JP4957915B2 - 情報記録ディスクの情報記録膜破壊装置 - Google Patents
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Description
反面、このような情報記録ディスクが不要になった場合、漏洩できない記録情報のものは、その記録情報を消去し、また、消去できないものは情報記録ディスク自体を機械的に破壊するなどして処分していた。
しかし、1つ1つ記録情報を消去したのでは、大量の情報記録ディスクを処分する上に多くの手間がかかるし、また、機械的に破壊する方法は、リサイクルが不可能になる上、情報記録ディスクが漏洩しない方法で行なわなければならない。
図23は、光ディスクであるCDを連続的に処理する処理装置10の従来例を示す。
CDはプラスチックケース11に収納され、コンベア12に載置されて、処理室13内のマイクロ波電力の照射位置に連続的に送り込まれる。
コンベア12は、処理装置10のハウジング17を貫通して設けられている。
そして、プラスチックケース11の搬入口18及び搬出口19の近傍のハウジング17には電波吸収材20が設けられ、マイクロ波電力の漏洩が防止されている。
なお、情報記録ディスクの情報記録膜は、例えば、基板、導電性反射膜、保護膜が重合形成されたものなっている。
導電性反射膜が破れたり、熱変形したりすると、レーザー光を一様に反射することができないため、記録情報の読み取りが不可能になる。
また、導電性反射膜に破れや熱変形は目視が可能であるから、情報記録膜の破壊されたことの判断が容易となる。
する。
したがって、誘起した電流によるジュール損によって導電性反射膜が温度上昇し、上記同様に導電性反射膜が破れ、熱変形し、情報記録膜が破壊する。
方形導波管内を伝播するマイクロ波電力の電磁界の基本モードTE10の電界、磁界の関係式は下記の式(1)で表される。
そして、電界Eのy成分がEy、磁界Hのz成分がHz、磁界のx成分がHxである。
なお、方形導波管30のx=0及びx=aの面をE面(電界に平行な面E)、y=0及びy=bの面をH面(磁界に平行な面H)と呼ぶ。
また、図1は、方形導波管30の直交座標系を示す。
図2は、ある瞬時t=t0において、z=0面上におけるx軸方向の電磁界分布を示している。
この図で、x=a/2の位置で、Ey=+最大、Hx=−最大になっていることが分かる。
一方、Hzは、z=0ではHz=0であるが、z=λg/4、x=0でHz=+最大、z=λg/4、x=aでHz=−最大となる。
なお、λgは導波管内におけるマイクロ波電力の波長である。
この図からx=a/2の位置で、Ey=+最大、Hx=−最大になっていることが分る。
図2及び図3から、z=N・(λg/2)で、Ey及びHxの絶対値が最大になることが分かる。
同様に、z=λg/4+N・(λg/2)、x=0及びy=0において、Hzの絶対値が最大になることが分る。
なお、Nは、0、1、2・・・・・・である。
図4において、E0は電気力線を、H0は磁力線を各々示す。
H面の中央で、かつ、導波管30の管軸方向、即ち、x=a/2の面とH面とが交わる線上では、電流Iの方向が平行になっている。
したがって、理論的には、この線に沿ってスリットを開けてもマイクロ波電力の漏洩がないことが分かる。
したがって、図6に示すように、上下のH面にスリット31を開けて、例えば、上のスリット31から情報記録ディスク100を挿入し、下のスリット(図示省略)から取り出せば、情報記録ディスク100の情報記録膜面上に、面に平行した強い電界がかかるので、情報記録膜の導電性反射膜が破壊されることになる。
勿論、情報記録ディスク100をケースに入れた状態でも情報記録膜が破壊される。
しかし、例えば、電波が貫通するダンボール箱に情報記録ディスク100を詰めて一括処理して破壊する場合は、マイクロ波電力の電界方向と情報記録ディスク面との関係が重要になる。
簡単にするために、方形導波管32の中央を円形アプリケータ33の端面中央に連結し方形導波管32の長辺方向をx軸、短辺方向をy軸、管軸方向をz軸とする。
なお、原点は導波管と円形アプリケータの連結面と中心軸との交点としている。
また、円形アプリケータ33は、管軸方形の長さLが500mm、円筒の直径φが544mmとなっており、また、方形導波管32を連結した端面の反対側が開放面となっている。
図8(A)は、方形導波管32の管軸を通り、方形導波管32のH面の中央を通る面(x=0面)における電界平均値の分布である。
