JP4956832B2 - 車両用走行制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の走行制御を行い、運転者の操作を補助する車両用走行制御装置に関する。
運転者の操作を補助する車両用走行制御装置として、ACCシステムによる追従走行中に、交通状況に応じた最適な追従車間距離を設定するようにしたものが知られている(特許文献1参照)。この装置は、先行車が存在しない場合は予め設定した車速で定速走行制御を行い、先行車が存在する場合は、予め設定した車間距離を保つように追従走行制御を行う。そして、前方の並走車の走行状況から道路の混雑状況を推定し、混雑している場合は目標車間距離を短くし、空いている場合は目標車間距離を長くする。
特開2002−120594号公報
しかしながら、上述した装置では、ドライバによって追従時の車間距離の嗜好性が異なる場合にかえって違和感やストレスといった不適合感をドライバに感じさせる可能性がある。このような不適合感がある場合、結局、ドライバ自身が設定車間距離を変更する必要がある。
本発明による車両用走行制御装置は、自車両と先行車との車間距離を略一定に保つように自車両の制駆動力制御を行う制駆動力制御手段と、ナビゲーションシステムを利用して、自車両が走行している走行路に関する情報を検出する走行状況検出手段と、ドライバの運転特性としての自車速を検出する運転特性検出手段と、走行状況検出手段によって検出された自車両が走行している走行路に関する情報に基づいて、自車両が単独走行しているときに、ドライバが自由に走行しやすい道路種別であることが検出されると、制駆動力制御手段による制駆動力制御が実行されていないときに、運転特性検出手段によって検出された自車速が所定値よりも大きい場合に、ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断し、自車速が所定値よりも小さい場合に、ドライバが長い車間設定を嗜好すると判断する嗜好性判断手段とを備える
本発明によれば、制駆動力制御を行う際にドライバがどのような車間設定を所望しているのかを把握することができる。
《第1の実施の形態》
本発明の第1の実施の形態による車両用走行制御装置について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態による車両用走行制御装置の構成を示すシステム図であり、図2は、車両用走行制御装置を搭載した車両の構成図である。
まず、車両用走行制御装置の構成を説明する。車両用走行制御装置は、ステアリングスイッチユニット1、嗜好性判断リセットスイッチ2、車間距離/相対速度センサ3、車速センサ4、加速度センサ5、ナビ情報インタフェース6、後方車間距離/相対速度センサ7、ステレオカメラ装置8、アクセルペダルセンサ9、ブレーキペダルセンサ10、制御装置20、エンジンコントローラ31、ブレーキコントローラ32、表示装置33、および音声装置34等を備えている。車両用走行制御装置は、先行車が存在しないときに予め設定した車速で定速走行を行い、先行車が存在するときに予め設定した車間距離を保って追従走行を行うACCシステム(Adaptive Cruise Control System)である。
ステアリングスイッチユニット1は、メインスイッチ11、セットスイッチ12、キャンセルスイッチ13、車間設定スイッチ14、設定車速アップスイッチ15、および設定車速ダウンスイッチ16を備える。これらのスイッチは、例えば図3に示すようにドライバが操作しやすいような押しボタンとしてステアリングホイール17に設置される。
メインスイッチ11は、ACCシステムの作動オン/オフを切り換えるためのスイッチである。なお、イグニッションスイッチ(不図示)がオンされると、ACCシステムは作動オフ状態となる。セットスイッチ12は、ACCシステムの制御をオフからオンに切り換えるためのスイッチである。キャンセルスイッチ13は、ACCシステムの制御をオンからオフに切り換えるためのスイッチである。
車間設定スイッチ14は、ACCシステムの作動がオンの場合に、先行車に追従して走行するための車間設定を「長、中、短、オート」の4種類のいずれかに切り換えるためのスイッチである。具体的には、図4に示すように車間設定スイッチ14が押し操作されるごとに、「長」→「中」→「短」→「オート」の順に切り替わる。「長」に切り換えられると先行車との車間時間THWを3秒とする車間設定が選択され、「中」に切り換えられると車間時間THWを2秒とする車間設定が選択され、「短」に切り換えられると車間時間THWを1.5秒とする車間設定が選択される。「オート」に切り換えられると、後述するドライバの車間設定に対する嗜好性判断に基づいて、車間設定が自動的に選択される。ここで、「車間設定」とは、ACCシステムによって先行車への追従制御を行う場合に設定される自車両と先行車との車間距離を意味するが、より詳細には、自車速や先行車速を考慮して適切な追従走行を行うための車間時間に対応する。
設定車速アップスイッチ15は、ACCシステムにおける設定車速を上昇させるためのスイッチである。設定車速アップスイッチ15の1回の操作毎に設定車速が5km/hずつ上昇する。設定車速ダウンスイッチ16は、ACCシステムにおける設定車速を低下させるためのスイッチである。設定車速ダウンスイッチ16の1回の操作毎に設定車速が5km/hずつ低下する。
嗜好性判断リセットスイッチ2は、車間設定に対するドライバの嗜好性を判断するための情報をリセットするためのスイッチである。嗜好性判断リセットスイッチ2は、例えばドライバが交代した場合に操作される。嗜好性判断リセットスイッチ2は、ステアリングスイッチユニット1と並んでステアリングホイール17に配置される。
車間距離/相対速度センサ3は、例えば車両の前方グリル部もしくはバンパ部等に取り付けられたレーザレーダから構成される。車間距離/相対速度センサ3は、自車両前方に存在する障害物、例えば先行車の有無と、先行車が存在する場合には自車両と先行車との車間距離を測定する。また、車間距離の微分量から自車両と先行車との相対速度を算出する。車速センサ4は、車輪速から自車両の車速を測定する。加速度センサ(Gセンサ)5は、自車両の前後/左右方向の加速度を測定する。
ナビ情報インタフェース(ナビ情報I/F)6は、自車両に搭載されたナビゲーションシステム(不図示)から、自車両が走行する現在の走行路の種別情報(例えば、都市高速道、地方高速道、国道、県道、市道、私道、あるいは不明であるかといった情報)、およびVICS渋滞情報(例えば、渋滞、混雑、渋滞なし、あるいは不明であるかといった情報)を取得する。
後方車間距離/相対速度センサ7は、例えば車両の後方領域を検知するレーザレーダから構成される。後方車間距離/相対速度センサ7は、自車両後方領域に存在する他車両、たとえば後続車の有無と、後続車が存在する場合には自車両と後続車との車間距離を測定する。また、車間距離の微分量から自車両と後続車との相対速度を算出する。ここで、後続車とは、自車両後方の自車線上を走行する車両を意味する。
ステレオカメラ装置8は、複数の異なる位置からおなじ対象物を同時に撮影するステレオカメラ(立体カメラ)により自車両の前方領域を撮影し、撮影画像に画像処理を施して駐車車両数、歩行者や自転車の数、コーナの見通し距離を検出する。
アクセルペダルセンサ9は、ドライバによってアクセルペダルが踏み込まれたか否かを検出し、踏み込まれている場合にはその踏み込み量(操作量)を測定する。なお、アクセルペダルが踏み込まれている場合は、ACCシステムの制御がオン状態であっても、ドライバによるペダル操作を優先する。ブレーキペダルセンサ10は、ドライバによるブレーキペダル操作を検出する。なお、ACCシステムの制御がオンの状態でブレーキペダルが踏み込まれると、ACCシステムは制御オフ状態に移行する。
制御装置20は、CPUと、ROMおよびRAM等のCPU周辺部品とから構成され、各センサやスイッチからの入力信号に基づいて車両用走行制御装置全体の制御を行う。具体的には、自車線上に先行車を検出しているときは、予め設定した車速(以下、設定車速という)を上限として自車両と先行車との車間距離を略一定に保って先行車に追従走行するように車間制御を行い、自車線上に先行車が検出されないときは、設定車速で定速走行するように車速制御を行う。
制御装置20は、車両制御用コンピュータ21と、嗜好性判断用コンピュータ22と、メモリ23と、HMI用コンピュータ24とを備えている。車両制御用コンピュータ21は、ACCシステムの制御がオンの場合に先行車の有無、先行車との車間距離および相対速度、設定車速、車間設定等に基づいて、車間制御または車速制御で用いる制駆動力の指令値を計算する。メモリ23は、車間距離/相対速度センサ3、車速センサ4、加速度センサ5、ナビ情報インタフェース6、後方車間距離/相対速度センサ7、ステレオカメラ装置8、アクセルペダルセンサ9、およびブレーキペダルセンサ10から入力される情報を記録して蓄積する。
嗜好性判断用コンピュータ22は、嗜好性判断リセットスイッチ2、車間距離/相対速度センサ3、車速センサ4、加速度センサ5、ナビ情報インタフェース6、後方車間距離/相対速度センサ7、ステレオカメラ装置8、アクセルペダルセンサ9、およびブレーキペダルセンサ10から入力される情報、およびメモリ23に蓄積された情報に基づいて、車間設定に対するドライバの嗜好を推定する。HMI用コンピュータ24は、ACCシステムの制御状態に基づいて表示および音声指令をそれぞれ表示装置33および音声装置34に出力する。
エンジンコントローラ31は、車両制御用コンピュータ21からの駆動力指令値に基づいてエンジン41を制御する。エンジンコントローラ31は、例えばスロットルアクチュエータを備え、スロットルバルブ(不図示)の開閉を制御することにより自車両の加減速を制御する。ブレーキコントローラ32は、車両制御用コンピュータ21からの制動力指令値に基づいてブレーキアクチュエータ42を制御する。ブレーキアクチュエータ42は、各車輪に設けられている油圧ブレーキの制動力を制御する。油圧ブレーキは、ブレーキコントローラ32およびブレーキアクチュエータ42による制御によって作動するとともに、ドライバがブレーキペダル(不図示)を操作することによって作動する。
表示装置33は、例えばメータクラスタ内に設けられた液晶モニタから構成され、HMI用コンピュータ24からの指令に応じて、ACCシステムの作動状態を表示する。図5に、表示装置33の表示モニタに表示可能な表示内容を示す。車間距離/相対速度センサ3によって先行車が検出されている場合、先行車捕捉表示(先行車マーク)35を表示する。なお、車間距離/相対速度センサ3によって検出される先行車との車間距離と、車速センサ4によって検出される自車速とから自車両と先行車との車間時間THWを算出し、車間時間THWが所定値(例えば1.2秒)を下回った場合には、先行車捕捉表示35を点滅表示する。例えば、0.5秒間隔で点滅するように制御する。
車間設定表示36は、ACCシステムにおける車間設定に対応して表示される。具体的には、車間設定表示36は3つの表示部を有し、車間設定が「長」の場合は3つ全ての表示部を点灯し、「中」の場合は2つの表示部を点灯し、「短」の場合は1つの表示部を点灯する。なお、「オート」が設定されている場合は、自動的に選択された車間設定に対応する個数の表示部が点灯される。また、「オート」が設定されている場合は、車間設定オート表示37を表示する。
ACCシステムが作動オン状態のときは、自車両を示すシンボルマーク(自車マーク表示)38を常時表示する。設定車速表示39は、ACCシステムの設定車速を表示する。なお、ACCシステムが作動オフ状態のときは、設定車速表示39は表示しない。このように、表示装置33はACCシステムの作動状態を表す種々の表示構成要素を表示モニタに表示させることが可能である。
