JP4961103B2 - プラスチックレンズの製造方法及びプラスチックレンズ - Google Patents

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Description

本発明は、プラスチックレンズの製造方法及びプラスチックレンズに関し、特に、モノマー組成物の減圧脱泡を効率的に行うことができるプラスチックレンズの製造方法及びプラスチックレンズに関するものである。
近年、プラスチック製レンズは、無機ガラス製レンズに比べて軽量性、安全性という特性を有するため広く利用されるようになってきている。特に、眼鏡レンズにおいてはジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂が主流であった。しかしながら、この樹脂は屈折率が1.50程度と低く、ガラスレンズと比較するとレンズが厚くなると言う欠点があり、プラスチックレンズ高屈折率化の提案が種々なされている(例えば、特許文献1及び2)。特許文献1に記載されている、ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させて得られるポリチオウレタン樹脂や、特許文献2に記載されているエピチオ基を有する化合物と、ポリチオール化合物と、ポリイソシアナート化合物とを重合させてなるプラスチックレンズは、屈折率が高くアッベ数も大きいことから広く利用されるようになってきている。
通常、ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを含むモノマー組成物を反応させてプラスチックレンズを製造する方法は、前記モノマー組成物を混合攪拌し組成が均一な溶液とする調合工程、この溶液をガラス又は金属製のモールドと樹脂製ガスケットからなるレンズ成形用鋳型に注入する注入工程、適当な温度プログラムで重合を行う重合工程、型から重合したレンズを取り出す離型工程等からなっている。また、調合工程では重合過程でレンズキャビティー内に気泡が発生するのを防ぐため、溶液組成を均一化してから減圧脱泡を行うのが一般的である。減圧脱泡はモノマー溶液を投入した密閉タンクに真空ポンプ等を接続し、適度に攪拌しながら10〜100Pa程度の減圧状態を5〜300分維持することにより行われる。また、減圧脱泡は、調合済みのモノマー組成物を密閉タンクに投入し適度な攪拌を行いながら必要な圧力に一定時間保ち、激しい発泡が徐々に収まってくることによって達成される。
しかし、前記調合工程では激しい発泡が起こり、時として発生した泡が最初の液面の2倍から数倍の体積まで吹き上がることがある。特に、モノマー組成物に添加剤を加えた場合、これを加えなかった場合に比べて、激しく発泡したときの泡の吹き上がり方が著しく増大し、注意を怠ると減圧脱泡のために接続した真空ポンプにモノマー溶液を吸い込んでしまう恐れがあった。このため、この工程で激しい発泡が予想される場合は目視で状態を確認しながら圧力や攪拌速度を抑制して微調整する操作が必須であり、場合によっては十分な脱泡を行えず、良好なレンズが得られないことがあった。
特開平7−316250号公報 特開2001−330701号公報
本発明は上述した課題を解決するためになされたもので、その目的は、プラスチックレンズを製造する際に、モノマー組成物の調合工程の減圧脱泡操作時に泡の吹き上がりを少なく抑え、短時間で十分な脱泡効果が得られ効率的にプラスチックレンズを製造することができるプラスチックレンズの製造方法及びプラスチックレンズを提供することにある。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、調合工程におけるモノマー組成物の発泡による泡の吹き上がりが、モノマーの吸水状態、溶存気体以外に、添加剤の種類、量等によって大きな影響を受けているものと考え、調合方法と脱泡操作について種々検討を行った。その結果、モノマー組成物に添加剤を加えた場合、これを加えなかった場合に比べて、激しく発泡したときの泡の吹き上がり方が著しく増大する場合があること、また、この場合でも減圧脱泡を行う際のモノマー組成物が一定量を超えなければ泡の吹き上がり方が極めて少ないことを見出し、これを調合工程に応用することで本発明の製造方法を完成させた。
すなわち、本発明は、少なくとも1種のポリイソシアネート化合物と少なくとも1種のポリチオール化合物と添加剤とを含むモノマー組成物を反応させて得られるプラスチックレンズの製造方法において、前記モノマー組成物全量のうちの一部をタンクに入れて第1の減圧脱泡を行う工程と、前記モノマー組成物の残余を前記タンクに入れて第2の減圧脱泡を行う工程とを有するプラスチックレンズの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、この方法により製造されてなるプラスチックレンズを提供するものである。
