JP4953275B2 - ガソリン基材の製造方法及びガソリン組成物 - Google Patents

ガソリン基材の製造方法及びガソリン組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ガソリン基材の製造方法、及び当該方法によって製造されたガソリン基材を配合して製造したガソリン組成物に関する。特には、低オクタン価のナフサ留分を骨格異性化し、得られた異性化生成物から低分岐数の低オクタン価留分を分離して、さらに骨格異性化を施し、オクタン価の高い多分岐飽和脂肪族炭化水素に富んだガソリン基材を製造する方法に関する。
近年、自動車燃料による環境汚染が社会問題となってきており、環境負荷の少ない自動車燃料が切望されている。燃料油中の硫黄分は燃焼時に排ガス触媒の性能を低下させることが知られており、10質量ppm、さらに1質量ppmに低減する要求が高まっている。加えてガソリン中の芳香族分、オレフィン分も環境に悪影響を及ぼす可能性も指摘されている。高オクタン価燃料としては、例えば芳香族分を多く含むものが知られているが、該燃料は排ガス中の芳香族化合物の量を増加する。また、自動車燃料の低硫黄化によって、排ガス触媒の性能維持による環境負荷の低減(特に排ガス中の炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)などの低減)も望まれている。しかし、使用する基材の性状やブレンド比率によっては、低硫黄化により、製品の運転性能の悪化を引き起こす場合がある。
そこで、高オクタン価炭化水素化合物であるアロマ、オレフィンを用いる代わりに、比較的オクタン価の高い分岐状飽和脂肪族炭化水素を主成分とするガソリン基材を製造する必要がある。オクタン価の低い直鎖状飽和脂肪族炭化水素を分岐状飽和脂肪族炭化水素に、あるいは分岐数の少ない飽和脂肪族炭化水素を分岐数の多い飽和脂肪族炭化水素に変換する方法として、骨格異性化反応が挙げられる。骨格異性化反応には、従来から酸触媒が使用されてきたが、この反応は熱平衡に支配されている点が特徴であり、反応温度が低温であるほど分岐数の多い飽和脂肪族炭化水素が安定に存在するため、低温でも高活性を示す触媒が望まれていた。例えば、炭素数が4のブタンには直鎖状でオクタン価94のノルマルブタンと分岐状でオクタン価101のイソブタンの、2種類の異性体が存在するが、反応温度300℃における直鎖体/分岐体比は53/47であるのに対し、200℃では47/53、100℃では30/70となり、低温ほどオクタン価の高い分岐体の比率が増加する傾向がある(非特許文献1参照)。異性化触媒としては、硫酸ジルコニア、タングステン酸ジルコニア等の固体超強酸触媒に白金を担持した触媒が報告されている(非特許文献2)。また、固体超強酸の酸強度測定方法としては、ハメット指示薬によるハメット酸度関数を用いる方法が良く使用される(非特許文献3)。
これまで、炭素数6以下の飽和脂肪族炭化水素を原料として用いる異性化反応は利用され、特に触媒として塩素化アルミナに貴金属を担持した触媒は活性が高く、これを用いるプロセスは既に広く普及している。しかし、このプロセスを用いた場合、触媒中の塩素が反応中に脱離してしまい、触媒活性が低下するのみならず、装置に対して塩素腐食を起こすことや、生成油の安定性を低下させること、環境に悪影響を与えずに廃塩素類を処理するには多大のコストがかかる等の理由から好ましくない。
また、炭素数7以上の飽和脂肪族炭化水素を原料油に用いて異性化反応を行なうと、安定な三級カルボカチオンが生成しやすいため、ガソリン基材として好ましくない分解反応も並行して起こってしまうことから、効率的な異性化は困難とされてきた。
一方、低オクタン価飽和脂肪族炭化水素である直鎖状飽和脂肪族炭化水素の分離方法としては、分岐状飽和脂肪族炭化水素と分子サイズの違いから、吸着分離または膜分離が広く知られている。
直鎖状飽和脂肪族炭化水素、分岐状飽和脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素類に分離する方法は開示されている(特許文献1参照)が、炭素数7以上の留分を異性化した異性化反応生成物などの分離方法については何ら開示されておらず、多段の分離工程を必要とするため特に困難であると言われている。また、直鎖状飽和脂肪族炭化水素と分岐状飽和脂肪族炭化水素の分離については既に報告例はある(特許文献2参照)が、具体的な異性化反応については、同様に何ら開示されていない。また、炭素数7以上の留分に対する異性化反応、及び直鎖状飽和脂肪族炭化水素と分岐状飽和脂肪族炭化水素の分離について開示されている(特許文献3参照)ものの、イオン性液状触媒を用いるものであり、触媒の分離工程を必要とするため実用的ではなく、また使用する触媒の酸強度が不十分であるため効果的な低温での高活性を得ることは難しい。さらに、1分岐飽和脂肪族炭化水素と多分岐飽和脂肪族炭化水素とを分離する方法も開示されている(特許文献4参照)が、やはり異性化反応自体は実用的に特段の効果を有するものではなかった。
特開平11−236574号公報 特開2002−348579号公報 特開2003−327972号公報 特許2673907号 石油学会編「石油化学プロセス 3.水素化・脱水素」193頁(1963) 荒田、PETROTECH、733〜739頁、第19巻、9号(1996) 荒田、表面、481〜491頁、第28巻、7号(1990)
本発明は、高オクタン価である分岐状飽和脂肪族炭化水素を多く含有するガソリン基材を効率よく製造するガソリン基材の製造方法を提供することを目的とするものである。さらに、このようにして調製された飽和脂肪族炭化水素を主成分とする高オクタン価のガソリン基材を用いて、環境負荷の高い芳香族分やオレフィン分を多用することなく高オクタン価のガソリン組成物を効率よく調製し、提供することを目的とする。
