以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示すように、本実施形態の自動運転装置100は、乗用車等の車両Vに搭載され、車両Vの運転状態を自動運転状態、手動運転状態、及び半自動運転状態のいずれかに切り換える。手動運転状態とは、運転者による運転操作を車両Vの走行に反映させる運転状態である。自動運転状態とは、運転者が運転操作を行う必要なく、車両Vが自動で走行する運転状態である。自動運転状態とは、車両Vの速度制御及び操舵制御を含む自動運転制御が自動運転装置100によって実行されている運転状態である。半自動運転状態とは、車両Vの速度制御及び操舵制御のうちいずれか一方の制御を自動運転装置100が実行し、他方の制御を運転者が行う運転状態である。
図1に示すように、自動運転装置100は、自動運転を実行するためのECU10を備えている。ECU10は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、CAN[Controller Area Network]通信回路等を有する電子制御ユニットである。ECU10では、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。ECU10は、複数の電子制御ユニットから構成されていてもよい。ECU10には、外部センサ1、GPS受信部2、内部センサ3、地図データベース(地図記憶部)4、ナビゲーションシステム5、アクチュエータ6、及びHMI[Human Machine Interface]7が接続されている。
外部センサ1は、車両Vの周辺の障害物等を検出するための検出機器である。外部センサ1は、カメラ及びレーダセンサのうち少なくとも一つを含む。カメラは、車両Vの外部状況を撮像する撮像機器である。カメラは、車両Vのフロントガラスの裏側及び車両Vの背面に設けられている。カメラは、車両Vの左右側面に設けられていてもよい。カメラは、車両Vの前方及び後方を撮像した撮像情報をECU10へ送信する。レーダセンサは、レーダー[Radar]、及びライダー[LIDAR:Laser Imaging Detection and Ranging]のうち少なくとも一つを含む。レーダセンサは、電波(例えばミリ波)又は光を利用して車両Vの周辺の障害物を検出する。レーダセンサは、電波又は光を車両Vの周辺に送信し、障害物で反射された電波又は光を受信することで障害物を検出する。レーダセンサは、検出した障害物情報をECU10へ送信する。障害物には、ガードレール、建物等の固定障害物の他、歩行者、自転車、他車両等の移動障害物が含まれる。
GPS受信部2は、車両Vに搭載され、車両Vの位置を測定する位置測定部として機能する。GPS受信部2は、3個以上のGPS衛星から信号を受信することにより、車両Vの位置(例えば車両Vの緯度及び経度)を測定する。GPS受信部2は、測定した車両Vの位置の情報をECU10へ送信する。
内部センサ3は、車両Vの走行状態、及び車両Vの運転者の運転操作を検出する検出器である。内部センサ3は、車両Vの走行状態を検出するために、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサを含む。また、内部センサ3は、運転者の運転操作を検出するために、アクセルペダルセンサ、ブレーキペダルセンサ及びステアリングセンサを含む。
車速センサは、車両Vの速度を検出する検出器である。車速センサとしては、車両Vの車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフト等に対して設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。車速センサは、検出した車速情報をECU10に送信する。加速度センサは、車両Vの加速度を検出する検出器である。加速度センサは、車両Vの前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、車両Vの横加速度を検出する横加速度センサとを含んでいる。加速度センサは、車両Vの加速度情報をECU10に送信する。ヨーレートセンサは、車両Vの重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、ジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサは、検出した車両Vのヨーレート情報をECU10へ送信する。
アクセルペダルセンサは、運転者によるアクセルペダルの踏込操作を検出する検出器である。アクセルペダルセンサは、例えば、車両Vのアクセルペダルのシャフト部分に対して設けられる。アクセルペダルセンサは、検出したアクセルペダルの踏込操作情報をECU10へ出力する。ブレーキペダルセンサは、運転者によるブレーキペダルの踏込操作を検出する検出器である。ブレーキペダルセンサは、例えば、ブレーキペダルのシャフト部分に対して設けられる。ブレーキペダルセンサは、検出したブレーキペダルの踏込操作情報をECU10へ出力する。ステアリングセンサは、運転者によるステアリング操作を検出する検出器である。ステアリングセンサは、例えば、車両Vのステアリングシャフトに対して設けられ、運転者がステアリングホイールを回転させた操舵角を検出する。ステアリングセンサは、操舵角の他、操舵トルクを検出してもよい。ステアリングセンサは、検出したステアリング操作情報をECU10へ出力する。
地図データベース4は、地図情報を記憶するデータベースである。地図データベース4は、車両Vに搭載されたHDD[Hard Disk Drive]内に形成されている。地図情報には、例えば、道路の位置情報、道路形状の情報、交差点及び分岐点の位置情報、道路の制限速度が含まれる。道路形状の情報には、例えばカーブ、直線部の種別、カーブの曲率、路面の傾斜(上り坂、下り坂)等が含まれる。なお、地図データベース4は、車両Vと通信可能なサーバに記憶されていてもよい。
また、地図データベース4は、車両Vの減速制御を要する減速要因が存在する減速エリアの情報、並びに車両Vの操舵制御を要する操舵要因が存在する操舵エリアの情報を含む地図情報を記憶する。
減速要因としては、例えば、曲率が予め設定された曲率よりも大きく減速の必要があるカーブ路、一時停止の道路標識、信号、及び下り坂等がある。減速エリアとは、減速要因が例えばカーブ路である場合など減速要因が存在するエリア自体であってもよく、減速要因が例えば一時停止の道路標識である場合など減速要因を含む所定の広さのエリアであってもよい。また、減速要因には、道路ごとに定められた制限速度が含まれていてもよい。例えば、車両Vの速度が制限速度よりも早い場合には、制限速度まで減速させる必要があり、車両Vの速度によっては制限速度も減速要因となり得る。
操舵要因としては、例えば、曲率が予め設定された曲率よりも大きいカーブ路、工事区間(例えば工事中の車線)、及び交差点等がある。操舵エリアとは、操舵要因が例えばカーブ路である場合など操舵要因が存在するエリア自体であってもよく、操舵要因が例えば工事区間である場合など操舵要因を含む所定の広さのエリアであってもよい。
ナビゲーションシステム5は、車両Vに搭載され、自動運転によって車両Vが走行する目標ルートを設定する。ナビゲーションシステム5は、予め設定された目的地、GPS受信部2によって測定された車両Vの位置、及び地図データベース4の地図情報に基づいて、車両Vの位置から目的地に至るまでの目標ルートを演算する。自動運転制御の目的地は、車両Vの乗員がナビゲーションシステム5に設けられた入力ボタン(又はタッチパネル)を操作することにより設定される。目標ルートは、道路を構成する車線を区別して設定され。ナビゲーションシステム5は、周知の手法により目標ルートを設定することができる。ナビゲーションシステム5は、ディスプレイの表示及びスピーカの音声出力により運転者に対して目標ルートの報知を行う。ナビゲーションシステム5は、車両Vの目標ルートの情報をECU10へ出力する。
アクチュエータ6は、車両Vの走行制御を実行する装置である。アクチュエータ6は、スロットルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。スロットルアクチュエータは、ECU10からの制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、車両Vの駆動力を制御する。なお、車両Vがハイブリッド車である場合には、エンジンに対する空気の供給量の他に、動力源としてのモータにECU10からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。車両Vが電気自動車である場合には、動力源としてのモータにECU10からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。これらの場合における動力源としてのモータは、アクチュエータ6を構成する。
