特許文献1に記載のデシカント調湿装置では、機内に給気側通路と排気側通路が設けられ、それぞれの通路に熱交換器が配置されている。そのため、上記ドレン水排出構造も、それぞれの熱交換器の近傍において必要となる。この場合、このドレン水排出構造として、ドレンパン、ドレン水排出用ポンプ、ドレン配管などを、複数箇所に設ける必要があると考えられる。したがって、機内や機外のドレン水排出構造はより複雑となり、より広い設置スペースが必要になると考えられる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、室内空気の調湿や温度調整を行う空気調和装置において、熱交換器の近傍で発生するドレン水をより簡便に機外へ排出できるようにすることである。
本発明は、室内空気の調湿や温度調整を行う空気調和装置において、2箇所の熱交換器(103,104)にそれぞれドレンパン(131,132)を設け、該ドレンパン(131,132)が互いに連通する連通通路(133)を設けたものである。そして、空気調和装置の運転時に機内で発生する圧力差を利用して、ドレンパン(131,132)内のドレン水を片側のドレンパンに移送して処理できるようにしたものである。
具体的に、請求項1に記載の発明は、ケーシング(10)内に、室内へ第1空気を供給する第1送風手段(95)が配置された第1空気通路と、室外へ第2空気を排出する第2送風手段(96)が配置された第2空気通路と、上記第1空気及び第2空気の一方、または両方を加湿または減湿する吸着素子(81,82)と、上記第1空気及び第2空気の一方、または両方を加温または冷却する冷媒回路と、上記冷媒回路の熱交換器(103,104)より発生したドレン水を回収するためのドレンパン(130)とを備えた空気調和装置を前提としている。
そして、この空気調和装置は、上記熱交換器(103,104)は、第1空気通路に配置された第1熱交換器(103)と、第2空気通路に配置された第2熱交換器(104)とを有し、上記ドレンパン(130)は、上記第1熱交換器(103)のドレン水を回収する第1ドレンパン(131)と、上記第2熱交換器(104)のドレン水を回収する第2ドレンパン(132)と、上記第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)とが互いに連通する連通通路(133)とを備え、運転時に、上記ドレンパン(130)の近傍において、上記第1空気通路と上記第2空気通路とに圧力差を発生させる差圧発生手段を備え、差圧発生手段は、第1空気を吸着素子(81,82)により減湿して室内へ供給し、第2空気を室外へ排出する除湿運転時に、ドレンパン(130)の近傍における第2空気通路の圧力を第1空気通路の圧力より低くするように構成されていることを特徴とするものである。
この請求項1に記載の発明では、吸着素子(81,82)と冷媒回路とを備えた空気調和装置において、第1空気通路に配置された第1熱交換器(103)及び第2空気通路に配置された第2熱交換器(104)の近傍で発生したドレン水が、それぞれ第1ドレンパン(131)及び第2ドレンパン(132)で回収される。この際、第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)とは、連通通路(133)により連通しているため、第1,第2ドレンパン(131,132)内のドレン水は、相互に流通することが可能な状態となっている。また、空気調和装置の運転時には、第1送風手段(95)と第2送風手段(96)との稼働に伴い、第1空気通路と第2空気通路で一定の圧力が生じている。
ここで、第1空気通路と第2空気通路との間の差圧発生手段により、第1空気通路と第2空気通路との間に圧力差が発生すると、圧力が高い側の空気通路に配置されたドレンパン内のドレン水が、圧力が低い側の空気通路に配置されたドレンパンに向かって、上記連通通路(133)を介して移動する。したがって、第1,第2ドレンパン(131,132)で回収されたドレン水を、片側のドレンパンに集めることができる。
この請求項1に記載の発明では、除湿運転時に、第2空気通路の圧力を第1空気通路の圧力より低くする差圧発生手段により、第1空気通路に配置された第1ドレンパン(131)内のドレン水が、第2空気通路に配置された第2ドレンパン(132)へ移送される。ここで、除湿運転時には、第2送風手段(96)により第2空気通路を流通する第2空気が、第2ドレンパン(132)内に集められたドレン水の近傍を通過するため、このドレン水を蒸発させることができる。こうすると、第2空気は、気化されたドレン水とともに室外へ排出される。したがって、ドレンパン(130)に例えばポンプやドレン配管などのドレン水排出手段を具備せずに、ドレン水を機外へ排出することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気調和装置において、差圧発生手段が、第2空気が第2空気通路を流通する際に発生する圧力損失を、第1空気が第1空気通路を流通する際に発生する圧力損失より大きくするように構成されていることを特徴とするものである。
この請求項2に記載の発明では、差圧発生手段により、第2空気が第2空気通路を流通する際に発生する圧力損失が、第1空気が第1空気流路を流通する際に発生する圧力損失より大きくなる。ここで、第2空気通路の圧力損失が、第1空気通路の圧力損失より大きくなると、第2空気通路の圧力は、第1空気通路の圧力よりも小さくなる。したがって、第1空気通路に配置された第1ドレンパン(131)内のドレン水を、第2空気通路に配置された第2ドレンパン(132)へ移送することができる。そして、第2ドレンパン(132)内に集められたドレン水を、第2空気により蒸発させ、機外へ排出することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の空気調和装置において、第1送風手段(95)が第1空気通路の出口側端部に配置され、第2送風手段(96)が第2空気通路の出口側端部に配置され、差圧発生手段は、第2送風手段(96)を運転しながら、第1送風手段(95)を所定の時間停止するように構成されていることを特徴とするものである。
この請求項3に記載の発明では、第2空気通路に配置された第2送風手段(96)を運転しながら、第1空気通路に配置された第1送風手段(95)を所定の時間停止する差圧発生手段が構成されている。また、第1,第2送風手段(95,96)は、それぞれ、第1,第2空気通路の出口側端部に配置されている。したがって、この第1,第2ドレンパン(131,132)の近傍には、上記第1,第2送風手段(95,96)の吸引圧が作用している。この際、第2送風手段(96)を運転しながら第1送風手段(95)を所定の時間停止すると、第1ドレンパン(131)の近傍における第1送風手段(95)の吸引圧は作用しなくなる。このため、第1空気通路の圧力は高くなり、第2空気通路の圧力は、第1空気通路の圧力よりも相対的に低くなる。したがって、第1空気通路に配置された第1ドレンパン(131)内のドレン水を、第2空気通路に配置された第2ドレンパン(132)へ移送することができる。そして、第2ドレンパン(132)内に集められたドレン水を、第2空気により蒸発させ、機外へ排出することができる。
請求項4に記載の発明は、ケーシング(10)内に、室内へ第1空気を供給する第1送風手段(95)が配置された第1空気通路と、室外へ第2空気を排出する第2送風手段(96)が配置された第2空気通路と、上記第1空気及び第2空気の一方、または両方を加湿または減湿する吸着素子(81,82)と、上記第1空気及び第2空気の一方、または両方を加温または冷却する冷媒回路と、冷媒回路の熱交換器より発生したドレン水を回収するためのドレンパン(130)とを備えた空気調和装置を前提としている。
そして、この空気調和装置は、上記熱交換器(103,104)は、第1空気通路に配置された第1熱交換器(103)と、第2空気通路に配置された第2熱交換器(104)とを有し、上記ドレンパン(130)は、上記第1熱交換器(103)のドレン水を回収する第1ドレンパン(131)と、上記第2熱交換器(104)のドレン水を回収する第2ドレンパン(132)と、上記第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)とが互いに連通する連通通路(133)とを備え、運転時に、上記ドレンパン(130)の近傍において、上記第1空気通路と上記第2空気通路とに圧力差を発生させる差圧発生手段を備え、差圧発生手段は、第1空気を吸着素子(81,82)により加湿して室内へ供給し、第2空気を室外へ排出する加湿運転時に、ドレンパン(130)の近傍における第1空気通路の圧力を第2空気通路の圧力より低くするように構成されていることを特徴とするものである。
この請求項4に記載の発明では、加湿運転時に、第1空気通路の圧力を第2空気通路の圧力より低くする差圧発生手段により、第2空気通路に配置された第2ドレンパン(132)内のドレン水が、第1空気通路に配置された第1ドレンパン(131)へ移送される。ここで、加湿運転時には、第1送風手段(95)により第1空気通路を流通する第1空気が、第1ドレンパン(131)内に集められたドレン水の近傍を通過するため、このドレン水を蒸発させることができる。こうすると、第1空気は、気化されたドレン水とともに室内へ供給される。したがって、ドレンパン(130)に例えばポンプやドレン配管などのドレン水排出手段を具備せずに、ドレン水を機外へ排出することができる。
また、第1空気は、気化されたドレン水によってさらに加湿されて室内へ供給されるため、加湿運転時における第1空気の加湿性能を向上することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の空気調和装置において、差圧発生手段が、第1空気が第1空気通路を流通する際に発生する圧力損失を、第2空気が第2空気通路を流通する際に発生する圧力損失より大きくするように構成されていることを特徴とするものである。
この請求項5に記載の発明では、差圧発生手段により、第1空気が第1空気通路を流通する際に発生する圧力損失が、第2空気が第2空気流路を流通する際に発生する圧力損失より大きくなる。ここで、第1空気通路の圧力損失が、第2空気通路の圧力損失より大きくなると、第1空気通路の圧力は、第2空気通路の圧力よりも低くなる。したがって、第2空気通路に配置された第2ドレンパン(132)内のドレン水を、第1空気通路に配置された第1ドレンパン(131)へ移送することができる。そして、第1ドレンパン(131)内に集められたドレン水を、第1空気により蒸発させ機外へ排出することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載の空気調和装置において、第1送風手段(95)が第1空気通路の出口側端部に配置され、第2送風手段(96)が第2空気通路の出口側端部に配置され、差圧発生手段は、第1送風手段(95)を運転しながら、第2送風手段(96)を所定の時間停止するように構成されていることを特徴とするものである。
