JP4952953B2 - 超硬材料又はサーメット材料焼結用セッターの製造方法 - Google Patents

超硬材料又はサーメット材料焼結用セッターの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特に、真空、不活性雰囲気又は還元雰囲気下において超硬合金又はサーメットの焼結又は熱処理を行う際に使用する耐熱性被覆部材としてのセッターの製造方法に関するものである。
一般に粉末冶金やセラミックス等の製造工程において、焼成あるいは焼結、更には熱処理という工程が挙げられる。この場合、製品となる試料をトレー上にセットするが、トレー材質と製品とが反応し、変形,組成ずれ,不純物の混入により、製品を歩留りよく焼成や焼結ができないケースが発生する。トレーと製品との反応防止のために、例えばアルミナやイットリアなどの酸化物粉や窒化アルミ、窒化ホウ素などの窒化物粉を敷粉として用いたり、それらの酸化物粉、窒化物粉を有機溶媒と混ぜ合わせてスラリー化し、トレー上に塗布したり、噴霧したりしてトレー上に被膜を形成し、製品との反応を防止している。しかし、敷粉やスラリーコート被膜の場合、製品の周辺に敷粉が付着したり、被膜が基材から剥がれてしまい、1回あるいは数回毎に同様な塗布作業が必要になる。
こうした問題を解決するため、溶射法などによりトレー表面上に緻密な溶射被膜を形成させることが提案されている(特許文献1:特表2000−509102号公報参照)。
製品との反応防止という点では上記手法は有効であるが、繰り返し熱サイクルにより溶射被膜とトレー基板界面部の熱的劣化により容易に被膜が剥がれるといった問題が生じる場合がある。繰り返しの熱サイクルで基板と溶射被膜が剥がれない耐熱性、耐蝕性、耐久性、非反応性のある被覆部材が望まれている。
特表2000−509102号公報
本発明は、上記事情を改善するためになされたもので、真空、不活性雰囲気又は還元雰囲気下で超硬金属、サーメット材料を焼結又は熱処理を行う際に、耐熱性、耐蝕性、非反応性に優れ、しかも製品焼結時、熱サイクルで剥がれにくい耐久性のあるセッターの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、基材上にタングステン、又はY 2 3 で安定化したZrO 2 からなる中間層を形成すると共に、該中間層上に溶射法により希土類元素含有酸化物からなる下地溶射膜を形成し、更にこの下地溶射膜上に、エンボス又はスリット面(凹凸面)を有する被膜を形成することにより得られる焼結用セッターが、特に、真空、不活性雰囲気又は還元雰囲気下で粉末冶金金属又はサーメットの焼結又は熱処理を行う際に、優れた耐熱性、繰り返しの熱サイクルで被膜が剥がれにくい耐久性、製品との非反応性、固着防止を与えることを知見し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記のセッターの製造方法を提供する。
請求項1:
カーボン基材上に、タングステン、又はY 2 3 で安定化したZrO 2 からなる中間層を形成すると共に、該中間層上に溶射法により希土類元素含有酸化物からなる下地溶射膜を形成し、更にこの下地溶射膜上に、希土類元素含有酸化物による1個の凸部高さが0.02mm〜0.5mmであるエンボス模様又はスリット模様の被覆層を溶射法により形成したことを特徴とする超硬材料又はサーメット材料焼結用セッターの製造方法。
請求項2:
被覆層を形成する希土類元素含有酸化物が、Y元素とAl元素を含有したYAG組成の複合酸化物又はDy 2 3 である請求項1記載の製造方法。
請求項
エンボス模様又はスリット模様の被覆層を、平均粒径が10〜70μmの希土類元素含有酸化物粒子を格子状、網目状又はスリット状のマスクパターンの空隙を通して溶射することにより形成した請求項1又は2記載の製造方法。
請求項
エンボス模様又はスリット模様の凸部間の隙間間隔を0.02mm〜5mmとなるように形成した請求項1乃至3のいずれか1項記載の製造方法。
請求項5:
セッターが真空、不活性雰囲気又は還元雰囲気下での超硬材料又はサーメット材料の焼結用である請求項1乃至4のいずれか1項記載の製造方法。