本発明のプラスチックレンズの製造方法によると、調合工程での減圧脱泡操作時の泡の吹き上がりを少なく抑えることができ、短時間で十分な脱泡効果が得られ効率的にプラスチックレンズを製造することができる。
本発明のプラスチックレンズの製造方法は、少なくとも1種のポリイソシアネート化合物と少なくとも1種のポリチオール化合物と添加剤とを含むモノマー組成物を反応させて得られるプラスチックレンズの製造方法において、前記モノマー組成物全量のうちの一部をタンクに入れて第1の減圧脱泡を行う工程(第1の調合工程:予備脱泡)と、前記モノマー組成物の残余を前記タンクに入れて第2の減圧脱泡を行う工程(第2の調合工程:本脱泡)とを有する。
本発明の製造方法において、前記第1の調合工程で用いるモノマー組成物全量に対するモノマー組成物全量のうちの一部の量は、泡の吹き上がりが起きない量であり、モノマーの種類、添加剤の種類、全量、使用するタンクの形状、容量等によって異なるため、事前に確認操作を行うのが好ましく、以下のように決定すればよい。通常、生産性を考慮した10〜100リットルのタンクが用いられた場合、レンズモノマー量をタンク容量1に対して1/6〜1/2にすると好ましい。
まず、モノマー組成物の全量に添加剤を加えた調合済みモノマー溶液を減圧脱泡したときに泡の吹き上がりが激しく、必要な圧力が得られない場合には、第1の調合工程として泡の吹き上がりが起きない量まで減らしたモノマー組成物に添加剤を溶解し、いったんこれを減圧脱泡する。この場合、激しい発泡が起きても泡の吹き上がりは起こらず、短時間で必要な圧力に到達する。そして、第2の調合工程として、残余のモノマーを加えて再度減圧脱泡を行う。ここではすでに添加剤を含んだモノマー組成物を予備脱泡しているため、短時間で必要な圧力に到達し、予備脱泡と合わせても効率的に減圧脱泡が完了する。
また、前記第1の調合工程におけるモノマー組成物全量のうちの一部としては、少なくとも1種のポリイソシアネート化合物と少なくとも1種のポリチオール化合物のうちの1種であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。また、ここに加える添加剤は全ての添加剤であってもよいし、本発明の効果を損なわない範囲であれば一部の添加剤であってもよい。
本発明の製造方法において、調合工程における必要な圧力は主にモノマーの種類によって異なるが、前記第1の調合工程及び前記第2の調合工程共に、10〜300Paであると好ましい。
本発明で用いられるポリイソシアネート化合物は、特に限定されるものでなく、例えば、特開昭60−199016号公報、特開昭57−136601号公報、特開昭63−46213号公報、特開平1−302202号公報などに開示されたポリイソシアネート化合物を適宜用いることができる。具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)ビシクロヘプタン、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、トリス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メシチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、ヘキサメチレントリイソシアネート等のポリイソシアネート化合物及びそれらの化合物のアロファネート変性体、ビュレット変性体、イソシアヌレート変性体、ポリオール又はポリチオールとのアダクト変性体などが挙げられる。その他にも、公知のイソシアネート化合物を用いることができるが、主成分となるイソシアネート化合物は2官能以上のものでなければならない。また公知の芳香環を分子内にもつイソシアネート化合物にCl又はBr等のハロゲン原子を導入したものであってもよい。
これらの中でも特に好ましいポリイソシアネート化合物は、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)ビシクロヘプタン、キシリレンジイソシアネート、メシチレントリイソシアネートである。
これらのポリイソシアネート化合物は単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
本発明で用いられるポリチオール化合物は、特に限定されるものでなく、例えば、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(メルカプトプロピオネート)、ジクロロネオペンチルグリコールビス(メルカプトプロピオネート)、ジブロモネオペンチルグリコールビス(メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(メルカプトアセテート)、ジメルカプトメチルジチアン、ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール等が挙げられる。
