JP4954619B2 - トンネル覆工用のセグメントリング構造 - Google Patents
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この場合、円断面のシールドトンネルとは異なり、セグメントリングの形状に方向性があるため、一般には、まず底面部、側面部を接合し、それぞれの側面部から天面部の中間部側に向けてセグメントを接合し、最後に、天面部の中間部のセグメントをはめ込んで接合する。この場合、最後にはめ込むセグメントは、組立誤差の影響を低減するため、接合面が傾斜面とされている。
また、各セグメントは、角部を形成するL型のものと、平面状のものとからなり、トンネル軸方向に隣接するセグメントリングのそれぞれの周方向の接合面を互いに千鳥状に配列するようにしている。
例えば、特許文献1には、このような構成を有するトンネル覆工用のセグメントリング構造の一例である矩形シールド用セグメントとその組立手順が記載されている。特許文献1では、最後にはめ込むセグメントは、トンネル軸に対する軸直角断面が台形とされている。
特許文献1に記載の技術では、1つのセグメントが軸直角断面において台形断面のセグメントであること、また隣接するセグメント間の接合部を千鳥状に配置すること、という条件を満足させるために、16種類の形状のセグメントを用いている。
また、このような構成でトンネルをカーブさせる場合には、セグメントリングの形状は、カーブさせる平面内でテーパ状とする必要があるので、左右上下のカーブ方向に合わせて、4種類のセグメントが必要となるため、セグメントの種類も、さらに4倍に増えてしまうものである。
そのため、例えば、コンクリートセグメントの場合には、型枠の種類が膨大となり、製造効率が悪化してしまうという問題がある。
この発明によれば、セグメントリングに最後にはめ込むキーセグメントとして用いることができるとともに軸方向に円滑な接合が可能となる、周方向の各接合面が前記トンネル掘進方向側に向けて離間する傾斜を有するとともに前記軸方向の各接合面が矩形形状を有するくさびセグメントを、セグメントリングの対向する2辺上にそれぞれ備え、かつ、セグメントリングの軸方向の接合継手が、軸方向の接合面の中心に対して180°回転対称となっている。そのため、1つのセグメントリングに対して、同じ構成の他のセグメントリングをその軸方向の接合面の中心に対して180°回転して軸方向に接合することができる。その際、いずれのセグメントリングでも、組立の最後にくさびセグメントをはめ込む位置を、例えば天面側の辺部などのように、統一することができる。
そのため、例えば、トンネルの直線部を形成するセグメントリングにおいて、周方向の接合部の配置を千鳥状に構成するために、1つのセグメントリングを隣接位置で180°回転して接合することができる。また、トンネルの湾曲部を形成するセグメントリングにおいて、1つのセグメントを180°回転して配置することで、湾曲方向が反対となるセグメントリングに共通利用することができる。
なお、対向する2辺上に配置するくさびセグメントを同形状として、共通化すれば、より好ましい。
例えば、4隅の角部は、適宜の丸みが設けられていてもよい。例えば、辺部が山形に形成され、六角形状断面や八角形状断面となるような断面形状も含むものとする。ただし、台形状断面などはこれらより矩形に近い場合でも、180°の回転対称性を有しないため除外される。
この発明によれば、1つのテーパセグメントリングを180°回転して配置することで、湾曲部を形成するセグメントリングを、上方向と下方向と、または左方向と右方向とでそれぞれ兼用することができる。
この発明によれば、角部セグメントが、トンネル軸直角断面の上下および左右の対称面に対して非対称な形状とされるので、トンネル軸直角断面の上下または左右の対称面に対して面対称な位置関係に配置したセグメントリングを隣接させることにより、周方向の接合部を軸方向には、互いに千鳥状をなすように配置することができる。したがって、隣接するセグメントリングの間で、辺部セグメントを共通化しても千鳥状の配列とすることができるので、セグメントの種類を低減することができる。
例えば、軸方向幅が一定のセグメントリングの場合、隣接するセグメントリング間のセグメントを全く共通にすることができる。
セグメントリングが、テーパセグメントリングの場合、角部セグメントは、隣接するセグメントリング間で形状が異なるものの、面対称な形状とすることができるので、型枠の製作が容易である。