本発明のセッターの製造方法は、表面をエンボス又はスリット模様にすることで、製品焼結時の固着が防止でき、熱サイクルによる被膜の剥がれが起りにくく、耐久性に優れ、真空、酸化雰囲気、不活性雰囲気又は還元雰囲気下でのセラミックス、粉末冶金金属、特にサーメット、超硬材料を焼結又は熱処理するのに有効に用いられるものである。
また、基材を加工してエンボス又はスリット模様を描くのではなく、マスクパターンを利用し、溶射法によりエンボス又はスリット模様を描く技術は、基材を加工する手間が省け、形状や凸部高さが自由にコントロールできるため、様々な分野での応用が可能である。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の耐熱性被覆部材は、基材表面上に、エンボス模様又はスリット模様を有する被膜層、好ましくは酸化物被膜層が形成されているもので、その上に製品を置き、焼成、焼結などの熱処理を行うものであり、特に、本発明の耐熱性被覆部材は、真空、酸化雰囲気、不活性雰囲気又は還元雰囲気下で、製品となる粉末冶金金属、サーメット又はセラミックスの焼結又は熱処理を行う際に使用される。例えばセッター(敷板)、サヤ、トレー、焼成こう鉢、金型といった焼成用部材が挙げられるが、本発明は耐熱性被覆部材としてセッターの製造方法を提供する。
これらの粉末冶金金属、サーメット、超硬合金、セラミックスの焼結又は熱処理において使用される耐熱性及び耐蝕性、耐久性のある焼成用の被覆部材を形成するための基材として、本発明では、Mo,Ta,W,Zr,Tiなどの耐熱性金属、カーボン及びそれらの合金あるいはアルミナ、ムライトなどの酸化物系セラミックス、炭化珪素、炭化ホウ素などの炭化物系セラミックスや窒化珪素などの窒化物系セラミックスなどが挙げられ、特にカーボンが耐熱性、耐久性、作業性の点で好ましい。
これらの基材上に凹凸面を有するエンボス状の模様あるいはスリット状の模様を有する酸化物被膜等の被膜を形成させる。酸化物被膜層は、アルミナ、ジルコニアなどの一般的な酸化物でよいが、例えばサーメットや超硬材料との反応性の面では特に希土類酸化物や希土類元素含有複合酸化物等の希土類元素含有酸化物を用いることが好ましい。
エンボス模様を形成させる製造方法について説明すると、任意の基材表面をブラスト処理で荒らした後、又はブラスト処理なしで、好ましくは任意の基材上にプラズマ溶射法により一定厚みの被膜層として基材表面全面に下地被膜を形成させる。下地被膜作製後、下地被膜上全体に、又は下地被膜を形成しない場合は基材に直接格子状、網目状、スリット状などの一定形状のマスクパターン材をセットする。そして、更にその上にプラズマ溶射法により一定の溶射被膜を形成させる。この場合、溶射材料は下地被膜と同等のものでもよいし、他の材料でもよい。マスクパターン材で覆った部分には溶射被膜はのらず、マスクパターンの空隙部分にのみ溶射被膜がのることで、エンボス状やスリット状の凹凸模様が形成される。ここで、マスクパターン材として、例えば、篩などのメッシュ状の金網や円形状のパンチングメタル板などが挙げられる。マスクパターンにより形成されるエンボス面の形態は、三角形状、四角形状、多角形状、円形状、楕円形状などである。
上記方法で作製したエンボス模様の凹凸面の一例を図面に示す。マスク材の模様パターンを変えることで、様々な形状の凸面を基板上に形成させることが可能である。ここで、図1は格子状のエンボス模様を有する被膜層が形成された被覆部材であり、1は基材、2は下地溶射膜、3はエンボス模様の被膜層である。また、図2は菱形状、図3は円形状のエンボス模様を有する被膜層が形成された被覆部材である。更に、図4は、上記マスクパターン4を用いて格子状のエンボス模様を形成する場合の態様を示す。
なお、ブラスト処理された基材上にマスクパターン材を直接セットし、プラズマ溶射により一定の溶射被膜を形成させてもエンボス又はスリット模様面を得ることができる。また、酸化物被膜の代わりに他の金属等の溶射粉を用いても同様のエンボス模様を描くことができる。更には、上記製造方法により基材平面部分へのエンボス模様面の形成はもとより、溝板基材の斜面部分や円筒形基材の側面部分、更には曲面を有する複雑な形状表面部上にもマスクパターン材をセットすることで、エンボス模様やスリット模様を容易に形成させることができる。また、エンボス又はスリットの高さや広さなどを、マスクパターンの厚みや空隙の広さ、間隔を変えることにより自由にコントロールできる。例えば、高さ0.5mmのエンボス面を得たい場合には、マスクパターンの厚みが0.5mm以上のものを選び、溶射のパス回数を制御することで、容易に所定のエンボス模様を得ることができる。
