JP4956378B2 - 電動式車両姿勢制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用サスペンション装置に備える電動式姿勢制御装置に関する。
車両用サスペンション装置において、特許文献1に記載されているように、一般的に用いられていた油圧ダンパ装置(油圧緩衝器)と、コイルスプリングを用い、その上部に車高調整装置を組み合わせたものが知られている。
特開2006−224859号公報(図1、図2、図5参照)
しかしながら、このような車両用サスペンションにおいては、車高調整装置に作動液を供給する作動液供給装置やその制御をする電機制御回路等を必要とする。従って、構成部品が多くなり、構造が複雑で、車両重量が増加する。また、車高調整装置が車両用サスペンションの上部に設けられるので、油圧式ダンパ装置、コイルスプリングの長さに加えて、車高調整装置の高さが加わり、車室の広さを犠牲にして搭載せざるを得なかった。
なお、車高調整装置を空気圧式にしても同様の問題が生じる。
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、車高調整装置の高さが加わらないので、車室の広さを犠牲にせず、シンプルな構造の車両姿勢制御装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、車輪の上下動を電動モータの回転に変換する電動ダンパ変換機構と、車輪の上下動の位置を検出するストロークセンサと、ストロークセンサからの信号にもとづいて電動モータを制御するダンパ制御手段と、ダンパ制御手段を含む車両姿勢制御手段を有する電動式車両姿勢制御装置において、電動モータに電力を供給するバッテリを更に備え、車両姿勢制御手段は、電動モータからバッテリまでの経路上に設けられた4つのスイッチング素子で構成されたHブリッジ回路をPWM制御し、電動モータが、外力に対抗して駆動制御されるべきモータ駆動状態か否かを判断し、モータ駆動状態のときには電動モータを駆動制御し、それ以外のときには電動モータを回生制御し、電動モータを駆動制御、若しくは回生制御しながら、ストロークセンサの信号にもとづいて算出された車高に係わる量を、予め設定された車高に係わる目標値と比較して、目標値に収まらない場合は前記電動モータを制御して、車両の車高を制御するとともに、
電動ダンパ変換機構による伸び側の制御の場合であっても、電動モータを駆動制御するときには、Hブリッジ回路のバッテリからの電力供給側に近い方の2つのスイッチング素子のうちの一方をオンとし、他方をオフとし、電力供給側に遠い方の2つのスイッチング素子のうちの前記一方と対角位置にあたるスイッチング素子をPWM制御し、前記他方と対角位置にあたるスイッチング素子をオフとし、
電動モータを回生制御するときには、Hブリッジ回路のバッテリからの電力供給側に近い方の2つのスイッチング素子のうちの前記他方をPWM制御し、電力供給側に遠い方の2つのスイッチング素子を共にオフとし、
電動ダンパ変換機構による縮み側の制御の場合であっても、電動モータを前記駆動制御するときには、Hブリッジ回路のバッテリからの電力供給側に近い方の2つのスイッチング素子のうちの前記一方をオフとし、前記他方をオンとし、電力供給側に遠い方の2つのスイッチング素子のうちの前記一方と対角位置にあたるスイッチング素子をオフとし、前記他方と対角位置にあたるスイッチング素子をPWM制御し、
電動モータを回生制御するときには、Hブリッジ回路のバッテリからの電力供給側に近い方の2つのスイッチング素子のうちの前記一方をPWM制御し、電力供給側に遠い方の2つのスイッチング素子を共にオフとし、
電動ダンパ変換機構による伸び側の制御の場合又は縮み側の制御の場合であっても、電動モータを駆動制御するときと回生制御するときとでは、前記4つのスイッチング素子の制御パターンを切り換えることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明の構成に加え、車両姿勢制御手段は、少なくとも車高に関わる目標値を含む第一目標値の正負を判断し、第一目標値が正の場合には、第一目標値にダンパ制御目標値を加算して、加算結果が正のときには、電動モータを駆動制御とし、加算結果が負のときには、電動モータを回生制御とし、第一目標値が負の場合には、第一目標値にダンパ制御目標値を加算して、加算結果が正のときには、電動モータを回生制御とし、加算結果が負のときには、電動モータを駆動制御とすることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明の構成に加え、車両姿勢制御手段は、ストロークセンサの信号にもとづいて左右輪の高さを比較し、その差分をなくす方向に電動モータを制御するスタビライザ制御を行なうことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明の構成に加えて、車両姿勢制御手段は、ストロークセンサの信号のうちの低周波の信号を取り出す低周波フィルタを有し、低周波の信号にもとづいて電動モータを制御することで車高の制御を行なうことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の発明の構成に加えて、車両姿勢制御手段は、予め設定された車高に係わる目標値が所定の幅を有し、この幅から低周波の信号が外れた場合に電動モータを制御して、車両の車高を制御することを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項4に記載の発明の構成に加えて、車高の制御に対してのみ予め設定された車高に係わる目標値が、所定の幅を有し、この幅から低周波の信号が外れた場合に電動モータを制御して、車高の制御を行なうことを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の発明の構成に加えて、予め設定された車高に係わる目標値が、車両の前輪に対するものと、車両の後輪に対するものとで独立に設定されることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の発明の構成に加えて、予め設定された車高に係わる目標値が、車両の左側車輪に対するものと、右側車輪に対するものとで独立に設定されることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の発明の構成に加えて、車両姿勢制御手段は、更に、車両の前後加速度を検出する前後加速度センサからの所定以上の加速度又は減速度を検出した場合、予め設定された目標値になるように前後の車輪の電動ダンパ変換機構の電動モータを制御して、車両の前後姿勢を維持することを特徴とする。
請求項1又は請求項2に記載の発明によれば、電動ダンパ変換機構と、車輪の上下動の位置を検出するストロークセンサからの信号にもとづいて電動モータを制御するダンパ制御手段を含む車両姿勢制御手段を有する電動式車両姿勢制御装置が、特許文献1に記載した従来技術における車高調整装置を兼ねるので、従来のような作動液を供給する作動液供給装置やその制御をする制御回路等を必要せず、構造が簡単になる。また、サスペンション装置全体の高さを低くできる。従って、設計自由度を向上できると共に、車室を広くでき、乗員の居住快適性を向上させることができる。
更に、車高の制御を実施しないときは、回生制御による電力の回収を可能にし、省エネに寄与する。
請求項3に記載の発明によれば、車両がロールしてストロークセンサの信号のうちの左右の車輪で差異が生じたとき、その差異を打ち消す方向に電動式車両姿勢制御装置の電動モータを制御するので、旋回走行時や車線変更時の車体のロール角を低減でき、走行性能を向上できる。
請求項4に記載の発明によれば、車両姿勢制御手段は、ストロークセンサの信号のうちの低周波の信号を用いて車両の車高を制御するので、ダンパ制御と、車高の制御を分離して、電動式車両姿勢制御装置を利用して、容易にかつ路面からの高周波振動の影響を受けないで正確な車高の制御を行なうことができる。
請求項5又は請求項6に記載の発明によれば、車両姿勢制御手段は、予め設定された車高に係わる目標値が所定の幅を有しているので、道路形状の凹凸等により不用意にしかも頻繁に車高制御が行われずに安定に、かつ滑らかに行なわれ、車室の低周波の揺れの連続による不快感を乗員に与えない。
請求項7に記載の発明によれば、車両姿勢制御手段は、予め設定された車高に係わる目標値を前輪と後輪とで別々に設定できるので、例えば、高速運転の場合は車両姿勢を前傾姿勢として空気抵抗を低減したり、全体の車高を下げてロールセンタ高さを下げたりすることができる。空気抵抗を低減できると、従来のエンジンによる車両や、エンジン駆動と電動機駆動を両用するハイブリッド車両の場合、エンジンの負担を減らすことができ、又、電気自動車や燃料電池車の場合、電動機の負担を減らすことができ、燃費向上や走行距離増加や、CO2削減を可能にする。ロールセンタ高さを下げた場合、車体のロール角を小さくして、車両の操縦性を向上させたり、横風を受けた場合の車両ロールを低減できる。
しかも、サスペンション装置全体の高さを低くできるので、スポーツカーやRV車等の車種適用の範囲を拡大できると共に、車高をより低く保持できる。
請求項8に記載の発明によれば、車両姿勢制御手段は、予め設定された車高に係わる目標値を車両の左側車輪と右側車輪とで別々に設定できるので、車幅方向に傾斜のついた道路を走行する場合でも、左右にフラットな姿勢を維持することができ、乗員にとって優しい走行状態を維持できる。
請求項9に記載の発明によれば、車両姿勢制御手段は、車両が加減速したことを前後加速度センサで検知し、減速時の車体の前のめり、加速時の車体の後ろ沈みを抑制することができ、乗員の乗り心地を良くすることができる。
しかも、サスペンション装置全体の高さを低くできるので、車高重心をより低く保持できる。それにより加減速の前のめり量と後ろ沈み量を小さくできる。
本発明の実施形態を図にもとづいて以下に説明する。
《第1の実施形態》
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる電動式車両姿勢制御装置を適用した車両用サスペンション装置を備えた車両の、背面から見た模式図である。図2は本実施形態における電動ダンパ装置用の電動ダンパ変換機構の断面構造図である。図3は図2におけるA−A部分断面図である。
本発明の特徴は、後述する電動ダンパ変換機構と、ストロークセンサと、ダンパ制御ECUと、モータ駆動部等とで構成される電動ダンパ装置が車両の姿勢制御をする電動式車両姿勢制御装置を兼ねている点である。