この発明によれば、各セグメントの周方向の接合部における接合継手を共通化することができる。
この発明によれば、セグメントリングの軸方向の接合面よび軸方向の接合継手がそれぞれセグメントリングの軸方向の接合面の中心に対して90°回転対称となるので、左右方向および上下方向の湾曲部を形成するセグメントリングを兼ねることができる。
本発明の実施形態に係るトンネル覆工用のセグメントリング構造について説明する。
図1(a)、(b)は、本発明の実施形態に係るトンネル覆工用のセグメントリング構造の平面図、およびそのA視の側面図である。図2は、図1(a)のB視正面図である。図3は、図1(a)のC−C断面図である。
ただし、トンネルのカーブする方向は、左右方向に限定されるものではなく、上下方向であってもよい。その場合の構成は、左右方向にカーブする場合の実施形態から容易に理解されるので、以下では、左右方向にカーブさせる場合の例で説明する。
各テーパリング1、2は、周知のシールド掘削機などにより掘進されたトンネルの坑口側から組み立てられ、シールド掘削機の掘進にしたがって、切羽側に延設される。
そして、それぞれに挟まれた天面側、右側面側、底面側、左側面側の各辺部には、辺部セグメントとして、両端の周方向接合面7がトンネル掘進方向側に向かって離間する傾斜を有するK型セグメントK1、S2、K2、S1(くさびセグメント)が配置されている。
本実施形態では、各周方向接合面7の傾斜角は、中心軸Oに対して角度θ(>0)とされている。
周方向に隣接する角部セグメントと辺部セグメントとは、それぞれの周方向接合面7に設けられた周方向継手部4によって接合されている。
周方向継手部4の詳細構成は、特に図示しないが、辺部セグメントをテーパリング1の軸方向にガイドして、挿入することにより接合する周知の継手構造を好適に採用することができる。
いずれの場合でも、周方向接合面7がすべて中心軸Oに対して角度θだけ傾斜されているので、周方向継手部4の構成はすべて共通化することが可能であり、継手構造によってすべて共通化できない場合でも面対称な2種類に抑えることができる。そのため、周方向接合面7の傾斜角θが複数ある場合、例えば、θ=0の接合面とθ>0の接合面とが混在する場合に比べて、周方向継手部4の部品種類の数を低減することができる。
このため、テーパリング1は、中心軸Oを中心として、180°回転した姿勢で、坑口側の他のセグメントリングと接合できるようになっている。この場合、天面側と底面側との構成が反転するため、トンネルの天面から見たテーパは、図1(a)と反対向きのテーパとなり、掘進方向が右側に湾曲する場合のセグメントリングとして用いることができるものである。
雄型継手3は、トンネル左側に2個、トンネル天面側に1個設けられている。
K型セグメントK1は、坑口側の軸方向接合面6が長さc、厚さtkの平板状とされている。そして、雄型継手3は、2個設けられている。
雄型継手3は、トンネル右側に1個、トンネル天面側に2個設けられている。
K型セグメントS2は、坑口側の軸方向接合面6が長さf、厚さtsの平板状とされている。そして、雄型継手3は、2個設けられている。
雄型継手3は、トンネル右側に2個、トンネル底面側に1個設けられている。
K型セグメントK2は、坑口側の軸方向接合面6が長さi、厚さtkの平板状とされている。そして、雄型継手3は、2個設けられている。
雄型継手3は、トンネル左側に1個、トンネル底面側に2個設けられている。
K型セグメントS1は、坑口側の軸方向接合面6が長さn、厚さtsの平板状とされている。そして、雄型継手3は、2個設けられている。
なお、b+c+d=j+i+k、a+n+m=e+f+gである。
L型セグメントLB3は、L型セグメントLA1の長さa、bを長さm、jに置き換え、それに応じて、雄型継手3を、トンネル右側に1個、トンネル天面側に2個設けたものである。
L型セグメントLB4は、L型セグメントLA2の長さd、eを長さh、gに置き換え、それに応じて、雄型継手3を、トンネル左側に2個、トンネル天面側に1個設けたものである。
L型セグメントLB2は、L型セグメントLA3の長さm、jを長さa、bに置き換え、それに応じて、雄型継手3を、トンネル左側に2個、トンネル底面側に1個設けたものである。
L型セグメントLB1は、L型セグメントLA4の長さg、hを長さe、dに置き換え、それに応じて、雄型継手3を、トンネル右側に1個、トンネル底面側に2個設けたものである。
