JP4953306B2 - 水素ガスセンサ製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、常温で高感度、高速に応答し、安価で消費電力が低い水素ガスセンサ容易に製造できる水素ガスセンサ製造方法に関する。
近年、燃料電池自動車、家庭用燃料電池発電装置などの開発が精力的に行われ、今後、水素ガスを供給する水素ガスプラント、水素ステーション等のインフラ整備も進んでいくと予想されている。この燃料としての水素ガスは、環境に与える負荷が小さいクリーンなエネルギーとして優れた特徴を有している。反面、水素ガスは常温常圧の空気中で濃度4%(下限濃度)以上になると急激に反応が進むことも知られている。従って、水素ガスの普及を支えるには、水素ガスが漏洩したときごく微量であってもこれを高感度、迅速に検知できる水素ガスセンサの開発が不可欠である。
さて、水素ガスセンサの研究は古くから行われており、その多くはパラジウム(Pd、以下Pd)や白金(Pt、以下Pt)の水素分子を解離させるという触媒作用を利用したものである。代表的な水素ガスセンサの1つとして、触媒燃焼(触媒表面で吸着解離した水素原子と空気に由来する酸素原子が反応し水分子を生成する)による温度上昇に基づいて水素を検出する接触燃焼式センサや、直接界面電位を測定するFET型のガスセンサがある(例えば、特許文献1)。特許文献1のガスセンサはMISFET(金属−絶縁ゲート型FET)を使ったものであって、ゲート電極としてPdを用い、Pd−SiO2−Si構造を有するものである。この水素ガスセンサでは、検出すべき水素ガスがPd表面で吸着、解離されて原子状態のHとなり、拡散によってSiO2界面に達して界面電位を発生し、この結果FETの特性パラメータである閾値電圧が変化し、この閾値電圧の変化を測定することによって水素ガスの濃度を検出するものである。
今後予想される水素ガス利用の普及状態を考えると、水素ガスセンサに求められる能力は、上記下限濃度の1/400〜1/40程度と評価できる0.01%〜0.1%の濃度範囲の水素ガスを選択的且つ定量的に検出できることが必要であって、従来の接触燃焼式センサや、FET型ガスセンサ等の水素ガスセンサでは限界(1%程度)があり、検出結果のバラツキも大きかった。
ところで、近年カーボンナノチューブ(以下、CNT)を使ってガスを検出するガスセンサ、CNTセンサが注目されている。このCNTセンサは、ガス分子が半導体CNTに吸着すると両者間で電荷移動を起こし、半導体CNTの電気的特性(コンダクタンス、キャパシタンス)が変化するため、この現象を利用してガス検知するものである。例えば、アンモニアガスのような還元性ガスの場合、吸着したガス分子がCNTに電子を与え、p型半導体であるCNTのキャリア(正孔)密度が減少し、CNTのコンダクタンスが低下する。このコンダクタンスの変化をみることによってガスを検知することができる。なお、このようなCNTを使ったCNTセンサについて後述する特許文献3参照。
ここで、水素ガスは還元性ガスではあるが、還元性が低く、CNT単体による水素ガス検出は難しく、還元性を高めるためには水素分子を原子に解離する必要があり、PdやPtなどの触媒金属でCNTを修飾する必要がある。このCNTに対する触媒金属による修飾する方法は既にいくつか提案されており、大別して物理的手法と化学的手法の2つがある。物理的手法の代表的なものとしては電子ビーム蒸着法やスパッタリング法、化学的手法の代表的なものとしては無電解めっき法(非特許文献1参照)などがある。
この化学的手法の中で、PdやPtナノ粒子とカーボンとの酸化還元反応を利用する方法がある(非特許文献2参照)。例えばSi基板上にCVD成長させたCNTをAuやPtの金属塩溶液に浸漬するだけで、CNT表面にこれら金属のナノ粒子が析出することが報告されている。この手法は、その他にもCu、Pd、Agなどイオン化傾向が小さい金属のナノ粒子生成にも適用可能である(非特許文献3参照)。しかし、これらはいずれもPdやPtナノ粒子からこの金属のナノワイヤを作製するためのテンプレート(鋳型)として析出するものであって、CNTセンサとしてどのような析出形態、粒子分布に修飾するのか、まったく開示されていない。センサが高感度に機能するにはPdやPtナノ粒子の修飾状態がセンサ用に適したように十分コントロールされる必要がある。非特許文献2、3の開示はセンサ製造のためには役に立たない。
同様に、炭素原子を主成分とするクラスターの炭素原子に、例えばCNTに、少なくとも一つのプロトン(H+)解離性の基を導入し、得られたクラスター誘導体によって構成されたプロトン伝導体が2つの電極の間に挟持される水素ガスセンサも提案されている(特許文献2)。敏速に正常作動し、かつ幅広い温度領域において使用可能で、低消費電力とガス選択性を実現することができるものであり、このような水素ガスセンサを用いて水素濃度を測定する燃料電池を提供するものである。
しかし、加水分解でCNTにプロトン(H+)解離性の基(OH基)を導入するのは、考え方としてはともかく、現実的には困難であり、強酸で酸処理(OSOH基)するか、プラズマ処理するしか方法がないものであった。また、仮にOH基を導入することができたとしても、難溶解性のCNTに親水性の性格が付与され、加水分解時にCNTの繊維がバラバラとなり、本来の目的であるセンサ製造には使用が難しくなる可能性を秘めている。
さて、以上従来のCNTの修飾方法について説明したが、修飾したCNTをセンサとして利用するためにはこれらを電極間に架橋し、かつCNTと電極間の良好な電気的接触を得る必要がある。このCNTを電極間に架橋したセンサ素子の製造方法には次のような方法があることも開示されている(特許文献3参照)。第1の方法は、一対の電極間にCVD法によってセンサ電極上で多数のCNTを成長させる方法であり、第2の方法は、予め生成した多数のCNTを溶媒に分散して電極間に塗布、乾燥させてランダムに集積する方法である。しかし、これらの方法は、いずれもCNTを自在にコントロールできない方法であり、電極とCNT間に良好な電気的接続を実現できず、CNTを修飾するのに適した架橋とにはならなかった。