この請求項6に記載の発明では、第1空気通路に配置された第1送風手段(95)を運転しながら、第2空気通路に配置された第2送風手段(96)を所定の時間停止する差圧発生手段が構成されている。また、第1,第2送風手段(95,96)は、それぞれ、第1,第2空気通路の出口側端部に配置されている。したがって、この第1,第2ドレンパン(131,132)の近傍には、上記第1,第2送風手段(95,96)の吸引圧が作用している。この際、第1送風手段(95)を運転しながら第2送風手段(96)を所定の時間停止すると、第2ドレンパン(132)の近傍における第2送風手段(96)の吸引圧は作用しなくなる。したがって、第2空気通路の圧力は高くなり、第1空気通路の圧力は、第2空気通路の圧力よりも相対的に低くなる。したがって、第2空気通路に配置された第2ドレンパン(132)内のドレン水を、第1空気通路に配置された第1ドレンパン(131)へ移送することができる。そして、第1ドレンパン(131)内に集められたドレン水を、第1空気により蒸発させ、機外へ排出することができる。
請求項7に記載の発明は、ケーシング(10)内に、室内へ第1空気を供給する第1送風手段(95)が配置された第1空気通路と、室外へ第2空気を排出する第2送風手段(96)が配置された第2空気通路と、上記第1空気及び第2空気の一方、または両方を加温または冷却する冷媒回路と、上記冷媒回路の熱交換器(103,104)より発生したドレン水を回収するためのドレンパン(130)とを備えた空気調和装置を前提としている。
そして、この空気調和装置は、上記熱交換器(103,104)が、第1空気通路に配置された第1熱交換器(103)と、第2空気通路に配置された第2熱交換器(104)とを有し、上記ドレンパン(130)は、上記第1熱交換器(103)のドレン水を回収する第1ドレンパン(131)と、上記第2熱交換器(104)のドレン水を回収する第2ドレンパン(132)と、上記第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)とが互いに連通する連通通路(133)とを備え、運転時に、上記ドレンパン(130)の近傍において、上記第1空気通路と上記第2空気通路とに圧力差を発生させる差圧発生手段を備え、差圧発生手段は、第1空気を第1熱交換器(103)で冷却して室内へ供給し、第2空気を室外へ排出する冷房運転時に、ドレンパン(130)の近傍における第2空気通路の圧力を第1空気通路の圧力より低くするように構成され、第1送風手段(95)は、第1空気通路の出口側端部に配置され、第2送風手段(96)は、第2空気通路の出口側端部に配置され、差圧発生手段は、第2送風手段(96)を運転しながら、第1送風手段(95)を所定の時間停止するように構成されていることを特徴とするものである。
この請求項7に記載の発明では、冷媒回路を備えた空気調和装置において、第1空気通路に配置された第1熱交換器(103)及び第2空気通路に配置された第2熱交換器(104)の近傍で発生したドレン水が、それぞれ第1ドレンパン(131)及び第2ドレンパン(132)で回収される。この際、第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)とは、連通通路(133)により連通しているため、第1,第2ドレンパン(131,132)内のドレン水は、相互に流通することが可能な状態となっている。また、空気調和装置の運転時には、第1送風手段(95)と第2送風手段(96)との稼働に伴い、第1空気通路と第2空気通路で一定の圧力が生じている。
ここで、第1空気通路と第2空気通路との間の差圧発生手段により、第1空気通路と第2空気通路との間に圧力差が発生すると、圧力が高い側の空気通路に配置されたドレンパン内のドレン水が、圧力が低い側の空気通路に配置されたドレンパンに向かって、上記連通通路(133)を介して移動する。したがって、第1,第2ドレンパン(131,132)で回収されたドレン水を、片側のドレンパンに集めることができる。
この請求項7に記載の発明では、冷房運転時に、第2空気通路の圧力を第1空気通路の圧力より低くする差圧発生手段により、第1空気通路に配置された第1ドレンパン(131)内のドレン水が、第2空気通路に配置された第2ドレンパン(132)へ移送される。ここで、冷房運転時には、第2送風手段(96)により第2空気通路を流通する第2空気が、第2ドレンパン(132)内に集められたドレン水の近傍を通過するため、このドレン水を蒸発させることができる。こうすると、第2空気は、気化されたドレン水とともに室外へ排出される。したがって、ドレンパン(130)に例えばポンプやドレン配管などのドレン水排出手段を具備せずに、ドレン水を機外へ排出することができる。
この請求項7に記載の発明では、第2空気通路に配置された第2送風手段(96)を運転しながら、第1空気通路に配置された第1送風手段(95)を所定の時間停止する差圧発生手段が構成されている。また、第1,第2送風手段(95,96)は、それぞれ、第1,第2空気通路の出口側端部に配置されている。したがって、この第1,第2ドレンパン(131,132)の近傍には、上記第1,第2送風手段(95,96)の吸引圧が作用している。この際、第2送風手段(96)を運転しながら第1送風手段(95)を所定の時間停止すると、第1ドレンパン(131)の近傍における第1送風手段(95)の吸引圧は作用しなくなる。このため、第1空気通路の圧力は高くなり、第2空気通路の圧力は、第1空気通路の圧力よりも相対的に低くなる。したがって、第1空気通路に配置された第1ドレンパン(131)内のドレン水を、第2空気通路に配置された第2ドレンパン(132)へ移送することができる。そして、第2ドレンパン(132)内に集められたドレン水を、第2空気により蒸発させ、機外へ排出することができる。
請求項8に記載の発明は、ケーシング(10)内に、室内へ第1空気を供給する第1送風手段(95)が配置された第1空気通路と、室外へ第2空気を排出する第2送風手段(96)が配置された第2空気通路と、上記第1空気及び第2空気の一方、または両方を加温または冷却する冷媒回路と、冷媒回路の熱交換器(103,104)より発生したドレン水を回収するためのドレンパン(130)とを備えた空気調和装置を前提としている。
そして、この空気調和装置は、上記熱交換器(103,104)は、第1空気通路に配置された第1熱交換器(103)と、第2空気通路に配置された第2熱交換器(104)とを有し、上記ドレンパン(130)は、上記第1熱交換器(103)のドレン水を回収する第1ドレンパン(131)と、上記第2熱交換器(104)のドレン水を回収する第2ドレンパン(132)と、上記第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)とが互いに連通する連通通路(133)とを備え、運転時に、上記ドレンパン(130)の近傍において、上記第1空気通路と上記第2空気通路とに圧力差を発生させる差圧発生手段を備え、差圧発生手段は、第1空気を第1熱交換器(103)で加温して室内へ供給し、第2空気を室外へ排出する暖房運転時に、ドレンパン(130)の近傍における第1空気通路の圧力を第2空気通路の圧力より低くするように構成され、第1送風手段(95)は、第1空気通路の出口側端部に配置され、第2送風手段(96)は、第2空気通路の出口側端部に配置され、差圧発生手段は、第1送風手段(95)を運転しながら、第2送風手段(96)を所定の時間停止するように構成されていることを特徴とするものである。
この請求項8に記載の発明では、暖房運転時に、第1空気通路の圧力を第2空気通路の圧力より低くする差圧発生手段により、第2空気通路に配置された第2ドレンパン(132)内のドレン水が、第1空気通路に配置された第1ドレンパン(131)へ移送される。ここで、暖房運転時には、第1送風手段(95)により第1空気通路を流通する第1空気が、第1ドレンパン(131)内に集められたドレン水の近傍を通過するため、このドレン水を蒸発させることができる。こうすると、第1空気は、気化されたドレン水とともに室内へ供給される。したがって、ドレンパン(130)に例えばポンプやドレン配管などのドレン水排出手段を具備せずに、ドレン水を機外へ排出することができる。
また、第1空気は、気化されたドレン水によって加湿されて室内へ供給されるため、暖房運転時の加湿性能を向上することができる。
この請求項8に記載の発明では、第1空気通路に配置された第1送風手段(95)を運転しながら、第2空気通路に配置された第2送風手段(96)を所定の時間停止する差圧発生手段が構成されている。また、第1,第2送風手段(95,96)は、それぞれ、第1,第2空気通路の出口側端部に配置されている。したがって、この第1,第2ドレンパン(131,132)の近傍には、上記第1,第2送風手段(95,96)の吸引圧が作用している。この際、第1送風手段(95)を運転しながら第2送風手段(96)を所定の時間停止すると、第2ドレンパン(132)の近傍における第2送風手段(96)の吸引圧は作用しなくなる。したがって、第2空気通路の圧力は高くなり、第1空気通路の圧力は、第2空気通路の圧力よりも相対的に低くなる。したがって、第2空気通路に配置された第2ドレンパン(132)内のドレン水を、第1空気通路に配置された第1ドレンパン(131)へ移送することができる。そして、第1ドレンパン(131)内に集められたドレン水を、第1空気により蒸発させ、機外へ排出することができる。
請求項9に記載の発明は、ケーシング(10)内に、室内へ第1空気を供給する第1送風手段(95)が配置された第1空気通路と、室外へ第2空気を排出する第2送風手段(96)が配置された第2空気通路と、上記第1空気を加温または冷却する熱交換器(170)と、上記熱交換器(170)より発生したドレン水を回収するためのドレンパン(130)とを備えた空気調和装置を前提としている。
そして、この空気調和装置は、上記熱交換器(170)が、第1空気通路に配置され、上記ドレンパン(130)は、上記熱交換器(170)のドレン水を回収する第1ドレンパン(131)と、第2空気通路に配置された第2ドレンパン(132)と、上記第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)とが互いに連通する連通通路(133)とを備え、第1空気を冷却して室内へ供給し、第2空気を室外へ排出する冷房運転時に、上記ドレンパン(130)の近傍における第2空気通路の圧力を第1空気通路の圧力より低くする差圧発生手段を備え、第2送風手段(96)は、第2空気通路の出口側端部に配置され、差圧発生手段は、第2送風手段(95)を運転しながら、第1送風手段(96)を所定の時間停止するように構成されていることを特徴とするものである。
