JP4953370B2 - 耐硝酸腐食性および機械的性質に優れたNb−W合金及びその製造方法 - Google Patents

耐硝酸腐食性および機械的性質に優れたNb−W合金及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4953370B2
JP4953370B2 JP2007117946A JP2007117946A JP4953370B2 JP 4953370 B2 JP4953370 B2 JP 4953370B2 JP 2007117946 A JP2007117946 A JP 2007117946A JP 2007117946 A JP2007117946 A JP 2007117946A JP 4953370 B2 JP4953370 B2 JP 4953370B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
nitric acid
less
corrosion resistance
corrosion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007117946A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008274339A (ja
Inventor
清 木内
郁夫 井岡
信俊 丸山
一郎 塚谷
準平 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Kobelco Research Institute Inc
Japan Atomic Energy Agency
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Kobelco Research Institute Inc
Japan Atomic Energy Agency
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd, Kobelco Research Institute Inc, Japan Atomic Energy Agency filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2007117946A priority Critical patent/JP4953370B2/ja
Publication of JP2008274339A publication Critical patent/JP2008274339A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4953370B2 publication Critical patent/JP4953370B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Description

本発明は、高酸化性の金属イオンを含有する高濃度硝酸溶液の沸騰伝熱面腐食環境下で使用される材料、特に使用済み核燃料の再処理プラント用材料として使用される材料であるNb−W合金及びその製造方法に関する。
再処理機器のように硝酸が熱分解を起こして高酸化条件となる伝熱沸騰条件下において、粒界腐食性や耐応力腐食割れ性が要求される構造材料として、オーステナイト系ステンレス鋼やジルコニウム、Ni基合金等が用いられている。
オーステナイト系ステンレス鋼は、一般に硝酸のような酸化性の強い酸を含む環境において、表面に不働態皮膜を形成して、優れた耐食性を発揮するため、硝酸製造プラントの構造材料として汎用されている。しかしながら、使用済み核燃料の再処理プラントにおいて使用済み核燃料を高濃度の硝酸によって溶解するための溶解槽や、硝酸による溶解液を蒸発させて、この溶解液中から硝酸を回収するための酸回収蒸発缶等のように、セリウムイオン(Ce4+)、ルテニウムイオン(Ru3+)やクロムイオン(Cr6+)等の金属イオンが使用済核燃料から硝酸中に混入して酸化性が強くなると、粒界腐食を伴う激しい腐食を受けることになる。このように、硝酸が熱分解を起こして高酸化条件となる沸騰伝熱面では、皮膜の化学安定性が低下するため、粒界腐食優先型の過不働態腐食を起こすようになる。酸化性金属イオンを含有する高温の硝酸環境下で使用される材料としては、粒界腐食の原因であるCr欠乏層の生成を抑制するため、炭素含有量を極力低くし、必要に応じて少量のNbが添加され、溶体化熱処理を施されたオーステナイト系ステンレス鋼材が使用されている。
