(実施形態1)
以下、図1〜図24を参照して、この発明を適用した鍵盤装置の実施形態1について説明する。
図1はこの発明の鍵盤装置を開いて使用する状態を示した平面図、図2はその正面図、図3はその背面図、図4はその底面図である。
この鍵盤装置は、図1〜図4に示すように、左右2つに分割された第1、第2鍵盤ケース1、2と、この第1、第2鍵盤ケース1、2を折り畳み可能に連結するヒンジ部3と、第1、第2鍵盤ケース1、2にそれぞれ設けられた第1、第2鍵盤部4、5と、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士に跨って取り付けられたカバー部材8とを備えている。
第1鍵盤ケース1は、図5および図6に示すように、上ケース部10と下ケース部11とを備えている。上ケース部10には、第1鍵盤部4が配置される鍵盤収納部10aが左端部側を除いて手前側と右端部6側とに開放されて設けられており、この上ケース部10の左上側には、スピーカ部12が設けられている。また、下ケース部11の下面には、ゴム足9が設けられている。この第1鍵盤ケース1の第1鍵盤部4は、多数の鍵4aが鍵盤収納部10aに対応して配列されている。この第1鍵盤部4の右端部に位置する鍵4aは、第1鍵盤ケース1の開放された右端部6に位置し、その右側面が外部に露出する状態で配置されている。
また、第2鍵盤ケース2は、図5および図6に示すように、上ケース部13と下ケース部14とを備えている。上ケース部13には、第1鍵盤ケース1の上ケース部10と同様、第2鍵盤部5が配置される鍵盤収納部13aが右端部側を除いて手前側と左端部7側とに開放されて設けられており、この上ケース部13の右上側には、スピーカ部12が設けられている。また、下ケース部14の下面にも、第1鍵盤ケース1の下ケース部11と同様、ゴム足9が設けられている。
この第2鍵盤ケース2の第2鍵盤部5は、多数の鍵5aが鍵盤収納部13aに対応して配列されている。この第2鍵盤部5の左端部に位置する鍵5aは、第2鍵盤ケース2の開放された左端部7に位置し、その左側面が外部に露出する状態で配置されている。これにより、第1、第2鍵盤部4、5は、図1、図2および図5(a)に示すように、第1、第2鍵盤ケース1、2を開いたときに、第1、第2鍵盤部4、5の全ての鍵4a、5aが同じ間隔で第1、第2鍵盤ケース1、2に沿って連続して配列されるように構成されている。
この場合、第1鍵盤ケース1の上ケース部10における分割された端部6には、図5(a)および図11に示すように、ヒンジ部3の中間部に位置する中間ヒンジカバー部3aが半円弧状に形成されており、この中間ヒンジカバー部3a内には、図11に示すように、後述するヒンジ補強筒15が配置されている。また、第2鍵盤ケース2の上ケース部13における分割された端部7には、図5(a)および図12に示すように、ヒンジ部3の両端部に位置する端部ヒンジカバー部3bがほぼ円弧状にそれぞれ形成されており、この両側の端部ヒンジカバー部3b内には、図12に示すように、後述するヒンジ補強部16、28が配置されている。
これにより、ヒンジ部3は、図11および図12に示すように、端部ヒンジカバー部3bで覆われたヒンジ補強部16、28のうち、ヒンジ補強部28にヒンジ軸17が設けられ、このヒンジ軸17が中間ヒンジカバー部3aで覆われたヒンジ補強筒15内に回動可能に挿入され、図6に示すように、第1鍵盤ケース1の上ケース部10の分割された端部6と、第2鍵盤ケース2の上部ケース部13の分割された端部7とを回動可能に連結することにより、第1、第2鍵盤ケース1、2を折り畳み可能に連結するように構成されている。
ところで、第1鍵盤ケース1の下ケース部11における分割された端部6には、図8(a)〜図8(d)に示すように、第1、第2補強部材18、19が設けられている。第1補強部材18は、図8(b)に示すように、金属板を長手方向に沿って逆L字形状に折り曲げたものであり、図8(a)に示すように、下ケース部11の端部6における内縁部に第1鍵盤部4と対応した状態でビス止めされている。この第1補強部材18の手前側の前端部には、図8および図9に示すように、カバー部材8を取り付けるためのカバー取付補強部20が折り曲げにより設けられている。
このカバー取付補強部20は、図9(a)〜図9(c)に示すように、その所定個所に軸取付孔20aとビス取付孔20bとが設けられ、図8(a)および図8(c)に示すように、下ケース部11の端部6側に位置する前面部6a(図1の手前側面)の内面に対面し、軸取付孔20aが下ケース部11の端部6側に位置する前面部6aに設けられた軸貫通孔11a(図5(b)参照)に対応した状態で、ビス取付孔20bによって下ケース部11の端部6側に位置する前面部6aにビス止めされている。
また、この第1補強部材18の後端部(図8(a)では上辺側の端部)には、図8(a)および図8(b)に示すように、ヒンジ部3を補強するための第1ヒンジ補強板21がビス止めされている。この第1ヒンジ補強板21は、図11に示すように、下ケース部11の端部6における内縁部に起立した状態でヒンジ部3と対応して設けられ、この起立した上部に、図11に示すように、ヒンジ部3の中間ヒンジカバー部3aで覆われるヒンジ補強筒15がビス止めされている。
また、第1鍵盤ケース1の第2補強部材19は、図8(d)に示すように、帯状の金属板からなり、下ケース部11と上ケース部10との両方の後面部(図1の背面)に跨って配置された状態で、下ケース部11の後面に取り付けられている。この第2補強部材19における下ケース部11の端部6側に位置する部分には、ヒンジ部3の端部ヒンジカバー部3bに対応するヒンジ補強部22が折り曲げにより設けられている。このヒンジ補強部22には、カバー部材8を取り付けるためのカバー取付補強部23が下ケース部11の後面に対面するように設けられている。
このカバー取付補強部23も、図8(d)に示すように、その所定個所に軸取付孔23aとビス取付孔23bとが設けられ、下ケース部11の端部6側に位置する後面部6b(図1の背面)の内面に対面し、軸取付孔23aが下ケース部11の端部6側に位置する後面部6bに設けられた軸貫通孔11a(図5(c)参照)に対応した状態で、ビス取付孔23bによって下ケース部11の端部6側に位置する後面部6bにビス止めされている。
一方、第2鍵盤ケース2の下ケース部14における分割された端部7には、図10(a)〜図10(d)に示すように、第3、第4補強部材24、25が設けられている。第3補強部材24は、図10(a)および図10(b)に示すように、第1補強部材20と同様、金属板を長手方向に沿ってL字形状に折り曲げたものであり、図10(a)に示すように、下ケース部14の端部7における内縁部に第2鍵盤部5と対応した状態でビス止めされている。
