以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る空気調和機の室内機1は、図1及び図2に示すように室内と室外とを仕切る壁2の内側面に取付けられる室内機本体3を有し、室内機本体3の前面部と上面部とには複数の吸込口4が形成されている。室内機本体3の下部には、ルーバー5により開度を調整可能な吹出口6が形成されている。
室内機本体3内には、エアフィルタ7と、熱交換器8と、空調用ファン9とが配置されている。さらに、室内機本体3内には、水分や臭い成分等の被吸着物質を吸着可能及び脱離可能な吸着体10と、室外排気用ファン11と、吸着脱離手段12と、吸着脱離手段12の一部を構成する加熱手段であるヒータ13と、制御器14とが配置されている。
エアフィルタ7は、室内機本体3の前面部と上面部との内側に配置され、メッシュ状に形成されている。吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれる空気中に埃が含まれている場合、この空気がエアフィルタ7を通過する過程で埃がエアフィルタ7により捕集される。
熱交換器8は、室外に配置されている室外機(図示せず)内に設けられている熱交換器に接続され、内部に冷媒が流れ、冷房運転と暖房運転とに切替可能に設けられている。冷房運転時には熱交換器8の周囲を流れる空気が冷却され、暖房運転時には熱交換器8の周囲を流れる空気が加熱される。
空調用ファン9は、長尺形状に形成された貫流(横流)ファンであり、一端にモータ15が連結され、モータ15により回転駆動される。空調用ファン9が駆動されることにより、室内の空気が吸込口4から吸い込まれ、吸い込まれた空気が熱交換器8の周囲を流れて吹出口6から吹き出す。吹出口6から吹き出す空気は、冷房運転されている熱交換器8の周りを流れることにより冷却されて冷風となり、又は、暖房運転されている熱交換器8の周りを流れることにより加熱されて温風となる。
吸着体10は、正面側の吸込口4と熱交換器8との間で、エアフィルタ7の背面に配置され、紙などを素材とする長方形状の基材の表面にゼオライト等の吸着材粒子を塗布することにより形成された複数枚の吸着板16が平行に配置され、これらの吸着板16の両端が支持枠17により支持されている。一対の支持枠17の中央には空気が流通可能な開口17aが設けられ、各吸着板16間の空気が横方向(長手方向)に支持枠17を通過できるようになっている。ゼオライト等の吸着材粒子は、低温(室温)で空気中の水分や臭い成分等の被吸着物質を吸着し、高温になると吸着した被吸着物質を放出する。吸着体10は、室内機本体3の横幅方向に延びた長尺形状に形成され、吸着板16の長手方向と室内機本体3の横幅方向とが一致する向きに室内機本体3内に配置されている。水分や臭い成分を含む空気が吸着板16と吸着板16との間を流れることにより、水分や臭い成分が吸着材粒子に吸着される。また、加熱された空気が吸着板16と吸着板16との間を流れることにより吸着板16が加熱され、吸着材粒子に吸着されている水分や臭い成分が吸着材粒子から脱離される。
室外排気用ファン11には、この室外排気用ファン11を回転駆動させるモータ18が連結されている。室外排気用ファン11が駆動されることにより、室内の空気が正面側の吸込口4から吸い込まれ、吸着体10の各吸着板16の間を通過した後、ダクト11aを介して排気用パイプ19内を通風され、室外に排気される。排気用パイプ19は、室内機本体3内から室内機本体3外へ延び出し、さらに、壁2を貫通して室外に延び出している。ダクト11aは吸着体10の支持枠17の一端に接続されており、それぞれの吸着板16の間を通過した空気は、開口17aを通ってダクト11a側に流れることができる。
吸着脱離手段12は、室外排気用ファン11が駆動された場合に流れる空気と空調用ファン9が駆動された場合に流れる空気とを吸着体10に通風し、通風された空気を吸着体10に当てることにより吸着体10に対して被吸着物質の吸着と脱離とを行わせるための機構である。この吸着脱離手段12は、室外排気用ファン11が駆動された場合に流れる空気を吸着体10に当たるように通風する第1空気経路20(図2)と、空調用ファン9が駆動された場合に流れる空気を吸着体10に当たるように通風する第2空気経路21(図4)とを切り替え可能な切替機構22、及び、吸着体10から被吸着物質を脱離させるために吸着体10に当たる空気を加熱する加熱手段であるヒータ13を備えている。第1空気経路20は、ダクト11a,室外排気用ファン11を経由して排気用パイプ19に連通している。
切替機構22は、吸着体10と熱交換器8との間に位置固定に配置された複数の短冊状の固定板23と、吸着体10と熱交換器8との間に移動可能に配置された複数の短冊状の可動板24と、可動板24をスライドさせるモータ25とにより構成されている。複数の可動板24は一体にスライド可能に連結されており、複数の可動板24は、図2に示す閉止位置と図4に示す開放位置とにスライド可能とされている。
可動板24が図2に示す閉止位置にスライドされた場合、隣合う固定板23と固定板23との間の隙間が可動板24により閉止され、固定板23と可動板24とにより吸着体10と熱交換器8との間が仕切られる。同時に室外排気用ファン11が駆動されることにより、正面側の吸込口4から室内機本体3内に吸込まれた空気の一部は、室外排気用ファン11側に向け、各吸着板16間の隙間として吸着板16の長手方向(横方向)に形成される第1空気経路20を通過する。
