以下、図を参照しながら、本発明の実施の形態に係る光学アダプタおよび内視鏡装置について説明する。
(第1の実施の形態)
先ず、本発明の第1の実施の形態に係る光学アダプタおよび内視鏡装置について、図1から図6を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態および後述の第2の実施の形態に係る光学アダプタが装着される内視鏡装置1の構成を示す図面である。この図1に示すように、内視鏡装置1は、制御装置2、鏡筒部3および接続ケーブル4を備えている。この内視鏡装置1は、エンジン等の機械装置の内部を撮影する内視鏡装置として利用できる他、人体の食道、気管等の体腔内等を撮影する用途にも利用することができる。
制御装置2には、鏡筒部3において撮影された画像が映し出されるモニタ2a、および内視鏡装置1の制御を行うための操作ボタン2bが備えられている。モニタ2aは、例えば液晶表示素子等により構成される。操作者は、操作ボタン2bを操作して、内視鏡装置1の制御操作、例えば、内視鏡装置1の電源のオン・オフに始まり、撮影の開始や画質の調整等の種々の操作を行うことができる。
鏡筒部3は、内部に撮影レンズ5(図4、図5参照)、CCD、あるいはCMOS等の撮像素子6(図4、図5参照)および照明用LED7(図4、図5参照)を備え、撮影レンズ5による結像を撮像素子6により撮像するカメラ部として構成されている。
接続ケーブル4は、細い金属性の板材を螺旋状に巻いて形成したいわゆる螺旋管4aを樹脂チューブ4bにより被覆した可撓性チューブ4cと、この可撓性チューブ4c内に挿通される信号線4d(図4および図5参照)を備えている。可撓性チューブ4cは、人の手により線形状を変化させることができるとともに、変化させられた形状を維持したまま鏡筒部3を制御装置2に対して支持できる程度の剛性を有する。したがって、接続ケーブル4の線形状を、鏡筒部3を入り込ませる空間や隙間等の形状に合わせることにより、鏡筒部3を空間や隙間等に容易に入り込ませることができる。
鏡筒部3と制御装置2とは、信号線4dを介して電気的に接続され、鏡筒部3で撮影された画像信号が制御装置2に送られるとともに、制御装置2からは、撮像素子6およびLED7を駆動制御する電力および電気信号が送られる。
次に、図2から図6を参照しながら、上述の内視鏡装置1に装着される光学アダプタ8の構成について説明する。なお、この光学アダプタ8が、内視鏡装置1に装着されることで、第1の実施の形態に係る内視鏡装置となる。
図2は、内視鏡装置1の鏡筒部3に装着された光学アダプタ8の側面図を示す。図3は、光学アダプタ8のアダプタ本体9の構成を示す図面であり、図3(a)は、アダプタ本体9の側面図である。また、図3(b)は、アダプタ本体9を後方から見た背面図である。図4は、光学アダプタ8に鏡筒部3を挿入した状態における、光学アダプタ8および鏡筒部3の側方断面図である。この図4に示す状態は、鏡筒部3を光学アダプタ8に挿入しただけの状態であり、光学アダプタ8の鏡筒部3への固定は行われていない。図5は、鏡筒部3が挿入された光学アダプタ8を、鏡筒部3に対して固定した状態における光学アダプタ8および鏡筒部3の側方断面図である。図6は、図4におけるA部分の拡大図である。
ここで、図4他を参照しながら、鏡筒部3の構成について説明する。鏡筒部3は、上述したように、撮影レンズ5、撮像素子6およびLED7を備えている。
なお、以下の説明において、撮像素子6から撮影レンズ5に向かう方向を前方(前側)、その反対方向を後方(後側)とし、LED7に対して撮影レンズ5が配設される方向を上方(上側)、その反対方向を下方(下側)として説明を行う。また、後方から前方を見て、右手側を右方(右側)、左手側を左方(左側)として説明を行う。
撮像素子6の撮像面には、撮影レンズ5により捕らえられる被写体像が結像する。この撮像素子6に結像した画像は、回路基板10上の画像信号処理回路部により画像処理等が行われた後、信号線4dを介して制御装置2側に送られる。
撮影レンズ5の下側に配設されるLED7は、撮影被写体を照明する照明用として備えられている。このLED7により、暗い機械装置の内部等を照明しながら、撮影することができる。LED7は、信号線4dを介して制御装置2側から電力の供給を受けて点灯する。
撮影レンズ5、撮像素子6および回路基板10は、円筒状の光学系保持筒11に保持され、光学系保持筒11およびLED7は、円筒状の外装筒12に対して保持されている。外装筒12は、例えば、内部の光学系保持筒11やLED7等を外部の衝撃等から保護するため、堅牢な硬質部材により形成されている。具体的には、例えば、ステンレスやアルミ等の金属、あるいは高い硬度を有するポリカーボネイトやABS等の樹脂材により形成されている。また、外装筒12の外周部は凹凸の無い滑らかな円筒面を呈し、狭い内部に挿入された際に、内部の構造物等に引っ掛かることの無いようになっている。
以下の説明では、外装筒12の前後方向に沿う中心軸Mに向かう方向を内側とし、中心軸Mから離れる方向を外側として説明する。