さらに、以下に記述するように多くの発明が開示されている。例えば、特許文献1には、「C:0.005wt%以下、Si:0.4wt%以下、Mn:0.1〜12wt%、P:0.005wt%以下、Ni:7〜28wt%、Cr:15〜30wt%、N:0.06〜0.30wt%を含有し、残部が実質的にFeから成るオーステナイト系ステンレス鋼」のように、P含有量を限定することにより、Pの粒界偏析を抑え、これにより耐粒界腐食性を改善した技術が開示されている。
また、特許文献2には、「C:0.015wt%以下、Si:0.5wt%以下、Mn:2wt%以下、P:0.015wt%以下、Cr:15〜30wt%、Ni:10〜22wt%、Al:0.01wt%以下、Ca:0.002〜0.010wt%を含有し、残部が実質的にFeから成るオーステナイト系ステンレス鋼」のように、Si、P、Al量を規制し、さらにCaを適量添加することにより、熱間加工性に優れ、高温硝酸中で優れた耐食性を有し、特に耐加工フロー腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼に関する技術が開示されている。
また、特許文献3には、「Si:0.5wt%以下、Mn:0.5wt%以下、Ni:10〜16wt%、Cr:16〜20wt%、Mo:2.0〜3.0wt%、N:0.06〜0.15wt%、C:0.02wt%以下、P:0.03wt%以下、S:0.002wt%以下を含有し、残部が実質的にFeから成るオーステナイト系ステンレス鋼において、Ni(wt%)+60N(wt%)−4Mo(wt%)≧7式を満足し、さらにCa及び/またはCeを単独または合計で2×S(wt%)〜0.03wt%含有すること」により、トンネル状腐食に対する耐食性に優れた耐硝酸性オーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。
また、特許文献4には、「B含有量が30wt ppm以下であり、そのオーステナイト粒径をdとするとき、B(wt ppm)×d(μm)≦700であり、その製造方法においてB(wt ppm)×d(μm)を関数とする所定の温度以上に加熱し、固溶化処理を行うこと」により、耐粒界腐食性および耐粒界応力腐食割れ性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼およびその製造方法が開示されている。
特開昭59−222563号公報 特開平6−306548号公報 特開平7−90497号公報 特開平7−113146号公報
一方、Ni基合金に関しては、原子炉内冷却水環境下で用いられる構造物用にインコネルX−750(商品名:Ni−15.5Cr−1Nb−0.7Al−2.5Ti−7Fe)等が商品化されている。しかし、インコネルX−750は熱処理条件によっては高温高圧水環境下で応力腐食割れ感受性が高くなることがあり、これらの欠点を改善し、また材料の安定性と信頼性とを高めることを目的としていくつかの合金が提案されている。
例えば、特許文献5乃至特許文献8に開示されている合金では、耐食性向上を目的としてCr量を20〜30wt%、Mo量を10wt%以下とし、さらに少量のAl、Tiと7wt%以下のNb、15wt%以下のFeの共存によってNbを含む金属間化合物を析出させている。
特開昭62−167836号 特開昭62−167837号 特開昭62−167838号 特開昭62−167839号
しかしながら、使用済み核燃料の再処理機器において、伝熱管外側からの蒸気による加熱沸騰により硝酸を蒸発させて、伝熱管中のウラン溶液やプルトニウム溶液を濃縮しようとするサーモサイフォン方式のウラン濃縮缶やプルトニウム濃縮缶、さらに使用済燃料のほとんどの核分裂生成物を含む分離サイクルからの抽出残液や溶媒洗浄液、酸回収蒸発缶の濃縮液、パルスフィルタでろ過した不溶解性残渣などを濃縮するためのケトル−加熱コイル方式の高レベル廃液濃縮缶では、腐食環境が沸騰伝熱面腐食となるため、クロムを主体とする酸化皮膜の保護性によって耐食性が保持されているステンレス鋼では、皮膜の化学安定性が低下し、硝酸の蒸発−熱分解に伴う酸化性イオン生成と還元反応による溶解が同時に起こる過不働態腐食を起こすという本質的な問題がある。そのため、特許文献1乃至4の先行技術では根本的な解決になっていないのが事実である。特に、ウラン濃縮缶等は常圧沸点で運転されるため、腐食状況がより深刻である。
また、特許文献5乃至8に開示されている合金は、Niを合金ベースとし、多量のNbとFeとの共存によって、非常に硬くて脆い組織となりやすい上に、最適時効条件の範囲が狭く、過時効となりやすい。さらに、Niを合金ベースとし、CrとMoとを複合添加することにより、応力腐食割れ感受性は改善されるが、高濃度硝酸溶液の沸騰伝熱面腐食環境下での耐硝酸腐食性、すなわち、耐粒界腐食性や耐応力腐食割れ性に対しては、何ら効果を発揮しない。
なお、ジルコニウムに関しては、硝酸溶液中での溶解度が極めて低いZrO皮膜を形成して、極めて良好な耐食性を有するが、冷間加工性に劣るため、実機構造物への成形に際して細心の注意が必要であるばかりか、コストが高いために適用が限定される。