これまでは、異性化反応は熱平衡に支配されているため平衡値以上の異性化選択性は期待しにくかったことから、飽和脂肪族炭化水素系を主成分とし、芳香族分やオレフィン分を低減した高オクタン価のガソリン基材、又はガソリン組成物を製造することは困難であった。
本発明者は、適切な触媒を使用する異性化工程と適切な分離方法を用いる分離工程とを組み合わせ、この課題を解決した。すなわち、細孔特性が制御されたモレキュラーシーブ、分離膜を用いれば、その分子サイズの差あるいは吸着・透過能力の差から、オクタン価の低い直鎖状飽和脂肪族炭化水素とオクタン価の高い分岐状飽和脂肪族炭化水素との分離、さらに1分岐飽和脂肪族炭化水素とよりオクタン価の高い多分岐飽和脂肪族炭化水素との分離が可能である。また、同一炭素数の炭化水素の中で比較すると、一般的に分岐数が増えるほどオクタン価が高く、沸点が低くなることから、精密蒸留を用いれば、沸点が低く、かつオクタン価が高い化合物を分離することが可能となり、熱平衡以上のオクタン価を有するガソリン基材を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、次のとおりのガソリン基材の製造方法、又はガソリン組成物である。
(1)ナフサ留分を異性化してより高いオクタン価を有するガソリン基材を製造する方法において、ナフサ留分を異性化する異性化反応工程、及び異性化反応工程で生成した異性化反応生成物を低オクタン価化合物群と高オクタン価化合物群に分離する工程を含み、前記の異性化反応工程において、ハメット酸度関数が−12より小さい固体酸触媒を用いるガソリン基材の製造方法。
(2)低オクタン価化合物群は、分岐数1以下の飽和脂肪族炭化水素を主成分として含み、これに対応して高オクタン価化合物群は、分岐数2以上の飽和脂肪族炭化水素を主成分として含み、高オクタン価化合物群に対する低オクタン価物の分離係数が10以上である、上記(1)に記載のガソリン基材の製造方法。
(3)固体酸触媒は、周期律表第IV族の元素、周期律表第VI族の元素、及び周期律表第VIII族の元素を含み、かつ、原料ナフサ留分さらには低オクタン価化合物群を水素の存在下に前記固体酸触媒と接触する、上記(1)又は(2)に記載のガソリン基材の製造方法。
(4)周期律表第IV族の元素が、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、及びスズからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、周期律表第VI族の元素が、タングステン、硫黄、及びモリブデンからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、及び周期律表第VIII族の元素が、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、鉄、コバルト、及びニッケルからなる群から選ばれる1種以上の元素である上記(3)に記載のガソリン基材の製造方法。
(5)分離工程が、ケイ素、アルミニウム及び炭素からなる群から選ばれる1種以上の元素を含有する吸着剤による分離工程、分離膜による分離工程、精密蒸留による分離工程、又はそれらの2種以上の組み合わせによる分離工程である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のガソリン基材の製造方法。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のガソリン基材の製造方法により得られたガソリン基材を配合して得られた、リサーチ法オクタン価が90以上、硫黄分が10.0質量ppm以下、50容量%留出温度が100℃以下、蒸気圧が65kPa以下、かつ、直鎖状飽和脂肪族炭化水素の含有量が9.0容量%以下であることを特徴とするガソリン組成物。
(7)硫黄分が1.0質量ppm以下である、上記(6)に記載のガソリン組成物。
本発明は、上記のガソリン基材の製造方法により、分岐状飽和脂肪族炭化水素を多く含有する高オクタン価のガソリン基材の製造方法を提供することができる。すなわち、分離工程で異性化生成物から高オクタン価化合物を分離することにより、熱平衡以上の高いオクタン価を有するガソリン基材を得ることができる。
また、このようにして調製された分岐状飽和脂肪族炭化水素を主成分とする高オクタン価のガソリン基材を用いることによって、相対的に環境負荷の高い芳香族分やオレフィン分を多用せずに高いオクタン価を有するガソリン組成物を調製し、提供することができる。前記の「相対的に」なる用語は、本発明のガソリン組成物と従来のガソリン組成物を比較したとき、RONが同じであれば、本発明のガソリン組成物は芳香族分やオレフィン分を少なくすることができ、芳香族分やオレフィン分の含有量が同じであれば、RONを高くすることができることを意味する。
さらに、本発明から得られるガソリン組成物については、分岐状飽和脂肪族炭化水素の含有量が多いことから、ガソリンエンジン用燃料としてはもちろんのこと、これに加えて燃料電池用の燃料としても、エネルギー効率の高い性能を有しており、共用ガソリンとしても使用することができる。
本発明のガソリン基材の製造方法は、基本的には1つの異性化反応工程と、そこで生成した異性化反応生成物を高オクタン価化合物群と低オクタン価化合物群とに分離する分離工程からなる方法であり、適切な異性化処理方法と、適切な分離方法とを最適に組み合わせることにより、異性化工程での熱平衡により制約される高オクタン価の分岐状飽和脂肪族炭化水素を、より多く製造する方法である。なお、本明細書中で単にオクタン価といった場合、リサーチ法オクタン価(RON)を指す。
すなわち、本発明のガソリン基材の製造方法は、ナフサ留分を異性化してより高いオクタン価を有するガソリン基材を製造する方法において、ナフサ留分を異性化する異性化反応工程、及び異性化反応工程で生成した異性化反応生成物を低オクタン価化合物群と高オクタン価化合物群に分離する分離工程を含み、前記の異性化反応工程で、ハメット酸度関数が−12より小さい固体酸触媒を用いることを特徴とする。さらに、前記分離工程において、好ましくは高オクタン価化合物群に対する低オクタン価物の分離係数が10以上であることを特徴とする