外装筒12の前端部の内側には、略円形状のカバー板13が装着されている。このカバー板13には、光学系保持筒11が嵌合する孔部13aが形成され、この孔部13aに光学系保持筒11が嵌合している。そして、光学系保持筒11は、カバー板13を介して外装筒12に対して保持されている。また、カバー板13の孔部13aの下側は、透明板13bが嵌めこまれ、LED7の照明光が、この透明板13bを透過して被写体側を照明できるようになっている。なお、孔部13aと光学系保持筒11との接合部、カバー板13と外装筒12との接合部、および透明板13bとカバー板13との接合部は、それぞれ水密な状態となっている。
外装筒12の後端の開口部12aには、断面が円形状の接続ケーブル4が挿入され、外装筒12の内周面と接続ケーブル4の先端部の外周面との間に嵌められる円筒状のシールリング14により、接続ケーブル4と外装筒12とが固定されるとともに、水密性を確保している。
接続ケーブル4は、外装筒12内に挿入されるため、外装筒12は、接続ケーブル4の外周から外側に突出し、後端部12bの端面が、鏡筒部3の後端側の段部として形成される。
次に、光学アダプタ8の構成について説明する。
光学アダプタ8は、アダプタ本体9と、固定筒としての締付筒15とを備えている。アダプタ本体9および締付筒15は、例えば、ステンレスやアルミ等の金属、あるいは高い硬度を有するポリカーボネイトやABS等の樹脂材により形成されている。
アダプタ本体9は、全体として円筒体を呈し、前方から順に、ミラー支持体保持部16、鏡筒保持部17および鏡筒固定部18を備えている。これらは一体成型され、アダプタ本体9として形成されている。なお、ミラー支持体保持部16は、アダプタ本体9の先端から後述する位置決め用突起20までを言い、鏡筒保持部17は、位置決め用突起20から後述する接合部22aまでを言う。そして、鏡筒固定部18は、接合部22aから後方側を言う。
ミラー支持体保持部16には、内側にミラー支持体19が保持されている。ミラー支持体保持部16には、左右の両側から上方にかけて開口する開口部16aが形成されてる。
ミラー支持体19は、円柱体の一端側を斜面で切断した形状を呈している。すなわち、ミラー支持体19は、略円柱体を呈するが、後端側が傾斜面19aとして形成されている。なお、ミラー支持体19は、アダプタ本体9と同一の材料により形成されている。
ミラー支持体19の円柱部19bの外周径は、ミラー支持体保持部16の内周径に合わせて、ミラー支持体保持部16の内側に丁度嵌るように設定されている。傾斜面19aは、後方に向けて、上側から下側に45度の角度で傾斜している。この傾斜面19aは、研磨加工を施すことにより鏡面に仕上げられ、ミラー面19cとして形成されている。なお、ミラー面19cは、傾斜面19aに、アルミニウム蒸着を行う等により形成しても良い。
ミラー支持体19は、アダプタ本体9の先端側の開口部9aから、ミラー支持体保持部16内に挿入され、ミラー面19c(傾斜面19a)を上方に向けて、すなわち、開口部16aからミラー面19cが臨める状態で、ミラー支持体保持部16内に保持されている。ミラー支持体19の後端部を、アダプタ本体9の内周面の下側に形成される位置決め用突起20に当接させることにより、ミラー支持体19のミラー支持体保持部16内における前後方向の位置決めが行われている。ミラー支持体19を備える光学アダプタ8は、ミラー面19cにより、鏡筒部3の撮影方向を変更する光学アダプタとして機能する。
鏡筒保持部17の内側には、鏡筒部3が保持される。鏡筒保持部17の内周径は、鏡筒部3(外装筒12)の外周径と略同一とされ、鏡筒部3が鏡筒保持部17に対して上下左右に、できるだけガタつくことのないように、両者の径が設定されている。鏡筒部3は、鏡筒固定部18の後方から、鏡筒保持部17内に挿入され、位置決め用突起20に外装筒12の前端部12cを当接させることで、前後方向の位置決めが行われる。
外装筒12の前端部12cが位置決め用突起20に当接している状態で、鏡筒部3の前後方向の全長の半分以上、例えば、3/5程度が、鏡筒保持部17内に挿入されるように、鏡筒保持部17の長さと位置決め用突起20の配設位置等が設定されている。
鏡筒部3は、鏡筒保持部17の内周面との間の僅かな隙間分だけ、上下にガタつきを有する場合がある。このような場合には、鏡筒部3は、鏡筒保持部17に保持されている部分を中心に、中心軸Mと交差する方向に揺動してしまう。そのため、鏡筒部3が鏡筒保持部17に保持される長さが、短い場合に比べて長い方が、鏡筒部3の後端側の揺動量を少なくすることができる。すなわち、鏡筒部3の半分以上が、鏡筒保持部17内に挿入され保持されることにより、鏡筒部3のアダプタ本体9に対するガタつきを効果的に抑えることができる。