図4(a)、(b)は、本発明の実施形態に係るトンネル覆工用のセグメントリング構造の組立順序の一例について説明する工程説明図である。
次に、L型セグメントLA3、LA4の間の底面部にK型セグメントK2を軸方向に挿入して設置する。このとき、L型セグメントLA3、LA4とK型セグメントK2とのそれぞれの周方向接合面7には、K型セグメントK2の軸方向への挿入をガイドするとともに、周方向に接合する周方向継手部54設けられているので、軸方向に挿入して軸方向接合面6において軸方向の接合が完了すると同時に、周方向の接合が完了する。
そして、L型セグメントLA3、LA1の間に、K型セグメントS1を挿入して、軸方向および周方向に接合し、L型セグメントLA4、LA2の間に、K型セグメントS2を挿入して軸方向および周方向に接合する。
キーセグメントは、それまでの接合による組立誤差や、各セグメントの部品バラツキなどにより生じるL型セグメントLA1、LA2の間の隙間のバラツキに対応する必要があるが、本実施形態のK型セグメントK1の周方向接合面7は、中心軸Oに対して角度θをなしてトンネル掘進方向に向けて離間しており、挿入方向である坑口側が縮幅しているため、L型セグメントLA1、LA2の間の隙間のバラツキがあっても円滑な挿入を行うことができる。
また、本実施形態では、辺部セグメントがすべて、このような軸方向に挿入して周方向と軸方向とを同時に接合するくさびセグメントであるため、例えば、軸直角断面が台形状の径方向の内側から接合するセグメントに比べて、作業効率に優れるという利点がある。
このとき、同一の角部に配置される角部セグメントのL字の長辺と短辺との長さが、テーパリング1、2とでは異なっているので、図1(a)、(b)に示すように、周方向接合面7が側面視で千鳥状に配置される。
このようにして接合されたテーパリング1、2のなすセグメントリング構造は、掘進方向を左側にカーブさせるトンネル覆工の一部を形成するものである。したがって、さらに、テーパリング1、2を順次同様にして接合していくことにより、所定の湾曲量を有する左方向にカーブしたトンネル覆工が形成される。
カーブの曲率を変えるには、これらの間に、テーパリング1、2において、p1=p2とした直線部用のセグメントリングを挿入するか、幅p1、p2の比を変えることでテーパの大きさの異なる他のテーパリングを挿入すればよい。
しかしながら、本実施形態のセグメントリング構造では、テーパリング1、2を中心軸O回りに180°回転させて接合することができるので、テーパリング1、2を左右の両方向のカーブ用として兼用することができる。したがって、左右のカーブ用にセグメントリングを作り分ける場合に比べて、セグメントの種類を半減することができ、型枠数の半減できる。
この場合、組立は、底面部側から上記と同様に行うことができる。例えば、テーパリング1を180°回転した場合では、図4(a)、(b)にカッコ書きしたように、(1)L型セグメントLA2、LA1、(2)K型セグメントK1、(3)L型セグメントLA4、LA3、(4)K型セグメントS2、S1、(5)K型セグメントK2のような順序で組み立てる。
ここで、K型セグメントK2は、K型セグメントK1と同様に、周方向接合面7がテーパを有するセグメントなので、容易に組み立てることができ、キーセグメントとして好適なものとなっている。
図5(a)、(b)は、本発明の実施形態の第1変形例に係るトンネル覆工用のセグメントリング構造の平面図、およびそのD視の側面図である。
テーパリング10は、L型セグメントLA1、LA2、LA3、LA4、K型セグメントS1、S2に代えて、それぞれL型セグメントLA10、LA20、LA30、LA40、矩形型セグメントS10、S20(辺部セグメント)を備える。
テーパリング20は、L型セグメントLB1、LB2、LB3、LB4、K型セグメントS1、S2に代えて、それぞれL型セグメントLB10、LB20、LB30、LB40、矩形型セグメントS10、S20を備える。
L型セグメントLA10、LA20、LA30、LA40、LB10、LB20、LB30、LB40は、矩形型セグメントS10、S20との接合面が周方向接合面8とされている点が、上記の各角部セグメントと異なる。
いずれのセグメントにも、周方向接合面8には、θ=0に応じた周方向継手部5が設けられている。
