JP4959373B2 - 植物苗の短期育成用具および育成方法、定植用植物苗セット、並びに植苗方法 - Google Patents

植物苗の短期育成用具および育成方法、定植用植物苗セット、並びに植苗方法 Download PDF

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本発明は、植物苗を短期に育成することのできる育成用具、該用具を用いた短期育成方法、定植用植物苗セット、および前記植物苗セットを用いた植苗方法に関するものである。本発明は、さらに詳しくは、定植地として、例えば、乾燥地、土壌表層が凍結した寒冷地、土壌表層に塩類が集積した塩類集積地などの植物の育成が困難な地域においても植物苗を順調かつ短期に育成することのできる短期育成用具、該用具を用いた短期育成方法、定植用植物苗セット、および前記植物苗セットを用いた植苗方法に関するものである。
周知のように、乾燥地における地中の含水分は、緑化容易な他の地帯における含水分に比べて非常に少ない。例えば、アフリカのナイジェリアで2000年に土壌中の含水比を土壌深度について測定した結果では、土壌表面はほとんど含水分がないのに較べ、深さ30cm以上には比較的安定した含水量が認められた。したがって、乾燥地における植物の生き残りは、この安定した含水量のある深さの層へ根を如何に早く到達することができるか否かによって決まる。
また、世界に広く分布する塩類集積土壌では、土壌の比較的浅い部分(表面〜20cmないし30cmの深さまで)には塩分が多く含まれていることが、しばしばであり、その部分の含水分が植物育成を可能にする量であっても、その塩分により、育成が阻害されてしまう。
従来、前述のような乾燥地帯に植物を育成させるための技術として、例えば、図10に示すような構造体(特許文献1)や、図11に示すような構造体(特許文献2)を用いることが提案されている。
図10に示す構造体を用いた植物の育成方法は、次のようである。すなわち、掘削して形成した所要の断面積と深さとを有する空所X内に外筒部材1を装着し、該外筒部材1内に保水材入りの土壌S1を充填したのち、その中央部に形成した空隙内に保水材入りの植生用の土壌S2を充填した内筒部材2を配置し、各土壌S1,S2に灌水を行い、内在する保水材に充分な水分を保持させたのち、内筒部材2内の土壌S2に播種又は苗の植付けをし、外筒部材1によって土壌S1中の水分の外筒部材1外への流出を遮断すると共に、前記土壌S1によって内筒部材2内の土壌S2を地熱から断熱し、当該土壌の冷却化と乾燥を防止して湿潤状態を保持しながら植物を成育させる。
また、前記乾燥および塩分対策としては、耐乾性および耐塩性を有する植物種を選択的に用いることによって、定着率を高める努力が行われている。さらに、塩分が多く乾燥した土壌の地域であっても、近くに豊富な水源がある場合には、その水を用いて、土壌中から塩分を洗い流すことも試みられている。
また、育成植物の形態として、苗を使用する場合、現在、その苗は、ポット栽培、露地栽培により生産している。
図11の構造体は、生分解可能な素材で形成された円筒状の外層5と、保水性と吸水性を備えた円筒状の中間層6と、肥料を混ぜた土壌からなる内層7とによって構成されている。上記中間層6の上面ならびに下面は前記外層5と同じ材料で形成された円盤形の薄い上蓋8ならびに下蓋9によって被覆保護されている。
図11の構造体を用いて、乾燥地や砂丘、砂漠等に、植物を成長させる方法は、まず、砂漠等の砂地の底部の伏流水を有する土壌基盤に到達する長さまで複数連結し、砂地をボーリングして埋め込み、種もしくは苗木を内層7に植え込む。苗木定着後、根が土壌基盤に達するまで約30日に一度の割合で約1リットルの注水を行う。
特開2000−032840号公報 特許第3811801号明細書
前記特許文献1に記載の技術を用いることで、高い保水性と、高温による根の伸長阻害を抑制することができる。しかしながら、前記特許文献1に記載の技術には、複雑な構造体や培地への保水材の補充作業等の煩雑さがあるため、一連の操作性に多大な労力が要求される。また、点滴灌漑等により植物への継続的な水分供給を行わなくてはならないため、少ないとはいえ蒸発による水の損失が起きる等、さらなる改善点が存在する。
また、塩分に強い植物種を用いる乾燥地緑化対策も、現実的には、塩分濃度が高すぎて、塩分に強い植物種を用いても、生物障害等が起こる可能性が高く、その地に定着させることが難しい。
また、豊富な水源が近くにある場合に用いられる土壌中の塩分の洗浄除去方法は、乾燥地ではそのような水源が確保できないので、非現実的である。
また、定植に使用する苗の準備方法として用いられているポット栽培、露地栽培では、育苗期間が長い。
前記特許文献2に開示の構造体は、植物の種子や苗にとって定着が困難な乾燥地等の砂地に直接埋め込まれる。埋め込まれた後に内層7に植物の種または苗が植え込まれる。そして、構造体の上から注水して、植物苗に水分を補給する。内層7は、肥料を混ぜた土壌であり、水分を含むことによって、植物への養分と水分の補給源となる。
本発明者らの実験によれば、前記特許文献2に開示の構造体および植物の定着方法を用いて植物を成長させた場合、砂地の表面から30cm以上の深さにある伏流水に到るまで、植物の根を成長させることはできなかった。その原因を探求したところ、植物の苗が植え付けられる内層7が肥料を含み、かつ十分な水分を与えられるため、植物は、この内層7から養分および水分を得るために分岐した短い根が多数発生するだけで、30cm以上の下方に位置する伏流水に達するまでの長尺な根が成長しないことが判明した。したがって、この特許文献2に開示の構造体および植物の定着方法によれば、乾燥地に植物を定着させることが難しく、可能であったとしても、定着に長期間を要し、その間、常に注水を絶やすことができず、定着までに要する注水量が膨大なものになり、コスト面で定植事業は破綻せざるを得ない。
これに対して、本発明者らは、乾燥地や寒冷地や表層塩類集積地域などの土壌表層の水分が利用し難い(植物育成に必要な水分を確保しにくい)定植地において現地の土壌に順調に植苗することができ、かつ定植地において積極的に人工的に水分を補給しなくとも、苗を確実に定着させ、成長させることのできる技術を確立すべく、鋭意、実験、検討を重ねた。
