JP4955230B2 - 蒸発混合器および燃料電池式発電装置 - Google Patents
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Description
混合ガスを生成するために蒸発混合器を利用する。蒸発混合器は、液体の水を蒸発することによって水蒸気を得、得られた水蒸気を燃料ガスと混合する。
特許文献1には、液体の水を蒸発させて水蒸気を得る蒸発器が開示されている。蒸発器で得られた水蒸気を燃料ガスと混合することによって、混合ガスが得られる。
容器の底部に液体の水を貯蔵しておき、それを加熱して蒸発させる単純な蒸発器では、蒸発量を管理することが難しい。液体の水の供給量を増やすと蒸発量は逆に減少し、液体の水の供給量を減少させると蒸発量が逆に増大することも多い。
本発明では、蒸発器とは別に混合装置を必要とする従来の技術の問題点を解消する。液体の水が蒸発することによって水蒸気と燃料ガスが良好に混合された混合ガスが得られる蒸発混合器を創作する。本発明では、それと同時に、蒸発量を管理しやすい蒸発混合器を創作する。水の供給量を管理することによって、蒸発量を管理することができる蒸発混合器を創作する。
燃料ガス導入口と混合ガス導出口は、燃料ガス導入口からケース内に導入された燃料ガスが、底板上に広がっている水面上を通過した後に、混合ガス導出口から導出される位置関係に設けられている。ケース内伝熱部材は水面上にまで伸びており、水位の上昇に応じて液体の水とケース内伝熱部材の接触面積が増大する関係を満たしている。この蒸発混合器は、底板の下面に沿って高温気体が通過する位置関係で利用される。底板の下面に沿って通過する高温気体の熱が、底板とケース内伝熱部材によって、底板上に広がっている液体の水に伝熱されることを特徴とする。
なお、底板は全体して水平に広がっていればよく、その表面にはブラスト加工やヘアライン処理やエンボス加工が施されて凹凸が形成されていてもよい。
本発明の蒸発混合器によると、液体の水が蒸発するのと同時に水蒸気が燃料ガスに混合されていく。蒸発器とは別の混合装置を必要としない。
本発明の蒸発混合器によると、底板上に薄く広がる液体の水の水位が上昇するほど、ケース内伝熱部材と液体の水の接触面積が増大する関係に調整されている。水位が上昇するほど、ケース内伝熱部材から液体の水への伝熱量が増大して蒸発量が増大する関係が得られる。液体の水の供給量を調整することによって、水蒸気と燃料ガスのモル比を管理することができる。あるいは必要とする混合ガスの量が時間的に変化する事象に追従させることができる。
上記構成によると蒸発混合器内におけるガスの流路を長くすることができる。例えば蒸発混合器の一方の側面に燃料ガス導入口と混合ガス導出口を設ける。燃料ガス導入口は下部空間に設ける。混合ガス導出口は上部空間に設ける。そして連通孔を蒸発混合器の他方の側面に設ける。上記のように構成すると、ガスが蒸発混合器内を往復する流路が形成できる。ガスの流路は蒸発混合器の長手方向の長さの2倍の長さを確保することができる。下部空間においては水面に沿って流れるガスの流路を長くすることができる。上部空間においては燃料ガスと水蒸気が攪拌される流路を長く確保することができる。
この場合、燃料ガス導入口は下部空間内の長手方向の略中央に設けられており、連通孔は整流板の長手方向の両端部近傍に設けられていることが好ましい。
燃料ガス導入口を下部空間内の長手方向の略中央に配置するには、ケースの長手方向の略中央の側面に燃料ガス導入口を設ければよい。あるいは、ケースの外部から長手方向の中央付近まで伸びるパイプを備えてもよい。この場合はパイプの開口部が燃料ガス導入口を形成する。
またケースの側面が導出用混合ガス収容室の側面を兼ねている場合は、混合ガス導出口をその側面に設ければよい。あるいは、導出用混合ガス収容室内からケース外まで伸びる複数のパイプを備えてもよい。この場合には導出用混合ガス収容室内におけるパイプ開口部が混合ガス導出口を形成する。
またキャップ状部材の内側には、燃料ガスで充填されている空間が確保される。これによって底板上に溜まった水が予想以上に増加してその水位が上昇しても、液体の水が燃料ガス導入口へ逆流することを防止できる。同様に、蒸発混合器が傾いても、液体の水が燃料ガス導入口へ逆流することを防止できる。