図8(B)は、方形導波管32の管軸を通り、方形導波管32のH面の中央を通る面(x=0面)における磁界平均値の分布である。
したがって、情報記録ディスク100を矢印の方向へ(上から下へ)移動する(方形導波管のE面に平行に移動する)と、情報記録ディスク100が強い電界分布、強い磁界分布の中を通るため、情報記録ディスク100の情報記録膜が破壊されることが分かる。
図9(B)は、方形導波管32の管軸を通り、方形導波管32のE面の中央を通る面(y=0面)における磁界平均値の分布である。
これらの分布図において、情報記録ディスク100を矢印の方向へ(上から下へ)移動する(方形導波管のH面に平行に移動する)と、情報記録ディスク100は、磁界の強い部所を通るが、電界がやや弱い部所しか通らない。
したがって、情報記録ディスク100の情報記録膜を破壊するためには大きなマイクロ波電力が必要になることが分かる。
図10(B)は、図10(A)と同様に示した磁界の瞬時最大値の分布図である。
なお、図10(A)、(B)は、電界、磁界が瞬時的に最大になったときの分布であるので、平均値では更に弱くなる。
情報記録ディスク100をこれらの角度内で移動させるときは、電磁界が弱い部所を長く通過することになるので、情報記録膜破壊の精度が下がる。
したがって、情報記録ディスク100の移動方向は、水平線(H面に平行な線)から±30°以外、言い換えれば、垂直線(E面に平行な線)から±60°以内にすべきであり、好ましくは、垂直線(E面に平行な線)から±45°以内にすることが最適である。
図11は、第1の実施形態を示し、情報記録膜の破壊装置の簡略的な斜視図である。
図示する如く、本実施形態の破壊装置は、情報記録ディスク100を収納した複数枚のケース(例えば、プラスチックケース)34を重ねてベルトコンベア35に載せ、ベルトコンベア35を運転することで情報記録ディスク100がアプリケータ36内を移動するようになっている。
なお、方形導波管37は、アプリケータ36の反対側の側面に設けてもよく、また、両側面に設けることもできる。
要するに、情報記録ディスク100が方形導波管のE面(単にEとして表わす)に平行に置かれ、その移送方向も方形導波管のE面に平行となるようにすればよい。
さらに、実際には、アプリケータ36の入口38a側と出口38b(図示省略)側にはマイクロ波電力を外部に放出させないために、電波吸収体などを設ける。
本実施形態は、ケース34に収納した複数の情報記録ディスク100をダンボール箱のような容器39に入れ、容器39をベルトコンベア35で移動させるようにしてある。
なお、容器39は、その形成材料がダンボール箱のようにマイクロ波電力を多少吸収するものでも使用することができる。
その他は、図11に示す第1実施形態と同じ構成となっている。
この実験では、容器39内に情報記録ディスク100として42枚のDVDを入れて行ったが、歩留は100%で全数破壊した。
なお、容器39に入れたDVDについては、35枚はE面に平行に配置し、7枚はE面に対し45°の角度で配置した。
実験条件:マイクロ波電力 9.5kW
移送スピード 2.5m/分
移送方向 放射アンテナ(導波管)のE面に平行
容器 ダンボール箱
実験結果:ダンボール箱に入れたDVDディスク(42枚)の情報記録膜(反射膜)破壊状況
破壊大:35枚、破壊中:7枚、破壊小:0枚、破壊せず:0枚
(E面に対し45°の角度に配置したDVD:破壊大6枚、破壊中1枚)
実験判定 破壊歩留:100%
なお、この場合、情報記録ディスク100の情報記録膜が方形導波管37のH面に平行になり、そのE面に平行して移動する。
実験条件:マイクロ波電力 9.5kW
移送スピード 2.5m/分
移送方向 放射アンテナ(導波管)のE面に平行
容器 ダンボール箱
実験結果:ダンボール箱に入れたDVDディスク(33枚)の情報記録膜(反射膜)破壊状況
破壊大:1枚、破壊中:2枚、破壊小:0枚、破壊せず:30枚
実験判定:破壊歩留 実験結果:9.1%
このように構成した破壊装置は、情報記録ディスク100が図15(A)、(B)のようにアプリケータ36内を移動する。
また、図10(A)、(B)の電磁界分布で説明したように、情報記録ディスク100は、方形導波管37のE面に対し平行(角度0°)に対し、±60°以内であれば、破壊レベルが保たれるので、ダンボール箱に情報記録ディスク100のケース34を詰める場合は、60°以内(好ましくは45°以内)の角度で詰めればよい。