ブレーキアクチュエータは、ECU10からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御し、車両Vの車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、液圧ブレーキシステムを用いることができる。操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を、ECU10からの制御信号に応じて制御する。これにより、操舵アクチュエータは、車両Vの操舵トルクを制御する。
HMI7は、運転者と自動運転装置100との間で情報の出力及び入力をするためのインターフェイスである。HMI7は、例えば、運転者等に画像情報を表示するディスプレイ、音声を出力するスピーカ、及び運転者が入力操作を行うための操作ボタン又はタッチパネル、音声入力装置等を備えている。HMI7は、運転者が入力した情報をECU10へ送信する。また、HMI7は、ECU10からの制御信号に応じて、画像情報をディスプレイに表示すると共に、音声をスピーカから出力する。
次に、ECU10の機能的構成について説明する。ECU10は、車両位置認識部(位置認識部)11、外部状況認識部12、走行状態認識部13、走行計画生成部14、ペダル操作検出部15、ステアリング操作検出部16、及び走行制御部17を有している。なお、ECU10の機能の一部は、車両Vと通信可能なサーバで実行されてもよい。
車両位置認識部11は、GPS受信部2の位置情報及び地図データベース4の地図情報に基づいて、車両Vの地図上の位置を認識する。車両位置認識部11は、地図データベース4の地図情報に含まれた電柱等の固定障害物の位置情報及び外部センサ1の検出結果を利用して、SLAM技術により車両Vの位置を認識してもよい。
外部状況認識部12は、外部センサ1の検出結果に基づいて、車両Vの外部状況を認識する。外部状況認識部12は、カメラの撮像画像及び/又はレーダセンサの障害物情報に基づいて、周知の手法により、車両Vの周囲の障害物の位置を含む車両Vの外部状況を認識する。
走行状態認識部13は、内部センサ3の検出結果に基づいて、車両Vの車速及び向きを含む車両Vの走行状態を認識する。具体的に、走行状態認識部13は、車速センサの車速情報に基づいて、車両Vの車速を認識する。走行状態認識部13は、ヨーレートセンサのヨーレート情報に基づいて、車両Vの向きを認識する。
走行計画生成部14は、ナビゲーションシステム5により設定された目標ルート及び地図データベース4の地図情報に基づいて、車両Vの走行計画を生成する。この走行計画は、車両Vの現在の位置から予め設定された目的地に車両Vが至るまでの走行計画となる。走行計画生成部14は、周知の手法により走行計画を生成する。走行計画には、地図上の位置に関連付けられた車両Vの目標車速及び目標操舵角が含まれる。
ペダル操作検出部15は、内部センサ3に設けられたアクセルペダルセンサから入力されたアクセルペダルの踏込操作情報及びブレーキペダルセンサから入力されたブレーキペダルの踏込操作情報に基づいて、車両Vの運転者によって行われる車両Vのアクセルペダル及びブレーキペダルの少なくともいずれかのペダル操作を検出する。
ステアリング操作検出部16は、内部センサ3に設けられたステアリングセンサから入力されたステアリング操作情報に基づいて、車両Vの運転者によって行われるステアリング操作を検出する。
走行制御部17は、車両Vの運転状態が自動運転状態に切り換えられた場合、車両位置認識部11の認識した車両Vの地図上の位置と走行計画生成部14で生成された走行計画とに基づいて、車両Vの速度制御及び操舵制御を含む自動運転制御を実行する。走行制御部17は、アクチュエータ6に制御信号を送信することにより、自動運転制御を実行する。走行制御部17が自動運転制御を実行することで、車両Vの運転状態が自動運転状態となる。
また、走行制御部17は、車両Vを半自動運転状態にするための半自動運転制御を実行する。半自動運転制御とは、車両Vの地図上の位置と走行計画とに基づいて車両Vの速度制御及び操舵制御の一方の制御を実行し、他方の制御を運転者に実行させる制御である。走行制御部17は、速度制御及び操舵制御の一方の制御を実行するための制御信号をアクチュエータ6に送信することで、半自動運転制御を実行する。
走行制御部17は、車両Vの運転状態が手動運転状態である場合、車両Vの速度制御及び操舵制御のいずれも実行しない全制御OFF状態となる。
走行制御部17が自動運転制御を行っているときに、速度制御又は操舵制御に対して運転者が介入操作を行うことがある。以下、走行制御部17が実行する速度制御又は操舵制御に対する運転者の介入操作を、オーバーライドという。運転者は、走行制御部17の速度制御に対するオーバーライドを、アクセルペダル又はブレーキペダルを操作することによって行うことができる。走行制御部17は、ペダル操作検出部15によるペダル操作の検出結果に基づいて、速度制御に対するオーバーライドの有無を判定する。また、運転者は、走行制御部17の操舵制御に対するオーバーライドを、ステアリングホイールを操作することによって行うことができる。走行制御部17は、ステアリング操作検出部16によるステアリング操作の検出結果に基づいて、操舵制御に対するオーバーライドの有無を判定する。
走行制御部17は、自動運転制御を行っているときに速度制御又は操舵制御に対して運転者に対するオーバーライドが発生した場合、制御状態を自動運転制御状態から全制御OFF状態に遷移させる。但し、オーバーライドが発生した際に半自動運転成立条件が成立する場合、走行制御部17は、速度制御及び操舵制御のうちオーバーライドがされていない制御の実行を継続し且つオーバーライドされた制御の実行を解除して、半自動運転制御状態へ遷移する。このように、半自動運転成立条件とは、走行制御部17の制御状態を半自動運転状態とするか否かを決定する条件となる。半自動運転成立条件の詳細については後述する。
図2を用いて、走行制御部17が自動運転制御を行っているときに、速度制御又は操舵制御に対するオーバーライドが発生した場合における走行制御部17の制御状態の遷移の詳細について説明する。図2に示すように、走行制御部17の制御状態が自動運転制御状態T1のときに、速度制御又は操舵制御に対して運転者によるオーバーライドが発生したとする。走行制御部17は、オーバーライドが発生したときに半自動運転成立条件が成立しているか否かを判定する。半自動運転成立条件が成立している場合、走行制御部17は、自動運転制御状態T1から半自動運転制御状態T2へ制御状態を遷移させる。この半自動運転制御状態T2とは、速度制御及び操舵制御のうちオーバーライドがされていない制御の実行を継続し且つオーバーライドされた制御の実行を解除した制御状態である。オーバーライドが発生したときに半自動運転成立条件が成立していない合、走行制御部17は、自動運転制御状態T1から全制御OFF状態T3へ制御状態を遷移させる。
制御状態が半自動運転制御状態T2となった後、半自動運転成立条件が成立している間、走行制御部17は、制御状態として半自動運転制御状態T2を継続する。また、制御状態が半自動運転制御状態T2のときに、半自動運転成立条件が成立しなくなった場合、走行制御部17は、半自動運転制御状態T2から全制御OFF状態T3へ制御状態を遷移させる。
また、制御状態が半自動運転制御状態T2のときに、走行制御部17は、自動運転復帰条件が成立するか否かを判定する。自動運転復帰条件が成立する場合、走行制御部17は、半自動運転制御状態T2から自動運転制御状態T1へ制御状態を遷移させる。自動運転復帰条件とは、走行制御部17の制御状態を半自動運転制御状態T2から自動運転制御状態T1へ復帰させるか否かを決定する条件となる。自動運転復帰条件の詳細については後述する。
(半自動運転成立条件の詳細)
次に、半自動運転成立条件の具体例について説明する。以下では、速度制御に対するオーバーライド(ペダル操作)が検出された場合に用いる半自動運転成立条件の具体例と、操舵制御に対するオーバーライド(ステアリング操作)が検出された場合に用いる半自動運転成立条件の具体例とに分けて説明する。走行制御部17は、オーバーライドがペダル操作であるかステアリング操作であるかに応じて、制御状態を遷移させるための判定に用いる半自動運転成立条件を選択する。
(速度制御オーバーライド発生時の半自動運転成立条件の詳細)