(第1形態) 蒸発混合器のケース内の底板から下方へ伸びているケース外伝熱部材をさらに有することが好ましい。ケース外伝熱部材によって、外部から加えられた熱を効率よくケース内伝熱部材へ伝達できる。これにより水の蒸発を一層促進することができる。
伝熱部材の一例としては波板状の伝熱板が挙げられる。
(第2形態) 底板から上方へ伸びるケース内伝熱部材は略平板に形成されており、ケース内伝熱部材の平面が燃料ガスの流れ方向と略平行となるように配置することが好ましい。そのような配置は、底板上に導入される液体の水が燃料ガスの流れ方向に広がろうとすることを阻害しない。即ち、底板上に導入された液体の水を燃料ガスの流れの方向に速やかに広がるようにすることができる。底板上に導入される液体の水が速やかに広がることで効率よく水を気化できる。
(第3形態) 底板の上面に設けたケース内伝熱部材は、通常の水位では水面上にまで伸びている高さであることが好ましい。導入する水の量を増加させると水位が上昇する。水位が上昇するほど、ケース内伝熱部材と液体の水の接触面積は増大する。水位が上昇するほどケース内伝熱部材から液体の水へ伝達される熱量が増大する。
<実施例1>
まず図3を参照して燃料電池式発電装置と蒸発混合器の関係を概説する。図3は燃料電池式発電装置2の縦断面図である。
燃料電池式発電装置2の内部には、蒸発混合器130と、改質器18a、18bと、空気供給管50と、燃料電池セル12を積層したセルスタック14が備えられている。図3に示すその他の部品については後に説明する。
燃料電池式発電装置2では、空気導入管34から導入された空気が空気供給管50へと送られる。また燃料ガス供給管132によって外部から燃料ガスが供給される。また水供給管134によって外部から液体の水が供給される。
燃料電池式発電装置2では、発電に利用されなかった改質ガスが燃焼させられる。燃焼ガスは燃焼ガス導出管58を通って燃料電池式発電装置2の外部へ排出される。
燃料電池式発電装置2内へ供給された燃料ガスと液体の水は蒸発混合器130へと送られる。蒸発混合器130はその周囲を高温の燃焼ガスにより加熱されている。周囲を加熱された蒸発混合器130によって、燃料ガスと水蒸気の混合ガスが生成される。また蒸発混合器130が加熱されることによって混合ガス自体も昇温される。
生成された混合ガスは混合ガス導入管26a、26bを通って改質器18a、18bに送られる。
改質器18a、18bでは混合ガスが主に水素ガスや一酸化炭素ガスからなる改質ガスに改質される。
改質ガスは燃料電池セル12へと送られる。燃料電池セル12では空気供給管50を介して供給される空気内の酸素と改質ガス中の水素、あるいは酸素と一酸化炭素が反応して発電が行われる。
発電のために消費されなかった改質ガスは、セルスタック14の出口で燃焼させられて燃焼ガスとなる。高温の燃焼ガスは、改質器18a、18bや、供給される空気および蒸発混合器130(以下、改質器等と称す)の周囲を通過する。この間に高温の燃焼ガスと改質器等の間で熱交換が行われる。これにより改質器等が加熱される。
蒸発混合器130を通過した燃焼ガスは燃焼ガス導出管58を通って燃料電池式発電装置2の外部へ排出される。
蒸発混合器130は、燃料電池式発電装置2が設置される際にその長手方向が水平方向と一致するように燃料電池式発電装置2の内部に配置される。また蒸発混合器130のケースの底板210が下側となるように燃料電池式発電装置2の内部に配置される。
なお本実施例では、図2の縦断面図において紙面の左右方向が蒸発混合器130の長手方向に相当する。
蒸発混合器130の内部空間は、整流板200によって下部空間202と上部空間204に2分されている。なお下部空間202とは、燃料電池式発電装置2が設置される際に燃料電池式発電装置2に組み込まれた蒸発混合器130の内部で整流板200の下側に形成される空間である。従って下部空間202の下側の面は蒸発混合器130のケースの底板210となる。
整流板200の長手方向の端部付近には下部空間202と上部空間204を連通する連通孔206a、206bが設けられている。なお図1では紙面右手側の連通孔206aは蒸発混合器130のケースの右手側面の裏側となるため図示されていない。