本発明において、低オクタン価化合物群とは、分岐数1以下の飽和脂肪族炭化水素を主成分として50容量%以上含む留分であり、これに対応して高オクタン価化合物群は、分岐数2以上の飽和脂肪族炭化水素を主成分として50容量%以上含む留分をいう。なお、分岐数1以下の飽和脂肪族炭化水素とは、分岐数が0の飽和脂肪族炭化水素(すなわち直鎖状飽和脂肪族炭化水素)と、分岐数が1の分岐状飽和脂肪族炭化水素(1分岐飽和脂肪族炭化水素ともいう)を総称したものである。また、分岐数2以上の飽和脂肪族炭化水素は、多分岐飽和脂肪族炭化水素ともいう。
(異性化工程)
分岐数が1以下の飽和脂肪族炭化水素を分岐度の高い化合物へ変換する異性化工程には、異性化触媒としてハメット酸度関数が−12以下、さらに好ましくは−13以下、特に好ましくは−13.5以下である固体酸触媒を使用する。ここで酸度関数が−12よりも大きい、すなわち酸強度が弱い触媒を使用した場合には、異性化反応に要する温度が高くなり、熱平衡的に十分な多分岐飽和脂肪族炭化水素を得ることができないため、オクタン価の面からは不利となる。本発明においては、周期律表第IV族の元素、周期律表第VI族の元素、及び周期律表第VIII族の元素を含有する固体酸触媒が好ましい。
周期律表第IV族の元素は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、スズからなる群から選ばれる1種以上の元素であることが好ましく、特にジルコニウムが好ましい。
周期律表第VI族の元素は、タングステン、硫黄、モリブデンからなる群から選ばれる1種以上の元素であることが好ましく、特に硫黄あるいはタングステンが好ましい。
また、周期律表第VIII族の元素は、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、鉄、コバルト、ニッケルからなる群から選ばれる1種以上の元素であることが好ましく。されに、白金、パラジウム、及びルテニウムが好ましく、特に白金が好ましい。
固体酸触媒として、具体的には、ジルコニアを含む担体に硫酸分と白金を担持した「白金硫酸ジルコニア」、ジルコニアを含む担体にタングステンの酸化物成分と白金を担持した「白金タングステン酸ジルコニア」、酸化スズを含む担体に硫酸分と白金を担持した「白金硫酸酸化スズ」などに代表される固体酸触媒が好ましく用いられる。
このような固体酸触媒中に周期律表第IV族の元素を、当該元素として、10〜72質量%、好ましくは15〜65質量%、特には20〜60質量%含むことが好ましい。この元素は多すぎても少なすぎても、十分な酸強度を維持することができなくなるため好ましくない。また、周期律表第VIII族の元素の割合(当該元素含有量の平均値)は、当該元素として、0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%、特には0.1〜3質量%である。周期律表第VIII族の元素の含有量が少なすぎると、触媒性能向上効果が低く好ましくない。この元素の含有量が多すぎると、触媒の比表面積や細孔容積の低下を引き起こすため好ましくない。
周期律表第VI族の元素(タングステン、硫黄、モリブデン)の含有量は、個々の固体酸触媒とそこに用いる第VI族の元素によって大きく異なる。例えば、白金硫酸ジルコニアでは、触媒中に占める硫酸分の割合は硫黄元素として0.7〜7質量%が好ましく、さらには1〜6質量%、特には2〜5質量%が好ましい。一方、白金タングステン酸ジルコニアでは、触媒中に占めるタングステン分の割合はタングステン金属元素として2〜30質量%、特に5〜25質量%、さらには10〜20質量%含むことが好ましい。モリブデンもタングステンと同様の含有量が好ましい。
また、触媒中にアルミナをアルミニウム元素として5〜30%、好ましくは7〜28質量%、特には8〜25質量%含むことが好ましい。または、ゼオライトなどの複合金属酸化物として含んでもよい。ジルコニア部分は実質的に正方晶ジルコニアからなることが好ましい。
固体酸触媒の比表面積は50〜500m/gが好ましく、さらには100〜300m/g、特には140〜200m/gが好ましい。比表面積はBET法によって測定できる。
本発明に用いる固体酸触媒の細孔構造に関して、細孔直径は0.002〜10μmが好ましく、細孔直径0.002〜0.05μmの範囲については窒素吸着法により、細孔直径0.05〜10μmの範囲は水銀圧入法により測定できる。0.002〜10μmの細孔直径を有する固体酸触媒の細孔容積は0.2cm/g以上が好ましく、さらには0.3cm/g以上、特には0.35〜1.0cm/gが好ましい。
固体酸触媒の形状は特に限定されるものではなく、粉末状、ペレット状、タブレット状、ビーズ状などどのような形状でもかまわないが、粉体よりも成形された形状がより好ましい。例えば、押出し成形で容易に得ることができる断面が円の円柱状やクローバ型などの異形の柱状(平均径約1.5mm、長さ約4.0mm)のペレットあるいはエクストゥルード(extrude)と呼ばれる形態の固体酸触媒を好ましく用いることができる。
反応温度80〜350℃、反応圧力0.5〜5MPa、水素/原料油比0.01〜20mol/mol、液空間速度(LHSV)0.01〜10h−1の反応条件で異性化反応を進めると、直鎖状飽和脂肪族炭化水素が異性化されて分岐状飽和脂肪族炭化水素が増加する。前記の反応条件の中でも特に好ましい反応条件としては、例えば、反応温度100〜300℃、反応圧力1〜3MPa、水素/原料油比0.1〜10mol/mol、LHSV:0.1〜5h−1である。
(原料油)