この請求項9に記載の発明では、熱交換器(170)によって室内空気の加温や冷却を行う空気調和装置において、第1空気通路に配置された第1熱交換器(103)の近傍で発生したドレン水が、第1ドレンパン(131)で回収される。この際、第2空気通路には、上記第1ドレンパンと連通通路(133)を介して連通する第2ドレンパン(132)が配置されている。そして、第1ドレンパン(131)内のドレン水は、第2ドレンパン(132)に流通することが可能な状態となっている。また、空気調和装置の運転時には、第1送風手段(95)と第2送風手段(96)との稼働に伴い、第1空気通路と第2空気通路で一定の圧力が生じている。
ここで、冷房運転時に、第1空気通路と第2空気通路との間の差圧発生手段により、ドレンパン(130)の近傍における第2空気通路の圧力が、第1空気通路と圧力よりも低くなると、第1ドレンパン(131)内のドレン水は、連通通路(133)を介して第2ドレンパン(132)へ移送される。ここで、冷房運転時には、第2送風手段(96)により第2空気通路を流通する第2空気が、第2ドレンパン(132)内に集められたドレン水の近傍を通過するため、このドレン水を蒸発させることができる。こうすると、第2空気は、気化されたドレン水とともに室外へ排出される。したがって、ドレンパン(130)に例えばポンプやドレン配管などのドレン水排出手段を具備せずに、ドレン水を機外へ排出することができる。
この請求項9に記載の発明では、第2空気通路の出口側端部に配置された第2送風手段(96)を運転しながら、第1空気通路に配置された第1送風手段(95)を所定の時間停止する差圧発生手段が構成されている。この構成において、第1送風手段(95)を所定の時間停止すると、第2ドレンパン(132)に第2送風手段(96)の吸引圧が作用する一方、第1ドレンパン(131)には圧力が作用しない状態となる。したがって、第2空気通路の圧力は、第1空気通路の圧力よりも相対的に低くなる。したがって、第1空気通路に配置された第1ドレンパン(131)内のドレン水を、第2空気通路に配置された第2ドレンパン(132)へ移送することができる。そして、第1ドレンパン(131)内に集められたドレン水を、第1空気により蒸発させ、機外へ排出することができる。
請求項1に記載の発明によれば、吸着素子(81,82)と冷媒回路とを備えた空気調和装置において、第1熱交換器(103)及び第2熱交換器(104)で生じたドレン水をそれぞれ第1ドレンパン(131)、第2ドレンパン(132)で回収することができる。ここで、第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)とは、連通通路(133)により連通した状態になっている。この際、第1空気通路と第2空気通路との圧力差が発生すると、圧力が高い側の空気通路に配置されたドレンパン(130)内のドレン水を、圧力が低い側の空気通路に配置されたドレンパン(130)へ移送することができる。これにより、第1,第2ドレンパン(131,132)で回収されたドレン水を一つのドレンパン(130)に集めることができる。したがって、ドレン水の排出を簡便に行うことができる。
請求項1や10に記載の発明によれば、除湿運転時に、第2空気通路の圧力を第1空気通路の圧力より低くする差圧発生手段により、第1ドレンパン(131)内のドレン水を第2ドレンパン(132)へ移送することができる。このため、第1,第2ドレンパン(131,132)で回収されたドレン水は、第2ドレンパン(132)に集められる。ここで、第2ドレンパン(132)の近傍には第2空気が流通しているため、第2ドレンパン(132)内のドレン水を、この第2空気によって蒸発させ、第2空気とともに室外へ排出できる。このため、ドレン水の排出構造をシンプルに構成でき、設置スペースをコンパクト化することができる。
請求項2に記載の発明によれば、除湿運転時に、第2空気通路の圧力損失を第1空気通路の圧力損失よりも大きくする差圧発生手段により、第1ドレンパン(131)内のドレン水を第2ドレンパン(132)へ移送することができる。そして、第2ドレンパン(132)に集められたドレン水を、第2空気により蒸発させ、室外へ排出することができる。したがって、ドレン水の排出構造をシンプルかつコンパクトに構成することができる。
請求項3に記載の発明によれば、除湿運転時に、第2送風手段(96)を運転しながら、第1送風手段(95)を所定の時間停止する差圧発生手段により、第1ドレンパン(131)内のドレン水を第2ドレンパン(132)へ移送することができる。そして、第2ドレンパン(132)に集められたドレン水を、第2空気により蒸発させ、室外へ排出することができる。したがって、ドレン水を簡便かつ確実に機外へ排出することができる。
請求項4や10に記載の発明によれば、加湿運転時に、第1空気通路の圧力を第2空気通路の圧力より低くする差圧発生手段により、第2ドレンパン(132)内のドレン水を第1ドレンパン(131)へ移送することができる。このため、第1,第2ドレンパン(131,132)で回収されたドレン水を第1ドレンパン(131)に集めることができる。ここで、第1ドレンパン(131)近傍には第1空気が流通しているため、第1ドレンパン(131)内のドレン水を、この第1空気によって蒸発させ、第1空気とともに室内へ供給できる。このため、ドレン水の排出構造をシンプルに構成でき、設置スペースをコンパクト化することができる。また、第1空気は、蒸発したドレン水によってさらに加湿されるから、加湿運転時の性能を向上することができる。
請求項5に記載の発明によれば、加湿運転時に、第1空気通路の圧力損失を第2空気通路の圧力損失よりも大きくする差圧発生手段により、第2ドレンパン(132)内のドレン水を第1ドレンパン(131)へ移送することができる。そして、第1ドレンパン(131)に集められたドレン水を、第1空気により蒸発させ、室内へ供給できる。したがって、ドレン水の排出構造をシンプルかつコンパクトに構成することができる。
請求項6に記載の発明によれば、加湿運転時に、第1送風手段(95)を運転しながら、第2送風手段(96)を所定の時間停止する差圧発生手段により、第2ドレンパン(132)内のドレン水を第1ドレンパン(131)へ移送することができる。そして、第1ドレンパン(131)に集められたドレン水を、第1空気により蒸発させ、室内へ供給できる。したがって、ドレン水を簡便かつ確実に機外へ排出することができる。
請求項7に記載の発明によれば、冷媒回路を備えた空気調和装置において、第1熱交換器(103)及び第2熱交換器(104)で生じたドレン水をそれぞれ第1ドレンパン(131)、第2ドレンパン(132)で回収することができる。ここで、第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)とは、連通通路(133)により連通した状態になっている。この際、第1空気通路と第2空気通路との圧力差が発生すると、圧力が高い側の空気通路に配置されたドレンパン(130)内のドレン水を、圧力が低い側の空気通路に配置されたドレンパン(130)へ移送することができる。これにより、第1,第2ドレンパン(131,132)で回収されたドレン水を一つのドレンパン(130)に集めることができる。したがって、ドレン水の排出を簡便に行うことができる。
請求項7に記載の発明によれば、冷房運転時に、第2空気通路の圧力を第1空気通路の圧力より低くする差圧発生手段により、第1ドレンパン(131)内のドレン水を第2ドレンパン(132)へ移送することができる。このため、第1,第2ドレンパン(131,132)で回収されたドレン水は、第2ドレンパン(132)に集められる。ここで、第2ドレンパン(132)の近傍には第2空気が流通しているため、第2ドレンパン(132)内のドレン水を、この第2空気によって蒸発させ、第2空気とともに室外へ排出できる。このため、ドレン水の排出構造をシンプルに構成でき、設置スペースをコンパクト化することができる。
請求項7に記載の発明によれば、冷房運転時に、第2送風手段(96)を運転しながら、第1送風手段(95)を所定の時間停止する差圧発生手段により、第1ドレンパン(131)内のドレン水を第2ドレンパン(132)へ移送することができる。そして、第2ドレンパン(132)に集められたドレン水を、第2空気により蒸発させ、室外へ排出することができる。したがって、ドレン水を簡便かつ確実に機外へ排出することができる。
請求項8に記載の発明によれば、暖房運転時に、第1空気通路の圧力を第2空気通路の圧力より低くする差圧発生手段により、第2ドレンパン(132)内のドレン水を第1ドレンパン(131)へ移送することができる。このため、第1,第2ドレンパン(131,132)で回収されたドレン水を第1ドレンパン(131)に集めることができる。ここで、第1ドレンパン(131)近傍には第1空気が流通しているため、第1ドレンパン(131)内のドレン水を、この第1空気によって蒸発させ、第1空気とともに室内へ供給できる。このため、ドレン水の排出構造をシンプルに構成でき、設置スペースをコンパクト化することができる。また、第1空気は、蒸発したドレン水によってさらに加湿されるから、暖房運転時に加湿効果を得ることができる。
請求項8に記載の発明によれば、暖房運転時に、第1送風手段(95)を運転しながら、第2送風手段(96)を所定の時間停止する差圧発生手段により、第2ドレンパン(132)内のドレン水を第1ドレンパン(131)へ移送することができる。そして、第1ドレンパン(131)に集められたドレン水を、第1空気により蒸発させ、室内へ供給できる。したがって、ドレン水を簡便かつ確実に機外へ排出することができる。
請求項9に記載の発明によれば、熱交換器(170)により室内空気の加温または冷却を行う空気調和装置において、第1熱交換器(103)で生じたドレン水は、第1ドレンパン(131)に回収される。また、上記第1ドレンパン(131)は、連通通路(133)を介して、第2ドレンパン(132)と連通した状態になっている。この際、第2空気通路の圧力を第1空気通路の圧力よりも低くすることで、第1ドレンパン(131)内のドレン水を第2ドレンパン(132)へ移送することができる。ここで、第2ドレンパン(132)の近傍には、第2空気が流通しているため、第2ドレンパン(132)内のドレン水を、この第2空気によって蒸発させ、室外へ排出することができる。したがって、ドレン水の排出構造をシンプルに構成できる。
請求項9に記載の発明によれば、冷房運転時に、第2送風手段(96)を運転しながら、第1送風手段(95)を所定の時間停止する差圧発生手段により、第1ドレンパン(131)内のドレン水を第2ドレンパン(132)へ移送することができる。そして、第2ドレンパン(132)に集められたドレン水を、第2空気により蒸発させ、室外へ排出できる。したがって、ドレン水を簡便かつ確実に機外へ排出することができる。