鏡筒保持部17の後側の外周面には、後述する締付筒15とねじ結合する雄ねじ21が形成されている。鏡筒保持部17の雄ねじ21が形成されている後側には、鏡筒固定部18が設けられている。この鏡筒固定部18は、上下左右の4方向に設けられた板体22,22,22,22、および、これらの板体22の後端部に設けられ、内側に突出する突出部である突出部23とを有している。また、各板体22の後端部の外側の縁部には、前方から後方に向かって外側から内側に傾斜する傾斜面24が形成されている。各板体22は、中心軸Mと直交する面における断面の形状が円弧状になっている。図3(b)に示すように、各板体22は、中心軸Mに対して上下左右方向に互いに対称に設けられている。また、各板体22の幅は、鏡筒固定部18の内周面の円周の長さの略1/8の幅に設定されている。
さらに、各板体22の肉厚は、内側と外側の両面において、鏡筒保持部17の雄ねじ21が形成される部分の肉厚より薄く形成されている。したがって、各板体22は、内側と外側方向に対して弾性的に可撓性を有し、鏡筒保持部17との接合部22aを中心にして内側と外側とに撓むことができるようになっている。
突出部23は、鏡筒部3を、アダプタ本体9に挿入し、外装筒12の前端部12cが位置決め用突起20に当接させた状態で、外装筒12の後端部12bよりも後方に位置するように、各板体22の長さが設定されている。
突出部23の前後の面は、それぞれ傾斜面23a,23bとして形成されている。前側の傾斜面23aは、前方から後方に向かって外側から内側に傾斜する斜面となっている。後側の傾斜面23bは、前方から後方に向かって内側から外側に傾斜する斜面となっている。
締付筒15は、全体として円筒体を呈し、内周面には、上述の鏡筒固定部18の外周面に形成された雄ねじ21にねじ結合する雌ネジ25が形成されている。締付筒15は、雄ねじ21と雌ネジ25とのねじ結合の量を変えるように回転することにより、雄ねじ21と雌ネジ25のリードに従って前後方向に進退する。また、雌ネジ25の後側の筒部は、内側にアダプタ本体9の各板体22が挿入される板体挿入部26として構成されている。板体挿入部26の内周径は、挿通される各板体22の外側面が接するように設定されている。各板体22の外側面の中心軸Mの周方向の曲率と板体挿入部26の内周面の曲率は同一であり、各板体22の外側面の全面が板体挿入部26の内周面に接している。
なお、アダプタ本体9と締付筒15の外周面には、図2に示すように、それぞれ、ローレット溝9b,15aが形成されている。そのため、締付筒15とアダプタ本体9と摘む手指に油が付いていても、滑ることなく摘むことができ、締付筒15のアダプタ本体9に対する回転を確実に行なうことができる。
板体挿入部26の後端部、すなわち、締付筒15の後端部となる開口部15bには、内側に向かって突出する突出部27が形成されている。突出部27は、開口部15bの内周に全周に亘って形成されている。突出部27の前後の面は、それぞれ傾斜面27a,27bとして形成されている。前側の傾斜面27aは、前方から後方に向かって外側から内側に傾斜する斜面となっている。後側の傾斜面27bは、前方から後方に向かって内側から外側に傾斜する斜面となっている。上述の傾斜面24と傾斜面27aとは、前後方向において互いに重なり面を有するように形成されている。
光学アダプタ8は、図2、図4および図5に示すように、締付筒15内に、アダプタ本体9の鏡筒固定部18を挿入し、アダプタ本体9側の雄ねじ21と締付筒15側の雌ネジ25をねじ結合した状態にて使用する。
光学アダプタ8は、鏡筒部3に装着するに先立ち、締付筒15の突出部27の傾斜面27aが各板体22の後端部の傾斜面24に当接しないか、あるいは軽く当接する状態になるように、アダプタ本体9の雄ねじ21と締付筒15雌ネジ25とのねじ結合の量を調整する。そして、鏡筒部3を、締付筒15の後方の開口部15bから、アダプタ本体9内に挿入し、図4に示すように、外装筒12の前端部12cを位置決め用突起20に当接させる。
各板体22は、上述したように、鏡筒保持部17に比べて肉厚が薄くなっているため、鏡筒保持部17に鏡筒部3を挿入した状態で、各板体22の内側面と鏡筒部3の外装筒12との間に、間隙D1が形成されている。
アダプタ本体9の雄ねじ21と締付筒15の雌ネジ25とのねじ結合の量が、突出部27の傾斜面27aが各板体22の後端部の傾斜面24に当接しないか、あるいは軽く当接する状態のとき、各板体22の上下左右の互いに対向する突出部23の頂点部の間隔(各頂点部に接する円の直径)L1は、外装筒12の外周径よりやや大きくなるように、突出部23の突出量等が設定されている。
そのため、突出部27の傾斜面27aが各板体22の傾斜面24に当接するかしない程度に、アダプタ本体9の雄ねじ21と締付筒15の雌ネジ25がねじ結合されている状態では、上下および左右において対向する突出部23の間を通って、鏡筒部3をアダプタ本体9の鏡筒保持部17内に挿入することができる。なお、突出部27の頂点部における内径R1も、外装筒12が通ることができるように、外装筒12の外周径よりも大きく設定されている。
突出部23の内側の後側の面は、傾斜面23bとして形成されている。そのため、鏡筒部3をアダプタ本体9に挿入する際に、外装筒12の前端部12cが突出部23に当たっても、前端部12cが傾斜面23bにガイドされるため、鏡筒部3をアダプタ本体9にスムーズに挿入することができる。