本発明に用いる原料油のナフサ留分は、典型的には、石油精製工程から得られた蒸留操作などにより分取されるいわゆるナフサ留分である。原油の常圧蒸留や各種の留出油の水素化脱硫装置、水素化分解装置、接触改質装置、流動接触分解装置などから得られるナフサ留分、また、必要に応じてさらに蒸留分離した留分を用いることができる。また、石炭液化や天然ガスから合成された炭化水素油や、さらに、これらを分解して得られた炭化水素油も、後述の蒸留性状を有するナフサ留分相当の炭化水素油であれば原料として用いることができる。
ナフサ留分として、具体的には、少なくとも40〜50℃の、好ましくは30〜60℃の沸点成分を含むライトナフサ留分や、少なくとも90〜110℃の、好ましくは90〜140℃の沸点成分を含むヘビーナフサ留分が挙げられる。さらには、ライトナフサ留分は、10容量%留出温度が10〜50℃、特には、20〜45℃であり、95容量%留出温度が50〜90℃、特には、60〜80℃である蒸留性状を有する。ヘビーナフサ留分は10容量%留出温度が80〜140℃、特には、90〜120℃であり、95容量%留出温度が140〜220℃、特には、140〜200℃である蒸留性状を有する。本願発明に用いるナフサ留分として、ライトナフサ留分及びヘビーナフサ留分のいずれか一方、またはそれらの適宜の割合の混合物を使用できる。
また、より多くの高オクタン価化合物を得るには、後述する分離工程で分離した分岐数1以下の飽和脂肪族炭化水素が主成分である低オクタン価化合物群を再度、異性化工程に用いることがより好ましい。
(分離工程)
一般的に炭化水素化合物の分離方法としては、吸着分離、膜分離、及び化合物の沸点差を利用する蒸留分離が知られている。蒸留分離の場合、石油精製で用いられる炭化水素化合物は、通常多数の化合物から構成される混合物であり、炭素数の分布が広いために、分子形状(分子構造ないし分子の骨格)で分離するには限界がある。
それに対して、吸着分離や膜分離のように、分子形状の違いを利用して分離するプロセスでは、分子量の違いの影響も多少あるものの、それよりも分子形状の違いに影響を受けやすいため、例えば、多成分の混合油の中から、直鎖状飽和脂肪族炭化水素のみを分離する場合、有用な手法である。
吸着分離に用いる吸着剤として、多孔質無機酸化物が好ましく、例えば、A型ゼオライト、ZSM−5型(MFI型)ゼオライト、Y型ゼオライト、X型ゼオライトに代表される各種ゼオライト、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、マグネシア、ジルコニア、白土、ケイソウ土、活性炭、合成樹脂等が挙げられる。吸着剤は、上記化合物の1種のみで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。例えば、A型ゼオライトの場合、分子サイズの小さい直鎖状飽和脂肪族炭化水素のみが吸着剤の細孔の中に取り込まれて吸着され、引き続き、より吸着力の高い化合物を接触させることによって、吸着された直鎖状飽和脂肪族炭化水素を脱離し単離することができる。脱離の際に、温度差や圧力差を利用して脱離させることもできる。
各種ゼオライトにおいて、吸着分離性能に寄与する陽イオンは、プロトンの他、ナトリウム(Na)、カリウム(K)などのアルカリ金属や、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属が細孔径の精密制御や安定性から好ましいが、遷移金属を用いることもできる。遷移金属としては、具体的には、銀(Ag)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等が挙げられる。また、ゼオライト以外の上記のシリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、マグネシア、ジルコニア、白土、ケイソウ土、活性炭、合成樹脂等の吸着剤も、これらの陽イオンを含有し、吸着性能を向上させたものであっても良い。吸着剤の形状は、粉末状、ペレット状、タブレット状、またはビーズ状であることが好ましい。
吸着分離において、圧力は、分離能の面から低圧が好ましく、特に0.1〜0.5MPaが好ましい。分離操作温度は、特に限定されるものではないが、吸着速度と吸着平衡から適した温度を求めて用いればよく、一般的には0〜200℃が好ましく、より好ましくは20〜100℃が採用される。空間速度(液体の場合はLHSV、気体の場合はGHSV)は過剰に高すぎると分離能力が低下し、逆に低すぎると装置が大きくなりすぎるため、適した範囲に設定する。具体的には、液体の場合、LHSVは0.05〜10h−1が好ましく、0.1〜5h−1が特に好ましい。また、炭化水素化合物を吸着剤から脱着させる際、水素や窒素などのガスを共存させても良い。
膜分離の場合も、例えば、分子篩機能を有するMFI型ゼオライト膜などのように、分子サイズの小さい直鎖状飽和脂肪族炭化水素のみを透過させて分離する方法と、Y型ゼオライト膜、シリカ膜、高分子膜などのように、分離膜素材の吸着特性や溶解特性により特定の化合物をより多く透過する方法がある。
分離膜としては、アルミナやステンレス等に代表される多孔質支持体を基板として、ゼオライト膜やシリカアルミナ膜に代表される無機性膜やポリイミド樹脂膜等に代表される有機性膜を多孔質支持体の表面あるいは細孔内部に形成した分離膜を使用することができる。前記多孔質支持体としては、ステンレスの面に垂直方向に針状の空孔が連なったものであってもよいし、アルミナや金属の微粒子が結合したものであってもよい。また物性的には機械的強度が高く、かつゼオライト層を形成するための水熱処理及びその後の熱処理において材質的に安定であることが必要であり、例えば、アルミナ、チタニア、ムライト等のセラミック、ステンレスやチタンなどの金属、ガラスなどを用いることができ、好ましくはチタニア、アルミナ等の多孔質支持体である。
また、多孔質支持体および分離膜の形状は、炭化水素化合物を分離するのに適したものであれば、どのような形状でもよく、例えば、膜状、板状、筒状、円筒状、ハニカム状などが挙げられる。