以下、本発明を実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本実施形態に係る空気調和装置は、減湿された空気を室内へ供給する除湿運転と、加湿された空気を室内へ供給する加湿運転とを切り換えて行うように構成されている。また、この空気調和装置は、吸着素子と、冷媒回路とを備え、バッチ式(回分式)の動作を行うように構成されている。ここでは、本実施形態に係る空気調和装置の構成について、図1、図5、図7、図8を参照しながら説明する。尚、本実施形態1の説明において、「上」「下」「左」「右」「前」「後」「手前」「奥」は、特にことわらない限り、図1に示す空気調和装置を正面側から見た場合の方向性を意味している。
図1に示すように、上記空気調和装置は、やや扁平な直方体状のケーシング(10)を備えている。このケーシング(10)には、2つの吸着素子(81,82)と冷媒回路とが収納されている。
冷媒回路には、凝縮器として機能する再生熱交換器(102)と、蒸発器として機能する熱交換器(103)と、圧縮機(101)及び膨張弁とが設けられている。この冷媒回路では、充填された冷媒を循環させることによって冷凍サイクルが行われる。また、熱交換器(103)は、第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)で構成され、上記冷媒回路は、第1熱交換器(103)が蒸発器となる運転と、第2熱交換器(104)が蒸発器となる運転とを切り換え可能に構成されている。
図7に示すように、上記吸着素子(81,82)は、平板状の平板部材(83)と波形状の波板部材(84)とが交互に積層して構成されている。波板部材(84)は、隣接する波板部材(84)の稜線方向が互いに90°ずれる姿勢で積層されている。そして、吸着素子(81,82)は、全体として直方体状ないし四角柱状に形成されている。
上記吸着素子(81,82)には、平板部材(83)及び波板部材(84)の積層方向において、調湿側通路(85)と冷却側通路(86)とが平板部材(83)を挟んで交互に区画形成されている。この吸着素子(81,82)において、平板部材(83)の長辺側の側面に調湿側通路(85)が開口し、平板部材(83)の短辺側の側面に冷却側通路(86)が開口している。
上記吸着素子(81,82)において、調湿側通路(85)に臨む平板部材(83)の表面や、調湿側通路(85)に設けられた波板部材(84)の表面には、水蒸気を吸着するための吸着材が塗布されている。この種の吸着材としては、例えばシリカゲル、ゼオライト、イオン交換樹脂等が挙げられる。
図1に示すように、上記ケーシング(10)において、最も手前側には第1パネル(11)が設けられ、最も奥側には第2パネル(12)が設けられている。第1パネル(11)には、その左端寄りの下部に給気口(14)が形成され、その右端寄りの下部に排気口(16)が形成されている。一方、第2パネル(12)には、その左端寄りの下部に室内側吸引口(13)が形成され、その右端寄りの下部に室外側吸引口(15)が形成されている。
ケーシング(10)の内部は、手前側の第1パネル(11)から奥側の第2パネル(12)に向かう方向において、大別すると2つの空間に仕切られている。
ケーシング(10)の第1パネル(11)寄りに形成された空間は、さらに仕切板(18)により左右の空間に仕切られている。この左右の空間のうち、右側の空間は排気側流路(41)を構成し、左側の空間は給気側流路(42)を構成している。
上記排気側流路(41)は、本発明でいう第2空気通路の一部であり、排気口(16)を介して室外に連通している。この排気側流路(41)には、排気ファン(第2送風手段)(96)、第2熱交換器(104)、及び圧縮機(101)が設置されている。上記第2熱交換器(104)は、排気ファン(96)へ向かって流れる空気を冷媒回路の冷媒と熱交換させる。また、上記圧縮機(101)は、上記冷媒回路の圧縮行程に用いられている。
一方、給気側流路(42)は、本発明でいう第1空気通路の一部であり、給気口(14)を介して室内に連通している。この給気側流路(42)には、給気ファン(第1送風手段)(95)と第1熱交換器(103)とが設置されている。第1熱交換器(103)は、給気ファン(95)へ向かって流れる空気を冷媒回路の冷媒と熱交換させる。
また、図8に示すように、上記第1,第2熱交換器(103,104)より発生するドレン水を回収するためのドレンパン(130)が、給気側流路(42)と排気側流路(41)との双方に跨って配置されている。このドレンパン(130)は、第1熱交換器(103)のドレン水を回収する第1ドレンパン(131)と、第2熱交換器(104)のドレン水を回収する第2ドレンパン(132)とが一体に形成されたものである。第1ドレンパン(131)は、第1熱交換器(103)の下部に位置し、給気側流路(42)に配置されている。一方、第2ドレンパン(132)は、第2熱交換器(104)の下部に位置し、排気側流路(41)に配置されている。このドレンパン(130)は、給気側流路(42)と排気側流路(41)に跨る外縁部(134)から、ドレンパン(130)の中央に向かって斜め下方へ傾斜して形成されている。また、上記仕切板(18)には、第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)とが連通するための連通通路(133)が形成されている。この連通通路(133)は、仕切板(18)の下部で、ドレンパン(130)がドレン水により満水になるレベルよりも低い位置に形成されている。
ケーシング(10)の第2パネル(12)寄りに形成された空間は、右側仕切板(20)と、左側仕切板(30)とによって左右に3つの空間に仕切られている。
右側仕切板(20)の右側の空間は、鉛直上下方向に、2つの空間に仕切られている。そして、この空間は、上側の空間が右上部流路(65)を構成し、下側の空間が右下部流路(66)を構成している。右上部流路(65)は、排気側流路(41)と連通している一方、室外側吸引口(15)とは仕切られている。また、右下部流路(66)は、室外側吸引口(15)と連通している一方、排気側流路(41)とは仕切られている。
左側仕切板(30)の左側の空間は、鉛直上下方向に、2つの空間に仕切られている。そして、この空間は、上下の空間が左上部流路(67)を構成し、下側の空間が左下部流路(68)を構成している。左上部流路(67)は、給気側流路(42)と連通している一方、室内側吸引口(13)とは仕切られている。また、左下部流路(68)は、室内側吸引口(13)と連通している一方、給気側流路(42)とは仕切られている。
右側仕切板(20)と左側仕切板(30)の間には、2つの吸着素子(81,82)が設置されている。これら吸着素子(81,82)は、所定の間隔をおいて前後に並んだ状態に配置されている。具体的には、手前側の第1パネル(11)寄りに第1吸着素子(81)が設けられ、奥側の第2パネル(12)寄りに第2吸着素子(82)が設けられている。
第1,第2吸着素子(81,82)は、それぞれにおける平板部材(83)及び波板部材(84)の積層方向がケーシング(10)の左右方向と一致する姿勢で設置されている。この姿勢の各吸着素子(81,82)では、その上下の側面に調湿側通路(85)が開口し、その前後の側面に冷却側通路(86)が開口する一方、その左右の側面にはいずれの通路(85,86)も開口していない。
右側仕切板(20)と左側仕切板(30)との間の空間は、第1流路(51)、第2流路(52)、第1上部流路(53)、第1下部流路(54)、第2上部流路(55)、第2下部流路(56)、及び中央流路(57)に区画されている。
また、図5に示すように、第1流路(51)は、第1吸着素子(81)の手前側(図5においては右側)に形成され、第1吸着素子(81)の冷却側通路(86)に連通している。第2流路(52)は、第2吸着素子(82)の奥側(図5においては左側)に形成され、第2吸着素子(82)の冷却側通路(86)に連通している。
第1上部通路(53)は、第1吸着素子(81)の上側に形成され、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)に連通している。第1下部流路(54)は、第1吸着素子(81)の下側に形成され、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)に連通している。第2上部通路(55)は、第2吸着素子(82)の上側に形成され、第2吸着素子(81)の調湿側通路(85)に連通している。第2下部流路(56)は、第2吸着素子(82)の下側に形成され、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)に連通している。
中央流路(57)は、第1吸着素子(81)と第2吸着素子(82)との間に形成され、両吸着素子(81,82)の冷却側通路(86)に連通している。この中央流路(57)には、再生熱交換器(102)がほぼ垂直に立った状態で設置されている。この再生熱交換器(102)は、中央流路(57)を流れる空気を冷媒回路の冷媒と熱交換させる。そして、再生熱交換器(102)は、凝縮器として機能し、空気を加熱するための加熱器を構成している。
中央流路(57)と第1下部流路(54)との間の仕切りには、第1シャッタ(61)が設けられている。一方、中央流路(57)と第2下部流路(56)との間の仕切りには、第2シャッタ(62)が設けられている。第1シャッタ(61)と第2シャッタ(62)とは、何れもが開閉自在に構成されている。
図1に示すように、右側仕切板(20)には、第1右側開口(21)、第2右側開口(22)、第1右上開口(23)、第1右下開口(24)、第2右上開口(25)、及び第2右下開口(26)が形成されている。これらの開口(21,22,…)は、それぞれが開閉シャッタを備えて開閉自在に構成されている。
第1右側開口(21)は、右側仕切板(20)における手前側の下部に設けられている。第1右側開口(21)の開閉シャッタが開いた状態では、第1流路(51)と右下部流路(66)とが互いに連通する。第2右側開口(22)は、右側仕切板(20)における奥側の下部に設けられている。第2右側開口(22)の開閉シャッタが開いた状態では、第2流路(52)と右下部流路(66)とが互いに連通する。
第1右上開口(23)は、右側仕切板(20)のうち第1吸着素子(81)に隣接する部分の上部に設けられている。第1右上開口(23)の開閉シャッタが開いた状態では、第1上部流路(53)と右上部流路(65)とが互いに連通する。第1右下開口(24)は、右側仕切板(20)のうち第1吸着素子(81)に隣接する部分の下部に設けられている。第1右下開口(24)の開閉シャッタが開いた状態では、第1下部流路(54)と右下部流路(66)とが互いに連通する。
第2右上開口(25)は、右側仕切板(20)のうち第2吸着素子(82)に隣接する部分の上部に設けられている。第2右上開口(25)の開閉シャッタが開いた状態では、第2上部流路(55)と右上部流路(65)とが互いに連通する。第2右下開口(26)は、右側仕切板(20)のうち第2吸着素子(82)に隣接する部分の下部に設けられている。第2右下開口(26)の開閉シャッタが開いた状態では、第2下部流路(56)と右下部流路(66)とが互いに連通する。
