JP4955186B2 - 骨粗しょう症治療剤 - Google Patents

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Description

【0001】
技術分野
本発明は、骨粗しょう症などの骨疾患の治療剤に関する発明である。
【0002】
背景技術
骨疾患の多くは、単位容積当りの骨質量の減少が、様々な形で深く係わっており、その代表的な疾患が骨粗しょう症である。
【0003】
骨粗しょう症には、各種の原因による骨質量の病的な減少の総称で、(1)老人性および閉経後骨粗しょう症、(2)内分泌性骨粗しょう症、(3)先天性骨粗しょう症および(4)不動性または外傷性骨粗しょう症などが含まれる。
【0004】
特に、近年は、高齢化社会となると共に、食事の欧米化に伴い、カルシウムの摂取量が減少しがちである。
そこで、このような骨質量の減少が係わる骨疾患の予防・治療方法が、ますます重要性を増しており、その中でも、優れた骨疾患治療剤が提供されることが待たれている。
【0005】
このような骨疾患治療剤としては、例えば、カルシウム剤、ビタミンD製剤、女性ホルモン製剤、イプリフラボン、ビタミンK2製剤などが提供されているが、未だ、十分な成果を上げているとは言いがたい。
【0006】
本発明が解決すべき課題は、効果的に骨質量を増大させる成分を見出して、これを有効成分とする骨疾患治療剤、特に、骨粗しょう症などの骨質量の減少が係わる骨疾患の治療剤を提供することにある。
【0007】
発明の開示
本発明者は、この課題の解決に向けて、鋭意検討を行い、ついに、カルシウム代謝に係わる糖タンパク質の一つである、スタニオカルシン1(以下、STC1ともいう)に、優れた骨形成促進効果が認められることを見出し、このSTC1を有効成分とする骨疾患治療剤を提供するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、ヒト由来のスタニオカルシン1(STC1)を有効成分とする骨粗しょう症治療剤(以下、本治療剤ともいう)を提供する発明である〔本発明において、「治療剤」の治療とは、広義であり、狭義の治療(既に罹患している疾患の治療)と予防の双方を意味するものである〕。
【0009】
本発明に関連する技術として、「スタニオカルシンα」(STCα)に関する知見が、特表平10−509036号公報において開示されている。
しかしながら、STCα(実質的にSTC2と同一)とSTC1とは、アミノ酸配列において大きく異なっているばかりか、その機能においても異なっている。すなわち、STCαと実質的に同一のSTC2は、STC1とは反対に、NaPi−3のプロモーター活性を抑制し、腎細胞(OK細胞)へのリン酸の取込みを抑制する作用が認められている[Ishibashi K et al.,B.B.R.C.,Res.250,252−258(1998)]。
【0010】
また、上記の特許公開公報において、STCαの骨粗しょう症などの骨疾患に対する効果についての記載は認められるものの、具体的なデータの開示はなく、その効果の根拠も、上皮小体ホルモン(PTH)とSTCが相同の作用を有するという推論から導かれるのに過ぎず、実質的にかかる公報に、STCαの骨疾患に対する記載が認められないことは明らかである。
【0011】
よって、かかる特許公開公報には、本発明に係わる事項については、記載はおろか示唆さえも一切なされていないことは、明らかである。
【0012】
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施の形態について説明する。
A.本治療剤の有効成分
本治療剤の有効成分であるSTC1は、好適には、ヒトに由来するSTC1である。
【0013】