上記方法により形成された凹凸面を有するエンボス又はスリット模様面の酸化物等の被膜層上に製品試料をセットし、焼成や焼結、又は熱処理を行う。エンボス又はスリット模様面を形成させることで、製品設置面積が減り、被膜剥離の原因となる酸化物被膜層と製品との固着を抑制することができる。特に、サーメット材料や超硬材料であるタングステンカーバイトを焼成、焼結する際に有効である。例えば、超硬材料の脱脂焼成工程において、タングステンカーバイト成形体中に含有されるパラフィンなどのバインダー蒸気の抜けがよくなり、製品試料の変形が防止できる。また、焼結においてはタングステンカーバイト中のコバルトが酸化物被膜層に染み出すことで生じる固着剥離を、エンボス又はスリット模様にして接触面積を減らすことで防止することができる。また、固着部の被膜剥離が発生した場合にもその剥離面積を最小にすることができる。即ち、凸部一個分の剥離で抑えることが可能になる。従って、基材からの酸化物被膜層の剥がれが減少し、製品焼結時の熱サイクルに強い耐久性のある焼成用耐熱部材が提供できる。
なお、エンボス又はスリット模様を溶射法により形成する場合に用いる酸化物等の粒子の粒径は平均粒径10〜70μmがよく、上記の基材にアルゴン、窒素等の不活性ガスや水素ガスを用いてプラズマ溶射して本発明の被覆部材を製造するものである。この場合、上述したように、必要により溶射する前に、基材表面にブラスト処理等の表面加工を施してもよい。
エンボス又はスリット模様の被膜層において、エンボス又はスリット凸部の被膜の高さ(図1においてH)は、0.02mm以上0.5mm以下がよい。好ましくは0.05mm以上0.3mm以下が望ましい。0.02mm未満では、繰り返し使用した場合に、酸化物被膜と焼結製品の設置面積が増えて固着する可能性がある。0.5mmを超えると、エンボス凸部被膜内で熱衝撃により膜剥離が生じる場合がある。また、エンボス又はスリット凸部間の隙間間隔(図1においてS)は、0.02mm以上5mm以下がよい。好ましくは0.1mm以上1mm以下がよい。0.02mm未満では繰り返し使用した場合に酸化物被膜と焼結製品の設置面積が増えて固着する可能性がある。5mmを超えると焼結製品の変形を生じるおそれがある。
なお、上述したように、基材上に下地膜を溶射法によって形成することができるが、下地膜の厚さは、0.02mm以上0.4mm以下がよい。この場合、下地膜は酸化物の膜とすることが、特にサーメット材料や超硬材料などの焼結製品との反応防止の点より好ましいが、更には、基材と下地被膜の密着力を向上させるためにY23で安定化したZrO2などの酸化物や耐熱性金属、炭化物、窒化物等の中間層を基材と下地被膜間に設けてもよい。基材と下地被膜の間に中間被膜層を設ける場合には、中間被膜層に下地被膜層を足したトータル膜厚を0.02mm以上0.4mm以下にするとよい。
下地被膜や中間被膜層をつけず、直接基材にマスクパターンによるエンボス又はスリット模様を描いてもよい。この場合には、基材と酸化物被膜が反応しないことが必要となる。例えば、基材にカーボンを使用する場合には、希土類酸化物の中でもYb23を用いるとよい。
このようにして得られたエンボス又はスリット模様を有する耐熱性被覆部材を用いて粉末冶金等の金属やセラミックスを2,000℃以下、更に好ましく1,000〜1,800℃で1〜50時間、加熱処理又は焼結することがよく、雰囲気は真空、酸化雰囲気、不活性雰囲気又は還元雰囲気下であるのがよい。なお、不活性雰囲気としては、例えばAr又はN2ガス雰囲気であり、還元雰囲気としては、水素ガス等である。
金属、セラミックスとしては焼結又は熱処理して得られるものであればよく、Cr合金、Mo合金、サーメット、炭化タングステン、炭化珪素、窒化珪素、ホウ化チタン、希土類−アルミニウム複合酸化物、希土類−遷移金属合金、チタン合金、希土類酸化物、希土類元素含有複合酸化物等が挙げられ、特にサーメット、炭化タングステン、希土類酸化物、希土類−アルミニウム複合酸化物、希土類−遷移金属合金の製造において、本発明の治具等の被覆部材は有効である。具体的には、YAG等の透性セラミックスやサーメット材料、炭化タングステン等の超硬材料、焼結磁石に用いるSm−Co系合金、Nd−Fe−B系合金、Sm−Fe−N系合金の製造や焼結磁歪材に用いるTb−Dy−Fe合金や焼結蓄冷材に用いるEr−Ni合金の製造において、本発明の治具等の被覆部材は有効である。