左側仕切板(30)には、第1左側開口(31)、第2左側開口(32)、第1左上開口(33)、第1左下開口(34)、第2左上開口(35)、及び第2左下開口(36)が形成されている。これらの開口(31,32,…)は、それぞれが開閉シャッタを備えて開閉自在に構成されている。
第1左側開口(31)は、左側仕切板(30)における手前側の下部に設けられている。第1左上開口(31)の開閉シャッタが開いた状態では、第1流路(51)と左下部流路(68)とが互いに連通する。第2左側開口(32)は、左側仕切板(30)における奥側の下部に設けられている。第2左側開口(32)の開閉シャッタが開いた状態では、第2流路(52)と左下部流路(68)とが互いに連通する。
第1左上開口(33)は、左側仕切板(30)のうち第1吸着素子(81)に隣接する部分の上部に設けられている。第1左上開口(33)の開閉シャッタが開いた状態では、第1上部流路(53)と左上部流路(67)とが互いに連通する。第1左下開口(34)は、左側仕切板(30)のうち第1吸着素子(81)に隣接する部分の下部に設けられている。第1左下開口(34)の開閉シャッタが開いた状態では、第1下部流路(54)と左下部流路(68)とが互いに連通する。
第2左上開口(35)は、左側仕切板(30)のうち第2吸着素子(82)に隣接する部分の上部に設けられている。第2左上開口(35)の開閉シャッタが開いた状態では、第2上部流路(55)と左上部流路(67)とが互いに連通する。第2左下開口(36)は、左側仕切板(30)のうち第2吸着素子(82)に隣接する部分の下部に設けられている。第2左下開口(36)の開閉シャッタが開いた状態では、第2下部流路(56)と左下部流路(68)とが互いに連通する。
−運転動作−
上記空気調和装置の運転動作について説明する。この空気調和装置は、除湿運転と加湿運転とを切り換えて行う。また、この空気調和装置は、後述するように第1動作と第2動作とを交互に繰り返すことによって、除湿運転や加湿運転を行う。
なお、除湿運転時において、冷媒回路では、第1熱交換器(103)が蒸発器となる一方、第2熱交換器(104)が休止している。一方、加湿運転時において、冷媒回路では、第2熱交換器(104)が蒸発器となる一方、第1熱交換器(103)が休止している。
また、図1〜4に示すように、上記空気調和装置の除湿運転や加湿運転時において、給気ファン(95)を駆動すると、室外空気(OA)が室外側吸引口(15)を通じてケーシング(10)内に取り込まれる。この室外空気は第1空気として、所定の空気通路を流通した後に、給気口(14)より室内へ供給される。ここで、上記室外側吸引口(15)から給気口(14)までの第1空気の流通経路が第1空気通路となる。一方、排気ファン(96)を駆動すると、室内空気(RA)が室内側吸引口(13)を通じてケーシング(10)内に取り込まれる。この室内空気は第2空気として、所定の空気通路を流通した後に、排気口(16)より室外へ排出される。ここで、上記室内側吸引口(13)から排気口(16))までの第2空気の流通経路が第2空気通路となる。
−除湿運転−
次に、除湿運転時の第1動作について、図1,図5(A)を参照しながら説明する。この第1動作では、第1吸着素子(81)についての吸着動作と、第2吸着素子(82)についての再生動作とが行われる。つまり、第1動作では、第1吸着素子(81)で空気が減湿されると同時に、第2吸着素子(82)の吸着材が再生される。
図1に示すように、右側仕切板(20)では、第1右下開口(24)と第2右上開口(25)の開閉シャッタが開口状態であり、残りの開口(21,22,23,26)の開閉シャッタは閉鎖状態となっている。この状態では、第1右下開口(24)によって右下部流路(66)と第1下部流路(54)とが連通し、第2右上開口(25)によって第2上部流路(55)と右上部流路(65)とが連通している。
左側仕切板(30)では、第1左側開口(31)と第1左上開口(33)の開閉シャッタが開口状態であり、残りの開口(32,34,35,36)の開閉シャッタが閉鎖状態となっている。この状態では、第1左側開口(31)によって第1流路(51)と左下部流路(68)とが連通し、第1左上開口(33)によって第1上部流路(53)と左上部流路(67)とが連通している。
また、図5(A)に示すように、第1シャッタ(61)は閉鎖状態となり、第2シャッタ(62)は開口状態となっており、この状態で中央流路(57)と第2下部流路(56)とが連通される。
給気ファン(95)の駆動により、右下部流路(66)に流入した第1空気は、その後に第1右下開口(24)を通って、第1下部流路(54)へ流入する。一方、排気ファン(96)の駆動により、左下部流路(68)へ流入した第2空気は、その後に第1左側開口(31)を通って、第1流路(51)へ流入する。
第1下部流路(54)の第1空気は、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ流入する。この調湿側通路(85)を流れる間に、第1空気に含まれる水蒸気が吸着材に吸着される。第1吸着素子(81)で減湿された第1空気は、第1上部流路(53)へ流入する。
一方、第1流路(51)の第2空気は、第1吸着素子(81)の冷却側通路(86)へ流入する。この冷却側通路(86)を流れる間に、第2空気は、調湿側通路(85)で水蒸気が吸着材に吸着された際に生じた吸着熱を吸熱する。吸着熱を奪った第2空気は、中央通路(57)へ流入して再生熱交換器(102)を通過する。その際、再生熱交換器(102)では、第2空気が冷媒との熱交換によって加熱される。その後、第2空気は、中央流路(57)から第2下部流路(56)へ流入する。
第1吸着素子(81)及び再生熱交換器(102)で加熱された第2空気は、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ導入される。この調湿側通路(85)では、第2空気によって吸着材が加熱され、吸着材から水蒸気が脱離する。つまり、第2吸着素子(82)の再生が行われる。吸着材を再生した後の第2空気は、第2上部流路(55)へ流入する。
図1に示すように、第1上部流路(53)へ流入した減湿後の第1空気は、第1左上開口(33)を通って左上部流路(67)へ流入し、その後に給気側流路(42)へ流入する。この第1空気は、給気側流路(42)を流れる間に第1熱交換器(103)を通過し、冷媒との熱交換によって冷却される。その後、減湿及び冷却された第1空気は、給気口(14)を通って室内へ供給される。
一方、第2上部流路(55)へ流入した第2空気は、第2右上開口(25)を通って、右上部流路(65)へ流入し、その後に排気側流路(41)へ流入する。この第2空気は、排気側流路(41)を流れる間に第2熱交換器(104)を通過する。この際、第2熱交換器(104)は休止しており、第2空気は加熱も冷却もされない。そして、第1吸着素子(81)の冷却と第2吸着素子(82)の再生とに利用された第2空気は、排気口(16)を通って室外へ排出される。
次に除湿運転の第2動作について、図2,図5(B)を参照しながら説明する。この第2動作では、第1動作時とは逆に、第2吸着素子(82)についての吸着動作と第1吸着素子(81)についての再生動作とが行われる。つまり、第2動作では、第2吸着素子(82)で空気が減湿されると同時に、第1吸着素子(81)の吸着材が再生される。
図2に示すように、右側仕切板(20)では、第1右上開口(23)と第2右下開口(26)の開閉シャッタが開口状態であり、残りの開口(21,22,24,25)の開閉シャッタは閉鎖状態となっている。この状態では、第1右上開口(23)によって第1上部流路(53)と右上部流路(65)とが連通し、第2右下開口(26)によって右下部流路(66)と第2下部流路(56)とが連通している。
左側仕切板(30)では、第2左側開口(32)と第2左上開口(35)の開閉シャッタが開口状態であり、残りの開口(31,33,34,36)の開閉シャッタが閉鎖状態となっている。この状態では、第2左側開口(32)によって左下部流路(68)と第2流路(52)とが連通し、第2左上開口(35)によって第2上部流路(55)と左上部流路(67)とが連通している。
また、図5(B)に示すように、第2シャッタ(62)は閉鎖状態となり、第1シャッタ(61)は開口状態となっており、この状態で中央流路(57)と第1下部流路(54)とが連通している。
給気ファン(95)の駆動により、右下部流路(66)に流入した第1空気は、その後に第2右下開口(26)を通って、第2下部流路(56)へ流入する。一方、排気ファン(96)の駆動により、左下部流路(68)へ流入した第2空気は、その後に第2左側開口(32)を通って、第2流路(52)へ流入する。
第2下部流路(56)の第1空気は、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ流入する。この調湿側通路(85)を流れる間に、第1空気に含まれる水蒸気が吸着材に吸着される。第2吸着素子(82)で減湿された第1空気は、第2上部流路(55)へ流入する。
一方、第2流路(52)の第2空気は、第2吸着素子(82)の冷却側通路(86)へ流入する。この冷却側通路(86)を流れる間に、第2空気は、調湿側通路(85)で水蒸気が吸着材に吸着された際に生じた吸着熱を吸熱する。吸着熱を奪った第2空気は、中央通路(57)へ流入して再生熱交換器(102)を通過する。その際、再生熱交換器(102)では、第2空気が冷媒との熱交換によって加熱される。その後、第2空気は、中央流路(57)から第1下部流路(54)へ流入する。
第2吸着素子(82)及び再生熱交換器(102)で加熱された第2空気は、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ導入される。この調湿側通路(85)では、第2空気によって吸着材が加熱され、吸着材から水蒸気が脱離する。つまり、第1吸着素子(81)の再生が行われる。吸着材を再生した後の第2空気は、第2上部流路(55)へ流入する。
図2に示すように、第2上部流路(55)へ流入した減湿後の第1空気は、第2左上開口(35)を通って左上部流路(67)へ流入し、その後に給気側流路(42)へ流入する。この第1空気は、給気側流路(42)を流れる間に第1熱交換器(103)を通過し、冷媒との熱交換によって冷却される。その後、減湿及び冷却された第1空気は、給気口(14)を通って室内へ供給される。
上記第1上部流路(53)へ流入した第2空気は、第1右上開口(23)を通って、右上部流路(65)へ流入し、その後に排気側流路(41)へ流入する。この第2空気は、排気側流路(41)を流れる間に第2熱交換器(104)を通過する。その際、第2熱交換器(104)は休止しており、第2空気は加熱も冷却もされない。そして、第2吸着素子(82)の冷却と第1吸着素子(81)の再生とに利用された第2空気は、排気口(16)を通って室外へ排出される。