この第3補強部材24の手前側端部には、図10(b)および図10(c)に示すように、カバー部材8を取り付けるためのカバー取付補強部26が折り曲げられている。このカバー取付補強部26は、第1鍵盤ケース1のカバー取付補強部20と同様、その所定個所に軸取付孔26aとビス取付孔26bとが設けられ、下ケース部14の端部7側に位置する前面部7a(図1の手前側面)の内面に対面し、軸取付孔26aが下ケース部14の端部7側に位置する前面部7aに設けられた軸貫通孔14a(図5(b)参照)に対応した状態で、ビス取付孔26bによって下ケース部14の端部7側に位置する前面部7aにビス止めされている。
また、この第3補強部材24の後端部(図10(a)では上辺側の端部)には、図10(a)および図10(b)に示すように、ヒンジ部3を補強するための第2ヒンジ補強板27がビス止めされている。この第2ヒンジ補強板27は、図10(c)に示すように、下ケース部14の端部7における内縁部にヒンジ部3と対応して起立した状態で配置され、その上部にヒンジ部3の端部ヒンジカバー部3bに対応する手前側のヒンジ補強部16が設けられている。
また、第2鍵盤ケース2の第4補強部材25は、第2補強部材21と同様、帯状の金属板からなり、図10(d)に示すように、下ケース部14と上部ケース部13との両方の後面(図1の背面)に配置された状態で、下ケース部14の後面に取り付けられている。この第4補強部材25における下ケース部14の端部7側に位置する部分には、ヒンジ部3の端部ヒンジカバー部3bで覆われるヒンジ補強部28と、カバー部材8を取り付けるためのカバー取付補強部29とが設けられている。
この場合、ヒンジ補強部28には、ヒンジ部3の中間ヒンジカバー3aで覆われるヒンジ補強筒15内に挿入するヒンジ軸17が設けられている。また、カバー取付補強部29は、図10(d)に示すように、その所定個所に軸取付孔29aとビス取付孔29bとが設けられ、下ケース部14の端部7側に位置する後面部7bの内面に対面し、軸取付孔29aが下ケース部14の端部7側に位置する後面部7bに設けられた軸貫通孔14a(図5(c)参照)に対応した状態で、ビス取付孔29bによって下ケース部14の端部7側に位置する後面部7bにビス止めされている。
これにより、第1鍵盤ケース1は、その右端部6側が開放されていても、第1、第2補強部材18、19によって開放された端部6が補強されている。第2鍵盤ケース2は、その左端部7側が開放されていても、第3、第4補強部材24、25によって開放された端部7が補強されている。また、この第1、第2鍵盤ケース1、2を回動可能に連結するヒンジ部3は、中間ヒンジカバー部3aで覆われたヒンジ補強筒15と、端部ヒンジカバー部3bで覆われたヒンジ補強部16、28とによって補強されていると共に、第1補強部材18に取り付けられた第1ヒンジ補強板21と、第3補強部材24に取り付けられた第2ヒンジ補強板27と、第4補強部材25のヒンジ補強部28に設けられたヒンジ軸17とによって強固に補強されている。
一方、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7の各対向面を覆うためのカバー部材8は、図7に示すように、帯板状のカバー部30と、このカバー部30の両端にそれぞれ設けられた一対の連結片31とを備えている。この場合、カバー部30は、図4に示すように、その長さが第1、第2鍵盤ケース1、2の前後方向(図4では上下方向)の長さとほぼ同じ長さに形成されている。
また、このカバー部30は、図18および図19に示すように、その幅が第1、第2鍵盤ケース1、2の両方の厚みとほぼ同じ長さに形成され、第1、第2鍵盤ケース1、2が重なり合った状態のときに、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7の各対向面に対応して覆うように構成されている。さらに、このカバー部30は、その厚みが第1、第2鍵盤ケース1、2の下面に設けられたゴム足9の厚みよりも少し薄く形成され、図2に示すように、第1、第2鍵盤ケース1、2を開いて卓上に配置したときに、卓上に接触しないように構成されている。
このカバー部30の両端に設けられた一対の連結片31のうち、一方の連結片31は、図1〜図3に示すように、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7側に位置する前面部6a、7a(図1では手前側面)に対応するように設けられており、他方の連結片31は、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7側に位置する後面部6b、7b(図1では背面)に対応するように設けられている。また、この一対の連結片31における各一側部、つまり第1鍵盤ケース1の端部6側に位置する前後面部6a、6bに対応する個所には、図7に示すように、軸取付孔32がそれぞれ貫通して設けられており、この一対の連結片31の対向面には、ガイド溝33がそれぞれ軸取付孔32の近傍から反対側の端部つまり第2鍵盤ケース2の端部7側に向けて設けられている。
また、このカバー部材8は、連動機構34によって第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士に跨って連結され、第1、第2鍵盤ケース1、2の回動動作に連動して、カバー部30が第1、第2鍵盤ケース1、2の分割され端部6、7の各対向面を開閉可能に覆うように構成されている。すなわち、この連動機構34は、図13〜図15に示すように、第1鍵盤ケース1の分割された端部6側の前後面部6a、6bとカバー部材8の一対の連結片31とを回動可能に連結する一対の固定軸35と、第2鍵盤ケース2の分割された端部7側の前後面部7a、7bにそれぞれ回動可能に取り付けられてカバー部材8の一対の連結片31にそれぞれ設けられた各ガイド溝33内を移動する一対の移動軸36とを備えている。
一対の固定軸35それぞれは、図16(a)に示すように、内端部側(同図では上端部側)に係止溝35aが設けられ、外端部(同図では下端部)に抜け止め用の頭部35bが設けられ、第1鍵盤ケース1の端部6側の前後面部6a、6bにそれぞれ設けられた各軸貫通孔11aおよび第1、第2補強部材18、19のカバー取付補強部20、23の各軸取付孔20a、23aと、カバー部材8の一対の連結片31にそれぞれ設けられた各軸取付孔32とに挿入されて回動可能に取り付けられるように構成されている。
すなわち、この一対の固定軸35のうち、第1鍵盤ケース1の前面側(図1の手前側)に位置する固定軸35は、図13および図14に示すように、カバー部材8の手前側に位置する連結片31に設けられた軸取付孔32に内端部側が外部側から内部側に向けて挿入され、この挿入された内端部が第1鍵盤ケース1の端部6側に位置する前面部6aに設けられた軸貫通孔11aを通り、第1補強部材18のカバー取付補強部20の軸取付孔20aに挿入され、この挿入された内端部がカバー取付補強部20から内側に突出し、この突出した内端部が取付金具37によって外部に抜けないように取り付けられている。