かつて硬骨魚類で発見されたスタニオカルシン(STC)は、硬骨魚類に特有のスタニウス小体から分泌される糖蛋白であり、主に、エラのCa−ATPase に作用して、血中のカルシウムレベルを抑制する働きを有しており(Hirano T.,Vertebrate Endocrinology:Academic Press,San Diego,vol3,139−169,1989およびWagner G.F.,Fish Physiol.,13,273−306,1994)、当初、STCは、硬骨魚類に特有のホルモンであると考えられてきた。しかしながら、近年、この硬骨魚類のSTCと高い塩基配列の相同性を有するヒト遺伝子のクローニングに成功し(Chang A.C.M.,et al.,Mol.Cell.Endocrinol.,112,241−247,1995およびOlsen H.S.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,93,1792−1796,1996およびgenebank NM003155およびgenebank U46768)、次いで、マウス[Chang A.C.M.,et al.,Mol.Cell.Endocrinol.,124(1−2),185−187,1996およびgenebank MMU47815]、ラット(genebank U62667)、イヌ(genebank AF178116)において、その存在が確認され、STCが哺乳類において普遍的に存在することが明らかとなった。その後、最初に見出されたSTCとは別個のアミノ酸配列を有するスタニオカルシンが見出され[Chang A.C.M.,et al.,Mol.Cell.Endocrinol.,141(1−2),95−99,1998およびIshibashi K.,et al.,Biochem Biophys Res Commun.,250(2),252−258,1998およびgenebank AF055460およびgenebank AB012664]、最初に見出された上記のSTCは、STC1と命名され、新たなSTCは、STC2と命名され、STC1とSTC2とは、明確に別個の存在として認識されるに至っている。
【0014】
STC1の役割は、今のところ明確には判明していないが、少なくとも、腎臓および小腸でのリンの取り込みを促進し、小腸でのカルシウムの取り込みを抑制することが、すでに報告されている〔例えば、Wagner G.F. et al.,Journal of Bone and Mineral Research,vol.12,No.2,pp165−171,1997およびMadsen KL et al.,Am J Physiol,274(1 pt 1),G96−102,1998などを参照のこと〕。
【0015】
上述したようにSTC1蛋白のアミノ酸配列およびこれをコードする遺伝子については、既に明らかにされており、具体的には、第1図に記載の配列に従う〔第1図における上段の塩基配列に対応する下段のアミノ酸標記は、一文字表示であり、A:アラニン,V:バリン,L:ロイシン,I:イソロイシン,P:プロリン,F:フェニルアラニン,W:トリプトファン,M:メチオニン,G:グリシン,S:セリン,T:トレオニン,C:システイン,Q:グルタミン,N:アスパラギン,Y:チロシン,K:リシン,R:アルギニン,H:ヒスチジン,D:アスパラギン酸,E:グルタミン酸、である〕。本治療剤の有効成分となり得るSTC1には、かかるアミノ酸配列の天然型STC1の他に、これを常法〔アミノ酸配列の改変を目的として行われる遺伝子改変法としては、常法、例えば、いわゆるサイト−スペシフィックミュータジェネシス(Site−Specific Mutagenesis)(Mark,D.F.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,81,5662(1984))などを挙げることができる〕により、アミノ酸配列を一部改変したものや、これらのペプチドの断片が、天然型STC1と実質的に同一とみなされる生物学的活性を有する限り含まれる(許容され得るアミノ酸配列の相同性は、10%程度のアミノ酸配列の相違の範囲内である)。
【0016】
STC1は、これが存在する生物材料から抽出・精製して得ることも可能であるが、大量かつ均質にSTC1を得るためには、遺伝子工学的な手法による組換え体を用いることが好適かつ現実的である。
【0017】