さて、このようなマイクロサイズの微小物体を操作する方法として、本出願の発明者の1人は、微小物体に不平等電界を印加して分極させ、この分極した微小物体を誘電泳動力で操作してマイクロ電極に捕集するDEPIM(Dielectrophoretic Impedance Measurement Method)法を研究してきた。そして、このDEPIM法を使って上述したようにCNTガスセンサを提案している(特許文献4参照)。この方法を使うことで、ナノサイズのCNTを自在に操ることができ、良好な電気的接続が可能になり、常温でppmレベルのNO、NHガスなどを精度良く検出することが可能になった。
なお、CNTを利用するものではないが、このほか本発明者らはDEPIM法により、PdやPtなどの金属微粒子を誘電泳動で集積して電極間に架橋したガスセンサも提案している(特願2006−228656)。これはPdやPtなどの金属微粒子の水素吸蔵作用を利用するものである。しかし、高価なPdやPtなどの金属を水素吸蔵金属として架橋するガスセンサは、CNTを使ったガスセンサと比較するとコストパフォーマンスが劣る。また、水素ガスに一度応答すると、その後で水素を含まない空気などのガスでリフレッシュしてもそれが記憶され、繰り返して使用することが難しかった。今後予想される水素ガス利用の普及状態を考えると、使い捨てでなく、繰り返して利用できることが必要である。
特開平9−159633号公報 特開2006−156410号公報 特開2006−329802号公報 特開2003−227808号公報 M.K.Kumar他,"Nanostructured Pt functionalizedmultiwalled carbon nanotube based hydrogen sensor",J.Phys.Chem.B,2006年,vol.110,p.1129−p.11298 H.C.Choi他,"Spontaneos reduction of metal ions on thesidewalls of carbon nanotubes",J.Am Chem.Soc.,2002年,vol.124,p.9058−p.9059 B.Xue他,"Growth of Pd,Pt,Ag and Au nanoparticles oncarbon nanotubes",J.Mater Chem.,2001年,vol.11,p.2378−p.2381
以上説明したように、接触燃焼式センサやFET型ガスセンサは、正確な濃度測定を行うには精度が悪く、製造した個体間でバラツキが多く、数十℃〜数百℃に加熱する必要があり、水素選択性、応答性も十分ではなかった。水素ガスを扱う上で問題も残る。
CNTセンサも、単体で水素ガスを検出することは難しく、どうしても触媒金属による修飾が必要になる。また、塗布などの結果任せの処理をしてCNTを集積する必要があり、簡単に水素ガスセンサを製造することはできなかった。このようにCNTの集積結果の良好性、修飾状態の良好性を向上させるためのコントロールが難しく、今のところ実用性ある水素ガスセンサの製造方法は確立されていない。特許文献2のように、プロトン伝導体を形成することも提案されているが、製造は簡単ではなく、CNTの架橋そのものが崩れてセンサの製造を困難にし感度を低下させるおそれがある。
非特許文献3,4の触媒金属の修飾技術は、いずれもPdやPtナノ粒子からこれら金属のナノワイヤを作製するためのテンプレート(鋳型)としての析出であって、CNTセンサとしてどのような析出の仕方、粒子の分布状況にコントロールするのか、まったく考慮されていない。というのは、テンプレートは最終的には除去され、金属のワイヤになるためである。水素ガスセンサにおいて問題なのは、触媒金属による修飾状態が水素ガスセンサに適するように十分コントロールされることであり、非特許文献2、3の技術はこうした目的がなく、水素ガスセンサ製造のためには示唆を与えない。
そして、今後設置されるであろう水素ガスプラント、水素ガスステーションなどでは、離れた多数の検出点にそれぞれ水素ガスセンサを設置する可能性が高く、この場合バッテリー電源だけで長時間の検出動作をしなければならない。従って、水素ガスセンサとしては低温、低消費電力であることが求められる。そして、高価なPdやPtなどの触媒金属を使い捨てしないで、繰り返して使用することができ、感度、信頼性などを一挙に飛躍させた水素ガスセンサが望まれる。
以上説明した課題の中で1つヒントがある。本発明者の一人が既に提案したDEPIM法によれば、電極間に架橋するCNTの集積処理、またそのコントロールが容易なことである。この上にさらに水素ガスセンサの修飾に適した集積状態の開発を行い、PdやPtなどの触媒金属のナノ粒子を好適な修飾方法で析出させることができれば、高感度のCNT水素ガスセンサを簡単な装置と製造方法で作製することが可能になる。
本発明は、水素ガスに対して、常温で高感度、高速に応答し、信頼性が高く、安価で繰り返し使用することができ、製造が容易な水素ガスセンサとその水素ガスセンサ製造方法を提供することを目的とする。
本発明の水素ガスセンサ製造方法は、カーボンナノ材料を絶縁基板上に形成された一対の電極間で誘電泳動して架橋し、一旦乾燥後、電極材料よりイオン化傾向の小さな触媒金属の塩若しくは錯体の溶液に前記電極を浸漬し、析出する粒子状の触媒金属体によって前記カーボンナノ材料を修飾すると共に、前記電極材料と触媒金属の酸化還元反応を重畳して発生させ前記カーボンナノ材料の表面にこの酸化還元反応に由来する粒子状の触媒金属体を析出させることを主要な特徴とする