音声装置34は、HMI用コンピュータ24からの指令に応じて、ACCシステムの作動状態を音(音声や警報音)で報知する。例えば、ACCシステムの制御オン状態と制御オフ状態の遷移時や、「オート」が設定された状態で車間設定が変更された場合には、「ピッ」という報知音を出力する。また、自車両と先行車との車間時間THWが所定値(例えば1.2秒)を下回った場合は、「ピピピ」という連続音による警報を出力する。
次に、第1の実施の形態による車両用走行制御装置の動作を説明する。ACCシステムの作動は、ステアリングスイッチユニット1の各スイッチ操作によりオン/オフが設定される。図6に、ACCシステムの作動状態の遷移図を示す。なお、ACCシステムの作動オン状態(状態101)は車速制御もしくは車間制御を実行可能な状態である。車速制御または車間制御を実際に実行するか否かは、自車速、およびステアリングスイッチユニット1の各スイッチの操作等によって決定される。ACCシステムの作動オフ状態(状態100)は車速制御および車間制御のいずれも実行不可能な状態である。イグニッションスイッチをオンした時点では、状態100に設定される。この場合、ACCシステムを搭載していないノーマル車と同じ状態となる。
状態100においてメインスイッチ11が押圧操作されると、ACCシステムが作動オン状態101へ遷移する(状態遷移106)。状態101においてメインスイッチ11が押圧操作されると、作動オフ状態100へ遷移する(状態遷移107)。
作動オン状態101におけるスタンバイ状態102は、ACCシステムの作動をスタンバイした状態で、車速制御も車間制御も行われない。スタンバイ状態102においてセットスイッチ12が押圧操作され、車間距離/相対速度センサ3で先行車が検出されていない状態で、自車速が40km/h以上の場合は、車速制御モード103へ遷移する(モード遷移108)。車速制御モード103においてキャンセルスイッチ13が押圧操作された場合、またはブレーキペダルセンサ10によってドライバによるブレーキ操作が検出された場合は、スタンバイ状態102へ遷移する(モード遷移109)。
車速制御モード103では、自車両が設定車速VCを維持して走行するように制駆動力制御を行う。ここでの処理を、図7のフローチャートを用いて説明する。図7は、制御装置20における走行制御プログラム、とくに車速制御モード103の車速制御プログラムの処理手順を示すフローチャートである。本処理内容は、一定間隔(例えば50msec)毎に連続的に行われる。
ステップS101では、自車両の車両状態を検出する。具体的には、車速センサ4で検出される自車速V1を読み込む。ステップS102では、車速制御モード103における設定車速VCを読み込む。設定車速VCは、スタンバイ状態102から車速制御モード103へ遷移したときの自車速V1が初期値として設定される。設定車速アップスイッチ15と設定車速ダウンスイッチ16を操作することにより、設定車速VCを5km/h刻みで変更することができる。
ステップS103では、ステップS101で検出した自車速V1とステップS102で読み込んだ設定車速VCとに基づいて、設定車速VCを維持して走行するための制駆動力制御指令値F_C(=f(V1,VC))を算出する。この値は、種々の手法により算出することが可能である。ステップS104では、ステップS103で算出した制駆動力制御指令値F_Cをエンジンコントローラ31およびブレーキコントローラ32にそれぞれ出力する。エンジンコントローラ31はエンジン41を制御することにより、またブレーキコントローラ32はブレーキアクチュエータ42を制御することにより、自車両が設定車速VCを維持して走行するように自車両の制駆動力を制御する。
ステップS105では、車速制御が実行中であることを表示するように表示装置33に信号を出力する。表示装置33は、図5に示す表示内容のうち、自車マーク表示38および設定車速VCに一致する設定車速表示39を表示モニタに表示する。これにより、車速制御モード103における今回の処理を終了する。
スタンバイ状態102においてセットスイッチ12が押圧操作され、車間距離/相対速度センサ3で先行車が検出されている状態で、自車速が40km/h以上の場合は、車間制御モード104へ遷移する(モード遷移110)。車間制御モード104においてキャンセルスイッチ13が押圧操作された場合、またはブレーキペダルセンサ10によってドライバによるブレーキ操作が検出された場合は、スタンバイ状態102へ遷移する(モード遷移111)。
車間制御モード104では、自車速が40km/h以上の場合に先行車と設定車間距離D_Dを保って走行するように制駆動力制御を行う。ここでの処理を、図8のフローチャートを用いて説明する。図8は、制御装置20における走行制御プログラム、とくに車間制御モード104の車間制御プログラムの処理手順を示すフローチャートである。本処理内容は、一定間隔(例えば50msec)毎に連続的に行われる。
ステップS111では、車間距離/相対速度センサ3および車速センサ4の検出信号に基づいて、自車速V1、先行車速V2および先行車との車間距離Dを読み込む。ステップS112では、車間制御モード104における設定車間距離D_Dを読み込む。設定車間距離D_Dは、車間設定スイッチ14の操作に応じて設定される車間設定がL(長)の場合は、車間時間THW=3秒に相当する車間距離、車間設定がM(中)の場合は、車間時間THW=2秒に相当する車間距離、および車間設定がS(短)の場合は、車間時間THW=1.5秒に相当する車間距離が設定される。
ステップS113では、ステップS111で検出した自車速V1、先行車速V2および車間距離DとステップS112で読み込んだ設定車間距離D_Dに基づいて、設定車間距離D_Dを保って先行車に追従走行するための制駆動力制御指令値F_D(=f(D,D_D,V1,V2))を算出する。この値は、種々の手法により算出することが可能である。ステップS114では、ステップS113で算出した制駆動力制御指令値F_Dをエンジンコントローラ31およびブレーキコントローラ32にそれぞれ出力する。これにより自車両が設定車間距離D_Dを保って先行車に追従走行するように自車両の制駆動力を制御する。
ステップS115では、車間制御が実行中であることを表示するように表示装置33に信号を出力する。表示装置33は、図5に示す表示内容のうち、先行車捕捉表示35、車間設定に一致する車間設定表示36、自車マーク表示38および設定車速表示39を表示モニタに表示する。なお、設定車速表示39は消灯してもよい。これにより、車間制御モード104における今回の処理を終了する。
車速制御モード103において車間距離/相対速度センサ3が先行車を検出すると、車間制御モード104へ遷移する(モード遷移112)。車間制御モード104において車間距離/相対速度センサ3が先行車を検出しなくなると、車速制御モード103へ遷移する(モード遷移113)。
車速制御モード103においてアクセルペダル操作量Sが所定値S0以上となると、オーバーライド状態105に遷移する(モード遷移114)。オーバーライド状態105においてアクセルペダル操作量Sが所定値S0未満となり、車間距離/相対速度センサ3によって先行車が検出されていない状態で、自車速が40km/h以上の場合は、車速制御モード103に遷移する(モード遷移115)。所定値S0は、例えばアクセルペダルの最大踏み込み量の10%程度の値として設定する。
車間制御モード104においてアクセルペダル操作量Sが所定値S0以上となると、オーバーライド状態105に遷移する(モード遷移116)。オーバーライド状態105においては、ACCシステムによる制御に対して運転者による運転操作を優先し、ACCシステムによる車速制御も車間制御も行わない。オーバーライド状態105においてアクセルペダル操作量Sが所定値S0未満となり、車間距離/相対速度センサ3によって先行車が検出され、かつ自車速が40km/h以上の場合は、車間制御モード104に遷移する(モード遷移117)。
オーバーライド状態105においてアクセルペダル操作量Sが所定値S0未満となり、車間距離/相対速度センサ3によって先行車が検出されていない状態で、自車速が所定値40km/h未満の場合、キャンセルスイッチ13が押圧操作された場合、またはブレーキペダルセンサ10によりブレーキ操作が検出された場合は、スタンバイ状態102へ遷移する(モード遷移118)。
また、ACCシステムの作動オフ状態100、およびACCシステムの作動オン状態101で車間制御も車間制御を行われないスタンバイ状態102において、車間設定に対するドライバの嗜好性の判断を行う。
第1の実施の形態による車両用走行制御装置の動作の流れを、図9のフローチャートに示す。図9に示す処理は、所定周期ごとに連続的に行われる。まず、ステップS10で、ACCシステムの作動オン状態101であるか否かを判定する。作動オン状態である場合は、ステップS20へ進み、スタンバイ状態102であるか否かを判定する。スタンバイ状態102でない場合はステップS30へ進み、ACCシステムの制御モードを判定する。
車速制御モードが設定されている場合は、ステップS40へ進み、図7のフローチャートを用いて説明した車速制御モードを実行する。一方、車間制御モードが設定されている場合は、ステップS50へ進み、図8のフローチャートを用いて説明した車間制御モードを実行する。オーバーライド状態105の場合は、ステップS40の車速制御およびステップS50の車間制御のいずれも行わない。
ステップS10でACCシステムの作動オフ状態100と判定された場合、またはステップS20でACCシステムのスタンバイ状態102と判定された場合は、ステップS60へ進む。ステップS60では、ACCシステムの車間設定に対するドライバの嗜好性判断処理を行う。ここでの処理を、図10のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS601で、車間距離/相対速度センサ3からの検出信号に基づいて自車両前方を走行する先行車の有無を検出する。ステップS602で先行車なしと判断され、自車両が単独走行をしている場合は、ステップS603へ進む。ステップS603では、ナビ情報I/F6から自車両が走行する現在の走行路の種別情報を取得する。ステップS604で、現在の走行路が県道、市道、私道、および山道のいずれかであるか、すなわち、ドライバが自由走行しやすい道路種別であるか否かを判定する。ここで、自由走行とは、ドライバが自分の好みにあわせて車速を自由に設定して走行することを意味する。そこで、交通流が比較的少なく、走行の障害となる障害物の少ない道路が自由走行のしやすい道路であるといえる。
ステップS604が肯定判定され、現在の走行路が県道、市道、私道、および山道のいずれかである場合は、ステップS605へ進み、車速センサ4で検出される自車速V1を読み込む。ステップS606では、ステップS605で読み込んだ現在の自車速V1をメモリ23に記録する。つづくステップS607では、メモリ23に記録された自車速の情報から、現在から過去の所定期間、例えば10分間の自車速V1の平均値V_Aを算出する。ステップS608では、ナビ情報I/F6から自車両が走行する現在の走行路の法定速度V_Lの情報を取得する。