上記のように、酸化性イオンを含む高濃度硝酸溶液の沸騰伝熱面腐食環境下で使用される再処理機器用材料としては、過不働態腐食に対して優れた耐食性を有していることが必要であり、根本的対策の確立が望まれている。
本発明の目的は、酸化性イオンを含む高濃度硝酸溶液の沸騰伝熱面腐食環境下における過不働態腐食や応力腐食割れに対して優れた耐食性を有するNb−W合金及びその製造方法を提供することである。
課題を解決するための手段及び効果
硝酸溶液中の耐食性および応力腐食割れ抵抗性は、ともに金属表面に形成される不働態皮膜の保護性と再補修性に依存する。不働態皮膜は金属酸化物であるため、硝酸溶液中での金属酸化物の溶解度が耐食性を左右する。本発明者らが研究を重ねた結果、溶解度が低く、高酸化力に耐える高級酸化物皮膜を安定に形成する金属が優位であり、M酸化膜形成型のニオブ(Nb)をベースとする合金が、高酸化性イオンを含む高濃度硝酸溶液の沸騰伝熱面腐食環境下における過不働態腐食や応力腐食割れに対して優位であることを見出した。しかし、Nbは結晶構造が体心立方晶であるため、Nb単体では機械的強度が比較的低く、構造材料として用いるのは適切ではない。そこで、本発明者らは、周期律表でNbの周辺に位置するタンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)およびタングステン(W)の酸化物が耐食性に対して優れていることから、耐食性と固溶強化による機械的強度の改善の双方の効果を期待して、研究を重ねた結果、耐食性と固溶強化による機械的強度の双方を改善できるのが、Nb−W合金であることを見出した。さらに、このNb−W合金の鋼塊の溶製工程において、電子ビーム溶解法を採用して、不純物元素量を極力低減することにより、本発明の合金の優れた特性をさらに向上させることができることを見出した。
本発明の耐硝酸腐食性および機械的性質に優れたNb−W合金は、W(タングステン)を4.0〜15.0wt%、Ta(タンタル)を3.0wt%以下、C(炭素)を0.03wt%以下、N(窒素)を0.03wt%以下、O(酸素)を0.03wt%以下の比率でそれぞれ含有し、Nb(ニオブ)及び不可避的不純物を残部として成ることを特徴とする。
上記の構成によれば、Nbをベースとし、W添加量を4.0〜15.0wt%に制御したNb−W合金としたので、酸化性イオンを含む高濃度硝酸溶液の沸騰伝熱面腐食環境下における過不働態腐食や応力腐食割れに対して優れた耐食性を有することが可能となる。更に、Oを0.03wt%以下の比率としたので、優れた機械的性質を有することが可能となる。
また、本発明の耐硝酸腐食性および機械的性質に優れたNb−W合金の製造方法は、Wを4.0〜15.0wt%、Taを3.0wt%以下、Cを0.03wt%以下、Nを0.03wt%以下、Oを0.03wt%以下の比率でそれぞれ含有し、Nb及び不可避的不純物を残部として成るNb−W合金の鋼塊の溶製工程で、電子ビーム溶解法による溶解を前記鋼塊に施すことを特徴とする。
上記の構成によれば、Nb−W合金の鋼塊の溶製工程で、電子ビーム溶解法による溶解を鋼塊に施すことにより、不純物元素量が極力低減されるから、Nb−W合金の耐食性を向上させることができて、酸化性イオンを含む高濃度硝酸溶液の沸騰伝熱面腐食環境下における過不働態腐食や応力腐食割れに対して優れた耐食性を有することが可能となる。更に、Oを0.03wt%以下の比率にすることができるから、Nb−W合金の機械的性質を改善することが可能となる。
本発明の実施の形態を図1乃至図4に基づいて以下に説明する。
(Nb−W合金の構成)
本実施の形態におけるNb−W合金は、具体的には、W:4.0〜15.0wt%、Ta:3.0wt%以下、C:0.03wt%以下、N:0.03wt%以下、O:0.03wt%以下を含有し、Nbおよび不可避的不純物を残部として成る。
本実施の形態におけるNb−W合金の成分を上述のように限定した理由は、以下のとおりである。
Wは、特に高濃度硝酸溶液の沸騰伝熱面腐食環境下においてNbとの相互作用により安定な造膜性能を得るために4.0wt%以上必要である。しかし、添加しすぎると脆い化合物を析出して合金の延性を劣化させるため、その上限を15.0wt%とした。
TaはNbと同族の金属であるため、精錬過程で完全除去できない金属である。耐食性向上効果を有するが、固溶強化能がほとんど無いため、3.0wt%以下で含有することを許容した。
Oは、母材となる純NbやWの精錬過程で除去できず、またNb−W合金の溶製過程で混入してくる不純物元素であり、0.03wt%を超えると、後述するように、靭性や延性などの機械的性質を劣化させるので、これを上限とした。
CやNは、Oと同様、母材となる純NbやWの精錬過程で除去できず、またNb−W合金の溶製過程で混入してくる不純物元素であり、結晶粒界に偏析して耐硝酸腐食性を劣化させる。このため、これら含有量は極力少ない方が望ましく、それぞれ0.03wt%以下とした。
