JP4851197B2 - ガソリン基材の製造方法及びガソリン組成物 - Google Patents
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直鎖状飽和脂肪族炭化水素、分岐状飽和脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素類に分離する方法は開示されているが、炭素数7以上の留分を異性化した異性化反応生成物などの分離方法については何ら開示されておらず、多段の分離工程を必要とするため特に困難であると言われている(特許文献1参照)。また、直鎖状飽和脂肪族炭化水素と分岐状飽和脂肪族炭化水素の分離については既に報告例はある(特許文献2参照)が、同様に具体的な異性化反応については何ら開示されていない。また、炭素数7以上の留分に対する異性化反応、及び直鎖状飽和脂肪族炭化水素と分岐状飽和脂肪族炭化水素の分離について開示されている(特許文献3参照)ものの、イオン性液状触媒を用いるものであり、触媒の分離工程を必要とするため実用的ではなく、また使用する触媒の酸強度が不十分であるため効果的な低温での高活性を得ることは難しい。さらに、1分岐飽和脂肪族炭化水素と多分岐飽和脂肪族炭化水素とを分離する方法も開示されている(特許文献4参照)が、やはり異性化触媒自体は実用的に特段の効果を有するものではなかった。
本発明者は、適切な触媒を使用する異性化工程と適切な分離方法を用いる分離工程とを組み合わせ、この課題を解決した。すなわち、細孔特性が制御されたモレキュラーシーブ、分離膜を用いれば、その分子サイズの差あるいは吸着・透過能力の差から、オクタン価の低い直鎖状飽和脂肪族炭化水素と分岐状飽和脂肪族炭化水素との分離、あるいは1分岐飽和脂肪族炭化水素と多分岐飽和脂肪族炭化水素との分離が可能である。また、同一炭素数の飽和脂肪族炭化水素の中で比較すると一般的に分岐数が増えるほど沸点が低いことから、精密蒸留を用いれば、沸点が低くかつオクタン価が高い化合物を分離することが可能となり、熱平衡以上のオクタン価を有するガソリン基材を得ることができることを見出した。
さらに、異性化生成油を再度反応させる際、先に経験した異性化条件よりも低い温和な温度条件で反応させることにより、より有利に多分岐飽和脂肪族炭化水素を平衡的に得ることができ、かつ望ましくない分解反応も抑制できることを見出した。
そして、これらの知見を巧みに組み合わせることにより本発明を完成した。
(1)ナフサ留分を異性化してより高いオクタン価を有するガソリン基材を製造する方法において、ナフサ留分を異性化する第1の異性化反応工程、及び第1の異性化反応工程で生成した第1の異性化反応生成物を直接又は間接的に異性化する第2の異性化反応工程を含み、かつ、前記第1の異性化反応生成物を第1の低オクタン価化合物群と第1の高オクタン価化合物群に分離して第1の低オクタン価化合物群を第2の異性化反応工程に送る第1の分離工程、及び/又は第2の異性化反応工程で得られた第2の異性化反応生成物を第2の低オクタン価化合物群と第2の高オクタン価化合物群に分離する第2の分離工程を含み、さらに、前記の両異性化反応工程で、ゼオライト、ヘテロポリ酸、塩素化アルミナのうちいずれか1種以上を含む固体酸触媒を用い、かつ、後段の第2の異性化反応工程における反応温度が、前段の第1の異性化反応工程における反応温度よりも10℃以上低い温度であるガソリン基材の製造方法。
第1及び第2の分離工程が、ケイ素、アルミニウム及び炭素からなる群から選ばれる1種以上の元素を含有する吸着剤による分離工程、分離膜による分離工程、精密蒸留による分離工程、又はそれらの2種以上の組み合わせによる分離工程であり、かつ、第1及び第2の分離工程は、同じであっても、異なっていてもよい上記(1)〜(8)のいずれかに記載のガソリン基材の製造方法。
さらに、第2の異性化反応工程で、第1の異性化反応工程における異性化条件よりも低い温度の温和な条件で反応させることにより、平衡的により有利に多分岐飽和脂肪族炭化水素を高収率で得ることができ、かつ望ましくない分解反応を抑制することができる。