連通孔は整流板200に孔を設ける形状に限らない。図1および図2に示すように、整流板200の長手方向の端部と蒸発混合器130の長手方向のケース側面との間に隙間を設けてもよい。本発明では下部空間202と上部空間204との間をガスが通過できる孔又は隙間を連通孔と称する。
下部空間202の長手中央付近に底板210を貫通して燃料ガス供給管132(燃料ガス導入パイプ)が配置されている。燃料ガス供給管132の開口部が燃料ガス導入口214に相当する。燃料ガス導入口214は底板210から所定の高さの位置に配置されている。ここで所定の高さの位置とは、整流板200に接触しない程度に低く、かつ底板210の上面に溜められる水の予想される最高水面高さより高い位置である。
なお、水導入口212と燃料ガス導入口214は、ともに下部空間202の長手方向の略中央に配置されることが好ましい。蒸発混合器130内の空間を長手方向に左右対称とすることができるからである。蒸発混合器130内の空間を長手方向に左右対称とすることで燃料ガス導入口214から導入された燃料ガスを長手方向の両側に均等に流れるようにすることができる。なお図1には水供給管134(その開口部が水導入口212である)と燃料ガス供給管132(その開口部が燃料ガス導入口214である)はともに長手方向の中央に配置されている状態が描いてある。但し図2では、水供給管134は燃料ガス供給管132と区別しやすいように図面右方向にずらして描いてある。図3でも同様に水供給管134を図面右方向にずらして描いてある。
燃料ガス導入口214から導入される燃料ガスは、燃料ガス供給管132の外周面とキャップ状部材216の内側面との隙間から底板210へ向けて吹き出す。従ってキャップ状部材216によって、底板210の上面に広がった水の表面へ吹き付けるように燃料ガスを導入することができる。導入された燃料ガスは下部空間202を蒸発混合器130の長手方向の両端へ向かって流れる。
またキャップ状部材216の下端は燃料ガス導入口214よりも低い位置まで伸びている。従ってキャップ状部材216の内側には常に気体が溜まっている状態となる。これによって底板210の上面に溜まった水が予想以上に増加してその水位が上昇しても液体の水が燃料ガス導入口214へ逆流することを防止できる。同様に蒸発混合器130が傾くような事態となっても、キャップ状部材216の下端が燃料ガス導入口214よりも低い位置まで伸びているので底板210の上面に溜まっている液体の水が燃料ガス導入口214へ逆流することを防止できる。
内フィン218は底板210の上面から上方に伸びている。従って内フィン218の下部は底板210の上面に広がる液体の水に接することになる。内フィン218の高さは、底板210の上面に導入される水の想定される水位以上の高さを有する。これにより底板210の上面に導入された水の水位が上昇すると、液体の水と内フィン218の接触面積が増大する。これにより、水位が上昇すると内フィン218を介して混合蒸発器130の外部から液体の水へ伝達される熱量が増大する。即ち水位が上昇するにつれて液体の水へ伝達される熱量も増加する。
また内フィン218は平面状に形成されている。その平面が下部空間202の長手方向(即ちガスの流れ方向)に平行となるように配置されている。この配置は、底板210の上面に導入される液体の水が燃料ガスの流れの方向に広がろうとすることを阻害しない。その上、底板210の上面に導入された液体の水が非常に少量の場合であっても、毛細管現象によって液体の水は底板210と内フィン218の接合部の角部を伝っていき、下部空間202の長手方向に広がりやすくなる。即ち底板210の上面に導入される液体の水を燃料ガスの流れの方向に速やかに広がるようにすることができる。底板210の上面に導入される液体の水が速やかに広がることで効率よく水を気化できる。
さらに上記の内フィン218は燃料ガスの流れの方向と平行に配置されている。この配置により燃料ガスが下部空間の長手方向に流れる際に圧力損失を低減する効果も奏する。
なお、内フィン218は単なる板でもよいが伝熱効率を向上させるため波状板を用いることも好適である。また内フィン218の代替として底板210の上面から上方に伸びるようにスチールウールやセラミックファイバー等を配設してもよい。その際、スチールウールやセラミックファイバーの高さも底板210の上面に導入される水の想定される水位以上の高さとなるようにする。