(電子ビーム溶解法)
ここで、Nb−W合金を含むNb基合金の鋼塊の溶製工程において、電子ビーム溶解法を採用している。本実施の形態における合金は、高融点金属である。よって、このような合金の溶製工程においては、組織の均一化の観点から電子ビーム溶解法が好ましい。また、Oなどの不純物含有量を低減する観点からも、電子ビーム溶解法が好ましい。
電子ビーム溶解法は、基本的にドリップ溶解法とコールドハース溶解法に大別される。ドリップ溶解法は、原料電極(電子ビーム溶解の原料は電子銃の対極となるため、こう表現する)の先端に電子ビームを照射し、生成した液滴を直接、水冷胴鋳型に落下させて積層凝固させる方法である。また、コールドハース溶解法は、原料先端で生成した液滴を一旦コールドハースと呼ばれる水冷の浅い銅製容器に溜め、ここからオーバーフローさせた溶湯を水冷胴鋳型に注いでスターティングブロックと称する土台の上に積層凝固させる方法である。本実施の形態においては、どちらの溶解法を用いてもよい。
電子ビーム溶解法の規定条件について記述する。溶解中の蒸発による精製効果を達成するためには、チャンバー内の真空度を1×10−2Pa以上にする必要がある。しかし、真空度を高めすぎると、工業的な実現が困難になるため、1×10−4Pa以下が望ましい。
(試験結果)
図1は、本実施の形態におけるNb−W合金を含むNb基合金の耐食性の評価試験結果を示したものである。また、図2は、本実施の形態におけるNb−W合金を含むNb基合金の機械的性質の評価試験結果を示したものである。腐食試験は、8規定沸騰硝酸に1.0g/LのCr6+を添加した溶液を用い、1バッチ24時間毎に試験液を更新しながら5バッチ継続した。また、機械的性質を評価するための引張試験は、耐食性評価試験の沸騰伝熱面条件の腐食電位がほぼ同等になる14規定沸騰硝酸溶液中で実施した。
図1に示すように、Nb−Ta合金およびNb−W合金の腐食速度は、添加元素量が増加すると低下する。Nb−Hf合金の腐食速度は、約5wt%まではNbの腐食速度と同程度であるが、添加量がそれ以上多くなると増加する傾向にある。
また、図2に示すように、引張強さは、Nb−Ta合金では添加元素量によりほとんど変化しないが、Nb−W合金およびNb−Hf合金では顕著な増加を示すことがわかる。
以上より、耐食性と機械的性質の双方を改善することができるNb基合金は、Nb−W合金であることがわかる。
表1は、14規定沸騰硝酸溶液中における低歪速度引張試験(SSRT)の試験結果である。SSRTにより、応力腐食割れ感受性を評価した。
Figure 0004953370
表1に示すように、Nb−W合金は、14規定沸騰硝酸溶液中でもオイルなどの不活性雰囲気中と同等の破断時間を示し、応力腐食割れ感受性を持たない。これに対し、ジルコニウム(Zr)は耐食性には優れているが、14規定沸騰硝酸溶液中におけるSSRT試験では、短時間で破断し、応力腐食割れ性に劣ることがわかる。
以上の結果から、Nbをベースとし、W添加量を4.0〜15.0wt%に制御することにより、再処理プラントのように高濃度硝酸溶液の沸騰伝熱面腐食環境下における過不働態腐食や応力腐食割れに対して優れた耐食性が得られることがわかる。
しかしながら、Nb−W合金のベースである金属Nbは、結晶構造が体心立方であるため、面心立方金属に比べてO,N,C,Hのような軽元素が侵入型元素として存在することが可能である。例えば、O,N,Cは固体Nbにそれぞれ最大9mol%、12mol%、5.7mol%溶解し、Hは45mol%も固溶可能である。これらは、基本的にはインゴットの溶製段階で混入したり、精錬により除去されるが、金属Nbは活性金属であるため、板材や管材の製造過程における加熱工程においても侵入する。特に、Oは富化し易い元素であり、かつ機械的性質への影響が大きい。
図3は、10wt%のNb基合金中のO含有量と衝撃吸収エネルギー値との関係を示している。また、図4は、10wt%のNb基合金中のO含有量と引張試験の伸びとの関係を示している。図3および図4に示すように、Oの含有量が微量に増加しても、靱性や延性を劣化させることがわかる。よって、図3および図4から、O含有量を0.03wt%以下に規定することが不可欠であることがわかる。
このように、Nbをベースとし、W添加量を4.0〜15.0wt%に制御したNb−W合金としたので、酸化性イオンを含む高濃度硝酸溶液の沸騰伝熱面腐食環境下における過不働態腐食や応力腐食割れに対して優れた耐食性を有するNb−W合金とすることができる。更に、Oを0.03wt%以下の比率としたので、優れた機械的性質を有するNb−W合金とすることができる。