膜による分離操作は、供給側と透過側の両側とも気相である蒸気透過法(vapor permeation)、供給側が液相で透過側が気相である浸透気化法(pervaporation)、供給側と透過側の両側とも液相である液相法の何れの方法を採用してもよい。異性化反応生成物の状態に適した分離操作方法を採用することにより、より効率化を図ることができる。具体的には、異性化反応工程の後での分離操作は、蒸気透過法が好ましい。分離操作温度は特に限定されるものではないが、透過速度と分離係数から適した温度が求められ、0〜300℃が好ましく、より好ましくは100〜200℃が採用される。圧力は、分離膜の損傷を避けるために低圧が好ましく、特に絶対圧として0.5kPa〜0.5MPaが好ましい。
膜分離における分離係数は、一般に供給側の濃度比に対する透過側の濃度比で表され、本発明における分離係数は膜分離における分離係数を指す。例えば、成分Aおよび成分Bの供給側の濃度(または分圧)をそれぞれXaおよびXb、透過側の濃度(または分圧)をそれぞれYaおよびYbとすると、分離係数α=(Ya/Yb)/(Xa/Xb)と表せる。一般に、分離係数αは40以上が望ましいとされている。例えば、Xa=0.5、Xb=0.5からYa=0.98、Yb=0.02と分離される場合、分離係数α=(0.98/0.02)/(0.5/0.5)=49である。MFI型ゼオライトを用いたC飽和脂肪族炭化水素の異性体分離では、100℃において、ノルマルヘキサン/2−メチルペンタンの分離係数は約100、ノルマルヘキサン/2,2−ジメチルブタンの分離係数は1000以上、2−メチルペンタン/2,2−ジメチルブタンの分離係数は数十以上となることが示されている(例えば、松方ら、石油学会第35回石油・石油化学討論会講演要旨、1B07(2005)参照)。
ただし、パラフィンの異性化反応による飽和脂肪族炭化水素類の分離の場合、ある程度の透過量が必要であるので、必ずしも1000以上といった高い分離係数は必要になるとは限らず、透過量とのバランスにより必要な分離係数が選定される。また、必要に応じて、2段以上の多段分離を採用することが望ましい。多段分離に使用される分離膜は、分離係数が同じ分離膜でも異なる分離膜でも構わないが、炭化水素流の上流に透過量が大きいが分離係数の小さい分離膜を用いて、透過側の下流に透過量は小さいが分離係数の大きい分離膜を用いたり、また、上流に直鎖状飽和脂肪族と分岐数が1以上の飽和脂肪族炭化水素との分離係数が大きい分離膜を用いて、非透過側の下流に分岐数が1の炭化水素化合物と分岐数が2以上の炭化水素との分離係数が大きい分離膜を用いることが、より効率的であり好ましい。
本発明の分離工程においては、上記のように多段分離を適用することも可能であるが、高オクタン価化合物群に対する低オクタン価化合物群のトータルでの分離係数は10以上、好ましくは40以上、さらに好ましくは、100以上である。
一方、蒸留方法では、還流比を上げ分離能を高くすると、極めて小さい沸点の差でも分離することができる。同一の炭素数の場合、一般的に分岐数の多い化合物ほど沸点が低い傾向があることから、分岐数ごとに分離するためには有用な方法である。例えば、炭素数が8であるオクタンには多くの異性体が存在するが、直鎖のノルマルオクタン、1分岐体の3-メチルヘプタンの沸点は、それぞれ126℃、119℃であるのに対して、2分岐体の2,4-ジメチルヘキサン、3分岐体の2,2,4-トリメチルペンタンではそれぞれ110℃、99℃となり、分岐数が増えるほど沸点は低下する傾向にある。これら4種の炭素数が8の化合物のオクタン価は、それぞれ−22、27、65、100であり、分岐度が増すほどオクタン価が高くなる。これら化合物類の特性から考慮すると、多分岐飽和脂肪族炭化水素を分離する際、分子形状での分離効率が悪い場合、精密蒸留方法を適用することで、分岐数の異なる同一炭素数の飽和脂肪族炭化水素を分離することが可能となる。
このような精密蒸留方法として、具体的には、充填材を充填した蒸留塔を用い、還流比を少なくとも1/1、好ましくは3/1、より好ましくは5/1とし、理論段数は多いほど好ましく、少なくとも15段、好ましくは30段以上、より好ましくは50段以上とする。充填材は特に限定されないが、熱履歴や水分などによって形状を損なうことがないようにするため、ステンレス製、金属製、耐火性無機物製などが広く使用される。形状としては、円筒状、サドル状、ハニカム状、メッシュ状や、それらを改良した形状が挙げられるが、具体例としては、ラシヒリング、ヘリパック、ディクソンパッキング、グッドロールパッキングなどが挙げられる。蒸留の温度、圧力条件は、蒸留分離する原料によって異なるため限定されるものではなく、蒸留分離して目的化合物が得られるように、供給原料温度、塔頂温度、リフラックス温度や蒸留塔の真空度などを適宜設定すればよい。
本発明のガソリン基材の製造方法における上記分離方法では、一段だけで処理する方法もあるが、多段に組み合わせて使用することもできる。特に、一段だけでは分離能が不十分な場合には効果を発揮する。この場合、吸着分離、膜分離、蒸留分離をそれぞれで多段にしても良いし、異種の分離方法を組み合わせて多段にすることも可能である。
〔ブレンド工程〕
本発明のガソリン組成物は、前記のように処理して得られた異性化ガソリンに他のガソリン基材を適切な割合でブレンドすることによって製造することができる。
他のガソリン基材とは、本発明のガソリン組成物を調製するに際して、前記の異性化ガソリン以外に用いるガソリン基材を指し、従来のガソリン製造に用いられるガソリン基材を使用することができる。具体的には、ナフサ留分を水素化脱硫後、その軽質分を蒸留分離することにより得た脱硫直留ナフサ留分、ブチレン留分とイソブタン留分とをアルキル化して得たアルキレート(ALK)、接触分解ナフサ留分(FCCG)を蒸留して得た軽質留分の接触分解軽質ナフサ留分(FL)、脱硫重質ナフサを固体改質触媒により改質して得た改質ガソリン及びそれを蒸留して得られた特定の炭素数で芳香族リッチの改質ガソリン留分(例えば、炭素数7個の芳香族をリッチに含むAC7、炭素数9個の芳香族をリッチに含むAC9など)、原油の各種の精製工程から副製されるガソリン留分、さらに、単離されたブタン、ペンタンや、いわゆるBTXなどの芳香族化合物などが挙げられる。さらに、エタノールなどのアルコール類や、アルコールからの誘導体であるエーテル類やエステル類の、いわゆる「含酸素化合物」を使用しても良い。
