートが好ましく、市販品としては、例えば、昭和高分子株式会社製「ビオノーレ」(ポリブチレンサクシネート)、三菱化学株式会社製「GSプラ」(ポリブチレンサクシネート系)やダイセル化学工業株式会社製「セルグリーン」(ポリカプロラクトン)等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂(a)がポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなど植物由来の生分解性樹脂の場合には、熱可塑性樹脂(b)としては、物性改善が可能である樹脂、例えばエンジニアリングプラスチックや、ポリオレフィンなどがあげられる。
さらに、熱可塑性樹脂(a)がエンジニアリングプラスチックの場合には、熱可塑性樹脂(b)としては、より低コストの樹脂、例えばポリスチレン、ABS樹脂、ポリオレフィン樹脂などがあげられる。
(2)熱可塑性樹脂(c)
本発明のサンドイッチ射出成形体におけるコア層(C)に用いられる熱可塑性樹脂(c)は、前記熱可塑性樹脂等から選ぶことができる。
ここで、熱可塑性樹脂(c)は、熱可塑性樹脂(b)とは非相溶性であるが、熱可塑性樹脂(a)とは相溶性であることが重要で必須の要件である。
また、相溶性とは、例えば、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(c)間の溶解性(又は相溶性)パラメータ(溶解度パラメータ)差にて、1(MJ/m1/2以下なる尺度、または電子顕微鏡等にて、観察される相分離サイズが10nm以下等の尺度で、判断することができる。熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(c)間の溶解性(又は相溶性)パラメータ(溶解度パラメータ)差は、好ましくは0.8(MJ/m1/2以下、より好ましくは0.6(MJ/m1/2以下である。
熱可塑性樹脂(b)と熱可塑性樹脂(c)間の組み合わせは、非相溶性であるため、上記(1)に記載の(a)(b)間の組み合わせと類似である。
熱可塑性樹脂(b)と熱可塑性樹脂(c)間の溶解性パラメータ(溶解度パラメータ)差は、1(MJ/m1/2以上であり、好ましくは2(MJ/m1/2以上、より好ましくは3〜10(MJ/m1/2である。
一方、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(c)間の組み合わせは、相溶性であるため、同一化学構造単位を有するものの、分子量、立体規則性、共重合組成が相溶性を阻害しない程度に異なる樹脂の組み合わせは、その一例である。また、それ以外に、化学構造は異なっていても、相溶性パラメータ(溶解度パラメータ)の差が小さく、両者の親和性が高い組み合わせの場合やエステル交換反応等により相溶性が発現する組み合わせなどがあげられる。
前者の例としては、ポリスチレンとポリフェニレンエーテル、ポリスチレン−アクリロニトトリル共重合体とポリブタジエンを含む樹脂、ポリプロピレンとポリエチレン系共重合体などがあげられ、後者の例としては、異なる化学構造のポリエステル類、ポリカーボネートの組み合わせ、ポリアミドと無水マレイン酸を含むポリオレフィン、などがあげられる。
さらに、本発明のサンドイッチ射出成形体におけるコア層(C)では、熱可塑性樹脂(c)の粘度(ηc)と熱可塑性樹脂(b)の粘度(ηb)とは、次の関係式(1)を満たすものである。好ましくは関係式(1)’を満たし、より好ましくは関係式(1)”を満たす。
ηc/ηb≦1 ・・・ (1)
ηc/ηb≦0.7 ・・・ (1)’
ηc/ηb≦0.5 ・・・ (1)”
粘度比ηc/ηbが1を超えると、スキン層(S)とコア層(C)の層間密着強度が低下する。
ここで粘度の測定は、以下の方法による。
コーン・プレート型の溶融粘弾性測定装置(レオメトリックス社RAS)にて、プレート系25mm、歪み量5%、歪み速度100rad/secの条件で測定した溶融粘度で求めた熱可塑性樹脂(c)の粘度=ηcと、熱可塑性樹脂(b)の粘度=ηbとの比として求める。
但し、溶融粘度測定温度は、サンドイッチ成形時のコア層(C)部分の設定樹脂温度と等しいものとする。