また、Nb−W合金の鋼塊の溶製工程で、電子ビーム溶解法による溶解を鋼塊に施すことにより、不純物元素量が極力低減されるから、Nb−W合金の耐食性を向上させることができる。更に、Oを0.03wt%以下の比率にすることができるから、Nb−W合金の機械的性質を改善することができる。
(Nb−W合金の製造方法)
次に、本実施の形態に係るNb−W合金の製造方法について、以下の実施例を参照しながら説明する。
以下に、表2、表3を参照して実施例を説明する。
Figure 0004953370
表2に示す化学組成を有する本実施の形態の合金(本発明合金)、及び、比較合金をそれぞれ100kg使用し、まず、電子ビーム溶解法(EB)により溶製し、金型に鋳込み、円柱鋳塊とした。
ここで、No.3,4及び5は本発明合金、No.1,2,6,7,8及び9は比較合金である。また合金No.10は市販のジルコニウムである。
次に、合金No.9のジルコニウムを除いて、750℃に加熱し、鍛造及び熱間圧延を行い、厚さ20mmにした。
次いで、真空中で1200℃×1時間の加熱・保持後、アルゴンガス雰囲気中で室温まで急冷する中間熱処理を施した。さらに、これらを厚さ7mmまで冷間圧延した。ついで、真空中で1200℃×1時間の加熱・保持後、アルゴンガス雰囲気中で室温まで急冷する最終熱処理を施した。
以上にして得られた板材から、引張試験及び耐食性評価試験を行った。耐食性の評価は8規定硝酸にCr6+イオンを1.0g/L添加したCoriou腐食試験により実施した。試験片は円盤状で、板の片側面にガラスセルを設置して腐食液を満たした状態で減圧し、反対面から加熱ロッドで加熱することにより、接液部に沸騰伝熱面腐食が起こるようにした。そして、熱流束を加熱ロッドの温度制御により40kW/mに設定して、液を更新しながら24時間を1バッチとする5バッチを行い、腐食減量を測定して腐食速度等を評価した。
また、引張試験は、耐食性評価試験と同等の腐食電位を得るために、硝酸濃度を14規定として行った。表3にこれらの結果を示す。
Figure 0004953370
表3から明らかなように、化学組成が本実施の形態のものであれば、良好な耐硝酸腐食性(耐食性)と機械的性質が得られることがわかる。
このように、Nbをベースとし、W添加量を4.0〜15.0wt%に制御したNb−W合金としたので、酸化性イオンを含む高濃度硝酸溶液の沸騰伝熱面腐食環境下における過不働態腐食や応力腐食割れに対して優れた耐食性を有するNb−W合金とすることができる。更に、Oを0.03wt%以下の比率としたので、優れた機械的性質を有するNb−W合金とすることができる。
また、Nb−W合金の鋼塊の溶製工程で、電子ビーム溶解法による溶解を鋼塊に施すことにより、不純物元素量が極力低減されるから、Nb−W合金の耐食性を向上させることができる。更に、Oを0.03wt%以下の比率にすることができるから、Nb−W合金の機械的性質を改善することができる。
(本実施の形態の概要)
以上のように、本実施の形態の耐硝酸腐食性および機械的性質に優れたNb−W合金は、Wを4.0〜15.0wt%、Taを3.0wt%以下、Cを0.03wt%以下、Nを0.03wt%以下、Oを0.03wt%以下の比率でそれぞれ含有し、Nb及び不可避的不純物を残部として成る構成にされている。
上記の構成によれば、Nbをベースとし、W添加量を4.0〜15.0wt%に制御したNb−W合金としたので、酸化性イオンを含む高濃度硝酸溶液の沸騰伝熱面腐食環境下における過不働態腐食や応力腐食割れに対して優れた耐食性を有することが可能となる。更に、Oを0.03wt%以下の比率としたので、優れた機械的性質を有することが可能となる。
また、本実施の形態の耐硝酸腐食性および機械的性質に優れたNb−W合金の製造方法は、Wを4.0〜15.0wt%、Taを3.0wt%以下、Cを0.03wt%以下、Nを0.03wt%以下、Oを0.03wt%以下の比率でそれぞれ含有し、Nb及び不可避的不純物を残部として成るNb−W合金の鋼塊の溶製工程で、電子ビーム溶解法による溶解を鋼塊に施す構成にされている。
上記の構成によれば、Nb−W合金の鋼塊の溶製工程で、電子ビーム溶解法による溶解を鋼塊に施すことにより、不純物元素量が極力低減されるから、Nb−W合金の耐食性を向上させることができて、酸化性イオンを含む高濃度硝酸溶液の沸騰伝熱面腐食環境下における過不働態腐食や応力腐食割れに対して優れた耐食性を有することが可能となる。更に、Oを0.03wt%以下の比率にすることができるから、Nb−W合金の機械的性質を改善することが可能となる。
以上、本発明の実施例を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
Nb基合金の耐食性の評価試験結果を示した図。 Nb基合金の機械的性質の評価試験結果を示した図。 10wt%のNb基合金中のO含有量と衝撃吸収エネルギー値との関係を示した図。 10wt%のNb基合金中のO含有量と引張試験の伸びとの関係を示した図。