以下、参考例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
参考例1]
50×50×5mmのカーボン基材表面をブラストで荒らした後、Yb23酸化物粒子をアルゴン/水素でプラズマ溶射することにより、膜厚50μmのYb23溶射下地膜を形成した。次に、70×70×5mmのステンレス製金網(マス目長さ1mm;線径太さ0.3mm)をマスクパターン材として準備した。上記Yb23溶射下地膜上に金網をセットし、Yb23酸化物粒子をアルゴン/水素でプラズマ溶射することで、凸部高さ100μmのマス目状のエンボス模様を形成させた。
[実施例2]
50×50×5mmのカーボン基材表面をブラストで荒らした後、カーボン基材との密着力強化のために下地中間層として、W粒子をアルゴン/水素でプラズマ溶射することにより、膜厚40μmの金属被膜を形成させ、更にその被膜上にY元素とAl元素を含有したYAG組成の複合酸化物粒子をアルゴン/水素でプラズマ溶射することにより、トータルの膜厚100μmの溶射下地膜を形成した。次に、70×70×5mmのステンレス製金網(マス目長さ0.6mm;線径太さ0.3mm)をマスクパターン材として準備した。上記溶射下地膜上に金網をセットし、Y元素とAl元素を含有したYAG組成の複合酸化物粒子をアルゴン/水素でプラズマ溶射することで、凸部高さ60μmのマス目状のエンボス模様を形成させた。
[比較例1]
50×50×5mmのカーボン基材表面をブラストで荒らした後、Yb23酸化物粒子をアルゴン/水素でプラズマ溶射することにより、膜厚150μmのYb23溶射被覆部材を作製した。
[比較例2]
50×50×5mmのカーボン基材表面をブラストで荒らした後、カーボン基材との密着力強化のために下地中間層として、W粒子をアルゴン/水素でプラズマ溶射することにより、膜厚40μmの金属被膜を形成させ、更にその被膜上にY元素とAl元素を含有したYAG組成の複合酸化物粒子をアルゴン/水素でプラズマ溶射することにより、トータルの膜厚160μmの溶射被覆部材を得た。
なお、試料膜厚と凸部高さは溶射被膜断面を研磨し、低倍率の電子顕微鏡で測定した。
参考例1及び実施例2と比較例1,2の試料について、10-2torrの真空雰囲気下、1,550℃の温度まで400℃/hrの速度で昇温した。2時間保持した後、加熱を切り、1,000℃でアルゴンガスを導入して500℃/hrの速度で常温付近まで冷却した。
次に、タングステンカーバイト粉にコバルト粉を質量比率で10質量%混ぜ合わせて、φ20×10mmの超硬成形体を作製した。この成形体を1,550℃で熱処理を施した溶射被覆部材の中央部に乗せてカーボンヒーター炉内にセットし、真空引き後、800℃まで窒素雰囲気下で400℃/hrで昇温し、その後、真空引きを行い、10-2torrの真空雰囲気下、1,400℃まで400℃/hrの速度で昇温した。2時間保持した後、加熱を切り、1,000℃でアルゴンガスを導入して500℃/hrの速度で常温付近まで冷却した。1回毎に新しい超硬成形体を乗せながら、同様の熱試験を50回繰り返した場合の溶射被膜と超硬焼結体試料との固着による被膜剥離を調べた。その結果、参考例1及び実施例2のエンボス溶射被覆部材は超硬試料との固着がなく、被膜剥離が見られなかった。一方、比較例1の被覆部材は、35回目に超硬試料が溶射被膜と固着し、一部溶射被膜に剥離が発生した。また、比較例2の被覆部材は、40回目に同様の固着による剥離が発生した。溶射被膜層をエンボス模様にする効果で、耐久性の向上が計られた。
次に、エンボス溶射模様の応用例として、溝板斜面部分へのエンボス模様を描き、超硬材料との固着性を比較した。その結果を実施例3に示す。また、円筒曲面へのエンボス溶射模様を描いた結果を参考例4に示す。
[実施例3]