この含酸素化合物としては、例えば、炭素数2〜5のアルコール類、炭素数4〜8のエーテル類が好適であり、具体的には、エタノール、プロピルアルコール類、ブチルアルコール類などのアルコールや、アルコール類からの誘導体である、エチルイソプロピルエーテル、エチルターシャリーブチルエーテル、エチルセカンダリーブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ターシャリーアミルエチルエーテル等のエーテル類、及び酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類が挙げられる。
これらの含酸素化合物は、全ガソリン組成物基準で、1〜15容量%、好ましくは3〜12容量%、より好ましくは、5〜10容量%使用される。これは、少なすぎると添加効果が少なく、また、多すぎると水分等の不純物を同伴してしまい、配管やシール材の腐食等のトラブルを引き起こすためである。例えば、エタノールは水を際限なく溶解することから、燃料中に多く含まれる場合、自動車燃料タンク内で水分が濃縮され、蓄積して悪影響を与える可能性がある。さらに、燃料油中に含酸素化合物が多い場合、例えば15容量%を超える量が含まれると、既存エンジンの空気/燃料比最適値から外れてしまい、酸素過剰気味となることから、排ガス中の窒素酸化物(NOx)量が増加してしまう欠点がある。また、含酸素化合物は、他のガソリン基材と比較すると発熱量が総じて低く、燃費を下げてしまうことがあるため、あまり多く使用することは好ましくない。
〔ガソリン組成物〕
本発明のガソリン組成物は、上記の方法で異性化、分離されたガソリン基材を配合して得られたガソリン組成物であり、リサーチ法オクタン価(RON)が90以上、硫黄分が10.0質量ppm以下、50容量%留出温度が100℃以下、蒸気圧が65kPa以下、かつ、直鎖状飽和脂肪族炭化水素の含有量が9.0容量%以下であることを特徴とする。オクタン価は好ましくは93以上、より好ましくは95以上であり、硫黄分は、好ましくは1.0質量ppm以下、より好ましくは0.5質量ppm以下である。ガソリン中の硫黄分は排気ガス中で硫黄酸化物となり、窒素酸化物除去触媒を被毒して触媒活性を低下する。被毒した窒素酸化物除去触媒は、通常還元雰囲気下で再生して活性を回復する。このとき、還元雰囲気を形成するために燃料が使用され、その分燃費が悪化する原因となっている。したがって、ガソリン中の硫黄分が少ないほど燃費は向上する。50容量%留出温度は、低温運転性からは98℃以下が好ましく、さらには96℃以下がより好ましい。蒸気圧は62kPa以下が好ましく、さらには60kPa以下がより好ましい。蒸気圧が高いと蒸発損失の増加、ベーパーロックの懸念、危険性の増加などの問題が起こりやすい。
また、直鎖状飽和脂肪族炭化水素の含有量は、1.0容量%以上7.0容量%以下が好ましく、2.0容量%以上6.0容量%以下がより好ましく、2.0容量%以上5.0容量%以下が特に好ましい。ここで、直鎖状飽和脂肪族炭化水素の含有量が9容量%を超える場合、従来通りの蒸留性状、蒸気圧及びオクタン価を維持するために、環境に悪影響を与える可能性がある芳香族分やオレフィン分を多く含む基材を多用せざるを得ない結果となってしまうので好ましくない。
さらに、本発明のガソリン組成物は、排気ガス性状や低温運転性維持の観点から芳香族分はできるだけ少ない方が好ましく、5.0容量%以上35.0容量%以下が好ましく、さらには5.0容量%以上32.0容量%以下が好ましい。一方、オレフィン含有量はRON維持、燃費、光安定性及び貯蔵安定性の観点から、5.0容量%以上30.0容量%以下が好ましく、さらに好ましくは10.0容量%以上25.0容量%以下である。さらに、ガソリン車両の燃料タンク液面計に銀が一部使用されていることから、銀板腐食が1以下であることが望ましい。
〔添加剤〕
本発明のガソリン組成物の好ましい態様として、必要に応じて公知の燃料添加剤をさらに配合することができる。これらの配合量は適宜選べるが、通常は添加剤の合計量として0.1容量%以下とすることが好ましい。本発明のガソリン組成物で使用可能な添加剤としては、アミン系、フェノール系、アミノフェノール系などの酸化防止剤、シッフ型化合物、チオアミド型化合物などの金属不活性化剤、有機リン系化合物などの表面着火防止剤、コハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミンなどの清浄分散剤、多価アルコールやそのエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステルなどの助燃剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などの帯電防止剤、アルケニルコハク酸エステルなどの錆止め剤、キニザリン、クマリンなどの識別剤、アゾ染料などの着色剤を挙げることができる。
以下に、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
実施例1、比較例1
(異性化工程)
反応器に白金硫酸ジルコニア触媒(触媒A)を充填し、原料油のナフサ留分としてノルマルヘキサンを反応器に通油して異性化反応を実施して、異性化反応生成物Aを得た。反応条件は、反応温度:200℃、反応圧力:1.0MPa、LHSV:1.5h−1、H/原料油比:5.0mol/molとした。用いた触媒Aは、外径約1.5mm、高さ約4.0mmのペレット状の白金硫酸ジルコニア触媒で、白金を0.4質量%、ジルコニウムを42.1質量%、硫黄を2.5質量%、アルミニウムを15.5質量%含有し、ハメット指示薬によるハメット酸度関数が−16.0であった。
