JP4951177B2 - 抗パラミクソウイルス剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗パラミクソウイルス剤に関する。より詳細には、本発明は、パラミクソウイルスの増殖を制御する蛋白質の作用機構を利用した抗ウイルス効果を有する抗パラミクソウイルス剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、細菌によって引き起される疾病は、ペニシリンを始めとする多くの抗生物質を用いて選択的に細菌の増殖を抑制することにより治療され、絶大な効果をあげてきた。ところが、ウイルスによって引き起こされる疾病は、ウイルスが感染した細胞内に本来備わっている生理機能を利用して増殖するという寄生的性質を強く持つが故に、ウイルスだけに特異性をもった抗生物質を開発することが困難であり、その根本的な治療は困難になっている。このような背景から、従来から、ウイルス性疾患に対しては予防に力点が置かれ、不幸にして感染した際には生体の自然治癒力を助けて回復させる等の対症療法が行われてきた。
【0003】
しかしながら、後天性免疫不全症候群(AIDS)に対しては、エイズウイルス逆転写酵素やプロテアーゼの阻害剤が治療効果を示し、またインフルエンザウイルスに対しては、ウイルスM蛋白質やノイラミニダーゼに対する阻害剤が治療効果を示している。このように、巧妙に設計された医薬品ならば抗ウイルス剤として利用可能であることが示されている。このような抗ウイルス剤の開発が進む一方で、ヒト麻疹ウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルスなどは小児の重要な感染症であるにもかかわらず有効な治療方法はない。ヒトパラインフルエンザウイルスにおいては、ワクチンさえ開発されていない。またその一方で、イヌジステンパーウイルス、ウシリンダーペストウイルスの発生は、ペット産業、畜産業に大きな打撃を与えている。これらのウイルスは、いずれもパラミクソウイルスに属し、発生頻度の点でウイルス感染症のなかでとても大きな割合を占める。ヌクレオチドの誘導体であるリバビリン(Ribavirin)(Conner C. S.,Drug Intell. Clin. Pharm. 18, 137-138 (1984) )に効果があるという報告もあるが、未だ実用化には至っていない。
【0004】
この一方でパラミクソウイルスをウイルスベクターとして用いる研究(Hasan M.K. et al., J. Gen. Virol. 78, 2813-2820(1997))も始まり、組換えワクチン(Durbin A.P. et. al., J. Virol. 74, 6821-6831(2000))あるいは、遺伝子治療用ベクター(Li H.O. et. al., J. Virol. 74, 6564-6569 (2000))として使用することが提案されている。これら生体に用いられるウイルスベクターは本来備わっているウイルスの病原性を低下せしめたものではあるが、ある程度長い期間生体内に留まることを前提にしている以上、不測の事態に備えて抗血清、あるいは抗ウイルス剤が準備されていることが望ましい。
【0005】
パラミクソウイルスゲノムの上流から2番目の位置にあるP遺伝子にコードされているC蛋白質の機能についてこれまであまり多くのことがわかっていなかった。そもそもC蛋白質はパラミクソウイルスのプロトタイプと言われるマウスパラインフルエンザウイルス1型(以下センダイウイルスと呼ぶ)のゲノムの塩基配列を決定した段階で存在が想定された蛋白質であった。その後、予想されるアミノ酸配列を基に抗体を作製し、その抗体を用いてC蛋白質はウイルス粒子構造の維持にはかかわらないが感染細胞内に多量に存在する実在の蛋白質であることが証明された(Portner A. et. al.,Virus Res. 6, 109-121 (1986))。 その後、細胞を用いた人工的なウイルス遺伝子の増幅系を用いて、C蛋白質を発現するプラスミド量を増やすに従ってウイルス遺伝子の発現が抑制されることが報告され (Curran J. et. al., Virology 189, 647-656(1992))、抑制作用が発揮されるにはウイルスゲノムの末端構造が重要であることが明らかにされた(Cadd T. et. al., J. Virol 70, 5067-5074 (1996))。これらの知見から、C蛋白質はゲノムRNAの末端からRNA合成を開始する際に、どちらの末端から開始するかを選択させるために機能し(Tapparel C. et. al., J. Virol. 71, 9588-9599 (1997))、実際のウイルス感染においてはウイルスRNA合成を調節するためにC蛋白質が働いている可能性が示唆された。
【0006】
その後、C蛋白質を欠失したセンダイウイルスと麻疹ウイルスが人工的に作られるに及んで、C蛋白質はウイルスにとって必須な蛋白質ではないことが明らかにされた(Kurotani A. et. al., Genes Cells 2, 111-124 (1998), Radecke F., and Billeter M. A., Virology 217, 418-421(1996))。欠損麻疹ウイルスは、基になった親ウイルスと培養細胞レベルでは増殖速度に大きな変化が認められなかったが、欠損センダイウイルスの場合には、用いたすべての条件で親ウイルスに比べて著しく増殖速度が低下していた。ただ、欠損のさせ方によっては、C蛋白質欠損の影響が顕著には認められない例も報告された(Latorre P. et. al., J Virol. 72, 5984-5993 (1998))。その後、麻疹ウイルスでも株化されていないヒト細胞あるいは組織を用いると、センダイウイルスに見られたのと同様に、欠損株の増殖が低下するという知見が得られ(Escoffier C, et. al., J. Virol. 73, 1695-1698 (1999))、C蛋白質にはウイルス増殖を最適化する機能の存在が予見された。