また、第1鍵盤ケース1の後面側(図1の背面側)に位置する固定軸35は、図13および図14に示すように、カバー部材8の後部側に位置する連結片31に設けられた軸取付孔32に内端部側が外部側から内部側に向けて挿入され、この挿入された内端部側が第1鍵盤ケース1の端部6側に位置する後面部6bに設けられた軸貫通孔11aを通り、第2補強部材19のカバー取付補強部23の軸取付孔23aに挿入され、この挿入された内端部がカバー取付補強部23から内側に突出し、この突出した内端部が取付金具37によって外部に抜けないように取り付けられている。
この場合、取付金具37は、図14(a)および図14(b)に示すように、金属板をL字状に折り曲げ、この折り曲げられた立上り部にU字形状の溝部37aが設けられ、このU字形状の溝部37aに固定軸35の係止溝35aが係合することにより、固定軸35が外部に抜け出さないように構成されている。また、一対の連結片31の各軸取付孔32内には、図17(a)に示す筒状の第1補強ブッシュ38がそれぞれ嵌め込まれており、また第1鍵盤ケース1の端部6に位置する前後面に設けられた各軸貫通孔11aには、図17(b)に示す筒状の第2補強ブッシュ39がそれぞれ嵌め込まれている。
これにより、一対の固定軸35は、図13および図14に示すように、その各内端部側が第1鍵盤ケース1における端部6側に位置する前後面部6a、6bに設けられた各軸貫通孔11aと第1、第2補強部材18、19のカバー取付補強部20、23の各軸取付孔20a、23aとに回動可能に取り付けられ、各外端部側がカバー部材8における一対の連結片31の各軸取付孔32に回動可能に取り付けられることにより、図20〜図24に示すように、カバー部材8の一対の連結片31を第1鍵盤ケース1の端部6側に位置する前後面部6a、6bに対して回動可能に連結している。
一方、一対の移動軸36それぞれは、図16(b)に示すように、内端部側(同図では上端部側)に係止溝36aが設けられ、外端部(同図では下端部)に摺動頭部36bが設けられた構成になっている。すなわち、一対の移動軸36のうち、第2鍵盤ケース2の前面側に位置する移動軸36は、図13および図15に示すように、摺動頭部36bがカバー部材8の手前側の連結片31に設けられたガイド溝33内に移動可能に挿入され、内端部が第2鍵盤ケース2の端部7側に位置する前面部7aに設けられた軸貫通孔14aを通り、第3補強部材24のカバー取付補強部26の軸取付孔26aに挿入され、この挿入された内端部がカバー取付補強部26から内側に突出し、この突出した内端部が、固定軸35の場合と同様、取付金具37によって外部に抜けないように取り付けられている。
また、第2鍵盤ケース2の後面側(図1の背面側)に位置する移動軸36は、図13および図15に示すように、摺動頭部36bがカバー部材8の後部側の連結片31に設けられたガイド溝33内に移動可能に挿入され、内端部側が第2鍵盤ケース2における端部7側に位置する後面部7bに設けられた軸貫通孔14aを通り、第4補強部材25のカバー取付補強部29の軸取付孔29aに挿入され、この挿入された内端部がカバー取付補強部29から内側に突出し、この突出した内端部が、固定軸35の場合と同様、取付金具37によって外部に抜けないように取り付けられている。この場合にも、第2鍵盤ケース2の端部7側に位置する前後面部7a、7bに設けられた各軸貫通孔14aには、図17(b)に示した筒状の第2補強ブッシュ39がそれぞれ嵌め込まれている。
これにより、一対の移動軸36は、一対の固定軸35によって一対の連結片31が第1鍵盤ケース1の端部6側に位置する前後面部6a、6bに回動可能に取り付けられた状態で、一対の移動軸36の各摺動頭部36bがカバー部材8の一対の連結片31にそれぞれ設けられた各ガイド溝33内に移動可能に挿入され、一対の固定軸35を中心にカバー部材8の一対の連結片31が第1鍵盤ケース1に対して回動するときに、その回動動作に伴って各摺動頭部36bがカバー部材8の一対の連結片31の各ガイド溝33内を移動することにより、一対の固定軸35を中心にカバー部材8のカバー部30を回転移動させるように構成されている。
次に、第1、第2鍵盤ケース1、2の折り畳み動作について説明する。
まず、第1、第2鍵盤ケース1、2がヒンジ部3を中心に回動して180度に開いたときには、図1および図2に示すように、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士の各対向面が互いに対面して突き当たり、第1、第2鍵盤ケース1、2に設けられた第1、第2鍵盤部4、5の各鍵4a、5aが全て同じ間隔で第1、第2鍵盤ケース1、2に沿って連続して配列される。
このときには、図1〜図4に示すように、カバー部材8のカバー部30が第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7側に位置する下ケース11、14の各下面に跨って配置されると共に、カバー部材8の一対の連結片31が第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7側に位置する下ケース11、14の各前後面部6a、6b、7a、7bに跨って配置される。この状態では、図20に示すように、連動機構34の一対の固定軸35と一対の移動軸36とが互いに接近した状態になっている。
この状態で、図6および図21に示すように、ヒンジ部3を中心に第1、第2鍵盤ケース1、2を回動させて少し閉じると、第1、第2鍵盤ケース1、2の端部6、7同士がヒンジ部3を中心に少し回動して開く。このときには、図21に示すように、連動機構34の移動軸36が、第2鍵盤ケース2の端部7と共にカバー部材8の連結片31のガイド溝33内を移動しながら、固定軸35から斜め上方に向けて移動する。これにより、カバー部材8の一対の連結片31が連動機構34の一対の固定軸35を中心に反時計回りに回動すると共に、カバー部材8のカバー部30が一対の固定軸35を中心に回転移動する。
この状態で、図22および図23に示すように、ヒンジ部3を中心に第1、第2鍵盤ケース1、2を更に閉じる方向に回動させると、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士がヒンジ部3を中心に更に回動して開く。このときにも、図22および図23に示すように、連動機構34の移動軸36が、第2鍵盤ケース2の端部7と共にカバー部材8の連結片31のガイド溝33内を移動しながら、固定軸35から斜め上方に向けて更に移動する。これにより、カバー部材8の一対の連結片31が連動機構34の一対の固定軸35を中心に反時計回りに更に回動すると共に、カバー部材8のカバー部30が一対の固定軸35を中心に更に回転移動し、図22および図23に示すように、カバー部30が第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7の各対向面に次第に接近する。