図1では、直接にはリアサスペンションを示しているが、フロントサスペンションは、図1における車輪支持部材23がステアリングナックルに置き換わるだけであり、基本的にリアサスペンションと同じ構成であり( )にフロントサスペンションにおける符号を示してある。ここで、左右前輪に係わる構成で、説明上区別するときには数字符号の後ろに左前輪を示すFL、右前輪を示すFRを付し、例えば、単に車輪25と表示せず車輪25FL,25FRと表示し、左右後輪に係わる構成で、説明上区別するときには数字符号の後ろに左後輪を示すRL、右後輪を示すRRを付し、例えば、単に車輪25と表示せず車輪25RL,25RRと表示する。他の各車輪25に係わるサスペンション装置20及びその構成についても同様である。
本実施形態では、左右の前輪25FL,25FR及び左右の後輪25RL,25RRすべてのサスペンション装置20FL,20FR,20RL,20RRに電動ダンパ装置の電動ダンパ変換機構30FL,30FR,30RL,30RRを備えた場合を例に説明する。
(サスペンション装置)
図1に示すように、車両10は車体11に左右一対の車両用サスペンション装置(以下、単にサスペンション装置と称する)20FL,20FR、及びサスペンション装置20RL,20RRを備えている。車体11は、前後左右の上部にサスペンション取付部11a,11a,11a,11aを有している。サスペンション装置20FL,20FR,20RL,20RRは、車両10のフロントサスペンション、又はリヤサスペンションとして採用され、車体11には左右の車輪25FL,25FR,25RL,25RRを懸架する。
左のサスペンション装置20RL(20FL)は、例えば、上側のアッパーアーム21及び下側のロアアーム22と、車輪支持部材23と、電動ダンパ変換機構30RL(30FL)とからなる、ダウルウィッシュボーン式サスペンション又はマルチリンク式サスペンションである。
アッパーアーム21及びロアアーム22は、車体11の側部に上下スイング可能に連結されている。車輪支持部材23は、車輪25RL(25FL)を回転可能に支持するためのナックルからなり、アッパーアーム21の先端及びロアアーム22の先端部に上下スイング可能に連結されている。左の電動ダンパ変換機構30RL(30FL)は、上部に電動モータ35RL(35FL)を有し、車体11のサスペンション取付部11aと車輪支持部材23の下部との間に掛け渡されて、車輪25RL(25FL)に作用する上下方向の振動を電動モータ35RL(35FL)により減衰させるものである。
左の電動ダンパ変換機構30RL(30FL)は、図1に示すように、車体11に対して車輪25RL(25FL)が相対的に上下方向に変位するときの所定の基準値からの変位量St(図示せず)を検出する変位量検出センサ(ストロークセンサ)80RL(80FL)をそれぞれ有している。
右のサスペンション装置20RR(20FR)及びそれに備わる電動ダンパ変換機構30RR(30FR)は、それぞれ左のサスペンション装置20RL(20FL)及び電動ダンパ変換機構30RL(30FL)と左右対称である他には同じ構成なので、説明を省略する。
以下、重複する説明を省略するため、左側の電動ダンパ変換機構30RL(30FL)を例に詳細な構成を説明する。
(コイルスプリング)
図1に示すように、コイルスプリング(ばね機構)36は、車輪25RL(25FL)に作用した車体重量を支えつつ、上下方向の振動や衝撃力を吸収する緩衝装置である。図2に示すように、このコイルスプリング36は、電動ダンパ変換機構30RL(30FL)の下部側に配置され、電動モータ35RL(35FL)に対してロッド32により下方向に離れた位置に、ロッド32と同軸に、つまり、後記するダンパハウジング31のロッド部42をコイルスプリング36のコイル内径内方に収容して配置されている。このコイルスプリング36の上端部36aはロッド部42の上方側に固定されたばね座71(図2参照)に、下端部36bはロッド32の下方側の端部32aに固定されたばね座72(図2参照)にそれぞれ、個別に取り付けられている。このコイルスプリング36は、ばね座71とばね座72の間に介在することにより、ダンパハウジング31のロッド部42とロッド32とを、上下軸方向に互いに離反する方向へ付勢する。
ロッド部42の開放端と、開放端から下方に突出しているロッド32とを覆うダストブーツ37がロッド32の軸方向へ伸縮自在に設けられている。ダストブーツ37は、ダンパハウジング31の内部を外部からシールし、塵埃等異物の侵入防止や、雨水や路面の水が侵入しないようにダンパハウジング31の開口部をシールする。
以下に、図2、図3を参照しながら適宜図1を参照して電動ダンパ変換機構30RL(30FL)の詳細な構成を説明する。
《電動ダンパ変換機構》
図1に示すように、電動ダンパ変換機構30RL(30FL)は、主にダンパハウジング31と、ロッド32(図2参照)と、ラックアンドピニオン機構33(図2参照)と、電動モータ35RL(35FL)からなる。
ここで、本実施形態におけるラックアンドピニオン機構33が請求項に記載の変換器機構に対応する。
図2に示すようにダンパハウジング31は、上下方向に細長い略円筒状の部材であって、ラックピニオン部41とロッド部42とからなる。ラックピニオン部41とロッド部42は、互いに同軸に配置されて一端部で、例えば、溶接接続されて、それぞれの中空部が同軸で連通している。ラックピニオン部41の上端側(他端)は端面部41aを有し、皿状のインシュレータ43と取付ボルト44とを有し、取付ボルト44によってサスペンション取付部11a(図1参照)に固定される。ダンパハウジング31のロッド部42の下端(他端)は、開放されている。
ロッド32は、図2に示すようにダンパハウジング31と同軸に配置された細長い丸棒からなり、ダンパハウジング31内に収納され、ラックピニオン部41に収容されたラックアンドピニオン機構33と、ロッド部42内部に配置された滑り軸受45により、上下方向にスライド可能に支持されている。ロッド32は、その下端に環状の連結部47を有する端部32aが、ダンパハウジング31のロッド部42の下端開口から下方側に延び、車輪支持部材23の下部にスイング可能に接続されている。
なお、連結部47は、ロアアーム22にスイング可能に接続されていても良い。
また、ラックピニオン部41の端面部41aには、ラバー等の弾性材からなるバンプストッパ48が固定され、ロッド32の上端面がバンプストッパ48に、衝突したとき、その弾性で衝撃を吸収する。
(ラックアンドピニオン機構)
図2に示すように、電動ダンパ変換機構30RL(30FL)の上部には、そのモータ軸35a(図3参照)が、ロッド32の上部の外周面に設けられたラックギア51の軸方向と略直角をなすように取り付けられている。モータ軸35aにはピニオン軸53が接続され、ピニオン軸53に設けられたピニオンギア52と、前記したラックギア51が、噛み合いラックアンドピニオン機構33を構成している。ラックアンドピニオン機構33は、ラックピニオン部41の内部に収納され、ピニオン軸53はその両端部を、ラックピニオン部41に固定された軸受54,55により回転可能に支持されている。
電動モータ35RL(35FL)は、フランジによりラックピニオン部41に固定されている。
ところで、ラックアンドピニオン機構33は、電動モータ35RL(35FL)から大出力を受けるとともに、車輪25RL(25FL)が高速で上下動した場合には、上下動を高速で回転運動に変換する。そのような場合であっても、ラックギア51とピニオンギア52の噛み合い状態は確実に維持される必要がある。そのため、ラックギア51とピニオンギア52の各歯幅は大きく設定される。
ロッド32に大きい歯幅のラックギア51を設けるには、ロッド32の断面形状(ロッド32を長手方向から見た断面形状)を矩形にすることが考えられる。しかし、矩形断面のロッド32では、ラックギア51を有していない背面の角の部分が外に出っ張るので、ロッド32を収容するラックピニオン部41が大型になる。
これに対し、本実施形態では、円形断面のロッド32の外周面にラックギア51を有するので、ロッド32を収容するラックピニオン部41を小型にすることができる。
図3に示すように、ラックギア51の設けられたロッド32の背面を、摺動部材61を介してロッドガイド62が押圧し、ラックギア51をピニオンギア52に押し付ける。このピニオンギア52方向へのラックギア51に対する与圧は、調整ボルト64により付勢力を調整された圧縮コイルばね63がロッドガイド62を押圧することによりなされる。
ロッドガイド62は、ラックギア51の背面側からロッド32を支えるとともに、ロッド32を軸方向にスライド可能に案内する。摺動部材61は、ロッド32とラックガイド62との間に介在し、ラックギア51の背面側のロッド32の外周面に直接接触して、スライド抵抗を低減する。この摺動部材61は、耐摩耗性を有するとともに摩擦抵抗が小さい材料からなる。ロックナット65は、調整ボルト64の位置決めをした後の緩みを防止するものである。
このように、ロッドガイド62によりラックギア51をピニオンギア52方向に押すことにより、ラックギア51とピニオンギア52との噛み合いの遊び(バックラッシュ)をゼロ又は最小限に設定することができ、ロッド32の上下運動が微振動であっても、確実にピニオンギア52の回転に変換することができ、電動モータ35RL(35FL)に減衰力を発生させることができる。
(電動モータ)
電動モータ35RL(35FL)は、例えば、ブラシ付き直流モータからなり、ラックピニオン部41のフランジ部に取り付けられている。電動モータ35のモータ軸35aとピニオン軸53の連結方法としては、例えば、図3に示すようにセレーションによる連結でも良いし、又は、図示せぬカップリングによる連結でも良い。
(変位量検出センサ)
次に図4を参照しながら適宜図1を参照して電動ダンパ装置の変位量検出センサ80の詳細な構成を説明する。
なお、変位量検出センサ80は、各車輪25FL,25FR,25RL,25RRと車体11との上下方向の相対位置、つまり、請求項に記載の「車高に係わる量」を検出するためのセンサであり、請求項に記載のストロークセンサに対応する。
変位量検出センサ80を個別に区別する必要がある場合は、前記したように符号80の後ろに符号FL,FR,RL,RRを付加するが、その必要がないときは単に変位量検出センサ80と称する。
変位量検出センサ80は、例えば、図1に示すようにロアアーム22と車体11との間に掛け渡されたスイングロッド82と車体11側に取り付けられたセンサハウジング81とを有し、ロアアーム22が上下にスイングするスイング角の所定の基準値からの変位量を検出することによって、車輪25の上下動の変位、つまり、ストロークを間接的に検出する。
以下、左の変位量検出センサ80Lについて、詳細に説明する。図4は、図1に示された変位量検出センサの模式図である。