しかし、ねじりタイプの導波管を使用した場合、E面自身がねじれているので、
情報記録ディスクの情報記録面は、ねじり導波管からアプリケータ36内にマイクロ波電力を放射させる矩形開口面に垂直で、H面から延長する辺の中点を結ぶ線を通る面を基準とし、この基準面に対し、±60゜の角度以内に保持して移動する。
図16は破壊装置の第1実施例を示し、マイクロ波発振器を2台搭載した破壊装置の側面図、図17は同破壊装置の平面図、図18は図17のA−A線断面図である。
これらの図面において、40はマイクロ波発振器で、このマイクロ波発振器40は、マグネトロン40aとこのマグネトロン40aに連結した導波管タイプの高周波結合器40bを備えている。
したがって、ダンボール箱48は、入口側フイルタ49、アプリケータ43、出口側フイルタ50を経由して外に出る。
このことから、DVDがアプリケータ43内を通過する際に、強いマイクロ波電界に沿って情報記録面を移動させることから、DVDの情報記録膜が確実に破壊される。
図示するように、情報記録膜の反射膜に亀裂100aが入ったり、変形するため、もはやレーザー光による読み取りが不可能になり、また、図示する如く、情報記録膜の破壊が目視によって確認することができる。
したがって、導波管41、45のE面が、アプリケータ43に接続する部分で、
情報記録ディスクの情報記録面が直交(90゜回転)するようになっていても、マイクロ波照射アンテナ42、46の途中を90゜ひねることにより、導波管照射アンテナ42、46の先端面のE面方向と情報記録ディスクの情報記録面とが平行するから、上記同様に実施することができる。
この実施例は、方形導波管式アプリケータを備えた破壊装置として構成してある。
これらの図面において、51はマイクロ波発振器で、マグネトロン51aが高周波結合器51bに搭載されており、マグネトロン51aから出力されたマイクロ波電力が高周波結合器51bに結合し、導波管回路を伝播する。
アプリケータ本体55とプランジャ可動部56aで反射されたマイクロ波電力はマグネトロン51aに向かう。
なお、プランジャ可動部56aの位置は、情報記録ディスク100の情報記録膜が最も効率良く破壊できる位置に予め固定して置く。
なお、この導電体59には、情報記録ディスク100を通すための孔部が設けてある。
この破壊装置は、アプリケータ本体55を傾斜させて通過させるディスクガイド60を備えたことに特徴があり、その他は図20に示す破壊装置と同構成となっている。
35 ベルトコンベア
36 アプリケータ
37 方形導波管
39 ダンボール等の容器
Claims (4)
- 情報記録ディスクにマイクロ波電力を照射し、当該情報記録ディスクの情報記録膜を破壊する装置において、
内部に情報記録ディスクを配置するアプリケータと、
前記アプリケータに接続し、当該アプリケータ内にマイクロ波電力を供給する方形導波管とを備え、
前記情報記録ディスクは、その情報記録面が前記方形導波管を伝播するマイクロ波電力の電界に対し平行又は60°の角度範囲内となるように配置し、マイクロ波電力を照射する構成としたことを特徴とする情報記録ディスクの情報記録膜破壊装置。 - 請求項1に記載した情報記録膜破壊装置において、
前記アプリケータ内に前記方形導波管に連通するマイクロ波照射アンテナを設け、
前記マイクロ波照射アンテナのマイクロ波放射孔のマイクロ波電界方向に平行する面に対し、前記情報記録ディスクの情報記録面を平行に又は60°の角度範囲内に配置し、マイクロ波電力を照射する構成としたことを特徴とする情報記録ディスクの情報記録膜破壊装置。 - 請求項1または2に記載した情報記録膜破壊装置において、
前記方形導波管を伝播するマイクロ波電力の電界方向に平行させて移動させるベルトコンベアと、
前記方形導波管を伝播するマイクロ波電力の電界方向に、情報記録面を平行させるように複数の情報記録ディスクを内装する容器と、
前記容器を前記ベルトコンベアに載せてアプリケータ内を通過させ、情報記録ディスクの情報記録面にマイクロ波電力を照射する構成としたことを特徴とする情報記録ディスクの情報記録膜破壊装置。 - 請求項3に記載した情報記録膜破壊装置において、
ケースに収納した複数の情報記録ディスクを前記容器に内装させ、前記容器をベルトコンベアに載置させてアプリケータ内を通過させることを特徴とする情報記録ディスクの情報記録膜破壊装置。
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