STC1は、上記のごとく既に知られている、STC1をコードする遺伝子に基づいて常法に従って製造することができる。すなわち、例えば、腎臓、卵巣などの適切な材料から得たmRNAから得られるcDNAを鋳型DNAとして、公知のSTC1の塩基配列に基づく遺伝子増幅用プライマーを用いて、PCR法などの遺伝子増幅法により増幅して得たSTC1蛋白質をコードする遺伝子や、ホスファイト−トリエステル法(Ikehara,M.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,81,5956(1984))などの化学合成法やこれを用いたDNAシンセサイザーなどにより合成したSTC1遺伝子を得て、これを、適切な遺伝子発現用ベクターに組み込み、かかる組換えベクターで形質転換を行った大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞などの適切な宿主から、所望するSTC1を得ることができる。
【0018】
ここで用いる遺伝子発現用ベクターは、通常発現しようとする遺伝子の上流域にプロモーター,エンハンサー,および下流域に転写終了配列などを保有するものを用いるのが好適である。
【0019】
また、STC1遺伝子の発現は、直接発現系に限らず、例えばβ−ガラクトシダーゼ遺伝子,グルタチオン−S−トランスフェラーゼ遺伝子やチオレドキシン遺伝子を利用した融合タンパク質発現系とすることもできる。
【0020】
遺伝子発現用ベクターとしては、例えば、宿主を大腸菌とするものとしては、pQE,pGEX,pT7−7,pMAL,pTrxFus,pET,pNT26CIIなどを例示することができる。また、宿主を枯草菌とするものとしては、pPL608,pNC3,pSM23,pKH80などを例示することができる。
【0021】
また、宿主を酵母とするものとしては、pGT5,pDB248X,pART1,pREP1,YEp13,YRp7,YCp50などを例示することができる。
【0022】
また、宿主を哺乳動物細胞または昆虫細胞とするものとしては、p91023,pCDM8,pcDL−SRα296,pBCMGSNeo,pSV2dhfr,pSVdhfr,pAc373,pAcYM1,pRc/CMV,pREP4,pcDNAIなどを例示することができる。
【0023】
これらの遺伝子発現ベクターは、STC1を発現させる目的に応じて選択することができる。例えば、大量にSTC1を発現させる場合には、宿主として大腸菌,枯草菌または酵母などを選択し得る遺伝子発現ベクターを選択するのが好ましく、少量でも確実に活性を有するようにSTC1を発現させる場合には、哺乳動物細胞や昆虫細胞を宿主として選択し得る遺伝子発現ベクターを選択するのが好ましい。
【0024】
上記のように既存の遺伝子発現ベクターを選択することも可能であるが、目的に応じて適宜遺伝子発現ベクターを作出して、これを用いることも勿論可能である。
【0025】
STC1遺伝子を組み込んだ上記遺伝子発現用ベクターの宿主細胞への導入およびこれによる形質転換法は、一般的な方法、例えば宿主細胞が大腸菌や枯草菌である場合には、塩化カルシウム法やエレクトロポレーション法などを;宿主が哺乳動物細胞や昆虫細胞の場合はリン酸カルシウム法,エレクトロポレーション法またはリポソーム法などの手段により行うことができる。
【0026】
このようにして得られる形質転換体を常法に従い培養することにより、所望するSTC1が蓄積される。
かかる培養に用いられる培地は、宿主の性質に応じて適宜選択することができるが、例えば宿主が大腸菌である場合には、LB培地やTB培地など、宿主が哺乳動物細胞の場合には、RPMI1640培地などを適宜用いることができる。
【0027】
この培養により得られる培養物からのSTC1の単離および精製は、常法に従い行うことが可能であり、例えば培養物を、STC1の物理的および/または化学的性質を利用した各種の処理操作を用いて行うことが可能である。
【0028】
具体的には、タンパク沈澱剤による処理,限外濾過,ゲル濾過,高速液体クロマトグラフィー,遠心分離,電気泳動,特異抗体を用いたアフィニティクロマトグラフィー,透析法などを単独でまたはこれらの方法を組み合わせて用いることができる。
【0029】
以上のようにして、STC1を単離・精製することが可能である。