その一つとしてインターフェロンの抗ウイルス作用を感染細胞内で発動させないようにする作用が示されている(Garcin, D. et. al., J. Virol. 73, 6559-6565 (1999), Gotoh B. et. al., FEBS Lett. 459, 205-210 (1999))。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、パラミクソウイルスに対する抗ウイルス剤を提供することを解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、パラミクソウイルスのP遺伝子にコードされているC蛋白質のウイルス増殖における役割を探る目的で、センダイウイルスのC蛋白質あるいは麻疹ウイルスのC蛋白質を恒常的に発現するHeLa細胞株を樹立した。さらに本発明者らは、得られた細胞株に各種のウイルスを感染させ、その増殖の程度を比較検討した。その結果、センダイウイルスのC蛋白質を発現している細胞株では、センダイウイルスとその最も近縁なヒトパラインフルエンザウイルス1型の増殖が著しく抑制されることを発見した。一方、麻疹ウイルスのC蛋白質を発現している細胞株では、麻疹ウイルスの増殖が抑制された。どちらも調べた限りではその他のウイルスの増殖の低下は見られず、C蛋白質と増殖が抑制されるウイルスの関係は極めて限られたものであった。
【0009】
センダイウイルスと麻疹ウイルスはどちらもパラミクソウイルス科パラミクソウイルス亜科に分類されるウイルスであり、遺伝子構造が互いによく似ている。しかし互いの塩基配列及びアミノ酸配列はあまり似ておらず、センダイウイルスはレスピロウイルス属に属する一方、麻疹ウイルスはモービリウイルス属に属している。互いに分類学上距離を置くセンダイウイルスと麻疹ウイルスのC蛋白質の細胞内発現が、前者ではセンダイウイルスとヒトパラインフルエンザ1型の増殖を抑制し、後者では麻疹ウイルスの増殖を抑制するという知見は、たまたまこの二種類のウイルスで観察される現象ではなく、広くパラミクソウイルスのC蛋白質には元来的にパラミクソウイルスの増殖を特異的に抑制する能力あると一般化するものである。
【0010】
これらの結果は、C蛋白質を用いてパラミクソウイルスの増殖を抑えることが可能であり、今までにない抗ウイルス剤の開発の方向性を示したものである。従来、パラミクソウイルスによる疾病は、ワクチンによる予防が主体であり、治療は対症療法に限られていた。核酸の誘導体であるリバビリンを用いる試みが、実験室内的あるいは臨床的に移植手術後の患者に用いて行われているものの、その成績は、必ずしも満足できるものではない。その点でC蛋白質による治療は、ウイルス特異的で選択毒性が極めて高いと考えられるため、治療薬としては優れたものになるはずである。実際、C蛋白質を恒常的に発現する細胞は、特定のウイルスの増殖を極めて低下せしめるものの細胞自身は遺伝子を導入していない通常細胞と外見上もなんの異常も認められず、細胞の増殖速度も変化しないことが判明している。
【0011】
即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) パラミクソウイルスP遺伝子から発現するC蛋白質、その変異体またはそれらの一部を有効成分として含む、抗パラミクソウイルス剤。
【0012】
(2) 下記の何れかのアミノ酸配列を有する蛋白質を有効成分として含む抗パラミクソウイルス剤。
(a)配列番号5から14の何れかに記載のアミノ酸配列を有する蛋白質;
(b)配列番号5から14の何れかに記載のアミノ酸配列において1から複数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列を有し、C蛋白質と同等以上のウイルスRNA合成阻害作用を示す蛋白質;
【0013】
(3) パラミクソウイルスP遺伝子から発現するC蛋白質、その変異体またはそれらの一部を発現できるDNA又はRNAを有効成分として含む、抗パラミクソウイルス剤。
【0014】
(4) 下記の何れかの塩基配列を有するDNAまたはRNAを有効成分として含む、抗パラミクソウイルス剤。
(a)配列番号5から14の何れかに記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列;又は、
(b)配列番号5から14の何れかに記載のアミノ酸配列において1から複数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列であって、C蛋白質と同等以上のウイルスRNA合成阻害作用を示すアミノ酸配列をコードする塩基配列;
(c)配列番号15から24の何れかに記載の塩基配列;又は、
(d)配列番号15から24の何れかに記載の塩基配列において1から複数個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有する塩基配列を有し、C蛋白質と同等以上のウイルスRNA合成阻害作用を示すアミノ酸配列をコードする塩基配列;
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の抗パラミクソウイルス剤は、パラミクソウイルスP遺伝子から発現するC蛋白質、その変異体またはそれらの一部を有効成分として含む。本発明で用いるC蛋白質、その変異体またはそれらの一部は単独で使用してもよいし、別の異なる蛋白質と結合または混合して用いてもよい。
【0016】
パラミクソウイルスP遺伝子から発現するC蛋白質のアミノ酸配列の具体例を配列表の配列番号5から14に記載する。
配列番号5:センダイウイル
配列番号6:麻疹ウイルス
配列番号7:ヒトパラインフルエンザ1型
配列番号8:ヒトパラインフルエンザ3型
配列番号9:ウシパラインフルエンザ3型
配列番号10:イヌジステンパーウイルス
配列番号11:アザラシジステンパーウイルス
配列番号12:リンダーペストウイルス
配列番号13: ヘンドラウイルス
配列番号14:ニパウイルス
【0017】
本発明では、パラミクソウイルスP遺伝子から発現するC蛋白質の変異体またはそれらの一部を有効成分として使用してもよい。このようなC蛋白質の変異体またはそれらの一部としては、C蛋白質と同等以上のウイルスRNA合成阻害作用を示すものが好ましい。