また、このようにして調製された飽和脂肪族炭化水素化合物を主成分とする高オクタン価のガソリン基材を用いることによって、相対的に環境負荷の高い芳香族分やオレフィン分を多用せずにオクタン価(RON)の高いガソリン組成物を調製し、提供することができる。前記の「相対的に」なる用語は、本発明のガソリン組成物と従来のガソリン組成物を比較したとき、RONが同じであれば、本発明のガソリン組成物は芳香族分やオレフィン分を少なくすることができ、芳香族分やオレフィン分の含有量が同じであれば、RONを高くすることができることを意味する。
なお、本発明における低オクタン価化合物と高オクタン価化合物とは、分離工程後のオクタン価の差が10以上、より好ましくは20以上となるような2以上の留分のうち、オクタン価の低い留分を低オクタン価化合物、オクタン価の高い留分を高オクタン価化合物と呼ぶこととする。
分岐数が1以下の飽和脂肪族炭化水素を分岐度の高い化合物へ変換する異性化工程には、異性化触媒としてゼオライト、ヘテロポリ酸、塩素化アルミナを含む固体酸触媒を使用する。ここでこれらの触媒よりも酸強度が弱い触媒を使用した場合は、異性化反応に要する温度が高くなり、熱平衡的に不利となるため十分な多分岐飽和脂肪族炭化水素を得ることができない。本発明においては、周期律表第VIII族の元素を含有する固体酸触媒が好ましい。
具体的には、ゼオライトとしては、A型、L型、X型、Y型、ZSM−5型(MFI型)、ベータ型、ペンタシル型ゼオライト、モルデナイト、フェリエライト、などが用いられるが、特にベータ型が好ましい。また、各種ゼオライトにおいて、陽イオンは、プロトンの他、ナトリウム(Na)、カリウム(K)などのアルカリ金属、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属が好ましいが、遷移金属でも良い。遷移金属としては、具体的には、銀(Ag)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等が挙げられる。
塩素化アルミナは、アルミナ担体に無機塩素化合物あるいは有機塩素化合物を担持することにより得ることができる。
また、ゼオライト触媒やヘテロポリ酸触媒を使用する場合、触媒中にアルミナをアルミニウム元素として5〜30%、好ましくは7〜28質量%、特には8〜25質量%含んでも良い。
本発明に用いる固体酸触媒の細孔構造に関して、細孔直径は0.002〜10μmが好ましく、細孔直径0.002〜0.05μmの範囲については窒素吸着法により、細孔直径0.05〜10μmの範囲は水銀圧入法により測定できる。0.002〜10μmの細孔直径を有する固体酸触媒の細孔容積は0.2cm3/g以上が好ましく、さらには0.25cm3/g以上、特には0.30〜1.0cm3/gが好ましい。
本発明に用いる原料油のナフサ留分は、典型的には、石油精製工程から得られた蒸留操作などにより分取されるいわゆるナフサ留分である。原油の常圧蒸留や各種の留出油の水素化脱硫装置、水素化分解装置、接触改質装置、流動接触分解装置などから得られるナフサ留分、また、必要に応じてさらに蒸留分離した留分を用いることができる。また、石炭液化や天然ガスから合成された飽和脂肪族炭化水素油や、さらに、これらを分解して得られた炭化水素油も、後述の蒸留性状を有するナフサ留分相当の炭化水素油であれば原料として用いることができる。
一般的に炭化水素化合物の分離方法としては、吸着分離、膜分離、及び化合物の沸点差を利用する蒸留分離が知られている。蒸留分離の場合、石油精製で用いられる炭化水素化合物は、通常多数の化合物から構成される混合物であり、炭素数の幅が広いために、分子形状(分子構造ないし分子の骨格)で分離するには限界がある。それに対して、吸着分離や膜分離のように、分子形状の違いを利用して分離するプロセスでは、分子量の違いの影響も多少あるものの、それよりも分子形状の違いに影響を受けやすいため、多成分混合油の中から、直鎖状飽和脂肪族炭化水素のみを分離することには有用な手法である。