この場合、K型セグメントS1、S2は、L型セグメントLA30、LA40の次に接合し、その後、L型セグメントLA10、LA20を接合することにより円滑に組み立てることができる。
また、トンネルの開口面積が大きくなり、セグメントリングを8個以上のセグメントから構成する必要がある場合、上下方向の辺部セグメントとして、このような矩形型セグメントや、K型セグメントK1、K2と接合するための片側に周方向接合面7、片側に周方向接合面8を有する台形型セグメントを組み合わせるように変形してもよい。
本変形例は、特に図示しないが、上記実施形態のテーパリング1、2において、W=b+c+d=j+i+k=a+n+m=e+f+g、ts=tk、として、トンネルをW×Wの正方形断面とするとともに、雄型継手3の配置を、中心軸Oを中心として90°回転対称となる位置に設定したものである。
この場合、上下方向にカーブするセグメントリングを組み立てるには、K型セグメントS1、S2のいずれかが、天面側に位置するため、キーセグメントとなるが、K型セグメントK1、K2と軸方向の幅が異なるのみで、それぞれの周方向接合面7は、同様な傾斜を有しているくさびセグメントとなっているので、キーセグメントとして好適となっている。
例えば、辺部が山形に形成され、六角形状断面や八角形状断面となるような断面形状でもよい。
その場合、例えば、軸方向の幅が等しくなるため、角部セグメント、辺部セグメントの形状をさらに共通化して、セグメントの種類を低減することができる。
3 雄型継手(軸方向の接合継手)
4、5 周方向継手部
6 軸方向接合面
7、8 周方向接合面
K1、K2 K型セグメント(くさびセグメント)
LA1、LA2、LA3、LA4、LB1、LB2、LB3、LB4、LA10、LA20、LA30、LA40、LB10、LB20、LB30、LB40 L型セグメント(角部セグメント)
S1、S2 K型セグメント(くさびセグメント)
S10、S20 矩形型セグメント(辺部セグメント)
Claims (5)
- 複数のセグメントを周方向に接合してセグメントリングを形成し、該セグメントリングをその軸方向に接合して、少なくとも4隅に角部が形成され180°の回転対称性を有するトンネル軸直角断面のトンネル覆工を形成するためのトンネル覆工用のセグメントリング構造であって、
前記セグメントリングの対向する2辺上に、それぞれ前記周方向の各接合面が前記トンネル掘進方向側に向けて離間する傾斜を有するとともに前記軸方向の各接合面が矩形形状を有する平板状のくさびセグメントを備え、
前記セグメントリングの軸方向の接合継手が、前記セグメントリングの軸方向の接合面の中心に対して180°回転対称となるように配置されたことを特徴とするトンネル覆工用のセグメントリング構造。 - 前記セグメントリングが、トンネルの湾曲部を形成するために前記セグメントリングの軸方向に直交する側面方向から見て台形状とされたテーパセグメントリングであることを特徴とする請求項1に記載のトンネル覆工用のセグメントリング構造。
- 前記セグメントリングが、前記トンネル軸直角断面の前記少なくとも4隅の角部を形成する角部セグメントと、前記トンネル軸直角断面の辺部を形成する辺部セグメントとからなり、
前記角部セグメントが、前記トンネル軸直角断面の上下および左右の対称面に対して非対称な形状に構成され、
互いに軸方向に隣接するセグメントリングの間で、それぞれのセグメントリングの前記角部セグメントおよび辺部セグメントの配置が、前記トンネル軸直角断面の上下または左右の対称面に対して互いに面対称となるように配置したことを特徴とする請求項1または2に記載のトンネル覆工用のセグメントリング構造。 - 前記角部セグメントは、前記トンネル軸直角断面の断面形状が短辺部と長辺部とを有するL字状のL型セグメントからなり、
前記辺部セグメントは、前記周方向の各接合面の傾斜角の大きさが一定の前記くさびセグメントからなることを特徴とする請求項3に記載のトンネル覆工用のセグメントリング構造。 - 前記セグメントリングの軸方向の接合面が、その中心に対して90°回転対称であり、かつ、前記軸方向の接合継手が、前記セグメントリングの軸方向の接合面の中心に対して90°回転対称となるように配置されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトンネル覆工用のセグメントリング構造。
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