蒸発混合器130のケースの底板210は燃料電池が設置された際に略水平となるように燃料電池内に配置される。また底板210は略平面に形成されている。従って水導入口212から蒸発混合器130内へ導入される液体の水は底板210の上面に薄く広がる。一方、燃料ガス導入口214から導入された燃料ガスは蒸発混合器130内の下部空間202に導入される。導入される燃料ガスは、燃料ガス導入口214を覆うように設けられたキャップ状部材216により底板210の表面に吹き付けられるように流れる。また導入された燃料ガスは下部空間202をその長手方向に流れる。
蒸発混合器130は外部から加熱されている。加熱の方法は前述したように燃料電池式発電装置2の燃焼ガスを蒸発混合器130の周囲に導いて加熱する方法でもよいし、バーナ等により直接に蒸発混合器130を加熱してもよい。但し燃料電池式発電装置2の燃焼ガスを蒸発混合器130の周囲に導いて加熱する方が燃料電池自体の熱効率を向上できることは明らかである。
蒸発混合器130の外部から与えられる熱は外フィン220と内フィン218により蒸発混合器130内へ伝達される。特に内フィン218は底板210の上面に広がる液体の水に直接に接している。内フィン218によって、底板210の上面に広がる液体の水は効率よく加熱される。これにより液体の水の気化が促進される。
さらに底板210の上面に広がる液体の水の表面上を燃料ガスが流れる。液体の水の表面上を気体(燃料ガス)が流れることで液体の水の気化がより促進される。喩えていえば風が吹くと洗濯物が良く乾く現象と同じである。特に下部空間202の長手方向の中央付近では燃料ガス導入口214から水蒸気をほとんど含んでいない燃料ガスが導入される。水蒸気の含有率の低い燃料ガスが液体の水の表面に吹き付けられることで水の気化が一層促進される。こうして燃料ガスは下部空間202を流れるうちに気化した水と混合して混合ガスとなる。また蒸発混合器130自体が加熱されることによって混合ガス自体も昇温される。
蒸発混合器130は、そのケースの底面210に液体の水が導入されている。そして底面210から上方へ伸びる内フィン218が備えられている。従って、底板210の上面に薄く広がる液体の水の水位が上昇するほど、内フィン218と液体の水の接触面積が増大する。水位が上昇するほど、内フィン218から液体の水への伝熱量が増大して単位時間当りの蒸発量が増大する。液体の水の供給量を調整することによって、単位時間当りに発生させる水蒸気の量を管理することができる。即ち、液体の水の供給量を調整することによって、水蒸気と燃料ガスのモル比を管理することができる。
さらに、必要とされる混合ガスの量が時間的に変化する場合には、蒸発混合器130へ導入する燃料ガスの流量も変化する。この場合にも、導入される燃料ガスの流量に応じて液体の水の供給量を調整する。液体の水の供給量を調整して底板210の上面に溜まった水の水位を変化させることで、水の単位時間当りの気化量(単位時間当りに発生させる水蒸気量)を調整することができる。燃料ガスの流量に応じた水蒸気量を発生することができる。従って燃料ガスの導入量が時間的に変化しても、液体の水の供給量を調整することによって、水蒸気と燃料ガスのモル比を適切に調整した混合ガスを応答性よく生成することができる。なお、応答性とは、燃料ガスと水蒸気のモル比率を維持しつつ、導出する混合ガスの流量を変化させることのできる速さを意味する。
さらに上記温度勾配が小さいと、底板210の表面(底板210の上面に広がる水の水底側)での水の突沸を防止できるという効果をも奏する。
均質化した混合ガスは狭い導出用混合ガス収容室230から複数の混合ガス導出口234a、234bを通って蒸発混合器130のケースの外部へ送られる。従って複数の混合ガス導出口234a、234bからは同等によく均質化した混合ガスを導出することができる。
複数の混合ガス導出口234a、234bから導出された混合ガスは、複数の混合ガス導入管26a、26bを通って蒸発混合器130の両側から外部へ導出される。複数の混合ガス導入管26a、26bを通った混合ガスは図3に示すように燃料電池式発電装置2の左右に備えられた改質器18a、18bへと送られる。同等に均質化した混合ガスが左右の改質器18a、18bへ送られることで左右の改質器18a、18bにおいて同等に均質化した改質ガスを生成することができる。