STC1は、これを用いることにより、骨形成を促進することが可能であり、骨疾患、特に、骨粗しょう症などの、骨形成の異常や骨質量の減少が係わる骨疾患の予防・治療に有効である。具体的には、前述した骨粗しょう症〔(1)老人性および閉経後骨粗しょう症、(2)内分泌性骨粗しょう症、(3)先天性骨粗しょう症および(4)不動性または外傷性骨粗しょう症など〕、骨軟化症、リウマチ性骨疾患、癌に伴う骨疾患、骨折などの外傷性の骨損傷、リン代謝異常若しくはカルシウム代謝異常に伴う骨疾患、くる病、変形性関節症の予防・治療などに対して有効である。
【0030】
B.本治療剤の形態
本治療剤は、STC1を有効成分として配合するが、これと共に、適切な医薬製剤担体を配合して、製剤組成物の形態に調製することが可能である(STC1のみでも勿論可能である)。医薬製剤担体としては、例えば、具体的な剤型に応じて、適宜医薬製剤担体として慣用され得る、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、安定剤、溶解補助剤、崩壊剤、表面活性剤などの賦形剤や希釈剤を自由に選択することができる。製剤組成物の形態は、STC1を、骨粗しょう症などの骨疾患の治療用途に効果に用い得る形態であれば特に限定されず、例えば、錠剤、粉末剤、顆粒剤、丸剤などの固剤とすることも、液剤、懸濁剤、乳剤などの注射剤形態とすることもできる。また、STC1に適切な担体を添加することによって、用時に液状とするべき乾燥品とすることも可能である。
【0031】
このようにして得られる本治療剤の投与量は、剤の投与方法、投与形態、患者の症状などに応じて適宜選択することが可能であり、特に限定されるべきものではないが、一般には、有効成分であるSTC1を、約0.00001〜90質量%程度含有する製剤形態に調製して、この製剤を、これに含有されるSTC1量が一日成人当り、約10μg〜10mg程度となる範囲で、一日1回または数回に分けて投与するのが好適である。
【0032】
このような各種の形態の医薬製剤は、その形態に応じて適当な投与経路、例えば、注射剤形態の場合には、静脈内、筋肉内、骨内、関節内、皮下、皮内、腹腔内投与などにより、固剤形態の場合には、経口や経腸投与などにより投与され得る。
【0033】
実施例
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、この実施例の記載は、本発明の技術的範囲を限定することを意図するものではない。
【0034】
〔試験例〕
(1)材料と方法
1)STC1の調製
以下の試験例において用いたSTC1は、大腸菌を宿主として得たヒト組換え型スタニオカルシン1(r−hSTC1)である。
【0035】
r−hSTC1は、前述した内容に準ずる常法により調製した。すなわち、ヒト腎臓から、トライゾル(ギブコBRL社)を用いて得た全RNAから、オリゴdTをプライマーとし、スーパースクリプトII(ギブコBRL社)により、cDNAを調製した。PCR法による遺伝子増幅には、GeneAmp PCR sysyem 2400(パーキンエルマー社)を用いた。ターゲット遺伝子のプライマーは、既に報告されている遺伝子の塩基配列(genebank MMU47485)を基に、MIT Center for Genome Reserch[WWW Primer Picking(primer3)]を用いて設計した。また、PCRのための増幅サイクル(熱変性:94℃/30秒→アニーリング:56℃/30秒→伸長反応:72℃/30秒)は、35サイクル行った。
【0036】
このようにして得たSTC1遺伝子を、大腸菌用の遺伝子発現ベクター(pQE−30)(Qiagen社製)に組み込み、このSTC1遺伝子組み込みベクターを宿主である大腸菌(JM109)に形質転換し、具体的に配列を解析することにより、STC1を産生し得る形質転換体を選択した。
【0037】
次いで、この形質転換体を、TB培地において培養して、IPTGによりSTC1の発現を誘導し、さらに、菌体を超音波により破砕して、STC1を含む画分を得た。この画分から金属イオンアフィニティークロマトグラフィーを用いて、r−hSTC1水溶液(1mg/mL)を調製した。