熱可塑性樹脂(c)のメルトフローレート(MFR)は、15〜2000g/10分が好ましく、30〜500g/10分がより好ましく、50〜200g/10分がさらに好ましい。MFRが15g/10分未満では、コア層(C)とスキン層(S)との界面で剥離が生じるおそれがあり、一方、2000g/10分を超えると、衝撃強度、引張り伸びが低下することがある。
ここで、MFRは、JIS K7210−1995「熱可塑性プラスチックの流れ試験方法」に準拠し、条件14(230℃、2.16kgf荷重)で測定する値である。
また、前記スキン層(S)の熱可塑性樹脂(a)のMFRと、上記コア層(C)の熱可塑性樹脂(c)のMFRとの比率(a:c)は、1:1.1〜1:50が好ましく、より好ましくは1:1.5〜1:10である。かかる範囲とすることで、コア層(C)とスキン層(S)との界面の剥離を防止でき、曲げ弾性率、衝撃強度などを高く維持できるので好ましい。
(3)配合
本発明に係るコア層(C)の樹脂組成物において、熱可塑性樹脂(b)と熱可塑性樹脂(c)との配合割合は、熱可塑性樹脂(b)が40〜85重量%、好ましくは45〜80重量%、より好ましくは50〜75重量%であり、一方、熱可塑性樹脂(c)が15〜60重量%、好ましくは20〜55重量%、より好ましくは25〜50重量%である。熱可塑性樹脂(b)の配合割合が上限を超えると、界面密着強度向上効果が不十分であり、下限未満では、熱可塑性樹脂(b)による性能改良効果が不十分である。
さらに、熱可塑性樹脂(c)の割合(Wc)と、前記ηc/ηbとは、次の関係式(3)、好ましくは関係式(3)’を満たすことが好ましい。関係式(3)を満たすことにより、界面密着強度が向上する。その理由としては、熱可塑性樹脂(c)がスキン層とコア層との界面に偏在しやすくなるためと、考えられる。
ここで、Wc,Wbは、コア層(C)部分での熱可塑性樹脂(b)(c)各々の重量分率である。
ηc/ηb*Wb/Wc≦0.2 ・・・(3)
ηc/ηb*Wb/Wc≦0.5 ・・・(3)’
(4)任意成分
(i)相溶化剤(d)
本発明に係るコア層(C)の樹脂組成物には、必要に応じて、熱可塑性樹脂(b)と熱可塑性樹脂(c)との相溶化剤(d)を配合することができる。ここで相溶化剤(d)とは、熱可塑性樹脂(b)と熱可塑性樹脂(c)との界面張力を低下させる働きを有するものであることが好ましい。
相溶化剤(d)としては、例えば、カルボジイミド基含有化合物、又はスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等及びこれらの水素添加物、無水マレイン酸またはヒドロキシ変性ポリオレフィン、エチレン−グリシジルメタクリレード共重合体、脂肪族ポリエステル−ポリ乳酸樹脂共重合体、若しくはこれらとカルボジイミド基含有化合物との組み合わせなどが挙げられる。
上記スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等及びこれらの水素添加物としては、ポリスチレンブロックとポリブタジエン(ポリイソプレン)ブロックを有するジブロック、ポリブロック等のブロック共重合体共重合体またはその水素添加物が挙げられる。
本発明において、相溶化剤(d)の配合量は、熱可塑性樹脂(b)と熱可塑性樹脂(c)の合計量100重量部に対して、およそ0.1〜15重量部の範囲であることが好ましい。
(ii)充填剤
本発明に係るコア層(C)の樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤を配合することができる。本発明において、充填剤は、組成、形状等は特に限定されない。ポリマー用充填剤として市販されているものはいずれも使用できる。
具体的には、タルク、マイカ、モンモリロナイト等の板状無機充填剤、短繊維ガラス繊維、長繊維ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、ゾノライト等の繊維状無機充填剤、チタン酸カリウム、マグネシウムオキシサルフェート、窒化珪素ホウ酸アルミニウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、ワラストナイト、炭酸カルシウム等の針状(ウィスカー)無機充填剤、沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の粒状無機充填剤、ガラスバルーンのようなバルン状無機充填剤、ポリエステル繊維・ケナフ・ジュート・木粉等の有機フィラーが例示される。