その結果、砂漠などの実際の定植地に植え付ける前に、定植地とは別の適当な環境下において、図12、13に示すように、前記定植地の地下含水層に到達可能な長さを有する筒体10の上部開口部10a内側に植物苗11を固定するとともに、前記筒体10の内側に前記植物苗11の根の下方への成長速度を増大させることを可能にする硬度で人工土壌等の育成材料12を充填し、前記植物苗11の根の前記筒体10下方への成長を促進させることにより、長尺な根11aを有する植物苗11を得ることできることが知見された。前記育成材料12の硬度としては、育成後の前記植物苗を定着させようとする定植地の土壌硬度以下に設定すれば良く、好ましくは、育成材料12は筒体10の内壁10bから脱落しない範囲内で可能な限り低密度に充填させる程良い。そして、水分補給は、育成材料12の上部からの注水によると、植物の根は下方に長く伸びる必要性を感知しないので、筒体10の下端部分のみを水中に間欠的に漬けることによって植物苗11に根を下方に伸ばす必要性を感知させる負荷を与えれば、それにより長尺根11aの成長を実現できることも判明した。また、筒体10内の育成材料12に筒体10の上方から注水を行うと、筒体10内に低密度に充填されていた育成材料が脱落しやすくなるので、かかる点からも筒体10下部から筒体10の材料および育成材料の吸水性を利用した水分補充が好ましいことが確認された。
前述のようにして、筒体10の下端に到り、さらに筒体10下端からさらに下方に長尺根11aが伸びるようになるまで、長尺根11aが成長したなら、この長尺根11aを有する植物苗を、その成長を支えた筒体10とともに、定植地に搬送し、その筒体10とともに定植地のボーリング穴(地下含水層に到達)に挿入し、埋め込む。この埋め込んだ時点で、筒体10内に収容されている植物苗11の長尺根11aは、植物の生育に適した地下水に即時的に接触し、水分を吸収し始めることになる。その結果、植え付けた植物の定着率が大幅に向上し、しかも、地表からの注水もほとんど不要となるので、その後の植物生育のためのコストも大幅に低減することができる。
本発明者らは、育成材料を所定の硬度にて充填させてなる筒体(短期育成用具)と、該筒体内にて長尺な根を成長させた植物苗と前記筒体とを一体にしたものを、植物苗セットとして流通させることにより、砂漠等の定植地へ、植物苗に損傷を与えることなく、搬送でき、定植地への植物の植え付け(植苗)も、簡易に行うことができ、定着率も格段に向上させることができることを、中規模生産レベルにて、確認することができた。
かかる一連の技術、すなわち、定植地に定着可能な長尺な根を有する植物苗を得るための植物根の短期育成用具、育成方法、植物苗セット、および植苗方法を、確立した後、本発明者らは、さらに過酷な地質的条件下の地域への適用を検討することになった。
その結果、良質な水分が含まれる地下含水層が1.5m以深にある地域もあり、そのような地域に植物を定着させるためには、その長尺根を1.5m近くまで、好ましくは1.5mを超えるような長さまで成長させる必要があることが判明した。これに対応させるために、筒体の長さを1.5mを超える長さにしたところ、それに伴って、筒体内の育成材料が脱落しやすくなるという新たな問題が発生した。筒体内の育成材料の脱落は、充填密度を高めて、育成材料の硬度を上げれば、防止可能である。しかしながら、筒体内の育成材料の硬度を高めると、長尺根の成長が著しく阻害され、場合によっては、寸法の短い分岐根が多数成長するだけで終わってしまうことが知見された。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、その課題は、良質な水分が含まれる地下含水層が地表より1m以深、さらには1.5m以深にある地域への定植に適した長尺根を有する植物苗を成長させることのできる植物苗の短期育成用具および育成方法、定植用植物苗セット、並びに植苗方法を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の請求項[1]に記載の植物苗の短期育成用具は、定植地に定着可能な長尺な根を有する植物苗を得るための植物苗の短期育成用具であって、前記植物苗用の育成材料の脱落を防止する網状部材が底部開口部に取り付けられるとともに内部に前記育成材料が充填されている複数の短筒体と、該複数の短筒体を長手方向に積層連結固定して前記定植地の地下含水層に到達可能な長さとする連結固定手段とを有してなり、前記各短筒内の育成材料が前記積層連結された複数の短筒体の最上部の短筒体の上部開口部内側に固定する植物苗の根の下方への成長速度を増大させることを可能にする硬度に調整されていることを特徴とする。
本発明の請求項[2]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項1に記載の植物苗の短期育成用具において、前記連結固定手段が前記複数の短筒体に外嵌する外筒体であることを特徴とする。
本発明の請求項[3]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項2に記載の植物苗の短期育成用具において、前記外筒体が長手方向に連続した単一な長寸外筒体であることを特徴とする。
本発明の請求項[4]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項2に記載の植物苗の短期育成用具において、前記外筒体が前記複数の短筒体相互の連結部近傍のみを覆う長さの短寸外筒体の複数個から構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項[5]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項2に記載の植物苗の短期育成用具において、前記外筒体が前記短筒体の数個を同時に覆う長さの中寸外筒体の複数個から構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項[6]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記複数の短筒体間に透明層が介装されていることを特徴とする。