ステップS609では、ステップS607で算出した自車速平均値V_Aと、法定速度V_Lから第1の所定値(例えば10km/h)を減算した値(V_L−10)とを比較する。V_A>V_L−10の場合は、ステップS610へ進み、車間設定を「短」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。V_A≦V_L−10の場合はステップS611へ進み、自車速平均値V_Aと、法定速度V_Lから第1の所定値よりも大きい第2の所定値(例えば20km/h)を減算した値(V_L−20)とを比較する。V_A<V_L−20の場合は、ステップS612へ進み、車間設定を「長」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。V_A≧V_L−20の場合、または、ステップS602が否定判定された場合、またはステップS604が否定判定された場合は、ステップS613へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。これにより、今回の処理を終了する。
以上説明したドラバの車間設定の嗜好性判断を、図11を用いてまとめる。図11は、ドライバが自由走行している場合の自車速V1に対して推定されるドライバの車間設定の嗜好性を表す。図11に示すように、自車速V1が(V_L−20)以下の場合は、車間設定の嗜好性が「長」である確率Pが1であり、車間設定の嗜好性が「短」である確率Pが0である。自車速V1が(V_L−20)を超えて増加するに従って、「長」である確率が徐々に低下するとともに、「短」である確率が徐々に増加する。そして、車速V1が(V_L−10)を超えると、車間設定の嗜好性が「長」である確率P=0となり、車間設定の嗜好性が「短」である確率P=1となる。
ドライバの車間設定に対する嗜好性の判断結果は、車間設定スイッチ4の押圧操作によって「オート」が設定された場合に利用する。具体的には、「長」の嗜好性が高いと判断された場合は、自動的に車間設定を「長」に設定し、「短」の嗜好性が高いと判断された場合は、自動的に車間設定を「短」に設定する。また、嗜好性が不明であると判断された場合は、自動的に車間設定を「中」に設定する。
なお、イグニッションスイッチがオンされた後、ACCシステムの作動オフ状態100から作動オン状態101へ遷移する際、「長」を車間設定のデフォルトとする。車間設定スイッチ14が操作された場合は、その操作信号および嗜好性判断結果に従って車間設定が設定される。
なお、嗜好性判断リセットスイッチ2が押圧操作されると、車間設定の嗜好性を判断するために収集した情報をリセットする。嗜好性判断リセットスイッチ2は、例えばドライバが交代した場合等に利用する。嗜好性判断のための情報を収集する期間は、例えば嗜好性判断リセットスイッチ2が押圧操作されてから所定期間、または、イグニッションスイッチが操作されてから所定期間とし、一旦、嗜好性を判断した後は、再び嗜好性判断リセットスイッチ2またはイグニッションスイッチが操作されるまで判断結果を維持する。なお、嗜好性判断のための情報を継続して収集し、嗜好性の判断結果を随時更新することもできる。
このように、上述した第1の実施の形態においては、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)車両用走行制御装置は、自車両と先行車との車間距離を略一定に保つように自車両の制駆動力制御(車間制御)を行うACCシステムにおいて、車間制御が実行されていないときに取得された情報に基づいて車間制御実行中の車間設定に対するドライバの嗜好性を判断する。これにより、車間制御を行う際にドライバがどのような車間設定を所望しているのかを把握することができる。
(2)嗜好性判断処理においては、車間制御が実行されていないときに検出された自車両の走行状況およびドライバの運転特性に基づいて、ドライバの嗜好性を判断する。これにより、ドライバの車間設定に対する嗜好性を的確に推定することができる。
(3)走行状況として、自車両が走行している走行路に関する情報を検出するので、ドライバの車間設定に対する嗜好性を的確に推定できる。
(4)ナビゲーションシステムを利用して走行路に関する情報を検出するので、走行路に関する正確な情報をリアルタイムで取得することができる。
(5)運転特性として、自車両の車速情報を検出するので、ドライバの車間設定に対する嗜好性を的確に推定することができる。
(6)自車両が単独走行しているときに、走行路が県道、市道、私道、および山道のいずれかであることが検出されると、運転特性として検出される自車速V1が所定値(V_L-10またはV_L-20)よりも大きい場合に、ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断し、自車速V1が所定値よりも小さい場合に長い車間設定を嗜好すると判断する。このように、ドライバの個性がでやすい、自由走行しやすい道路を単独で走行しているときに、運転特性を特徴付けるパラメータである自車速V1を計測することで、ドライバの車間設定に対する嗜好を的確に推定できる。
(7)嗜好性判断用コンピュータ22で実行された嗜好性判断の結果に基づいて、車間制御を実行する際の車間設定を自動で選択するようにしたので、車間制御を実行するたびにドライバ自身が車間設定を選択する必要がなく、ドライバの負担を軽減することができる。
(8)具体的には、ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断されると、車間制御を実行する際に短い車間設定を自動で選択し、長い車間設定を嗜好すると判断されると長い車間設定を自動で選択する。これにより、ドライバの嗜好にあった車間設定を自動で選択し、車間制御実行中のドライバの違和感を軽減することができる。
(9)また、車間制御を開始する際のデフォルトの車間設定を自動で選択するようにしたので、利便性を高めることができる。
(10)具体的には、ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断されると、デフォルトとして短い車間設定を自動で選択し、長い車間設定を嗜好すると判断されるとデフォルトとして長い車間設定を自動で選択する。これにより、ドライバの嗜好にあった車間設定を自動でデフォルトとして選択し、利便性を高めることができる。
(11)表示装置によって車間設定が自動で選択されていることを報知する表示機能を有することにより、嗜好性にあわせて車間設定が自動で選択されている場合でも、現在の車間設定をドライバに認識させることができる。
《第2の実施の形態》
第2の実施の形態における車両用走行制御装置においては、ドライバの車間設定に対する嗜好性を、自車両に作用する横加速度に基づいて判断する。以降では、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
第2の実施の形態におけるドライバの嗜好性判断を、図12のフローチャートを用いて説明する。ステップS621〜S624での処理は、図10のフローチャートのステップS601〜S604と同様である。
ステップS625では、現在の走行路が県道、市道、私道、および山道のいずれかである場合に、Gセンサ5で検出される自車両に作用する横加速度G_Yを読み込む。ステップS626では、ステップS625で読み込んだ現在の横加速度G_Yをメモリ23に記録する。つづくステップS627では、メモリ23に記録された横加速度の情報から、現在から過去の所定期間、例えば10分間の横加速度G_Yの平均値G_Y_Aを算出する。ステップS628では、予め設定した横G判定値G_Cをメモリ23から読み込む。横G判定値G_Cは、ドライバの車間設定の嗜好性を判断するために適切に設定されたしきい値であり、例えばG_C=0.1Gとする。
ステップS629では、ステップS627で算出した横G平均値G_Y_Aと、横G判定値G_Cとを比較する。G_Y_A>G_Cの場合は、ステップS630へ進み、車間設定を「短」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。G_Y_A≦G_Cの場合はステップS631へ進み、横G平均値G_Y_Aと、横G判定値G_Cの50%の値(0.5・G_C、例えば0.05G)とを比較する。G_Y_A<0.5・G_Cの場合は、ステップS632へ進み、車間設定を「長」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。G_Y_A≧0.5・G_Cの場合、または、ステップS622が否定判定された場合、またはステップS624が否定判定された場合は、ステップS633へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。これにより、今回の処理を終了する。
このように、第2の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態による効果に加えて、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)運転特性として自車両に作用する横加速度情報を検出することにより、ドライバの車間設定に対する嗜好性を的確に推定することができる。
(2)自車両が単独走行しているときに、走行路が県道、市道、私道、および山道のいずれかであることが検出されると、自車両に作用する横加速度G_Yが所定値(G_C)よりも大きい場合に、ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断し、横加速度G_Yが所定値(G_Cもしくは0.5*G_C)よりも小さい場合に、ドライバが長い車間設定を嗜好すると判断する。これにより、ドライバの個性がでやすい、自由走行しやすい道路を単独で走行しているときに、運転特性を特徴付けるパラメータである横加速度G_Yを計測することで、車間設定に対する嗜好性を的確に推定できる。
《第3の実施の形態》
第3の実施の形態における車両用走行制御装置においては、ドライバの車間設定に対する嗜好性を、コーナ走行時の見通し時間に基づいて判断する。以降では、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。ここで、見通し時間とは、自車両がコーナを走行するときに、コーナの先をどの程度、見通せるかを表し、自車速V1に依存する時間として表される。
第3の実施の形態におけるドライバの嗜好性判断を、図13のフローチャートを用いて説明する。ステップS641〜S644での処理は、図10のフローチャートのステップS601〜S604と同様である。
ステップS645では、現在の走行路が県道、市道、私道、および山道のいずれかであり、かつ、自車両が100R以上のコーナを走行中に、車速センサ4で検出される自車速V1、およびコーナの見通し距離L_Lを測定する。見通し距離L_Lは、自車両の現在位置からコーナの先が見通せなくなる地点までの距離であり、ステレオカメラ装置8から得られる自車両前方の画像情報から算出することができる。
ステップS646では、ステップS645で取得した自車速V1と見通し距離L_Lを用いて、自車両が走行中のコーナの見通し時間T_Lを算出する。見通し時間T_Lは、現在位置からコーナの先が見通せなくなる地点に到達するまでの時間であり、以下の(式1)から算出する。
T_L=L_L/V1 ・・・(式1)
ステップS647では、ステップS646で算出した見通し時間T_Lをメモリ23に記録する。
つづくステップS648では、メモリ23に記録された見通し時間T_Lの情報から、100R以上のコーナを走行する際の見通し時間の平均値T_L_Aを算出する。このとき、現在から直近の過去の所定回数分、例えば直近の過去5回分の見通し時間T_Lを用いて平均値T_L_Aを算出する。ステップS649では、予め設定した見通し時間判定値T_L_Cをメモリ23から読み込む。見通し時間判定値T_L_Cは、ドライバの車間設定の嗜好性を判断するために適切に設定されたしきい値であり、例えばT_L_C=4secとする。