まず、速度制御に対するオーバーライド(ペダル操作)が検出された場合に用いる半自動運転成立条件の具体例について説明する。この半自動運転成立条件とは、ペダル操作が検出された場合に、走行制御部17が操舵制御の実行を解除する又は継続する条件となる。
半自動運転成立条件として、例えば、車両Vの位置が操舵エリア内であり、且つ走行制御部17が走行計画に基づいて実行している操舵制御が当該操舵エリアの操舵要因に対応するための操舵制御であるか否かを用いることができる。走行制御部17は、車両Vの位置が操舵エリア内であるか否かを、車両位置認識部11で認識された車両Vの位置と地図情報に含まれる操舵エリアの情報とに基づいて判定することができる。走行制御部17は、操舵要因に対応するための操舵制御であるか否かを、地図情報に基づいて判定することができる。ここでは、例えば地図情報に含まれる道路形状に基づいて判定することができる。
具体的には、例えば、図3(a)に示すように、操舵要因が、予め設定された曲率よりも大きいカーブ路Cであるとする。操舵要因に対応する操舵制御であるか否かは、走行計画に基づいて実行している操舵制御が、カーブ路Cの形状(道路形状)に沿って走行するための操舵制御であるか否かに基づいて判定することができる。このため、走行制御部17は、カーブ路が存在する操舵エリア内に車両Vが位置し、且つ走行計画に基づいて実行している操舵制御がカーブ路Cに沿って走行するための操舵制御である場合、半自動運転成立条件が成立と判定する。
他の例として、操舵要因が工事区間(工事中の車線)であるとする。工事区間を避けるためには、道路形状に沿った操舵とは異なる操舵制御を実行する必要がある。従って、操舵要因に対応する操舵制御であるか否かは、走行計画に基づいて実行している操舵制御が、道路形状に沿った操舵制御とは異なるか否かに基づいて判定することができる。このため、走行制御部17は、工事区間が存在する操舵エリア内に車両Vが位置し、且つ走行計画に基づいて実行している操舵制御が道路形状に沿った操舵制御でない場合、半自動運転成立条件が成立と判定する。
他の例として、操舵要因が交差点であるとする。操舵要因に対応する操舵制御であるか否かは、走行計画に基づいて実行している操舵制御が、目標ルートに従って交差点の道路形状に沿って走行するため操舵制御であるか否かに基づいて判定することができる。走行制御部17は、交差点が存在する操舵エリア内に車両Vが位置し、且つ走行計画に基づいて実行している操舵制御が、目標ルートに従って交差点の道路形状に沿って走行するための操舵制御である場合、半自動運転成立条件が成立と判定する。
操舵要因は地図情報内に含まれていることに限定されない。例えば、図3(b)に示すように、操舵要因は、外部状況認識部12によって認識された車両Vの前方の道路R上に存在する回避可能な障害物X1であってもよい。この場合、障害物X1を避けるためには、道路形状に沿った操舵とは異なる操舵制御を実行する必要がある。従って、操舵要因に対応する操舵制御であるか否かは、走行計画に基づいて実行している操舵制御が道路形状に沿った操舵制御とは異なることに基づいて判定することができる。このため、走行制御部17は、障害物X1が存在し、且つ走行計画に基づいて実行している操舵制御が道路形状に沿った操舵制御でない場合、半自動運転成立条件が成立と判定する。
ここでは、半自動運転成立条件として、走行計画に基づいて実行している操舵制御が操舵要因に対応するための操舵制御であることを用いたが、実際に実行している操舵制御に限定されない。これに代えて、例えば、走行計画が、操舵要因に対応するための操舵制御を含むことを半自動運転成立条件として用いてもよい。すなわち、車両Vの位置が操舵エリア内であり、且つ走行計画生成部14で生成された走行計画が当該操舵エリアの操舵要因に対応するための操舵制御を含んでいるか否かを半自動運転成立条件としてもよい。走行制御部17は、車両Vの位置が操舵エリア内であり、且つ走行計画が当該操舵エリアの操舵要因に対応するための操舵制御を含んでいる場合、半自動運転成立条件が成立と判定する。
上記例では、半自動運転成立条件として、車両Vの位置が操舵エリア内であることを用いたが、これに代えて、操舵エリアが車両Vの前方の所定距離以内に存在することを用いてもよい。
また、半自動運転成立条件として、例えば、外部状況認識部12で認識された車両Vの周囲の障害物との関係を用いることができる。具体的には、例えば、外部状況認識部12で認識された車両Vの周囲の障害物と車両Vとの距離が予め定められた所定距離以上離れていることを半自動運転成立条件とすることができる。走行制御部17は、車両Vの周囲の障害物と車両Vとが所定距離以上離れている場合に、半自動運転成立条件が成立と判定する。他の例として、認識された障害物の数が予め定められた数以下であることを半自動運転成立条件とすることができる。走行制御部17は、車両Vの周囲の障害物の数が予め定められた数以下である場合に、半自動運転成立条件が成立と判定する。
また、半自動運転成立条件として、例えば、速度制御に対するオーバーライドが発生したときの車両Vの挙動の変化が、走行計画生成部14で生成された走行計画に基づく車両Vの挙動に対して所定の変化範囲内であるか否かを用いることができる。走行制御部17は、速度制御に対するオーバーライドが発生したときの車両Vの挙動の変化が、走行計画に基づく車両Vの挙動に対して所定の変化範囲内である場合に、半自動運転成立条件が成立と判定する。オーバーライドが発生したときの車両Vの挙動は、内部センサ3の検出結果等に基づいて把握することができる。
また、半自動運転成立条件として、例えば、速度制御に対するオーバーライドが発生したときの車両Vの挙動の変化によって、車両位置認識部11における位置の認識精度が予め定められた精度以上低下したか否かを用いることができる。なお、位置の認識精度は、例えばGPS受信部2の精度を用いる等、周知の技術を用いて算出することができる。走行制御部17は、速度制御に対するオーバーライドが発生したときの車両Vの挙動の変化によって、位置の認識精度が予め定められた精度以上低下しなかった場合に、半自動運転成立条件が成立と判定する。
また、半自動運転成立条件として、例えば、速度制御に対するオーバーライドが発生したときの車両Vの挙動の変化によって、外部状況認識部12における外部状況の認識精度が予め定められた精度以上低下したか否かを用いることができる。なお、外部状況の認識精度は、例えば外部センサ1のカメラ及び/又はレーダセンサの精度を用いる等、周知の技術を用いて算出することができる。走行制御部17は、速度制御に対するオーバーライドが発生したときの車両Vの挙動の変化によって、外部状況の認識精度が予め定められた精度以上低下しなかった場合に、半自動運転成立条件が成立と判定する。
また、半自動運転成立条件として、例えば、速度制御に対するオーバーライドが発生したために走行制御部17が操舵制御のみを実行しているとき(半自動運転制御状態T2のとき)の車両Vの進行方向が、速度制御に対するオーバーライドが発生したときに車両Vが向かおうとしていた方向であるか否かを用いることができる。すなわち、速度制御に対するオーバーライドが発生したときに車両Vが向かおうとしていた方向への車両運動が継続していることを、半自動運転成立条件とすることができる。速度制御に対するオーバーライドが発生したときに車両Vが向かおうとしていた方向、及び走行制御部17が操舵制御のみを実行しているときの車両Vの進行方向は、例えば、走行計画に基づいて判定することができる。走行制御部17は、走行制御部17が操舵制御のみを実行しているときの車両Vの進行方向が、速度制御に対するオーバーライドが発生したときに車両Vが向かおうとしていた方向である場合、半自動運転成立条件が成立と判定する。
具体例を、図4(a)を用いて説明する。図4(a)では、車両Vの進行方向を進行方向K1、及び進行方向K2で示している。車両Vは、進行方向K1に沿って走行した後、進行方向K2に沿って走行する。進行方向K1は、速度制御に対するオーバーライドが発生したときに車両Vが向かおうとしていた方向と一致している。進行方向K2は、速度制御に対するオーバーライドが発生したときに車両Vが向かおうとしていた方向とは異なっている。このため、ペダル操作が検出された後、進行方向K1に沿って走行するように走行制御部17が操舵制御を実行している間は、半自動運転成立条件が成立している。このため、走行制御部17による操舵制御が継続され、速度制御のみを運転者が実行する半自動運転制御状態T2が維持される。一方、進行方向が進行方向K1から進行方向K2に変わったときに、半自動運転成立条件が成立しなくなる。このため、走行制御部17による速度制御及び操舵制御の実行が解除され、走行制御部17の制御状態が半自動運転制御状態T2から全制御OFF状態T3へ遷移する。