充填剤は、重合体との接着性或いは分散性を向上させる目的で、有機チタネート系カップリング剤、有機シランカップリング剤、不飽和カルボン酸、又はその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル等によって表面処理したものを用いてもよい。
充填剤の割合は、コア層(C)の樹脂組成物中に0〜60重量%程度が好ましい。
(iii)その他
本発明のコア層(C)の樹脂組成物には、上記成分の他に、さらに、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、分散剤、顔料、帯電防止剤、滑剤、金属不活性剤等を含んでいてもよい。
また、本発明のコア層の樹脂組成物において、上記成分の他に、さらに、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン等の樹脂成分を含んでいてもよい。
4.熱可塑性樹脂(a)〜(c)の組み合わせ
本発明のサンドイッチ射出成形体において、熱可塑性樹脂(a)〜(c)の組み合わせは、前述の通りであれば、いずれであってもよいが、より好ましい態様を例示すれば、(a)/(b)/(c)は、(i)ポリプロピレン/ポリブチレンサクシネート/ポリプロピレン、(ii)ポリプロピレン/ポリ乳酸/ポリプロピレン、(iii)ポリプロピレン/ポリアミド/ポリプロピレン、(iv)ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、(v)ポリエチレン/ポリアミド/ポリエチレン、(vi)ポリエチレン/エチレン−ビニールアルコール共重合体/ポリエチレン、(vii)ポリ乳酸/ポリプロピレン/ポリオレフィン、(viii)ポリフェニレンエーテル/ポリプロピレン/ポリスチレン、(ix)ポリアミド/ポリオレフィン/無水マレイン酸変性ポリオレフィン、などが挙げられる。
[II]サンドイッチ射出成形体
本発明のサンドイッチ射出成形体は、上記スキン層(S)とコア層(C)から形成される。サンドイッチ射出成形体の大きさ及び形状は、用途により適宜決められるが、スキン層(S)とコア層(C)の厚みの比率(S:C)は、好ましくは1:0.3〜1:20であり、より好ましくは1:2〜1:10である。スキン層の厚みに対してコア層の厚みが0.3未満であると、サンドイッチ成形過程でのコア層形成が困難な場合があり、一方、20を超えると、スキン層の形成困難、界面剥離、コア層樹脂による性能向上効果の悪化を招くおそれがある。
また、スキン層の厚みは、要求される性能に応じて、通常50μm〜800μmであり、好ましくは100μm〜500μmである。
さらに、サンドイッチ射出成形体全体の厚さは、特に限定されるものではないが、通常通2mm〜4mmである。
さらにまた、サンドイッチ射出成形体は、第一組成物からなるスキン層(S)と、第二組成物からなるコア層(C)からなる構成に限定されるものではなく、たとえば、スキン層(S)とコア層(C)との間に第三組成物からなる中間層を有する多層構造体とすることも可能である。
なお、中間層を構成する材料としては、熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)の双方に親和性を有する樹脂が好適であり、例えば、熱可塑性樹脂(a)がポリプロピレン、熱可塑性樹脂(c)がポリブチレンサクシネートの場合は、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン・αオレフィン共重合体、スチレン系エラストマーの酸、無水酸、エポキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基などの官能基導入体等が挙げられる。
[III]サンドイッチ射出成形体の成形方法
本発明のサンドイッチ射出成形体は、サンドイッチ射出成形方法により好適に製造できる。
ここで、サンドイッチ射出成形方法とは、金型内にスキン層(S)を成形する第一樹脂(熱可塑性樹脂(a))とコア層(C)を成形する第二樹脂(熱可塑性樹脂(b)と熱可塑性樹脂(c)を含有する樹脂組成物)を射出して、スキン層及びコア層からなる層構造を成形する方法をいう。
また、サンドイッチ射出成形方法における第一樹脂と第二樹脂の射出方法としては、第一樹脂と第二樹脂の逐次射出、同時射出及び逐次射出と同時射出の組み合わせ射出の三つの射出パターンがあるが、以下、逐次射出を例にとって説明する。