本発明の請求項[7]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項6に記載の植物苗の短期育成用具において、前記透明層が多数の透明粒子から構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項[8]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項6に記載の植物苗の短期育成用具において、前記透明層が透明ゲルから構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項[9]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項6に記載の植物苗の短期育成用具において、前記透明層と前記短寸外筒体とが同一透明材料により一体に形成され、その中央に伸長根の通過を可能とする貫通孔が形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項[10]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項1に記載の植物苗の短期育成用具において、前記育成材料が充填された短筒体の下部が該短筒体の上部開口部に嵌入可能な寸法に縮径され、該下部縮径部が前記連結固定手段を構成していることを特徴とする。
本発明の請求項[11]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項1に記載の植物苗の短期育成用具において、前記連結固定手段が、前記請求項2〜5のいずれかに記載の外筒体と、前記請求項10に記載の短筒体の下部縮径部との組み合わせから構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項[12]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項1〜11のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記育成材料の硬度が、育成後の前記植物苗を定着させようとする定植地の土壌硬度以下であることを特徴とする。
本発明の請求項[13]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項1〜12のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記育成材料が、土壌、砂、礫、土壌代替物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明の請求項[14]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項1〜13のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記短筒体が透水性を有することを特徴とする。
本発明の請求項[15]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項1〜14のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記短筒体が保水性を有することを特徴とする。
本発明の請求項[16]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項1〜15のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記短筒体が通気性を有することを特徴とする。
本発明の請求項[17]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項1〜16のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記短筒体が生分解性資材から構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項[18]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項1〜17のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記外筒体が前記短筒体と同一の材料から構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項[19]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項1〜17のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記外筒体が非生分解性資材から構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項[20]に記載の植物苗の短期育成用具は、前記請求項1〜19のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記短筒体の外表面に疎水性の塗料が塗布されていることを特徴とする。
本発明の請求項[21]に記載の植物苗の短期育成用方法は、前記請求項1〜20のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具を用いて定植地に定着可能な長尺な根を有する植物苗を得る植物苗の短期育成方法であって、前記複数の短筒体を定植地の地下含水層に到達可能な長さに積層連結して固定し、積層した最上部の短筒体の上部開口部内側の育成材料中に植物苗を固定し、前記植物苗の根を前記複数の短筒体下方へ成長させることにより、前記長尺な根を有する植物苗を得ることを特徴とする。
本発明の請求項[22]に記載の植物苗の短期育成用方法は、前記請求項21に記載の植物苗の短期育成方法において、前記複数の短筒体の積層数を前記植物苗の根の成長寸法の伸長に対応して順次に増やすことを特徴とする。
本発明の請求項[23]に記載の植物苗の短期育成用方法は、前記請求項6〜9のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具を用いて定植地に定着可能な長尺な根を有する植物苗を得る植物苗の短期育成方法であって、前記複数の短筒体を定植地の地下含水層に到達可能な長さに積層連結して固定し、積層した最上部の短筒体の上部開口部内側の育成材料中に植物苗を固定し、前記植物苗の根の伸長を前記各短筒体間の透明層を介して確認することにより前記植物苗の根を前記複数の短筒体下方へ確実に成長させて、前記長尺な根を有する植物苗を得ることを特徴とする。