また、自動運転装置100が先行車と車車間通信を行うことができる場合がある。この場合、半自動運転成立条件として、例えば、先行車との車車間通信が継続できているか否かを用いることができる。走行制御部17は、先行車と車車間通信が継続している間、半自動運転成立条件が成立と判定する。ここで、走行制御部17は、例えば、車車間通信を行うことによって先行車の速度の情報等を取得することができる。車車間通信を行うことで、走行制御部17は、例えば、先行車が走行している場合には車両Vの前方の道路を走行可能と判定できるなど、車両Vの前方の状況を把握することができる。このため、車車間通信が継続している間、走行制御部17による操舵制御を継続する。
また、自動運転装置100が過去の走行経路を記憶している場合がある。この場合、半自動運転成立条件として、例えば、2回以上走行したことがある走行経路上を車両Vが走行しているか否かを用いることができる。走行制御部17は、2回以上走行したことがある走行経路上を車両Vが走行している場合、半自動運転成立条件が成立と判定する。例えば、2回以上走行したことがある走行経路である場合、当該走行経路を今回も走行可能であるとして、走行制御部17が操舵制御を実行することができる。
(操舵制御オーバーライド発生時の半自動運転成立条件の詳細)
次に、操舵制御に対するオーバーライド(ステアリング操作)が検出された場合に用いる半自動運転成立条件の具体例について説明する。この半自動運転成立条件とは、ステアリング操作が検出された場合に、走行制御部17が速度制御の実行を解除する又は継続する条件となる。
半自動運転成立条件として、例えば、車両Vの位置が減速エリア内であり、且つ走行制御部17が走行計画に基づいて実行している速度制御が当該減速エリアの減速要因に対応するための減速制御であるか否かを用いることができる。走行制御部17は、車両Vの位置が減速エリア内であるか否かを、車両位置認識部11で認識された車両Vの位置と地図情報に含まれる減速エリアの情報とに基づいて判定することができる。走行制御部17は、減速要因に対応するための減速制御であるか否かを、地図情報に基づいて判定することができる。ここでは、例えば地図情報に含まれる道路形状(直線路、カーブ路、上り坂、下り坂等)、又は減速要因(一時停止の道路標識、信号等)に基づいて判定することができる。
具体的には、例えば、減速要因が、曲率が予め設定された曲率よりも大きいために減速の必要があるカーブ路であるとする。減速要因に対応する減速制御であるか否かは、走行計画に基づいて実行している速度制御が、カーブ路に沿って走行するための速度制御であるか否かに基づいて判定することができる。このため、走行制御部17は、減速を要するカーブ路が存在する減速エリア内に車両Vが位置し、且つ走行計画に基づいて実行している操舵制御がカーブ路に沿って走行するための速度制御である場合、半自動運転成立条件が成立と判定する。
他の例として、例えば、図3(c)に示すように、減速要因が、車両Vが走行する道路Rに一時停止の道路標識X2であるとする。なお、一時停止の道路標識X2に代えて、信号であってもよい。減速要因に基づく減速制御であるか否かは、走行計画に基づいて実行している速度制御が、一時停止の道路標識X2の位置で停止できる減速制御であるか否かに基づいて判定することができる。走行制御部17は、一時停止の道路標識X2が存在する減速エリアに車両Vが位置し、且つ、走行計画に基づいて実行している速度制御が一時停止の道路標識X2の位置で停止できる減速制御である場合、半自動運転成立条件が成立と判定する。
他の例として、車両Vが走行する道路の制限速度が現在の車両Vの速度よりも低い状態であるとする。この場合、制限速度以下となるように車両Vの速度を遅くする必要がある。すなわち、車両Vの速度によっては、制限速度が減速要因となり、車両Vが走行する道路が減速エリアとなる。車両Vの速度が制限速度以下であるか否かは、例えば、車両Vの位置及び地図情報に基づいて得られる車両Vの走行する道路の制限速度、及び内部センサ3の速度センサで検出された速度に基づいて判定することができる。減速要因に基づく減速制御であるか否かは、走行計画に基づいて実行している速度制御が、制限速度以下となるように減速させるための減速制御であるか否かに基づいて判定することができる。走行制御部17は、車両Vが走行する道路の制限速度が現在の車両Vの速度よりも低い道路を車両Vが走行し(減速エリアを走行し)、且つ走行計画に基づいて実行している速度制御が制限速度以下となるように減速させるための減速制御である場合、半自動運転成立条件が成立と判定する。
他の例として、減速要因が、下り坂であるとする。道路が下り坂である場合、速度が出過ぎないように車両Vの速度を遅くする必要がある。このため、下り坂も減速要因となる。車両Vの走行する道路が下り坂であるか否かは、例えば、車両Vの位置及び地図情報の道路形状に基づいて判定することができる。減速要因に基づく減速制御であるか否かは、走行計画に基づいて実行している速度制御が、速度が出過ぎないように下り坂の傾斜に応じた速度となるように減速させるための減速制御であるか否かに基づいて判定することができる。走行制御部17は、車両Vの位置が下り坂(減速エリア)であり、且つ走行計画に基づいて実行している速度制御が下り坂の傾斜に応じた速度となるように減速させるための減速制御である場合、半自動運転成立条件が成立と判定する。
ここでは、半自動運転成立条件として、走行計画に基づいて実行している速度制御が減速要因に対応するための速度制御であることを用いたが、実際に実行している速度制御に限定されない。これに代えて、例えば、走行計画が、減速要因に対応するための速度制御を含むことを半自動運転成立条件として用いてもよい。すなわち、車両Vの位置が減速エリア内であり、且つ走行計画生成部14で生成された走行計画が当該減速エリアの減速要因に対応するための速度制御を含んでいるか否かを半自動運転成立条件としてもよい。走行制御部17は、車両Vの位置が減速エリア内であり、且つ走行計画が当該減速エリアの減速要因に対応するための速度制御を含んでいる場合、半自動運転成立条件が成立と判定する。
上記例では、半自動運転成立条件として、車両Vの位置が減速エリア内であることを用いたが、これに代えて、減速エリアが車両Vの前方の所定距離以内に存在することを用いてもよい。
また、半自動運転成立条件として、例えば、外部状況認識部12で認識された車両Vの周囲の障害物との関係を用いることができる。具体的には、例えば、外部状況認識部12で認識された車両Vの周囲の障害物と車両Vとの距離が予め定められた所定距離以下であるか否かを半自動運転成立条件とすることができる。走行制御部17は、車両Vの周囲の障害物と車両Vとの距離が所定距離以下である場合に、半自動運転成立条件が成立と判定する。他の例として、認識された障害物の数が予め定められた数以上であるか否かを半自動運転成立条件とすることができる。走行制御部17は、車両Vの周囲の障害物の数が予め定められた数以上である場合に、半自動運転成立条件が成立と判定する。他の例として、外部状況認識部12で認識された先行車に対して車両Vを追従して走行させる制御が実行されているか否かを半自動運転成立条件とすることができる。走行制御部17は、外部状況認識部12で認識された先行車に対して車両Vを追従して走行させる制御が実行されている場合に、半自動運転成立条件が成立と判定する。例えば、先行車に追従して車両Vが走行する場合、先行車が走行可能であるならば車両Vも走行することができる道路状態であると考えられる。このため、先行車に追従して走行する制御が実行されている場合には、走行制御部17によって速度制御を実行させるために、半自動運転成立条件が成立と判定する。また、先行車に対して車両Vを追従して走行させる場合、先行車に対して適切な距離を保ったまま追従する必要がある。すなわち、例えば、車両Vよりも遅い先行車に追従しようとしているときに走行制御部17による速度制御がOFFとなると、減速制御が実行されないために、予め設定した先行車追従のための車間距離が短くなることが考えられる。反対に、例えば、車両Vよりも速い先行車に追従しようとしているときに走行制御部17による速度制御がOFFとなると、加速制御が実行されないために、予め設定した先行車追従のための車間距離が長くなることが考えられる。このため、先行車に追従して走行する制御が実行されている場合には、走行制御部17によって速度制御を実行させるために、半自動運転成立条件が成立と判定する。