−加湿運転−
次に、加湿運転時の第1動作について、図3,図6(A)を参照しながら説明する。この第1動作では、第1吸着素子(81)についての吸着動作と、第2吸着素子(82)についての再生動作とが行われる。つまり、第1動作では、第2吸着素子(82)で空気が加湿され、第1吸着素子(81)の吸着材が水蒸気を吸着する。
図3に示すように、右側仕切板(20)では、第1右側開口(21)と第1右上開口(23)の開閉シャッタが開口状態であり、残りの開口(22,24,25,26)の開閉シャッタは閉鎖状態となっている。この状態では、第1右側開口(21)によって右下部流路(66)と第1流路(51)とが連通し、第1右上開口(23)によって第1上部流路(53)と右上部流路(65)とが連通している。
左側仕切板(30)では、第1左下開口(34)と第2左上開口(35)の開閉シャッタが開口状態であり、残りの開口(31,32,33,36)の開閉シャッタが閉鎖状態となっている。この状態では、第1左下開口(34)によって左下部流路(68)と第1下部流路(54)とが連通し、第2左上開口(35)によって第2上部流路(55)と左上部流路(67)とが連通している。
また、図6(A)に示すように、第1シャッタ(61)は閉鎖状態となり、第2シャッタ(62)は開口状態となっており、この状態で中央流路(57)と第2下部流路(56)とが連通している。
給気ファン(95)の駆動により、右下部流路(66)へ流入した第1空気は、その後に第1右側開口(21)を通って、第1流路(51)へ流入する。一方、排気ファン(96)の駆動により、左下部流路(68)に流入した第2空気は、その後に第1左下開口(34)を通って、第1下部流路(54)へ流入する。 第1下部流路(54)の第2空気は、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ流入する。この調湿側通路(85)を流れる間に、第2空気に含まれる水蒸気が吸着材に吸着される。第1吸着素子(81)で水分を奪われた第2空気は、第1上部流路(53)へ流入する。
一方、第1流路(51)の第1空気は、第1吸着素子(81)の冷却側通路(86)へ流入する。この冷却側通路(86)を流れる間に、第1空気は、調湿側通路(85)で水蒸気が吸着材に吸着された際に生じた吸着熱を吸熱する。吸着熱を奪った第1空気は、中央通路(57)へ流入して再生熱交換器(102)を通過する。その際、再生熱交換器(102)では、第1空気が冷媒との熱交換によって加熱される。その後、第1空気は、中央流路(57)から第2下部流路(56)へ流入する。
第1吸着素子(81)及び再生熱交換器(102)で加熱された第1空気は、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ導入される。この調湿側通路(85)では、第1空気によって吸着材が加熱され、吸着材から水蒸気が脱離する。つまり、第2吸着素子(82)の再生が行われる。吸着材から脱離した水蒸気が第1空気に付与され、第1空気が加湿される。第2吸着素子(82)で加湿された第1空気は、その後に第2上部流路(55)へ流入する。
図3に示すように、第2上部流路(55)へ流入した第1空気は、第2左上開口(35)を通って左上部流路(67)へ流入し、その後に給気側流路(42)へ流入する。この第1空気は、給気側流路(42)を流れる間に第1熱交換器(103)を通過する。その際、第1熱交換器(103)は休止しており、第1空気は加熱も冷却もされない。そして、加湿された第1空気は、給気口(14)を通って室内へ供給される。
一方、第1上部流路(53)へ流入した第2空気は、第1右上開口(23)を通って、右上部流路(65)へ流入し、その後に排気側流路(41)へ流入する。この第2空気は、排気側流路(41)を流れる間に第2熱交換器(104)を通過し、冷媒との熱交換によって冷却される。そして、水分と熱を奪われた第2空気は、排気口(16)を通って室外へ排出される。
次に加湿運転の第2動作について、図4,図6(B)を参照しながら説明する。この第2動作では、第1動作時とは逆に、第2吸着素子(82)についての吸着動作と第1吸着素子(81)についての再生動作とが行われる。つまり、第2動作では、第1吸着素子(81)で空気が加湿され、第2吸着素子(82)の吸着材が水蒸気を吸着する。
図4に示すように、右側仕切板(20)では、第2右側開口(22)と第2右上開口(25)の開閉シャッタが開口状態であり、残りの開口(21,23,24,26)の開閉シャッタは閉鎖状態となっている。この状態では、第2右側開口(22)によって右下部流路(66)と第2流路(52)とが連通され、第2右上開口(25)によって第2上部流路(55)右上部流路(65)とが連通される。
左側仕切板(30)では、第1左上開口(33)と第2左下開口(36)の開閉シャッタが開口状態であり、残りの開口(31,32,34,35)の開閉シャッタが閉鎖状態となっている。この状態では、第1左上開口(33)によって第1上部流路(53)と左上部流路(67)とが連通し、第2左下開口(36)によって左下部流路(68)と第2下部流路(56)とが連通している。
また、図6(B)に示すように、第2シャッタ(62)は閉鎖状態となり、第1シャッタ(61)は開口状態となっており、この状態で中央流路(57)と第1下部流路(54)とが連通している。
給気ファン(95)の駆動により、右下部流路(66)へ流入した第1空気は、その後に第2右側開口(22)を通って、第2流路(52)へ流入する。一方、排気ファン(96)の駆動により、左下部流路(68)に流入した第2空気は、その後に第2左下開口(36)を通って、第2下部流路(56)へ流入する。第2下部流路(56)の第2空気は、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)へ流入する。この調湿側通路(85)を流れる間に、第2空気に含まれる水蒸気が吸着材に吸着される。第2吸着素子(82)で水分を奪われた第2空気は、第2上部流路(55)へ流入する。
一方、第2流路(52)の第1空気は、第2吸着素子(82)の冷却側通路(86)へ流入する。この冷却側通路(86)を流れる間に、第1空気は、調湿側通路(85)で水蒸気が吸着材に吸着された際に生じた吸着熱を吸熱する。吸着熱を奪った第1空気は、中央通路(57)へ流入して再生熱交換器(102)を通過する。その際、再生熱交換器(102)では、第2空気が冷媒との熱交換によって加熱される。その後、第2空気は、中央流路(57)から第1下部流路(54)へ流入する。
第2吸着素子(82)及び再生熱交換器(102)で加熱された第1空気は、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)へ導入される。この調湿側通路(85)では、第1空気によって吸着材が加熱され、吸着材から水蒸気が脱離する。つまり、第1吸着素子(81)の再生が行われる。そして、吸着材から脱離した水蒸気が第1空気に付与され、第1空気が加湿される。第1吸着素子(81)で加湿された第1空気は、その後に第1上部流路(53)へ流入する。
図4に示すように、第1上部流路(53)へ流入した第1空気は、第1左上開口(33)を通って左上部流路(67)へ流入し、その後に給気側流路(42)へ流入する。この第1空気は、給気側流路(42)を流れる間に第1熱交換器(103)を通過する。その際、第1熱交換器(103)は休止しており、第1空気は加熱も冷却もされない。そして、加湿された第1空気は、給気口(14)を通って室内へ供給される。
一方、第2上部流路(55)へ流入した第2空気は、第2右上開口(25)を通って、右上部流路(65)へ流入し、その後に排気側流路(41)へ流入する。この第2空気は、排気側流路(41)を流れる間に第2熱交換器(104)を通過し、冷媒との熱交換によって冷却される。そして、水分と熱を奪われた第2空気は、排気口(16)を通って室外へ排出される。
−ドレン水の排出動作−
次に、前述した空気調和装置の除湿運転及び加湿運転時におけるドレン水の排出動作について、図を参照しながら説明する。
−除湿運転−
図1,図2に示すように、除湿運転時には、第1空気が吸着素子(81,82)で吸着され、第2空気が吸着素子(81,82)を再生する。この際、除湿運転の第1動作において、第1空気は、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)のみを通過する一方、第2空気は、第1吸着素子(81)の冷却側通路(86)と第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)との双方を通過する。また、除湿運転の第2動作において、第1空気は、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)のみを通過する一方、第2空気は、第2吸着素子(82)の冷却側通路(86)と第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)との双方を通過する。したがって、除湿運転時に、第1,第2空気が、第1,第2空気通路を通過する際に生じる圧力損失は、第2空気通路の方が大きくなる。よって、第2空気通路の圧力は、第1空気通路の圧力よりも低くなる。
ここで、第1熱交換器(103)及び第2熱交換器(104)の近傍より発生したドレン水が、第1ドレンパン(131)及び第2ドレンパン(132)にそれぞれ回収されると、上記圧力差により、第1ドレンパン(131)内のドレン水が、連通通路(133)を介して、第2ドレンパン(132)に移送される。したがって、ドレン水は第2ドレンパン(132)に集められる。
除湿運転時において、排気側流路(41)に配置された第2ドレンパン(132)の近傍には、吸着素子(81,82)を再生した後の第2空気が流通している。このため、第2ドレンパン(132)内のドレン水は、この第2空気により蒸発する。そして、第2空気は、気化したドレン水とともに、排出口(16)より室外へ排出される。
−加湿運転−
図3、図4に示すように、加湿運転時には、第2空気が吸着素子(81,82)で吸着され、第1空気が吸着素子(81,82)で加湿される。この際、加湿運転の第1動作において、第2空気は、第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)のみを通過する一方、第1空気は、第1吸着素子(81)の冷却側通路(86)と第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)との双方を通過する。また、加湿運転の第2動作において、第2空気は、第2吸着素子(82)の調湿側通路(85)のみを通過する一方、第1空気は、第2吸着素子(82)の冷却側通路(86)と第1吸着素子(81)の調湿側通路(85)との双方を通過する。したがって、加湿運転時に、第1,第2空気が、第1,第2空気通路を通過する際に生じる圧力損失は、第1空気通路の方が大きくなる。よって、第1空気通路の圧力は、第2空気通路の圧力よりも低くなる。