Claims (2)

  1. Wを4.0〜15.0wt%、Taを3.0wt%以下、Cを0.03wt%以下、Nを0.03wt%以下、Oを0.03wt%以下の比率でそれぞれ含有し、Nb及び不可避的不純物を残部として成ることを特徴とする耐硝酸腐食性および機械的性質に優れたNb−W合金。
  2. Wを4.0〜15.0wt%、Taを3.0wt%以下、Cを0.03wt%以下、Nを0.03wt%以下、Oを0.03wt%以下の比率でそれぞれ含有し、Nb及び不可避的不純物を残部として成るNb−W合金の鋼塊の溶製工程で、電子ビーム溶解法による溶解を前記鋼塊に施すことを特徴とする耐硝酸腐食性および機械的性質に優れたNb−W合金の製造方法。

JP2007117946A 2007-04-27 2007-04-27 耐硝酸腐食性および機械的性質に優れたNb−W合金及びその製造方法 Active JP4953370B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007117946A JP4953370B2 (ja) 2007-04-27 2007-04-27 耐硝酸腐食性および機械的性質に優れたNb−W合金及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007117946A JP4953370B2 (ja) 2007-04-27 2007-04-27 耐硝酸腐食性および機械的性質に優れたNb−W合金及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008274339A JP2008274339A (ja) 2008-11-13
JP4953370B2 true JP4953370B2 (ja) 2012-06-13