分離膜としては、アルミナやステンレス等に代表される多孔質支持体を基板として、ゼオライト膜やシリカアルミナ膜に代表される無機性膜やポリイミド樹脂膜等に代表される有機性膜を多孔質支持体の表面あるいは細孔内部に形成した分離膜を使用することができる。前記多孔質支持体としては、ステンレスの面に垂直方向に針状の空孔が連なったものであってもよいし、アルミナや金属の微粒子が結合したものであってもよい。また物性的には機械的強度が高く、かつゼオライト層を形成するための水熱処理及びその後の熱処理において材質的に安定であることが必要であり、例えば、アルミナ、チタニア、ムライト等のセラミック、ステンレスやチタンなどの金属、ガラスなどを用いることができ、好ましくはチタニア、アルミナ等の多孔質支持体である。また、多孔質支持体及び分離膜の形状は、炭化水素化合物を分離するのに適したものであれば、どのような形状でもよく、例えば、膜状、板状、筒状、円筒状、ハニカム状などが挙げられる。
本発明のガソリン基材の製造方法は、基本的には2つの異性化反応工程と、そこで生成した異性化反応生成物を高オクタン価化合物群と低オクタン価化合物群とに分離する1つ又は2つの分離工程からなる方法であるが、以下、プロセスフローを用いて詳しく説明する。
最終的に、ガソリン基材としては、(a)S1及びS2がある場合、第1及び第2の高オクタン価化合物群(7及び10)が得られ、(b)S1だけがある場合には、第1の高オクタン価化合物群7と第2の異性化反応生成物5が得られ、(c)S2だけがある場合には第2の高オクタン価化合物群10が得られる。S2がある場合((a)及び(c)の場合)、第2の低オクタン価化合物群11も得られるが、これはガソリン基材としては、低オクタン価で好ましいものではないので、後述のようにR1、R2に戻して再処理するか、あるいは系外に送ってガソリン基材以外の他の用途、例えば、石油化学の原料などに用いても良い。
また、図1において、第1の分離工程(S1)6と第2の分離工程(S2)9を破線の括弧でくくったのは、S1及びS2の2つとも設けられていてもよいが、いずれか1つが必須であり、もう一方は必ずしも必要でないことを示す。
本発明のガソリン組成物は、前記のように処理して得られた異性化ガソリンに他のガソリン基材を適切な割合でブレンドすることによって製造することができる。
他のガソリン基材とは、本発明のガソリン組成物を調製するに際して、前記の異性化ガソリン以外に用いるガソリン基材を指し、従来のガソリン製造に用いられるガソリン基材を使用することができる。具体的には、ナフサ留分を水素化脱硫後、その軽質分を蒸留分離することにより得た脱硫直留ナフサ留分、ブチレン留分とイソブタン留分をアルキル化して得たアルキレートガソリン、接触分解ナフサ留分(FCCG)を蒸留して得た軽質留分の接触分解軽質ナフサ留分(FL)、脱硫重質ナフサを固体改質触媒により改質して得た改質ガソリン及びそれを蒸留して得られた特定の炭素数で芳香族リッチの改質ガソリン留分(例えば、炭素数7個の芳香族をリッチに含むAC7、炭素数9個の芳香族をリッチに含むAC9など)、原油の各種の精製工程から副生されるガソリン留分、さらに、単離されたブタン、ペンタンや、いわゆるBTXなどの芳香族化合物などが挙げられる。さらに、エタノールなどのアルコール類や、アルコールからの誘導体であるエーテル類やエステル類の、いわゆる「含酸素化合物」を使用しても良い。