この後、図24に示すように、ヒンジ部3を中心に更に第1、第2鍵盤ケース1、2が回動して互いに重なると、図19に示すように、第1、第2鍵盤部4、5が互いに対面して上下に重なると共に、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士がヒンジ部3を中心に180度に回動して開く。このときにも、図24に示すように、連動機構34の移動軸36が、第2鍵盤ケース2の端部7と共にカバー部材8の連結片31のガイド溝33内を移動しながら、固定軸35から上方に向けて最も移動する。
これにより、カバー部材8の一対の連結片31が一対の固定軸35を中心に反時計回りに90度回動してほぼ垂直に起立すると共に、カバー部材8のカバー部30も一対の固定軸35を中心に更に回転移動してほぼ垂直に起立し、図19および図24に示すように、カバー部30が第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された各端部6、7の各対向面に対面して、各端部6、7の各対向面を覆って塞ぐ。
このように、この鍵盤装置によれば、ヒンジ部3を中心に第1、第2鍵盤ケース1、2を回動させて180度に開くと、図1に示すように、第1、第2鍵盤ケース1、2にそれぞれ設けられた第1、第2鍵盤部4、5の全ての鍵4a、5aが第1、第2鍵盤ケース1、2に亘って等間隔で連続して配列されるので、通常の鍵盤装置と同じ鍵操作をして演奏することができる。また、ヒンジ部3を中心に第1、第2鍵盤ケース1、2を回動させて閉じると、図19に示すように、第1、第2鍵盤ケース1、2が互いに重なると共に、第1、第2鍵盤部4、5も互いに対面して重なるので、コンパクトに持ち運ぶことができる。
このときには、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士に跨ってカバー部材8が連結されているので、ヒンジ部3を中心に第1、第2鍵盤ケース1、2が回動して互いに重なるときに、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士の各対向面をカバー部材8によって覆って塞ぐことができる。このため、カバー部材8によって第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された各端部6、7から第1、第2鍵盤ケース1、2の内部が見えないように隠すことができると共に、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された各端部6、7からごみなどの異物が第1、第2鍵盤ケース1、2内に侵入するのを確実に防ぐことができる。
この場合、第1、第2鍵盤ケース1、2がヒンジ部3を中心に回動するときに、その回動動作に応じて連動機構34がカバー部材8を連動させるので、ヒンジ部3を中心に第1、第2鍵盤ケース1、2が回動して互いに重なるときに、連動機構34が第1、第2鍵盤ケース1、2の回動動作に応じて、カバー部材8のカバー部30を第1、第2鍵盤ケース1、2における端部6、7同士の各対向面に対面させる方向に向けて移動させることができ、これにより第1、第2鍵盤ケース1、2における端部6、7同士の各対向面をカバー部材8のカバー部30で自動的に覆うことができる。
また、第1、第2鍵盤ケース1、2がヒンジ部3を中心に回動して開くときに、連動機構34が第1、第2鍵盤ケース1、2の回動動作に応じて、カバー部材8のカバー部30を第1、第2鍵盤ケース1、2における端部6、7同士の各対向面から離れる方向に移動させることができ、これにより第1、第2鍵盤ケース1、2における端部6、7同士の各対向面からカバー部材8のカバー部30を自動的に離脱させることができる。このため、第1、第2鍵盤ケース1、2を180度に開いたときに、カバー部材8が邪魔にならず、第1、第2鍵盤部4、5の全ての鍵4a、5aを第1、第2鍵盤ケース1、2に亘って等間隔に連続して配列させることができる。これにより、使い勝手の良いものを提供することができる。
また、この鍵盤装置では、カバー部材8が、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士の各対向面に対応するカバー部30と、このカバー部30の前後部に設けられて第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士に跨って連結される連結片31とからなり、連動機構34が、第1鍵盤ケース1の端部6側とカバー部材8の連結片31とを回動可能に連結する固定軸35と、第2鍵盤ケース2の端部7側に回動可能に取り付けられてカバー部材8の連結片31に設けられたガイド溝33内を移動する移動軸36とを備えているので、カバー部材8を第1、第2鍵盤ケース1、2の開閉動作に応じて連動させることができると共に、第1、第2鍵盤ケース1、2の開閉動作およびそのときのカバー部材8の連動動作を安定させることができる。
すなわち、第1鍵盤ケース1の端部6側とカバー部材8の連結片31とが固定軸35によって回動可能に連結され、第2鍵盤ケース2の端部7側に回動可能に取り付けられた移動軸36がカバー部材8の連結片31に設けられたガイド溝33内を移動する構成であるから、第1、第2鍵盤ケース1、2がヒンジ部3を中心に回動するときに、カバー部材8の連結片31が第1鍵盤ケース1の端部6側に取り付けられた固定軸35を中心に回動すると共に、第2鍵盤ケース2の端部7側に回動可能に取り付けられた移動軸36がカバー部材8の連結片31に設けられたガイド溝33内を移動するので、第1、第2鍵盤ケース1、2の開閉動作に応じてカバー部材8の一対の連結片31を確実に且つ円滑に連動させることができ、これにより第1、第2鍵盤ケース1、2の開閉動作およびそのときのカバー部材8の連動動作を安定させることができる。
この場合、特にヒンジ部3が第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士の上面に設けられ、カバー部材8はカバー部30の前後部にそれぞれ連結片31を設けた構成で、連動機構34が第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7側の前後面部6a、6b、7a、7bにそれぞれ設けられているので、第1、第2鍵盤ケース1、2の各端部6、7同士において、第1、第2鍵盤部4、5と対応する手前側部分にはヒンジ部3が設けられておらず、後部側部分のみにヒンジ部3が設けられている。
このため、ヒンジ部3を中心に第1、第2鍵盤ケース1、2が回動するときに、第1、第2鍵盤ケース1、2の各端部6、7における手前側部分が不安定な動作になりやすいが、第1、第2鍵盤ケース1、2の端部6、7側に位置する前後面部6a、6b、7a、7bに設けられた連動機構34によって、第1、第2鍵盤ケース1、2の開閉動作時における第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士の手前側部分の回動動作を安定させることができる。