ステップS650では、ステップS648で算出した見通し時間平均値T_L_Aと、見通し時間判定値T_L_Cとを比較する。T_L_A<T_L_Cの場合は、ステップS651へ進み、車間設定を「短」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。T_L_A≧T_L_Cの場合はステップS652へ進み、見通し時間平均値T_L_Cと、見通し時間判定値T_L_Cの2倍の値(2・T_L_C、例えば8sec)とを比較する。T_L_A>2・T_L_Cの場合は、ステップS653へ進み、車間設定を「長」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。T_L_A≦2・T_L_Cの場合、または、ステップS642が否定判定された場合、またはステップS644が否定判定された場合は、ステップS654へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。これにより、今回の処理を終了する。
このように、第3の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態による効果に加えて、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)カメラ、例えばステレオカメラ装置8によって撮影される画像情報を用いて走行路に関する情報を検出するので、走行路に関する種々の情報を取得することができる。
(2)運転特性としてコーナ走行中にコーナの先をどの程度見通せているかを表す見通し時間情報を検出することにより、ドライバの車間設定に対する嗜好性を的確に推定することができる。
(3)自車両が単独走行しているときに、走行路が県道、市道、私道、および山道のいずれかであることが検出されると、見通し時間T_Lが所定値(T_L_C)よりも小さい場合に、ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断し、所定値(T_L_C)よりも大きい場合に、ドライバが長い車間設定を嗜好すると判断する。これにより、ドライバの個性がでやすい、自由走行しやすい道路を単独で走行しているときに、運転特性を特徴付けるパラメータである見通し時間T_Lを計測することで、車間設定に対する嗜好性を的確に推定できる。
《第4の実施の形態》
第4の実施の形態における車両用走行制御装置においては、ドライバの車間設定に対する嗜好性を、混雑路における自車速V1に基づいて判断する。以降では、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
第4の実施の形態におけるドライバの嗜好性判断を、図14のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS661で、車間距離/相対速度センサ3からの検出信号に基づいて自車両前方を走行する先行車の有無を検出する。ステップS662で先行車なしと判断され、自車両が単独走行をしている場合は、ステップS663へ進む。ステップS663では、ステレオカメラ装置8で取得される自車両前方の画像情報から、自車両が走行する現在の走行路に存在する駐車車両の数N_P、および自転車・歩行者の数N_Wを検出する。
ステップS664では、車速センサ4で検出される自車速V1を読み込み、ステップS665では、ステップS664で読み込んだ現在の自車速V1をメモリ23に記録する。つづくステップS666では、メモリ23に記録された自車速の情報から、現在から過去の所定期間、例えば10分間の自車速V1の平均値V_Aを算出する。ステップS667では、自車両が走行する道路が、駐車車両や、歩行者・自転車等の障害物が多く混雑した混雑路である場合のドライバの嗜好性を判定するための混雑路判定速度V_Cをメモリ23から読み込む。混雑路判定速度V_Cは、混雑路におけるドライバの車間設定に対する嗜好性を判断するためのしきい値であり、たとえばV_C=20km/hとする。
ステップS668では、ステップS663で検出した駐車車両数N_Pと、自転車・歩行者数N_Wがそれぞれ、N_P=0かつN_W=0であるか否かを判定する。ステップS668が否定判定されるとステップS669へ進み、N_P>3、もしくはN_W>5であるか否かを判定する。ステップS669が肯定判定されるとステップS670へ進み、ステップS666で算出した自車速平均値V_Aを混雑路判定速度V_Cと比較する。V_A>V_Cの場合は、駐車車両や歩行者・自転車の数が多い混雑路において、混雑路判定速度V_Cを超える速度で走行する傾向があるため、ステップS671へ進み、車間設定を「短」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。一方、ステップS669またはステップS670が否定判定されると、ステップS672へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。
ステップS668が肯定判定され、駐車車両も歩行者・自転車も存在しない場合は、ステップS673へ進み、自車速平均値V_Aと混雑路判定速度V_Cとを比較する。V_A<V_Cの場合は、混雑していない道路なのに混雑路判定速度V_Cよりも遅い速度で走行する傾向があるため、ステップS674へ進み、車間設定を「長」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。V_A≧V_Cの場合、または、ステップS662が否定判定された場合は、ステップS675へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。これにより、今回の処理を終了する。
このように、第4の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態による効果に加えて、以下のような作用効果を奏することができる。
自車両が単独走行しているときに、(a)走行路が障害物の多い混雑路であることが検出されると、自車速V1が所定値(V_C)よりも大きい場合に、ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断し、(b)走行路が障害物のない道路であることが検出されると、自車速V1が所定値(V_C)よりも小さい場合に、ドライバが長い車間設定を嗜好すると判断する。これにより、車速を低くして走行する傾向にある駐車車両や歩行者・自転車等の多い混雑路を自車両が単独で走行しているときに、運転特性を特徴付けるパラメータである自車速V1がどのようになるかを計測することで、車間設定に対する嗜好性を的確に推定できる。
《第5の実施の形態》
第5の実施の形態における車両用走行制御装置においては、ドライバの車間設定に対する嗜好性を、混雑路において自車両に作用する横Gに基づいて判断する。以降では、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
第5の実施の形態におけるドライバの嗜好性判断を、図15のフローチャートを用いて説明する。ステップS681〜S683での処理は、図14に示したフローチャートのステップS661〜S663での処理と同様である。
ステップS684では、Gセンサ5で検出される自車両に作用する横加速度G_Yを読み込み、ステップS685では、ステップS684で読み込んだ現在の横加速度G_Yをメモリ23に記録する。つづくステップS686では、メモリ23に記録された横加速度の情報から、現在から過去の所定期間、例えば10分間の横加速度G_Yの平均値G_Y_Aを算出する。ステップS687では、自車両が走行する道路が、駐車車両や、歩行者・自転車等の障害物が多く混雑した混雑路である場合のドライバの嗜好性を判定するための横G判定値G_Y_Cをメモリ23から読み込む。横G判定値G_Y_Cは、混雑路におけるドライバの車間設定に対する嗜好性を判断するためのしきい値であり、たとえばG_Y_C=0.1Gとする。
ステップS688では、ステップS683で検出した駐車車両数N_P=0、かつ、自転車・歩行者数N_W=0であるか否かを判定する。ステップS688が否定判定されるとステップS689へ進み、N_P>3、もしくはN_W>5であるか否かを判定する。ステップS689が肯定判定されるとステップS690へ進み、ステップS686で算出した横G平均値G_Y_Aを横G判定値G_Y_Cと比較する。G_Y_A>G_Y_Cの場合は、駐車車両や歩行者・自転車の数が多い混雑路において、横加速度G_Yが横G判定値G_Y_Cを超えるような運転をする傾向があるため、ステップS691へ進み、車間設定を「短」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。一方、ステップS689またはステップS690が否定判定されると、ステップS692へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。
ステップS688が肯定判定され、駐車車両も歩行者・自転車も存在しない場合は、ステップS693へ進み、横G平均値G_Y_Aと、横G判定値G_Y_Cの50%の値(例えば0.05G)とを比較する。G_Y_A<0.5・G_Y_Cの場合は、混雑していない道路なのに横加速度G_Yが横G判定値G_Y_Cの半分よりも小さくなるような運転をする傾向があるため、ステップS694へ進み、車間設定を「長」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。G_Y_A≧0.5・G_Y_Cの場合、または、ステップS682が否定判定された場合は、ステップS695へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。これにより、今回の処理を終了する。
このように、第5の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態による効果に加えて、以下のような作用効果を奏することができる。
自車両が単独走行しているときに、(a)走行路が障害物の多い混雑路であることが検出されると、自車両に作用する横加速度G_Yが所定値(G_Y_C)よりも大きい場合に、ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断し、(b)走行路が障害物のない道路であることが検出されると、横加速度G_Yが所定値(G_Y_C)よりも小さい場合に、ドライバが長い車間設定を嗜好すると判断する。これにより、車速を低くして走行する傾向にある駐車車両や歩行者・自転車等の多い混雑路を自車両が単独で走行しているときに、運転特性を特徴付けるパラメータである横加速度G_Yがどのようになるかを計測することで、車間設定に対する嗜好性を的確に推定できる。
《第6の実施の形態》
第6の実施の形態における車両用走行制御装置においては、ドライバの車間設定に対する嗜好性を、混雑路のコーナ見通し時間に基づいて判断する。以降では、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
第6の実施の形態におけるドライバの嗜好性判断を、図16のフローチャートを用いて説明する。ステップS701〜S703での処理は、図14に示したフローチャートのステップS661〜S663での処理と同様である。