本発明の請求項[24]に記載の植物苗の短期育成用方法は、前記請求項23に記載の植物苗の短期育成方法において、前記植物苗の根の伸長先端位置を前記各短筒体間の透明層を介して確認し、その確認した位置に対応して前記複数の短筒体の積層数を順次に増やすことを特徴とする。
本発明の請求項[25]に記載の定植用植物苗セットは、前記請求項1〜20のいずれか1項に記載の短期育成用具に該短期育成用具の下端に至る長尺な根を有する植物苗が収容されてなることを特徴とする。
本発明の請求項[26]に記載の定植用植物苗セットは、前記請求項25に記載の定植用植物苗セットにおいて、前記長尺な根を有する植物苗が前記請求項21〜24のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成方法により育成されたものであることを特徴とする。
本発明の請求項[27]に記載の定植地における植苗方法は、定植地の地中に縦穴を植物が生育するために必要な品質および量の水を有する含水層に至るまで掘削し、該縦穴に、前記請求項25または26に記載の定植用植物苗セットを埋め込むことによって、定植地に植苗することを特徴とする。
本発明の請求項[28]に記載の定植地における植苗方法は、前記請求項27に記載の定植地における植苗方法において、前記定植用植物苗セットを構成する外筒体が非生分解性資材から構成されている場合には、該定植用植物苗セットの前記縦穴への挿入が完了した時点で、前記外筒体のみを引き上げて回収することを特徴とする。
本発明にかかる植物苗の短期育成用具、短期育成方法、定植用植物苗セット、定植地における植苗方法は、短い根から1.5m近傍、もしくは、1.5mを超える長尺な長さに到るまでの様々な長さの根を有する植物苗を短期かつ効率的に育成することができる。しかも、その長尺な根を筒体によって保護したまま、搬送できるので、地中に埋め込む前に育成の好適な場所で長尺な根を成長させた後、得られた植物苗を遠隔地域にも容易に供給することができる。定植地に移送した植物苗は、本発明の定植地における植苗方法に従って、筒体、育成材料と共に地中に挿入されることによって、換言すれば、本発明の定植用植物苗セットを地中に挿入することによって、長尺な根の先端が植物育成において必要な水質及び水量を有する土壌層または地下水流に到達するので、水分の補給を積極的に実施しなくても、植物を定植地に定着させることができる。また、前記筒体は、複数の短筒体の積層によって構成されており、各短筒体の内側に前記植物苗の根の下方への成長速度を増大させることを可能にする硬度で育成材料を充填することで、健全な苗を短期間で生育することができ、かつ筒体内で育苗することにより、水の蒸発量を低減できるため、生育に必要となる水分量を大幅に低減することが可能となる。
このように、本発明にかかる苗の育成技術は、従来の技術と異なり、1.5m近傍もしくはそれ以上の長さの長尺な根を持つ苗の育成を場所による制約を受けることなく行うことができ、量産性に優れている。さらに、本発明によれば、根の育成を確認し、その後、定植することができるので、苗の定植を確実に行うことができ、定着率を高めることが可能である。従って、本発明によれば、乾燥地や寒冷地、その他の土壌表面が一般的に植物育成に適さない場所、例えば、塩分、その他による汚染土壌であっても、そして、1mないし1.5mに到る深さまで、含水層がなくても、さらに深部であっても、地下に植物生育に適する水を有する含水層があれば、緑化を容易に実施することができる。仮に、定植地の土壌深層の水分量が植物育成に必要な水分量に対して不足している際には、筒体内に併設した細管(灌漑パイプ)を用いて、地中灌水を施すことにより、水の蒸発を抑えることができ、通常の点滴灌漑(地上部供給)に比べ、灌漑水を大幅に低減できる。
以下に、本発明にかかる植物苗の短期育成用具および育成方法、定植用植物苗セット、並びに定植地における植苗方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に示す実施例は本発明を好適に説明するための例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の実施例1を説明するためのもので、本発明にかかる植物苗の短期育成用具の構成を示す図である。この短期育成用具の使用目的は、乾燥地などの植物の育成が困難とされている地域において、地表から比較的浅い地層では、塩分が存在していることが多く、また、塩が含まれた水分を用いて灌漑を実施した場合には塩類集積が生じており、植物成長に必要な水分量は地中深くの土壌層に至らないと得られないため、そのような土壌層に到達可能な長尺な根を有する植物苗を育成することにある。特に良質な水分を含む土壌層が1.5m近く、あるいは1.5mを超える深さに到らないと存在しない場合にも対応して、1.5mを超えるような長さの長尺根を育成することのできる植物苗の短期育成用具である。
その目的のために、この短期育成用具は、植物苗用の育成材料12の脱落を防止する網状部材20が底部開口部に取り付けられるとともに内部に前記育成材料12が充填されている複数の短筒体21と、該複数の短筒体21を長手方向に積層連結固定して前記定植地の地下含水層に到達可能な長さとする外筒体(連結固定手段)22とを有してなる。
前記短筒体21内に充填されている育成材料12は、最上部の短筒体21の上部開口部内側に固定する植物苗11の根の下方への成長速度を増大させることを可能にする硬度を維持するような密度に充填されている。この育成材料12の各短筒体21内での硬度は、定植地の土壌硬度以下に調整されている。硬度を周知の乾燥密度で表すと、ダイズでは、定植土壌硬度が1.5Mg・m-3の場合、土壌硬度を1.35Mg・m-3に調整すれば、根の下方への伸長速度を(定植土壌硬度(=1.5Mg・m-3)の場合に比べて)2倍以上に増大させることができ、土壌硬度を0.5Mg・m-3以下に調整すれば、根の下方への伸長速度を(定植土壌硬度(=1.5Mg・m-3)の場合に比べて)5倍以上に増大させることができる。すなわち、この育成材料12の各短筒体21内での硬度は、できるだけ低い方が好ましい。かかる目的を達成するために、短筒体21の長さは、20±10cmが好ましい。また、網状部材20のメッシュ径を育成材料12の脱落を防止し、かつ長尺根11aの通過を容易にする5±3mmとすることが好ましい。