更に、この鍵盤装置では、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7における各内縁部にそれぞれ第1〜第4補強部材18、19、24、25が設けられているので、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士が開放され、第1、第2鍵盤ケース1、2の各端部6、7の強度が低下していても、第1〜第4補強部材18、19、24、25によって十分な強度を確保することができる。
この場合、第1〜第4補強部材18、19、24、25は、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7における各内縁部にそれぞれ設けられているので、第1、第2鍵盤ケース1、2に設けられた第1、第2鍵盤部4、5の各鍵4a、5aのうち、端部に位置する鍵4a、5aが第1、第2鍵盤ケース1、2の開放された端部6、7の各対向面に位置していても、第1〜第4補強部材18、19、24、25がその鍵4a、5aの邪魔にならずに、第1、第2鍵盤ケース1、2の開放された各端部6、7を確実に且つ強固に補強することができる。
また、第1、第2鍵盤ケース1、2を回動可能に連結するヒンジ部3は、中間ヒンジカバー部3aで覆われたヒンジ補強筒15と、端部ヒンジカバー部3bで覆われたヒンジ補強部16、28とによって補強されていると共に、第1補強部材18に取り付けられた第1ヒンジ補強板21と、第3補強部材24に取り付けられた第2ヒンジ補強板27と、第4補強部材25のヒンジ補強部28に設けられたヒンジ軸17とによって強固に補強されているので、ヒンジ部3の強度を十分に確保することができ、これによっても第1、第2鍵盤ケース1、2の回動動作を安定させることができる。
更に、第1〜第4補強部材18、19、24、25には、それぞれカバー取付補強部20、23、26、29が設けられ、これら各カバー取付補強部20、23、26、29にそれぞれ軸取付孔20a、23a、26a、29aが第1、第2鍵盤ケース1、2の各端部6、7側に位置する前後面部6a、6b、7a、7bに設けられた各軸貫通孔11a、14aに対応して設けられているので、連動機構34の一対の固定軸35および一対の移動軸36を第1、第2鍵盤ケース1、2に対して確実に且つ強固に取り付けることができ、これによっても第1、第2鍵盤ケース1、2の回動動作を安定させることができる。
(実施形態2)
次に、図25〜図45を参照して、この発明を適用した鍵盤装置の実施形態2について説明する。なお、図1〜図24に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この鍵盤装置は、カバー部材40と連動機構41とが実施形態1と異なる構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成なっている。
すなわち、このカバー部材40は、図25〜図31に示すように、帯板状のカバー部42と、このカバー部42の両端にそれぞれ設けられた一対の連結片43とを備え、実施形態1と同様、第1、第2鍵盤ケース1、2が連続する状態に展開して開いたときに、連動機構41によって第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士に跨って連結され、また図28および図29に示すように、第1、第2鍵盤ケース1、2が回動して互いに重なり合うときに、第1、第2鍵盤ケース1、2の回動動作に連動して、カバー部42が第1、第2鍵盤ケース1、2の分割され端部6、7の各対向面を覆って塞ぐように構成されている。
この場合、カバー部42は、実施形態1と同様、その長さが第1、第2鍵盤ケース1、2の前後方向(図27では上下方向)の長さとほぼ同じ長さに形成されている。また、このカバー部42は、図25〜図29に示すように、その幅が第1、第2鍵盤ケース1、2の両方の厚みとほぼ同じ長さに形成され、第1、第2鍵盤ケース1、2が重なり合った状態のときに、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7の各対向面に対応して覆うように構成されている。さらに、このカバー部42は、実施形態1と同様、その厚みが第1、第2鍵盤ケース1、2の下面に設けられたゴム足9の厚みよりも少し薄く形成され、図26に示したように、第1、第2鍵盤ケース1、2を開いて卓上に配置したときに、卓上に接触しないように構成されている。
このカバー部42の両端に設けられた一対の連結片43は、図32(a)および図32(b)に示すように、カバー部42の両端部にそれぞれ一体に設けられた一対の連結本体部44と、この一対の連結本体部44にそれぞれ着脱可能に取り付けられる一対の連結蓋部45とを備えている。この場合、一対の連結本体部44のうち、一方の連結本体部44は、図25および図26に示すように、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7側に位置する前面部6a、7a(図25では手前側面)に対応するように設けられており、他方の連結本体部44は、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7側に位置する後面部6b、7b(図25では背面)に対応するように設けられている。
この一対の連結本体部44における各一側部、つまり第1鍵盤ケース1の端部6側に位置する前後面部6a、6bに対応する個所には、図35(a)および図35(b)に示すように、軸取付孔32がそれぞれ貫通して設けられている。また、この一対の連結本体部44には、ガイド溝46がそれぞれ軸取付孔32の近傍から反対側の端部つまり第2鍵盤ケース2の端部7側に向けて設けられている。
さらに、この一対の連結本体部44の各対向面におけるガイド溝46の下側には、図35(b)に示すように、ラック47がそれぞれガイド溝46に沿って設けられている。この場合、ガイド溝46の右端部、つまり軸取付孔32と反対側に位置する端部には、後述するピニオンギア48が挿入する大きさの大径孔46aが設けられている。また、一対の連結本体部44の各対向面におけるガイド溝46の周辺部分は、凹部状に形成されており、この凹部状に形成された部分の内側下部にラック47が形成されている。
一方、連動機構41は、図28、図29、および図33に示すように、第1鍵盤ケース1の分割された端部6側の前後面部6a、6bとカバー部材40の一対の連結本体部44とを回動可能に連結する一対の固定軸35と、第2鍵盤ケース2の分割された端部7側の前後面部7a、7bにそれぞれ回動可能に取り付けられて一対の連結本体部44にそれぞれ設けられた各ガイド溝46内を移動する一対の移動軸36と、この一対の移動軸36に取り付けられて一対の連結本体部44の各対向面にそれぞれ設けられた各ラック47に噛み合って転動する一対のピニオンギア48とを備えている。