【0018】
C蛋白質の変異体の具体例としては、配列表の配列番号5から14の何れかに記載のアミノ酸配列において1から複数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列を有し、C蛋白質と同等以上のウイルスRNA合成阻害作用を示す蛋白質が挙げられる。
【0019】
即ち、本発明の抗パラミクソウイルス剤においては、下記の何れかのアミノ酸配列を有する蛋白質を有効成分として使用することができる。
(a)配列番号5から14の何れかに記載のアミノ酸配列を有する蛋白質;
(b)配列番号5から14の何れかに記載のアミノ酸配列において1から複数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列を有し、C蛋白質と同等以上のウイルスRNA合成阻害作用を示す蛋白質;
【0020】
本明細書で言う「1から複数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列」における「1から複数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。
【0021】
本発明で用いる蛋白質の取得方法については特に制限はなく、化学合成により合成した蛋白質でもよいし、遺伝子組み換え技術による作製した組み換え蛋白質でもよい。
組み換え蛋白質を作製する場合には、先ず当該蛋白質をコードするDNAを入手することが必要である。本明細書の配列表の配列番号5から14に記載したアミノ酸配列並びに配列番号15から24に記載した塩基配列の情報を利用することにより適当なプライマーを設計し、それらを用いて公知のウイルス全長ゲノム又はcDNAクローンなどを鋳型にしてPCRを行うことにより、本発明で用いるC蛋白質をコードするDNAを取得することができる。C蛋白質をコードするDNAの一部の断片を上記したPCRにより得た場合には、作製したDNA断片を順番に遺伝子組み換え技術により連結することにより、所望のC蛋白質をコードするDNAを得ることができる。このDNAを適当な発現系に導入することにより、C蛋白質を産生することができる。発現系でのC蛋白質の産生については後述する。
【0022】
本発明の抗パラミクソウイルス剤においては、C蛋白質、その変異体またはそれらの一部を発現するように設計したDNAあるいはRNAを有効成分として用いることもできる。
【0023】
本発明で用いることができるC蛋白質をコードするDNAの塩基配列の具体例を配列表の配列番号15から24に記載する。
配列番号15:センダイウイル
配列番号16:麻疹ウイルス
配列番号17:ヒトパラインフルエンザ1型
配列番号18:ヒトパラインフルエンザ3型
配列番号19:ウシパラインフルエンザ3型
配列番号20:イヌジステンパーウイルス
配列番号21:アザラシジステンパーウイルス
配列番号22:リンダーペストウイルス
配列番号23: ヘンドラウイルス
配列番号24:ニパウイルス
【0024】
本発明の抗パラミクソウイルス剤においては、下記の何れかの塩基配列を有するDNAまたはRNAを有効成分として使用することができる。
(a)配列番号5から14の何れかに記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列;又は、
(b)配列番号5から14の何れかに記載のアミノ酸配列において1から複数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列であって、C蛋白質と同等以上のウイルスRNA合成阻害作用を示すアミノ酸配列をコードする塩基配列;
(c)配列番号15から24の何れかに記載の塩基配列;又は、
(d)配列番号15から24の何れかに記載の塩基配列において1から複数個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有する塩基配列を有し、C蛋白質と同等以上のウイルスRNA合成阻害作用を示すアミノ酸配列をコードする塩基配列;
【0025】
さらに本発明の抗パラミクソウイルス剤においては、上記のDNAに対応する塩基配列を有するRNAを有効成分として使用してもよい。
【0026】
本発明で用いるDNA又はRNAは、例えばホスホアミダイト法などにより合成することができるし、特異的プライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって製造することもできる。本発明のDNA又はその断片の作製方法については、本明細書中上述した通りである。
【0027】
また、所定の核酸配列に所望の変異を導入する方法は当業者に公知である。例えば、部位特異的変異誘発法、縮重オリゴヌクレオチドを用いるPCR、核酸を含む細胞の変異誘発剤又は放射線への露出等の公知の技術を適宜使用することによって、変異を有するDNAを構築することができる。このような公知の技術は、例えば、Molecular Cloning: A laboratory Mannual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY.,1989、並びにCurrent Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley & Sons (1987-1997)に記載されている。
【0028】
上記したDNAは適当な発現ベクターに挿入して蛋白質を発現させることができる。発現ベクターにおいては、DNAは、転写に必要な要素(例えば、プロモーター等)が機能的に連結されている。プロモータは宿主細胞において転写活性を示すDNA配列であり、宿主の種類に応じて適宜することができる。
【0029】