ステップS704では、自車両が100R以上のコーナを走行中に、車速センサ4で検出される自車速V1、およびコーナの見通し距離L_Lを測定する。ステップS705では、ステップS704で取得した自車速V1と見通し距離L_Lを用いて、上述した(式1)から自車両が走行中のコーナの見通し時間T_Lを算出する。ステップS706では、ステップS705で算出した見通し時間T_Lをメモリ23に記録する。
つづくステップS707では、メモリ23に記録された見通し時間T_Lの情報から、100R以上のコーナを走行する際の見通し時間の平均値T_L_Aを算出する。このとき、現在から直近の過去の所定回数分、例えば直近の過去5回分の見通し時間T_Lを用いて平均値T_L_Aを算出する。ステップS708では、予め設定した見通し時間判定値T_L_Cをメモリ23から読み込む。見通し時間判定値T_L_Cは、ドライバの車間設定の嗜好性を判断するために適切に設定されたしきい値であり、例えばT_L_C=4secとする。
ステップS709では、ステップS703で検出した駐車車両数N_P=0、かつ、自転車・歩行者数N_W=0であるか否かを判定する。ステップS709が否定判定されるとステップS710へ進み、N_P>3、もしくはN_W>5であるか否かを判定する。ステップS710が肯定判定されるとステップS711へ進み、ステップS707で算出した見通し時間平均値T_L_Aを見通し時間判定値T_L_Cと比較する。T_L_A<T_L_Cの場合は、駐車車両や歩行者・自転車等の障害物の数が多い混雑したコーナ路において、見通し時間T_Lが見通し時間判定値T_L_Cを下回るような運転をする傾向があるため、ステップS712へ進み、車間設定を「短」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。一方、ステップS710またはステップS711が否定判定されると、ステップS713へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。
ステップS709が肯定判定され、駐車車両も歩行者・自転車も存在しない場合は、ステップS714へ進み、見通し時間平均値T_L_Aと、見通し時間判定値T_L_Cの2倍の値(例えば8sec)とを比較する。T_L_A>2・T_L_Cの場合は、混雑したコーナではないのに見通し時間T_Lが見通し時間判定値T_L_Cの2倍よりも長くなるような運転をする傾向があるため、ステップS715へ進み、車間設定を「長」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。T_L_A≦2・T_L_Cの場合、または、ステップS702が否定判定された場合は、ステップS716へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。これにより、今回の処理を終了する。
このように、第6の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態による効果に加えて、以下のような作用効果を奏することができる。
自車両が単独走行しているときに、(a)走行路が障害物の多い混雑路であることが検出されると、コーナの見通し時間T_Lが所定値(T_L_C)よりも小さい場合に、ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断し、(b)走行路が障害物のない道路であることが検出されると、見通し時間T_Lが所定値(T_L_C)よりも大きい場合に、ドライバが長い車間設定を嗜好すると判断する。これにより、車速を低くして走行する傾向にある駐車車両や歩行者・自転車等の多いカーブした混雑路を自車両が単独で走行しているときに、運転特性を特徴付けるパラメータであるコーナ見通し時間T_Lがどのようになるかを計測することで、車間設定に対する嗜好性を的確に推定できる。
《第7の実施の形態》
第7の実施の形態における車両用走行制御装置においては、ドライバの車間設定に対する嗜好性を、自車両が走行する道路の種別と渋滞状況および先行車との車間時間に基づいて判断する。以降では、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
第7の実施の形態におけるドライバの嗜好性判断を、図17のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS721で、車間距離/相対速度センサ3からの検出信号に基づいて自車両前方を走行する先行車の有無を検出する。ステップS722で先行車ありと判断され、自車両が先行車に追従して走行している場合は、ステップS723へ進む。
ステップS723では、車間距離/相対速度センサ3によって検出される自車両と先行車との車間距離Dと、車速センサ4によって検出される自車速V1とを用いて、先行車に対する車間時間を算出する。車間時間(Time-Headway)THW_1は、自車両が現在の自車速V1で走行した場合に先行車の現在位置に到達するまでの時間を表し、以下の(式2)から算出できる。
THW_1=D/V1 ・・・(式2)
ステップS724では、ステップS723で算出した先行車に対する車間時間THW_1をメモリ23に記録する。
つづくステップS725では、メモリ23に記録された車間時間の情報から、現在から過去の所定期間、例えば10分間の車間時間THW_1の平均値THW_1_Aを算出する。ステップS726では、先行車に対する車間時間THW_1を用いてドライバの嗜好性を判定するための追従車間判定値THW_1_Cをメモリ23から読み込む。追従車間判定値THW_1_Cは、先行車に追従して走行する場合のドライバの車間設定に対する嗜好性を判断するためのしきい値であり、たとえばTHW_1_C=2secとする。ステップS727では、ナビ情報I/F6から、自車両が走行する走行路の種別に関する情報および渋滞状況に関する情報を取得する。
ステップS728では、ステップS725で算出した車間時間平均値THW_1_Aと、追従車間判定値THW_1_Cとを比較する。THW_1_A<THW_1_Cの場合はステップS729へ進み、ステップS727で取得した走行路種別情報および渋滞情報から、自車両が走行する走行路が地方高速道であるか否か、もしくは渋滞のない道路であるか否かを判定する。ステップS729が肯定判定されるとステップS730へ進み、先行車に追従して走行する場合に一般的に車間距離をつめないで走行する道路、すなわち地方高速道もしくは渋滞のない道路において、先行車に対する車間時間THW_1が追従車間判定値THW_1_Cよりも小さい状態で走行する傾向があるため、ステップS730へ進み、車間設定を「短」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。一方、ステップS729が否定判定されると、ステップS731へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。
ステップS728が否定判定され、THW_1_A≧THW_1_Cの場合は、ステップS732へ進み、自車両が走行する走行路が首都高速道もしくは渋滞した道路であるか否かを判定する。ステップS732が肯定判定されるとステップS733へ進み、先行車に追従して走行する場合に一般的に車間距離をつめて走行する道路、すなわち首都高速道もしくは渋滞した道路において、先行車に対する車間時間THW_1が追従車間判定値THW_1_C以上で走行する傾向があるため、ステップS733へ進み、車間設定を「長」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。ステップS732またはステップS722が否定判定された場合は、ステップS734へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。これにより、今回の処理を終了する。
このように、第7の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態による効果に加えて、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)運転特性として先行車との接近情報を検出するので、ドライバの車間設定に対する嗜好性を的確に推定できる。接近情報は、自車両と先行車とがどの程度接近しているかを表す情報であり、例えば、自車両と先行車との車間時間THW_1を含む。また、車間距離を接近情報とすることもできる。
(2)自車両が先行車に追従走行しているときに、(a)走行路が地方高速道もしくは渋滞していない道路であることが検出されると、自車両と先行車との接近度合が所定値よりも大きい場合に、ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断し、(b)走行路が都市高速道路もしくは渋滞した道路であることが検出されると、接近度合が所定値よりも小さい場合に、ドライバが長い車間設定を嗜好すると判断する。ここで、自車両と先行車との接近度合は、自車両と先行車とがどの程度接近しているかを表すものであり、例えば自車両と先行車との車間時間THW_1の逆数を用いることができる。すなわち、車間時間THW_1の逆数が大きくなればなるほど、自車両と先行車とが接近している度合は大きくなる。この場合、追従車間判定値THW_1_Cに基づいて適切な所定値を設定する。これにより、車速を比較的高くして走行する傾向にある地方高速道や渋滞していない道路を自車両が先行車に追従して走行しているときに、運転特性を特徴付けるパラメータである先行車に対する接近度合がどのようになるかを計測することで、車間設定に対する嗜好性を的確に推定できる。
《第8の実施の形態》
第8の実施の形態における車両用走行制御装置においては、ドライバの車間設定に対する嗜好性を、自車両が走行する道路の種別と渋滞状況およびアクセルペダルを解放したときの先行車との車間時間に基づいて判断する。以降では、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
第8の実施の形態におけるドライバの嗜好性判断を、図18のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS741で、車間距離/相対速度センサ3からの検出信号に基づいて自車両前方を走行する先行車の有無を検出する。ステップS742で先行車ありと判断され、自車両が先行車に追従して走行している場合は、ステップS743へ進む。
ステップS743では、先行車の減速に伴いドライバがアクセルペダルを解放したときの先行車に対する車間時間THW_Aを算出する。具体的には、アクセルペダルセンサ9によってアクセルペダルが解放されたことが検出されると、その時点で車間距離/相対速度センサ3によって検出される自車両と先行車との車間距離D、および車速センサ4によって検出される自車速V1を用いて、上述した(式2)から先行車に対する車間時間THW_Aを算出する。ステップS744では、ステップS743で算出したアクセルペダル解放時の先行車に対する車間時間THW_Aをメモリ23に記録する。
つづくステップS745では、メモリ23に記録された車間時間の情報から、現在から過去の所定回数、例えば10回分の車間時間THW_Aの平均値THW_A_Aを算出する。ステップS746では、アクセルペダル解放時の先行車に対する車間時間THW_Aを用いてドライバの嗜好性を判定するためのペダルオフ判定値THW_A_Cをメモリ23から読み込む。ペダルオフ判定値THW_A_Cは、先行車の減速に伴ってアクセルペダルを解放するタイミングに基づいてドライバの車間設定に対する嗜好性を判断するためのしきい値であり、たとえばTHW_A_C=2.2secとする。ステップS747では、ナビ情報I/F6から、自車両が走行する走行路の種別に関する情報および渋滞状況に関する情報を取得する。