一対の固定軸35それぞれは、図33および図38(a)に示すように、内端部側(図38(a)では右端部側)に係止溝35aが設けられ、外端部側(図38(a)では左端部側)に軸受けブッシュ49が設けられ、内端部が第1鍵盤ケース1側に回転可能に取り付けられ、外端部が一対の連結本体部44の各軸取付孔32に回転可能に取り付けられるように構成されている。
すなわち、一対の固定軸35は、図33および図38(a)に示すように、第1鍵盤ケース1の端部6側の前後面部6a、6bにそれぞれ設けられた各軸貫通孔11aおよび第1、第2補強部材18、19のカバー取付補強部20、23の各軸取付孔20a、23aに挿入された状態で、外端部側がカバー部材40の一対の連結本体部44にそれぞれ設けられた各軸取付孔32に軸受けブッシュ49を介して挿入されることにより、一対の連結本体部44と第1鍵盤ケース1とに回動可能に取り付けられるように構成されている。なお、一対の固定軸35の各外端部は、図38(a)に示すように、一対の連結本体部44から外部側にそれぞれ突出している。
この場合、一対の固定軸35のうち、第1鍵盤ケース1の前面側(図25の手前側)に位置する固定軸35は、図33および図38(a)に示すように、その内端部側(図38(a)では右端部側)がカバー部材40の手前側に位置する連結本体部44に設けられた軸取付孔32に外部側から内部側に向けて挿入され、この挿入された内端部が第1鍵盤ケース1の端部6側に位置する前面部6aに設けられた軸貫通孔11aを通り、第1補強部材18のカバー取付補強部20の軸取付孔20aに挿入され、この挿入された内端部がカバー取付補強部20から内側に突出し、この突出した内端部が図38(b)に示すようにカバー取付補強部20に固定された取付金具37に回転可能に取り付けられ、この取付金具37によって外部に抜けないように構成されている。
また、第1鍵盤ケース1の後面側(図25の背面側)に位置する固定軸35も、図33および図38(a)に示すように、その内端部側がカバー部材40の後部側に位置する連結本体部44に設けられた軸取付孔32に外部側から内部側に向けて挿入され、この挿入された内端部が第1鍵盤ケース1の端部6側に位置する後面部6bに設けられた軸貫通孔11aを通り、第2補強部材19のカバー取付補強部23の軸取付孔23aに挿入され、この挿入された内端部がカバー取付補強部23から内側に突出し、この突出した内端部がカバー取付補強部23に固定された取付金具37に回転可能に取り付けられ、この取付金具37によって外部に抜けないように構成されている。
この場合、取付金具37は、実施形態1と同様、金属板をL字状に折り曲げ、この折り曲げられた立上り部に図38(b)に示すようにU字形状の溝部37aが設けられ、このU字形状の溝部37aに固定軸35の係止溝35aが係合することにより、固定軸35が外部に抜け出さないように構成されている。また、一対の連結本体部44の各軸取付孔32は、図33および図38(a)に示すように、固定軸35に取り付けられた軸受けブッシュ49が嵌合する大きさに形成されている。また、第1鍵盤ケース1の端部6に位置する前後面に設けられた各軸貫通孔11aには、実施形態1と同様、筒状の第2補強ブッシュ39がそれぞれ嵌め込まれている。
これにより、一対の固定軸35は、図33および図38(a)に示すように、その各内端部側が第1鍵盤ケース1における端部6側に位置する前後面部6a、6bに設けられた各軸貫通孔11aと第1、第2補強部材18、19のカバー取付補強部20、23の各軸取付孔20a、23aとに挿入されて、各取付金具37の溝部37aに回動可能に取り付けられ、また各外端部側が一対の連結本体部44の各軸取付孔32に軸受けブッシュ49を介して回動可能に取り付けられることにより、一対の連結本体部44を第1鍵盤ケース1の端部6側に位置する前後面部6a、6bに対して回動可能に連結するように構成されている。
一方、一対の移動軸36それぞれは、図33、図34、および図39(a)に示すように、内端部側(図39(a)では右端部側)に係止溝36aが設けられ、外端部側(図39(a)では左端部側)に図40(a)および図40(b)に示すピニオンギア48が設けられ、内端部が第2鍵盤ケース2側に回転可能に取り付けられ、外端部がカバー部材40の一対の連結本体部44に設けられたガイド溝46内に移動可能に挿入されていると共に、ピニオンギア48が一対の連結本体部44に設けられたラック47に噛み合って転動可能に取り付けられるように構成されている。
すなわち、一対の移動軸36のうち、第2鍵盤ケース2の前面側に位置する移動軸36は、図39(a)に示すように、その内端部(同図では右端部)が第2鍵盤ケース2の端部7側に位置する前面部7aに設けられた軸貫通孔14aを通り、第3補強部材24のカバー取付補強部26の軸取付孔26aに挿入され、この挿入された内端部がカバー取付補強部26から更に内側に突出し、この突出した内端部が、固定軸35の場合と同様、カバー取付補強部26に固定された取付金具37に回転可能に取り付けられ、この取付金具37によって外部に抜けないように構成されている。また、この前面側の移動軸36の外端部は、図39(a)に示すように、連結本体部44のガイド溝46を通して連結本体部44から外部側に突出している。
また、第2鍵盤ケース2の後面側(図25の背面側)に位置する移動軸36も、図34および図39(a)に示すように、その内端部側が第2鍵盤ケース2における端部7側に位置する後面部7bに設けられた軸貫通孔14aを通り、第4補強部材25のカバー取付補強部29の軸取付孔29aに挿入され、この挿入された内端部がカバー取付補強部29から内側に突出し、この突出した内端部が、固定軸35の場合と同様、カバー取付補強部29に固定された取付金具37に回転可能に取り付けられ、この取付金具37によって外部に抜けないように構成されている。この場合にも、第2鍵盤ケース2の端部7側に位置する前後面部7a、7bに設けられた各軸貫通孔14aには、図39(a)に示すように、筒状の第2補強ブッシュ39がそれぞれ嵌め込まれている。
これにより、連動機構41は、一対の固定軸35によって一対の連結本体部44が第1鍵盤ケース1の端部6側に位置する前後面部6a、6bに回動可能に取り付けられた状態で、一対の移動軸36が一対の連結本体部44の各ガイド溝46に移動可能に挿入されると共に、一対の移動軸36の各ピニオンギア48が一対の連結本体部44の各ラック47に転動可能に噛み合い、この状態で一対の固定軸35を中心に一対の連結本体部44が第1鍵盤ケース1に対して回動するときに、その回動動作に伴って一対の移動軸36が一対の連結本体部44の各ガイド溝46内を移動しながら、各ピニオンギア48が一対の連結本体部44の各ラック47に噛み合って転動することにより、一対の固定軸35を中心にカバー部材40の一対の連結片43を回動させると共に、カバー部42を回転移動させるように構成されている。