本発明のガソリン組成物は、上記の方法で異性化、分離されたガソリン基材を配合して得られたガソリン組成物であり、リサーチ法オクタン価が90以上、硫黄分が10.0質量ppm以下、50容量%留出温度が100℃以下、蒸気圧が65kPa以下、かつ、直鎖状飽和脂肪族炭化水素の含有量が9.0容量%以下であることを特徴とする。オクタン価は好ましくは93以上、より好ましくは95以上であり、硫黄分は好ましくは1.0質量ppm以下、より好ましくは0.5質量ppm以下である。ガソリン中の硫黄分は排気ガス中で硫黄酸化物となり、窒素酸化物除去触媒を被毒して触媒活性を低下する。被毒した窒素酸化物除去触媒は還元雰囲気下で再生して活性を回復するが、このとき還元雰囲気を形成するために燃料が使用され、その分燃費が悪化する原因となっている。したがって、ガソリン中の硫黄分が少ないほど燃費は向上する。50容量%留出温度は、低温運転性からは98℃以下が好ましく、さらには96℃以下がより好ましい。蒸気圧は62kPa以下が好ましく、さらには60kPa以下がより好ましい。蒸気圧が高いと蒸発損失の増加、ベーパーロックの懸念、危険性の増加などの問題が起こりやすい。
本発明のガソリン組成物の好ましい態様として、必要に応じて公知の燃料添加剤をさらに配合することができる。これらの配合量は適宜選べるが、通常は添加剤の合計量として0.1容量%以下とすることが好ましい。本発明のガソリン組成物で使用可能な添加剤としては、アミン系、フェノール系、アミノフェノール系などの酸化防止剤、シッフ型化合物、チオアミド型化合物などの金属不活性化剤、有機リン系化合物などの表面着火防止剤、コハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミンなどの清浄分散剤、多価アルコールやそのエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、高級アルコールの硫酸エステルなどの助燃剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などの帯電防止剤、アルケニルコハク酸エステルなどのさび止め剤、キニザリン、クマリンなどの識別剤、アゾ染料などの着色剤を挙げることができる。
(異性化工程)
第1の反応器に白金塩素化アルミナ触媒(触媒A)を充填し、原料油のライトナフサと300容量ppmに相当する四塩化炭素を混合して第1の反応器に通油して異性化反応を実施して、第1の異性化反応生成物Aを得た。反応条件は、反応温度:140℃、反応圧力:3.0MPa、LHSV:1.5h-1、H2/Oil:0.2mol/molとした。触媒Aは以下のようにして調製した。ガンマアルミナを直径1.6mmのダイスにより押出し成形した。空気下での予備焼成後、HClの存在下、塩化白金酸を用いて前記成形アルミナに担持した。このように調製した触媒前駆体を空気下で焼成し、次いで水素下にて600℃で還元した。次いで、温度250℃条件下、四塩化炭素を注入しで塩素化を行った。触媒Aは、外径約1.5mm、高さ約4.0mmのペレット状で、白金を0.3質量%、塩素を7.0質量%含有しているものである。
表1に原料のライトナフサと第1の異性化反応生成物Aの性状を示す。オクタン価は、原料のライトナフサの66.4から異性化反応により85.3へ向上した。
次いで、得られた第1の異性化反応生成物Aを、東京特殊金網株式会社製の充填物、GOODROLL TYPE D(SUS304製)を充填した塔高4200mmH、塔径42.8mmφの蒸留塔を用いて、還流比3/1〜5/1(理論段数85段)、設定圧力を0.1MPaで蒸留し(第1の分離工程)、塔頂温度が25℃までの留分(ガス分)、25〜60℃の留分(軽質分、すなわち第1の高オクタン価化合物B)、そして残りの60℃以上の留分(重質分、すなわち第1の低オクタン価化合物C)を得た。それぞれの収率は、ガス分が5.0容量%、第1の高オクタン価化合物Bが71.5容量%、第1の低オクタン価化合物Cが23.5容量%であった。上記蒸留分離後の第1の高オクタン価化合物B、及び第1の低オクタン価化合物Cの性状を、蒸留前の第1の異性化反応生成物Aの性状と共に表1に示す。
比較例として、市販のシリカアルミナ(PQ社製)に擬ベーマイトアルミナ粉体を混合成形し、白金を0.5質量%担持した触媒Bを用いて異性化反応を行った。シリカアルミナ粉体としては、シリカ/アルミナモル比4.4、凝集粒径1〜10μmのもの94.4質量%、強熱減量16.9質量%の粉体を用い、混練してシリンダー状に成形した後、乾燥後600℃で焼成することで担体を調製した。この担体は、乾燥担体基準で、シリカアルミナ80質量%およびアルミナ20質量%からなり、直径約1.6mmのシリンダー形状であった。