ここで、第1熱交換器(103)及び第2熱交換器(104)の近傍より発生したドレン水が、第1ドレンパン(131)及び第2ドレンパン(132)にそれぞれ回収されると、上記圧力差により、第2ドレンパン(132)内のドレン水が、連通通路(133)を介して、第1ドレンパン(131)に移送される。したがって、ドレン水は第1ドレンパン(131)に集められる。
加湿運転時において、給気側流路(42)に配置された第1ドレンパン(131)の近傍には、吸着素子(81,82)で加湿された後の第1空気が流通している。このため、第1ドレンパン(131)内のドレン水は、この第1空気により蒸発される。そして、第2空気は、気化されたドレン水ととともに、給気口(14)より室外へ供給される。
−実施形態1の効果−
本実施形態1によれば、以下のような効果が発揮される。
本実施形態1では、第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)とをケーシング(10)内の第1パネル(11)側で互いに近接して配置し、第1,第2熱交換器(103,104)より発生するドレン水を回収する第1,第2ドレンパン(131,132)を上記第1,第2熱交換器(103,104)の近傍に配置している。この構成により、第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)とを一体化して、ドレンパン(130)をケーシング(10)内にコンパクトに収装することができる。
また、本実施形態1では、上記第1,第2ドレンパン(131,132)が連通する連通通路(133)を設けている。この際、除湿運転時には、第1空気通路と第2空気通路との差圧発生手段として、第2空気通路の圧力損失が、第1空気通路の圧力損失よりも大きくなるように構成している。これにより、第2空気通路の圧力が、第1空気通路の圧力よりも低くなるため、第1ドレンパン(131)内のドレン水を第2ドレンパン(132)へ移送することができる。ここで、第2ドレンパン(132)の近傍には、第2空気が流通しており、このドレン水は、第2空気によって蒸発した後、第2空気とともに、排気口(16)より室外へ排出される。
この際、第2空気が流通する排気側流路(41)には、圧縮機(101)が配置されており、この圧縮機(101)の近傍では、圧縮機(101)の稼働に伴う熱が生じている。このため、この熱を第2空気の加温に利用することにより、第2ドレンパン(132)内のドレン水の蒸発を促進することができる。
一方、加湿運転時には、第1空気通路と第2空気通路の差圧発生手段として、第1空気通路の圧力損失が、第2空気通路の圧力損失よりも大きくなるように構成している。これにより、第1空気通路の圧力が、第2空気通路の圧力よりも低くなるため、第2ドレンパン(132)内のドレン水を第1ドレンパン(131)へ移送することができる。ここで、第1ドレンパン(131)の近傍には、第1空気が流通しており、このドレン水は、第1空気によって蒸発した後、第1空気とともに給気口(14)より室内へ供給される。この際、第1ドレンパン(131)の蒸発により第1空気はさらに加湿されて、室内へ供給される。このため、空気調和装置の加湿性能を向上することができる。
《発明の実施形態2》
次に本発明の実施形態2について図面に基づいて詳細に説明する。
図9(A)は、室内の窓枠などに取り付けて室内空気の温度調整を行う空気調和装置を示した概略斜視図である。
上記空気調和装置は、略直方体状のケーシング(10)の一側面(前面)に、室内空気を吸引するための室内側吸引口(161)と、この吸引された室内空気が室内へ給気される室内側給気口(162)とが形成されている。一方、上記ケーシング(10)の他面(後面)には、図示しない室外空気が吸引される室外側吸引口と、この吸引された室外空気が室外へ排出される室外側排気口が形成されている。また、上記ケーシング(10)内の空間は、波形状の仕切り板(163)によって、2つの空間に仕切られている。ここで、ケーシング(10)内の前面の空間は、室内側吸引口(161)と室内側給気口(162)とに連通しており、この空間が第1空気通路となる。一方、ケーシング(10)内の後面の空間は、室外側吸引口と室外側排気口とに連通しており、この空間が第2空気通路となる。
第1空気通路内には、ケーシング(10)の室内側吸引口(161)に近い位置に、室内空気の冷却及び加温を行う第1熱交換器(103)が設けられている。また、上記第1熱交換器(103)の後側であって、第1空気通路の出口側端部には、室内空気を吸引して、再び室内へ供給する給気ファン(95)(第1送風手段)が配置されている。この構成により、給気ファン(95)によって吸引された室内空気は、室内側吸引口(161)よりケーシング(10)内に導入され、第1熱交換機(103)によって温度調整された後に、室内側給気口(162)より室内へ供給される。この際、上記室内側吸引口(161)より吸引されて、上記室内側排気口(162)より供給される室内空気が第1空気となる。
第2空気通路内には、ケーシング(10)の後面に近い位置に、室外空気と熱交換する第2熱交換器(104)が設けられている。また、上記第2熱交換器(104)の前側であって、第2空気通路の出口側端部には、室外空気を吸引して、再び室外へ排出する排気ファン(96)(第2送風手段)が配置されている。この構成により、排気ファン(96)によって吸引された室外空気は、室外側吸引口よりケーシング(10)内に導入され、第2熱交換機(104)を通過した後に、室外側排気口より室外へ排出される。この際、上記室外側吸引口より吸引されて、上記室外側排気口より排出される室外空気が第2空気となる。
また、図9(B)に示すように、上記第1,第2熱交換器(103,104)と上記仕切り板(163)の双方の下部(図9の下側)には、第1熱交換器(103)と第2熱交換器(104)とで発生するドレン水を回収するためのドレンパン(130)が設置されている。このドレンパン(130)は、第1熱交換器(103)より発生したドレン水を回収するための第1ドレンパン(131)と、第2熱交換器(104)より発生したドレン水を回収するための第2ドレンパン(132)とを備えている。また、この第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)との間には、連通通路(133)が形成され、第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)とが互いに連通した状態となっている。
−運転及びドレン水排出動作−
本実施形態2の空気調和装置において、冷房運転時には、第1熱交換器(103)が蒸発器となる一方、第2熱交換器(104)が凝縮器となる。冷房運転時において、給気ファン(95)及び排気ファン(96)が稼働すると、第1空気は第1熱交換器(103)によって冷却され、室内へ再び供給される。一方、第2空気は、第2熱交換器(104)と熱交換して室外へ排出される。ここで、第1熱交換器(103)の近傍では、ドレン水が発生するため、このドレン水が第1ドレンパン(131)に回収される。
この際、第1空気通路と第2空気通路との差圧発生手段として、排気ファン(96)を運転する一方、給気ファン(95)を所定の時間停止すると、第2ドレンパン(132)の近傍に吸引圧が作用する一方、第1ドレンパン(131)には圧力が作用しない状態となる。このため、第2空気通路の圧力は、第1空気通路の圧力よりも低くなる。したがって、この圧力差によって、第1ドレンパン(131)内のドレン水は、連通通路(133)を介して、第2ドレンパン(132)へ移送される。
また、第2ドレンパン(132)の近傍には、排気ファン(96)によって吸引された第2空気が流通している。したがって、第2ドレンパン(132)内のドレン水は、この第2空気によって蒸発されて、室外側排気口より室外へ排出される。
一方、上記構成の空気調和装置において、暖房運転時には、第2熱交換器(103)が凝縮器となる一方、第2熱交換器(104)が蒸発器となる。暖房運転時において、給気ファン(95)及び排気ファン(96)が稼働すると、第1空気は第1熱交換器(103)によって加温され、室内へ再び供給される。一方、第2空気は、第2熱交換器(104)と熱交換して室外へ排出される。ここで、第2熱交換器(103)の近傍では、ドレン水が発生するため、このドレン水が第2ドレンパン(132)に回収される。
この際、差圧発生手段として、給気ファン(95)を運転する一方、排気ファン(95)を所定の時間停止すると、第1ドレンパン(131)の近傍に吸引圧が作用する一方、第2ドレンパン(132)には圧力が作用しない状態となる。このため、第1空気通路の圧力は、第2空気通路の圧力よりも低くなる。したがって、この圧力差によって、第2ドレンパン(132)内のドレン水は、連通通路(133)を介して、第1ドレンパン(132)へ移送される。
また、第1ドレンパン(131)の近傍には、給気ファン(95)によって吸引された第1空気が流通している。したがって、第1ドレンパン(131)内のドレン水は、この第1空気によって蒸発されて、室外側排気口より室外へ排出される。
−実施形態2の効果−
本実施形態2によれば、以下の効果が発揮される。
本実施形態2では、第1,第2熱交換器(103,104)の下部に第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)とを近接して配置し、一体になったドレンパン(130)を構成している。このため、ケーシング(10)内に、ドレンパン(130)をコンパクトに収装することができる。
また、本実施形態2では、上記第1,第2ドレンパン(131,132)が連通する連通通路(133)を設けている。そして、冷房運転時には、第1空気通路と第2空気通路との差圧発生手段として、排気ファン(96)を運転する一方、給気ファン(95)を所定の時間停止するようにしている。したがって、第2空気通路の圧力が、第1空気通路の圧力よりも低くなるため、第1ドレンパン(131)内に回収されたドレン水を第2ドレンパン(132)へ移送することができる。ここで、第2ドレンパン(132)の近傍には、第2空気が流通している。このため、ドレン水は、この第2空気によって蒸発された後、第2空気とともに室外側排気口より室外へ排出される。
一方、暖房運転時には、第1空気通路と第2空気通路との差圧発生手段として、給気ファン(95)を運転する一方、排気ファン(96)を所定の時間停止するようにしている。これにより、第1空気通路の圧力が、第2空気通路の圧力よりも低くなるため、第2ドレンパン(132)内に回収されたドレン水を第1ドレンパン(131)へ移送することができる。ここで、第1ドレンパン(131)の近傍には、第1空気が流通している。このため、ドレン水は、この第1空気によって蒸発された後、第1空気とともに室内側給気口(162)より室内へ供給される。この際、第1ドレンパン(131)内のドレン水の蒸発により第1空気は加湿されるため、暖房運転時に加湿効果を得ることができる。