ところで、一対の連結本体部44に取り付けられる一対の連結蓋部45は、図32および図37に示すように、連結本体部44と同じ大きさの平板状に形成され、ビス51によって連結本体部44の外面に取り付けられて、固定軸35および移動軸36の各外端部を覆って軸取付孔32およびガイド溝46を塞ぐように構成されている。この場合、連結本体部44に対面する連結蓋部45の内面には、図32(a)および図32(b)に示すように、凹部52が設けられている。
この凹部52内の上辺部には、連結本体部44の外面に設けられたフック部53が係脱可能に係合する係止部54が設けられている。これにより、連結蓋部45は、その係止部54に連結本体部44のフック部53を係合させた状態で、ビス51によって連結本体部44の外面に取り付けられることにより、固定軸35に取り付けられた軸受けブッシュ49および移動軸36に取り付けられたピニオンギア48が外部に抜け出さないように固定軸35および移動軸36の各外端部(図33では各下端部)を覆う構成になっている。
次に、この実施形態2の鍵盤装置の作用について説明する。
まず、図25および図26に示すように、第1、第2鍵盤ケース1、2がヒンジ部3を中心に回動して180度に開いたときには、図41に示すように、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士の各対向面が互いに対面して突き当たり、第1、第2鍵盤ケース1、2に設けられた第1、第2鍵盤部4、5の各鍵4a、5aが全て同じ間隔で第1、第2鍵盤ケース1、2に沿って連続して配列される。
このときには、実施形態1と同様、カバー部材40のカバー部42が第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7側に位置する下ケース11、14の各下面に跨って配置されると共に、カバー部材40の一対の連結片43が第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7側に位置する下ケース11、14の各前後面部6a、6b、7a、7bに跨って配置される。この状態では、図41に示すように、連動機構34の一対の固定軸35と一対の移動軸36とが互いに接近し、移動軸36のピニオンギア48が連結片43のラック47の左端部に位置した状態になっている。
この状態で、ヒンジ部3を中心に第1、第2鍵盤ケース1、2を閉じる方向にほぼ45度回動させると、図42に示すように、第1、第2鍵盤ケース1、2の端部6、7同士がヒンジ部3を中心にほぼ45度回動して開く。このときには、連動機構41の移動軸36が、第2鍵盤ケース2の端部7と共にカバー部材40の連結片43におけるガイド溝46内を移動しながら、固定軸35から斜め上方に向けて移動すると共に、移動軸36のピニオンギア48が連結片43のラック47に噛み合ってその右側(つまり固定軸35から離れる方向)に向けて転動する。これにより、カバー部材40の一対の連結片43が連動機構41の一対の固定軸35を中心に反時計回りに回動して少し傾斜すると共に、カバー部材40のカバー部42が一対の固定軸35を中心に回転移動する。
この状態で、ヒンジ部3を中心に第1、第2鍵盤ケース1、2を更に閉じる方向に回動させると、図43および図44に示すように、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士がヒンジ部3を中心に更に回動して90°以上に開く。このときにも、連動機構41の移動軸36が、第2鍵盤ケース2の端部7と共にカバー部材40の連結片43におけるガイド溝46内を移動しながら、固定軸35から斜め上方に向けて更に移動すると共に、移動軸36のピニオンギア48が連結片43のラック47に噛み合って固定軸35から離れる斜め上方に向けて転動する。
このときには、図43および図44に示すように、カバー部材40の一対の連結片43が連動機構41の一対の固定軸35を中心に反時計回りに更に回動して45度以上に傾斜すると共に、カバー部材40のカバー部42が一対の固定軸35を中心に更に回転移動して45度以上に傾斜する。これにより、図43および図44に示すように、カバー部40が第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7の各対向面に次第に接近する。
この後、ヒンジ部3を中心に更に第1、第2鍵盤ケース1、2が回動して互いに重なると、図45に示すように、第1、第2鍵盤部4、5が互いに対面して上下に重なると共に、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士がヒンジ部3を中心に180度に回動して開く。このときにも、図45に示すように、連動機構41の移動軸36が、第2鍵盤ケース2の端部7と共にカバー部材40の連結片43におけるガイド溝46内を移動しながら、固定軸35から上方に向けて最も移動すると共に、移動軸36のピニオンギア48が連結片43のラック47に噛み合ってその上方(つまり固定軸35から離れる方向)に向けて転動して固定軸35の上方に移動する。
このときには、カバー部材40の一対の連結片43が、図45に示すように、一対の固定軸35を中心に反時計回りに90度回動してほぼ垂直に起立すると共に、カバー部材40のカバー部42も一対の固定軸35を中心に更に回転移動してほぼ垂直に起立する。これにより、図28および図45に示すように、カバー部42が第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された各端部6、7の各対向面に対面して密接し、各端部6、7の各対向面を覆って塞ぐ。
このように、この鍵盤装置においても、実施形態1と同様、ヒンジ部3を中心に第1、第2鍵盤ケース1、2を回動させて180度に開くと、第1、第2鍵盤ケース1、2にそれぞれ設けられた第1、第2鍵盤部4、5の全ての鍵4a、5aが第1、第2鍵盤ケース1、2に亘って等間隔で連続して配列されるので、通常の鍵盤装置と同じ鍵操作をして演奏することができる。また、ヒンジ部3を中心に第1、第2鍵盤ケース1、2を回動させて閉じると、図28および図29に示すように、第1、第2鍵盤ケース1、2が互いに重なると共に、第1、第2鍵盤部4、5も互いに対面して重なるので、コンパクトに持ち運ぶことができる。
このときには、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士に跨ってカバー部材40が連結されているので、ヒンジ部3を中心に第1、第2鍵盤ケース1、2が回動して互いに重なるときに、図43〜図45に示すように、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士の各対向面をカバー部材40によって覆って塞ぐことができる。このため、カバー部材40によって第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された各端部6、7から第1、第2鍵盤ケース1、2の内部が見えないように隠すことができると共に、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された各端部6、7からごみなどの異物が第1、第2鍵盤ケース1、2内に侵入するのを確実に防ぐことができる。