本発明の水素ガスセンサとその製造方法によれば、水素ガスに対して、常温で高感度、高速に応答し、信頼性が高く、安価で繰り返し使用することができ、製造が容易な水素ガスセンサを提供することができる。
本発明の第の形態は、カーボンナノ材料を絶縁基板上に形成された一対の電極間で誘電泳動して架橋し、一旦乾燥後、電極材料よりイオン化傾向の小さな触媒金属の塩若しくは錯体の溶液に前記電極を浸漬し、析出する粒子状の触媒金属体によって前記カーボンナノ材料を修飾すると共に、前記電極材料と触媒金属の酸化還元反応を重畳して発生させ前記カーボンナノ材料の表面にこの酸化還元反応に由来する粒子状の触媒金属体を析出させることを特徴とする水素ガスセンサ製造方法である。この構成によって、触媒金属と、その塩若しくは錯体、電極材料、溶媒を選択し、誘電泳動の条件、浸漬時間等の条件を変えるだけで、常温で高感度、高速に応答し、信頼性が高く、安価で繰り返し使用することができ、製造が容易な水素ガスセンサを製造することができる。
本発明の第の形態は、第の形態に従属する形態であって、カーボンに対する触媒金属の原子数比を1%〜25%にすることを特徴とする水素ガスセンサ製造方法である。この構成によって、常温できわめて高感度、高速に応答し、信頼性が高い水素ガスセンサを提供することができる。
本発明の第の形態は、絶縁基板上に形成された一対の電極間にカーボンナノ材料を誘電泳動して架橋し、一旦乾燥後、前記カーボンナノ材料の前記電極からの離脱力と物理吸着力を比較したとき該物理吸着力の方が大きい溶媒に対して、前記電極材料よりイオン化傾向の小さな触媒金属の塩若しくは錯体を溶解し、この溶液に前記電極を浸漬し、析出する粒子状の触媒金属体によって前記カーボンナノ材料を修飾すると共に、前記電極材料と触媒金属の酸化還元反応を重畳して発生させ前記カーボンナノ材料の表面にこの酸化還元反応に由来する粒子状の触媒金属体を析出させることを特徴とする水素ガスセンサ製造方法である。この構成によって、媒金属と、その塩若しくは錯体、電極材料、溶媒を選択し、誘電泳動の条件、浸漬時間等の条件を変えるだけで、常温できわめて高感度、高速に応答し、カーボンナノ材料の架橋端近傍における電極からの剥離を容易に防ぐことができ、信頼性が高い水素ガスセンサを製造することができる。
本発明の第4の形態は、第1から第3の形態に従属する形態であって、溶液中に一対の電極を浸漬して陰極とし、別に浸漬した陽極との間で直流電圧を印加して陰極酸素還元反応させることを特徴とする水素ガスセンサ製造方法である。この構成によって、触媒金属体を電気メッキによって確実に修飾することができる
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における水素ガスセンサと、水素ガスセンサにCNTを集積するCNT集積装置、水素ガスセンサ製造方法について説明をする。図1は本発明の実施の形態1における水素ガスセンサとCNT集積化装置の説明図、図2は本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの液相酸化還元反応の状態を示す説明図、図3(a)は本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの触媒金属粒子を析出させる前のSEM像写真、図3(b)は(a)の触媒金属粒子を析出させた後のSEM像写真、図4は本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの還元反応処理を行ったCNTのEDX分析図、図5(a)は本発明の実施の形態1における水素ガスセンサのCNT上に触媒金属粒子を原子数比6%で析出させたときのSEM像写真、図5(b)は(a)の水素ガスセンサの電CNT上に触媒金属粒子を原子数比80%で析出させたときのSEM像写真である。
図1は本発明の実施の形態1の水素ガスセンサとCNT集積化装置を示す。図1において、1は水素ガスを検出するため基板化された水素ガスセンサ、2a,2bはクロム(Cr)やアルミニウム(Al)などで作製されたキャッスルウォール型、櫛歯型等の一対のマイクロ電極(本発明の電極)、3a,3bはマイクロ電極2a,2bの尖端部分(角の部分となるエッジ)であって不平等電界を形成する電界集中部、4はガラス基板やプラスチック、酸化シリコン等の絶縁基板、5は水素ガスセンサ1を収容して誘電泳動を行う密閉チャンバ、6は電極2a,2bに交流電圧を印加するための電源、7は1kΩ程度の抵抗が設けられたインピーダンス調整装置である。なお、キャッスルウォール型のマイクロ電極2a,2bは図1に示すように平面上で電界集中部3a,3bが最接近する凹凸形状をしているが、櫛歯型のマイクロ電極2a,2bは、櫛のように歯(例えば30μm〜100μm幅)が形成された一対のマイクロ電極が互いに挿入、組み合わされて対向した電極であり、主として電極の厚さ方向の対向する上下のエッジ間に不平等電界が形成される。
マイクロ電極2a,2bの電極材料として例えばCrを使用する場合、絶縁基板4にCr薄膜を真空蒸着などして、フォトリソグラフィーによって電極を形成する。実施の形態1の電極フィンガーはキャッスルウォール型で、長さ5mm、電極最短ギャップ長は5μmである。真空蒸着のほかメッキ、スパッタリング等で成膜するのもよく、薄膜の厚さは50nm〜200nm程度が望ましい。マイクロ電極2a,2bの電極材料は誘電泳動で交流電圧を印加したとき電気分解が生じないようなイオン化傾向の小さい金属である必要があり、後述するCNTを修飾するPdやPt等の触媒金属より、イオン化傾向が大きな材料でなければならない。