図4に示すように、変位量検出センサ80は、スイングロッド82の一方の端部82aがロアアーム22(図1参照)に回動可能に接続され、他の端部82bがセンサハウジング81から突出した伝達機構84の軸と回動可能に接続し、伝達機構84がセンサハウジング81内のポテンショメータ85に接続されて構成されている。
スイングロッド82自体は、端部82a、端部82b、筒状体の調整管82c、及びロックナット82dから構成されている。端部82a、端部82bは、図4において調整管82c側の丸棒の外周に雄ねじが互いに逆方向に切られ、前記調整管82cの内周面には一方向の雌ねじが切ってあり、調整管82cの両端から端部82a、端部82bそれぞれの雄ねじをねじ込んで、一本のスイングロッド82に組み立ててある。スイングロッド82をロアアーム22と伝達機構84とに調整管82c接続するときに、調整管82cを回して長さを調整し、長さ調整が終わったところで、ロックナット82dを調整管82c側に締付けて、スイングロッド82全体の長さを固定する。
ポテンショメータ85は、スイングロッド82のスイング角を検出するものである。ポテンショメータ85は、抵抗素子85aと摺動素子85bとからなる。抵抗素子85aの一端は、抵抗器86を介して定電圧電源87に接続されている。抵抗素子85aの他端は、抵抗器88を介してアースに接続されている。摺動素子85bは、スイングロッド82のスイング運動に応じて抵抗素子85a上を摺動可能である。摺動素子85bによって得られた電圧信号(変位量検出センサ80の検出信号)は、出力端子85cから出力される。このようにして、変位量検出センサ80は、図1に示す車輪25の変位量Stをロアアーム22を介して検出することができる。
以上の説明を纏めると、次の通りである(図1〜図3参照)。
サスペンション装置20は、コイルスプリング36のコイル内径の内方側に、同軸に電動ダンパ変換機構30のロッド32及びそれを収納するダンパハウジング31の下部側のロッド部42を収容し、コイルスプリング36の上端部36aを固定するロッド部42に固定されたばね座71よりも上側にラックアンドピニオン機構33や電動モータ35が配置されている。
つまり、電動ダンパ変換機構30の構成部品のうちロッド32のみがコイルスプリング36の「ばね下荷重」に含まれる極めて軽量な構造になっている。
しかも、従来の油圧式ダンパ措置のように、コイルスプリング36のコイル径内方に大径の油圧用ピストンを設ける必要は無いので、コイルスプリング36のコイル径を小さく設定することができ、コイルスプリング36の設計の自由度が高まるとともに、小型化、軽量化を図ることができる。
更には、コイルスプリング36によって「ばね上荷重」(車体11を含む)を支えることができるので、電動モータ35は、ダンパ機能、つまり、減衰力を制御するだけで良い。このため、電動モータ35を小出力の小型のものにすることができる。従って、電動ダンパ変換機構30全体を小型化することができる。
電動モータ35を小型化することによって、モータ自体の機械的な内部損失や、ロータの慣性による出力損失を小さくすることができる。例えば、ロータの径が小さいほど、ロータの慣性モーメントは小さくなる(慣性モーメントは、ロータ径の二乗に比例する)。従って、電動モータによって減衰力を制御するのに、モータ自体の機械的な内部損失やロータ慣性による影響を極力抑制することができ、車体11に対する車輪25の相対的な上下運動を、安定させるとともに滑らかにすることができる。
更には、車輪25が上下動したときに、電動モータ35は車輪25と共に上下動しないので、電動モータ35の耐久性を高めることができる。
《電動ダンパ装置の制御回路》
次に、電動ダンパ装置の制御回路について、図5を参照しながら適宜図6、図7を参照して説明する。図5は、電動ダンパ装置の制御回路のブロック構成図であり、図6はモータ駆動部のブリッジ回路の構成例としてHブリッジ回路を示す図である。
図5に示すように、電動ダンパ装置3(図5中、3FL,3FR,3RL,3RRと表示)の制御回路は、電動式車両姿勢制御装置1の制御回路を兼ねており、バッテリ101と、メインスイッチ102と、メインリレー103と、車速センサ104と、各車輪の変位量検出センサ80(図5中、80FL,80FR,80RL,80RRと表示)と、ダンパ制御ECU(Electric Control Unit)105、各電動ダンパ装置3のモータ駆動部106(図5中、106FL,106FR,106RL,106RRと表示)と、前後加速度センサ107とを含んで構成される。
メインスイッチ102は、例えば、イグニッションスイッチからなる。メインリレー103は、例えば、バッテリ101に接続された常開接点103aと常開接点103aを閉動作させる励磁コイル103bとからなり、ダンパ制御ECU105に含まれる後記するマイクロコンピュータ113に制御されて、リレー駆動回路116を介して開閉動作がなされる。
(ダンパ制御ECU)
ダンパ制御ECU105は、各変位量検出センサ(図5中80FL,80FR,80RL,80RRと表示)からの信号にもとづき各電動ダンパ変換機構30の電動モータ35(図5中、35FL,35FR,35RL,35RRと表示)を駆動して、各車輪25(図1参照)の上下動のダンパ制御、各車輪25の平均上下位置を制御する姿勢制御機能を有する部分であり、ワンパルス発生回路111、マイクロコンピュータ113、その入力信号用の入力インタフェース回路112、マイクロコンピュータ113からの出力信号用の出力インタフェース回路114、マイクロコンピュータ113の故障検出のためのウォッチドックタイマ回路115、リレー駆動回路116等を含んでいる。
ワンパルス発生回路111は、メインスイッチ102がオン操作されたときに1パルスの信号をマイクロコンピュータ113に発するものであり、例えば、微分回路からなる。
入力インタフェース回路112は、変位量検出センサ80のスイング角変化に対応する抵抗変化を電圧に変換するハーフブリッジ回路や車速センサ104からのパルス信号を波形整形するシュミットトリガ回路や後記するモータ電流センサ124(図5中、124FL,124FR,124RL,124RRと表示)からの信号を増幅するアンプ回路や、それぞれの信号のノイズを除去するローパスフィルタ等から構成される。これらの電圧変換、又は増幅された信号はマイクロコンピュータ113のA/Dポートへ、又、車速信号のようなパルス状の波形整形された信号は、直接入力ポートに接続される。
ウォッチドックタイマ回路115は、マイクロコンピュータ113から一定周期の信号を受け取り、それを監視し、万が一マイクロコンピュータ113が故障して一定の周期信号が途絶えたときや信号の周期が乱れたときに、それを検出して、マイクロコンピュータ113に異常信号を発して、マイクロコンピュータ113を停止させ、リレー駆動回路116が停止して、メインリレー103をオフする。
ウォッチドックタイマ回路115は、マイクロコンピュータ113が正常のときは、マイクロコンピュータ113がリレー駆動回路116に制御信号を出してリレー駆動回路116を駆動し、メインリレー103をオンにする。
また、マイクロコンピュータ113は、その他にも自身の故障診断制御フローにより異常状態を検出したときは、リレー駆動回路116を介してメインリレー103をオフにする。
出力インタフェース回路114からは、マイクロコンピュータ113からの制御信号がリレー駆動回路116に出力されるとともに、各電動モータ35を制御する制御信号がモータ駆動部106に出力される。
各モータ駆動部106は、ゲート駆動回路121、ブリッジ回路122、昇圧回路123、及びモータ電流センサ124を含んでいる。
ブリッジ回路122は、図6に示すように、電動モータ35がブラシ付き直流モータの場合は、例えば、4個のNチャンネルエンハンスメント型のFET(Fieid Effect Transistor:電界効果型トランジスタ)91A,91B,91C,91Dのスイッチング素子をH字状に結線した、いわゆるHブリッジ回路である。
図7はHブリッジ回路における4つのFETの制御状態を説明する図であり、(a)は伸び側の駆動の場合の各FETの制御状態を説明する図であり、(b)は縮み側の駆動の場合の各FETの制御状態を説明する図である。
本実施形態では、電動モータ35を姿勢制御のため伸び側、つまり、ロッド32(図2参照)を下方に駆動するモータ電流を「正」、縮み側、つまり、ロッド32を上方に駆動するモータ電流を「負」と定義する。
ただし、ダンパ制御の場合は、ブレーキ制御なので逆になる。即ち伸び側、つまりロッド32が下方に移動させられているときは、モータ電流を「負」に流してブレーキ作用を利用して下方の移動を減衰し、そして縮み側、つまり、ロッド32が上方移動されているときには、モータ電流を「正」に流してブレーキ作用を利用して上方の移動を減衰する。
昇圧回路123は、例えば、トランジスタと抵抗とコンデンサを組み合わせた回路であり、バッテリ101(図5参照)から供給される電力の電圧を約2倍に昇圧してゲート駆動回路121へ供給する。ゲート駆動回路121は、昇圧回路123から供給される高電圧を用い、マイクロコンピュータ113(図5参照)から出力インタフェース回路114(図5参照)を介して受けた制御信号にもとづいてブリッジ回路122の各FET91A〜91Dの内、FET91AとFET91Dのゲート電圧を制御してHブリッジの各FET91A〜91Dのオン、オフ制御を、損失を最小限にして効率良く行なう。
なお、このオン、オフ制御の中には、PWM(Pulse Width Modulation)制御も含まれる。
図7は本ブリッジ回路におけるPWM制御時の電流の流れの一例を説明する図であり、特に車高調整時の電動モータ35を駆動するときの電流の流れを示す。(a)は、電動モータが電動ダンパ装置のロッドを伸び側(下方)に駆動する場合における、PWM制御時オン状態とオフ状態の電流の流れを示したものであり、(b)は、電動モータが電動ダンパ装置のロッドを縮み側(上方)に駆動する場合における、PWM制御時オン状態とオフ状態の電流の流れを示したものである。
伸び側駆動の場合、(a)に示すように、昇圧回路123を介してFET91Aはオン状態に保たれ、FET91B、91Dはオフ状態に保たれ、FET91Cは通常のバッテリ電圧でPWM制御のオン、オフ動作の制御を受ける。PWM制御のオン状態では、実線のように、バッテリ101(図5参照)からの電流は、ブリッジ回路122の入力側から入り、FET91Aのドレイン側からソース側に流れ、電動モータ35を経て、FET91Cのドレイン側からソース側に流れ、最後にアースに流れる。PWM制御のオフ状態では、FET91Aのドレイン側からソース側に流れた電流は、電動モータ35を経た後、FET91Dのソース側からドレイン側に戻り、ブリッジ回路122の入力側に戻る。