また、半自動運転成立条件として、例えば、操舵制御に対するオーバーライドが発生したときの車両Vの挙動の変化が、走行計画生成部14で生成された走行計画に基づく車両Vの挙動に対して所定の変化範囲内であるか否かを用いることができる。走行制御部17は、操舵制御に対するオーバーライドが発生したときの車両Vの挙動の変化が、走行計画に基づく車両Vの挙動に対して所定の変化範囲内である場合に、半自動運転成立条件が成立と判定する。オーバーライドが発生したときの車両Vの挙動は、内部センサ3の検出結果等に基づいて把握することができる。
また、半自動運転成立条件として、例えば、操舵制御に対するオーバーライドが発生したときの車両Vの挙動の変化によって、車両位置認識部11における位置の認識精度が予め定められた精度以上低下したか否かを用いることができる。なお、位置の認識精度は、例えばGPS受信部2の精度を用いる等、周知の技術を用いて算出することができる。走行制御部17は、操舵制御に対するオーバーライドが発生したときの車両Vの挙動の変化によって、位置の認識精度が予め定められた精度以上低下しなかった場合に、半自動運転成立条件が成立と判定する。
また、半自動運転成立条件として、例えば、操舵制御に対するオーバーライドが発生したときの車両Vの挙動の変化によって、外部状況認識部12における外部状況の認識精度が予め定められた精度以上低下したか否かを用いることができる。なお、外部状況の認識精度は、例えば外部センサ1のカメラ及び/又はレーダセンサの精度を用いる等、周知の技術を用いて算出することができる。走行制御部17は、操舵制御に対するオーバーライドが発生したときの車両Vの挙動の変化によって、外部状況の認識精度が予め定められた精度以上低下しなかった場合に、半自動運転成立条件が成立と判定する。
また、半自動運転成立条件として、例えば、操舵制御に対するオーバーライドが発生したために走行制御部17が速度制御のみを実行しているとき(半自動運転制御状態T2のとき)に、操舵制御に対するオーバーライドが発生したときの車両Vの目標車速に向けて車両Vの速度を制御しているか否かを用いることができる。すなわち、操舵制御に対するオーバーライドが発生したときの車両Vの目標車速に向けた車両運動が継続していることを、半自動運転成立条件とすることができる。操舵制御に対するオーバーライドが発生したときの車両Vの目標車速、及び走行制御部17が操舵制御のみを実行しているときの車両Vの速度は、例えば、走行計画に基づいて判定することができる。走行制御部17は、速度制御のみを実行しているときに、操舵制御に対するオーバーライドが発生したときの車両Vの目標車速に向けて車両Vの速度を制御している場合、半自動運転成立条件が成立と判定する。
具体例を、図4(b)を用いて説明する。図4(b)に示す例では、操舵制御に対するオーバーライドが発生した時の車両Vの速度をV0とし、その時の目標車速をVdesとする。また、速度V0は、目標車速Vdesよりも遅いとする。このため、操舵制御に対するオーバーライドが発生した後、目標車速Vdesとなるように走行制御部17が走行計画に基づいて車両Vの速度制御を実行している間は、半自動運転成立条件が成立と判定される。このため、目標車速Vdesとなるように走行制御部17が車両Vの速度制御を実行している間は、走行制御部17による速度制御が継続され、操舵制御のみを運転者が実行する半自動運転制御状態T2が維持される。一方、操舵制御に対するオーバーライドが発生したときの目標車速Vdesとは異なる目標車速に基づく速度制御が走行制御部17によって開始されたときに、半自動運転成立条件が成立しなくなる。このため、走行制御部17による速度制御及び操舵制御の実行が解除され、走行制御部17の制御状態が半自動運転制御状態T2から全制御OFF状態T3へ遷移する。
また、自動運転装置100が先行車と車車間通信を行うことができる場合がある。この場合、半自動運転成立条件として、例えば、先行車との車車間通信が継続できているか否かを用いることができる。走行制御部17は、先行車と車車間通信が継続している間、半自動運転成立条件が成立と判定する。走行制御部17は、車車間通信が継続している間、速度制御を継続する。
また、自動運転装置100が過去の走行経路を記憶している場合がある。この場合、半自動運転成立条件として、例えば、2回以上走行したことがある走行経路上を車両Vが走行しているか否かを用いることができる。走行制御部17は、先行車と車車間通信が継続している間、半自動運転成立条件が成立と判定する。走行制御部17は、車車間通信が継続している間、速度制御を継続する。
また、半自動運転成立条件として、例えば、車両Vが上り坂を走行しているか否かを用いることができる。車両Vが上り坂を走行しているか否かは、例えば、車両位置認識部11によって認識される車両Vの位置と地図情報の道路形状とに基づいて判定することができる。走行制御部17は、車両Vが上り坂を走行している場合、半自動運転成立条件が成立と判定する。これにより、車両Vが上り坂を走行している間、走行制御部17による速度制御の実行が継続される。ここで、車両Vが走行している道路が上り坂である場合、走行制御部17による速度制御の実行を解除すると、車両Vの速度が急に遅くなる又は後退する等が考えられる。このため、走行制御部17による速度制御を継続する。
次に、走行制御部17の制御状態が図2に示す自動運転制御状態T1のときにオーバーライドが検出された場合に、走行制御部17で行われる制御状態の遷移処理の流れについて図5を用いて説明する。図5に示す処理は、走行制御部17の制御状態が自動運転制御状態T1のときに、所定時間毎に繰り返し実行される。
図5に示すように、走行制御部17は、ペダル操作検出部15又はステアリング操作検出部16によってオーバーライド(ペダル操作又はステアリング操作)が検出されたか否かを判定する(S101)。オーバーライドが検出されていない場合(S101:NO)、走行制御部17は、走行計画に基づいて自動運転制御の実行を継続する(S102)。すなわち、図2の自動運転制御状態T1が継続される。
オーバーライドが検出された場合(S101:YES)、走行制御部17は、半自動運転成立条件が成立するか否かを判定する(S102)。半自動運転成立条件が成立する場合(S102:YES)、走行制御部17は、半自動運転制御を実行する(S103)。すなわち、走行制御部17は、速度制御及び操舵制御のうちオーバーライドがされていない制御の実行を継続し、且つオーバーライドされた制御の実行を解除する。これにより、走行制御部17の制御状態が、図2の自動運転制御状態T1から半自動運転制御状態T2へ遷移する。半自動運転成立条件が成立しない場合(S102:NO)、走行制御部17は、速度制御及び操舵制御の実行を解除する(S104)。これにより、走行制御部17の制御状態が図2の自動運転制御状態T1から全制御OFF状態T3へ遷移する。
次に、走行制御部17の制御状態が図2に示す半自動運転制御状態T2のときに、走行制御部17で行われる制御状態の遷移処理の流れについて図6を用いて説明する。図6に示す処理は、走行制御部17の制御状態が半自動運転制御状態T2の間、所定時間毎に繰り返し実行される。
図6に示すように、走行制御部17は、半自動運転成立条件が成立するか否かを判定する(S201)。半自動運転成立条件が成立している場合(S201:YES)、走行制御部17は、半自動運転制御を継続する(S202)。これにより、走行制御部17の制御状態として、図2の半自動運転制御状態T2が継続される。
一方、半自動運転成立条件が成立しない場合(S201:NO)、走行制御部17は、速度制御及び操舵制御の実行を解除する(S203)。これにより、走行制御部17の制御状態が図2の半自動運転制御状態T2から全制御OFF状態T3へ遷移する。
(自動運転復帰条件の詳細)
次に、走行制御部17の制御状態を、図2の半自動運転制御状態T2から自動運転制御状態T1へ遷移させるときの条件である自動運転復帰条件の具体例について説明する。以下では、走行制御部17が速度制御のみを実行する半自動運転制御中に操舵制御を復帰させるための自動運転復帰条件の具体例と、操舵制御のみを実行する半自動運転制御中に速度制御を復帰させるための自動運転復帰条件の具体例とに分けて説明する。走行制御部17は、現在実行中の半自動運転制御が、速度制御のみを実行する半自動運転制御であるか又は操舵制御のみを実行する半自動運転制御であるかに応じて、制御状態を遷移させるための判定に用いる自動運転復帰条件を選択する。
(速度制御のみを実行する半自動運転制御中に用いる自動運転復帰条件の詳細)
まず、操舵制御のオーバーライドが検出されて速度制御のみを実行する半自動運転制御中に、操舵制御を復帰させるための自動運転復帰条件の具体例について説明する。