【0038】
2)製剤(注射剤)の調製
上記の1)で調製したr−hSTC1の水溶液(1mg/mL)10mLに、安定剤としてゼラチン加水分解物100mgおよびマンニトール200mgを加え、さらに蒸留水を加えて、全容量を100mLとした。これを、0.22μmのメンブランフィルターに通過させて滅菌し、バイアルに1mLずつ分注して、凍結乾燥して、1バイアル当り100μgのr−hSTC1を含有する無菌製剤を調製した。
このr−hSTC1製剤を、用時にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で適時に希釈して、以下の試験に、r−hSTC1換算で用いた。
【0039】
3)培養
ウイスター系ラットの胎仔(妊娠21日)から頭蓋冠を摘出した(30個程度)。すべての頭蓋冠を集め、細断して、コラゲナーゼ処理(10〜20分間/1処理)を5回行って、頭蓋冠由来細胞を得た。得られた頭蓋冠由来細胞のうち、1分画目を除いた4分画のそれぞれを、10%牛胎仔血清を含むαMEM(FCS−αMEM)で、24時間の前培養(5%CO/37℃)を行った。浮遊細胞を洗浄除去後、各分画の細胞を回収してまとめ、上述のFCS−αMEMで、細胞数を調整して、24ウェルプレートに、1ウェル当り5000〜8000個の細胞数となるように播種した。播種から24時間の培養(5%CO/37℃)後に、(1)28μMアスコルビン酸単独または(2)同濃度のアスコルビン酸と10nMデキサメサゾン(DEXともいう)を含む、上述のFCS−αMEM培地へと培地交換を行った。培養(5%CO/37℃)により、細胞がウェル内で密な状態となった後、これらの培養物に、終濃度10mMのβ−グリセロフォスフェート(β−GP)を添加した。また、前記のように、細胞が密な状態となる前(上記の最初の培地交換後6日目)に、r−hSTC1を、毎日1回添加した。r−hSTC1は、200ng〜2fgの濃度を、段階的に設定し、各群を4〜5ウェルとした。各培地は、2〜3日おきに交換した。
【0040】
4)石灰化の定量
上記の2次培養後、14〜21日目に、アルカリフォスファターゼ(ALP)陽性で、石灰化した骨結節(ノジュール)を、組織化学的に検出した。ALP染色と石灰化基質の同定のためのフォンコッサ染色は、以下のように行った。
【0041】
冷PBSで培養物を洗浄後、冷10%中性緩衝ホルマリンで15分間の固定を行い、水洗した。次いで、ALP発色液〔ナフトールAS MX 5mg、N,N−ジメチルホルムアミド 200μL、0.2Mトリス塩酸緩衝液(pH7.4)25mL、精製水 25mL、ファーストバイオレットLB 30mg〕で、40分間染色を行い、水洗後、2.5%硝酸銀溶液で30分間染色し、水洗し、5%炭酸ナトリウム25%ホルマリンで3分間固定して、水洗し、乾燥させた。これに対して検鏡を行い、骨結節の数を数えて、JMPにより統計処理を行い、多重比較検定を行った。
【0042】
5)骨芽細胞分化マーカーの遺伝子発現量のRT−PCRによる半定量的解析
上記3)における2次培養後、14日目および21日目のプレートから、少なくとも3ウェルをまとめて、トライゾル(ギブコBRL社)により、全RNAを回収した。cDNAの合成には、2μgの全RNAを使用した。オリゴdTをプライマーとし、スーパースクリプトII(ギブコBRL社)により、cDNAを調製した。PCR法による遺伝子増幅には、GeneAmp PCR sysyem 2400(パーキンエルマー社)を用いた。ターゲット遺伝子のプライマーは、既に報告されている遺伝子の塩基配列〔(1)ALP:genebank M61704、(2)ボーンシアロプロテイン(BSP):genebank L20232、(3)オステオカルシン(OCN):genebank L24429、(4)STC1:genebank MMU47485、(5)リボゾーム酵素L32(内部標準):genebank M35397〕を基に、MIT Center for Genome Reserch[WWW Primer Picking(primer3)]を用いて設計した。また、半定量的PCRのための増幅サイクル(熱変性:94℃/30秒→アニーリング:56℃/30秒→伸長反応:72℃/30秒)は、(1)ALP:21〜26サイクル、(2)BSP:20〜26サイクル、(3)OCN:20〜26サイクル、(4)STC1:22〜28サイクルおよび(5)リボゾーム酵素L32(内部標準):17〜21サイクルとした。