異性化反応生成物Aの分岐体及び直鎖体の成分割合、及びRONを表1に示す。原料のノルマルヘキサンのオクタン価は24.8であるが、表1から明らかなように、オクタン価は異性化反応により65.1に向上した。このときの組成は、(液体成分を100容量%とすると、)ノルマルヘキサンが24.3容量%、1分岐体が59.6容量%、2分岐体が16.1容量%であった。
Figure 0004953275
(膜分離工程1段)
次いで、得られた異性化反応生成物Aを、合計透過流束が1.58×10−7mol・m−2・s−1・Pa−1で、分離係数αはノルマルヘキサン/1分岐体が3、ノルマルヘキサン/2分岐体が88、1分岐体/2分岐体が35である円筒形ゼオライト膜A(アルミナ支持体:外径10mm、長さ30mm、ゼオライト層厚:約15μm)を使用して、低オクタン価化合物と高オクタン価化合物に分離することができる。ゼオライト膜Aは既知の方法であるシリカライトを種結晶とした二次成長法により調製できる。分離条件は、温度100℃、炭化水素化合物供給量4.55×10−7mol/s、ヘリウムをキャリアガスとし、全圧100kPaで実施した。分離後の透過側生成物B及び非透過側生成物Cの流量は、それぞれ3.71×10−7mol/s、8.49×10−8mol/sであった。
また、上記膜分離後の透過側生成物B、及び非透過側生成物Cの分岐体及び直鎖体の成分割合、及びRONを、膜分離前の異性化反応生成物Aと同様に表1に示す。透過側生成物Bの組成はノルマルヘキサンが50.8容量%、1分岐体が48.8容量%、2分岐体が0.4容量%であり、RONは48.9であった。非透過側生成物Cの組成はノルマルヘキサンが0.7容量%、1分岐体が13.6容量%、2分岐体が85.7容量%であり、RONは90.8であった。
実施例2
(膜分離工程2段)
ノルマルヘキサン異性化反応生成物Aを用いて、2段での分離方法も検討した。使用する2種類の円筒形ゼオライト膜は、合計透過流束が1.00×10−7mol・m−2・s−1・Pa−1で、分離係数αはノルマルヘキサン/1分岐体が10、ノルマルヘキサン/2分岐体が393、1分岐体/2分岐体が40で、内径10mm、長さ30mmである円筒形ゼオライト膜B、および、合計透過流束が7.80×10−8mol・m−2・s−1・Pa−1で、分離係数αはノルマルヘキサン/1分岐体が7、ノルマルヘキサン/2分岐体が129、1分岐体/2分岐体が18で、内径10mm、長さ30mmである円筒形ゼオライト膜Cである。
それぞれ既知の方法であるシリカライトを種結晶とした二次成長法により調製することができる。
1段目の分離条件は、温度100℃、炭化水素化合物(異性化反応生成物A)供給量4.55×10−7mol/s、ヘリウムをキャリアガスとし、全圧100kPa、2段目の分離条件は、温度100℃、炭化水素化合物(後述の1段目の非透過側生成物E)供給量8.93×10−9mol/s、ヘリウムをキャリアガスとし、全圧100kPaである。その結果、1段目の透過側生成物D及び非透過側生成物Eの流量は、それぞれ1.78×10−7mol/s、2.78×10−7mol/s、また、透過側生成物Dはノルマルヘキサンが79.9容量%、1分岐体が20.0容量%、2分岐体が0.1容量%となりRONは34.5、非透過側生成物Eはノルマルヘキサンが0.2容量%、1分岐体が73.4容量%、2分岐体が26.4容量%となりRONは79.0であった。さらに2段目の透過側生成物F及び非透過側生成物Gの流量は、それぞれ6.16×10−9mol/s、2.77×10−9mol/sであった。
上記膜分離後の1段目透過側生成物D、2段目透過側生成物F及び1段目非透過側生成物E、2段目非透過側生成物Gの分岐体及び直鎖体の成分割合、及びRONを表2に示す。透過側生成物Fはノルマルヘキサンが1.9容量%、1分岐体が96.2容量%、2分岐体が1.9容量%となりRONは72.8、非透過側生成物Gはノルマルヘキサンが0.7容量%、1分岐体が15.9容量%、2分岐体が83.4容量%となりRONは90.3であった。
表1から明らかなように、異性化反応生成物A(比較例1)では平衡制約のためある程度の比率までしか多分岐異性化物を得ることができず、RONは低いが、これに効率的な分離工程を設置することにより、多分岐状飽和脂肪族炭化水素を多く含む、RON90.8という平衡組成以上の高オクタン価組成物である非透過側生成物C(実施例1)を得られることが判る。
また同様に、異性化反応生成物A(比較例1)を2段の分離工程で順次処理することにより、多分岐状飽和脂肪族炭化水素を多く含む、RON90.3という平衡組成以上の高オクタン価組成物である2段目の非透過側生成物G(実施例2)を得られることが判る。
実施例3〜6、比較例2〜5
上記比較例1及び実施例1で得たガソリン基材(異性化反応生成物A及び非透過側生成物C)と従来のガソリン基材を用い、表3の上部に示す混合割合でブレンドして実施例3〜6、及び比較例2〜5のガソリン組成物を調合した。ガソリン基材として用いた異性化反応生成物A、非透過側生成物C及び従来のガソリン基材の性状を表2に示す。また、得られた実施例3〜6、比較例2〜5のガソリン組成物の性状を表3に併せて示す。
なお、従来のガソリン基材は、次のようにして調製したものを用いた。
イソペンタン留分(iC5)
イソペンタンを多く含む炭素数5の炭化水素が主体の留分であり、主に脱硫重質ナフサの接触改質で副生する軽質留分を含む脱硫軽質ナフサ留分を蒸留分離することにより、純度95%以上の炭素数5の分岐状飽和脂肪族炭化水素留分を得た。
接触分解軽質ナフサ留分(FL)