第一樹脂は、第一シリンダから合流ノズルを介して、スキン層の厚さを形成するのに必要な量だけ金型内に射出される。この量は、成形体の大きさ,形状及びスキン層の厚さ等に応じて設定される。このように、第一樹脂を、第一シリンダからスキン層の厚さを形成するのに必要な量だけ射出することにより、スキン層の厚さを精度よく制御することができる。
また、第一樹脂は、金型内のゲート部付近に射出してもよいし、金型に第一樹脂を一時的に溜めておく貯留室を設けて、この貯留室に第一樹脂を射出してもよい。
次に、コア層に該当する第二樹脂(熱可塑性樹脂(b)と熱可塑性樹脂(c)を含有する樹脂組成物)を、第二シリンダから射出して、コア層(C)を形成する。
この第二射出工程では、前記したように、熱可塑性樹脂(b)の粘度(ηb)と熱可塑性樹脂(c)の粘度(ηc)が次の関係式(1)を満たす温度で射出することが重要である。
ηc/ηb≦1 ・・・ (1)
ここで、好ましくは、第一樹脂を射出した後、約0.2sec〜約1.0sec後に、第二シリンダから第二樹脂を射出するとよい。このような射出タイミングを設定することにより、金型内に射出された第一樹脂は、金型と接触した微小部分が冷え始めるものの、その他の大部分は、冷却されずにほぼ均一に射出された状態を維持できるので、より薄くかつ厚さが均一なスキン層を成形することができる。
また、第二樹脂を射出する射出速度は、一般的な成形機では100mm/sec程度、超高速成形では500mm/sec以上、好ましくは、800mm/sec以上とするとよい。この射出速度は、先に射出された第一樹脂の冷却速度に影響を受ける。即ち、金型に触れて冷却される第一樹脂の冷却速度と、冷却されつつある第一樹脂を押し延ばすように金型内に押し込まれる第二樹脂の射出速度の関係により、第一樹脂をどれだけ薄く延ばせるかが決定される。したがって、スキン層の厚さを制御するには、スキン層が厚くならないように、かつ、途中で切れてコア層が露出しないように、両速度を管理する必要があるが、第二樹脂を射出する射出速度を制御する方が、冷却速度を制御するより精度よくかつ容易に制御することができる。
第二樹脂を射出する射出速度を高速にする理由は、高速射出することにより、スキン層を、従来技術では実現できなかったレベルまで薄く成形することができるからである。なお、射出機のスクリュウ径は、限定されないが、通常20mm以上、好ましくは20mm以上160mm以下である。
なお、上記の説明では、第一シリンダにて第一樹脂を射出し、第二シリンダにて第二樹脂を射出しているが、このように複数のシリンダを使用する方法に限定されるものではなく、たとえば、可動マンドレルやホットランナー内の切り替えバルブ等を用いることにより、一本のシリンダで第一樹脂及び第二樹脂を射出することも可能である。
また、複数のシリンダを使用する場合、合流ノズルを用いて合流させる代わりに、金型内のゲート部等で合流させることも可能である。
このように、本発明にかかるサンドイッチ射出成形方法によれば、スキン層の厚さを精度よく制御することができるとともに、約800μm以下の薄いスキン層を形成することができる。
[IV]用途
本発明のサンドイッチ射出成形体は、インストルメンツパネル・トリム・コンソール等の自動車内装部品、バンパーなどの自動車外装部品等の自動車部品、家電・住宅関連部品、食品容器等の射出成形部品に好適に使用できる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載により何ら限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例において用いた物性測定法、使用材料、試験片の成形法は以下の通りである。
1.物性評価及び成形品の評価
(1)MFR:
JIS K7210に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定した。
(2)スキン層/コア層厚み比:
試験片の長手方向の中央部分を、樹脂流れ方向と垂直の面を切り出し、厚さを計測した。
(3)ピール強度:
SW成形されたTPの表面を、スキン層の厚さ程度にカミソリにてTD方向に切れ目を入れ、その後、1cm程度強制的にスキン/コア界面をMD方向に剥離した後、引っ張り試験機のチャック間に剥離部、非剥離部を挟み180度の方向に5mm/secの速度にて剥離させた際の剥離開始点での強度を剥離強度とした。測定は23℃にて実施した。