前記短筒体21は、円筒体であってもよいし、口形が三角形、四角形等の多角形でも良いし、楕円形であっても良く、上下に貫通し、内部に前記育成材料12を充填可能であれば、どのような口形であってもよい。短筒体21の口径は、根の伸長を阻害せず、植物の生長に必要な養水分の保持容量が確保できる範囲内で最小の径に設定することが望ましい。導根筒の口径を小さくし過ぎると、壁面作用により根の伸長が阻害される可能性が生じ、口径を大きく設定すると、重量、容積が大きくなり、操作性が低下するし、内部の育成材料の保持が不安定になる。最適な短筒体21の口径は、植物種により異なるが、一般的には、植物苗の主根径の20倍程度に設定するのが好ましい。
また、この実施例では、短筒体21の口径は(上下)一様であり、複数個を積層して連結固定状態とするために前記外筒体22を外嵌する。そのために、外筒体22の口形は内部に収納する短筒体21と同形とし、その内径は短筒体21の外径とほぼ同寸法とする。また、この実施例では、外筒体22は単一の一体物とし、その長さ寸法は、目的とする定植地における地表から良質な含水土壌層に到るまでの深さ寸法にほぼ一致させる。したがって、含水土壌層が深い場合では、1.5mを超える長さとなる。
この短筒体21を構成する材料としては、透水性、保水性、および通気性を有する材料が好ましい。このような材料としては、無機および有機物の多孔性材料が使用可能である。無機多孔性材料としては、汚泥乾燥粒子を焼結して得られた多孔性焼結体などが挙げられ、有機多孔性材料としては、合成樹脂の硬質発泡体などが挙げられる。また、この短筒体21は、後述するように、植物苗11を実際に植苗する際に、植物苗11とともに土中に挿入され、そのまま放置されるので、経時的に分解し、土壌の一部となる生分解性の材料が好ましい。これは、環境を保全するためでもあり、植物苗11が太く成長する場合の束縛とならないようにするためでもある。
前記外筒体22の材料は、前記短筒体21と同一の材料から構成しても良いし、非生分解性のプラスチック製としてもよい。非生分解性のプラスチック製とした場合、この外筒体は、定植地のボーリング穴に、積層した複数の短筒体21とともに挿入された後、内部に育成材料12と長尺根11aを持つ植物苗11とを収納した複数の短筒体21を残して、引き抜かれて回収される。
なお、前記複数の短筒体21を積層した全長は、前記外筒体22の長さ寸法にほぼ一致するが、その長さは、前述のように、定植地の良質な含水土壌層に至るまでの深さにぴったりの長さに設定することは必ずしも必須ではない。というのは、複数の短筒体21の積層した全長が幾分短くても、最下部の短筒体21内まで成長した根は、この最下部の短筒体21の下端からさらに下方に生育可能であるからである。
前記育成材料12は、植物苗11の幹部および根を保護した状態で、植物苗11を前記短筒体21の内部に挿入もしくは上部開口部21aの内側に固定できるものであって、植物苗11の根に水分と、酸素を供給可能とするために、透水性、保水性、および通気性を有する材料から構成する。そのような材料としては、土壌、砂、礫、バーミキュライト、パーライト、スポンジ状の合成樹脂などが挙げられる。
前記構成の短期育成用具に植物苗11を固定し、最下部の短筒体21を、所定時間、水に漬けて短筒体21を介して水分を供給するとともに、通気性のある短筒体21を介して酸素を供給することによって、植物苗11の根11aを、積層した複数の短筒体21中を長さ方向に成長させる。各短筒体21の内部に挿入される育成材料12が、植物苗11の根11aの成長速度を増大させることを可能にする硬度に調整されているため、根11aは速やか下方に成長する。そして、この時、植物苗11の根11aに供給する水分量を必要最小限にすると、換言すれば、水ストレスを与えると、植物苗11は、水分が充分な環境に置かれた場合よりは速い速度で根11aを水分が存在する方向に成長させる。したがって、最下部の短筒体21の下端を水に接触させたり、短筒体21の側面または上端部に水滴を継続的に落とすなどして、短筒体21を湿潤状態に置くと、植物苗11は水源が複数の短筒体21の積層体の下方に存在すると感知したかのように、根11aをより早く下方に成長させる。その結果、短期間の内に長尺な根を有する植物苗を育成することができる。
また、複数の短筒体21の積層体は、外筒体22によって確実に保持されているので、植物苗11の育成中、育成後にかかわらず、植物苗11を複数の短筒体21ごと容易に搬送することができる。なお、この搬送および定植に有利な形態である「外筒体22とその内部の複数の短筒体21と植物苗11と育成材料12」の一組は、定植用植物苗セットとして供給することにより、植物の定植が困難な地域への植苗をより一層促進することが可能になる。
図2は、本発明の実施例2を説明するためもので、前記実施例1に示した短期育成用具との相違点は、複数の短筒体21の積層体を連結状態に固定する役目を果たす外筒体(連結固定手段)を、前記複数の短筒体21相互の連結部21Pの近傍のみを覆う長さの短寸外筒体23の複数個から構成されている点である。
前記短寸外筒体23は、長さが5cm〜20cmの短寸であることが異なるだけで、その他の形状、寸法は、前記実施例1の単一の一体品である外筒体22と同様である。この短寸外筒体23の材料は、短筒体21と同様に生分解性材料であることが好ましいが、非生分解性材料から構成しても良い。この複数の短寸外筒体23を非分解性材料から構成した場合、これら短寸外筒体23を、植物苗セットを定植地のボーリング穴に挿入した後、回収しなければならず、回収に手間がかかる。従って、好ましくは、これら短寸外筒体23は、短筒体21と同一の生分解性材料から構成する。