異性化工程の反応条件としては、反応温度:300℃、LHSV:1.5h-1、H2/Oil:2.0mol/molにて実施し、第一の異性化反応生成物Fを得た。
得られた第1の異性化反応生成物Fは、実施例1と同様に蒸留分離を行い第1の高オクタン価化合物G及び第1の低オクタン価化合物Hを得た。第1の低オクタン価化合物Hは2段目異性化工程原料として用い、1段目と同一条件で異性化反応を実施し、第2の異性化反応生成物Iを得た。上記の第1の分離工程で得た第1の高オクタン価化合物Gと第2の異性化反応生成物I混合し分離異性化ガソリン基材Jを得た。
第1の異性化反応生成物F、第1の高オクタン価化合物G、第1の低オクタン価化合物H、第2の異性化反応生成物I、及び分離異性化ガソリン基材Jの性状を表2に示す。
本発明で得られたガソリン基材として実施例1の分離異性化ガソリン基材E、比較例1の第1の異性化反応生成物A、比較例2の分離異性化ガソリン基材J、及び表3に示す性状を有する従来のガソリン基材を用い、表4の上部に示す混合割合でブレンドして実施例2〜5、及び比較例3〜7のガソリン組成物を調合した。得られたガソリン組成物の性状を表4に併せて示す。
イソペンタン留分(iC5)
イソペンタンを多く含む炭素数5の炭化水素が主体の留分であり、主に脱硫重質ナフサの接触改質で副生する軽質留分を含む脱硫軽質ナフサ留分を蒸留分離することにより、純度95%以上の炭素数5の分岐状飽和脂肪族炭化水素留分を得た。
脱硫軽油あるいは脱硫重油を原料油に用い、固体触媒存在下、流動床式反応装置での接触分解反応によりオレフィン分の高い接触分解ナフサ留分(FCCG)を得、このFCCGを軽質留分と重質留分に蒸留分離して得た軽質留分(FL)である。
上記FCCGを収着脱硫することにより硫黄分の低い炭化水素化合物を得た。アルミナにニッケルを20質量%担持した触媒を硫化処理した後、反応温度:250℃、反応圧力:常圧、LHSV:4h−1、H2/油比:340NL/Lの条件のもと、中東系原油の減圧軽油留分を水素化精製処理したものを主たる原料油とする流動接触分解で得られた接触分解ナフサ留分(FCCG)を通油してジエン低減処理を行った。さらに、共沈法にて調製した銅亜鉛アルミニウム複合酸化物(銅含有量35質量%、亜鉛含有量35質量%、アルミニウム含有量5質量%)の還元処理を行った後、ジエン処理された接触分解ガソリンを、反応温度100℃、反応圧力常圧、LHSV2.0h−1、H2/油比0.06NL/Lの条件のもと20時間通油して脱硫分解ナフサ留分(DS−FCCG)を得た。
アルキレートガソリンであり、ブチレンを主成分とする留分とイソブタンを主成分とする留分を硫酸触媒によりアルキル化反応させて、炭素数8を主体としたイソパラフィン分の多い炭化水素を得た。
脱硫重質ナフサを固体改質触媒により移動床式反応装置を用いて反応させることにより、芳香族分の含量の多い炭化水素化合物に改質して接触改質ガソリンを得る。改質ガソリンはそのまま使用することもできるが、ここでは蒸留分離することにより炭素数9の炭化水素化合物をそれぞれ85%以上含有する留分(AC9)を得た。
イオン交換樹脂触媒(Amberlyst-15)を用い、エタノールとイソブチレンとを反応させ、次いで蒸留法により精製し、純度95%以上のETBEを得た。
市販の発酵エタノール(99度1級、日本アルコール販売(株)製)を使用した。
密度はJIS K 2249の振動式密度試験方法、蒸気圧はJIS K 2258のリード法蒸気圧試験方法、蒸留性状はJIS K 2254の常圧法蒸留試験方法によって測定した。硫黄分は、JIS K 2541の硫黄分試験方法によって測定した。銀板腐食はJIS K2513(石油製品−銅板腐食試験方法:対応 ASTM D130)のボンベ法(ジェット燃料)で、銅板の代わりにJIS K2276(石油製品−航空燃料油試験方法)の「14.銀板腐食試験方法」に用いる銀板を使用して評価した。芳香族分、オレフィン分、飽和炭化水素分等の各種炭化水素化合物の成分組成はJIS K 2536のガスクロマトグラフ法による全成分試験方法により測定した。オクタン価はヒューレッドパッカード社製PIONA装置を用いて、ガスクロマトグラフ法によって測定した。