自動運転復帰条件として、例えば、全ての制御(速度制御及び操舵制御)を復帰させる必要性が高いか否かを用いることができる。具体的には、自動運転復帰条件として、例えば、車両Vの前方の信号が表示する色を用いることができる。信号が表示する色は、例えば、外部状況認識部12のカメラ画像に基づいて把握される信号の表示する色を用いることができる。走行制御部17は、信号が表示する色が黄色又は赤色である場合、自動運転復帰条件が成立と判定する。
全ての制御を復帰させる必要性が高いことの他の例として、車両Vの位置が操舵エリア内であり、且つ運転者が行っている操舵制御の操舵量が当該操舵エリアの操舵要因を回避できる操舵量であるか否かを用いることができる。走行制御部17は、車両Vの位置が操舵エリア内であり、且つ運転者が行っている操舵制御の操舵量が当該操舵エリアの操舵要因を回避できる操舵量ではない場合、全ての制御を復帰させる必要性が高いと判定する。走行制御部17は、車両Vの位置が操舵エリア内であるか否かを、車両位置認識部11で認識された車両Vの位置と地図情報に含まれる操舵エリアの情報とに基づいて判定することができる。走行制御部17は、運転者が行っている操舵制御の操舵量が当該操舵エリアの操舵要因を回避できる操舵量であるか否かを、地図情報、内部センサ3のステアリングセンサの検出結果、及び車両Vの速度などに基づいて判定することができる。
具体的には、例えば、操舵要因が、予め設定された曲率よりも大きいカーブ路であるとする。運転者が行っている操舵制御の操舵量が当該操舵エリアの操舵要因を回避できる操舵量であるか否かは、地図情報に含まれるカーブ路の形状(道路形状)に沿って走行可能な操舵量であるか否かに基づいて判定することができる。走行制御部17は、カーブ路が存在する操舵エリア内に車両Vが位置し、且つ運転者の操舵制御の操舵量ではカーブ路に沿って走行できない場合、自動運転復帰条件が成立と判定する。
他の例として、操舵要因が工事区間であるとする。運転者が行っている操舵制御の操舵量が工事区間(工事中の車線)を回避できる操舵量であるか否かは、地図情報に含まれる工事区間の位置及びステアリングセンサの検出結果に基づいて判定することができる。走行制御部17は、工事区間が存在する操舵エリア内に車両Vが位置し、且つ運転者の操舵制御の操舵量では工事区間を避けることができない場合、自動運転復帰条件が成立と判定する。
他の例として、操舵要因が交差点であるとする。操舵要因に対応する操舵制御であるか否かは、目標ルート及び交差点の道路形状に基づいて判定することができる。走行制御部17は、交差点内に車両Vが位置し、且つ運転者の操舵制御の操舵量では目標ルートに沿って交差点内を走行することができない場合、自動運転復帰条件が成立と判定する。
操舵要因は地図情報内に含まれていることに限定されない。例えば、操舵要因は、外部状況認識部12によって認識された車両Vの前方の道路上に存在する回避可能な障害物であってもよい。走行制御部17は、障害物が存在し、且つ運転者の操舵制御の操舵量では障害物を回避できない場合、自動運転復帰条件が成立と判定する。
また、自動運転復帰条件として、運転者による操舵制御に対するオーバーライドの要因がなくなったか否かを用いることができる。走行制御部17は、操舵制御に対するオーバーライドの要因がなくなった場合、自動運転復帰条件が成立と判定する。例えば、運転者が障害物を避けるために操舵制御に対するオーバーライドを行ったとする。この場合、走行制御部17は、障害物を車両Vが通り過ぎた等、障害物を回避し終わった場合に、オーバーライドの要因がなくなったと判定することができる。なお、障害物を回避し終わったか否かは、車両Vの位置と地図情報に含まれる障害物の位置とに基づいて判定することができる。また、外部状況認識部12によって認識された障害物の位置に基づいて、障害物を回避し終わったか否かを判定することができる。走行制御部17は、車両Vの走行車線と車両Vの向きとが平行になった場合に、オーバーライドの要因がなくなったと判定してもよい。車両Vの向きが走行車線と平行になったか否かは、例えば、外部センサ1のカメラの撮像画像の白線、又はライダーで検出された白線などに基づいて判定することができる。また、走行制御部17は、障害物を回避し終り、且つ走行車線と車両Vの向きとが平行になった場合に、オーバーライドの要因がなくなったと判定してもよい。
また、自動運転復帰条件として、運転者が操舵制御を行っているときの車両Vの挙動と、走行計画生成部14が生成した走行計画に基づく車両Vの挙動とが一致したか否かを用いることができる。走行制御部17は、運転者が操舵制御を行っているときの車両Vの挙動と、走行計画生成部14が生成した走行計画に基づく車両Vの挙動とが一致した場合に、自動運転復帰条件が成立と判定する。
具体的には、走行制御部17は、運転者による操舵量(操舵角又は操舵トルク)と、走行計画に基づく操舵量とが等しくなった場合、又は等しい状態が所定時間継続した場合に、自動運転復帰条件が成立と判定することができる。なお、運転者による操舵量(操舵角又は操舵トルク)は、内部センサ3のステアリングセンサの検出結果に基づいて把握することができる。
運転者による操舵量と走行計画に基づく操舵量とが等しくなった場合の具体例について、図7(a)及び図7(b)を用いて説明する。図7(a)に示すように、車両Vが道路Rを走行しており、車両Vの前方に駐車車両V1が存在するとする。車両Vの運転者が操舵制御に対するオーバーライドを行った(図7(b)の時刻t1)ことにより、走行経路K11に示すようにオーバーライド発生時の走行計画に基づく走行経路K10から走行経路が逸れたとする。図7(b)では、操舵制御に対するオーバーライド発生前の操舵角(すなわち走行計画に基づく操舵角)をD10として示している。図7(b)では、時刻t1以降において、運転者の操舵制御に基づく操舵角をD11で示している。
走行計画生成部14は、操舵制御のオーバーライドが発生して走行制御部17が半自動運転制御を行っている間も、走行計画の生成を続けている。図7(a)では、走行制御部17が半自動運転制御を実行しているときに生成された走行計画に基づく走行経路を、走行経路K12とする。図7(b)では、半自動運転を行っている間に走行計画生成部14が生成した走行計画に基づく操舵制御の操舵角をD12で示している。運転者の操舵制御に基づく走行経路K11と、半自動運転制御を実行中に生成された走行計画に基づく走行経路K12とは、地点Pにおいて一致し、運転者の操舵制御における操舵量と走行計画に基づく操舵量とが一致する(図7(b)における時刻t2)。このため、走行制御部17は、地点P(時刻t2)において、運転者による操舵量と、走行計画に基づく操舵量とが等しくなったと判定する。
(操舵制御のみを実行する半自動運転制御中に用いる自動運転復帰条件の詳細)
次に、速度制御のオーバーライドが検出されて操舵制御のみを実行する半自動運転制御中に、速度制御を復帰させるための自動運転復帰条件の具体例について説明する。
自動運転復帰条件として、例えば、全ての制御(速度制御及び操舵制御)を復帰させる必要性が高いか否かを用いることができる。走行制御部17は、全ての制御を復帰させる必要性が高い場合、自動運転復帰条件が成立と判定する。
具体的には、全ての制御を復帰させる必要性が高いことの例として、例えば、曲率が予め設定された曲率よりも大きいために減速の必要があるカーブ路を車両Vが走行中又は当該カーブ路に車両Vが進入しようとしているか否かを用いることができる。走行制御部17は、車両Vの位置が減速を要するカーブ路を走行中又は進入しようとしているか否かを、車両位置認識部11で認識された車両Vの位置と地図情報に含まれるカーブ路の情報とに基づいて判定することができる。走行制御部17は、減速の必要があるカーブ路を車両Vが走行中又は当該カーブ路に車両Vが進入しようとしている場合、全ての制御を復帰させる必要性が高く、自動運転復帰条件が成立と判定する。
全ての制御を復帰させる必要性が高いことの他の例として、例えば、車両Vの前方に一時停止の道路標識又は信号が存在するか否かを用いることができる。走行制御部17は、車両Vの前方に一時停止の道路標識又は信号が存在するか否かを、車両位置認識部11で認識された車両Vの位置と地図情報に含まれる一時停止の道路標識又は信号の情報とに基づいて判定することができる。走行制御部17は、車両Vの前方に一時停止の道路標識又は信号が存在する場合、全ての制御を復帰させる必要性が高く、自動運転復帰条件が成立と判定する。なお、信号が存在し、その信号が表示する色が黄色又は赤色である場合、走行制御部17は、全ての制御を復帰させる必要性が高く、自動運転復帰条件が成立と判定することもできる。