この実施例2の構成では、短寸外筒体23によって、短筒体21を一つずつ積層し、連結固定していくことができる。そのため、植物苗11の長尺根11aの成長に応じて順次に短筒体21を増やすことができる。成長に伴って必要数の短筒体21を増やしていくことにより、常に根の先端近くから水分を補給することができるので、成長のために補給する水分消費量の総計を削減することができる。また、一時に丈の長い短期育成用具を作成して潅水等の育成作業を行う場合に比べて、少しずつ用具の丈を伸ばしていくので、丈の短い期間における用具の取り回し作業が容易になると言う利点も得られる。
図3は、本発明の実施例3を説明するためもので、前記実施例1に示した短期育成用具との相違点は、複数の短筒体21の積層体を連結状態に固定する役目を果たす外筒体(連結固定手段)が、前記短筒体21の数個を同時に覆う長さの中寸外筒体24の複数個から構成されている点である。
前記中寸外筒体24は、長さが10cm〜30cmの中寸であることが異なるだけで、その他の形状、寸法は、前記実施例1の単一の一体品である外筒体22と同様である。図3に示すように、この中寸外筒体24の長さを、例えば、短筒体21を2つ積層した場合の全長寸法と同じに設定した場合、中寸外筒体24の最上部端面を内部に収納する短筒体21の最上部端面より上方(図示)あるいは下方(不図示)にずらせて設置する。それにより、各短筒体21の連結部21Pの近傍を中寸外筒体24により完全に覆うことができ、2つの短筒体21−21間の連結固定が実現される。
また、短筒体21と中寸外筒体24との上端面をずらせて設置することにより、例えば、図3の場合では、最下段の中寸外筒体24の下部に短筒体21が存在していない空間Sができるので、この空間Sに次の短筒体21を挿入し、この最下段となる新たな短筒体21に次の中寸外筒体24を外嵌し、この中寸外筒体24の内部にさらに新たな短筒体21を2つ挿入することができる。この一連の積層作業を繰り返すことによって、短筒体21の積層数を連結固定を確実に行いつつ増やしていくことができる。
この中寸外筒体24の材料は、短筒体21と同様に生分解性材料であることが好ましいが、非生分解性材料から構成しても良い。この複数の中寸外筒体24を非分解性材料から構成した場合、これら中寸外筒体24を、植物苗セットを定植地のボーリング穴に挿入した後、回収しなければならず、回収に手間がかかる。従って、好ましくは、これら中寸外筒体24は、短筒体21と同一の生分解性材料から構成する。
この実施例3の構造によっても、前記実施例2と同様に、短筒体21を植物苗11の長尺根11aの成長に合わせて追加的に積層し、連結固定できる。その結果、前記実施例2と同様に、潅水量の節約、短期育成用具の取り回し作業性の向上という効果を得ることができる。
この実施例4の特徴は、図4に示すように、各短筒体21間に透明層25が介装されていることと、この透明層25に対応する外筒体22の側壁に窓22aが形成されていることの2点である。
前記透明層25は、植物苗11の長尺根11aの成長に伴う通過を確認するためのものであり、窓22aは、この透明層25を外筒体22を通して観察可能とするためのものである。前記窓22aは、外筒体22の外壁の対向する2箇所に設けて、一方の窓22a−透明層25−他方の窓22aを光が一直線に通過するように設定することが、長尺根11aの通過を確認するために、望ましい。
このように透明層25を介して長尺根11aの成長を確認でき、それによって、潅水の程度の調整や、短筒体21の追加積層を決定することができる。前記透明層25は、透明ガラスビーズや透明プラスチックビーズなどの透明粒子材料を用いて、所定の厚み(10〜20mm)積層して構成しても良いし、透明ゼリー材を所定の厚みに形成したものでも良い。これらは、長尺根11aが容易に通過できるので、好適である。
この実施例5の特徴は、図5に示すように、前記透明層と前記短寸外筒体とが同一透明材料により一体に形成され、その中央に伸長根(長尺根)の通過を可能とする貫通孔26aが形成されてなる透明連結体26を用いている点にある。この透明連結体26は、好ましくは、生分解性の透明プラスチックから構成する。
前記透明連結体26を用いれば、短筒体21を植物苗11の長尺根11aの成長に合わせて、一つずつ追加積層することができ、その追加積層の必要な時期を、側面から連結部を覗き込み、長尺根11aの通過を確認することにより、知ることができる。
この実施例6の特徴は、図6に示すように、新規な形状の短筒体27を用いた点にある。この短筒体27は、内部に充填する育成材料12の脱落を防止する網状部材20が設けられている下部27aが該短筒体27の上部開口部27bに嵌入可能な寸法に縮径されている。この下部縮径部27aを他の短筒体27の上部開口部27bに嵌入させることにより、短筒体27の積層および連結固定が完了する。したがって、この実施例6では、各短筒体27の下部縮径部27aが短筒体の連結固定手段を構成している。
この短筒体27の材質、長さ寸法は、前記実施例の短筒体21に準じて決定すれば十分である。また、下部縮径部27aの縮径寸法は、この短筒体27の厚み寸法にほぼ一致し、この厚み寸法は、前記短筒体21に準じて決定すればよい。
この実施例6の構成によれば、連結固定手段を別体で用意する必要がなく、短筒体27のみを複数個用意し、これらを次々に積層し、同時に連結固定することができるので、材料費の削減と、作業効率の向上を図ることができる。
この実施例7の特徴は、図7に示すように、前記実施例6の短筒体27の積層を前記実施例1で用いた外筒体22内にて行い、そのまま一体化した点にある。このように外筒体22内に複数の短筒体27を積層することにより、積層体の連結固定強度をさらに高めることができる。したがって、この実施例7では、連結固定手段は、各短筒体27の下部縮径部27aと、外筒体22とが担っている。
この実施例8の特徴は、短筒体21,27の外表面に疎水性の塗料を塗布した点にある。疎水性の塗料としては、例えば、油性ペンキ、油、グリースを挙げることができるが、他の塗料を用いても良い。短筒体21,27の概評面に疎水性塗料を塗布することにより、図8のグラフに示すように、短筒体からの水分蒸発を約1/3に抑制することができる。その結果、潅水回数を減らすことが可能となる。また、塗料の塗布により短筒体21,27の強度が向上することも確認された。
この実施例9では、本発明の短期育成用具を用いた植苗方法の一例を示す。この実施例9では、前記実施例7に示した構成の短期育成用具を用いる場合を説明するが、他の実施例の短期育成用具に対しても同様に適用可能である。