次に、8はエタノール等の有機溶媒や水などの溶媒にCNTを強制的に分散させたCNT懸濁液(本発明の溶液)、8aは単層CNT(SWCNT)や多層CNT(MWCNT)などのCNT(本発明のカーボンナノ材料)、9aはCNT懸濁液を供給する導入路、9bはCNT懸濁液を排出する排出路、10はCNT分散溶媒を密閉チャンバ5に供給するためのポンプである。なお、このCNT8aをマイクロ電極2a,2b間で誘電泳動(DEPIM法)して集積した架橋部が、本発明における水素ガスに対するセンサ素子となる。
誘電泳動でCNTをマイクロ電極2a,2bに集積するときは、密閉チャンバ5を介してポンプ10によってCNT縣濁液8を循環させ、密閉チャンバ5内のマイクロ電極2a,2bへ電源6によって交流電圧を印加する。これによって発生する不平等電界で電界強度が最も大きくなる電界集中部間(電極ギャップ)に誘電泳動によってCNT8aを誘導して集積する。CNTの集積後、CNTは溶媒を蒸散させることで乾燥され、ファンデルワアールス力等の物理吸着力で絶縁基板4と電極材料に物理吸着される。
ここで、DEPIM法の誘電泳動力FDEPの説明を行う。誘電泳動力FDEPは複素数表現でFDEP=2πε・a・Re[K]▽Eで表現できる。ここに、ε:懸濁液の誘電率、a:球形近似したときの微小粒子の半径、Re[K]:微小物体と懸濁液の複素誘電率に依存するパラメータ、E:電界強度である。このRe[K]は、誘電泳動に用いる電界の周波数fをパラメータとして、正負に変化する。特定の周波数域、例えば10kHz〜1MHzで正の誘電泳動力が働き、それ以外では負の誘電泳動力が働く。従って周波数を選んで、正の最大の誘電泳動力FDEPを作用させて効果的に微小粒子を集積する必要がある。なお、CNTはアスペクト比が大きく多くは細長い粒子であるが、上記表現の半径aで示した係数が変わるだけで原理的には上記FDEPに従って誘電泳動力の作用を受けることにより電界集中部3a,3bに凝集させられる。
CNT8aは誘電泳動されると、電界的に安定した位置に集積される。S字状、さらに多くの曲がり部分を持って屈曲した多数の細長い繊維状の粒子がマイクロ電極2a,2bの尖端部分の周囲に形成される電界の方向に配向し、互いに重なりあって網の目状となる。図3(a)はこの誘電泳動でマイクロ電極2a,2b間に網の目状に形成されたCNTの架橋を示す。このような網の目は偶然に支配される塗布やCVD成長では決して得られない。センサ素子としてはグラファイトのように平面状に広がったフィルム状のものが好適であるが、CNT8aの種類を選び、誘電泳動を行うことにより、これが整然と簡単に実現できる。また、誘電泳動の時間を調節することで網の目のサイズは粗くも細かくも調整できる。
このようなCNT8aが集積されたセンサ素子を備えた電極の実施例を一例で説明すると、単層CNT(SWCNTs,Sigma−aldrich社製,平均径1nm,1−4mm長,純度50%)をエタノール中に濃度1g/mlで超音波分散し、密閉チャンバ5内にポンプ10を用いて0.5ml/minの流速で循環させ、マイクロ電極2a,2b間に振幅交流10Vpp、周波数100kHzの高周波電圧を印加し、CNTの誘電泳動集積を行い、誘電泳動集積完了後にエタノールを室温で蒸散させて作製すればよい。
続いて、本発明の実施の形態1のマイクロ電極2a,2b間に架橋されたCNT8aを触媒金属で修飾するプロセスの説明を行う。なお、実施の形態1の水素ガスセンサのマイクロ電極2a,2bでは、CNT8aだけでなく、マイクロ電極2a,2b上及びこの近傍にも触媒金属粒子(本発明の触媒金属体)が析出するという特徴を有している。すなわち、CNT8aが還元され、触媒金属が酸化されて触媒金属粒子がCNT8a上に析出するだけでなく、マイクロ電極2a,2b部分で電極材料も還元され、触媒金属粒子がマイクロ電極2a,2b及びこの近傍に析出し、さらにこの酸化還元反応が近傍の触媒金属の酸化をアシストして、CNT8aに対する本来の析出に加えてさらに多くの触媒金属粒子をCNT8aの表面に析出させる。すなわち、CNT8a表面を修飾する触媒金属粒子には、触媒金属の塩若しくは錯体の溶液中に浸漬されたときにCNT8と触媒金属の酸化還元反応で析出する触媒金属粒子と、この溶液中で重畳して起こる触媒金属と電極材料の酸化還元反応に由来して析出する触媒金属体粒子の2種類を含むことになる。
まず、触媒金属粒子で修飾するときの触媒金属で起こる酸化、CNT8aで起こる還元反応について説明する。実施の形態1では、触媒金属でCNT8aを修飾するとき、CNT8aをPdやPt等の触媒金属の塩や錯体の水溶液中に浸漬することで行う。水溶液中の触媒金属とCNT8aは両者のイオン化傾向が異なるため、CNT8aは図2に示すように水溶液中で酸化され、溶液中の触媒金属イオンは電子を得て還元され粒子状の形態でCNT8a表面に析出する。
ところが、実施の形態1の酸化還元反応は、このほか重畳的に電極材料と触媒金属間でも発生する。実施の形態1では、電極材料として触媒金属よりイオン化傾向が大きなCrやAl等の金属を使用しているため、マイクロ電極2a,2bをPdやPt等の触媒金属の塩や錯体の水溶液中に浸漬すると、マイクロ電極2a,2b上でも触媒金属粒子が析出する。
このためCNT8aとマイクロ電極2a,2bとでは、触媒金属とCNT8a、触媒金属と電極材料の間でそれぞれ酸化還元反応が同時に起こることになる。そして、この触媒金属と電極材料の反応がCNT8aの表面への触媒金属の析出を増加させる。すなわち、電極材料との置換によって生成される触媒金属粒子は電極の表面だけでなく、その周囲の絶縁基板4や、CNT8aが集積される電極ギャップ(電界集中部3a,3b間)にも形成される。まず、SEMでは確認できないような小さな触媒金属のナノ粒子(核)が電極ギャップ上で酸化還元反応により置換、核生成されて析出する。従って、CNT表面ではCNT8a本来の置換反応で生成される触媒金属のナノ粒子(核)に加え、電極材料の影響による核が加わって2種類の核が核成長することになり、CNTを多量に修飾することになる。ここで、2つの酸化還元反応がCNT上で核成長させ、重畳的に修飾することになるのは、触媒金属塩溶液のpHや電位などが電極材料−触媒金属の酸化還元反応の存在によって変化し、誘電泳動により網の目状となった凹凸のあるCNT上で核形成、核成長が促されるからとも考えられる。図5(a)(b)の写真をみても、電極材料Crが置換、溶出して拡散されたであろう範囲で核成長が進行しているのが分かる。このように、触媒金属は、イオン化傾向の差が、(電極材料、CNT)>触媒金属の順のイオン化傾向をもっている必要がある。このときCNTの触媒金属による修飾は電極材料由来の作用でCNT単体だけの場合より倍化される。