細菌細胞で作動可能なプロモータとしては、バチルス・ステアロテルモフィルス・マルトジェニック・アミラーゼ遺伝子(Bacillusstearothermophilus maltogenic amylase gene)、バチルス・リケニホルミスαアミラーゼ遺伝子(Bacillus licheniformis alpha-amylase gene)、バチルス・アミロリケファチエンス・BANアミラーゼ遺伝子(Bacillus amyloliquefaciens BAN amylase gene)、バチルス・サブチリス・アルカリプロテアーゼ遺伝子(Bacillus Subtilis alkaline protease gene)もしくはバチルス・プミルス・キシロシダーゼ遺伝子(Bacillus pumilus xylosldase gene)のプロモータ、またはファージ・ラムダのPR若しくはPLプロモータ、大腸菌の lac、trp若しくはtacプロモータなどが挙げられる。
【0030】
哺乳動物細胞で作動可能なプロモータの例としては、SV40プロモータ、MT−1(メタロチオネイン遺伝子)プロモータ、またはアデノウイルス2主後期プロモータなどがある。昆虫細胞で作動可能なプロモータの例としては、ポリヘドリンプロモータ、P10プロモータ、オートグラファ・カリホルニカ・ポリヘドロシス塩基性タンパクプロモータ、バキュウロウイルス即時型初期遺伝子1プロモータ、またはバキュウロウイルス39K遅延型初期遺伝子プロモータ等がある。酵母宿主細胞で作動可能なプロモータの例としては、酵母解糖系遺伝子由来のプロモータ、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子プロモータ、TPI1プロモータ、ADH2-4cプロモータなどが挙げられる。
糸状菌細胞で作動可能なプロモータの例としては、ADH3プロモータまたはtpiAプロモータなどがある。
【0031】
組み換えベクターは更に、ポリアデニレーションシグナル(例えばSV40またはアデノウイルス5E1b領域由来のもの)、転写エンハンサ配列(例えばSV40エンハンサ)および翻訳エンハンサ配列(例えばアデノウイルス VA RNA をコードするもの)のような要素を有していてもよい。組み換えベクターは更に、該ベクターが宿主細胞内で複製することを可能にするDNA配列を具備してもよく、その一例としてはSV40複製起点(宿主細胞が哺乳類細胞のとき)が挙げられる。
【0032】
組み換えベクターはさらに選択マーカーを含有してもよい。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)またはシゾサッカロマイセス・ポンベTPI遺伝子等のようなその補体が宿主細胞に欠けている遺伝子、または例えばアンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン若しくはヒグロマイシンのような薬剤耐性遺伝子を挙げることができる。
上記したDNA又は組み換えベクターを適当な宿主に導入することによって形質転換体を作製することができる。DNAまたは組み換えベクターを導入される宿主細胞は、DNA構築物を発現できれば任意の細胞でよく、細菌、酵母、真菌および高等真核細胞等が挙げられる。
【0033】
細菌細胞の例としては、バチルスまたはストレプトマイセス等のグラム陽性菌又は大腸菌等のグラム陰性菌が挙げられる。これら細菌の形質転換は、プロトプラスト法、または公知の方法でコンピテント細胞を用いることにより行なえばよい。
哺乳類細胞の例としては、HEK293細胞、HeLa細胞、COS細胞、BHK細胞、CHL細胞またはCHO細胞等が挙げられる。哺乳類細胞を形質転換し、該細胞に導入されたDNA配列を発現させる方法も公知であり、例えば、エレクトロポーレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等を用いることができる。
【0034】
酵母細胞の例としては、サッカロマイセスまたはシゾサッカロマイセスに属する細胞が挙げられ、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevis1ae)またはサッカロマイセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)等が挙げられる。酵母宿主への組み換えベクターの導入方法としては、例えば、エレクトロポレーション法、スフェロブラスト法、酢酸リチウム法等を挙げることができる。
【0035】
他の真菌細胞の例は、糸状菌、例えばアスペルギルス、ニューロスポラ、フザリウム、またはトリコデルマに属する細胞である。宿主細胞として糸状菌を用いる場合、DNA構築物を宿主染色体に組み込んで組換え宿主細胞を得ることにより形質転換を行うことができる。DNA構築物の宿主染色体への組み込みは、公知の方法に従い、例えば相同組換えまたは異種組換えにより行うことができる。
【0036】
昆虫細胞を宿主として用いる場合には、組換え遺伝子導入ベクターおよびバキュロウイルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上清中に組換えウイルスを得た後、さらに組換えウイルスを昆虫細胞に感染させ、蛋白質を発現させることができる(例えば、Baculovirus Expression Vectors, A Laboratory Manua1;及びカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、Bio/Technology, 6, 47(1988)等に記載)。
【0037】
バキュロウイルスとしては、例えば、ヨトウガ科昆虫に感染するウイルスであるアウトグラファ・カリフォルニカ・ヌクレアー・ポリヘドロシス・ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)等を用いることができる。
昆虫細胞としては、Spodoptera frugiperdaの卵巣細胞であるSf9、Sf21〔バキュロウイルス・エクスプレッション・ベクターズ、ア・ラボラトリー・マニュアル、ダブリュー・エイチ・フリーマン・アンド・カンパニー(W. H. Freeman and Company)、ニューヨーク(New York)、(1992)〕、Trichoplusia niの卵巣細胞であるHiFive(インビトロジェン社製)等を用いることができる。