2 第1の異性化反応工程(R1)
3 第1の異性化反応生成物
4 第2の異性化反応工程(R2)
5 第2の異性化反応生成物
6 第1の分離工程(S1)
7 第1の高オクタン価化合物群
8 第1の低オクタン価化合物群
9 第2の分離工程(S2)
10 第2の高オクタン価化合物群
11 第2の低オクタン価化合物群
12 第2の中オクタン価化合物群
Claims (7)
- ナフサ留分を異性化してより高いオクタン価を有するガソリン基材を製造する方法において、ナフサ留分を異性化する第1の異性化反応工程、及び第1の異性化反応工程で生成した第1の異性化反応生成物を直接又は間接的に異性化する第2の異性化反応工程を含み、かつ、前記第1の異性化反応生成物を第1の低オクタン価化合物群と第1の高オクタン価化合物群に分離して第1の低オクタン価化合物群を第2の異性化反応工程に送る第1の分離工程、及び/又は第2の異性化反応工程で得られた第2の異性化反応生成物を第2の低オクタン価化合物群と第2の高オクタン価化合物群に分離する第2の分離工程を含み、さらに、前記の両異性化反応工程で、ゼオライト、ヘテロポリ酸、塩素化アルミナのうちいずれか1種以上と白金とを含む固体酸触媒を用い、ナフサ留分さらには第1の低オクタン価化合物群及び/又は第2の低オクタン価化合物群を水素の存在下で、反応温度80〜350℃、反応圧力0.5〜5MPa、水素/原料油比0.01〜20mol/mol、液空間速度(LHSV)0.01〜10h -1 の反応条件で前記固体酸触媒に接触させ、かつ、後段の第2の異性化反応工程における反応温度が、前段の第1の異性化反応工程における反応温度よりも10℃以上低い温度であることを特徴とするガソリン基材の製造方法。
- 第1及び第2の異性化反応工程と、第1の分離工程を含み、第1の分離工程で分離した第1の低オクタン価化合物群を第2の異性化反応工程で処理する請求項1に記載のガソリン基材の製造方法。
- 第1及び第2の異性化反応工程と、第2の分離工程を含み、第2の分離工程で分離した第2の低オクタン価化合物群を、第1の異性化反応生成物と共に第2の異性化反応工程で処理する請求項1に記載のガソリン基材の製造方法。
- 第1及び第2の異性化反応工程と、第2の分離工程を含み、第2の分離工程で分離した直鎖状飽和脂肪族炭化水素を主成分として含む第2の低オクタン価化合物群を、第1の異性化反応工程でナフサ留分と共に処理する請求項1に記載のガソリン基材の製造方法。
- 第1及び第2の異性化反応工程と、第1及び第2の分離工程を含み、第1の分離工程で分離した第1の低オクタン価化合物群を第2の異性化反応工程で処理し、第2の分離工程で分離した第2の低オクタン価化合物群を、第1の低オクタン価化合物群と共に、第2の異性化反応工程で処理する請求項1に記載のガソリン基材の製造方法。
- 第1及び第2の異性化反応工程と、第1及び第2の分離工程を含み、第1の分離工程で分離した第1の低オクタン価化合物群を第2の異性化反応工程で処理し、第2の分離工程で分離した第2の低オクタン価化合物群を、第1の異性化反応工程でナフサ留分と共に処理する請求項1に記載のガソリン基材の製造方法。
- 第1及び第2の分離工程が、ケイ素、アルミニウム及び炭素からなる群から選ばれる1種以上の元素を含有する吸着剤による分離工程、分離膜による分離工程、精密蒸留による分離工程、又はそれらの2種以上の組み合わせによる分離工程であり、かつ、第1及び第2の分離工程は、同じであっても、異なっていてもよい請求項1〜6のいずれかに記載のガソリン基材の製造方法。
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