燃料電池型発電装置では多数の燃料電池セルへ均等に燃料(この場合は水素ガス又は一酸化炭素ガス)を供給する必要性からガスの流路は複数設けられることが多い。ガスの成分の局所的な偏在を無くすためである。
本実施例の蒸発混合器130では、狭い導出用混合ガス収容室230から複数の混合ガス導出口234a、234bによって、ひとつの蒸発混合器130から複数の流路へ同質に均質となった混合ガスを導出することができる。成分の偏在のない混合ガスを複数の流路から供給することができる。
発電ユニット10は、内側から外側に向かって第1室(内室)44、第2室(中間室)46、第3室(外室)48からなる3重構造となっており、中心部の第1室44とその外側の第2室46を仕切る内仕切壁36と、第2室46とその外側の第3室48を仕切る外仕切壁38と、第3室48と外部を仕切る外壁40を有している。外壁40は断熱部材42で覆われている。外壁40と断熱部材42で断熱容器が構成され、発電ユニット10は断熱容器に収容されている。
発電ユニット10の中心部の第1室44内には、複数個の燃料電池セル12が配列されて構成されているセルスタック14の群と、酸素を含む空気をセルスタック14に供給する空気供給部材16a、16b、16c、16d、16eと、混合ガスを燃料となる水素や一酸化炭素等に改質する改質器18a、18b等が配設されている。
セルスタック14aの上流側(図3の右側)は、マニホールド24aを介して、改質器18aに接続されている。改質器18aとマニホールド24aは配管30aによって接続されている。セルスタック14cと14eも同様にして改質器18aに接続されている。セルスタック14bの上流側(図3の左側)は、マニホールド24bを介して、改質器18bに接続されている。改質器18bとマニホールド24bは配管30bによって接続されている。セルスタック14dも同様にして改質器18bに接続されている。
セルスタック14a、14c、14eと、セルスタック14b、14dは、反対方向に伸びている。上下方向に多段に配列されているセルスタック14a、14b、14c、14d、14eは、上下方向において、交互に反対向きに配列されている。
セルスタック14の内部を通る改質ガス通路(不図示)は図3の左右方向に伸びており、空気供給部材16は紙面垂直方向に伸びている。両持ち状の空気供給部材16と、片持ち状のセルスタック14が交差する位置関係におかれている。
片持ち状のセルスタック14は、両持ち状の空気供給部材16に対してパッキン62を介して載置されており、片持ち状のセルスタック14は水平に伸びる姿勢で安定的に支持されている。片持ち状のセルスタック14が不用意に傾くことはない。
セルスタック14a、14b、14c、14d、14eのうちで、最上段に位置するセルスタック14aの上方には、厚みの薄い遮蔽板70が配設されており、空気供給管50a、50bに支えられている。遮蔽板70とセルスタック14aの間隔は、空気供給部材16aとセルスタック14b、空気供給部材16bとセルスタック14c、空気供給部材16cとセルスタック14d、空気供給部材16dとセルスタック14eの各間隔と等しい。
外仕切壁38の4つの内周面にも、フィン54と同様にフィン56が取付けられている。フィン56の形状もフィン54と同様である。
第1室44の底板44bは第2室46の底板46bから持ち上げられている。両底板の間隙は第2室46の一部を構成する。固定用壁36aにも複数個の穴36bが形成されており、燃焼ガスの流通が自在となっている。第2室46の底板46bと第1室44の底板44bの間(第2室46の一部)には蒸発混合器130が配設されている。蒸発混合器130の下側には第3室48が位置している。
外壁40の底板40bと第2室46底板46bの間は、第3室48の一部であり、そこに空気導入管34が連通している。第1室44の底板44bと第2室46の底板46bの間は、第2室46の一部であり、そこに燃焼ガス導出管58が連通している。