突出部27の頂点部における内径R1は、アダプタ本体9の雄ねじ21と締付筒15の雌ネジ25とのねじ結合の量が、突出部27の傾斜面27aが各板体22の後端部の傾斜面24に当接しないか、あるいは軽く当接する状態のときにおける、上下および左右において対向する各板体22の外側面間の間隔(各板体22の外側面に接する円の直径)L2よりも小さく設定されている。したがって、雄ねじ21と雌ネジ25の結合の量を増し、締付筒15が、アダプタ本体9に対して前方に変位したときに、傾斜面27aが、各板体22の傾斜面24に当接可能になっている。すなわち、傾斜面24と傾斜面27aとは、前後方向において互いに重なる面を有するように形成されている。
上述したように、鏡筒部3を、外装筒12の前端部12cが位置決め用突起20に当接するまで、アダプタ本体9に挿入した後、締付筒15を回転して、締付筒15をアダプタ本体9に対して締め込む。すなわち、締付筒15を、雄ねじ21と雌ネジ25のねじ結合の量が増える向きに回転し、締付筒15をアダプタ本体9に対して相対的に前方に変位させ、図5に示す状態とする。
すなわち、締付筒15をアダプタ本体9に対して締め込むことにより、締付筒15が、アダプタ本体9に対して前方に変位すると、突出部27の傾斜面27aが、各板体22の後端部の傾斜面24に当接する。そして、締付筒15が前方に変位するにつれて、傾斜面24は、傾斜面27aにより内側に向く押し付け力を徐々に強く受けることになる。各板体22の傾斜面24に内側に向く押し付け力が作用すると、各板体22と外装筒12との間には、間隙D1が形成されているため、押し付け力の強さに応じて、各板体22は、内側に撓む。つまり、締付筒15をアダプタ本体9に対して締め込むに従って、対向する各板体22の内側の間隔が、前方から後方に向かって狭くなり、ついには、各板体22の内側面の後端側が、外装筒12の後端部12bの外周面に当接することになる。
そして、図5に示すように、各板体22の内側面が、外装筒12の後端部12bの外周面に当接した状態において、さらに、締付筒15をアダプタ本体9に対して締め込むと、対向する各板体22の内側面に、外装筒12の後端部12bの外周面が挟み込まれことになり、アダプタ本体9が、鏡筒部3に対して固定される。
このように、各板体22の内側面により、外装筒12を挟み込むことにより、光学アダプタ8が鏡筒部3に固定される。つまり、外装筒12の側に、光学アダプタ8を固定するための構成を設ける必要がないため、鏡筒部3の内部のレンズ5や撮像素子6等の部品の配設や大きさに制限を与えたり、また、鏡筒部3の大径化を招くことなく、光学アダプタ8を鏡筒部3に装着することができる。
各板体22の後端部は、光学アダプタ8が鏡筒部3に固定状態で装着された状態において、光学アダプタ8が鏡筒部3に固定される前に比べて、少なくとも間隙D1内側に変位する。そのため、対向する各板体22の突出部23の間隔L1は、外装筒12の外周径よりも小さくなる。すなわち、図5に示すように、各板体22の突出部23が、外装筒12の後端部12bの端面の後側に配設されることになる。また、突出部23は、傾斜面24が、突出部27の傾斜面27aにより、内側に向く押し付け力を受けているため、外側への変位が阻止される。
ところで、締付筒15とアダプタ本体9とのねじ結合が緩む等して、各板体22が外装筒12を挟み込む力が弱まり、光学アダプタ8が外装筒12に対して、前後方向に移動してしまう状態となってしまうことが起こり得る。このような場合であっても、突出部23が、外側への変位が阻止された状態で、外装筒12の後端部の後側に配設されていることにより、突出部23が外装筒12の後端部12bに係合するため、光学アダプタ8が鏡筒部3から脱落してしまうことを防ぐことができる。すなわち、機械装置等の内部を観察している際に、締付筒15とアダプタ本体9とのねじ結合が緩んでしまっても、光学アダプタ8が鏡筒部3から脱落してしまうことを防止することができる。
このように、突出部23が、外装筒12の後端部の後側に配設されていることにより、突出部23が外装筒12の後端部12bに係合するため、外装筒12の側に、光学アダプタ8の脱落を防止するための構成を設ける必要がない。そのため、鏡筒部3の内部のレンズ5や撮像素子6等の部品の配設や大きさに制限を与えたり、また、鏡筒部3の大径化を招くことがなく、鏡筒部3から光学アダプタ8が脱落してしまうことを防止することができる。
また、各板体22の外装筒12を挟み込む力が弱まり、光学アダプタ8が、外装筒12に対して、前後に移動してしまう状態においては、位置決め用突起20と突出部23との間で、鏡筒部3がガタつく。そのため、このガタつきにより、締付筒15とアダプタ本体9とのねじ結合が緩んでいることを知ることができる。
図5に示すように、光学アダプタ8が鏡筒部3に固定状態で装着された状態において、突出部23の傾斜面23aの前端部と外装筒12の後端部との間には、間隔S1が、例えば、1mmの間隔として形成されるように、突出部23を形成する位置等が設定されている。このように、突出部23と外装筒12の後端部との間に、間隔S1が設けられることにより、外装筒12の前後方向の長さに多少のばらつきがあっても、外装筒12の後端部12bを突出部23より前方に位置するようにすることができる。