一方、可動板24が図4に示す開放位置にスライドされた場合、可動板24と固定板23とが重なり、隣合う固定板23と固定板23との間の隙間が開放される。同時に空調用ファン9が駆動されることにより、正面側の吸込口4から室内機本体3内に吸込まれた空気は、熱交換器8及び空調用ファン9側に向けて各吸着板16間の隙間として吸着板16の短手方向に形成される第2空気経路21を通過する。
ヒータ13は、正面側の吸込口4から吸い込まれた空気の流れ方向に沿った吸着体10の上流側に配置されている。ヒータ13へ通電されることによりヒータ13から発熱され、正面側の吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれて吸着体10に当たる空気が加熱される。ヒータ13により加熱された空気が吸着体10に当たることにより、吸着体10が加熱され、吸着体10に吸着されている水分等の被吸着物質が吸着体10から脱離される。
制御器14は、プログラムされたマイコン及びその周辺機器からなり、室内機本体3内の制御対象物の制御を行う。制御器14には、図5に示すように、空調用ファン9を駆動させるモータ15、室外排気用ファン11を駆動させるモータ18、可動板24をスライドさせるモータ25、ルーバー5を駆動させるモータ26が接続されている。さらに、制御器14には、ヒータ13、室温センサ27、室内機1の動作を操作するリモコン28からの赤外線信号を受光する受光部29が接続されている。
空気調和機を加湿運転する場合の制御について、図6のフローチャートに基づいて説明する。なお、加湿運転において、吸着体10に水分を吸着させる設定時間“ts1”と、吸着体10から水分を脱離させる設定時間“ts2”とが予め設定されている。また、この加湿運転が行われるのは空気調和機が暖房運転されている場合であり、加湿運転が開始される前に空調用ファン9が既に駆動されている。
制御器14は、リモコン28から加湿運転の開始信号が入力されたか否かを監視している(S1)。加湿運転開始信号が入力された場合には(S1のYES)、制御器14に内蔵されているタイマがセットされ(S2)、モータ25が駆動されて可動板24が図2に示す閉止位置にスライドされ(S3)、室外排気用ファン11の駆動が開始される(S4)。
可動板24が閉止位置にスライドされ(S3)、及び、室外排気用ファン11の駆動が開始されることにより(S4)、正面側の吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれている室内の空気の一部は、図2に示すように第1空気経路20を通風されて吸着体10に当たり、その後、排気用パイプ19内を通って室外に排気される。ここで、室内の空気が吸着体10の吸着板16に当たることにより室内空気中に含まれる水分が吸着板16に吸着され、水分が吸着されて含有水分量が少なくなった乾燥空気が室外に排気される。
吸着体10への水分の吸着が開始された後、タイマがセットされてからの経過時間“T”が設定時間“ts1”を越えたか否かが判断される(S5)。経過時間“T”が設定時間“ts1”を越えた場合には(S5のYES)、室外排気用ファン11の駆動が停止され(S6)、タイマがリセットされ及び再スタートされ(S7)、モータ25が駆動されて可動板24が図4に示す開放位置にスライドされ(S8)、ヒータ13に通電される(S9)。
ステップS6に示すように室外排気用ファン11の駆動が停止され、ステップS8に示すように可動板24が開放位置にスライドされた場合には、引き続き駆動される空調用ファン9により、吸込口4から室内機本体3内への空気の吸い込みが継続され、吸い込まれた空気は図4に示すように第2空気経路21を通風されて吸着体10に当たり、その後、熱交換器8及び空調用ファン9側へ流れ、熱交換器8により加熱されて吹出口6から温風となって室内に吹き出す。また、この第2空気経路21を通風される空気は、ヒータ13により加熱されるため、ヒータ13により加熱された空気が吸着体10に当たり、吸着体10が加熱される。吸着体10が加熱されることにより吸着体10から水分が脱離され、吸着体10から脱離された水分は吹出口6から吹き出す空気に含まれて室内に放出され、室内の加湿が行われる。
吸着体10から脱離された水分による室内の加湿が開始された後、タイマがリセット・再スタート(S7)されてからの経過時間“T”が設定時間“ts2”を越えたか否かが判断される(S10)。経過時間“T”が設定時間“ts2”を越えた場合には(S10のYES)、タイマがリセットされ及び再スタートされる(S11)。その後、上述したステップS3からステップS9において説明したように、吸着体10への水分の吸着と、吸着体10からの水分の脱離とが繰り返される。吸着体10への水分の吸着と、吸着体10からの水分の脱離とは、加湿運転を終了する信号がリモコン28から制御器14に入力されるまで継続される。なお、一般的に吸着時間>脱離時間であることから、ts1>ts2に設定される。
このような構成において、吸着体10は、室内機1の横幅方向に延びた長尺形状に形成され、正面側の吸込口4と熱交換器8との間に位置して室内機本体3内に配置されている。このため、室内機1の外径寸法が大きくなることを抑制しつつ吸着体10の表面積を増大させることができ、加湿性能を高めることができる。