ステップS748では、ステップS745で算出した車間時間平均値THW_A_Aと、ペダルオフ判定値THW_A_Cとを比較する。THW_A_A<THW_A_Cの場合はステップS749へ進み、ステップS747で取得した走行路種別情報および渋滞情報から、自車両が走行する走行路が地方高速道であるか否か、もしくは渋滞のない道路であるか否かを判定する。ステップS749が肯定判定されると、先行車に追従して走行する場合に一般的に車間距離をつめないで走行する道路、すなわち地方高速道もしくは渋滞のない道路において、アクセルペダル解放時の先行車に対する車間時間THW_Aがペダルオフ判定値THW_A_Cよりも小さくなる傾向があるため、ステップS750へ進み、車間設定を「短」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。一方、ステップS749が否定判定されると、ステップS751へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。
ステップS748が否定判定され、THW_A_A≧THW_A_Cの場合は、ステップS752へ進み、自車両が走行する走行路が首都高速道もしくは渋滞した道路であるか否かを判定する。ステップS752が肯定判定されるとステップS753へ進み、先行車に追従して走行する場合に一般的に車間距離をつめて走行する道路、すなわち首都高速道もしくは渋滞した道路において、アクセルペダル解放時の先行車に対する車間時間THW_Aがペダルオフ判定値THW_A_C以上となる傾向があるため、ステップS753へ進み、車間設定を「長」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。ステップS752またはステップS742が否定判定された場合は、ステップS754へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。これにより、今回の処理を終了する。
このように、第8の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態による効果に加えて、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)運転特性として先行車に接近するときのアクセルペダル操作タイミングを検出するので、ドライバの車間設定に対する嗜好性を的確に推定できる。アクセルペダル操作タイミングとしては、アクセルペダルを解放するタイミングを検出したが、アクセルペダルを踏み込むタイミングを検出してその情報を嗜好性判断に用いることも可能である。
(2)自車両が先行車に追従走行しているときに、(a)走行路が地方高速道もしくは渋滞していない道路であることが検出されると、自車両が先行車に接近するときのアクセルペダルの解放タイミングが所定値よりも遅い場合に、ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断し、(b)走行路が都市高速道路もしくは渋滞した道路であることが検出されると、アクセルペダルの解放タイミングが所定値よりも早い場合に、ドライバが長い車間設定を嗜好すると判断する。ここで、アクセルペダルを解放するタイミングの例として、アクセルペダルが解放されたときの自車両と先行車との車間時間THW_Aを測定した。車間時間THW_Aが所定値THW_A_Cよりも小さいと、アクセルペダル解放タイミングが遅く、所定値THW_A_Cよりも大きいと、アクセルペダル解放タイミングが早いと判断できる。これにより、車速を比較的高くして走行する傾向にある地方高速道や渋滞していない道路を自車両が先行車に追従して走行しているときに、運転特性を特徴付けるパラメータである先行車接近時のアクセルペダルオフタイミングがどのようになるかを計測することで、車間設定に対する嗜好性を的確に推定できる。
《第9の実施の形態》
第9の実施の形態における車両用走行制御装置においては、ドライバの車間設定に対する嗜好性を、混雑路における先行車との車間時間に基づいて判断する。以降では、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
第9の実施の形態におけるドライバの嗜好性判断を、図19のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS761で、車間距離/相対速度センサ3からの検出信号に基づいて自車両前方を走行する先行車の有無を検出する。ステップS762で先行車ありと判断され、自車両が先行車に追従して走行している場合は、ステップS763へ進む。
ステップS763では、車間距離/相対速度センサ3によって検出される自車両と先行車との車間距離Dと、車速センサ4によって検出される自車速V1とを用いて、先行車に対する車間時間THW_1を上述した(式2)から算出する。ステップS764では、ステップS763で算出した先行車に対する車間時間THW_1をメモリ23に記録する。
つづくステップS765では、メモリ23に記録された車間時間の情報から、現在から過去の所定期間、例えば10分間の車間時間THW_1の平均値THW_1_Aを算出する。ステップS766では、先行車に対する車間時間THW_1を用いてドライバの嗜好性を判定するための追従車間判定値THW_1_Cをメモリ23から読み込む。追従車間判定値THW_1_Cは、混雑路において先行車に追従して走行する場合のドライバの車間設定に対する嗜好性を判断するためのしきい値であり、たとえばTHW_1_C=2secとする。ステップS767では、ステレオカメラ装置8で取得される自車両前方の画像情報から、自車両が走行する現在の走行路に存在する駐車車両の数N_P、および自転車・歩行者の数N_Wを検出する。
ステップS768では、ステップS767で検出した駐車車両数N_Pと、自転車・歩行者数N_Wがそれぞれ、N_P=0かつN_W=0であるか否かを判定する。ステップS768が否定判定されるとステップS769へ進み、N_P>3、もしくはN_W>5であるか否かを判定する。ステップS769が肯定判定されるとステップS770へ進み、ステップS765で算出した車間時間平均値THW_1_Aと追従車間判定値THW_1_Cとを比較する。THW_1_A<THW_1_Cの場合は、駐車車両や歩行者・自転車等の障害物の数が多い混雑路において、先行車に対する車間時間THW_1が追従車間判定値THW_1_Cよりも小さい状態で走行する傾向があるため、ステップS771へ進み、車間設定を「短」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。一方、ステップS769またはS770が否定判定されると、ステップS772へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。
ステップS768が肯定判定され、駐車車両も歩行者・自転車も存在しない場合は、ステップS773へ進み、車間時間平均値THW_1_Aと、追従車間判定値THW_1_Cの2倍の値(例えば4sec)とを比較する。THW_1_A>2・THW_1_Cの場合は、混雑していない道路において先行車に対する車間時間THW_1が追従車間判定値THW_1_Cの2倍以上で走行する傾向があるため、ステップS774へ進み、車間設定を「長」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。ステップS773またはステップS762が否定判定された場合は、ステップS775へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。これにより、今回の処理を終了する。
このように、第9の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態による効果に加えて、以下のような作用効果を奏することができる。
自車両が先行車に追従走行しているときに、(a)走行路が障害物の多い混雑路であることが検出されると、自車両と先行車との接近度合(例えば車間時間THW_1の逆数)が所定値よりも大きい場合に、ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断し、(b)走行路が障害物のない道路であることが検出されると、先行車との接近度合いが所定値よりも小さい場合に、ドライバが長い車間設定を嗜好すると判断する。これにより、車速を低くして走行する傾向にある駐車車両や歩行者・自転車等の障害物の多い道路を自車両が先行車に追従して走行しているときに、運転特性を特徴付けるパラメータである先行車との接近度合がどのようになるかを計測することで、車間設定に対する嗜好性を的確に推定できる。
《第10の実施の形態》
第10の実施の形態における車両用走行制御装置においては、ドライバの車間設定に対する嗜好性を、混雑路におけるアクセルペダル解放時の先行車に対する車間時間に基づいて判断する。以降では、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
第10の実施の形態におけるドライバの嗜好性判断を、図20のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS781で、車間距離/相対速度センサ3からの検出信号に基づいて自車両前方を走行する先行車の有無を検出する。ステップS782で先行車ありと判断され、自車両が先行車に追従して走行している場合は、ステップS783へ進む。
ステップS783では、先行車の減速に伴いドライバがアクセルペダルを解放したときの先行車に対する車間時間THW_Aを算出する。具体的には、アクセルペダルセンサ9によってアクセルペダルが解放されたことが検出されると、その時点で車間距離/相対速度センサ3によって検出される自車両と先行車との車間距離Dと、車速センサ4によって検出される自車速V1とを用いて、上述した(式2)から先行車に対する車間時間THW_Aを算出する。ステップS784では、ステップS783で算出したアクセルペダル解放時の先行車に対する車間時間THW_Aをメモリ23に記録する。
つづくステップS785では、メモリ23に記録された車間時間の情報から、現在から過去の所定回数、例えば10回分の車間時間THW_Aの平均値THW_A_Aを算出する。ステップS786では、アクセルペダル解放時の先行車に対する車間時間THW_Aを用いてドライバの嗜好性を判定するためのペダルオフ判定値THW_A_Cをメモリ23から読み込む。ペダルオフ判定値THW_A_Cは、先行車の減速に伴ってアクセルペダルを解放するタイミングに基づいてドライバの車間設定に対する嗜好性を判断するためのしきい値であり、たとえばTHW_A_C=2.2secとする。ステップS787では、ステレオカメラ装置8で取得される自車両前方の画像情報から、自車両が走行する現在の走行路およびその周辺に存在する駐車車両の数N_P、および自転車・歩行者の数N_Wを検出する。