第1室44の最下部には、改質器18a、18bの通過する部分を除いて、断熱材74が敷き詰められている。断熱材74は、例えばシリカベースのガラスウールといったガラス系セラミックや、セラミックファイバー等を用いている。
第1室44の外形はほぼ立方体である。第2室46の外形もほぼ立方体である。第3室48の外形もほぼ立方体である。発電ユニット10は、最小表面積で最大容積を収容する6面体であり、放熱量が少ない。
第3室48は、外部から取り込まれた空気が通過する。第2室46は、第1室44で生成された燃焼ガスが通過する。第1室44は燃料電池セル群収容室として利用される。
空気は第3室48を下方から上方に移動する。燃焼ガスは第2室46を上方から下方に通過する。空気と燃焼ガスは通過方向が逆であり、外仕切壁38を介して両者の間で活発な熱交換が行われる。
第1室44は最も高温であり、第2室46は2番目に高温であり、第3室48が3番目に高温である。最も高温な第1室44を、2番目に高温な第2室46で取り囲み、その外側を3番目に高温な第3室48で取り囲む構造となっている。最も高温に維持する必要がある第1室44を最も内側に配置することによって、燃料電池セルを収納する第1室44を最も高温に維持しやすい最適な構造となっている。
空気導入管34から第3室48に送られた空気は、第2室を通過する高温の燃焼ガスと熱交換しながらフィン54の間をすり抜けて上部に達し、外壁40の上面に沿って流れ、第3室48に開口している空気供給管50内に流入する。空気は、空気供給管50を下方に移動しながら、5つの空気供給部材16a、16b、16c、16d、16eに流入し、空気供給口16fから流出する。流出する空気は、上方向、若しくは斜め上方向に上昇し、すぐ上のセルスタック14の下側全体に分散される。
各燃料電池セル12内で改質ガス中の水素又は一酸化炭素と空気中の酸素とが反応して発電が行われる。
セルスタック14の先端近傍には夫々スパーク電極60が配設されている。スパーク電極60が火花放電することによって、セルスタック14の先端から放出されるオフガスが、燃料電池セル12の下流側へ誘導される空気によって燃焼する。改質器18はセルスタック14の先端に近接していることから、オフガスの燃焼によって発生する燃焼熱を改質反応の吸熱反応に効率よく利用することができる。オフガスの燃焼によって生じた高温のガスを燃焼ガスと称する。
さらに、空気との熱交換によって温度の低下した燃焼ガスは、第1室44の底板44bと第2室46の底板46bの間(第2室46の一部)を通過する。その際に燃焼ガスは蒸発混合器130の周囲を通る。燃焼ガスは蒸発混合器130の底板210の下面にも流れる。ここでも燃焼ガスと蒸発混合器130との間で熱交換が行われる。熱交換により蒸発混合器130の温度は上昇する。一方燃焼ガスの温度はさらに低下する。最後に燃焼ガスは燃焼ガス導出管58を通って燃料電池式発電装置2の外部へと排出される。
次に実施例2について説明する。実施例2は、混合ガス導出口をひとつだけ有する蒸発混合器の例である。比較的小さい燃料電池に蒸発混合器を用いる場合には混合ガス導出口をひとつとしても問題ない場合がある。混合ガス導出口をひとつとすることでより簡単な構造で蒸発混合器を構成することができる。
図4は実施例2に係る蒸発混合器130bの縦断面図である。この蒸発混合器130bはそのケース内部空間を下部空間202bと上部空間204bに2分する整流板200bが備えられている。整流板200bの長手方向(図4において左右方向)の一方の端部には連通孔206cが設けられている。
また下部空間202bの、連通孔206cが設けられた端部と反対の端部に燃料ガス導入口214bが底板210bから所定高さの位置に配置されている。燃料ガス導入口214bは燃料ガス供給管132bの開口部に相当する。
また蒸発混合器130bには水供給管134bが下部空間202bへ通じている。水供給管134bの開口部が水導入口212bである。水導入口212bから下部空間202b内へ導入された液体の水302は底板210bの表面上に広がっている。液体の水302はその表面張力により長手方向には矢印304で示す範囲に留まっている。
蒸発混合器130bのケースの底板210bの上面には上方に伸びる内フィン218b(ケース内伝熱部材)が設けてある。また底板210bの下面には外フィン220bが設けてある。