溝角度90°、溝ピッチ5mm、溝数8個の50×50×5mmのカーボン溝板表面をブラストで荒らした後、カーボン基材との密着力強化のために下地中間層として、8mol%Y23含有ZrO2粒子をアルゴン/水素でプラズマ溶射することにより、膜厚40μmの溶射被膜を形成させ、更にその被膜上にYb23とAl23が質量比率で40:60で含有された複合酸化物粒子をアルゴン/水素でプラズマ溶射することにより、溝板斜面部のトータル膜厚が100μmの下地膜を得た。この試料を3−aとする。
次に、70×70×5mmの菱形状金網(目開き一辺の長さ1mm;線径太さ0.3mm)をマスクパターン材として準備した。上記下地膜上に金網をセットし、Dy23粒子をアルゴン/水素でプラズマ溶射することで、凸部高さ100μmの菱形メッシュ状のエンボス模様を形成させた。この試料を3−bとする。
上記3−a,3−bの試料について、10-2torrの真空雰囲気下、1,550℃の温度まで400℃/hrの速度で昇温した。2時間保持した後、加熱を切り、1,000℃でアルゴンガスを導入して500℃/hrの速度で常温付近まで冷却した。
次に、タングステンカーバイト粉にコバルト粉を質量比率で10質量%混ぜ合わせて、φ7×30mmの超硬成形体を作製した。この成形体を1,550℃で熱処理を施した溶射被覆部材の中央部に乗せてカーボンヒーター炉内にセットし、真空引き後、800℃まで窒素雰囲気下で400℃/hrで昇温し、その後、真空引きを行い、10-2torrの真空雰囲気下、1,400℃まで400℃/hrの速度で昇温した。2時間保持した後、加熱を切り、1,000℃でアルゴンガスを導入して500℃/hrの速度で常温付近まで冷却した。この場合の溶射被膜と超硬焼結体試料との固着性を調べた。その結果、3−b試料のエンボス溶射被覆部材は超硬試料との固着が見られなかった。一方、3−aの被覆部材は超硬試料との弱い固着が見られた。溶射被膜層をエンボス模様(起伏の大きな凹凸面)にすることで、固着性に差がでることが確認できた。
参考例4]
外径80mm、内径70mm、高さ100mmの円筒形のカーボン基材を準備した。表面をブラストで荒らした後、直径3mm、隙間間隔1mmの穴の開いた厚み0.5mmのパンチングメタル板を外周に巻きつけて固定した。その試料を回転台の上にセットし、回転数60rpmで回転させながら、Yb23粒子をアルゴン/水素でプラズマ溶射することにより、凸部高さ300μmの円形状のエンボス模様を形成させた。
曲面部分への酸化物被膜による円形状のエンボス模様を容易に描くことができた。従って、曲面を有する製品試料を焼成あるいは焼結する場合の変形防止や固着防止に適用可能である。
本発明の一実施例の被覆部材で、(A)は平面図、(B)は部分拡大平面図、(C)は(B)図のB−B線断面図である。 本発明の他の実施例の被覆部材の平面図である。 本発明の別の実施例の被覆部材の平面図である。 本発明に係る被覆部材をマスクパターンを用いて製造する場合の一態様を示し、(A)は平面図、(B)は(A)図のA−A線断面図である。
符号の説明
1 基材
2 下地膜
3 エンボス模様の被膜層
4 マスクパターン

Claims (5)

  1. カーボン基材上に、タングステン、又はY 2 3 で安定化したZrO 2 からなる中間層を形成すると共に、該中間層上に溶射法により希土類元素含有酸化物からなる下地溶射膜を形成し、更にこの下地溶射膜上に、希土類元素含有酸化物による1個の凸部高さが0.02mm〜0.5mmであるエンボス模様又はスリット模様の被覆層を溶射法により形成したことを特徴とする超硬材料又はサーメット材料焼結用セッターの製造方法。
  2. 被覆層を形成する希土類元素含有酸化物が、Y元素とAl元素を含有したYAG組成の複合酸化物又はDy 2 3 である請求項1記載の製造方法。
  3. エンボス模様又はスリット模様の被覆層を、平均粒径が10〜70μmの希土類元素含有酸化物粒子を格子状、網目状又はスリット状のマスクパターンの空隙を通して溶射することにより形成した請求項1又は2記載の製造方法。
  4. エンボス模様又はスリット模様の凸部間の隙間間隔を0.02mm〜5mmとなるように形成した請求項1乃至3のいずれか1項記載の製造方法。
  5. セッターが真空、不活性雰囲気又は還元雰囲気下での超硬材料又はサーメット材料の焼結用である請求項1乃至4のいずれか1項記載の製造方法。
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