ステップS788では、ステップS767で検出した駐車車両数N_P=0、かつ、自転車・歩行者数N_W=0であるか否かを判定する。ステップS788が否定判定されるとステップS789へ進み、N_P>3、もしくはN_W>5であるか否かを判定する。ステップS789が肯定判定されるとステップS790へ進み、ステップS785で算出したアクセルペダル解放時の車間時間平均値THW_A_Aとペダルオフ判定値THW_A_Cとを比較する。THW_A_A<THW_A_Cの場合は、駐車車両や歩行者・自転車等の障害物の数が多い混雑路において、先行車の減速に伴いアクセルペダルを解放したときの車間時間THW_Aがペダルオフ判定値THW_A_Cよりも小さくなる傾向があるため、ステップS791へ進み、車間設定を「短」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。一方、ステップS789またはS790が否定判定されると、ステップS792へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。
ステップS788が肯定判定され、駐車車両も歩行者・自転車も存在しない場合は、ステップS793へ進み、アクセルペダル解放時の車間時間平均値THW_A_Aと、ペダルオフ判定値THW_A_Cとを比較する。THW_A_A>THW_A_Cの場合は、混雑していない道路において先行車の減速に伴ってアクセルペダルを解放するときの車間時間THW_Aがペダルオフ判定値THW_A_C以上となる傾向があるため、ステップS794へ進み、車間設定を「長」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。ステップS793またはステップS782が否定判定された場合は、ステップS795へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。これにより、今回の処理を終了する。
このように、第10の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態による効果に加えて、以下のような作用効果を奏することができる。
自車両が先行車に追従走行しているときに、(a)走行路が障害物の多い混雑路であることが検出されると、自車両が先行車に接近するときのアクセルペダルの解放タイミングが所定値よりも遅い場合に、ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断し、(b)走行路が障害物のない道路であることが検出されると、アクセルペダル解放タイミングが所定値よりも早い場合に、ドライバが長い車間設定を嗜好すると判断する。これにより、車速を低くして走行する傾向にある駐車車両や歩行者・自転車等の障害物の多い道路を自車両が先行車に追従して走行しているときに、運転特性を特徴付けるパラメータである先行車接近時のアクセルペダルオフタイミングがどのようになるかを計測することで、車間設定に対する嗜好性を的確に推定できる。
《第11の実施の形態》
第11の実施の形態における車両用走行制御装置においては、ドライバの車間設定に対する嗜好性を、先行車との車間時間および後続車との車間時間に基づいて判断する。以降では、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
第11の実施の形態におけるドライバの嗜好性判断を、図21のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS801で、車間距離/相対速度センサ3からの検出信号に基づいて自車両前方を走行する先行車の有無を検出する。ステップS802では、後方車間距離/相対速度センサ7からの検出信号に基づいて、自車両後方を走行する後続車の有無を検出する。ステップS803で先行車あり、かつ後続車ありと判断され、自車両が先行車に追従走行中に後続車が存在している場合は、ステップS804へ進む。
ステップS804では、車間距離/相対速度センサ3によって検出される自車両と先行車との車間距離Dと、車速センサ4によって検出される自車速V1とを用いて、先行車に対する車間時間THW_1を上述した(式2)から算出する。さらに、後方車間距離/相対速度センサ7によって検出される自車両と後続車との車間距離D_rと、後続車の車速V_rとを用いて、後続車との車間時間THW_2を算出する。後続車速V_rは、後方車間距離/相対速度センサ7によって検出される自車両と後続車との相対速度と自車速V1から算出することができる。後続車との車間時間THW_2は、後続車が自車両の現在位置に到達するまでの時間を表し、上述した(式2)と同様の算出式を用いて算出することができる。ステップS805では、ステップS804で算出した先行車に対する車間時間THW_1および後続車との車間時間THW_2をメモリ23に記録する。
つづくステップS806では、メモリ23に記録された先行車に対する車間時間THW_1の情報から、現在から過去の所定期間、例えば10分間の車間時間THW_1の平均値THW_1_Aを算出する。さらに、メモリ23に記録された後続車との車間時間THW_2の情報から、現在から過去の所定期間、例えば10分間の車間時間THW_2の平均値THW_2_Aを算出する。ステップS807では、先行車に対する車間時間THW_1を用いてドライバの嗜好性を判定するための追従車間判定値THW_1_Cと、後続車との車間時間THW_2を用いてドライバの嗜好性を判定するための後続車間判定値THW_2_Cをそれぞれメモリ23から読み込む。追従車間判定値THW_1_Cは、先行車に追従して走行する場合のドライバの車間設定に対する嗜好性を判断するためのしきい値であり、たとえばTHW_1_C=2secとする。後続車間判定値THW_2_Cは、後続車が存在する場合のドライバの車間設定に対する嗜好性を判断するためのしきい値であり、たとえばTHW_2_C=1.5secとする。
ステップS808では、ステップS806で算出した後続車との車間時間平均値THW_2_Aと、後続車間判定値THW_2_Cの2倍の値(例えば3sec)とを比較する。THW_2_A>2・THW_2_Cの場合は、ステップS809へ進み、ステップS806で算出した先行車に対する車間時間平均値THW_1_Aと、追従車間判定値THW_1_Cとを比較する。THW_1_A<THW_1_Cの場合は、後続車との車間が開いているにも関わらず、先行車に接近して走行する傾向があるため、ステップS810へ進み、車間設定を「短」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。一方、ステップS809が否定判定されると、ステップS811へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。
ステップS808が否定判定されるとステップS812へ進み、後続車との車間時間平均値THW_2_Aと後続車間判定値THW_2_Cとを比較する。THW_2_A<THW_2_Cの場合は、ステップS813へ進み、先行車に対する車間時間THW_1_Aと、追従車間判定値THW_1_Cの2倍の値(例えば4sec)とを比較する。THW_1_A>2・THW_1_Cの場合は、後続車との車間が詰まっていても先行車との車間を広く確保して走行する傾向があるため、ステップS814へ進み、車間設定を「長」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。ステップS812,S813またはS803が否定判定された場合は、ステップS815へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。これにより、今回の処理を終了する。
このように、第11の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態による効果に加えて、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)走行状況として、自車両に後続する後続車との接近情報を検出する。接近情報は、自車両と後続車がどの程度接近しているかを表す情報であり、例えば自車両と後続車との車間時間THW_2を含む。これにより、ドライバの車間設定に対する嗜好性を的確に推定することができる。
(2)(a)後続車との接近度合が低い状態で自車両が先行車に追従していることが検出されると、自車両と先行車との接近度合が所定値よりも大きい場合に、ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断し、(b)後続車との接近度合が高い状態で自車両が先行車に追従していることが検出されると、先行車との接近度合が所定値よりも小さい場合に、ドライバが長い車間設定を嗜好すると判断する。ここで、後続車との接近度合は、例えば自車両と後続車との車間時間THW_2の逆数を用いることができ、車間時間THW_2の逆数が大きくなるほど後続車との接近度合が高いと判断できる。先行車との接近度合は先行車に対する車間時間THW_1の逆数を用いることができ、車間時間THW_1の逆数が大きくなるほど先行車との接近度合が高いと判断できる。これにより、後続車との車間が詰まっている場合は、先行車との車間をつめて走行する傾向にあるが、このような状況において、運転特性を特徴付けるパラメータである先行車との接近度合がどのようになるかを計測することで、車間設定に対する嗜好性を的確に推定できる。
《第12の実施の形態》
第12の実施の形態における車両用走行制御装置においては、ドライバの車間設定に対する嗜好性を、アクセルペダル解放時の先行車との車間時間、および後続車との車間時間に基づいて判断する。以降では、第1の実施の形態との相違点を主に説明する。
第12の実施の形態におけるドライバの嗜好性判断を、図22のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS821で、車間距離/相対速度センサ3からの検出信号に基づいて自車両前方を走行する先行車の有無を検出する。ステップS822では、後方車間距離/相対速度センサ7からの検出信号に基づいて、自車両後方を走行する後続車の有無を検出する。ステップS823で先行車あり、かつ後続車ありと判断され、自車両が先行車に追従走行中に後続車が存在している場合は、ステップS824へ進む。
ステップS824では、先行車の減速に伴いドライバがアクセルペダルを解放したときの先行車に対する車間時間THW_Aを算出する。さらに、後方車間距離/相対速度センサ7によって検出される自車両と後続車との車間距離D_rと、後続車の車速V_rとを用いて、後続車との車間時間THW_2を算出する。ステップS825では、ステップS824で算出したアクセルペダル解放時の先行車に対する車間時間THW_A、および後続車との車間時間THW_2をメモリ23に記録する。
つづくステップS826では、メモリ23に記録されたアクセルペダル解放時の先行車に対する車間時間THW_Aの情報から、現在から過去の所定回数、例えば10回分の車間時間THW_Aの平均値THW_A_Aを算出する。さらに、メモリ23に記録された後続車との車間時間THW_2の情報から、現在から過去の所定期間、例えば10分間の車間時間THW_2の平均値THW_2_Aを算出する。
ステップS827では、アクセルペダル解放時の先行車に対する車間時間THW_Aを用いてドライバの嗜好性を判定するためのペダルオフ判定値THW_A_C、および後続車との車間時間THW_2を用いてドライバの嗜好性を判定するための後続車間判定値THW_2_Cをメモリ23から読み込む。ペダルオフ判定値THW_A_Cは、先行車の減速に伴ってアクセルペダルを解放するタイミングに基づいてドライバの車間設定に対する嗜好性を判断するためのしきい値であり、たとえばTHW_A_C=2.2secとする。後続車間判定値THW_2_Cは、後続車が存在する場合のドライバの車間設定に対する嗜好性を判断するためのしきい値であり、たとえばTHW_2_C=1.5secとする。