これらのチオール化合物は単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
プラスチックレンズとしてこれらの好ましい組成範囲は、モノマー組成物がポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物だけからなる場合は、NCO基/SH基のモル比が通常0.9〜1.2の範囲であり、好ましくは0.98〜1.05の範囲である。NCO基/SH基のモル比が0.9以上であれば未反応のSH基が残らず、モノマー組成物が十分硬化し、耐熱性、耐湿性、耐光性に優れた樹脂が得られる。NCO基/SH基の比率が1.2以下であれば未反応のNCO基が残らず、耐熱性、耐湿性、耐光性に優れた樹脂が得られ、未反応のNCO基を減らすために反応温度を上げる必要もなく、着色等の欠点も見られず、プラスチックレンズ材料として好ましい。
また、モノマー組成物がポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物以外のモノマー成分を含む場合は、プラスチックレンズ材料として好ましい組成はさらに複雑になってくる。しかし、この場合もモノマー組成物がポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物だけからなる場合と同様に好ましい組成範囲が存在し、いずれの場合も製造工程においてあらかじめ設定された好ましい組成範囲に調合された組成物を反応させてレンズを製造する必要がある。
本発明で用いられる添加剤としては、代表的なものとして重合触媒、紫外線吸収剤、離型剤等が挙げられるが、特に限定されるものでなく、必要に応じ前記以外の公知の添加剤を必要に応じて適宜選択して用いることができる。
前記重合触媒の例としては、ジブチル錫ジアセテ−ト、ジブチル錫ジラウレ−ト、ジブチル錫ジクロライド、ジメチル錫ジクロライド、モノメチル錫トリクロライド、トリメチル錫クロライド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫フロライド、ジメチル錫ジブロマイド等の有機錫化合物が挙げられる。これらは単独で用いることもできるし、2種以上を併用して用いることもできる。
これら重合触媒は、モノマー組成物全量中の含有量が、通常10〜10000ppm、好ましくは50〜8000ppmの範囲になるように添加する。10〜10000ppmの範囲内であれば、重合速度の調整が容易で、光学歪や脈理が少ない。
前記紫外線吸収剤の例としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホニックアシッド、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等の各種ベンゾフェノン系化合物、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’ ,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’ ,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の各種ベンゾトリアゾール化合物、ジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。これらは単独で用いることもできるし、2種以上を併用して用いることもできる。
これら紫外線吸収剤は、モノマー組成物全量中の含有量が、通常10〜10000ppm、好ましくは20〜8000ppmの範囲になるように添加する。含有量が10ppm以上であれば十分な紫外線吸収効果ありレンズの耐光性が良好である。また、10000ppm以下であればレンズが着色することがない。
前記離型剤の例としては、リン酸エステル系化合物が好適に用いられ、具体的には、イソプロピルアシッドフォスフェート、ブチルアシッドフォスフェート、オクチルアシッドフォスフェート、ノニルアシッドフォスフェート、デシルアシッドフォスフェート、イソデシルアシッドフォスフェート、トリデシルアシッドフォスフェート、ステアリルアシッドフォスフェート、プロピルフェニルアシッドフォスフェート、ブチルフェニルアシッドフォスフェート等のリン酸モノエステル化合物、ジイソプロピルアシッドフォスフェート、ジブチルアシッドフォスフェート、ジオクチルアシッドフォスフェート、ジイソデシルアシッドフォスフェート、ビス(トリデシルアシッドフォスフェート)、ジステアリルアシッドフォスフェート、ジプロピルフェニルアシッドフォスフェート、ジブチルフェニルアシッドフォスフェート、ブトキシエチルアシッドフォスフェート等のリン酸ジエステル化合物が挙げられる。これらは単独で用いることもできるし、2種以上を併用して用いることもできる。
これら離型剤は、離型工程での作業性に無理のない範囲で最低量に設定されるのが一般的であり、モノマー組成物全量中の含有量が、通常10〜10000ppmの範囲になるように添加する。