【0043】
各遺伝子を、上記の増幅サイクルで増幅した後、各増幅産物を、2%アガロースゲルで電気泳動し、臭化エチジウムで染色した。また、各増幅産物をベクターにサブクローニングして配列を確認した。
【0044】
(2)結果
1)骨結節の計数
a)ALPとフォンコッサ染色像(第2図)
第2図は、DEX、β−GPおよびアスコルビン酸の添加培地で、培養14日目の染色像である。左側(上下)の2つのウェルは、コントロールである。また、左から2番目の2つのウェルから、順に、r−hSTC1 0.2ng/mL、0.02ng/mL、0.002ng/mLをそれぞれ添加した。ALPは赤色に、石灰化基質は黒色に染色される。第2図において、r−hSTC1により、黒色の石灰化像が、コントロールとの比較において多数観察された。
【0045】
b)DEX非存在下で培養21日目の結果(第3図・第4図)
第3図に示すように、DEX非存在下においても、r−hSTC1を添加した場合の骨結節の数は、コントロールに比べて有意に多かった(p<0.05)。また、r−hSTC1の最大反応は、DEX非存在下で20ng/mLであるのに対し、同存在下では0.2ng/mLであった(第3図・第4図)。
【0046】
c)r−hSTC1の骨結節の数に対する用量反応(第5図)
DEX非存在下は、培養21日目(第3図に準拠)、DEX存在下は、培養14日目(第4図に準拠)の結果を示している。DEX存在下では、同非存在下と比較して、最大反応が、r−hSTC1の低用量にシフトした(約1/100倍)。
【0047】
2)骨芽細胞のマーカー
上記(1)・5)の結果を、第6図に示す。第6図により、r−hSTC1の存在下で、ALP、BSP、OCNのいずれの発現量もコントロールを上回っていた。
【0048】
この結果により、(1)r−hSTC1によって、DEXの存在・非存在にかかわらず、骨結節の形成が促進されること、(2)r−hSTC1によって、骨結節を形成し得る成熟骨芽細胞のマーカーである、ALP、BSPおよびOCNの遺伝子発現量が増加し、骨形成が促進されていることが明らかとなった。
【0049】
このように、STC1が、骨形成を促進する作用を有していることが明らかになり、STC1を有効成分とする骨疾患治療剤が、各種の骨疾患、特に、骨形成の異常や骨質量の減少に係わる骨疾患、例えば、骨粗しょう症、外傷性の骨損傷、骨軟化症、リウマチ性骨疾患、癌に伴う骨疾患、リン代謝異常若しくはカルシウム代謝異常に伴う骨疾患、くる病または変形性関節症などに対して有効であることが、明確に示された。
【0050】
産業上の利用可能性
本発明により、骨粗しょう症などの骨質量の減少が係わる骨疾患の治療剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
第1図は、スタニオカルシン1遺伝子の塩基配列とこれに対応するアミノ酸配列を示した図面である。
第2図は、ウェル中の、頭蓋冠細胞の培養物のアルカリフォスファターゼとフォンコッサ染色像を示した図面である。
第3図は、デキサメサゾン非存在下で、スタニオカルシン1を添加した場合の頭蓋冠細胞由来の骨結節数を検討した結果を示す図面である。
第4図は、デキサメサゾン存在下で、スタニオカルシン1を添加した場合の頭蓋冠細胞由来の骨結節数を検討した結果を示す図面である。
第5図は、デキサメサゾン存在下と非存在下における、スタニオカルシン1を添加した場合の頭蓋冠細胞由来の骨結節について、比較検討した結果を示す図面である。
第6図は、成熟骨芽細胞のマーカーの発現に対するスタニオカルシン1の添加の影響を検討した結果を示す図面である。

Claims (1)

  1. ヒト由来のスタニオカルシン1を有効成分とする骨粗しょう症治療剤
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