《発明の実施形態3》
次に本発明の実施形態3について図面に基づいて詳細に説明する。
図10は、熱交換器(170)によって室内空気の空調を行う換気型の空気調和装置の概略図を示したものである。
上記空気調和装置は、略直方体状のケーシング(10)の一側面(図10の左側)に室外空気が吸引される室外側吸引口(171)と、室内空気が室外へ排出される室外側排気口(172)とが形成されている。一方、ケーシング(10)の他面(図10の右側)には、室内空気が吸引される室内側吸引口(173)と、室外空気が室内へ供給される室内側給気口(174)とが形成されている。また、ケーシング(10)内には、室外側吸引口(171)より室外空気を吸引して、この室外空気を室内側給気口(174)より給気するための給気ファン(95)(第1送風手段)が配置されている。ここで、上記室外側吸引口(171)から上記室内側給気口(174)までの空気通路が第1空気通路となるとともに、この第1空気通路を流通する空気が第1空気となる。さらに、ケーシング(10)内には、室内側吸引口(173)より室内空気を吸引して、この室内空気を室外側排気口(172)より排出するための排気ファン(96)(第2送風手段)が配置されている。ここで、上記室内側吸引口(173)から上記室外側給気口(172)までの空気通路が第2空気通路となるとともに、この第2空気通路を流通する空気が第2空気となる。また、上記排気ファン(96)は、室外側排気口(172)の近傍(第2空気通路の出口側端部)に配置されている。また、ケーシング(10)内には、第1,第2空気の熱及び水分を交換させる全熱交換器(175)が設置されている。さらに、第1空気通路には、第1空気の冷却及び加温を行う熱交換器(170)と、第1空気の加湿を行う加湿器(176)とが設けられている。なお、上記熱交換器(170)は、例えば、図示しない室外側の熱交換器と冷凍サイクルを行い、蒸発器あるいは凝縮器として機能するように構成されている。
以上の構成より、給気ファン(95)によって吸引された第1空気は、室外側吸引口(171)、全熱交換器(175)、熱交換器(170)、加湿器(176)を通過した後、室内側給気口(174)より室内へ給気される。一方、排気ファン(96)によって吸引された第2空気は、室内側吸引口(173)、全熱交換器(175)を通過した後、室外側排気口(172)より室外へ排出される。
また、上記第1空気通路に位置する熱交換器(170)及び加湿器(176)の下部には、第1ドレンパン(131)が設置されており、上記熱交換器(170)や加湿器(176)で発生したドレン水を回収可能な状態となっている。また、第2空気通路の排気ファン(96)近傍には、第2ドレンパン(132)が設置されている。そして、この第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)との間には、連通通路(133)が形成され、第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)とが互いに連通した状態となっている。
−運転及びドレン水排出動作−
本実施形態3の空気調和装置において、冷房運転時には、熱交換器(170)が蒸発器となり、加湿器(176)は停止した状態にある。給気ファン(95)及び排気ファン(96)が稼働すると、第1空気及び第2空気は全熱交換器(175)を通過し、互いに熱交換する。熱交換された後の第1空気は、熱交換器(170)によって冷却され、室内側給気口(174)より室内へ供給される。一方、熱交換された後の第2空気は、室外側排気口(172)より室外へ排出される。ここで、熱交換器(170)近傍では、ドレン水が発生するため、このドレン水が第1ドレンパン(131)に回収される。
この際、第1空気通路と第2空気通路との差圧発生手段として、排気ファン(96)を運転する一方、給気ファン(95)を所定の時間停止すると、第2ドレンパン(132)の近傍に吸引圧が作用する一方、第1ドレンパンには圧力が作用しない状態となる。このため、第2空気通路の圧力は、第1空気通路の圧力よりも低くなる。したがって、この圧力差によって、第1ドレンパン(131)内のドレン水は、連通通路(133)を介して、第2ドレンパン(132)へ移送される。
また、第2ドレンパン(132)の近傍には、排気ファン(96)によって吸引された第2空気が流通している。したがって、第2ドレンパン(132)内のドレン水は、この第2空気によって蒸発されて、室外側排気口(172)より室外へ排出される。
一方、上記構成の空気調和装置において、暖房運転時には、熱交換器(170)が凝縮器となり、加湿器(176)は運転した状態にある。暖房運転時において、給気ファン(95)及び排気ファン(96)が稼働すると、第1空気及び第2空気は全熱交換器(175)を通過し、互いに熱交換する。熱交換された後の第1空気は、熱交換器(170)によって加温され、さらに加湿器(176)によって加湿される。そして、加温及び加湿された後の第1空気は、室内側給気口(174)より室内へ供給される。一方、熱交換された後の第2空気は、室外側排気口(172)より室外へ排出される。ここで、加湿器(176)の近傍では、ドレン水が発生するため、このドレン水が第1ドレンパン(131)に回収される。この第1ドレンパン(131)に回収されたドレン水は、第1ドレンパン(131)の近傍を流通する第1空気によって蒸発され、室内側給気口(174)より室内へ供給される。
−実施形態3の効果−
本実施形態3によれば、以下の効果が発揮される。
本実施形態3では、第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)とを近接して配置し、ドレンパン(130)を構成している。このため、ケーシング(10)内に、ドレンパン(130)をコンパクトに収装することができる。
また、本実施形態3では、上記第1,第2ドレンパン(131,132)が連通する連通通路(133)を設けている。この際、冷房運転時には、第1空気通路と第2空気通路との差圧発生手段として、排気ファン(96)を運転する一方、給気ファン(95)を所定の時間停止するようにしている。これにより、第2空気通路の圧力が、第1空気通路の圧力よりも低くなるため、第1ドレンパン(131)内のドレン水を第2ドレンパン(132)へ移送することができる。ここで、第2ドレンパン(132)の近傍には、第2空気が流通しており、このドレン水は、第2空気によって蒸発された後、第2空気とともに、室外側排気口(172)より室外へ排出される。
《その他の実施形態》
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
実施形態1では、第1空気通路と第2空気通路との差圧発生手段として、除湿運転時に第2空気通路の圧力損失を第1空気通路の圧力損失より大きくする、あるいは加湿運転時に第1空気通路の圧力損失を第2空気通路の圧力損失より大きくしている。しかしながら、上記構成以外に、差圧発生手段を、実施形態2や3で前述したように、第1送風手段(95)と第2送風手段(96)の停止動作を利用した構成にすることもできる。より具体的に、その他の差圧発生手段として、除湿運転時には、第2送風手段(96)を運転しながら、第1送風手段(95)を所定の時間停止するようにする。第1送風手段(95)及び第2送風手段(96)は、第1,第2ドレンパン(131,132)の近傍にそれぞれ吸引圧を作用させているため、この第1送風手段(95)の停止により、第1空気通路の圧力は高くなる。よって、第2空気通路の圧力は、第1空気通路の圧力と比較して、相対的に低くなる。このため、第1ドレンパン(131)内のドレン水を第2ドレンパン(132)に移送することができる。
一方、加湿運転時には、第1送風手段(95)を運転しながら、第2送風手段(96)を所定の時間停止するようにする。この第2送風手段(96)の停止により、第2空気通路の圧力は高くなる。よって、第1空気通路の圧力は、第2空気通路の圧力と比較して、相対的に低くなる。このため、第2ドレンパン(132)内のドレン水を第1ドレンパン(131)に移送することができる。
なお、これらの差圧発生手段は、空気調和装置の設置方法や、室外側吸引口(13)、室内側吸引口(15)、給気口(14)、及び排気口(16)に接続されるダクトの影響により、第1空気通路と第2空気通路で発生する圧力差が生じにくい場合に、利用されることが望ましい。
また、実施形態2では、窓枠取り付け型の空気調和装置において、ドレンパン(130)を第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)と連通通路(133)とで構成し、差圧発生手段により、第1,第2熱交換器(103,104)で発生したドレン水を片側のドレンパンに移送して、機外へ排出するようにしている。しかしながら、上記空気調和装置以外に、例えば図11に示すような第1,第2熱交換器(103,104)を有する換気型の空気調和装置においても、このドレン水排出構造を適用することができる。この空気調和装置では、第1熱交換器の下部に第1ドレンパン(131)を設置するとともに、第2熱交換器の下部に第2ドレンパン(132)を設置し、上記第1ドレンパン(131)と第2ドレンパン(132)とが連通する連通通路(133)を形成して、ドレンパン(130)を構成している。そして、冷房運転時には、第1熱交換器(131)で発生したドレン水を第1ドレンパン(131)に回収した後、片側のファンを停止する差圧発生手段により、このドレン水を第2ドレンパン(132)へ移送する。そして、排気ファン(96)により室外へ排出される第2空気により、このドレン水を蒸発して、第2空気とともに機外へ排出する。一方、暖房運転時には、第2熱交換器(132)で発生したドレン水を第2ドレンパン(132)に回収した後、片側のファンを停止する差圧発生手段により、このドレン水を第1ドレンパン(131)へ移送する。そして、給気ファン(95)により室内へ供給される第1空気により、このドレン水を蒸発して、第1空気とともに室内へ供給する。
また、実施形態3では、ケーシング(10)内に、全熱交換器(175)を設け、第1空気と第2空気を互いに熱交換させている。しかしながら、この空気調和装置は、上記全熱交換器(175)の代わりに第1,第2空気の熱のみを交換させる顕熱交換器を用いてもよいし、全熱交換器(175)や顕熱交換器を設けない構成としてもよい。
また、実施形態3において、熱交換器(170)は、室外側の熱交換器との間で冷媒が循環して冷凍サイクルを行い、第1空気の冷却/加温を行っているが、これ以外に、例えば上記熱交換器(170)を冷温水が通過する熱交換器にして、第1空気の冷却/加温を行えるようにしてもよい。