また、吸着体10から水分を脱離させるために吸着体10に送風するファンとして、専用のファンを設けることなく空調用ファン9を使用している。このため、水分を脱離させるための専用のファンを設ける必要がなくなり、室内機1の小型化と低価格化とを図ることができる。
なお、第1の実施の形態では、吸着体10から水分を脱離させるために吸着体10を加熱する手段として、吸込口4から吸い込まれる空気を加熱するヒータ13を設けているが、このヒータ13を使用せずに吸着体10を加熱するようにしてもよい。
具体的には、熱交換器8を加熱手段として用い、暖房運転される熱交換器8により加熱されて吹出口6に向かう温風の一部を吸着体10の空気流入側へ導く回動可能なダンパ(図示せず)を設け、このダンパにより第2空気経路21を形成することで達成できる。
また、この室内機1では、吸着体10を用いて、室内の除湿、室内からの臭い成分の除去を行うことができる。
室内の除湿や室内からの臭い成分の除去を行う場合には、除湿又は臭い成分の除去を行う信号をリモコン28から制御器14に入力する。この信号が制御器14に入力されると、可動板24が図4に示す開放位置にスライドされ、空調用ファン9が駆動される。この場合、空気調和機の空調運転状態は、冷房運転、暖房運転、停止のいずれであってもよい。空調用ファン9が駆動されることにより、室内の空気が正面側の吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれ、吸い込まれた空気の一部が第2空気経路21を通風されて吸着体10に当たり、空気中の水分や臭い成分が吸着体10に吸着される。水分や臭い成分が吸着され、水分や臭い成分の含有量が少なくなった空気は吹出口6から室内に吹き出す。
除湿又は臭い成分の除去が開始されてから予め設定されている時間が経過した後、可動板24が図2に示す閉止位置にスライドされ、ヒータ13に通電され、室外排気用ファン11が駆動される。室外排気用ファン11が駆動されることにより、正面側の吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれる空気の一部がヒータ13により加熱される。ヒータ13により加熱された空気は第1空気経路20を通風されて吸着体10に当たり、吸着体10に吸着されている水分や臭い成分が吸着体10から脱離される。吸着体10から脱離された水分や臭い成分を含む空気は、第1空気経路20から排気用パイプ19内に流入し、排気用パイプ19内を通風されて室外に排気され、ここに、室内の除湿や室内からの臭い成分の除去が行われる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る空気調和機の室内機1Aを、図7ないし図10に基づいて説明する。なお、第2の実施の形態及びこれ以降の実施の形態において、先行して説明した他の実施の形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
室内機1Aの室内機本体3内には、エアフィルタ7と、熱交換器8と、空調用ファン9とが配置されている。さらに、室内機本体3内には、水分や臭い成分等の被吸着物質を吸着可能及び脱離可能な吸着体10Aと、室外排気用ファン11と、吸着脱離手段12Aと、吸着脱離手段12Aの一部を構成する加熱手段であるヒータ13A、13B、13Cと、制御器14とが配置されている。
吸着体10Aは、室内機本体3内における正面側の吸込口4と熱交換器8との間に配置され、室内機本体3の横幅方向に延びた長尺の直方体形状に形成されている。吸着体10Aは、図8に示すように、複数枚の平面シート31と複数枚の波形シート32とを交互に接着して形成され、平面シート31と波形シート32との間に奥行き方向に通風可能な空間部33が形成されている。吸着体10Aの長手方向である横方向の両端には端板33a、33bが設けられ、横方向の中央部には端板33a、33bと平行に仕切板33cが設けられている。すなわち、吸着体10Aは仕切板33によって左右に2分割されている。なお、この吸着体10Aは、横方向には空気が流れない。
平面シート31と波形シート32との表面には、ゼオライト等の吸着材粒子が塗布されている。吸着体10Aが室内機本体3内に配置された場合、空間部33は正面側の吸込口4から熱交換器8に向けられている。水分や臭い成分を含む空気が吸着体10Aの空間部33を流れることにより、水分や臭い成分が吸着材粒子に吸着される。また、加熱された空気が吸着体10Aの空間部33を流れることにより、吸着材粒子に吸着されている水分や臭い成分が吸着材粒子から脱離される。
吸着脱離手段12Aは、室外排気用ファン11が駆動された場合に流れる空気と空調用ファン9が駆動された場合に流れる空気とを吸着体10Aに当て、吸着体10Aに対して被吸着物質の吸着と脱離とを行わせるための機構である。この吸着脱離手段12Aは、室外排気用ファン11が駆動された場合に流れる空気を吸着体10Aの一部に当たる位置に通風する第1空気経路34と、空調用ファン9が駆動された場合に流れる空気を吸着体10Aの他の部分に当たる位置に通風する第2空気経路35と、吸着体10Aの各部が第1空気経路34上と第2空気経路35上とに交互に位置するように吸着体10Aをスライドさせるスライド機構36と、吸着体10Aから被吸着物質を脱離させるために吸着体10に当たる空気を加熱する加熱手段であるヒータ13A、13B、13Cとを備えている。第1空気経路34は、排気用パイプ19に連通されている。