ステップS828では、ステップS826で算出した後続車との車間時間平均値THW_2_Aと、後続車間判定値THW_2_Cの2倍の値(例えば3sec)とを比較する。THW_2_A>2・THW_2_Cの場合は、ステップS829へ進み、ステップS826で算出したアクセルペダル解放時の先行車に対する車間時間平均値THW_A_Aと、ペダルオフ判定値THW_A_Cとを比較する。THW_A_A<THW_A_Cの場合は、後続車との車間が開いているにも関わらず、先行車減速時にアクセルペダルを解放したときの先行車に対する車間時間THW_Aがペダルオフ判定値THW_A_Cよりも小さくなる傾向があるため、ステップS830へ進み、車間設定を「短」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。一方、ステップS829が否定判定されると、ステップS831へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。
ステップS828が否定判定されるとステップS832へ進み、後続車との車間時間平均値THW_2_Aと後続車間判定値THW_2_Cとを比較する。THW_2_A<THW_2_Cの場合は、ステップS833へ進み、アクセルペダル解放時の先行車に対する車間時間THW_A_Aと、ペダルオフ判定値THW_A_Cとを比較する。THW_A_A>THW_A_Cの場合は、後続車との車間が詰まっていても先行車減速時にアクセルペダルを解放したときの先行車に対する車間時間THW_Aがペダルオフ判定値THW_A_Cよりも大きくなる傾向があるため、ステップS834へ進み、車間設定を「長」とする嗜好性が高いドライバであると判断する。ステップS832,S833またはS823が否定判定された場合は、ステップS835へ進み、ドライバの車間設定の嗜好性は不明であると判断する。これにより、今回の処理を終了する。
このように、第12の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態による効果に加えて、以下のような作用効果を奏することができる。
(a)後続車との接近度合が低い状態で自車両が先行車に追従していることが検出されると、自車両が先行車に接近するときのアクセルペダルの解放タイミングが所定値よりも遅い場合に、ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断し、(b)後続車との接近度合が高い状態で自車両が先行車に追従していることが検出されると、アクセルペダルの解放タイミングが所定値よりも早い場合に、ドライバが長い車間設定を嗜好すると判断する。これにより、後続車との車間が詰まっている場合は、先行車との車間をつめて走行する傾向にあるが、このような状況において、運転特性を特徴付けるパラメータである先行車接近時のアクセルペダルオフタイミングがどのようになるかを計測することで、車間設定に対する嗜好性を的確に推定できる。
上述した第1〜12の実施の形態では、イグニッションスイッチがオンされた後、ACCシステムの作動オフ状態100から作動オン状態101へ遷移する際、「長」を車間設定のデフォルトとした。ただし、これには限定されず、上述したドライバの車間設定に対する嗜好性の判断結果に基づいてデフォルトの車間設定を決定することもできる。具体的には、ドライバが短い車間設定の嗜好性が高いと推定される場合、デフォルトの車間設定を「短」とする。一方、ドライバが長い車間設定の嗜好性が高いと推定される場合、デフォルトの車間設定を「長」とする。車間設定スイッチ14が操作されると、その操作信号に従って車間設定が決定される。
また、デフォルトを「オート」とすることもできる。この場合は、ドライバが短い車間設定の嗜好性が高いと推定される場合、デフォルトの車間設定を自動的に「短」とする。一方、ドライバが長い車間設定の嗜好性が高いと推定される場合、デフォルトの車間設定を自動的に「長」とする。車間設定スイッチ14が操作されると、その操作信号に従って車間設定が決定される。
上述した第1〜12の実施の形態では、ACCシステムが車速制御モードおよび車間制御モードを備えるように構成したが、さらに低速追従モードを備えるように構成することもできる。低速追従モードは、先行車が存在する低速走行時(例えば10〜40km/h)に、車速約40km/hを上限として車速に応じた車間距離を保つように車間制御を行うモードである。低速追従モードが設定されている場合にも、上述した車間設定に対するドライバの嗜好性の判断結果を利用することが可能である。ACCシステムは、少なくとも先行車との車間距離制御を行う車間制御モードを備えていることが必要である。
上述した第1〜12の実施の形態においては、ステレオカメラ装置8を用いて自車両前方の画像情報を取得したが、別方式の撮影手段を用いて画像情報を取得するように構成してもよい。また、撮影手段による画像情報から先行車との車間距離や相対速度を正確に検出することができれば、車間距離/相対速度センサ3を省略することもできる。自車両後方の状況を検出するためにCCDカメラ等の撮影手段を利用することもできる。なお、ドライバの嗜好性判断のために自車両の走行路が混雑路であるか否か、また、自車両後方の状況を検出する必要がなければ、それらの情報を取得するために必要な装置やセンサを省略することもできる。また、図5に示した表示装置33の表示モニタは一例であり、表示デザインはこれには限定されない。
以上説明した第1〜12の実施の形態において、車両制御用コンピュータ21は制駆動力制御手段として機能し、嗜好性判断用コンピュータ22は嗜好性判断手段として機能することができる。また、ナビ情報インタフェース6、後方車間距離/相対速度センサ7、およびステレオカメラ装置8は走行状況検出手段として機能し、車間距離/相対速度センサ3、車速センサ4、加速度センサ5、およびアクセルペダルセンサ9は運転特性検出手段として機能し、車両制御用コンピュータ21は車間設定選択手段およびデフォルト設定選択手段として機能し、表示装置33は表示手段として機能することができる。ただし、これらには限定されず、別のセンサを用いて走行状況検出手段や運転特性検出手段を構成することも可能である。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係になんら限定も拘束もされない。
本発明の第1の実施の形態による車両用走行制御装置のシステム図。 第1の実施の形態による車両用走行制御装置を搭載した車両の構成図。 ステアリングスイッチユニットを示す図。 車間設定スイッチの設定順序を説明する図。 表示装置の表示内容を示す図。 ACCシステムの作動状態の遷移を説明する図。 車速制御モードの制御処理手順を示すフローチャート。 車間制御モードの制御処理手順を示すフローチャート。 ACCシステムの動作の流れを示すフローチャート。 嗜好性判断処理の処理手順を示すフローチャート。 車速に対するドライバの車間設定の嗜好性を説明する図。 第2の実施の形態における嗜好性判断処理の処理手順を示すフローチャート。 第3の実施の形態における嗜好性判断処理の処理手順を示すフローチャート。 第4の実施の形態における嗜好性判断処理の処理手順を示すフローチャート。 第5の実施の形態における嗜好性判断処理の処理手順を示すフローチャート。 第6の実施の形態における嗜好性判断処理の処理手順を示すフローチャート。 第7の実施の形態における嗜好性判断処理の処理手順を示すフローチャート。 第8の実施の形態における嗜好性判断処理の処理手順を示すフローチャート。 第9の実施の形態における嗜好性判断処理の処理手順を示すフローチャート。 第10の実施の形態における嗜好性判断処理の処理手順を示すフローチャート。 第11の実施の形態における嗜好性判断処理の処理手順を示すフローチャート。 第12の実施の形態における嗜好性判断処理の処理手順を示すフローチャート。
符号の説明
1:ステアリングスイッチユニット、2:嗜好性判断リセットスイッチ、3:車間距離/相対速度センサ、4:車速センサ、5:加速度センサ、6:ナビ情報インタフェース、7:後方車間距離/相対速度センサ、8:ステレオカメラ装置、9:アクセルペダルセンサ、10:ブレーキペダルセンサ、11:メインスイッチ、12:セットスイッチ、13:キャンセルスイッチ、14:車間設定スイッチ、15:設定車速アップスイッチ、16:設定車速ダウンスイッチ、20:制御装置、21:車両制御用コンピュータ、22:嗜好性判断用用コンピュータ、23:メモリ、24:HMI用コンピュータ、31:エンジンコントローラ、32:ブレーキコントローラ、33:表示装置、34:音声装置

Claims (6)

  1. 自車両と先行車との車間距離を略一定に保つように前記自車両の制駆動力制御を行う制駆動力制御手段と、
    ナビゲーションシステムを利用して、前記自車両が走行している走行路に関する情報を検出する走行状況検出手段と、
    前記ドライバの運転特性としての自車速を検出する運転特性検出手段と、
    前記走行状況検出手段によって検出された前記自車両が走行している走行路に関する情報に基づいて、前記自車両が単独走行しているときに、ドライバが自由に走行しやすい道路種別であることが検出されると、前記制駆動力制御手段による前記制駆動力制御が実行されていないときに、前記運転特性検出手段によって検出された前記自車速が所定値よりも大きい場合に、前記ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断し、前記自車速が所定値よりも小さい場合に、前記ドライバが長い車間設定を嗜好すると判断する嗜好性判断手段とを備えることを特徴とする車両用走行制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両用走行制御装置において、
    前記嗜好性判断手段による嗜好性判断結果に基づいて、前記制駆動力制御を実行する際の車間設定を自動で選択する車間設定選択手段をさらに備えることを特徴とする車両用走行制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両用走行制御装置において、
    前記車間設定選択手段は、前記嗜好性判断手段によって前記ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断されると、前記制駆動力制御を実行する際に短い車間設定を自動で選択し、前記ドライバが長い車間設定を嗜好すると判断されると、前記制駆動力制御を実行する際に長い車間設定を自動で選択することを特徴とする車両用走行制御装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用走行制御装置において、
    前記嗜好性判断手段による嗜好性判断結果に基づいて、前記制駆動力制御を開始する際のデフォルトの車間設定を自動で選択するデフォルト設定選択手段をさらに備えることを特徴とする車両用走行制御装置。
  5. 請求項4に記載の車両用走行制御装置において、
    前記デフォルト設定選択手段は、前記嗜好性判断手段によって前記ドライバが短い車間設定を嗜好すると判断されると、短い車間設定をデフォルトとして自動で選択し、前記ドライバが長い車間設定を嗜好すると判断されると、長い車間設定を自動でデフォルトとして選択することを特徴とする車両用走行制御装置。
  6. 請求項2または請求項3に記載の車両用走行制御装置において、
    前記車間設定選択手段によって前記車間設定が自動で選択されていることを報知する表示手段をさらに備えることを特徴とする車両用走行制御装置。
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