この植苗方法では、前述のように前記実施例7に示した構成の短期育成用具に長尺根11aを最下端から外にでる程度に成長させた植物苗11を収納してなる植物苗セット28を用いて行った場合を示す。まず、図8に示すように、乾燥地等の定植地29の地中に植物苗セット28の筒径と同径の縦穴30を植物が育成するために十分な良質水分を含んだ土壌層31に至るまで掘削する。
次に、該縦穴30に、前述の植物苗セット28を挿入する。続いて、非分解性プラスチック製の外筒体22のみを引き抜き、土壌中に植物苗11と育成材料12とそれらを支える複数の短筒体27を残し、空隙に現地の土壌をおぎなう。これにより、図9に示すように、定植地の土壌29に植物苗の植え付けが完了する。この状態で、植物苗11の長尺根11aは、育成材料12と複数の短筒体27とに保護されて、その先端を土壌深部の良質な含水土壌層31内に挿入され、水分に接触される。
前記短筒体27は生分解性材料から構成されているため、経時的に徐々に分解し、現地の土壌と一体化していくが、その期間中に長尺根11aは含水土壌層31から良質な水分を吸収して、さらに成長し、この定植地において、植物苗11本体の成長を支えるに到る。
なお、前記実施例9では、外筒体22が非生分解性のプラスチックから構成されている場合について説明したが、外筒体22が生分解性材料から構成されている場合は、引き抜かずに、そのまま短筒体27とともに土壌中に残こす。この場合には、さらに植苗作業が容易になる。
本発明にかかる植物苗の短期育成用具、短期育成方法、定植用植物苗セット、および定植地における植苗方法は、長尺な根を有する植物苗(深根苗)を短期に効率的に育成することができる。しかも、その長尺な根を、積層した複数の短筒体によって保護したまま、搬送できるので、育成の好適な場所で長尺な根を成長させた後、得られた植物苗を遠隔地域にも容易に供給することができる。乾燥地などの植物の育成が困難な地域に移送した植物苗は、積層した複数の短筒体と共に地中に挿入されることによって、長尺な根を痛めることなく、植苗可能である。かかる植苗によって、長尺な根の先端が植物が育成する上で必要な水質及び水量を有する深部の土壌層に到達するので、水分の補給を積極的に実施しなくても、植物を乾燥地帯に定着させることができる。すなわち、本発明により、深根苗を短期間で育成(節水)、量産することが可能となり、かつ定着率を高めることが可能であることから、乾燥地などの植物の育成が困難な地域の緑化を容易かつ大規模に実施することができ、食糧問題や、二酸化炭素の固定という観点から地球温暖化防止等の環境問題にも貢献できるものである。
本発明の短期育成用具の第1の実施例を示す断面構成図である。 本発明の短期育成用具の第2の実施例を示す断面構成図である。 本発明の短期育成用具の第3の実施例を示す断面構成図である。 本発明の短期育成用具の第4の実施例を示す断面構成図である。 本発明の短期育成用具の第5の実施例を示す断面構成図である。 本発明の短期育成用具の第6の実施例を示す断面構成図である。 本発明の短期育成用具の第7の実施例を示す断面構成図である。 本発明の第8の実施例を説明するためのもので、短筒体の概評面に疎水性塗料を塗布した場合の水分蒸発量を塗布前と比較したグラフを示す図である。 乾燥地などの植物の育成が困難な地域における本発明の植苗方法を示す説明図である。 乾燥地などの植物の育成が困難な地域にて植苗後の植物苗の状態を説明する断面図である。 乾燥地の緑化に提案されている従来の植苗方法に用いられる構造体の構成を示す図である。 乾燥地の緑化に提案されている従来の植苗方法に用いられる他の構造体の構成を示す図である。 本発明に先立って本発明者らが開発した植物苗の短期育成用具の斜視図である。 図13の短期育成用具の構造を透視した斜視図である。
符号の説明
11 植物苗
11a 長尺根
12 植物苗用の育成材料
20 網状部材
21 短筒体
21a 上部開口部
21P 複数の短筒体相互の連結部
22 外筒体(連結固定手段)
22a 窓
23 短寸外筒体
24 中寸外筒体
25 各短筒体間に設けられる透明層
26 透明連結体
26a 貫通孔
27 短筒体
27a 下部縮径部
27b 上部開口部
28 植物苗セット
29 定植地
30 縦穴
31 深部の良質含水土壌層
S 最下段の中寸外筒体の下部の短筒体が存在していない空間

Claims (28)

  1. 定植地に定着可能な長尺な根を有する植物苗を得るための植物苗の短期育成用具であって、
    前記植物苗用の育成材料の脱落を防止する網状部材が底部開口部に取り付けられるとともに内部に前記育成材料が充填されている複数の短筒体と、該複数の短筒体を長手方向に積層連結固定して前記定植地の地下含水層に到達可能な長さとする連結固定手段とを有してなり、前記各短筒内の育成材料が前記積層連結された複数の短筒体の最上部の短筒体の上部開口部内側に固定する植物苗の根の下方への成長速度を増大させることを可能にする硬度に調整されていることを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  2. 請求項1に記載の植物苗の短期育成用具において、前記連結固定手段が前記複数の短筒体に外嵌する外筒体であることを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  3. 請求項2に記載の植物苗の短期育成用具において、前記外筒体が長手方向に連続した単一な長寸外筒体であることを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  4. 請求項2に記載の植物苗の短期育成用具において、前記外筒体が前記複数の短筒体相互の連結部近傍のみを覆う長さの短寸外筒体の複数個から構成されていることを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  5. 請求項2に記載の植物苗の短期育成用具において、前記外筒体が前記短筒体の数個を同時に覆う長さの中寸外筒体の複数個から構成されていることを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記複数の短筒体間に透明層が介装されていることを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  7. 