吸着体10Aと熱交換器8との間には、吸着体10Aに向けて開口し、第1空気経路34を通過した空気が流入するダクト11Aが配置されている。ダクト11Aは排気用パイプ19に接続されている。図9に示すように第1空気経路34は、室内空気吸込み側に位置する吸着体10A部分と同じ大きさの開口が設けられ、これがダクト11Aにつながっている。したがって、吸込まれた室内空気は、図9中左側の吸着体10Aの半分を通過してダクト11Aの開口を通る。ダクト11Aは、開口から吸着体10Aを避けて上方向に延出されており、第9図中破線位置となるように吸着体10Aが左側にスライドした場合、左側の吸着体10Aの背面にダクト11Aが位置しないようになっている。これにより左側に吸着体10Aがスライドした場合でも室内空気はダクト11Aが通風抵抗となることなく、熱交換器側へと流れる。
スライド機構36は、吸着体10Aに固定されたラック37と、ラック37に噛み合うピニオン38と、ピニオン38を回転させるモータ39とにより構成されている。モータ39を正逆回転させることにより、吸着体10Aは図7に示す位置と図10に示す位置との間で往復移動する。吸着体10Aが図7に示す位置にスライドしている場合、吸着体10Aにおける端板33aと仕切板33cとの間の領域(X部)がダクト11Aの開口部に対向する。吸着板10Aが図10に示す位置にスライドしている場合、吸着体10Aにおける端板33bと仕切板33cとの間の領域(Y部)がダクト11Aの開口部に対向する。
ヒータ13Aは、正面側の吸込口4と吸着体10Aとの間であって、室内空気の吸込み側であるダクト11Aの開口部に対向する位置に配置されている。ヒータ13B、13Cは、正面側の吸込口4と吸着体10Aとの間であって、吸着体10Aのスライド方向に沿ったダクト11Aの両側に対向する位置に配置されている。ヒータ13A、13B、13Cは、空気調和機の運転モードに応じ、及び、吸着体10Aのスライド位置に応じ、個々に通電可能とされている。
このような構成において、空気調和機が加湿運転される場合の室内機1Aの動作について説明する。なお、加湿運転が開始される前には、吸着体10Aは、図7に示す位置又は図10に示す位置に位置している。ここでは、吸着体10Aが図7に示す位置に位置して暖房運転が行われている状態から、加湿運転が開始される場合について説明する。
加湿運転が行われていない暖房運転時には、空調用ファン9が駆動され、室内の空気が吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれ、吸い込まれた空気が熱交換器8により加熱され、温風となって吹出口6から吹き出している。
加湿運転を開始する信号がリモコン28から制御器14に入力されると、室外排気用ファン11が駆動され、正面側の吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれた室内の空気の一部が、第1空気経路34に通風され、第1空気経路34を通過した後にダクト11A内と排気用パイプ19内とを通って室外に排気される。第1空気経路34内を空気が通風されることにより、通風される空気が吸着体10Aの一部(X部)に当たり、空気中の水分が吸着体10AのX部に吸着される。水分が吸着されて含有水分量が少なくなった空気は、ダクト11A内と排気用パイプ19内とを通って室外に排気される。
室外排気用ファン11の駆動が開始されてから一定時間が経過すると、モータ39が駆動され、吸着体10Aが図10に示す位置にスライドされる。さらに、ヒータ13Cに通電される。
吸着体10Aが図7に示す位置から図10に示す位置にスライドすると、吸着体10Aの一部であって第1空気経路34上に位置して水分が吸着された部分(X部)が、第2空気経路35上に移動する。一方、吸着体10Aの他の一部であって図7に示す場合に第2空気経路35上に位置していた部分(Y部)が、ダクト11Aの開口部に対向する第1空気経路34上に移動する。
そして、第2空気経路35上に移動した吸着体10AのX部に対向して位置するヒータ13Cに通電されることにより、空調用ファン9が駆動されて正面側の吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれる室内空気の一部がヒータ13Cにより加熱され、加熱された空気が吸着体10AのX部に当たる。これにより、吸着体10AのX部が加熱され、吸着体10AのX部から吸着されている水分が脱離される。
吸着体10AのX部から脱離された水分は、空調用ファン9が駆動されることにより吹出口6から吹き出す空気中に含まれ、吸着体10Aから脱離された水分が吹出口6から室内に放出され、室内の加湿が行われる。
図10に示す状態においては、室外排気用ファン11が引き続き駆動され、吸着体10Aの他の一部であって第1空気経路34上に位置している部分(Y部)に水分が吸着される。