縮み側駆動の場合、図7の(b)に示すように、FET91A、91Cはオフ状態に保たれ、昇圧回路123を介してFET91Dはオン状態に保たれ、FET91Bは通常のバッテリ電圧でPWM制御のオン、オフ動作の制御を受ける。PWM制御のオン状態では、実線のように、バッテリ101(図5参照)からの電流は、ブリッジ回路122の入力側から入り、FET91Dのドレイン側からソース側に流れ、電動モータ35を(a)とは逆方向に経て、FET91Bのドレイン側からソース側に流れ、最後にアースに流れる。PWM制御のオフ状態では、FET91Dのドレイン側からソース側に流れた電流は、電動モータ35を経た後、FET91Aのソース側からドレイン側に戻り、ブリッジ回路122の入力側に戻る。
ダンパ制御のときは、上記電流の流れに加えてバッテリ101へモータ電流を戻す回生駆動制御が実施される。
モータ電流センサ124は、例えば、ホール素子や抵抗器からなり、ブリッジ回路122から電動モータ35に実際に供給される駆動電流Id(図8参照)を検出して、ダンパ制御ECU105(図5参照)へ入力する。
(マイクロコンピュータにおける電動式車両姿勢制御装置の制御機能)
次に図8から図15を参照しながら適宜図1、図5を参照してマイクロコンピュータにおける電動式車両姿勢制御装置の制御機能について説明する。
図8は、電動式車両姿勢制御装置全体の制御の制御機能ブロック図である。
マイクロコンピュータ113は、図示しないROM,RAM、フラッシュメモリ等のメモリ、CPUから構成されており、電動ダンパ装置3FL,3FR,3RL,3RRそれぞれに含まれる電動ダンパ変換機構30FL,30FR,30RL,30RRの制御は、前記ROMに格納されたプログラムや、フラッシュメモリに格納された各種データを用いてCPUにおいて図8の制御部200として示した機能が実行される。
制御部200は、ソフト的に車速センサ104、変位量検出センサ80(図5中、80FL,80FR,80RL,80RRで表示)等の故障を検出して、いずれかでも故障の検出をしたときには、異常信号をリレー駆動回路116に出力して全電動ダンパ装置3の制御を停止させる故障診断部201を有している。
故障診断部201における車速センサ104や変位量検出センサ80の故障判定は、例えば、正常時には検出電圧信号が所定の範囲に入るように設定しておいて、車速センサ104、変位量検出センサ80からの信号が所定の範囲に入らない場合を故障と判定する。
そして、制御部200は、ダンパ制御部(ダンパ制御手段)202、平均変位量算出部(車高算出手段)203、車高制御部(車高制御手段)204、スタビライザ制御部(スタビライザ制御手段)205、加減速時姿勢制御部(加減速時姿勢制御手段)209及び駆動回路出力部207を有している。
平均変位量算出部203は、所定の周期で車輪25の個別の変位量St(図4参照)をサンプリングして、その移動平均である平均変位量Ave(St)を算出する。この平均変位量算出部203は、請求項に記載の「ストロークセンサの信号のうちの低周波の信号を取り出す低周波フィルタ」に相当し、平均変位量Ave(St)は、請求項に記載の「車高に係わる量」に対応し、又、「低周波の信号」に対応する。
また、車高制御部204は、後記する目標値部204aを有し、スタビライザ制御部205は後記するスタビライザ制御電流マップ205a及び車速補正マップ205bを有し、加減速時姿勢制御部209は加減速時制御電流マップ209aを有している。
4つの車輪25に設けられた電動ダンパ変換機構30の電動モータ35を個別に、且つ同時に制御する観点からは、マイクロコンピュータ113は高速性が要求され、マルチコアタイプのCPUを有することが好ましい。
なお、図8においては、ダンパ制御部202には個々の電動モータ35を個別に制御する目標駆動電流値Iを計算して駆動回路出力部207へ出力するダンパ制御部202A〜202Dが含まれること、平均変位量算出部203には車輪25の個々の平均変位量Ave(St)(図8中、Ave(St)FL,Ave(St)FR,Ave(St)RL,Ave(St)RRと表示)を個々に算出して、車高制御部204へ出力する平均変位量算出部203A〜203Dが含まれることを示している。
また、車高制御部204は、4つの平均変位量Ave(St)FL,Ave(St)FR,Ave(St)RL,Ave(St)RRにもとづいて個々の電動モータ35を個別に制御する目標駆動電流値Ihを算出して駆動回路出力部207へ出力する。
スタビライザ制御部205は、4つの変位量StFL,StFR,StRL,StRRにもとづいて個々の電動モータ35を個別に制御する目標駆動電流値Irを算出して駆動回路出力部207へ出力する。
ダンパ制御部202における詳細な制御の方法は、後記する図10の機能ブロック図の説明の中で説明する。車高制御部204における詳細な制御の方法は、図12のフローチャートの車高制御の方法のところで後記し、スタビライザ制御部205における詳細な制御の方法は図13のフローチャートのスタビライザ制御の方法のところで後記する。
加減速時姿勢制御部209は、前後加速度にもとづいて前記個々の電動モータ35を個別に制御する目標駆動電流値IACを算出して駆動回路出力部207へ出力する。加減速時姿勢制御部209の詳細な制御についても、後記する。
そして、駆動回路出力部207には、個々のモータ駆動部106FL,106FR,106RL,106RRへゲート制御信号を出力する駆動回路出力部207A〜207Dが含まれており、駆動回路出力部207A〜207Dへは、各電動モータ35に対する目標駆動電流値I,Ih,Ir,IACがそれぞれ入力され、それぞれの目標駆動電流値I,Ih,Ir,IACの大きさに応じて、モータ駆動部106のそれぞれのブリッジ回路122のFETが適宜選択的に駆動制御される。
(全体の制御フロー)
次に図9を参照しながら、適宜図5、図8を参照して、電動式車両姿勢制御装置1における全体の制御フローについてに説明する。
図9は電動式車両姿勢制御装置における全体制御のメインフローチャートである。
車両10の、例えば、キースイッチ102を回してオンにすると、ダンパ制御ECU105にバッテリ101からの電源電圧が供給される。そうするとこの電源投入を制御ECU105内の微分回路111が検出してマイクロコンプピュータ113をリセットして、このマイクロコンプピュータ113に予め設定されたプログラムが、図示しない水晶発振器からのクロック信号に同期して動作を始める。
以下は、制御部200(図8参照)における処理である。
そして、車高制御部204が、目標車高Hと不感帯2hを読み込み(ステップS1)、車高制御の目標駆動電流Ih=0にリセットする(ステップS2)。
次にステップS3(各センサ信号の読み込み)では、変位量検出センサ80(図5中、80FL,80FR,80RL,80RRと表示)からの信号や車速センサ104からの信号や電流センサ124(図5中、124FL,124FR,124RL,124RRと表示)からの信号、前後加速度センサ107からの信号等が読み込まれる。
そして、ステップS4(故障診断)では、故障診断部201は、ステップS3で読み込んだ信号の故障診断を実施する。変位量検出センサ80の故障診断は、例えば、正常時には検出電圧が所定の範囲に入るように設定しておいて、それが所定の範囲から外れると故障と診断する。また、車速センサ104は、図示されないエンジン回転数センサからの信号を入力し車速を推定して、比較し所定の範囲を外れて異常であれば故障と診断する。この結果、故障と診断されれば、前記のメインリレー103をリレー駆動回路116を介してオフして、電源供給を遮断する。各センサの信号が正常であれば次のステップS5に進む。
ステップS5(姿勢制御量の計算)では、車高制御部204が、変位量検出センサ80の信号にもとづいて、車体11の目標姿勢と実際の姿勢との偏差を求め差異がある場合は適宜必要なモータ35を駆動制御するために必要な目標駆動電流値Ihを計算する。そしてステップS6に進む。
ステップS6(スタビライザ制御量の計算)では、スタビライザ制御部205が、左右の変位量検出センサ80の信号の差にもとづいて前記したスタビライザ制御に必要な目標駆動電流値Irを計算する。そしてステップS7に進む。
ステップS7(ダンパ制御量の計算)では、ダンパ制御部202が、変位量検出センサ80の信号にもとづいて前記したダンパ制御に必要な目標駆動電流値Iを算出する。そしてステップS8に進む。
ステップS8(加減速時姿勢制御量の計算)では、加減速時姿勢制御部209が、前後加速度センサ107からの信号にもとづき、所定以上の加速度又は減速度を検出したとき、車体11の前後姿勢を維持するのに必要なモータ35を駆動制御するために必要な目標駆動電流値IACを計算する。そしてステップS9に進む。
ステップS9(EFTブリッジ回路の駆動制御)では、各モータ35(図5中、35FL,35FR,35RL,35RRと表示)への各目標駆動電流値に応じて、前記したモータ駆動部106のFETブリッジ回路122のFETを適宜選定して、モータ35をPWM駆動制御する。そして、これらのステップS3〜S9の各ステップの制御処理をキースイッチがオフされるまで繰り返す。
(ダンパ制御量の計算)
次に図10、図11を参照しながら、ダンパ制御量計算の方法について詳細に説明する。
図10は、図8に示されたダンパ制御部202A〜202Dにおけるダンパ制御機能の詳細な機能ブロック図である。図11の(a),(b)はダンパ制御機能に用いられる変位速度に応じた予め設定された基準駆動電流マップを説明する図であり、(a)は伸び側(車輪が下方に変位)の場合に対するものであり、(b)は縮み側(車輪が上方に変位)の場合に対するものであり、(c)は車速に応じて(a)、(b)で求められた駆動電流を補正する予め設定された車速補正マップを説明する図である。
ダンパ制御部202A〜202Dは、変位速度算出部221、基準電流算出部222、補正係数算出部223、補正部224、粘性補正電流算出部225、慣性補正電流算出部226、及び加算補正部227を含んでいる。基準電流算出部222は、後記する第1及び第2の基準電流マップ222a、222bを有し、補正係数算出部223は後記する車速補正マップ223aを有している。
これらの各構成部における処理は、一定の周期で実行され、例えば、1msecの周期で実行される。
変位速度算出部221では、1つの変位量検出センサ80から入力された変位量Stから時間微分により変位速度Svを算出して、基準電流算出部222、粘性補正電流算出部225及び慣性補正電流算出部226にそれぞれ入力する。
基準電流算出部222は、変位速度Svの正負に応じて、車体11に対して車輪25の変位の方向が上下どちらの方向であるかを判断する。そして、変位速度Svが、例えば、正の場合、電動ダンパ変換機構30が伸びる方向(車輪25が車体11に対して相対的に下方に移動する場合)の動きをしていると判断して図11の(a)に示す第1の基準電流マップ222aを参照して変位速度Svに対応した基準駆動電流値Iexを算出する。一方、変位速度Svが、例えば、負の場合、電動ダンパ変換機構30が縮む方向(車輪25が車体11に対して相対的に上方に移動する場合)の動きをしていると判断して図11の(b)に示す第2の基準電流マップ222bを参照して変位速度Svに対応した基準駆動電流値Iexを算出する。