請求項6に記載の植物苗の短期育成用具において、前記透明層が多数の透明粒子から構成されていることを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  8. 請求項6に記載の植物苗の短期育成用具において、前記透明層が透明ゲルから構成されていることを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  9. 請求項6に記載の植物苗の短期育成用具において、前記透明層と前記短寸外筒体とが同一透明材料により一体に形成され、その中央に伸長根の通過を可能とする貫通孔が形成されていることを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  10. 請求項1に記載の植物苗の短期育成用具において、前記育成材料が充填された短筒体の下部が該短筒体の上部開口部に嵌入可能な寸法に縮径され、該下部縮径部が前記連結固定手段を構成していることを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  11. 請求項1に記載の植物苗の短期育成用具において、前記連結固定手段が、前記請求項2〜5のいずれかに記載の外筒体と、前記請求項10に記載の短筒体の下部縮径部との組み合わせから構成されていることを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記育成材料の硬度が、育成後の前記植物苗を定着させようとする定植地の土壌硬度以下であることを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記育成材料が、土壌、砂、礫、土壌代替物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記短筒体が透水性を有することを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記短筒体が保水性を有することを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記短筒体が通気性を有することを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記短筒体が生分解性資材から構成されていることを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  18. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記外筒体が前記短筒体と同一の材料から構成されていることを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  19. 請求項1〜17のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記外筒体が非生分解性資材から構成されていることを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  20. 請求項1〜19のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具において、前記短筒体の外表面に疎水性の塗料が塗布されていることを特徴とする植物苗の短期育成用具。
  21. 請求項1〜20のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具を用いて定植地に定着可能な長尺な根を有する植物苗を得る植物苗の短期育成方法であって、
    前記複数の短筒体を定植地の地下含水層に到達可能な長さに積層連結して固定し、積層した最上部の短筒体の上部開口部内側の育成材料中に植物苗を固定し、前記植物苗の根を前記複数の短筒体下方へ成長させることにより、前記長尺な根を有する植物苗を得ることを特徴とする植物苗の短期育成方法。
  22. 請求項21に記載の植物苗の短期育成方法において、前記複数の短筒体の積層数を前記植物苗の根の成長寸法の伸長に対応して順次に増やすことを特徴とする植物苗の短期育成方法。
  23. 請求項6〜9のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成用具を用いて定植地に定着可能な長尺な根を有する植物苗を得る植物苗の短期育成方法であって、
    前記複数の短筒体を定植地の地下含水層に到達可能な長さに積層連結して固定し、積層した最上部の短筒体の上部開口部内側の育成材料中に植物苗を固定し、前記植物苗の根の伸長を前記各短筒体間の透明層を介して確認することにより前記植物苗の根を前記複数の短筒体下方へ確実に成長させて、前記長尺な根を有する植物苗を得ることを特徴とする植物苗の短期育成方法。
  24. 請求項23に記載の植物苗の短期育成方法において、前記植物苗の根の伸長先端位置を前記各短筒体間の透明層を介して確認し、その確認した位置に対応して前記複数の短筒体の積層数を順次に増やすことを特徴とする植物苗の短期育成方法。
  25. 請求項1〜20のいずれか1項に記載の短期育成用具に該短期育成用具の下端に至る長尺な根を有する植物苗が収容されてなる定植用植物苗セット。
  26. 請求項25に記載の定植用植物苗セットにおいて、前記長尺な根を有する植物苗が前記請求項21〜24のいずれか1項に記載の植物苗の短期育成方法により育成されたものであることを特徴とする定植用植物苗セット。
  27. 定植地の地中に縦穴を植物が生育するために必要な品質および量の水を有する含水層に至るまで掘削し、該縦穴に、前記請求項25または26に記載の定植用植物苗セットを埋め込むことによって、定植地に植苗することを特徴とする定植地における植苗方法。
  28. 請求項27に記載の定植地における植苗方法において、前記定植用植物苗セットを構成する外筒体が非生分解性資材から構成されている場合には、該定植用植物苗セットの前記縦穴への挿入が完了した時点で、前記外筒体のみを引き上げて回収することを特徴とする定植地における植苗方法。
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