この場合、第1、第2鍵盤ケース1、2がヒンジ部3を中心に回動するときに、その回動動作に応じて連動機構41がカバー部材40を連動させるので、ヒンジ部3を中心に第1、第2鍵盤ケース1、2が回動して互いに重なるときに、連動機構41が第1、第2鍵盤ケース1、2の回動動作に応じて、カバー部材40のカバー部42を第1、第2鍵盤ケース1、2における端部6、7同士の各対向面に対面させる方向に向けて移動させることができ、これにより第1、第2鍵盤ケース1、2における端部6、7同士の各対向面をカバー部材40のカバー部42で自動的に覆うことができる。
また、第1、第2鍵盤ケース1、2がヒンジ部3を中心に回動して開くときに、連動機構41が第1、第2鍵盤ケース1、2の回動動作に応じて、カバー部材40のカバー部42を第1、第2鍵盤ケース1、2における端部6、7同士の各対向面から離れる方向に移動させることができ、これにより第1、第2鍵盤ケース1、2における端部6、7同士の各対向面からカバー部材40のカバー部42を自動的に離脱させることができる。このため、第1、第2鍵盤ケース1、2を180度に開いたときに、カバー部材40が邪魔にならず、第1、第2鍵盤部4、5の全ての鍵4a、5aを第1、第2鍵盤ケース1、2に亘って等間隔に連続して配列させることができる。これにより、使い勝手の良いものを提供することができる。
また、この鍵盤装置では、カバー部材40が、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士の各対向面に対応するカバー部42と、このカバー部42の前後部に設けられて第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7同士に跨って連結される連結片43とからなり、連動機構41が、第1鍵盤ケース1の端部6側とカバー部材40の連結片43とを回動可能に連結する固定軸35と、第2鍵盤ケース2の端部7側に回動可能に取り付けられて連結片43に設けられたガイド溝46内を移動する移動軸36と、この移動軸36に設けられたピニオンギア48と、ガイド溝46に沿って連結片43に設けられてピニオンギア48が噛み合いながら転動するラック47とを備えているので、カバー部材40を第1、第2鍵盤ケース1、2の開閉動作に応じて連動させることができると共に、第1、第2鍵盤ケース1、2の開閉動作およびそのときのカバー部材40の連動動作を安定させることができる。
すなわち、第1鍵盤ケース1の端部6側とカバー部材40の連結片43とが固定軸35によって回動可能に連結され、第2鍵盤ケース2の端部7側に回動可能に取り付けられた移動軸36が連結片43のガイド溝46内を移動すると共に、移動軸36のピニオンギア48が連結片43のラック47に噛み合って転動する構成であるから、カバー部材40の連結片43が第1鍵盤ケース1の端部6側に取り付けられた固定軸35を中心に回動するときに、第2鍵盤ケース2の端部7側に取り付けられた移動軸36が連結片43のガイド溝46内を移動しながら、ピニオンギア48が連結片43のラック47に噛み合って転動する。このため、移動軸36の移動時に移動軸36が滑りによる動作ズレを生じることがなく、第1、第2鍵盤ケース1、2の開閉動作に応じてカバー部材40の連結片43を確実に且つ円滑に連動させることができる。これにより、第1、第2鍵盤ケース1、2の開閉動作およびそのときのカバー部材40の連動動作を、より一層、安定させることができる。
この場合、カバー部材40の連結片43は、カバー部42の端部に一体に形成された連結本体部44と、この連結本体部44に着脱可能に取り付けられた連結蓋部45とを備え、連結本体部44に、固定軸35が挿入する軸取付孔37と、移動軸36が移動可能に挿入するガイド溝46と、移動軸のピニオンギア48が噛み合って転動するラック47とが設けられ、連結蓋部45が固定軸35と移動軸36との各外端部を覆って軸取付孔37とガイド溝46とを塞ぐ構成であるから、連結本体部44を薄く形成することができると共に、連結本体部44を薄く形成しても、連結本体部44の強度を確保することができ、これにより連結片43に固定軸35、移動軸36、ラック47、およびピニオンギア48をコンパクトに集約することができる。
また、このカバー部材40の連結片43は、連結蓋部45を連結本体部44から取り外すことにより、固定軸35、移動軸36、ピニオンギア48を連結本体部44を通して連結本体部44と第1、第2鍵盤ケース1、2とに容易に組み付けることができる。また、連結蓋部45を連結本体部44に取り付けると、連結蓋部45で固定軸35と移動軸36との各外端部を覆うので、固定軸35に取り付けられた軸受けブッシュ49および移動軸36に取り付けられたピニオンギア48が外部に抜け出して外れるのを防ぐことができると共に、連結蓋部45によって軸取付孔37とガイド溝46とを塞ぐことができるので、外観的にもデザイン的に好ましいものを得ることができる。
なお、上記実施形態2では、カバー部材40の一対の連結片43にそれぞれラック47を設け、且つ第2鍵盤ケース2の分割された端部7の前後面に設けられた一対の移動軸36にそれぞれピニオンギア48を設けた場合について述べたが、これに限らず、少なくとも第2鍵盤ケース2の分割された端部7の前面に設けられた移動軸36のみにピニオンギア48を設け、これに対応する連結片43のみにラック47を設けた構成でも良い。
また、上記実施形態1、2では、第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7における各内縁部にそれぞれ第1〜第4補強部材18、19、24、25を設けて第1、第2鍵盤ケース1、2の各端部6、7を補強した場合について述べたが、これに限らず、例えば第1、第2鍵盤ケース1、2の分割された端部6、7側における前面部6a、7aに、補助補強部材を更に追加して設けても良い。この補助補強部材は、カバー部材8、40の連結片31、43を跨いで設けられると共に、第1、第2鍵盤ケース1、2がヒンジ部3を中心に回動するときに、これに伴って折れ曲がり、且つ第1、第2鍵盤ケース1、2が180度に開いたときに、第1、第2鍵盤部4、5の鍵操作の邪魔にならないように、手前側にも折れ曲がるように構成されていることが望ましい。
さらに、上記実施形態1、2では、鍵の配列方向に対して2つの第1、第2鍵盤ケース1、2に分割した場合について述べたが、これに限らず、鍵の配列方向に対して3つ以上の鍵盤ケースに分割しても良い。この場合にも、3つ以上に分割された各端部同士にそれぞれカバー部材8、40および連動機構34、41を設ければ良い。