組換えウイルスを調製するための、昆虫細胞への組換え遺伝子導入ベクターと上記バキュロウイルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法又はリポフェクション法等を挙げることができる。
【0038】
上記の形質転換体は、導入されたDNA構築物の発現を可能にする条件下で適切な栄養培地中で培養する。形質転換体の培養物から、本発明で用いるC蛋白質を単離精製するには、通常の蛋白質の単離、精製法を用いればよい。
【0039】
例えば、C蛋白質が、細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、細胞を遠心分離により回収し水系緩衝液に懸濁後、超音波破砕機等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られた上清から、通常の蛋白質の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)セファロース等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S-Sepharose FF(ファルマシア社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィ一法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用い、精製標品を得ることができる。
【0040】
C蛋白質、その変異体またはそれらの一部を有効成分として用いる場合、これらの物質の細胞内濃度を上昇させ、ウイルスゲノムのRNA合成を低下させることが目的であるため、細胞内に取り込まれやすいように加工するか、あるいは添加物を加えることが好ましい。
【0041】
本発明において、C蛋白質あるいはC蛋白質の一部を発現されるように設計されたDNAあるいはRNAの場合には、周知のトランスフェクション法、例えば、▲1▼目的の細胞が取りこめるようなDNAあるいはRNAの沈殿物を作る方法、▲2▼目的の細胞による取り込みに適し、かつ細胞毒性の少ない陽電荷特性をもつ複合体をDNAあるいはRNAと作る方法、▲3▼目的の細胞膜に、DNAあるいはRNAが通り抜けられるだけに十分な穴を電気パルスによって瞬間的に開ける方法などがある。
【0042】
▲1▼としては、たとえばリン酸カルシウムを用いたトランスフェクション法が挙げられる。▲2▼の方法は、古くはDEAE-デキストランをDNAあるいはRNAと混合して使う方法が知られている。近年は種々のトランスフェクション試薬、例えばSuperfect (QIAGEN)、DOTAP、DOSPER (以上Roche Diagnostic)、リポフェクトアミン (Invitorogen)が利用てきる。▲3▼の方法はエレクトロポレーション法と呼ばれる方法で、細胞による差が少ない特徴をもつ。
【0043】
トランスフェクション法以外にも金コロイドの粒子上にDNAあるいはRNAを吸着させ、ジーンガンと呼ばれる器具を用いて超高速で細胞内に打ち込む投与法がある。またC蛋白質あるいはC蛋白質の一部を発現されるように設計されたDNAをウイルスベクターに組み込み、ウイルスベクターを感染させることにより発現させることが考えられる。
【0044】
投与する物質はC蛋白質あるいは、C蛋白質を発現するように設計されたDNA、RNAに限らずC蛋白質の作用機構、あるいは構造を模倣した低分子構造体でも可能である。
低分子構造体の場合には、浸透や拡散により自然に細胞内に入りうるので、鼻腔あるいは口腔内噴霧、点鼻薬、点眼薬、飲み薬、塗り薬、静脈内注射といった公知の投薬方法が使える。
【0045】
本発明で有効成分として用いる、(1)パラミクソウイルスP遺伝子から発現するC蛋白質、その変異体またはそれらの一部、(2)パラミクソウイルスP遺伝子から発現するC蛋白質、その変異体またはそれらの一部を発現できるDNA、又は(3)パラミクソウイルスP遺伝子から発現するC蛋白質、その変異体またはそれらの一部を発現できるRNAはそのままの形態でヒトなどの投与対象者に投与することもできるが、好ましくは医薬組成物の形態で投与することもできる。
【0046】
そのような医薬組成物の形態は特に限定されず、経口投与又は非経口投与用の製剤形態の中から治療や予防の目的に最も適した適宜の形態のものを選択することが可能である。経口投与に適した製剤形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、溶液剤、乳剤、懸濁剤、チュアブル剤などを挙げることができ、非経口投与に適する製剤形態としては、例えば、注射剤(皮下注射、筋肉内注射、又は静脈内注射など)、点滴剤、吸入剤、噴霧剤、坐剤、ゲル剤若しくは軟膏剤などの形態の経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、貼付剤若しくはテープ剤などの形態の経皮吸収剤などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0047】
経口投与に適当な液体製剤、例えば、溶液剤、乳剤、又はシロップ剤などは、水、ショ糖、ソルビット、果糖などの糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミントなどのフレーバー類などを用いて製造することができる。また、カプセル剤、錠剤、散剤、又は顆粒剤などの固体製剤の製造には、乳糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニットなどの賦形剤、澱粉、アルギン酸ソーダなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、ポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを用いることができる。
【0048】