(4)熱可塑性樹脂(c)の粘度(ηc)と熱可塑性樹脂(b)の粘度(ηb):
コーン・プレート型の溶融粘弾性測定装置(レオメトリックス社RAS)にて、プレート系25mm、歪み量5%、歪み速度100rad/secの条件で測定した溶融粘度で求めた熱可塑性樹脂(c)の粘度=ηcと、熱可塑性樹脂(b)の粘度=ηbとの比として求めた。溶融粘度測定温度は、サンドイッチ成形時のコア層(C)部分の設定樹脂温度と等しいものとした。
2.使用樹脂
(1)スキン層(S)用材料
(イ)熱可塑性樹脂(a):
(i)PP−1:プロピレン単独重合体(日本ポリプロ株式会社製ノバテックMA03、MFR=30g/10分)
(2)コア層(C)用材料
(イ)熱可塑性樹脂(b):
(i)GSプラ:ポリブチレンサクシネート系生分解性樹脂(三菱化学製GSプラ AZ81T)
(ロ)熱可塑性樹脂(c):
(ii)PP−2:プロピレンブロック共重合体(日本ポリプロ株式会社製、MFR=150g/10分)
(iii)PP−3:プロピレンブロック共重合体(日本ポリプロ株式会社製ノバテック、MFR=100g/10分)
(iv)PP−4:プロピレンブロック共重合体(日本ポリプロ株式会社製ノバテックBC03C、MFR=30g/10分)
(v)PP−5:プロピレンブロック共重合体(日本ポリプロ株式会社製ノバテックBC3C、MFR=8g/10分)
(ハ)相溶化剤(d):
(vi)SEBS:スチレンブタジエンブロック共重合体水添物(旭化成製H1043(SEBS))
3.試験片(サンドイッチ射出成形体)の成形
複合射出成形機(日精樹脂工業(株)製混色成形機、商品名:FN−1000)を用い、第一シリンダーには、スキン層を形成する樹脂(A)を、また第二シリンダーには、コア層を形成する樹脂(B)を供給した。金型は、50×50×3mmの板状金型→JISダンベル型を用い、金型温度は50℃とした。シリンダー温度は、第一シリンダーは260℃とした。
始めに、第一シリンダーより、樹脂(A)を、50mm/secで射出してキャビティーの一部に充填した。その後、さらに、0.5秒後に第二シリンダーより、樹脂(B)を、射出速度100mm/secで射出し、キャビティー内を樹脂で充満させた。冷却固化後、これを取り出し、試験片とした。
[実施例1]
スキン層としてPP−1を用い、コア層としてGSプラ:50重量%、PP−2:50重量%、SEBS:GSプラとPP−2の合計100重量部に対して10重量部からなる樹脂組成物を用い、スキン層とコア層の厚み比が1:6になるようにして、サンドイッチ射出成形体を製造した。第二シリンダーの温度(成形温度)は、220℃とした。得られた成形体の評価結果を表1に示す。
[実施例2]
コア層の樹脂組成物の構成をGSプラ:50重量%、PP−3:50重量%、SEBS:GSプラとPP−3の合計100重量部に対して10重量部とした以外は、実施例1と同様にしてサンドイッチ射出成形体を製造した。得られた成形体の評価結果を表1に示す。
[実施例3]
コア層の樹脂組成物の構成をGSプラ:50重量%、PP−3:50重量%とした以外は、実施例2と同様にしてサンドイッチ射出成形体を製造した。得られた成形体の評価結果を表1に示す。
[実施例4]
コア層の樹脂組成物の構成をGSプラ:75重量%、PP−3:25重量%、SEBS:GSプラとPP−3の合計100重量部に対して15重量部とした以外は、実施例2と同様にしてサンドイッチ射出成形体を製造した。得られた成形体の評価結果を表1に示す。
[実施例5]
コア層の樹脂組成物の構成をGSプラ:50重量%、PP−4:50重量%、SEBS:GSプラとPP−4の合計100重量部に対して10重量部とし、また、コア層の成形温度を180℃にした以外は、実施例1と同様にしてサンドイッチ射出成形体を製造した。得られた成形体の評価結果を表1に示す。
Figure 0004961337
[比較例1]
コア層の樹脂組成物の構成をGSプラ:100重量%とした以外は、実施例1と同様にしてサンドイッチ射出成形体を製造した。得られた成形体の評価結果を表2に示す。
[比較例2]
コア層の成形温度を280℃にした以外は、実施例2と同様にしてサンドイッチ射出成形体を製造した。得られた成形体の評価結果を表2に示す。
[比較例3]