ここで、第1及び第2の基準電流マップ222a、222bは、予め実験によって得られたデータにもとづいて、マップデータとして、マイクロコンピュータ113(図5参照)のフラッシュメモリの中に格納されている。
図11の(a),(b)に示すように電動ダンパ変換機構30の伸び側と縮み側とで基準駆動電流Iexの特性を変えているが、変位速度Svが大きいほど基準駆動電流Iexを大きくする。
伸び側と縮み側で基準駆動電流Iexを違えているのは、伸び側の場合、変位速度Svが変位速度Sv1以上、変位速度Sv2までの間では、車輪25の路面への追従性を向上して、追従遅れによる車体11の浮き沈みを小さくして乗り心地を良くするためである。また、伸び側の場合よりも縮み側において、電動モータ35の発電により、車輪25の上下動によるコイルスプリング36の伸縮振動を吸収して振動を安定化させる方向に制御するためである。
ところで、電動モータ35が発生する出力、つまり、「ダンパ減衰力」は、電動モータ35に流されるブレーキ電流を利用して発生させる。このため、図11の(a),(b)に示された縦軸を基準駆動電流Iex、横軸を変位速度Svとした第1及び第2の基準電流マップ222a,222bは、縦軸の基準駆動電流Iexを基準ダンパ減衰力に置換すると、基準ダンパ減衰力マップと考えることができる。
補正係数算出部223では、図11の(c)に示す車速補正マップ223aを有し、それを参照して車速Vsに応じて、車速補正係数Kdvを算出し、補正部224に出力する。
ここで、車速補正マップ223aは、予め実験によって得られたデータにもとづいて、マップデータとして、マイクロコンピュータ113(図5参照)のフラッシュメモリの中に格納されている。この車速補正マップは、図11の(c)に示すように車速VsのVmin1、Vmax1間で車速Vsに応じて変化し、車速Vsが大きいほど基準駆動電流Iexを大きく設定する。
補正部224では、補正係数算出部223によって算出された車速補正係数Kdvを基準電流算出部222から入力された基準駆動電流Iexに乗じて補正し、補正された基準駆動電流Iex’を加算補正部227に入力する。
この補正により、ダンパ減衰力は車速Vsが大きいほど効くようにし、高速安定性を向上するようにしている。
次に、図10に戻って、電動モータ35自体の機械的な内部損失及びロータ慣性による損失に対して補正して電動モータ35の応答性を向上させ、ダンパ減衰力の応答性を向上させるために補正する粘性補正電流算出部225と慣性補正電流算出部226について説明する。
電動モータ35が実際に発生する減衰力は、基準減衰力の値から電動モータ35内の内部損失(機械的な内部損失と慣性による損失)を減じた値である。この点を考慮して粘性補正電流算出部225では、変位速度Svに応じた機械的な内部損失に相当する損失電流である粘性補正電流Iを算出し、加算補正部227に入力する。具体的には、粘性補正電流Iは、変位速度Svに所定の定数を乗じて粘性補正電流Iを算出する。
同様に慣性補正電流算出部226では、電動モータ35自体のロータ慣性による損失に相当する損失電流である慣性補正電流Iを算出し、加算補正部227に入力する。具体的には、変位速度Svを更に時間微分して得られた変位加速度αに所定の定数を乗じて慣性補正電流Iが算出される。
加算補正部227では、基準駆動電流Iex’に粘性補正電流I1と慣性補正電流I2を加算補正して目標駆動電流値Iを設定し、駆動回路出力部207に入力する。
駆動回路出力部207では、ダンパ制御の目標駆動電流値Iに加えて、車高制御部204からの目標駆動電流値Ih、スタビライザ制御部205からの目標駆動電流値Ir、加減速時姿勢制御部209からの目標駆動電流値IACの入力を受けて、図15の説明において後記するように、設定部241において伸び方向の制御、縮み方向の制御に応じて目標モータ電流値Imを設定し、かつ、ブレーキ駆動、回転駆動等のPWM駆動の制御の設定を行ない、減算器242において目標駆動電流Imに対しモータ電流センサ124が検出した駆動電流Idをフィードバックして、駆動回路出力部207全体としてPID制御を行ない、モータ駆動部106のゲート駆動回路121に制御信号を入力する。
次に、メインフローチャートの中のサブルーチンである、姿勢制御とスタビライザ制御について詳しく説明する。
(姿勢制御量の計算:サブルーチン)
先ず、図12を参照しながら、適宜図8を参照して姿勢制御(車高制御)量の計算の方法について詳細に説明する。
図12は、車高制御部における、車両の車高を制御する姿勢制御量の計算処理の流れを示すフローチャートである。
ここでは、車両10の各車輪25の車体11に対する上下方向の相対位置で車高を制御する車高制御部204(図8参照)において、一定の周期で、例えば、1msecの周期で制御するものである。車高制御部204の前記した目標値部204aは、後記する目標車高(車高に係わる目標値)Hと不感帯(ヒステリシス)2hのデータを格納している。
具体的には、前輪25FL,25FRに対して一つの目標車高Hが、又、後輪25RL,25RRに対して前輪25FL,25FRとは別の目標車高Hが予め設定されて、具体的には前記マイクロコンピュータ113のフラッシュメモリに記憶されている。また、目標車高Hに対して不感帯(ヒステリシス)2hの値もフラッシュメモリに記憶されている。
そして、車両10への乗員の数の変動や、後部トランクに荷物を積載することによる車体11の沈み込み、特に車体11の後部の沈み込みを電動モータ35により補正して目標車高Hに維持する場合を例に、車両10の姿勢制御(車高制御)の方法について説明する。図12のフローチャートは、代表として1つの電動モータ35の駆動制御の流れを説明しているが、この制御は前記したようにそれぞれの車輪25FL,25FR,25RL,25RRに対して設定された目標車高Hに対して、それぞれの電動モータ35FL,35FR,35RL,35RRを個別に制御して行なわれる。
本実施形態では、変位量検出センサ80は、請求項に記載の「車高に係わる量」としてスイング角を検出しているので、図9におけるメインフローチャートにおける目標車高H、不感帯を2hは、実際にはそれに対応するスイング角で定義された目標値H、不感帯2hである。
そして、ここではスイング角である変位量Stは、電圧変換値2.5Vを基準値として、2.5Vより大きい側を伸び側とし、2.5Vより小さい側を縮み側に設定しているので、基準値より大きいとは、車体11の沈み込み量が小さい、つまり車高が高いと定義する。
ステップS11では、平均変位量算出部203において算出された当該の車輪25に対応する平均変位量Ave(St)の読み込みを行ない、ステップS12において、平均変位量Ave(St)がH−hの値以上か否かをチェックする。平均変位量Ave(St)がH−hの値以上の場合(Yes)はステップS14に進み、平均変位量Ave(St)がH−hの値未満の場合(No)はステップS13に進む。
ステップS13では、〔H−Ave(St)〕の値に、定数のゲインKを乗じたものを車高補正ためのモータ偏差電流値ΔIhとする。つまり、スイング角である平均変位量Ave(St)が、目標車高のスイング角Hから不感帯の半値h差し引いた値よりも小さいので、車高が目標車高Hよりも低いと判定して、電動モータ35に対して伸び側の駆動をするようにモータ偏差電流値ΔIhを算出する。
ステップS14では、平均変位量Ave(St)がH+hの値より大きいか否かをチェックする。平均変位量Ave(St)がH+hの値より大きい場合(Yes)はステップS16に進み、平均変位量Ave(St)がH+hの値以下の場合(No)はステップS15に進む。
ステップS15では、車高補正ためのモータ偏差電流値ΔIhを0とする。これは、車高補正の制御を敏感にし過ぎないように、平均変位量Ave(St)が目標車高のスイング角Hに対して不感帯2hの幅の中に入っているので、車高補正ためのモータ偏差電流値ΔIhを0とするものである。
ステップS16では、−〔Ave(St)−H〕の値に、定数のゲインKを乗じたものを車高補正ためのモータ偏差電流値ΔIhとする。つまり、スイング角である平均変位量Ave(St)が、目標車高のスイング角Hに不感帯の半値hを加算した値よりも大きいので、車高が目標車高Hよりも高いと判定して、電動モータ35に対して縮め側の駆動をするようにモータ偏差電流値ΔIhを算出する。
そして、ステップS17において、前回の車高補正のための目標駆動電流値Ihに対して変化分のΔIhを加算して、今回の車高補正のための目標駆動電流値Ihとする。ステップS18では、目標駆動電流値Ihを当該の車輪25に対応する駆動回路出力部207に出力し、駆動回路出力部207において当該の車輪25のモータ駆動部106を実際に制御させる。ステップS18の後、メインフローチャートに戻り、ステップS6のスタビライザ制御に移行する。
このように、車高制御において目標車高Hに対して不感帯2hを設けたので、電動モータ35によるダンパ制御とスタビライザ制御が優先的に行なわれ、姿勢制御(車高制御)の頻度を減らすことができる。その結果、ダンパ制御と車高制御が高頻度に重なって乗り心地が悪くなることが防止でき、安定した車両の姿勢制御ができる。
また、車高補正のための目標駆動電流値Ihを車高補正ためのモータ偏差電流値ΔIhの時間積分としているので、一時的な偏差増大による大きなフィードバックが効かないようにしていることになり、安定した姿勢制御がなされる。
(スタビライザ制御量の計算:サブルーチン)
次に図13、図14を参照しながら、適宜図8を参照してスタビライザ制御の方法について詳細に説明する。
図13は、スタビライザ制御部における、左右の車両の車輪の変位差を制御するスタビライザ制御量の計算処理の流れを示すフローチャート(サブルーチン)である。図14の(a)はスタビライザ制御機能に用いられる左右の車輪の変位差に応じた予め設定されたスタビライザ制御電流マップを説明する図であり、(b)は車速に応じて(a)で求められたスタビライザ制御の目標駆動電流値を補正する予め設定された車速補正マップを説明する図である。
ここでは、車両10の左右の前輪25FL,25FR間の車体11に対する上下方向の相対位置の差、及び左右の後輪25RL,25RR間の車体11に対する上下方向の相対位置の差を打ち消すように、スタビライザ制御部205(図8参照)において、一定の周期で、例えば、1msecの周期で、制御するものである。図13のフローチャートでは、左右の前輪25FL,25FRに対応する電動モータ35FL、35FRの制御、左右の後輪25RL,25RRに対応する電動モータ35RL、35RRの制御を代表して1つのフローチャートで表示しており、変位量StFLや変位量StRLを代表して変位量Stと表示し、変位量StFRや変位量StRRを代表して変位量Stと表示してある。