各板体22の中心軸Mと直交する面における断面の形状は、円弧状となっている。したがって、突出部23における中心軸Mと直交する面における断面も円弧状であり、また、傾斜面23aも、中心軸Mの周方向に円弧状の面となっている。そのため、突出部23が外装筒12の後端部12bに係合する際には、突出部23は、外装筒12の後端部12bの円弧に沿って係合することになり、係合を確実なものとすることができる。
傾斜面24と傾斜面27aとは、同一の傾斜角となっている。さらに、各板体22の外側面と締付筒15の内周面とは、互いに接する同一曲率の曲面になっている。すなわち、傾斜面24と傾斜面27aとは、中心軸Mの周りに同一曲率の曲面になっている。そのため、傾斜面24と傾斜面27aとは、広い面積で面接触することができ、接触部分が一部に偏ることがなく、傾斜面27aから傾斜面24に押し付け力を確実に作用させることができる。
なお、本実施の形態においては、傾斜面24と傾斜面27aとにより当接部が形成されているが、傾斜面24と傾斜面27aのいずれか一方は傾斜面でなく突起部とし、その突起部の頂点部を、他方の傾斜面に当接させる構成としてもよい。
各板体22の断面の形状は円弧状であるため、各板体22の内側面は、外装筒12の外周面に沿っている。そのため、各板体22と外装筒12との当接部において、中心軸Mの周方向に沿う方向に接触する部分が増えることになるので、各板体22が外装筒12を押し付ける力が確実に作用することになる。
次に、上述のようにして、鏡筒部3に装着され固定された光学アダプタ8を、鏡筒部3から取り外すときの操作について説明する。
先ず、締付筒15を回転して、アダプタ本体9とのねじ結合の締付を弱める。これにより、締付筒15は、後方に変位し、傾斜面27aもともに後方に変位する。そのため、傾斜面27aが、各板体22の傾斜面24を内側に押す力が弱まり、間隙D1だけ内側に押し曲げられていた各板体22は、自身の弾性復帰力により外側に復元し、図4に示すように、真っ直ぐな状態となる。この状態においては、各板体22の内側面により、外装筒12を挟み込む力は無くなり、また、各板体22の突出部23は、外装筒12の後端部12bの端面に対向する位置から、外装筒12の外周面より外側に退避する。
すなわち、図4に示すように、突出部23の頂点部の間隔がL1となり、鏡筒部3をアダプタ本体9から後方に引き抜くことができる。すなわち、光学アダプタ8を、鏡筒部3から取り外すことができる。
ところで、突出部23の内側の前側の面は、傾斜面23aとして形成されている。そのため、鏡筒部3から光学アダプタ8を抜き取る際に、外装筒12の後端部が突出部23に当たっても、後端部が傾斜面23aにガイドされるため、スムーズに抜き取ることができる。
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態に係る光学アダプタ28ついて、図7から図10を参照しながら説明する。なお、この光学アダプタ28が、内視鏡装置1に装着されることで、第2の実施の形態に係る内視鏡装置となる。
光学アダプタ28は、鏡筒固定部29および締付筒30の構成が、第1の実施の形態に係る光学アダプタ8の鏡筒固定部18および締付筒15の構成とは異なる。鏡筒固定部29の前方は、上述した第1の実施の形態に係る光学アダプタ8における鏡筒保持部17、ミラー支持体保持部16およびミラー支持体19と同様の構成になっている。したがって、図7、図8および図9には、鏡筒固定部29および締付筒30の構成を主に示すこととし、鏡筒保持部17に相当する部分である鏡筒保持部31の後側の一部を図面に表わし、ミラー支持体保持部16およびミラー支持体19に相当する部分の説明と図示については省略する。また、その他の第1の実施の形態に係る内視鏡装置1および光学アダプタ8と同様の構成部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
図7は、光学アダプタ28に鏡筒部3を挿入した状態における、光学アダプタ28の側方断面図である。この図7に示す状態は、鏡筒部3を、光学アダプタ28に挿入しただけの状態であり、光学アダプタ28の鏡筒部3への固定は行われていない。図8は、鏡筒部3が挿入された光学アダプタ28を、鏡筒部3に対して固定した状態における光学アダプタ28の側方断面図である。図9は、鏡筒部3を、光学アダプタ28に挿入する途中あるいは、光学アダプタ28を鏡筒部3から取り外す途中における光学アダプタ28の側方断面図である。図10は、図7におけるB部分の拡大図である。
鏡筒固定部29は、第1の実施の形態の各板体22と同様に、上下左右の4方向に設けられた板体32,32,32,32、これらの板体32の後端部に設けられ、内側に突出する突出部である突出部33、および各板体32の外側に設けられる突出部34とを有している。なお、鏡筒固定部29は、鏡筒保持部31の後方に、鏡筒保持部31に一体成型にて構成されている。鏡筒保持部31の外周面には雄ネジ35が形成されている。