全ての制御を復帰させる必要性が高いことの他の例として、車両Vが走行する道路の制限速度が現在の車両Vの速度よりも低いか否かを用いることができる。車両Vが走行する道路の制限速度が現在の車両Vの速度よりも低い場合、制限速度以下となるように車両Vの速度を遅くする必要がある。このため、走行制御部17は、車両Vが走行する道路の制限速度が現在の車両Vの速度よりも低い場合、全ての制御を復帰させる必要性が高く、自動運転復帰条件が成立と判定する。なお、車両Vの速度が制限速度以下であるか否かは、例えば、車両Vの位置及び地図情報に基づいて得られる車両Vの走行する道路の制限速度、及び内部センサ3の速度センサで検出された速度に基づいて判定することができる。また、車両Vが走行する道路の制限速度が現在の車両Vの速度よりも速い否かを用いてもよい。車両Vが走行する道路の制限速度が現在の車両Vの速度よりも速い場合、制限速度となるように車両Vの速度を早くする必要がある。このため、走行制御部17は、車両Vが走行する道路の制限速度が現在の車両Vの速度よりも速い場合、全ての制御を復帰させる必要性が高く、自動運転復帰条件が成立と判定する。
また、自動運転復帰条件として、運転者による速度制御に対するオーバーライドの要因がなくなったか否かを用いることができる。走行制御部17は、速度制御に対するオーバーライドの要因がなくなった場合、自動運転復帰条件が成立と判定する。例えば、運転者が障害物を避けるために速度制御に対するオーバーライドを行ったとする。この場合、走行制御部17は、障害物を車両Vが通り過ぎた等、障害物を回避し終わった場合に、オーバーライドの要因がなくなったと判定することができる。なお、障害物を回避し終わったか否かは、車両Vの位置と地図情報に含まれる障害物の位置とに基づいて判定することができる。また、外部状況認識部12によって認識された障害物の位置に基づいて、障害物を回避し終わったか否かを判定することができる。例えば、図8(a)に示すように、走行制御部17は、車両Vが駐車車両V1を通り過ぎて障害物の回避終了地点Lに車両Vが到達したときに、オーバーライドの要因がなくなったと判定することができる。走行制御部17は、車両Vの走行車線と車両Vの向きとが平行になった場合に、オーバーライドの要因がなくなったと判定してもよい。車両Vの向きが走行車線と平行になったか否かは、例えば、外部センサ1のカメラの撮像画像の白線、又はライダーで検出された白線などに基づいて判定することができる。例えば、図8(a)に示すように、走行制御部17は、車両Vが駐車車両V1を回避し終わり、車両Vの向きが走行車線R1と平行(図8(a)において破線で示す車両Vの状態)になった場合に、オーバーライドの要因がなくなったと判定する。また、走行制御部17は、障害物を回避し終り、且つ走行車線と車両Vの向きとが平行になった場合に、オーバーライドの要因がなくなったと判定してもよい。
また、自動運転復帰条件として、運転者が速度制御を行っているときの車両Vの挙動と、走行計画生成部14が生成した走行計画に基づく車両Vの挙動とが一致したか否かを用いることができる。走行制御部17は、運転者が速度制御を行っているときの車両Vの挙動と、走行計画生成部14が生成した走行計画に基づく車両Vの挙動とが一致した場合に、自動運転復帰条件が成立と判定する。
具体的には、走行制御部17は、運転者による加減速量と、走行計画に基づく加減速量とが等しくなった場合、又は等しい状態が所定時間継続した場合に、自動運転復帰条件が成立と判定することができる。なお、運転者による加減速量は、内部センサ3の加速度センサ等の検出結果に基づいて把握することができる。
運転者による加減速量と走行計画に基づく加減速量とが等しくなった場合の具体例について、図8(b)を用いて説明する。ここでは、時刻t1においてブレーキペダルが操作されたことによって速度制御のオーバーライドが発生したとする。図8(b)では、速度制御に対するオーバーライド発生前の速度(すなわち走行計画に基づく速度)をSP10として示している。図8(b)では、時刻t1以降において、運転者の減速制御に基づく速度をSP11で示している。
走行計画生成部14は、操舵制御のオーバーライドが発生し走行制御部17が半自動運転制御を行っている間も、走行計画の生成を続けている。図8(b)では、半自動運転を行っている間に走行計画生成部14が生成した走行計画に基づく速度をSP12で示している。運転者の減速制御に基づく速度SP11と、半自動運転制御を実行中に生成された走行計画に基づく速度SP12とは時刻t2において一致する。すなわち、運転者の速度制御における加減速量と走行計画に基づく加減速量とが一致する。このため、走行制御部17は、時刻t2において、運転者による加減速量と、走行計画に基づく加減速量とが等しくなったと判定する。
次に、走行制御部17の制御状態が図2に示す半自動運転制御状態T2のときに自動運転制御状態T1へ復帰する際の制御状態の遷移処理の流れについて図9を用いて説明する。図9に示す処理は、走行制御部17の制御状態が半自動運転制御状態T2の間、所定時間毎に繰り返し実行される。また、図6に示す処理と、図9に示す処理とは走行制御部17において並行して実行される。
図9に示すように、走行制御部17は、自動運転復帰条件が成立するか否かを判定する(S301)。自動運転復帰条件が成立する場合(S301:YES)、走行制御部17は、自動運転制御に復帰する(S302)。これにより、走行制御部17の制御状態が図2の半自動運転制御状態T2から自動運転制御状態T1に遷移する。
一方、自動運転復帰条件が成立しない場合(S301:NO)、走行制御部17は、半自動運転制御を継続する(S303)。これにより、走行制御部17の制御状態として、図2の半自動運転制御状態T2が継続される。
次に、運転者によるオーバーライドが発生したことによって半自動運転制御となった後、運転者によるオーバーライドが終了したときに、自動運転制御状態に復帰又は全制御OFF状態に遷移する制御状態について図10を用いて説明する。図10に示すように、走行制御部17の制御状態が自動運転制御状態T11のときに、速度制御又は操舵制御に対して運転者によるオーバーライドが発生し、半自動運転制御状態T12に遷移したとする。半自動運転制御状態T12に遷移した後、運転者によるオーバーライドが終了した場合、走行制御部17は、半自動運転制御状態T12を終了する半自動運転制御終了状態T13となる。このとき、走行制御部17は、自動運転復帰条件が成立する場合、半自動運転制御状態T12を終了(半自動運転制御終了状態T13)して自動運転制御状態T11に復帰する。一方、走行制御部17は、自動運転復帰条件が成立しない場合、半自動運転制御状態T12を終了(半自動運転制御終了状態T13)して、全制御OFF状態T14に遷移する。このように、走行制御部17は、半自動運転制御を実行中に運転者によるオーバーライドが終了した場合には、自動運転復帰条件が成立するか否かに応じて、制御状態を自動運転制御状態T11又は全制御OFF状態T14に遷移させる。
(オーバーライド終了時の自動運転復帰条件の詳細)
次に、自動運転復帰条件の具体例について説明する。以下では、速度制御に対するオーバーライドに基づいて半自動運転制御を行っていた場合に当該オーバーライドが終了した際に用いる自動運転復帰条件の具体例と、操舵制御に対するオーバーライドに基づいて半自動運転制御を行っていた場合に当該オーバーライドが終了した際に用いる自動運転復帰条件の具体例とに分けて説明する。走行制御部17は、半自動運転制御へ遷移する要因となったオーバーライドがペダル操作であるかステアリング操作であるかに応じて、制御状態を遷移させるための判定に用いる自動運転復帰条件を選択する。
(速度制御に対するオーバーライド終了時の自動運転復帰条件の詳細)
まず、速度制御に対するオーバーライドに基づいて半自動運転制御を行っていた場合に当該オーバーライドが終了した際に用いる自動運転復帰条件の具体例について説明する。速度制御のオーバーライドが終了した際に用いる自動運転復帰条件として、例えば、速度制御のオーバーライドが終了したときの先行車と車両Vとの距離が所定距離以上であるか否かを用いることができる。走行制御部17は、先行車と車両Vとの距離が所定距離以上離れている場合、オーバーライドが終了した際に用いる自動運転復帰条件が成立と判定する。先行車と車両Vとの距離が所定距離以上離れているか否かは、外部状況認識部12で検出された先行車の情報に基づいて判定することができる。車両Vと先行車との距離が所定距離以上離れている場合、車両Vが先行車に近づく可能性が低い。このため、走行制御部17による自動運転制御状態に復帰し、車両Vの自動運転制御を行う。一方、走行制御部17は、先行車と車両Vとの距離が所定距離以上離れていない場合、オーバーライドが終了した際に用いる自動運転復帰条件が成立しないと判定する。