Family

ID=40052677

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007117946A Active JP4953370B2 (ja) 2007-04-27 2007-04-27 耐硝酸腐食性および機械的性質に優れたNb−W合金及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4953370B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS512612A (ja) * 1974-06-25 1976-01-10 Daido Steel Co Ltd Taishokuniobugokin
JPH0615706B2 (ja) * 1985-03-14 1994-03-02 三井造船株式会社 高耐食アモルフアス合金
JPH01242729A (ja) * 1988-03-24 1989-09-27 Kobe Steel Ltd 高融点金属材料の電子ビーム溶解法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008274339A (ja) 2008-11-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4455603B2 (ja) 原子力用ジルコニウム合金組成物及びその製造方法
EP2152924B1 (en) Tantalum based alloy that is resistant to aqueous corrosion
US8070892B2 (en) High Fe contained zirconium alloy compositions having excellent corrosion resistance and preparation method thereof
US20060243358A1 (en) Zirconium alloys with improved corrosion resistance and method for fabricating zirconium alloys with improved corrosion
US20060225815A1 (en) Zirconium alloy and components for the core of light water-cooled nuclear reactors
TW200834603A (en) A zirconium alloy that withstands shadow corrosion for a component of a boiling water reactor fuel assembly, a component made of the alloy, a fuel assembly, and the use thereof
CN112281026B (zh) 一种耐蚀锆合金及其铸锭的制备方法和应用
CN111778438B (zh) 一种结构功能一体化的高熵合金及其制备方法
US20130220493A1 (en) Zirconium alloys for a nuclear fuel cladding having a superior oxidation resistance in a reactor accident condition, zirconium alloy nuclear fuel claddings prepared by using thereof and methods of preparing the same
TWI460739B (zh) 定位格架及其製造方法
KR101378066B1 (ko) 합금원소의 첨가량을 낮추어 부식저항성을 향상시킨 핵연료 피복관용 지르코늄 합금 조성물 및 이를 이용한 지르코늄 합금 핵연료 피복관의 제조방법
CN114231792B (zh) 一种低成本耐硝酸腐蚀的Ti-Zr-Al合金及其制备方法
JP6535752B2 (ja) 多段熱間圧延を適用した核燃料用ジルコニウム部品の製造方法
CN112662913B (zh) 一种耐硝酸腐蚀的Ti35钛合金
CN114507795A (zh) 一种耐硝酸腐蚀钛基中子吸收材料及其制备方法
US11603584B2 (en) Ferritic alloy and method of manufacturing nuclear fuel cladding tube using the same
JP4982654B2 (ja) 耐食性が改善されたジルコニウム合金および耐食性が改善されたジルコニウム合金の製造方法
KR101058872B1 (ko) 우수한 내식성 및 크립저항성을 갖는 고농도 몰리브덴 함유지르코늄 합금 조성물, 이의 제조방법 및 이의 용도
JP4953370B2 (ja) 耐硝酸腐食性および機械的性質に優れたNb−W合金及びその製造方法
KR101691916B1 (ko) 내식성이 우수한 크롬-알루미늄 이원계 합금 및 이의 제조방법
CN110629128A (zh) 一种FeCrAlZr包壳材料及制备方法
JP4953371B2 (ja) 耐硝酸腐食性に優れたNi基合金及びその製造方法
US20180163285A1 (en) Ni-Based Alloy Pipe or Tube for Nuclear Power
WO2009054077A1 (ja) 耐高酸化性溶液金属ガラス合金及び高酸化性溶液取扱い機器
KR20080065749A (ko) 냉각수 및 수증기 부식 저항성이 우수한 지르코늄 합금조성물

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20091116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120131

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120214

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120309

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4953370

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150323

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250