図10に示す状態で一定時間が経過すると、モータ39が逆向きに駆動され、吸着体10Aが図7に示す位置にスライドされる。このスライドにより、吸着体10Aにおける第1空気経路34上に位置して水分が吸着された部分(Y部)が、第2空気経路35上に移動する。そして、ヒータ13Cへの通電が停止され、ヒータ13Bに通電され、ヒータ13Bから発熱される。これにより、図10に示す場合に水分の吸着が行われた吸着体10AのY部にヒータ13Bにより加熱された空気が当たり、吸着体10AのY部から水分が脱離される。吸着体10AのY部から脱離された水分は、空調用ファン9が駆動されることにより吹出口6から室内に吹き出す空気中に含まれ、吸着体10Aから脱離された水分が吹出口6から室内に放出され、室内の加湿が行われる。
一方、図10に示す場合に水分の脱離が行われた吸着体10AのX部が第1空気経路34上に移動し、再び水分の吸着が開始される。
この室内機1Aによれば、室外排気用ファン11と空調用ファン9とを連続回転させ、吸着体10を往復スライドさせ、ヒータ13C、13Bに交互に通電することにより、室内の加湿を連続して行うことができる。
吸着体10Aは、室内機1の横幅方向に延びた長尺形状に形成され、正面側の吸込口4と熱交換器8との間に位置して室内機本体3内に配置されている。このため、室内機1Aの外径寸法が大きくなることを抑制しつつ吸着体10Aの表面積を増大させることができ、加湿性能を高めることができる。
また、吸着体10Aから水分を脱離させるために吸着体10Aに送風するファンとして、専用のファンを設けることなく空調用ファン9を使用している。このため、水分を脱離させるための専用のファンを設ける必要がなくなり、室内機1の小型化と低価格化とを図ることができる。
また、この室内機1では、吸着体10Aを用いて、室内の除湿、室内からの臭い成分の除去を行うことができる。
室内の除湿や室内からの臭い成分の除去を行う場合には、除湿又は臭い成分の除去を行う信号をリモコン28から制御器14に出力する。この信号が制御器14に入力されると、空調用ファン9が駆動される。この場合、空気調和機の空調運転状態は、冷房運転、暖房運転、停止のいずれであってもよい。図7に示す状態において空調用ファン9が駆動されると、室内の空気が正面側の吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれ、吸い込まれた空気が第2空気経路35を通風されて吸着体10AのY部に当たり、空気中の水分や臭い成分が吸着体10AのY部に吸着される。水分や臭い成分が吸着され、水分や臭い成分の含有量が少なくなった空気は吹出口6から室内に吹き出す。
空調用ファン9が予め設定されている時間回転駆動されると、モータ39が駆動され、吸着体10Aが図10に示す位置にスライドされる。さらに、室外排気用ファン11が駆動され、ヒータ13Aに通電される。
吸着体10Aが図7に示す位置から図10に示す位置にスライドすると、吸着体10Aの一部であって図7に示す場合に第2空気経路35上に位置して水分や臭い成分が吸着された部分(Y部)が、第1空気経路34上に移動する。一方、吸着体10Aの他の一部であって図7に示す場合に第1空気経路34上に位置する部分(X部)が、第2空気経路35上に移動する。
室外排気用ファン11が駆動されることにより、正面側の吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれた室内の空気の一部が、第1空気経路34に通風され、第1空気通路34を通過した後にダクト11A内と排気用パイプ19内とを通って室外排気される。さらに、ヒータ13Aに通電されることにより、第1空気経路34を通風される空気がヒータ13Aにより加熱される。ヒータ13Aにより加熱されて第1空気通路34を通風される空気が吸着体10AのY部に当たり、吸着体10AのY部に吸着されている水分や臭い成分が吸着体10Aから脱離される。吸着体10Aから脱離された水分や臭い成分を含む空気は、ダクト11A内と排気用パイプ19内とを通って室外に排気され、ここに、室内の除湿や室内からの臭い成分の除去が行われる。
なお、除湿だけを行なうのであれば、ヒータとしてはダクト11Aの開口部に対向する位置に設けられたヒータ13Aだけでもよい。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態を図11及び図12に基づいて説明する。なお、本実施の形態においても室内機の断面形状は図1に示す第1の実施の形態とほぼ同様であり、吸着体には図3に示される長手方向と短手方向とのほぼ直角に交差する方向に空気を流すことのできる吸着体10が用いられる。
本発明の第3の実施の形態に係る空気調和機の室内機1Bの室内機本体3内には、エアフィルタ7と、熱交換器8と、空調用ファン9とが配置されている。さらに、室内機本体3内には、水分や臭い成分等の被吸着物質を吸着可能及び脱離可能な吸着体10と、室外排気用ファン11と、吸着脱離手段12Bと、吸着脱離手段12Bの一部を構成する加熱手段であるヒータ13、40と、制御器14とが配置されている。
室外排気用ファン11には、この室外排気用ファン11を回転駆動させるモータ18が連結されている。後述する切替機構22Aの可動板24が図11に示す閉止位置にスライドしている場合、室外排気用ファン11が駆動されることにより、室外の空気が吸気用パイプ41内を通って吸い込まれ、吸着体10の吸着板16と吸着板16との間を吸着板16の長手方向に沿って流れ、ダクト11a内と排気用パイプ19内とを通って室外に排気される。吸気用パイプ41と排気用パイプ19とは、室内機本体3内から室内機本体3外へ延び出し、さらに、壁2を貫通して室外に延び出している。