誘電泳動で作製されたCNT8aの集積体からなるセンサ素子は、電極ギャップの2倍に近い長さの架橋端(両端の合計)を有している。従って、架橋部分の全長の50%から70%程度を占めるCNT8aの架橋端では電極材料の影響が強く上記触媒金属の析出作用が進み易い。この触媒金属の作用により効果的に水素原子を捕捉することが可能になり、CNT8aが水素ガスに触れたとき、鋭敏にコンダクタンスが上昇する。このコンダクタンスの変化を検出すれば高感度で水素ガス濃度を検出できる。
従って、単純に誘電泳動しただけでは、触媒金属のCNT8a上への析出が増加することはないが、触媒金属、CNT、電極材料のイオン化傾向の差を選ぶことによって、触媒金属のCNT上への析出量を大きくすることができる。図5(a)(b)は電極材料がCrである場合に、マイクロ電極を触媒金属(この場合塩化パラジウム(PdCl2)の水溶液に浸漬したとき、Crの表面に触媒金属であるPdの微粒子が多数ほぼ一様に析出していることを示す。
ただ、本発明者らは、触媒金属の析出量は多ければ多いほど感度が良くなるのではない、との新たな知見を得た。すなわち、図6(b)で示すように原子数の比率を表す原子数比が25%を超える状態になると、触媒金属がマイクロ電極2a,2b上に大量に析出した状態になり(図5(b)参照)、この状態では図7に示すように逆にセンサ素子の感度を低下させてしまう。この原因として、1つは電極材料上での触媒金属の析出が過剰に多くなり、水素貯蔵金属でもある触媒金属が水素を貯蔵してしまい、CNT8a上の触媒金属に吸着される水素の量が相対的に低下することがあげられる。また、図6(a)で示すようにこの比率が下限である1%未満になると、触媒金属がCNT8a上に十分析出しておらず(図5(a)参照)、触媒作用が十分でなくなる。ここで図6(a)は本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの触媒金属粒子原子数比が1%に満たない場合のEDX分析図、図6(b)は触媒金属粒子原子数比が25%を超えた場合のEDX分析図、図7は本発明の実施の形態1における水素ガスセンサが原子数比25%のセンサ素子をもつときの水素ガスに対する応答図である。なお、図7は原子数比25%のときの応答図であるが、25%を超えた状態でも、また、1%未満でも同様の応答となる。従って、カーボンに対する触媒金属の原子数比を1%〜25%とするのが高感度のCNTのセンサ素子を作製するためには必要である。
なお、上記したカーボンに対する触媒金属の原子数比はエネルギー分散型X線(以下、EDX)分析により求めればよい。図4に示すように、EDX分析で電極のガラス基板に由来するC、Si、Oと共にPdが検出されるから、このPdの強度に対するCの強度の比をとることでカーボンに対する触媒金属の原子数比を算出できる。
ところで、触媒金属−CNT、触媒金属−電極材料の2つの酸化還元反応は、アセトンなどの有機溶媒を用いた場合でも起こる。しかし、アセトン等の有機溶媒を使った場合、酸化還元反応が弱く、また、せっかくCNT集積装置でマイクロ電極間に集積されたCNTの結束、凝集状態が緩み、剥離し易くなる。確かに有機溶媒を使えばCNTは溶媒に溶解し易く、処理し易くなるが、CNTの架橋端ではCNTが剥離し易くなる。従って、CNTの溶媒中での離脱力が常温でCNTの電極材料に対する物理吸着力より低い溶媒が溶媒として適当である。中でも水を溶媒にするのが最も好適である。なお、この離脱力が物理吸着力より低いか否かは実際には溶媒に漬けて剥がれないかを確認すればよく、また通電して導通性を確認すればよい。また、後述の図13(b)で説明するが、アセトン等の有機溶媒の場合、一度水素ガスに触れると、空気に再度触れてもリフレッシュされず、水素ガスセンサを繰り返して使用することが困難になる。
さて、実施の形態1においては、触媒金属として酢酸パラジウム(Pd(CH3COO)2)を用いたマイクロ電極とした。酢酸パラジウムは本来水には溶け難いが、超音波分散などして懸濁液を得て水を溶媒として利用すればよく、この場合集積したCNT8aの架橋がマイクロ電極2a,2bから剥離しない。一例を挙げると、Pdで修飾するため、酢酸パラジウム50mgをイオン交換水175mlに懸濁し、数時間超音波分散を行って懸濁液とし、不溶物をフィルターで除去を行う。その後CNT8aを誘電泳動で集積したマイクロ電極2a,2bを酢酸パラジウム水溶液に常温で浸漬し、一定時間経過後に溶液から引き上げ、空気中で乾燥させる。そして、以上の処理でCNTがPd修飾されていることを図4に示すようにEDX分析により確認した。
図4のEDX分析によれば、電極のガラス基板に由来するC、Si、Oと共に小さなPdのピークが現れており、CNTがPdで修飾されていることが確認できる。また、この場合のカーボン(CNT)に対してのPdの原子数比は6%程度であった。この付近の原子数比で高感度のセンサ素子を実現できる。従って、触媒金属塩の水溶液にCNTを常温で浸漬するだけで、液相酸化還元反応が起こっていることが確認でき、触媒金属によりCNTが修飾されることが分かる。