非経口投与に適当な注射用又は点滴用の製剤は、好ましくは、受容者の血液と等張な滅菌水性媒体に有効成分である上記の物質を溶解又は懸濁状態で含んでいる。例えば、注射剤の場合、塩溶液、ブドウ糖溶液、又は塩水とブドウ糖溶液との混合物からなる水性媒体などを用いて溶液を調製することができる。腸内投与のための製剤は、例えば、カカオ脂、水素化脂肪、又は水素化カルボン酸などの担体を用いて調製することができ、座剤として提供される。また、噴霧剤の製造には、有効成分である上記の物質を微細な粒子として分散させることができ、受容者の口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ有効成分の吸収を容易ならしめる担体を用いることができる。担体としては、具体的には、乳糖又はグリセリンなどが例示される。有効成分である物質及び使用する担体の性質に応じて、エアロゾル又はドライパウダーなどの形態の製剤が調製可能である。これらの非経口投与用製剤には、グリコール類、油類、フレーバー類、防腐剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤などから選択される1種又は2種以上の補助成分を添加することもできる。
【0049】
本発明の薬剤の投与量及び投与回数は、疾患の種類や重篤度、投与形態、患者の年齢や体重などの条件などの種々の要因により適宜設定することができるが、一般的には、有効成分の投与量として一日当り10μg/kg〜10mg/kg、好ましくは10μg/kg〜1mg/kg程度である。上記投与量の製剤を一日1〜4回程度、好ましくは2〜4回程度に分けて投与することが好ましい。
本発明の製剤は、ヒトを含む任意の哺乳動物に投与することができるが、好ましくはヒトに投与される。
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0050】
【実施例】
[実施例1]センダイウイルスC蛋白質発現細胞におけるウイルス増殖
センダイウイルス(SeV)全長ゲノムcDNA 、pSeV(+)(Kato, A. et al., Genes to Cells 1:569-579, 1996)を鋳型として二つのプライマーCF(5'-gaattcaagcttgccatgccttcattcttaaag -3')(配列番号1)とCR(5'-gaattcggatccctattactcttgcactatgtg -3')(配列番号2)を用いて常法に従いポリメラーゼ連鎖反応より630塩基対のセンダイウイルスC蛋白質(204アミノ酸)をコードするcDNA鎖を増幅し、プラスミドベクター(pEF-BOS (Mizushima, S., and S. Nagata. 1990. Nucleic. Acids Res. 18, 5322 (1990)由来のpKS336)にクローン化した後、そのプラスミドをリン酸カルシウム法でヒト由来HeLa細胞にトランスフェクトし、ブラストサイジン耐性の染色体にプラスミドが組み込まれた細胞(C+)を選択した(Kato, A. et al., J.Virol. 75:3802-3810,2001)。
【0051】
このようにして選択したHeLa細胞は、センダイウイルスC蛋白質を発現している特徴を除いては、未発現のHeLa細胞に比べて明らかな形態的あるいは、細胞増殖速度の変化は見られなかった。また、二つのRNAウイルス、水疱性口内炎ウイルスとシンドビスウイルスに対する感受性についても検討したが、普通のHeLa細胞で増殖するのと同様にセンダイウイルスC発現HeLa細胞でも増殖した。ところが、C蛋白質が由来するセンダイウイルスを感染価5で両方の細胞に感染させ、継時的に培養上清を採取し、そこに含まれるウイルス量を比較したところ、C蛋白質を発現していない通常のHeLa細胞に比べてC蛋白質を発現するHeLa細胞では1/100の量となり、センダイウイルス産生量はC蛋白質発現による大きく損なわれていた(図1)(Kato, A. et al., J. Virol. 75:3802-3810, 2001)。
【0052】
[実施例2]C蛋白質発現細胞におけるパラミクソウイルスの増殖
センダイウイルスC蛋白質の細胞内発現が増殖を抑制するウイルスの範囲を知るために、近縁ウイルスを実施例1同様に二つの細胞にそれぞれ感染させ、培養上清中のウイルス量の測定を行った。パラミクソウイルス亜科に属するセンダイウイルスの近縁ウイルスとして同じパラミクソウイルス亜科に属する、モービリウイルス属、ルブラウイルス属、レスピロウイルス属の代表として麻疹ウイルス(エドモンストン株)、ムンプスウイルス(トリイ株)とヒトパラインフルエンザ3型ウイルス(コウベ3株)を用いた。どのウイルスも通常HeLa細胞で増えるのとセンダイウイルスC蛋白質発現細胞で増殖するのとで大差はなかった。すなわち、センダイウイルスC蛋白質発現によりウイルス増殖が著しく抑制されるという現象は認められず、パラミクソウイルスであるからと言って必ずしもセンダイウイルスC発現細胞で増殖が悪いわけではないことが判明した(図2)。ところが、センダイウイルスと最も近縁なレスピロウイルス属のヒトパラインフルエンザウイルス1型(コウベ1株)では、センダイウイルス同様に著しいウイルス増殖の抑制が観察された(図2)。センダイウイルスC蛋白質のウイルス増殖抑制は、極めて狭い範囲のウイルスについてのみ起こる特異性の高い阻害反応であることが示された。
【0053】
[実施例3]麻疹ウイルスC蛋白質発現細胞におけるウイルス増殖
C蛋白質のウイルス増殖抑制は、センダイウイルスC蛋白質に限った現象かどうかを確かめるために、センダイウイルスが属するレスピロウイルス属とは、異なるモービリウイルス属の麻疹ウイルスC蛋白質を使って、ウイルス増殖抑制能があるか否かを検討した。麻疹ウイルス全長ゲノムcDNA (Takeuchi, K. et al., Virus Genes 20:253-257, 2000)を鋳型として二つのプライマーCBam1 (5'-gcggatccggcacgccatgtcaaaaacg-3')(配列番号3)とCBam2 (5'-gcggatcctcaggagctcgtggatctcc-3')(配列番号4)を用いて常法に従いポリメラーゼ連鎖反応より561塩基対の麻疹ウイルスC蛋白質(186アミノ酸)をコードするcDNA鎖を増幅し、実施例1と同様にプラスミドベクター(pKS336)にクローン化した。その後、プラスミドをリン酸カルシウム法でHeLa細胞にトランスフェクトし、ブラストサイジン耐性の染色体にプラスミドが組み込まれた細胞(MevC+)を選択した。