吸着脱離手段12は、室外排気用ファン11が駆動された場合に流れる空気と空調用ファン9が駆動された場合に流れる空気とを吸着体10に通風し、通風された空気を吸着体10に当てることにより吸着体10に対して被吸着物質の吸着と脱離とを行わせるための機構である。この吸着脱離手段12は、室外排気用ファン11が駆動された場合に流れる空気を吸着体10に当たるように通風する第1空気経路20(図11)と、空調用ファン9が駆動された場合に流れる空気を吸着体10に当たるように通風する第2空気経路21(図12)とを切り替え可能な切替機構22Aと、吸着体10から被吸着物質を脱離させるために吸着体10に当たる空気を加熱する加熱手段であるヒータ13、40とを備えている。ヒータ13、40により加熱された空気が吸着体10に当たることにより、吸着体10が加熱されて吸着体10から被吸着物質が脱離される。第1空気経路20は、一端側が吸気用パイプ41に連通され、他端側がダクト11aを介して排気用パイプ19に連通されている。第1空気経路20は、空気が吸着体10内部の吸着板16間を長手方向に流れる経路であり、第2空気経路21は、空気が吸着体10内部の吸着板16間を短手方向に流れる経路である。
切替機構22Aは、吸着体10と熱交換器8との間、及び、吸着体10と正面側の吸込口4との間に位置固定に配置された複数の短冊状の固定板23と、吸着体10と熱交換器8との間、及び、吸着体10と正面側の吸込口4との間に移動可能に配置された複数の短冊状の可動板24と、可動板24をスライドさせるモータ25とにより構成されている。複数の可動板24は一体にスライド可能に連結されており、複数の可動板24は、図11に示す閉止位置と図12に示す開放位置とにスライド可能である。
可動板24が図11に示す閉止位置にスライドされた場合、隣合う固定板23と固定板23との間の隙間が可動板24により閉止され、固定板23と可動板24とにより吸着体10と熱交換器8との間、及び、吸着体10と正面側の吸込口4との間が仕切られる。これにより、室外排気用ファン11が駆動されて室外から室内機本体3内に吸込まれた空気は、室外排気用ファン11側に向けて第1空気経路20を通風される。
可動板24が図12に示す開放位置にスライドされた場合、可動板24と固定板23とが重なり、隣合う固定板23と固定板23との間の隙間が開放される。これにより、空調用ファン9が駆動されて正面側の吸込口4から室内機本体3内に吸込まれた空気は、熱交換器8及び空調用ファン9側に向けて第2空気経路21を通風される。
ヒータ40は、吸気用パイプ41内に配置されている。
このような構成において、空気調和機が加湿運転される場合の室内機1Bの動作について説明する。ここでは、暖房運転が行われている状態から加湿運転が開始される場合について説明する。
加湿運転が行われていない暖房運転時には、空調用ファン9が駆動され、室内の空気が吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれ、吸い込まれた空気が熱交換器8により加熱され、温風となって吹出口6から吹き出している。
加湿運転を開始する信号がリモコン28から制御器14に入力されると、モータ25が駆動されて可動板24が図11に示す閉止位置にスライドされ、さらに、室外排気用ファン11が駆動される。
可動板24が閉止位置にスライドされ、及び、室外排気用ファン11が駆動されることにより、室外の空気が吸気用パイプ41内を通って吸い込まれ、吸い込まれた室外の空気が第1空気経路20を通風され、ダクト11a内と排気用パイプ19内とを通って室外に排気される。室外の空気が第1空気経路20を通風される過程において、流れる空気が吸着体10に当たり、空気中の水分が吸着体10に吸着される。水分が吸着された空気は含有水分量が少なくなり、含有水分量が少なくなった空気は排気用パイプ19内を通風されて室外に排気される。
可動板24が閉止位置にスライドされて室外排気用ファン11が駆動される状態が設定時間継続されると、モータ25が駆動されて可動板24が図12に示す開放位置にスライドされ、室外排気用ファン11の駆動が停止され、及び、ヒータ13に通電される。室外排気用ファン11の駆動が停止されることにより、室外からの空気の吸い込みが停止される。
可動板24が開放位置にスライドされ、ヒータ13に通電されることにより、空調用ファン9の駆動により正面側の吸込口4から室内機本体3内に吸込まれた室内の空気がヒータ13により加熱され、ヒータ13により加熱された空気が第2空気経路21を通風されて熱交換器8及び空調用ファン9側へ流れ、熱交換器8により加熱されて温風となり、吹出口6から室内に吹き出す。ヒータ13により加熱された空気は、第2空気経路21を通風される過程で吸着体10に当たり、吸着体10に吸着されている水分が吸着体10から脱離される。吸着体10から脱離された水分は、吹出口6から吹き出す空気中に含まれ、吸着体10から脱離された水分が吹出口6から室内に放出され、室内の加湿が行われる。