各板体32は、中心軸Mに対して上下左右方向に互いに対称に設けられている。また、各板体32の幅は、鏡筒固定部29の内周面の円周の長さの略1/8の幅に設定されている。また、各板体32は、内側面については、鏡筒保持部31の内周面と面一となっているが、外側面においては、鏡筒保持部31を形成している筒体の肉厚より薄く形成されている。したがって、各板体32は、内側と外側方向に対して弾性的に可撓性を有し、鏡筒保持部31との接合部32aを中心に内側と外側に撓むことができるようになっている。
突出部33は、鏡筒部3を、図示外のミラー支持体保持部(第1の実施の形態におけるミラー支持体保持部16に相当)、鏡筒固定部29および鏡筒保持部31が一体成形されるアダプタ本体36に挿入し、外装筒12の前端部12cが図示外の位置決め用突起20(図4、図5参照)に当接した状態で、外装筒12の後端部12bの後側よりも後方に位置するように、各板体32の長さが設定されている。
また、突出部33の前後の面は、それぞれ傾斜面33a,33bとして形成されている。前側の傾斜面33aは、前方から後方に向かって外側から内側に傾斜する斜面となっている。後側の傾斜面33bは、前方から後方に向かって内側から外側に傾斜する斜面となっている。
各板体32の中心軸Mと直交する面における断面の形状は、円弧状となっている。したがって、突出部33における中心軸Mと直交する面における断面も円弧状であり、また、傾斜面33a,33bも、中心軸Mの周方向に円弧状の面となっている。
各突出部34は、鏡筒部3を、アダプタ本体36に挿入し、外装筒12の前端部12cが位置決め用突起20(図示外)に当接した状態で、外装筒12の後端部より前方に位置するように配設されている。すなわち、各突出部33よりも前方に配設されている。また、各突出部34は、前後方向に幅を有し、中心軸Mを中心とする周方向について、各板体32の幅と同一の幅を有している。すなわち、各突出部34は、全体として台状に突出し、各突出部34の外側面34aは、各板体32と同様に中心軸Mの周方向に沿う曲面であるとともに、前方から後方に向かって外側から内側に向かって傾斜する傾斜面に形成されている。
締付筒30は、全体として円筒体を呈し、内周面には、上述の鏡筒保持部31の外周面に形成された雄ねじ35にねじ結合する雌ねじ37が形成されている。締付筒30は、雄ねじ35と雌ねじ37とのねじ結合の量を変えるように回転することにより、雄ねじ35と雌ねじ37のリードに従って前後方向に進退する。また、雌ねじ37の後側の筒部は、内側にアダプタ本体36の各板体32が挿入される板体挿入部38として構成されている。
締付筒30の内周面には、光学アダプタ28が鏡筒部3に固定されていない状態(図7に示す状態)において、突出部34と対向する位置に、突出部34が嵌合可能な凹部39が形成されている。この凹部39は、締付筒30の内周面の全周に亘って形成されている。
この凹部39の後方の締付筒30の内周面には、傾斜面40が、内周面の全周に亘って形成されている。この傾斜面40は、凹部39の後側の縁部から後方に向かって外側から内側に傾斜する傾斜面であり、突出部34の外側面34aと同一傾斜の傾斜面となっている。また、この傾斜面40と傾斜面34aとは、前後方向において互いに重なり面を有するように形成されている。したがって、図8に示すように、締付筒30を、アダプタ本体36に対して締め込んだ状態において、突出部34の外側面34aが傾斜面40に当接することになる。
光学アダプタ28は、図7、図8および図9に示すように、締付筒30内に、アダプタ本体36の鏡筒固定部29を挿入し、アダプタ本体36側の雄ねじ35と締付筒30側の雌ねじ37をねじ結合した状態にて使用する。
光学アダプタ28は、鏡筒部3に装着するに先立ち、締付筒30の凹部39と各板体32の突出部34とが対向するように、アダプタ本体36の雄ねじ35と締付筒30雌ねじ37との結合量を調整しておく。そして、鏡筒部3を、締付筒30の後方の開口部30aから、アダプタ本体36内に挿入し、外装筒12の前端部12cを図示外の位置決め用突起20に当接させる。
各板体32の内側面は、鏡筒保持部31の内周面と面一になっているため、アダプタ本体36内に挿入された外装筒12の外周面と各板体32の内側面とは、接する状態になる。したがって、各板体32の内側面より内側に突出する突出部33は、外装筒12の後端部の端縁の後側に突出することになる。すなわち、各板体32の互いに対向する突出部33の頂点部の間隔(各頂点部に接する円の直径)L3は、外装筒12の外周径より小さくなっている。そのため、鏡筒部3を、アダプタ本体36内に挿入する際に、外装筒12の前端部12cが、突出部33の傾斜面33bに当接することになる。