また上部空間204bの連通孔206cが設けられた端部と反対の端部に混合ガス導出口234cが上部空間204b内に配置されている。混合ガス導出口234cは混合ガス導入管26cの開口部に相当する。
図4の左端まで流れた混合ガスは連通孔206cを通って上部空間204bへと流れる。ここで流れの方向がUターン状に変化することによって混合ガスが攪拌される。これにより上部空間204bを流れるうちに混合ガスは均質化される。均質化された混合ガスは混合ガス導出口234cから混合ガス導出路26cへと流れる。
実施例2の蒸発混合器130bの底板210bは略平面に形成されている。燃料電池式発電装置が設置される際に、蒸発混合器130bはそのケースの底板210bが略水平となるように燃料電池に取り付けられる。従って水導入口212bから底板210bへと導入された液体の水は底板210bの上面に広がる。図4では底板210bの長手方向(図4の左右方向)に矢印304の範囲に水が広がっている。底板210bの表面積が導入される水の量に対して十分に広い場合には、水の表面張力により液体の水は底板210bの全面に広がらずに矢印304で示す範囲に留まっている。このとき図4では、導入された水は複数の内フィン218bのうち、水供給管134bの両側の内フィン218bに接している。
燃料電池式発電装置に要求される発電量が増大した場合には蒸発混合器が生成すべき混合ガスの流量も増大する。そのため燃料ガスの導入量を増加させる。増加させた燃料ガスに見合うだけの水蒸気を発生しなければならない。そこで導入する液体の水の量を増加させる。底板210bは略平面に形成されているので増加した液体の水は、水位が変わらず底板210bの上面を広がっていく。例えば導入する水量を増加させたことで当初は矢印304で示す範囲で広がっていた液体の水は矢印306の範囲まで広がることになる。その結果、矢印306の範囲まで広がった水は複数の内フィン218bのうち、水供給管134bの両側の内フィン218bとさらにその外側の内フィンに接することになる。液体の水と内フィン218bとの接触面積が増加する。さらに液体の水と底板210bとの接触面積も増加する。これらにより液体の水へ伝達される熱量を増加することができる。従って水の気化が促進される。単位時間当りに発生することのできる水蒸気の量を増加させることができる。
本実施例の蒸発混合器130bは、略平面状に形成された底板210bの上面に液体の水を導入する。導入された液体の水は略平面の底板210bの表面上に広がる。底板210bの表面積が導入される水の量に対して十分に広い場合には、導入される水の量を増加させると底板210bの上面に溜まる液体の水の領域が広がる。即ち液体の水を留める底板210bを略平面にすることによって、導入する液体の水の増加は底板210bの表面上の液体の水の表面積の増加をもたらす。さらに内フィン218bと水との接触面積も大きくなる。これにより単位時間当りに気化する水の量を増加させることができる。蒸発混合器が生成する混合ガスの流量を素早く増加させることが可能となる。即ち蒸発混合器の応答性を高めることができる。
さらに液体の水の導入量の調整によって、水と燃料ガスが一定の割合で混合した混合ガスの流量を調整することができる。液体の水の量を調整することは水蒸気の量を調整するよりもはるかに容易である。蒸発混合器130bは、水蒸気と燃料ガスのモル比を一定の割合に管理した混合ガスの流量を容易に調整することができる。以上の効果は実施例1の蒸発混合器130でも同様に得られる。
ここで、底板210bに導入された液体の水が少量であった場合を説明する。図5(A)に示すように、このとき液体の水310は、一旦内フィン218bに触れると表面張力により底板210bと内フィン218bの接合部の角部に吸い付くようになる。そして毛細管現象によって、液体の水310は角部に沿って伝っていく。このように内フィン218bをその平板面が下部空間202bの長手方向に平行になるように底板210bに配置することによって、底板210bに導入された液体の水を効果的に下部空間202bの長手方向に広げることができる。