また、速度制御のオーバーライドが終了した際に用いる自動運転復帰条件として、例えば、運転者のオーバーライドがアクセルペダルを踏み込んだことによるオーバーライドであったか、ブレーキペダルを踏み込んだことによるオーバーライドであったか否かを用いることができる。例えば、運転者がアクセルペダルを踏み込んだことによって速度制御のオーバーライドが発生した後、アクセルペダルから足を離した(アクセルペダルの踏み込みを解除した)場合、走行制御部17は、自動運転復帰条件が成立と判定することができる。一方、例えば、運転者がブレーキペダルを踏み込んで速度制御のオーバーライドが発生した後、ブレーキペダルを離した(ブレーキペダルの踏み込みを解除した)場合、走行制御部17は、自動運転復帰条件が成立しないと判定することができる。このように、半自動運転制御に遷移する要因となったペダル操作の種別に応じて自動運転復帰条件を変えることができる。
また、速度制御のオーバーライドが終了した際に用いる自動運転復帰条件として、例えば、運転者のオーバーライドが急ブレーキ操作であり、急ブレーキによって車両Vが停止状態となったか否かを用いることができる。速度制御のオーバーライドとして運転者が急ブレーキ操作を行ったことによって車両Vが停止状態となった後、運転者がブレーキペダルから足を離した(ブレーキペダルの踏み込みを解除した)場合、走行制御部17は、自動運転復帰条件が成立と判定することができる。一方、速度制御のオーバーライドとして運転者が急ブレーキ操作を行ったが、車両Vが停止状態とならなる前に運転者がブレーキペダルから足を離した場合、走行制御部17は、自動運転復帰条件が成立しないと判定することができる。運転者が急ブレーキ操作を行ったことによって車両Vが停止状態となったか否かは、内部センサ3の速度センサの検出結果等に基づいて把握することができる。
(操舵制御に対するオーバーライド終了時の自動運転復帰条件の詳細)
次に、操舵制御に対するオーバーライドに基づいて半自動運転制御を行っていた場合に当該オーバーライドが終了した際に用いる自動運転復帰条件の具体例について説明する。操舵制御のオーバーライドが終了した際に用いる自動運転復帰条件として、例えば、操舵制御のオーバーライドが終了したときの先行車と車両Vとの距離が所定距離以下であるか否かを用いることができる。走行制御部17は、先行車と車両Vとの距離が所定距離以上離れている場合、オーバーライドが終了した際に用いる自動運転復帰条件が成立と判定する。先行車と車両Vとの距離が所定距離以上離れているか否かは、外部状況認識部12で検出された先行車の情報に基づいて判定することができる。一方、先行車と車両Vとの距離が所定距離以上離れていない場合、オーバーライドが終了した際に用いる自動運転復帰条件が成立しないと判定する。車両Vと先行車との距離が所定距離以上離れていない場合(先行車と近い場合)、走行制御部17による不要な制御介入を避けるため、自動運転復帰条件が成立しないと判定して全制御OFF状態となる。
次に、走行制御部17の制御状態が図10に示す半自動運転制御状態T12の状態で運転者によるオーバーライドが解除されたときの制御状態の遷移処理の流れについて図11を用いて説明する。図11に示す処理は、走行制御部17の制御状態が半自動運転制御状態T2の状態で運転者によるオーバーライドが解除されたときに1回のみ実行される。
図11に示すように、走行制御部17は、運転者によるオーバーライドが解除されたときに、オーバーライドが終了した際に用いる自動運転復帰条件が成立するか否かを判定する(S401)。自動運転復帰条件が成立する場合(S401:YES)、走行制御部17は、自動運転制御に復帰する(S402)。これにより、走行制御部17の制御状態が図10の半自動運転制御状態T12から半自動運転制御状態T12を終了(半自動運転制御終了状態T13)して自動運転制御状態T11に復帰する。
一方、自動運転復帰条件が成立しない場合(S401:NO)、走行制御部17は、速度制御及び操舵制御のいずれも実行しない(S303)。これにより、走行制御部17の制御状態が図10の半自動運転制御状態T12から半自動運転制御状態T12を終了(半自動運転制御終了状態T13)して、全制御OFF状態T14に遷移する。
本実施形態は以上のように構成され、この自動運転装置100では、走行制御部17が速度制御及び操舵制御を実行している状態でペダル操作が検出された場合、車両Vの位置が操舵エリア内であり且つ操舵要因に対応するための操舵制御を実行しているか否かに応じて走行制御部17による操舵制御の実行が継続される。また、走行制御部17が速度制御及び操舵制御を実行している状態でステアリング操作が検出された場合、車両Vの位置が減速エリア内であり且つ減速要因に基づいた減速制御を実行しているか否かに応じて走行制御部17による速度制御の実行が継続される。すなわち、速度制御及び操舵制御の一方の制御のみが走行制御部17によって実行される半自動運転状態への切り替えが、車両Vが走行している場所を考慮して行われる。これにより、自動運転装置100は、車両Vが走行している場所を考慮して車両Vの運転状態を半自動運転状態に切り替えることができる。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。なお、本変形例の説明において、実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図12に示すように、本変形例における自動運転装置100Aは、外部センサ1、GPS受信部2、内部センサ3、地図データベース4、ナビゲーションシステム5、アクチュエータ6、HMI7、及びECU10Aを備えている。ECU10Aは、実施形態における自動運転装置100のECU10の各機能構成に加えて、データロギング部18を更に有している。
データロギング部18は、車両Vの走行データを蓄積する。データロギング部18は、例えば車両Vのイグニッションがオンになってからイグニッションがオフとなるまでの間の走行データを蓄積する。データロギング部18は、走行データとして、例えば、ECU10Aを構成する各機能部の演算結果又は演算結果と内部値、及び運転者による車両Vの操作情報等を記憶する。これにより、車両Vの挙動が、運転者の操作に起因するものであるか又は走行制御部17による制御に起因するものであるかを判定することができる。
また、走行制御部17が制御状態を遷移させる判定条件として用いる半自動運転成立条件及び自動運転復帰条件に用いる閾値(カーブ路の曲率、障害物との距離又は数、車両Vの挙動の変化が走行計画に基づく車両Vの挙動に対して所定の変化範囲内であるか否かを判定する際の閾値等)として、データロギング部18で蓄積した種々のデータを利用して閾値を設定してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、走行制御部17が制御状態を遷移させる判定条件として用いた半自動運転成立条件及び自動運転復帰条件については、上述した条件以外の条件を用いてもよい。
上記実施形態及び変形例では、半自動運転成立条件として、減速要因が存在する減速エリアの情報を用いたが、減速に限定されない。例えば、減速エリアの情報に代えて、加速要因が存在する加速エリアの情報を用いてもよい。この加速要因として、例えば、道路の制限速度が低速域から高速域に切り替わる場合(幹線道路へ合流する場合等)等が挙げられる。加速要因に基づく加速制御であるか否かは、走行計画に基づいて実行している速度制御が、制限速度となるように加速させるための加速制御であるか否かに基づいて判定することができる。また、減速エリアの情報に代えて、加速要因及び減速要因が存在する加減速エリアの情報を用いてもよい。加速エリアの情報、又は加減速エリアの情報を用いる場合も、減速エリアの情報を用いる場合と同様の判定処理を行うことができる。
また、地図データベース4が記憶する減速エリアの情報及び操舵エリアの情報を含む地図情報は、地図上に予め減速エリア及び操舵エリアが設定されているような地図情報に限られない。例えば、減速エリアの情報及び操舵エリアの情報を含む地図情報には、走行制御部17の認識処理によって地図上の停止線、信号機、道路形状等から減速エリア及び操舵エリアを認識できる地図情報も含まれる。走行制御部17は、周知の手法により、地図上の停止線、信号機、道路構造等から減速エリア及び操舵エリアを認識する。走行制御部17は、例えば、地図上の停止線から所定距離の区間を減速エリアとして認識する。すなわち、減速エリアの情報には、地図上の停止線、信号機等の情報のみも含まれる。操舵エリアの情報には、地図上の道路形状の情報のみも含まれる。