なお、併せて走査型電子顕微鏡(SEM)による確認も行った。図3(a)(b)はそれぞれPdの析出前と析出後のSEM像写真であるが、SEM像に大きな変化は見られない。これは、液相酸化還元反応によってCNT表面に析出する金属粒子はナノサイズだからであり、SEMの解像度では観察できないためと考えられる。それは図5(a)の触媒金属の粒子が小さいことからも窺い知ることができる。
続いて、以上説明した実施例1の水素ガスセンサの水素応答特性について説明する。図8は本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの水素ガス検出時のセンサ応答の原理図である。これは、水素ガス検出を行っているときPdで修飾されたセンサ素子上で水素ガスがどのように変化するかを示す。これによれば、触媒金属、ここではPdの作用によって空気中の水素ガス(H)がH→2H+2eの反応を起こす。
すなわち、Pd修飾されたCNTの表面に到達した水素ガス分子(H)は、触媒金属の表面上で解離、水素原子(H)を生じ吸着する。この水素原子(H)がPd内へ拡散し、これに伴いPdの仕事関数が低下し、Pdからp型半導体であるCNTへの電子移動が起こってCNTの還元反応が起こる。その結果、CNT中の正孔キャリア密度が低下し、CNTのコンダクタンスが低下するものと考えられる。
実施の形態1の場合、CNTとマイクロ電極との接合部分では、触媒金属Pdが相対的に多量に析出した状態になっているため、CNT中の正孔キャリア密度が十分に低下し、センサ素子のコンダクタンスが低下するものと考えられる。これによりセンサ素子の感度は向上する。
ここで、具体的に水素応答特性を測定した結果の説明を行う。酢酸パラジウム水溶液に1時間または5分浸漬させたPd修飾CNTを備えた水素ガスセンサの空気希釈水素(濃度1%)に対する常温での応答をそれぞれ図9(a)(b)に示す。図9(a)は本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの1時間浸漬処理したセンサ素子の空気希釈水素に対する応答図、図9(b)は本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの5分間浸漬処理したセンサ素子の空気希釈水素に対する応答図である。空気と水素ガスへの暴露を交互に行ったものである。いずれも縦軸は、コンダクタンスの変化量ΔGをセンサ素子の初期コンダクタンスGで規格化したセンサ応答(規格化コンダクタンス)で表している。
これによると、どちらのセンサも水素暴露直後に規格化コンダクタンスは減少し、数分以内で飽和した。その後空気に切り換えると規格化コンダクタンスは指数関数的に初期値に戻り、再び水素を暴露すると同様の応答が再現性よく得られた。なお、図9(a)(b)は1時間と5分の応答だけしか示していないが、触媒金属塩を浸漬する浸漬時間(処理時間)が1時間以下の場合、時間が長いほどセンサ応答(規格化コンダクタンス)は大きくなる。
図9(b)に示す5分浸漬させた水素ガスセンサの応答量は、図9(a)に示す1時間浸漬させたセンサ素子のセンサ応答の約50%(水素ガス濃度1%のとき前者のΔG/Gは−0.04、後者のΔG/Gは−0.09)であり、応答量は小さくなっている。しかし、この場合も十分に水素検出は可能である。なお、Pd修飾を施さないCNTを備えた水素ガスセンサは水素ガスに殆ど応答しなかった。5分浸漬させたセンサ素子のコンダクタンスの浸漬前からの増加率は1.2であるが、1時間浸漬させたセンサ素子のコンダクタンスの浸漬前からの増加率は2.2であった。
次に、触媒金属塩溶液中の酸化還元反応でPd修飾したCNTを備えた水素ガスセンサの特性について詳しく説明する。図10は本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの水素ガス濃度を変化させたときの応答図であり、図11は本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの水素ガス濃度とコンダクタンス時間変化率の関係図である。図10は図9(a)のPd修飾水素ガスセンサの濃度0.01%−1%の水素に対するセンサ応答を示すものである。図10によれば、0.01%の水素に対しても規格化コンダクタンスは減少しており、0.01%の水素が常温で検出可能であることが分かる。水素濃度が高いほど、センサ応答飽和値と水素暴露直後のコンダクタンス時間変化率は大きくなる。このうち、センサ応答飽和値は水素濃度に対して線形性を示さないが、水素暴露直後のコンダクタンス時間変化率は図11に示すようにほぼ水素濃度に比例しており、このコンダクタンス時間変化率を水素ガス濃度の定量に利用できる。なお、図10が煩雑になるので図10には図示はしなかったが、5%、0.05%の水素ガスのセンサ応答も同一の傾向を示し、ガス濃度に比例した応答を示す結果を得ている。
続いて、実施の形態1における水素ガスセンサのガス選択性について説明する。実施の形態1のPd修飾したCNTを備えたセンサ素子は、以上の説明から分かるように感度、再現性、定量性、動作温度などの点で今後予想されるニーズに十分に応えることができる実用性を備えたものである。そこで、この実用化に際して重要なガス選択性について説明する。
この選択性を評価するガスとして、大気中に存在しており、且つCNTを備えたセンサ素子が応答しやすいガスとして知られている二酸化窒素(NO)を用いた。Pd修飾前後のCNTを備えた水素ガスセンサのNO(1ppm)に対する応答を図12(a)(b)に示す。図12(a)は本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの触媒金属修飾前のNOに対する応答図、図12(b)は本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの触媒金属修飾後のNOに対する応答図である。どちらのセンサ素子も、NO暴露によって規格化コンダクタンスが上昇したが、Pd修飾したセンサ素子の応答量は修飾前の約60%に低下した。これは、Pd修飾によってNOの吸着サイトが減少したためであるとも考えられ、Pd修飾によって水素以外へのガスへの応答を抑制できる可能性を示唆している。