なお、図14の(a)に示すように縦軸にスタビライザ駆動電流、横軸に変位量Stと、変位量Stとの差分Δsの絶対値を取って、|Δs|が大きいほどスタビライザ制御の目標駆動電流値Irを大きく設定するスタビライザ制御電流マップ205aが、予め前記したマイクロコンピュータ113のフラッシュメモリに記憶されている。
また、図14の(b)に示すように、スタビライザ制御電流マップ205aを参照して算出されたスタビライザ駆動電流に対して乗じる、車速Vsに応じて設定される車速補正係数Krvを定める車速補正マップ205bが、予め前記したマイクロコンピュータ113のフラッシュメモリに記憶されている。この車速補正マップは、車速VsのVmin2、Vmax2間で車速Vsに応じて変化し、車速Vs大きいほどスタビライザ制御の目標駆動電流値Irを大きく設定する。
スタビライザ制御電流マップ205a及び車速補正マップ205bは、予め実験によって得られたデータにもとづいて、マップデータとして、マイクロコンピュータ113(図5参照)のフラッシュメモリの中に格納されている。
図9に示したメインフローチャートのステップS3で読み込まれた変位量検出センサ80の信号によりステップS51では、左右の車輪の変位差Δs〔=St−St〕を算出する。そして、ステップS52では、差分Δsが正か否かをチェックする。差分Δsが正の場合(Yes)は、ステップS53へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS54へ進む。
ステップS53では、差分Δsの値に応じて図14の(a)に示すような予め設定されているスタビライザ制御電流マップ205aを参照してスタビライザ制御のための左車輪側の目標駆動電流値Ir=Rr1とし、スタビライザ制御のための右車輪側の目標駆動電流値Ir=−Rr1とする。ここで、Rr1は、ステップS51で得られた差分Δsのサンプル値Δs1の絶対値|Δs1|に対応する値である。
ステップS54では、差分Δsが負か否かをチェックする。差分Δsが負の場合(Yes)は、ステップS55へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS56へ進む。
ステップS55では、ステップS53と同様にスタビライザ制御のための左車輪側の目標駆動電流値Ir=−Rr1とし、スタビライザ制御のための右車輪側の目標駆動電流値Ir=Rr1とする。
ステップS56では、スタビライザ制御のための左右の車輪側の目標駆動電流値Ir=Ir=0とする。
ステップS53,S55,S56の後、ステップS57へ進み、車速補正マップ205bを参照して車速補正係数Krvを算出する。
ステップS58では、ステップS57で算出された車速補正係数KrvをステップS53,S55,S56で算出されたスタビライザ制御の目標駆動電流値Ir,Irに乗じて、目標駆動電流値Ir,Irを補正する。そして、ステップS59では、スタビライザ制御のための目標駆動電流値Ir,Irを当該の左右の車輪25,25(例えば、車輪25FL,25FR)に対応する駆動回路出力部207,207(例えば、駆動回路出力部207A,207B)に出力し、駆動回路出力部207、207において当該の車輪25、25の(例えば、モータ駆動部106FL,106FR)を実際に制御させる。ステップS59の後、図9に示すメインフローチャートのステップS6に戻り、次のステップS7のダンパ制御を実施する。
このように、スタビライザ制御において左右の変位量の差分Δsにもとづいて左右の電動モータ35,35を制御するので、従来の捩じりばねによるスタビライザよりも積極的に左右の車輪25,25の車体11に対する上下の相対位置を同一にしようと制御し、カーブ走行における車体11のカーブ外側方向への車体11のロールを抑制し、車両10のカーブにおける走行性能を向上させる。また、車線変更時のロールを抑制する。
メインフローチャートにおけるステップS7のダンパ制御につては、前記したので説明を省略する。
(加減速時姿勢制御量の計算)
次に図8を参照しながら図9に示したメインフローチャートのステップS8の加減速時姿勢制御部209における車体11の姿勢制御量の計算方法について説明する。
加減速時姿勢制御部209は、加減速時制御電流マップ209aを有し、車両10の前後方向の加速度が前後加速度センサ107から入力され、その加減速度に応じて加減速時制御電流マップ209aを参照して、前後の車輪25の電動モータ35を制御する目標駆動電流値IACを算出して、駆動回路出力部207へ出力する。図示を省略するが、加速時には電動モータ35RL,35RRの加減速時制御の目標駆動電流値IACRL,IACRR(後部側)を、加速度が大きくなるに従って伸び側に大きく設定して駆動回路出力部207C,207Dに出力すると共に、電動モータ35FL,35FRの加減速時制御の目標駆動電流値IACFL,IACFR(前部側)を、加速度が大きくなるに従って縮み側に小さく設定して駆動回路出力部207A,207Bに出力する。
逆に、減速時には電動モータ35FL,35FRの加減速時制御の目標駆動電流値IACFL,IACFR(前部側)を、減速度が大きくなるに従っての伸び側に大きく設定して駆動回路出力部207A,207Bに出力すると共に、電動モータ35RL,35RRの加減速時制御の目標駆動電流値IACRL,IACRR(後部側)を、減速度が大きくなるに従っての縮み側に小さく設定して駆動回路出力部207C,207Dに出力する。
ちなみに、加減速時制御の目標駆動電流値IACには、各車輪25FL,25FR,35RL,25RRの位置に対応する添え字を付して個別の加減速時制御の目標駆動電流値IAC表している。
これにより、車両10の加速時の車体後部の沈み込みが抑制され、減速時には車体前部の沈み込みが抑制され、加減速時の車体11の前後方向の振動が抑制され乗り心地が向上する。
なお、加減速時制御電流マップ209aは、予め実験によって得られたデータにもとづいて、マップデータとして、マイクロコンピュータ113(図5参照)のフラッシュメモリの中に格納されており、請求項7に記載の「予め設定された目標値」に対応する。
(FETブリッジ回路の駆動制御:サブルーチン)
次に図10及び図15を参照しながら、適宜図5、図6、図8を参照して、メインフローチャートのステップS9の駆動回路出力部207におけるモータ駆動部106のゲート電流制御方法について詳細に説明する。
図15は、駆動回路出力部における各電動モータを制御する処理の流れを示すフローチャート(サブルーチン)である。なお、このフローチャートにおける制御は、各電動モータ35に対して別別に行なわれ、駆動回路出力部207(207A〜207D)において、一定の周期、例えば、1msecの周期で、それぞれ行なわれる。ここでは、1つの駆動回路出力部207を代表に説明する。
ステップS71では、設定部241は、前記した車高制御部204から入力された当該の電動モータ35に対する車高補正のためのそれぞれの目標駆動電流値Ih(IhFL,IhFR,IhRL,IhRR)、スタビライザ制御部205から入力された当該の電動モータ35に対するスタビライザ制御の目標駆動電流値Ir(IrFL,IrFR,、IrRL,IrRR)、加減速時制御の目標駆動電流値IAC(IACFL,IACFR,IACRL,IACRR,)、を加算して全目標駆動電流値It(ItFL,ItFR,ItRL,ItRR)を算出する。
ちなみに、スタビライザ制御の目標駆動電流値Ir及び全目標駆動電流値Itには、各車輪25FL,25FR,35RL,25RRの位置に対応する添え字を付して個別の目標駆動電流値Ir及び全目標駆動電流値It表している。
次いで設定部241では、それぞれの全目標駆動電流値Itが0以上か、負であるかをチェックする(ステップS72)。0以上の場合(Yes)は、ステップS73へ進み、負の場合(No)はステップS78へ進む。ステップS73では、設定部241は、全目標駆動電流値Itとダンパ制御部202で算出されたダンパ制御における目標駆動電流値I(IBFL,IBFR,IBRL,IBRR)を加算し、モータ目標駆動電流値Im(ImFL,ImFR,ImRL,ImRR)とする。そして、それぞれのモータ目標駆動電流値Imが0以上か否かをチェックする(ステップS74)。
ちなみに、ダンパ制御における目標駆動電流値I及びモータ目標駆動電流値Imには、各車輪25FL,25FR,35RL,25RRの位置に対応する添え字を付して個別のダンパ制御における目標駆動電流値I及びモータ目標駆動電流値Imを表している。
モータ目標駆動電流値Imが0以上の場合(Yes)は、ステップS77へ進み、そうでない場合(No)はステップS75へ進む。ステップS75では、設定部241は、Im=−Itとして、ステップS76へ進み、伸び側回転ブレーキ駆動を行なう。これは、車高補正制御、スタビライザ制御、加減速時制御の各目標駆動電流値の合計の全目標駆動電流値Itが、伸び側駆動の正であるにもかかわらず、ブレーキの役目のダンパ制御の目標駆動電流値Iの負の値の方が大きいことを示す。そこで、電動モータ35の伸び側回転駆動において回生電流をバッテリ101に戻すように、FET91Aをオン状態に、FET91Dをモータ目標駆動電流値ImでPWM駆動、FET91B,91Cをオフ状態に設定する。
ステップS77では、設定部241は、伸び側回転駆動を行なう。これは、車高補正制御、スタビライザ制御、加減速時制御の各目標駆動電流値の合計の全目標駆動電流値Itが伸び側駆動の正であり、ブレーキの役目のダンパ制御の目標駆動電流値Iの値を加算した結果も正であることを示す。そこで、バッテリ101から電力を供給して電動モータ35の伸び側回転駆動を積極的に行なう。つまり、FET91Aをオン状態に、FET91Cをモータ目標駆動電流値ImでPWM駆動、FET91B,91Dをオフ状態に設定する。
ステップS72においてNoの場合はステップS78に進み、設定部241は、全目標駆動電流値Itとダンパ制御部202で算出されたダンパ制御における目標駆動電流値Iを加算しモータ目標駆動電流値Imとする。そして、モータ目標駆動電流値Imが0以下か否かをチェックする(ステップS79)。モータ目標駆動電流値Imが0以下の場合(Yes)は、ステップS80へ進み、そうでない場合(No)はステップS82へ進む。ステップS80では、設定部241は、Im=−Itとして、ステップS81へ進み、縮み側回転駆動を行なう。これは、車高補正制御、スタビライザ制御、加減速時制御の各目標駆動電流値の合計の全目標駆動電流値Itが負で縮み側の駆動制御であり、ブレーキの役目のダンパ制御の目標駆動電流値Iの値を加算した結果も縮み側の負であることを示す。そこで、電動モータ35の縮み側回転駆動を積極的に行なう。つまり、バッテリ101から電力を供給するように、FET91Dをオン状態に、FET91Bをモータ目標駆動電流値ImでPWM駆動、FET91A,91Cをオフ状態に設定する。