【0054】
このようにして選択したHeLa細胞を、麻疹ウイルスのC蛋白質に対する抗体で、イムノブロットを行うと、通常HeLa細胞には見られない予想通りのサイズの麻疹ウイルスC蛋白質(MevC)が発現していることが確認された(図3)。この細胞の形態は、通常のHeLa細胞と変わらず、麻疹ウイルスのC蛋白質発現が細胞に悪影響を及ぼしているような様子は認められなかった。この細胞に水疱性口内炎ウイルスを感染させたところ、ウイルスは普通のHeLa細胞で増殖すると同様に麻疹ウイルスC発現HeLa細胞でも増殖し、ウイルス感受性に差は認められなかった。そこで次に、センダイウイルスをこの細胞に感染させたところ、通常のHeLa細胞と同等のウイルス増殖が麻疹ウイルスC発現細胞でも観察され、実施例1で示されたようなセンダイウイルスの増殖阻害は認められなかった。また、この結果により、細胞に導入されたプラスミドの自身が、抗センダイウイルスの効果を発揮していたのではないことも明らかになった。ところが、この細胞にC蛋白質が由来する麻疹ウイルスEdmonston株を感染価0.5で感染させたところ、親株HeLa細胞に比べて、麻疹ウイルスC発現細胞では1/20以下のウイルス増殖しか認められなかった(図3)。このことからパラミクソウイルスのC蛋白質には、その蛋白質の由来するウイルスと限られた近縁のウイルスの増殖を抑制する活性があることが示された。
【0055】
[実施例4]C蛋白質によるウイルス増殖の抑制機構
既に述べたように、最初に明らかにされたセンダイウイルスC蛋白質の機能は人工ウイルス遺伝子の増幅抑制(Curran J. et. al., Virology 189, 647-656(1992))であった。このことは、ウイルスRNAの合成段階の抑制がC蛋白質の作用部位の一つであることを示唆している。実際、C蛋白質の発現を人工的に無くしたセンダイウイルスを感染させた細胞では、感染後期になると親株センダイウイルスを感染させた細胞よりウイルスのmRNAが多量に産生され、蛋白合成が活発になる (Hasan MK. J.Virol. 74:5619-5628(1999)) という事実とも合致する。また更には、C蛋白質発現細胞では感染させたセンダイウイルスmRNAの合成が抑制されているという知見とも一致する(Kato, A. et al., J.Virol. 75:3802-3810, 2001))。
【0056】
このことを再確認する目的で、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼを組み込んだ組換えセンダイウイルス(Hasan MK.et al. J.Gen.Virol. 78:2813-2820 (1997))を感染させて6時間後の親株HeLa、センダイウイルスC発現HeLa(C+)あるいは麻疹ウイルスC発現HeLa(MevC+)細胞の溶解液中のルシフェラーゼ活性で評価した(図4)。ウイルスの転写活性が抑制されているとルシフェラーゼの値が低くなり、抑制されないと高くなることを利用したものである。センダイウイルスC発現細胞(C+)でのルシフェラーゼの活性は、親株HeLa感染細胞に対して1/10以下に低下していたが、麻疹ウイルスC発現細胞(MevC+)では、このような低下は認められなかった。このことから、組換えセンダイウイルスにコードされたルシフェラーゼ遺伝子から出るmRNAを用いても、センダイウイルスC発現細胞で特異的に抑制されていることが確認された。
【0057】
ウイルスゲノムに挿入した非ウイルス遺伝子であるルシフェラーゼの発現をもC蛋白質が阻害することから、阻害の特異性はウイルス遺伝子に各個に作用するのではなく、おそらくはC蛋白質がウイルスゲノム両末端と結合するか、あるいはウイルスRNAポリメラーゼとの結合することによってRNA合成が抑制されているのではないかと推測された。実際、ウイルス学的あるいは生化学的にセンダイウイルスのC蛋白質がウイルスゲノムの末端あるいはRNAポリメラーゼと結合することは既に示されており(Trapparel C.et al. J. Vriol. 71:9588-9599 (1997), Horikami, S.M.et al. Virology 235:261-270 (1997))、この結合とRNA合成抑制との関わりが注目される。
【0058】
[実施例5]ウイルス増殖阻害を引き起こすC蛋白質の機能部位1
センダイウイルスC蛋白質は204アミノ酸からなる、塩基性蛋白質である。ウイルスのRNA合成を特異的に阻害する機能を担う領域を探るためにC蛋白質のアミノ末端から順に削った蛋白質(カッコ内は削ったアミノ酸番号) を発現する変異遺伝子を作成した。すなわち、181アミノ酸からなるY1(Δ1-23) 、175アミノ酸からなるY2(Δ1-29)、138アミノ酸からなるY2.5(Δ1-66)、106アミノ酸からなるY3(Δ1-98)、78アミノ酸からなるY4(Δ1-126)を作成し、発現細胞を選択した。それぞれの細胞で正しく蛋白質の発現が行われていることは、放射性同位元素35Sで標識されたメチオニンをそれぞれの細胞に2時間取り込ませ、その後、センダイウイルスC蛋白質に対する特異抗体を用いた免疫沈降法により確認された(図5)。
【0059】
そこで、[実施例4]と同様の方法でレポーター遺伝子としてルシフェラーゼを発現する組換えセンダイウイルスを各細胞に感染させ、培養6時間後に細胞内の発現の程度を比較した。C、Y1、Y2、Y2.5、Y3発現細胞では明らかにルシフェラーゼ活性が抑えられていたが、Y4発現細胞では通常の未発現HeLaと同等の活性を示した(図7)。