さて、以上説明した触媒金属の塩は酢酸パラジウムであり、溶媒は水を使用したものであった。そこで、以下、(1)触媒金属の塩を塩化パラジウム(PdCl)に変え、溶媒を水にした水素ガスセンサと、(2)触媒金属塩は酢酸パラジウムであるが、溶媒に有機酸であるアセトンを用いた場合を説明する。図13(a)は本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの触媒金属を塩化パラジウムとしたときの応答図、図13(b)は本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの溶媒をアセトンにしたときの応答図である。
図13(a)は触媒金属を塩化パラジウム(PdCl)、溶媒に水とした水素ガスセンサのセンサ応答(規格化コンダクタンス)を示している。これによれば、上述した酢酸パラジウムの場合と同等の作用効果を奏していることが分かる。このほか、例えば塩化白金酸カリウム(K[PdCl])等の白金塩でも、溶媒を水にしたときは同様のセンサ応答(規格化コンダクタンス)が得られる(図示はしない)。5分間塩化パラジウムに浸漬させたセンサ素子のコンダクタンスの浸漬前からの増加率は2.8であり、水素暴露時のΔG/Gは−0.05であった。
次に、触媒金属塩を酢酸パラジウム、溶媒にアセトンを用いた場合を説明する。図13(b)に示すように、この場合の水素ガスセンサは空気と水素ガスに交互に暴露したとき問題を生じる。水素ガスに暴露したあと、さらに空気に曝したとき、初期値に復帰しない。従って、再現性が悪く水素ガスセンサを繰り返し使用することが難しくなる。なお、この水素ガスセンサは5分酢酸パラジウムに浸漬したものでセンサ素子のコンダクタンスの浸漬前からの増加率は1.7であり、3回目の水素暴露時のΔG/Gは−0.02であった。上述したように、浸漬処理を行う溶媒としてはCNTの溶媒中での離脱力が物理吸着力より低い水が好適であり、アセトンのような有機溶媒は浸漬処理を行う溶媒としては適当ではない。
以上のことから、上述した酸化還元反応によるCNTを備えた水素ガスセンサに対する触媒金属による修飾は、常温動作可能な高感度の水素ガスセンサのセンサ素子を作製する手法としてきわめて有効であることが分かる。その最大の特徴はその作製の簡便性であって、予め誘電泳動で作製したCNTを備えた水素ガスセンサを触媒金属塩に数分〜数時間浸漬して乾燥させるだけでよい。この浸漬時間を調整すれば簡単にカーボンに対する触媒金属の原子数比を1%〜25%とすることができる。そして、CNTを集積するときにDEPIM法を用いることにより、修飾されたフィルム状のCNTを簡便且つ安価に作製するが可能になる。
次に、CNTを備えた水素ガスセンサの初期コンダクタンス(水素暴露前の値)を、触媒金属(Pd)修飾処理前後で比較した結果を(表1)に示す。
(表1)によれば、Pd修飾処理によって初期コンダクタンスは増加している。これは、修飾処理によってCNTはPdと逆に酸化され、コンダクタンスが増加したためであると思われる。なお、陰極還元反応の場合は実施の形態2で詳述する。この初期コンダクタンスの増加割合からPd修飾の程度を定量できる可能性がある。例えば、浸漬時間が1時間の場合の初期コンダクタンス増加は5分の場合よりも大きく、これは図9に示したセンサ応答の差と定性的に一致している。そして、浸漬時間を調整することでセンサ素子の応答性を容易に制御することが可能になる。このとき、上述したようにカーボンに対する触媒金属の原子数比を1%〜25%にする浸漬時間を選択する必要がある。
このように実施の形態1の水素ガスセンサの製造方法は、酸化還元反応による触媒金属修飾によって常温動作可能な高感度の水素ガスセンサを提供でき、簡便かつ安価に製造することができる。また、この水素ガスセンサによれば、少なくとも濃度0.01%〜0.1%の空気中水素を常温で1分以内に可逆的に検出するができる。
また、この水素ガスセンサの応答は水素濃度が高いほど大きくなるので、高感度のセンサを作製するのが容易であり、暴露直後のコンダクタンス時間変化率は水素濃度にほぼ比例するため、高速応答が可能になる。そして、水素選択性に優れた水素ガスセンサを提供できる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における水素ガスセンサと、水素ガスセンサ製造方法について説明をする。図14は本発明の実施の形態2における水素ガスセンサの陰極酸化還元反応の状態を示す説明図、図15は本発明の実施の形態2における水素ガスセンサのセンサ応答図である。実施の形態1の水素ガスセンサと、CNT集積装置についての説明は実施の形態2においても同様であるので、図面は参照し、説明は省略する。
図13において、21は触媒金属塩塩または錯体の溶液中にCNTを集積したマイクロ電極2a,2bを浸漬して陰極とし、これとは別に浸漬して設けられる陽極、22はこの陰極と陽極22の間に直流電圧を印加する電源である。
実施の形態2では、CNTが架橋されたマイクロ電極2a,2bの一方を陰極、陽極22との間に直流の電源22によって直流電圧を印加する。これにより、CNTとマイクロ電極2a,2bの表面には触媒金属、例えばPdが析出する。実施の形態1の水素ガスセンサは、触媒金属とCNTのイオン化傾向の差を利用してきわめて簡便な処理で触媒金属修飾を行ったが、実施の形態2の水素ガスセンサは電気化学的に触媒金属を確実に析出させる点だけが相違している。