ステップS82では、設定部241は、縮み側回転ブレーキ駆動を行なう。これは、車高補正制御、スタビライザ制御、加減速時制御の各目標駆動電流値の合計の全目標駆動電流値Itが、縮み側駆動の負であるにもかかわらず、ブレーキの役目のダンパ制御の目標駆動電流値Iの正の値の方が大きいことを示す。そこで、電動モータ35の縮み側回転駆動において回生電流をバッテリ101に戻すように、FET91Dをオン状態に、FET91Aをモータ目標駆動電流値ImでPWM駆動、FET91B,91Cをオフ状態に設定する。
ステップS76、ステップS77、ステップS81、ステップS82の後、ステップS83に進み、駆動回路出力部207は、モータ電流センサ124からの駆動電流Idとモータ目標駆動電流値Imとの差分を減算器242で算出した結果により、PID制御信号をモータ駆動部106に出力する。そして、メインフローチャートのステップS3に戻り制御を繰り返す。
以上により、駆動回路出力部207における一つの周期における制御を終了する。
以上のような本実施形態によれば、電動ダンパ変換機構30と、車輪25の上下動の位置を検出する変位量検出センサ80からの信号にもとづいて電動モータ35を制御するダンパ制御部202により構成される電動ダンパ装置3が、特許文献1に記載した従来技術における車高調整装置を兼ねるので、従来のような作動液を供給する作動液供給装置やその制御をする制御回路等を必要せず、構造が簡単になる。また、サスペンション装置20全体の高さを低くできる。従って、設計自由度を向上できると共に、車室を広くでき、乗員の居住快適性を向上させることができる。
また、油圧式ダンパ装置を用いるよりも「ばね下荷重」を軽量にできるので、コイルスプリング36の上下動のばね定数を低く設定でき、乗員の乗り心地を向上できる。
更に、車高調整制御を実施しないときは、回生制御による電力の回収を可能にし、省エネに寄与する。
スタビライザ制御部205が、車両10がロールしてストロークセンサの信号のうちの左右の車輪で差異が生じたとき、その差異を打ち消す方向に電動ダンパ装置の電動モータを制御するので、旋回走行時や車線変更時の車体のロール角を低減でき、走行性能を向上できる。
更に、平均変位量算出部203において各車輪25の上下相対位置を移動平均により算出することにしたので、走行中に速い上下動をする車輪25の変位量Stから容易に低周波の変位量Ave(St)を算出できる。そして、それを用いて各車輪25の車高制御に用いているので、電動ダンパ装置3によるダンパ制御と、車高制御を分離して、電動ダンパ装置3を利用して、容易にかつ路面からの高周波振動の影響を受けないで正確な車高制御を行なうことができる。
また、その車高制御において、目標車高Hに対して不感帯2hを設けて車高制御をするようにしたので、道路形状の凹凸等により不用意にしかも頻繁に車高制御が行われずに安定に、かつ滑らかに行なわれ、車室の低周波の揺れの連続による不快感を乗員に与えない。
加減速時姿勢制御部209は、車両10が加減速したことを前後加速度センサ107からの信号で検知し、減速時の車体の前のめり、加速時の車体の後ろ沈みを抑制することができ、乗員の乗り心地を良くすることができる。
しかも、サスペンション装置20全体の高さを低くできるので、車高重心をより低く保持できる。それにより加減速の前のめり量と後ろ沈み量を小さくできる
本実施形態において車高に係わる量を検出する変位量検出センサ80は、スイングロッド82とポテンショメータ85を用いたものに限定されるものではない。ポテンショメータ85の代わりにアブソリュートタイプのロータリエンコーダを用いて、スイング角を計測しても良いし、更にラックピニオン部41内にアブソリュートタイプのリニアエンコーダ等を格納して用いても良い。
また、電動モータ35の逆起電圧を計測して、電動モータ35の回転速度を検出し、その信号を積分して、車高に係わる量としての変位量を算出して用いても良い。
なお、コイルばねを持っているので車両が停車しているときの位置を車高の初期位置とする。
《第2の実施形態》
次に本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の電動式車両姿勢制御装置は、第1の実施形態と本質的に同じであるが、図5に破線で示したように、車両10の走行時の旋回運動の度合いを検知するセンサとしての横加速度センサ108と、車高姿勢制御選択表示パネル109、バンク角検出装置110が加わる。そして、第2の実施形態における制御部200Aでは、図8に( )内に書いて示したように車高制御部204が車高制御部204Aに置き換わる。
他の構成は、第1の実施形態と同じ構成であり、同じ符号を付し重複する説明を省略する。
車高姿勢制御選択表示パネル109は、車室内の運転席前のパネルに設置され、例えば、タッチパネル式の液晶表示装置であり、車高制御部204Aの車高制御機能やロール制御機能を次のものから選択することが可能となっている。
(1)ロール制御の機能の選択
1a:第1の実施形態におけるスタビライザ制御部205によるスタビライザ制御(ロール制御)
1b:第2の実施形態における車高制御部204Aを用いたロール制御
(2)車高制御機能の選択
2a:第1の実施形態における車高制御部204と同じ車高制御
2b:高速走行時の車高制御(2b−1:前傾姿勢、2b−2:低車高)
2c:バンク角を補正する左右傾き車高制御
図8を参照しながら第2の実施形態における第1の実施形態に加えて新たに追加された前記機能を説明する。そのため、車高制御部204Aは、目標値部204aに加えて、ロール制御電流マップ204b、目標値部204c、バンク角制御電流マップ204dを有している。
先ず、前記項目1bのロール制御について説明する。
車高姿勢制御選択表示パネル109において運転者が前記1bのロール制御を選択すると、その選択信号が車高制御部204Aとスタビライザ制御部205に入力され、スタビライザ制御部205における第1の実施形態で説明した制御機能は停止し、スタビライザ制御に対する目標駆動電流値Ir=0の状態になる。そして、車高制御部204Aは横加速度センサ108からの横加速度信号にもとづいて、ロール制御電流マップ204bを参照し、左右の車輪25に対する目標車高Hを算出して、更に、算出された目標車高Hと平均変位量算出部203から入力された平均変位量との差分に応じた車高補正のための目標駆動電流値Ihを算出して、駆動回路出力部207に出力する。
ここで、ロール制御電流マップ204bにおける左右の車輪25に対する目標車高Hは、例えば、左旋回での横加速度が大きいければ大きいほど、右車輪25FR,25RRの目標車高を高く設定し、左車輪25FL,25RLの目標車高を低く設定するようなマップである。右旋回の場合はその逆になるようにロール制御電流マップ204bは予め用意されている。
このようにロール制御をすると、第1の実施形態において旋回運動時に左右の車輪、例えば、車輪25FL、25FRの変位量StFLと変位量StFRの差を打ち消すようにするスタビライザ制御よりも、車体11のロール角が旋回方向(旋回半径の内側方向)になるように設定されるので、車両10の旋回運動性が向上する。
この前記項目1bのロール制御に用いる旋回運動の度合いを検知するセンサは横加速度センサ108に限定されるものではなく、図示しない操向ハンドルの操作量と車速Vsの組み合わせとしても良いし、ヨーレートセンサを用いても良い。
前記した項目2a、2b、2cに記載の車高制御機能は、任意に重複が可能な機能である。
「高速走行時の車高制御」は、この制御が選択されている場合、所定の車速Vs以上になると、車高制御部204Aは、自動的に目標値部204cの高速時前傾姿勢又は高速時低車高姿勢の目標車高Hを読み出して、空気抵抗の少ない前傾姿勢又は安定性の良い低車高姿勢を取り、燃費の向上を図る高速走行、又は、車体のロールセンタ高さを下げてロール角を小さくし、操縦性を向上させた走行を行なう。車速Vsがその所定値未満になると自動的に、通常の制御に戻る。
バンク角を補正する左右傾き車高制御は、カメラ等により道路の車幅方向のバンク角(カント量)を検出するバンク角検出装置110であり、検出されたバンク角は車高制御部204Aに入力される。車高制御部204Aはバンク角検出装置110からのバンク角信号にもとづいて、バンク角制御電流マップ204dを参照し、左右の車輪25に対する目標車高Hを算出して、更に、算出された目標車高Hと平均変位量算出部203から入力された平均変位量との差分に応じた車高補正のための目標駆動電流値Ihを算出して、駆動回路出力部207に出力する。
以上のように本実施形態によれば、第1の実施形態における効果に加えて、第1の実施形態よりもロール制御をより積極に行なって、走行性能を高めることができる。
また、車高制御部204Aは、予め設定された車高に係わる目標値を前輪と後輪とで別々に設定できるので、例えば、高速運転の場合は車両姿勢を前傾姿勢として空気抵抗を低減したり、全体の車高を下げてロールセンタ高さを下げたりすることができる。空気抵抗を低減できると、従来のエンジンによる車両や、エンジン駆動と電動機駆動を両用するハイブリッド車両の場合、エンジンの負担を減らすことができ、又、電気自動車や燃料電池車の場合、電動機の負担を減らすことができ、燃費向上や走行距離増加や、CO削減を可能にする。ロールセンタ高さを下げた場合、車体のロール角を小さくして、車両10の操縦性を向上させたり、横風を受けた場合の車両10のロールを低減できる。
しかも、サスペンション装置全体の高さを低くできるので、スポーツカーやRV車等の車種適用の範囲を拡大できると共に、車高をより低く保持できる。
更に、車高制御部204Aは、予め設定された車高に係わる目標値を車両の左側車輪と右側車輪とで別々に設定できるので、車幅方向に傾斜のついた道路(カント路)を走行する場合でも、左右にフラットな姿勢を維持することができ、乗員にとって優しい走行状態を維持できる。
以上、第1及び第2の実施形態では、電動モータ35としてブラシ付き直流モータとしたがそれに限定されるものではなく、ブラシレス直流モータとしても良い。
また、電動モータ35をブラシレス三相モータとした場合は、ブリッジ回路122に6個のFETが設けられる。
また、第1及び第2の実施形態では、全ての車輪25FL,25FR,25RL,25RRの各サスペンション装置20FL,20FR,20RL,20RRに、それぞれ電動ダンパ変換機構30FL,30FR,30RL,30RRを備えるものとしたがそれに限定されるものではない。