また、本発明の製造方法においては、前記第1の調合工程における前記モノマー組成物全量のうちの一部に含まれる添加剤が紫外線吸収剤及び離型剤であり、前記第2の調合工程における前記モノマー組成物の残余に含まれる添加剤が重合触媒であると好ましい。
本発明においては、前記調合工程以外の工程、すなわち、調合工程で得られた溶液をガラス又は金属製のモールドと樹脂製ガスケットからなるレンズ成形用鋳型に注入する注入工程、適当な温度プログラムで重合を行う重合工程、型から重合したレンズを取り出す離型工程等は特に限定されず、公知の方法によればよい。
本発明のプラスチックレンズは、以上のような方法により製造されるものであり、例えば、眼鏡用等のプラスチックレンズとして好適である。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実験例1(必要な真空度の確認)
ポリイソシアネート化合物モノマーとしてMR−10A(三井化学(株)製)4.06kgに、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール4.0g、離型剤としてブトキシエチルアシッドフォスフェート1.2gを添加し、撹拌溶解して混合物を得た。この混合液を内部が目視で確認できるプロペラ攪拌機付きの40リットル密閉タンクに投入し、さらにポリチオール化合物モノマーとしてMR−10B(三井化学(株)製)4.94kg、重合触媒としてジブチル錫ジクロライド(三共有機合成(株)製)0.1gをMR−10Aの1.0kgに溶解した溶液を添加して十分混合し、モノマー組成物の溶液を調製した。この溶液の全量は、約8.1リットルであった。
次に、このタンクに真空ポンプを接続し、30rpmのゆっくりとした回転速度でプロペラによる攪拌を行いながら減圧脱泡を行った。内部は激しい発泡が起きていたが、著しい泡の吹き上がりは認められなかった。5分後、発泡の勢いが収まってきたところでプロペラの回転速度を180rpmに上げてさらに40分間保った。このときの真空度(圧力)は30Paに達して落ち着いていた。以上より、このモノマー組成物の調合に必要な真空度は30Paと判定した。
次いでこのモノマー組成物をガラス型と軟質プラスチック製ガスケットよりなる成形型中に注入し、熱風循環式重合炉に入れて重合を行った。成形型を30℃から120℃まで24時間かけて昇温し、120℃にて3時間加熱した後、成形型を重合炉から出し、成形型からアワのない無色透明のプラスチックレンズを取り出した。
比較例1(調合モノマー量の拡大)
実験例1において、プラスチックレンズの生産性を確保するため、タンクを60リットルのものに変更し、各モノマー、添加剤の量を全て5倍に増やした以外は同様にして操作を行った。このときのモノマー組成物の溶液全量は、約40.4リットルであった。減圧を開始し、真空度100Paに達したところで激しい発泡が起こり、泡が激しく吹き上がってきてタンク上部に達したため、減圧を中止、乾燥窒素を導入して発泡を消滅させた。再度この操作を行ったところ、同様に真空度100Paで激しい泡の吹き上がりが起き、さらに5回同じ操作を行っても泡の吹き上がりは全く治まらなかった。
このモノマー組成物を、実験例1の操作と同様に成形型中に注入し、熱風循環式重合炉に入れて重合を行った。ここで得られたプラスチックレンズには0.5mm程度の無数の微小アワが発生しており、レンズとして使用できないものであった。以上の通り、調合モノマー量の拡大は従来の減圧脱泡方法では激しい泡の吹き上がり現象を起こすため、実質的に必要な真空度が得られず、良好なプラスチックレンズが得られないことが分かった。各モノマー量及び以上の結果を表1に示す。
実施例1
まず、予備脱泡(第1の調合工程)として内部が目視で確認できるプロペラ攪拌機付きの60リットル密閉タンクに、ポリイソシアネート化合物モノマーとしてMR−10A 20.3kgに、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール20.0g、離型剤としてブトキシエチルアシッドフォスフェート6.0gを溶解したモノマー溶液を投入した。このときのモノマー溶液全量は、約16.9リットルであった。このタンクに真空ポンプを接続し、30rpmのゆっくりとした回転速度でプロペラによる攪拌を行いながら減圧脱泡を行った。まもなく激しい発泡が始まったが泡の吹き上がり現象は見られず、回転速度を180rpmに上げて真空度が40Paで落ち着いたため、20分で脱泡を終了した。
次に、本脱泡(第2の調合工程)として、比較例1と最終組成が同量になるように、ポリチオール化合物モノマーとしてMR−10B 24.7kgと、重合触媒としてジブチル錫ジクロライド(三共有機合成(株)製)0.5gをMR−10Aの5.0kgに溶解した溶液とを加え(このときのモノマー溶液全量は、約40.4リットル)、再度脱泡操作を行ったところ、回転速度180rpmで必要な真空度の30Paで落ち着いたため、20分で脱泡を終了した。