脱硫軽油あるいは脱硫重油を原料に用い、固体触媒存在下、流動床式反応装置での接触分解反応によりオレフィン分の高い接触分解ナフサ留分(FCCG)を得、このFCCGを軽質留分と重質留分に蒸留分離して得た軽質留分(FL)である。
脱硫分解ナフサ留分(DS−FCCG)
前記FCCGを収着脱硫することにより硫黄分の低い炭化水素化合物を得た。アルミナにニッケルを20質量%担持した触媒を硫化処理した後、反応温度:250℃、反応圧力:常圧、LHSV:4h−1、H/油比:340NL/Lの条件のもと、中東系原油の減圧軽油留分を水素化精製処理したものを主たる原料油とする流動接触分解で得られた接触分解ナフサ留分(FCCG)を通油してジエン低減処理を行った。さらに、共沈法にて調製した銅亜鉛アルミニウム複合酸化物(銅含有量35質量%、亜鉛含有量35質量%、アルミニウム含有量5質量%)の還元処理を行った後、ジエン処理された接触分解ガソリンを、反応温度100℃、反応圧力常圧、LHSV2.0h−1、H/油比0.06NL/Lの条件のもと20時間通油して脱硫分解ナフサ留分(DS−FCCG)を得た。
アルキレート(ALK)
アルキレートガソリンであり、ブチレンを主成分とする留分とイソブタンを主成分とする留分を硫酸触媒によりアルキル化反応させて、炭素数8を主体としたイソパラフィン分の多い炭化水素を得た。
接触改質ガソリン(AC9)
脱硫重質ナフサを固体改質触媒により移動床式反応装置を用いて反応させることにより、芳香族分の含量の多い炭化水素化合物に改質して接触改質ガソリンを得る。改質ガソリンはそのまま使用することもできるが、ここでは蒸留分離することにより炭素数9の炭化水素化合物をそれぞれ85%以上含有する留分(AC9)を得た。
エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)
イオン交換樹脂触媒(Amberlyst-15)を用い、エタノールとイソブチレンとを反応させ、次いで蒸留法により精製し、純度95%以上のETBEを得た。
エタノール(EtOH)
市販の発酵エタノール(99度1級、日本アルコール販売(株)製)を使用した。
なお、ガソリン基材及びガソリン組成物の性状は、次の方法により測定した。
密度はJIS K 2249の振動式密度試験方法、蒸気圧はJIS K 2258のリード法蒸気圧試験方法、蒸留性状はJIS K 2254の常圧法蒸留試験方法によって測定した。硫黄分は、JIS K 2541−6の硫黄分試験方法(紫外蛍光法)によって測定した。銀板腐食はJIS K2513(石油製品−銅板腐食試験方法:対応 ASTM D130)のボンベ法(ジェット燃料)で、銅板の代わりにJIS K 2276(石油製品−航空燃料油試験方法)の「14.銀板腐食試験方法」に用いる銀板を使用して評価した。芳香族分、オレフィン分、飽和炭化水素分等の各種炭化水素化合物の成分組成はJIS K 2536のガスクロマトグラフ法による全成分試験方法により測定した。オクタン価はヒューレッドパッカード社製PIONA装置を用いて、ガスクロマトグラフ法によって測定した。
Figure 0004953275
Figure 0004953275
表3に示すように、本発明の方法で製造したガソリン基材をブレンドして製造したオクタン価向上ガソリン(実施例3〜6)は、比較例2〜5の従来型ガソリンと比較して、最適な異性化触媒と最適な分離工程を組み合わせた異性化処理方法を用いることにより、直鎖状飽和脂肪族炭化水素の含有量が低い。そのため、蒸気圧や蒸留性状が良好である上、オクタン価が高い。すなわち、実施例3〜6のオクタン価向上ガソリンは、比較例2〜5のガソリンと比較して、硫黄分や蒸気圧が同程度であっても、高いオクタン価、良好な蒸留性状であり、優れた実用性能を有することがわかる。
本発明のガソリン基材の製造方法により、オクタン価の高い分岐状飽和脂肪族炭化水素の含有量を多くすることができるようになるため、これを配合して得られるガソリン組成物は、従来オクタン価を稼ぐために使用されていた芳香族分やオレフィン分を多用しなくても良い。芳香族分やオレフィンの含有量の少ないガソリン組成物は、環境保全上からガソリンエンジン用燃料として好ましいことはもちろんのこと、これに加えて燃料電池用の燃料としても、高い燃焼性及びエネルギー効率を有しており、共用ガソリンとしても使用することが期待される。

Claims (3)

  1. ナフサ留分を異性化してより高いオクタン価を有するガソリン基材を製造する方法において、ナフサ留分を異性化する異性化反応工程、及び異性化反応工程で生成した異性化反応生成物を分岐数1以下の飽和脂肪族炭化水素を50容量%以上含む留分である低オクタン価化合物群と分岐数2以上の飽和脂肪族炭化水素を50容量%以上含む留分である高オクタン価化合物群に分離膜により分離する分離工程を含み、前記の異性化反応工程において、ハメット酸度関数が−13.5以下である周期律表第IV族の元素、周期律表第VI族の元素、及び周期律表第VIII族の元素を含む固体酸触媒を用いることを特徴とするガソリン基材の製造方法。
  2. 原料ナフサ留分さらには低オクタン価化合物群を水素の存在下で固体酸触媒と接触させることを特徴とする請求項1に記載のガソリン基材の製造方法。
  3. 周期律表第IV族の元素が、チタン、ジルコニウム、ハフニウム及びスズからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、周期律表第VI族の元素が、タングステン、硫黄及びモリブデンからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、及び周期律表第VIII族の元素が、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、オスミウム、鉄、コバルト及びニッケルからなる群から選ばれる1種以上の元素である請求項1又は請求項2に記載のガソリン基材の製造方法。
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