コア層の成形温度を260℃にした以外は、実施例5と同様にしてサンドイッチ射出成形体を製造した。得られた成形体の評価結果を表2に示す。
[比較例4]
コア層の樹脂組成物の構成をGSプラ:50重量%、PP−5:50重量%、SEBS:GSプラとPP−5の合計100重量部に対して10重量部とした以外は、実施例1と同様にしてサンドイッチ射出成形体を製造した。得られた成形体の評価結果を表2に示す。
Figure 0004961337
表1、2から明らかなように、本発明のサンドイッチ射出成形体は、ピール強度が高く、界面密着強度に優れていた(実施例1〜5)。一方、コア層に熱可塑性樹脂(c)を含まないと、ピール強度が0であり(比較例1)、コア層に熱可塑性樹脂(c)を含んでいても、関係式(1):ηc/ηb≦1 を満たさないとピール強度が低い(比較例2〜4)。
本発明のサンドイッチ射出成形体は、スキン層とコア層との界面密着強度が高く、耐衝撃性、引張強度等の機械強度に優れ、自動車内装部品及び自動車外装部品等の自動車部品、家電・住宅関連部品、食品容器等の射出成形部品に好適に使用できる。

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂(a)からなるスキン層(S)と、40〜85重量%の熱可塑性樹脂(b)及び15〜60重量%の熱可塑性樹脂(c)を含有する樹脂組成物からなるコア層(C)とからなるサンドイッチ射出成形体であって、
    (i)熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(b)とは、非相溶性であり、
    (ii)熱可塑性樹脂(b)と熱可塑性樹脂(c)とは、非相溶性であり、
    (iii)熱可塑性樹脂(a)と熱可塑性樹脂(c)とは、相溶性であり、及び
    (iv)コア層(C)の成形時の温度における熱可塑性樹脂(b)の粘度(ηb)と熱可塑性樹脂(c)の粘度(ηc)とは、次の関係式(1)を満たすことを特徴とするサンドイッチ射出成形体。
    ηc/ηb≦1 ・・・ (1)
  2. スキン層(S)とコア層(C)との厚み比率(S:C)は、1:0.3〜1:20であることを特徴とする請求項1に記載のサンドイッチ射出成形体。
  3. 熱可塑性樹脂(a)は、ポリプロピレン系樹脂であり、熱可塑性樹脂(b)は、ポリ乳酸又はポリブチレンサクシネートであり、及び熱可塑性樹脂(c)は、(a)とは異なるポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のサンドイッチ射出成形体。
  4. スキン層(S)とコア層(C)間のピール強度は、1N/mm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のサンドイッチ射出成形体。
  5. コア層(C)の樹脂組成物は、さらに相溶化剤(d)を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のサンドイッチ射出成形体。
  6. 相溶化剤(d)は、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体又はこれらの水素添加物、無水マレイン酸またはヒドロキシ変性ポリオレフィン、エチレン−グリシジルメタクリレード共重合体、脂肪族ポリエステル−ポリ乳酸樹脂共重合体及びカルボジイミド基含有化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項5に記載のサンドイッチ射出成形体。
  7. 金型内に形成されたキャビティに、スキン層(S)として熱可塑性樹脂(a)を射出する第一射出工程と、第一射出工程開始後にコア層(C)として、40〜85重量%の熱可塑性樹脂(b)及び15〜60重量%の熱可塑性樹脂(c)を含有する樹脂組成物を射出する第二射出工程とを含む射出成形体の製造方法であって、
    第二射出工程では、熱可塑性樹脂(b)の粘度(ηb)と熱可塑性樹脂(c)の粘度(ηc)が次の関係式(1)を満たす温度で射出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のサンドイッチ射出成形体の製造方法。
    ηc/ηb≦1 ・・・ (1)
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