内フィンを波板で形成することで複数の内フィン218cを容易に製造することができる。また波板を用いることで、蒸発混合器130bの横手方向で隣接する内フィン218c同士の間隔314を小さくすることも容易である。隣接する内フィン218c同士の間隔314は、その間で毛細管現象が生ずるほどに狭いことが好ましい。具体的には間隔314は3mm以下であることが好ましい。なお、図5(B)では図を見やすくするために隣接する内フィン218cの間隔を誇張して描いてある。図5(B)に示すように、間隔314がその間で毛細管現象が生ずるほどに狭ければ、底板210bに導入された液体の水316は直ちに隣接する内フィン218cの間を内フィン218bの平板面に沿って下部空間202bの長手方向に広がる。蒸発混合器130bの横手方向で隣接する内フィン218c同士の間隔314が所定の距離(毛細管現象が生ずる距離)より小さくなるように内フィン218cを配置することによって、底板210bに導入された液体の水を一層効果的に下部空間202bの長手方向に広げることができる。
図5を用いて説明した内フィンの構成とその効果は、実施例1の蒸発混合器130にも適用できる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10:発電ユニット
12:燃料電池セル
14:セルスタック
18a、18b:改質器
26a、26b:混合ガス導入管
130:蒸発混合器
132:燃料供給管
134:水供給管
200:整流板
202:下部空間
204:上部空間
206:連通孔
210:底板
212:水導入口
214:燃料ガス導入口
216:キャップ状部材
218:内フィン(ケース内伝熱部材)
220:外フィン(ケース外伝熱部材)
230:導出用混合ガス収容室
232:開孔
234:混合ガス導出口
Claims (4)
- 燃料電池用改質器に供給する混合ガスを生成する蒸発混合器であり、
略水平に広がる底板を有するケースと、
ケース内を上部空間と下部空間に2分する整流板と、
2分された上部空間と下部空間を連通する連通孔と、
底板から上方に伸びているケース内伝熱部材と、
ケース内の底板上へ液体の水を導入する水導入口と、
ケース内へ燃料ガスを導入する燃料ガス導入口と、
水蒸気と燃料ガスが混合した混合ガスをケース外へ導出する混合ガス導出口を有し、
燃料ガス導入口と連通孔と混合ガス導出口は、燃料ガス導入口からケース内に導入された燃料ガスが、底板上に広がっている水面上を通過しながら下部空間内を通過し、連通孔を通って上部空間内に移行し、上部空間内を通過した後に混合ガス導出口から導出される位置関係に設けられており、
ケース内伝熱部材は水面上にまで伸びており、水位の上昇に応じて液体の水とケース内伝熱部材の接触面積が増大する関係を満たしており、
底板の下面に沿って通過する高温気体の熱が、底板とケース内伝熱部材によって、底板上に広がっている液体の水に伝熱されることを特徴とする蒸発混合器。 - 上部空間内の長手方向の略中央に配置されており、その高さが上部空間の高さより低く設定されており、開孔によって上部空間に連通している導出用混合ガス収容室を有し、
燃料ガス導入口は、下部空間内の長手方向の略中央に設けられており、
連通孔は、整流板の長手方向の両端部近傍に設けられており、
複数の混合ガス導出口が、導出用混合ガス収容室に開口していることを特徴とする請求項1に記載の蒸発混合器。 - 燃料ガス導入パイプが底板を貫通して所定高さにまで伸びており、
燃料ガス導入パイプの上端は上方に向かって開口して燃料ガス導入口を形成しており、
燃料ガス導入パイプの上端に上方から被さるキャップ状部材を備えており、
キャップ状部材の上板と側板と、燃料ガス導入パイプの上端近傍との間に、燃料ガスが通る隙間が確保されていることを特徴とする請求項2に記載の蒸発混合器。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の蒸発混合器と、
蒸発混合器によって生成された混合ガスを取り入れて改質する改質器と、
改質ガスを取り入れて発電する燃料電池セルと、
燃料電池セルで利用されなかった改質ガスを燃焼する燃焼部と、
燃焼部で得られた燃焼ガスを蒸発混合器の底板の下面側に導く燃焼ガス誘導路を有することを特徴とする燃料電池式発電装置。
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