例えば、左右の後輪25RL,25RRにのみ電動ダンパ変換機構30RL,30RRを備えるようにしても良い。
本発明の実施形態に係わる電動式車両姿勢制御装置を適用した車両用サスペンション装置を備えた車両の背面から見た模式図である。 本発明の実施形態における電動ダンパ装置用の電動ダンパ変換機構の断面構造図である。 図2におけるA−A部分断面図である。 変位量検出センサの模式図である。 電動ダンパ装置の制御回路のブロック構成図である。 モータ駆動部のブリッジ回路の構成例としてHブリッジ回路を示す図である。 Hブリッジ回路における4つのFETの制御状態を説明する図であり、(a)は伸び側の駆動の場合の各FETの制御状態を説明する図であり、(b)は縮み側の駆動の場合の各FETの制御状態を説明する図である。 電動式車両姿勢制御装置全体の制御の制御機能ブロック図である。 電動式車両姿勢制御装置における全体制御のメインフローチャートである 図8に示されたダンパ制御部202A〜202Dにおけるダンパ制御機能の詳細な機能ブロック図である。 (a),(b)はダンパ制御機能に用いられる変位速度に応じた予め設定された基準駆動電流マップを説明する図であり、(a)は伸び側(車輪が下方に変位)の場合に対するものであり、(b)は縮み側(車輪が上方に変位)の場合に対するものであり、(c)は車速に応じて(a)、(b)で求められた駆動電流を補正する予め設定された車速補正マップを説明する図である。 車高制御部における、車両の車高を制御する姿勢制御量の計算処理の流れを示すフローチャート(サブルーチン)である。 スタビライザ制御部における、左右の車両の車輪の変位差を制御するスタビライザ制御量の計算処理の流れを示すフローチャート(サブルーチン)である。 (a)はスタビライザ制御機能に用いられる左右の車輪の変位差に応じた予め設定されたスタビライザ制御電流マップを説明する図であり、(b)は車速に応じて(a)で求められたスタビライザ駆動電流を補正する予め設定された車速補正マップを説明する図である。 駆動回路出力部における各電動モータを制御する処理の流れを示すフローチャート(サブルーチン)である。
符号の説明
1 電動式車両姿勢制御装置
3,3FL,3FR,3RL,3RR 電動ダンパ装置
10 車両
11 車体
11a サスペンション取付部
20,20FL,20FR,20RL,20RR サスペンション装置
21 アッパーアーム
22 ロアアーム
23 車輪支持部材
25,25FL、25FR,25RL,25RR 車輪
30,30FL,30FR,30RL,30RR 電動ダンパ変換機構
31 ダンパハウジング
32 ロッド
32a 端部
33 ラックアンドピニオン機構(変換機構)
34 ロッドガイド
35、35FL,35FR,35RL,35RR 電動モータ
35a モータ軸
36 コイルスプリング(ばね機構)
36a 上端部
36b 下端部
37 ダストブーツ
41 ラックピニオン部
41a 端面部
42 ロッド部
43 インシュレータ
44 取付ボルト
45 滑り軸受
47 連結部
48 バンプストッパ
51 ラックギア
52 ピニオンギア
53 ピニオン軸
54,55 軸受
61 摺動部材
62 ロッドガイド
64 調整ボルト
65 ロックナット
71 ばね座
72 ばね座
80,80FL,80FR,80RL,80RR 変位量検出センサ(ストロークセンサ)
81 センサハウジング
82 スイングロッド
83 ジョイント部
84 伝達機構
85 ポテンショメータ
85a 抵抗素子
85b 摺動素子
85c 出力端子
86 抵抗器
87 定電圧電源
88 抵抗器
101 バッテリ
102 メインスイッチ
103 メインリレー
104 車速センサ
105 ダンパ制御ECU
106,106FL,106FR,106RL,106RR モータ駆動部
107 前後加速度センサ
124,124FL,124FR,124RL,124RR モータ電流センサ
200 制御部(制御手段)
201 故障診断部
202 ダンパ制御部(ダンパ制御手段)
203,203A,203B,203C,203D 平均変位量算出部(車高算出手段)
204,204A 車高制御部(車高制御手段)
204a,204c 目標値部
204b ロール制御電流マップ
204d バンク角制御電流マップ
205 スタビライザ制御部(スタビライザ制御手段)
205a スタビライザ制御電流マップ
205b 車速補正マップ
207 駆動回路出力部
209 加減速時姿勢制御部(加減速時姿勢制御手段)
209a 加減速時制御電流マップ
221 変位速度算出部
222 基準電流算出部
222a 第1の基準電流マップ
222b 第2の基準電流マップ
223 補正係数算出部
223a 車速補正マップ
224 補正部
225 粘性補正電流算出部
226 慣性補正電流算出部
227 加算補正部
241 設定部
242 減算器

Claims (9)

  1. 車輪の上下動を電動モータの回転に変換する電動ダンパ変換機構と、前記車輪の上下動の位置を検出するストロークセンサと、前記ストロークセンサからの信号にもとづいて前記電動モータを制御するダンパ制御手段と、該ダンパ制御手段を含む車両姿勢制御手段を有する電動式車両姿勢制御装置において、
    前記電動モータに電力を供給するバッテリを更に備え、
    前記車両姿勢制御手段は、
    前記電動モータから前記バッテリまでの経路上に設けられた4つのスイッチング素子で構成されたHブリッジ回路をPWM制御し、
    前記電動モータが、外力に対抗して駆動制御されるべきモータ駆動状態か否かを判断し、
    該モータ駆動状態のときには前記電動モータを駆動制御し、それ以外のときには前記電動モータを回生制御し、
    前記電動モータを前記駆動制御、若しくは前記回生制御しながら、前記ストロークセンサの信号にもとづいて算出された車高に係わる量を、予め設定された車高に係わる目標値と比較して、該目標値に収まらない場合は前記電動モータを制御して、車両の車高を制御するとともに、
    前記電動ダンパ変換機構による伸び側の制御の場合であっても、
    前記電動モータを前記駆動制御するときには、前記Hブリッジ回路の前記バッテリからの電力供給側に近い方の2つのスイッチング素子のうちの一方をオンとし、他方をオフとし、前記電力供給側に遠い方の2つのスイッチング素子のうちの前記一方と対角位置にあたるスイッチング素子をPWM制御し、前記他方と対角位置にあたるスイッチング素子をオフとし、
    前記電動モータを前記回生制御するときには、前記Hブリッジ回路の前記バッテリからの電力供給側に近い方の2つのスイッチング素子のうちの前記他方をPWM制御し、前記電力供給側に遠い方の2つのスイッチング素子を共にオフとし、
    前記電動ダンパ変換機構による縮み側の制御の場合であっても、
    前記電動モータを前記駆動制御するときには、前記Hブリッジ回路の前記バッテリからの電力供給側に近い方の2つのスイッチング素子のうちの前記一方をオフとし、前記他方をオンとし、前記電力供給側に遠い方の2つのスイッチング素子のうちの前記一方と対角位置にあたるスイッチング素子をオフとし、前記他方と対角位置にあたるスイッチング素子をPWM制御し、
    前記電動モータを前記回生制御するときには、前記Hブリッジ回路の前記バッテリからの電力供給側に近い方の2つのスイッチング素子のうちの前記一方をPWM制御し、前記電力供給側に遠い方の2つのスイッチング素子を共にオフとし、
    前記電動ダンパ変換機構による伸び側の制御の場合又は縮み側の制御の場合であっても、前記電動モータを前記駆動制御するときと前記回生制御するときとでは、前記4つのスイッチング素子の制御パターンを切り換えることを特徴とする電動式車両姿勢制御装置。
  2. 前記車両姿勢制御手段は、
    少なくとも前記車高に関わる目標値を含む第一目標値の正負を判断し、
    前記第一目標値が正の場合には、前記第一目標値にダンパ制御目標値を加算して、加算結果が正のときには、前記電動モータを前記駆動制御とし、前記加算結果が負のときには、前記電動モータを前記回生制御とし、
    前記第一目標値が負の場合には、前記第一目標値に前記ダンパ制御目標値を加算して、加算結果が正のときには、前記電動モータを前記回生制御とし、前記加算結果が負のときには、前記電動モータを前記駆動制御とすることを特徴とする請求項1に記載の電動式車両姿勢制御装置。
  3. 前記車両姿勢制御手段は、
    前記ストロークセンサの信号にもとづいて左右輪の高さを比較し、その差分をなくす方向に前記電動モータを制御するスタビライザ制御を行なうことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動式車両姿勢制御装置。
  4. 前記車両姿勢制御手段は、
    前記ストロークセンサの信号のうちの低周波の信号を取り出す低周波フィルタを有し、
    前記低周波の信号にもとづいて前記電動モータを制御することで前記車高の制御を行なうことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電動式車両姿勢制御装置。
  5. 前記車両姿勢制御手段は、予め設定された車高に係わる目標値が所定の幅を有し、この幅から前記低周波の信号が外れた場合に前記電動モータを制御して、前記車高の制御を行なうことを特徴とする請求項4に記載の電動式車両姿勢制御装置。
  6. 前記車両姿勢制御手段は、前記車高の制御に対してのみ前記予め設定された車高に係わる目標値が、所定の幅を有し、この幅から前記低周波の信号が外れた場合に前記電動モータを制御して、前記車高の制御を行なうことを特徴とする請求項4に記載の電動式車両姿勢制御装置。
  7. 前記予め設定された車高に係わる目標値が、車両の前輪に対するものと、車両の後輪に対するものとで独立に設定されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電動式車両姿勢制御装置。
  8. 前記予め設定された車高に係わる目標値が、車両の左側車輪に対するものと、右側車輪に対するものとで独立に設定されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電動式車両姿勢制御装置。
  9. 前記車両姿勢制御手段は、更に、車両の前後加速度を検出する前後加速度センサからの所定以上の加速度又は減速度を検出した場合、予め設定された目標値になるように前後の車輪の前記電動ダンパ変換機構の電動モータを制御して、車両の前後姿勢を維持することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電動式車両姿勢制御装置。
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