可動板24が開放位置にスライドされ、及び、ヒータ13に通電される状態が設定時間継続されると、ヒータ13への通電が停止され、可動板24が閉止位置にスライドされ、室外排気用ファン11の回転が開始され、図11に示す状態に戻る。これにより、再び、室外の空気が吸気用パイプ41を通って吸い込まれ、及び、吸い込まれた室外の空気中の水分が吸着体10に吸着される。
従って、この第3の実施の形態の室内機1Bによれば、室外の空気中の水分を吸着体10に吸着させることができ、この水分を吸着体10から脱離させて室内に放出させることにより、室内を加湿することができる。
吸着体10は、室内機1の横幅方向に延びた長尺形状に形成され、正面側の吸込口4と熱交換器8との間に位置して室内機本体3内に配置されている。このため、室内機本体3の外径寸法が大きくなることを抑制しつつ吸着体10の表面積を増大させることができ、加湿性能を高めることができる。
なお、第3の実施の形態では、吸着体10から水分を脱離させるために吸着体10を加熱する手段として、吸込口4から吸い込まれる空気を加熱するヒータ13を設けているが、このヒータ13を使用せずに吸着体10を加熱するようにしてもよい。
具体的には、熱交換器8を加熱手段として用い、暖房運転される熱交換器8により加熱されて吹出口6に向かう空気の一部を第2空気経路21の入口側へ導く回動可能なダンパ(図示せず)を設け、吸着体10を熱交換器8を通過した温風で暖めることで達成できる。
また、この室内機1では、吸着体10を用いて、室内の除湿、室内からの臭い成分の除去を行うことができる。
室内の除湿や室内からの臭い成分の除去を行う場合には、除湿又は臭い成分の除去を行う信号をリモコン28から制御器14に出力する。この信号が制御器14に入力されると、可動板24が図11に示す開放位置にスライドされ、空調用ファン9が駆動される。この場合、空気調和機の空調運転状態は、冷房運転、暖房運転、停止のいずれであってもよい。空調用ファン9が駆動されることにより、室内の空気が正面側の吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれ、吸い込まれた空気が第2空気経路21を通風されて吸着体10に当たり、空気中の水分や臭い成分が吸着体10に吸着される。水分や臭い成分が吸着され、水分や臭い成分の含有量が少なくなった空気が吹出口6から室内に吹き出す。
除湿又は臭い成分の除去が開始されてから予め設定されている時間が経過した後、可動板24が図10に示す閉止位置にスライドされ、ヒータ40に通電され、室外排気用ファン11が駆動される。室外排気用ファン11が駆動されることにより、室外の空気が吸気用パイプ41から室内機本体3内に吸い込まれ、吸い込まれた室外の空気がヒータ40により加熱される。ヒータ13により加熱された空気は第1空気経路20を通風されて吸着体10に当たり、吸着体10に吸着されている水分や臭い成分が吸着体10から脱離される。吸着体10から脱離された水分や臭い成分を含む空気は、排気用パイプ19内を通風されて室外に排気され、ここに、室内の除湿や室内からの臭い成分の除去が行われる。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態を図13ないし図17に基づいて説明する。本実施の形態においても室内機の断面形状は図1に示す第1の実施の形態とほぼ同様である。
本発明の第4の実施の形態に係る空気調和機の室内機1Cの室内機本体3内には、エアフィルタ7と、熱交換器8と、空調用ファン9とが配置されている。さらに、室内機本体3内には、水分や臭い成分等の被吸着物質を吸着可能及び脱離可能な吸着体10Bと、室外排気用ファン11と、吸着脱離手段12Cと、吸着脱離手段12Cの一部を構成する加熱手段である冷媒パイプ50と、制御器14とが配置されている。
冷媒パイプ50は、空気調和機の冷暖房を行なうための冷凍サイクルに接続されており、熱交換器8に配管されている冷媒パイプから分岐されたものである。図16に示すように空気調和機の冷凍サイクルは、圧縮機60、冷暖房切換用の四方弁62、室外熱交換器64、膨張弁66、室内熱交換器8が順次冷媒パイプで接続されている。この室内熱交換器8と並列に開閉弁で構成される切換弁68と吸着体用の冷媒パイプ50の直列回路が接続されている。この切替弁68を制御器14によって開閉制御することにより、吸着体10を貫通する冷媒パイプ50への冷媒の流通と停止を切替える。
吸着体10Bは、アルミニウムなどを素材とする長方形状の基材の表面にゼオライト等の吸着材粒子を塗付することにより形成された複数枚の吸着板16Aと、これらの吸着板16Aの両端を支持する支持枠17とにより形成されている。吸着体10Bは、室内機本体3の横幅方向に延びた長尺形状に形成され、吸着板16Aの長手方向と室内機本体3の横幅方向とが一致する向きに室内機本体3内に配置されている。冷媒パイプ50は、各吸着板16Aをその厚み方向に貫通して配管されている。暖房運転時に切換弁68を開放することで冷凍サイクル中の高温冷媒は、室内熱交換器8と冷媒パイプ50とを平行に流れ、吸着体10Bの吸着板16Aが加熱される。一方、切換弁68を閉止すると冷媒パイプ50には冷媒が流れず、室内熱交換器8のみに冷媒を流すことができる。