実施の形態2の陰極還元反応により触媒金属修飾したCNTを備えた水素ガスセンサの空気希釈水素(濃度1%)に対するセンサ応答を図15に示す。このセンサ応答は、図8(a)に示した浸漬のみによる酸化還元反応で触媒金属修飾した水素ガスセンサのセンサ応答と応答量、応答速度共にほぼ同一であった。ほぼ差はみられない。
このように本発明の実施の形態2における水素ガスセンサと、水素ガスセンサ製造方法は、電気メッキによって確実に触媒金属体をCNTに修飾することができ、常温動作可能な高感度の水素ガスセンサを提供でき、簡便かつ安価に製造することができる。また、この水素ガスセンサによれば、少なくとも濃度0.01%〜0.1%の空気中水素を常温で1分以内に可逆的に検出するができる。
本発明は、水素ガスプラントや水素ステーション、あるいは燃料電池の水素ガスの漏洩を検知する水素ガスセンサに適用できる。
本発明の実施の形態1における水素ガスセンサとCNT集積化装置の説明図 本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの液相酸化還元反応の状態を示す説明図 (a)本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの触媒金属粒子を析出させる前のSEM像写真、(b)(a)の触媒金属粒子を析出させる後のSEM像写真 本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの還元反応処理を行ったCNTのEDX分析図 (a)本発明の実施の形態1における水素ガスセンサのCNT上に触媒金属粒子を原子数比6%で析出させたときのSEM像写真、(b)(a)の水素ガスセンサのCNT上に触媒金属粒子を原子数比80%で析出させたときのSEM像写真 (a)本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの触媒金属粒子原子数比が1%に満たない場合のEDX分析図、(b)触媒金属粒子原子数比が25%を超えた場合のEDX分析図 本発明の実施の形態1における水素ガスセンサが原子数比25%のセンサ素子をもつときの水素ガスに対する応答図 本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの水素ガス検出時のセンサ応答の原理図 (a)本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの1時間浸漬処理したセンサ素子の空気希釈水素に対する応答図、(b)本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの5分間浸漬処理したセンサ素子の空気希釈水素に対する応答図 本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの水素ガス濃度を変化させたときの応答図 本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの水素ガス濃度とコンダクタンス時間変化率の関係図 (a)本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの触媒金属修飾前のNOに対する応答図、(b)本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの触媒金属修飾後のNOに対する応答図である。 (a)本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの触媒金属を塩化パラジウムとしたときの応答図、(b)本発明の実施の形態1における水素ガスセンサの溶媒をアセトンにしたときの応答図 本発明の実施の形態2における水素ガスセンサの陰極酸化還元反応の状態を示す説明図 本発明の実施の形態2における水素ガスセンサのセンサ応答図
符号の説明
1 水素ガスセンサ
2a,2b マイクロ電極
3a,3b 電界集中部
4 絶縁基板
5 密閉チャンバ
6,22 電源
7 インピーダンス調整装置
8 CNT懸濁液
8a CNT
9a 導入路
9b 排出路
10 ポンプ
21 陽極

Claims (4)

  1. カーボンナノ材料を絶縁基板上に形成された一対の電極間で誘電泳動して架橋し、一旦乾燥後、電極材料よりイオン化傾向の小さな触媒金属の塩若しくは錯体の溶液に前記電極を浸漬し、析出する粒子状の触媒金属体によって前記カーボンナノ材料を修飾すると共に、前記電極材料と触媒金属の酸化還元反応を重畳して発生させ前記カーボンナノ材料の表面にこの酸化還元反応に由来する粒子状の触媒金属体を析出させることを特徴とする水素ガスセンサ製造方法。
  2. カーボンに対する前記触媒金属の原子数比を1%〜25%にすることを特徴とする請求項記載の水素ガスセンサ製造方法。
  3. 絶縁基板上に形成された一対の電極間にカーボンナノ材料を誘電泳動して架橋し、一旦乾燥後、前記カーボンナノ材料の前記電極からの離脱力と物理吸着力を比較したとき該物理吸着力の方が大きい溶媒に対して、前記電極材料よりイオン化傾向の小さな触媒金属の塩若しくは錯体を溶解し、この溶液に前記電極を浸漬し、析出する粒子状の触媒金属体によって前記カーボンナノ材料を修飾すると共に、前記電極材料と触媒金属の酸化還元反応を重畳して発生させ前記カーボンナノ材料の表面にこの酸化還元反応に由来する粒子状の触媒金属体を析出させることを特徴とする水素ガスセンサ製造方法。
  4. 前記溶液中に前記一対の電極を浸漬して陰極とし、別に浸漬した陽極との間で直流電圧を印加して陰極酸素還元反応させることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の水素ガスセンサ製造方法。
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