突出部34が凹部39に対向する位置にある状態においては、各板体32の外側面と締付筒30の内周面との間には間隔D2が形成されているため、各板体32は外側に撓むことができるようになっている。また、凹部39の深さも突出部34が外側に撓み、各板体32の外側面が締付筒30の内周面に当接した状態でも、突出部34が凹部39に当接しない深さに形成されている。そのため、鏡筒部3をアダプタ本体36内に挿入する際に、外装筒12の前端部12cが突出部33の傾斜面33bに当接すると、突出部33が外装筒12の前端部12cにガイドされ、各板体32の互いに対向する突出部33の頂点部の間隔L3が外側に広がる。そして、図9に示すように、突出部33は、外装筒12の外周面に接するようになり、鏡筒部3のアダプタ本体36内への挿入が可能となる。なお、締付筒30の最内周径R2は、外装筒12が通ることができるように、外装筒12の外周径よりも大きく設定されている。
鏡筒部3を、外装筒12の前端部12cが図示外の位置決め用突起20に当接するまで、アダプタ本体36に挿入すると、突出部33は、各板体32の弾性復帰力により、再び、図8に示すように、外装筒12の後端部12bの端面の後側に突出する。そのため、各板体32は、内側面が外装筒12の外周面に当接する真っ直ぐな状態となる。
締付筒30の傾斜面40の後端部40aにおける最内周径となる開口部30aの内径R2は、各板体32に力が加わっていないときの、上下および左右において対向する各板体32の突出部34の外側面34aの前端部34bにおける間隔(各前端部34bに接する円の直径)L4よりも小さく設定されている。そのため、締付筒30が、アダプタ本体36に対して前方に変位したときに、傾斜面40が、各板体32の突出部34の外側面34aに当接することになる。すなわち、傾斜面34aと傾斜面40とは、前後方向において互いに重なる面を有するように形成されている。
なお、上下および左右において対向する各板体32の突出部34の外側面34aの後端部34cにおける間隔(各後端部34cに接する円の直径)L5は、締付筒30の傾斜面40の前端部40bにおける内径R3よりも小さく設定されている。したがって、締付筒30が、アダプタ本体36に対して前方に変位する際に、凹部39内の後側の面が、突出部34の後側の面に引っ掛かることなく、締付筒30の傾斜面40が突出部34の外側面34aに当接するように、締付筒30を前方に変位することができる。
上述したように、鏡筒部3を、外装筒12の前端部12cが図示外の位置きめ用突起20に当接するまで、アダプタ本体36に挿入した後、締付筒30を回転して、締付筒30をアダプタ本体36に対して締め込む。すなわち、締付筒30を、雄ねじ35と雌ねじ37のねじ結合の量が増える向きに回転し、締付筒30をアダプタ本体36に対して相対的に前方に変位させ、図8に示す状態とする。
締付筒30をアダプタ本体36に対して締め込むことにより、締付筒30が、アダプタ本体36に対して前方に変位すると、締付筒30側の傾斜面40が、突出部34の外側面34aに当接する。傾斜面40と外側面34aは、共に外側から内側に向かって傾斜しているため、締付筒30が前方に変位するにつれて、突出部34の外側面34aは、傾斜面40から内側に向く押し付け力を徐々に強く受けることになる。つまり、各板体32が、外装筒12に対して押し付けられ、アダプタ本体36が鏡筒部3に対して固定される。
このように、各板体32の内側面により、外装筒12を挟み込むことにより、光学アダプタ28が鏡筒部3に固定される。つまり、外装筒12の側に、光学アダプタ28を固定するための構成を設ける必要がないため、鏡筒部3の内部のレンズ5や撮像素子6等の部品の配設や大きさに制限を与えたり、また、鏡筒部3の大径化を招くことなく、光学アダプタ28を鏡筒部3に装着することができる。
締付筒30側の傾斜面40と突出部34の外側面34aとは、前後方向において同一傾斜の傾斜面であるとともに、中心軸Mの周方向において同一曲率の円弧面となっている。そのため、傾斜面40と外側面34aとは、広い面積で面接触することができ、傾斜面40から外側面34aに押し付け力が確実に作用する。
なお、この第2の実施の形態においては、傾斜面40と外側面34aとにより当接部が形成されているが、傾斜面40と外側面34aのいずれか一方は傾斜面でなく突起部とし、その突起部の頂点部を他方の傾斜面に当接させる構成としてもよい。
また、各板体32の内側面は、鏡筒保持部31の内周面と面一となっている。そのため、各板体32の内側面全体が、外装筒12の外周面に対して当接する。したがって、突出部34を介して、各板体32が、外装筒12に対して締付筒30の傾斜面40により押し付けられたときに、各板体32の内側面全体が外装筒12に対して押し付けられるため、光学アダプタ28の外装筒12への固定が確実に行なわれることになる。
図8に示すように、光学アダプタ28が鏡筒部3に固定状態で装着された状態において、突出部33は、外装筒12の後端部12bの端面の後側に配設されることになる。また、突出部33は、突出部34の外側面34aが、傾斜面40により、内側に向く押し付け力を受けるため、外側への変位が阻止される。ところで、締付筒30とアダプタ本体36とのねじ結合が緩む等して、各板体32が外装筒12を挟み込む力が弱まり、光学アダプタ28が外装筒12に対して、前後方向に移動してしまう状態となってしまうことが起こり得る。このような場合であっても、突出部33が、外側への変位が阻止された状態で、外装筒12の後端部12bの後側に配設されることにより、突出部33が外装筒12の後端部12bに係合するため、光学アダプタ28が鏡筒部3から脱落してしまうことを防ぐことができる。