得られたモノマー組成物を、実験例1の操作と同様に成形型中に注入し、熱風循環式重合炉に入れて重合を行った。ここで得られたプラスチックレンズはアワのない無色透明な良好なものであった。各モノマー量及び以上の結果を表1に示す。
実施例2
まず、予備脱泡(第1の調合工程)として内部が目視で確認できるプロペラ攪拌機付きの60リットル密閉タンクに、ポリイソシアネート化合物モノマーとしてMR−10A 10.0kg(8.3リットル)に、紫外線吸収剤として2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール20.0g、離型剤としてブトキシエチルアシッドフォスフェート6.0gを溶解した溶液とポリチオール化合物モノマーとしてMR−10B 10.0kg(7.8リットル)とを投入しモノマー溶液とした。このときのモノマー溶液全量は、約16.2リットルであった。このタンクに真空ポンプを接続し、30rpmのゆっくりとした回転速度でプロペラによる攪拌を行いながら減圧脱泡を行った。まもなく激しい発泡が始まったが泡の吹き上がり現象は見られず、回転速度を180rpmに上げて真空度が30Paで落ち着いたため、20分で脱泡を終了した。
次に、本脱泡(第2の調合工程)として、比較例1と最終組成が同量になるように、MR−10B 14.7kgと、重合触媒としてジブチル錫ジクロライド(三共有機合成(株)製)0.5gをMR−10A 15.3kgに溶解した溶液とを加え(このときのモノマー溶液全量は、約40.4リットル)、再度脱泡操作を行ったところ、回転速度180rpmで必要な真空度の30Paで落ち着いたため、20分で脱泡を終了した。
得られたモノマー組成物を、実験例1の操作と同様に成形型中に注入し、熱風循環式重合炉に入れて重合を行った。ここで得られたレンズはアワのない無色透明な良好なものであった。各モノマー量及び以上の結果を表1に示す。
Figure 0004961103
本発明のプラスチックレンズの製造方法によると、調合工程での減圧脱泡操作時の泡の吹き上がりを少なく抑えることができ、短時間で十分な脱泡効果が得られ効率的にプラスチックレンズを製造することができる。このため、眼鏡用等の各種プラスチックレンズの製造方法として有用である。

Claims (7)

  1. 少なくとも1種のポリイソシアネート化合物と少なくとも1種のポリチオール化合物と添加剤とを含むモノマー組成物を反応させて得られるプラスチックレンズの製造方法において、前記モノマー組成物のうちの少なくとも1種のポリイソシアネート化合物の一部と少なくとも1種のポリチオール化合物の一部と添加剤、又は少なくとも1種のポリイソシアネート化合物の一部と添加剤をタンクに入れて第1の減圧脱泡を行う工程と、前記モノマー組成物の残余を前記タンクに入れて第2の減圧脱泡を行う工程とを有するプラスチックレンズの製造方法であって、
    前記モノマー組成物に含まれる添加剤が、紫外線吸収剤、離型剤及び重合触媒であり、前記第1の減圧脱泡を行う工程における添加剤が紫外線吸収剤及び離型剤であり、前記第2の減圧脱泡を行う工程における前記モノマー組成物の残余に含まれる添加剤が重合触媒であり、
    前記第1の減圧脱泡を行う工程において、前記タンクに入れる少なくとも1種のポリイソシアネート化合物の一部と少なくとも1種のポリチオール化合物の一部と添加剤、又は少なくとも1種のポリイソシアネート化合物の一部と添加剤の体積量が、タンクの容量1に対して、1/6〜16.9/60であるプラスチックレンズの製造方法。
  2. 前記第1の減圧脱泡及び第2の減圧脱泡を行う際の圧力が、それぞれ10〜300Paである請求項1記載のプラスチックレンズの製造方法。
  3. 前記モノマー組成物におけるポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物との割合が、前記モノマー組成物がポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物のみからなる場合には、NCO基/SH基のモル比で0.9〜1.2である請求項1又は2記載のプラスチックレンズの製造方法。
  4. 前記重合触媒の含有量が、前記モノマー組成物全量中に10〜10000ppmである請求項のいずれか1項記載のプラスチックレンズの製造方法。
  5. 前記紫外線吸収剤の含有量が、前記モノマー組成物全量中に10〜10000ppmである請求項のいずれか1項記載のプラスチックレンズの製造方法。
  6. 前記内部離型剤の含有量が、前記モノマー組成物全量中に10〜10000ppmである請求項のいずれか1項記載のプラスチックレンズの製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれか1項記載の方法により製造されてなるプラスチックレンズ。
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