なお、冷媒パイプ50の冷凍サイクル上の配置としては、図17に示すように室内熱交換器8と直列に接続することも可能である。この場合、切換弁68は冷媒パイプ50と並列に接続される。この場合は図16の冷凍サイクルの操作とは逆に暖房運転時に切換弁68を閉止することで冷凍サイクル中の高温冷媒は、冷媒パイプ50を通った後、室内熱交換器8へと流れ、吸着体10Bの吸着板16Aが加熱される。一方、切換弁68を開放すれば、ほとんどの冷媒は切換弁68側を流れ、冷媒パイプ50にはほとんど冷媒が流れなくなる。
また、図17の例では膨張弁66と室内熱交換器8間に冷媒パイプ50を接続したが、室内熱交換器8と四方弁62の間、すなわち暖房運転時における室内熱交換器8の上流側に冷媒パイプ50及び切換弁68の並列回路を接続しても良い。
なお、図16及び図17において、実線の矢印は冷房運転時の冷媒の流れ方向を示し、破線の矢印は暖房運転時の冷媒の流れ方向を示している。
このような構成において、暖房運転している空気調和機を加湿運転する場合の室内機1Cの動作について説明する。
加湿運転が行われていない暖房運転時には、空調用ファン9が駆動され、室内の空気が吸込口4から室内機本体3内に吸い込まれ、吸い込まれた空気が熱交換器8により加熱され、温風となって吹出口6から吹き出している。可動板24は、図14に示す開放位置にある。なお、暖房運転時には、熱交換器8内を高温の冷媒が流れている。
加湿運転を開始する信号がリモコン28から制御器14に入力されると、モータ25が駆動されて可動板24が図13に示す閉止位置にスライドされ、さらに、室外排気用ファン11が駆動される。この時、切換弁68は冷媒が冷媒パイプ50を流通しない側に切り替えられている。
可動板24が閉止位置にスライドされ、及び、室外排気用ファン11が駆動されることにより、室外の空気が吸気用パイプ41内を通って吸い込まれ、吸い込まれた室外の空気が第1空気経路20を通風され、ダクト11a内と排気用パイプ19内とを通って室外に排気される。室外の空気が第1空気経路20を通風される過程において、流れる空気が吸着体10Bに当たり、空気中の水分が吸着体10Bに吸着される。この際、第1空気経路20は縦方向に冷媒パイプ50が貫通しているため、若干通風抵抗となる。水分が吸着された空気は含有水分量が少なくなり、空気はダクト11a内と排気用パイプ19内とを通って室外に排気される。
可動板24が閉止位置にスライドされて室外排気用ファン11が駆動される状態が設定時間継続されると、モータ25が駆動されて可動板24が図14に示す開放位置にスライドされ、室外排気用ファン11の駆動が停止されるとともに制御器14によって切換弁68が切替えられ、熱交換器8内を流れている高温の冷媒が吸着板16Aを貫通して配管されている冷媒パイプ50内を流れる。冷媒パイプ50内を高温の冷媒が流れることにより吸着体10Bが加熱され、吸着体10Bから水分が脱離される。さらに、吸着体10Bに対して空調用ファン9の運転により吸込口4から吸込まれた室内空気が当たることにより、吸着体10Bからの水分の脱離が促進される。吸着体10Bから脱離された水分を多く含む空気は、空調用ファン9による空気の流れに沿って熱交換器8、空調用ファン9を流れ、吹出口6から室内に吹き出し、室内が加湿される。
可動板24が開放位置にスライドされ、及び、冷媒パイプ50に高温の冷媒が流れる状態が設定時間継続されると、冷媒パイプ50への高温の冷媒の流れが停止され、可動板24が閉止位置にスライドされ、室外排気用ファン11の回転が開始され、図13に示す状態に戻る。これにより、再び、室外の空気が吸気用パイプ41を通って吸い込まれ、吸い込まれた室外の空気中の水分が吸着体10Bに吸着される。
従って、この第4の実施の形態の室内機1Cでも、室外の空気中の水分を吸着体10Bに吸着させることができ、この水分を吸着体10Bから脱離させて室内に放出させることにより、室内を加湿することができる。
さらに、この室内機1Cによれば、吸着体10Bから水分を脱離させる加熱手段として冷媒パイプ50を使用し、この冷媒パイプ50を吸着体10Bの吸着板16Aを貫通させて配置しているため、加熱手段を設けるための新たなスペースを確保しなくてもよく、室内機1Cの小型化を図ることができる。
吸着体10Bは、室内機1Cの横幅方向に延びた長尺形状に形成され、正面側の吸込口4と熱交換器8との間に位置して室内機本体3内に配置されている。このため、室内機本体3の外径寸法が大きくなることを抑制しつつ吸着体10Bの表面積を増大させることができ、加湿性能を高めることができる。
なお、第3、第4の実施の形態の加湿運転においては、いずれも室外空気中の水分を吸着し、室内へ放出するように構成したが、吸着のための空気を室内から吸込むように構成しても加湿運転を行なうことができる。
1…室内機、1A…室内機、1B…室内機、1C…室内機、3…室内機本体、4…吸込口、6…吹出口、8…熱交換器、加熱手段、9…空調用ファン、10…吸着体、10A…吸着体、10B…吸着体、11…室外排気用ファン、12…吸着脱離手段、12A…吸着脱離手段、12B…吸着脱離手段、12C…吸着脱離手段、13…ヒータ(加熱手段)、13A、13B、13C…ヒータ(加熱手段)、20…第1空気経路、21…第2空気経路、22…切替機構、22A…切替機構、34…第1空気経路、35…第2空気経路、36…スライド機構、40…ヒータ(加熱手段)、50…冷媒パイプ(加熱手段)