また、締付筒30とアダプタ本体36とのねじ結合が緩んだ場合には、アダプタ本体36が、鏡筒部3に対してがたつくため、モニタ2aに映ったミラー面19cの画像がぶれる。したがって、この画像のぶれにより、締付筒30とアダプタ本体36とのねじ結合が緩んだことを知ることができる。そして、光学アタプタ28が、鏡筒部3から脱落してしまう前に、鏡筒部3に装着された状態の光学アタプタ28を、機械装置の内部あるいは体腔内から外部に引き出すことができ、光学アタプタ28が、機械装置の内部等に取り残されてしまう事故を防止することができる。
このように、突出部33が、外側への変位が阻止された状態で、外装筒12の後端部の後側に配設されていることにより、突出部33が外装筒12の後端部12bに係合するため、外装筒12の側に、光学アダプタ28の脱落を防止するための構成を設ける必要がない。そのため、鏡筒部3の内部のレンズ5や撮像素子6等の部品の配設や大きさに制限を与えたり、また、鏡筒部3の大径化を招くことがなく、鏡筒部3から光学アダプタ28が脱落してしまうことを防止することができる。
図8に示すように、光学アダプタ28が鏡筒部3に固定状態で装着された状態において、突出部33と外装筒12の後端部12bとの間には、間隔S2が、例えば、1mmの間隔として形成されるように、突出部33を形成する位置等が設定されている。このように、突出部33と外装筒12の後端部12bとの間に、間隔S2が設けられることにより、外装筒12の前後方向の長さに多少のばらつきがあっても、外装筒12の後端部12bを突出部33より前方に位置するようにすることができる。
突出部33の傾斜面33aは、中心軸Mの周方向に円弧状の面となっている。そのため、突出部33が外装筒12の後端部12bに係合する際には、突出部33は、外装筒12の後端部12bの円弧に沿って係合することになり、係合を確実なものとすることができる。
次に、上述のようにして、鏡筒部3に装着され固定された光学アダプタ28を、鏡筒部3から取り外すときの操作について説明する。
先ず、締付筒30を、アダプタ本体36とのねじ結合の締付を弱める方向に回転して、図7に示すように、凹部39を突出部34と対向する位置まで後方に変位させる。この状態においては、各板体32は、締付筒30と各板体32との間の間隙D2の存在により外側に撓むことができる。
したがって、鏡筒部3を後方に移動すると、突出部33の傾斜面33bが、外装筒12の後端部12bにガイドされ、各板体32の互いに対向する突出部33の頂点部の間隔L3が広げられる。そして、図9に示すように、突出部33は、外装筒12の外周面に位置する状態となり、鏡筒部3をアダプタ本体36から後方に引き抜くことができる。
ところで、上下および左右において対向する各板体32の突出部34の外側面34aの前端部34bにおける間隔L4は、締付筒30の凹部39の前側の内周面の内径R4よりも大きく設定されている。すなわち、凹部39の内側の前側面39aは、突出部34の前側面34dに対向し、光学アダプタ28が分離するのを阻止する係合部となっている。
このように、前側面39aを設けることにより、鏡筒部3が光学アダプタ28から抜き取られた状態において、アダプタ本体36と締付筒30が別々になり、いずれか一方が紛失してしまうことを防止することができる。なお、締付筒30と、アダプタ本体36とを組み付けるときは、各板体32が内側に撓むことで、スムーズに組み付けることができる。
また、雄ねじ35と雌ねじ37がねじ結合している状態において、凹部39の前側面39aと突出部34の前側面34dとが係合する位置関係に設定することにより、前側面34dが前側面39aに係合した状態では、締付筒30を、雄ねじ35と雌ねじ37とのねじ結合が少なくなる方向に回すことが阻止されるので、さらにアダプタ本体36と締付筒30とが分離され難くなる。
上述した各実施の形態における光学アダプタ8,28は、撮影方向を変えるための機能を有するものであるが、撮影レンズ5の焦点距離を変えるためのコンバージョンレンズを有する光学アダプタとしてもよい。
また、各板体22,32は、上下、左右にそれぞれ一対ずつ4箇所に設けられているが、これに限らず、1箇所から3箇所、あるいは5箇所以上に設けるようにしてもよい。好ましくは、外装筒12の中心軸Mに沿う方向の中心軸に対して対称の配設となる2箇所以上の複数箇所に配設することにより、外装筒12に光学アダプタ8,28を安定的に固定することができる。
また、突出部23,33は、各板体22,32のそれぞれに設ける必要はなく、少なくとも1つの板体22,32に設ければよい。好ましくは、外装筒12の中心軸Mに沿う方向の中心軸に対して対称の配設となる2箇所以上の複数箇所に配設することにより、光学アダプタ8,28の鏡筒部3からの脱落を効果的に防ぐことができる。