実際のウイルス産生量を比較するために、センダイウイルス感染後24時間目の培養細胞の上清中に得られたウイルス量を比較したところC、Y1、Y2、Y2.5発現細胞では未発現HeLa細胞に比べて1/100以下に抑えられ、Y3発現細胞でも数十分の一になっていたものの、Y4発現細胞では増殖抑制は見られなかった(図8)。このことから、Y3部分の蛋白質には、センダイウイルスのRNA合成、ウイルス産生を抑制する能力を保持しているが、それ以上にアミノ末端を削ったものでは、その能力を失う。言い換えればC蛋白質の1番目から98番目のアミノ酸領域はウイルスの増殖抑制に関与ないことが示された。
【0060】
[実施例6]ウイルス増殖阻害を引き起こすC蛋白質の機能部位2
C蛋白質のカルボキシル末端側のウイルスのRNA合成阻害に及ぼす影響を検討した。十分な阻害活性を示すY2.5蛋白質を基にカルボキシル末端から順に削った124アミノ酸からなるY8R(Δ1-66/Δ190-204) (カッコ内は削ったアミノ酸番号)と115アミノ酸からなるY7R(Δ1-66/Δ180-204)の二つの変異遺伝子を作成した。プラスミドに組み込んだそれぞれの遺伝子を、HeLa細胞にトランスフェクトし、薬剤選択とクローニングの結果、発現細胞を得た。これら発現細胞が、意図された欠損C蛋白質を発現しているか否かを確かめるために、[実施例5]と同様に、発現細胞を放射性同位元素で標識後、C蛋白質に対する特異抗体を用いて免疫沈降をおこない、それぞれが正しく発現されていることを確認した(図6)。
【0061】
そこで、これら細胞が、センダイウイルスのRNA合成抑制活性を維持しているかどうかを確かめるために、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼを発現する組換えセンダイウイルスを感染させ、6時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。その結果、Y8RとY7R発現細胞は、どちらも非発現細胞と大差なく、RNA合成の抑制は認められなかった(図7)。次にウイルス産生能に対する影響をみるため、それぞれの細胞にセンダイウイルスを感染させ、24時間後の培養細胞の上清中に得られるウイルス量を比較した。その結果、上清中のウイルス量もまた、非発現細胞とY8R、Y7R発現細胞で大差がなく、センダイウイルス増殖がこれら蛋白質の発現により妨げられていないことが判明した(図8)。
【0062】
以上の結果から、C蛋白質のカルボキシル末端側のアミノ酸はウイルスRNAの合成とウイルスの産生抑制にとって重要であり、欠失したものは直ちに抑制機能を失った。すなわち、C蛋白質のアミノ末端から1-98アミノ酸は、抑制機能にとって意味を持たない領域であり、それ以降99-204アミノ酸の領域が、機能を担う領域であった。この領域のアミノ酸配列は、それ以外に比べて、センダイウイルスC発現細胞で増殖阻害が認められたパラインフルエンザウイルス1型のC蛋白質と特に相同性高いという事実と合致している(図9)。
【0063】
【発明の効果】
本発明により、パラミクソウイルス特異的なウイルス増殖抑制の方法が提供された。本発明により、パラミクソウイルス感染症に対して抗ウイルス剤として利用が期待できる。
【0064】
【配列表】
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【0065】
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【0066】
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【0067】
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【0068】
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【0069】
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【0070】
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【0071】
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【0072】
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【0073】
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【0074】
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【0076】
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【0079】
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【0080】
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【0081】
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【0083】
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【0084】
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【0085】
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【0086】
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【0087】
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【0088】
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【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、センダイウイルスC蛋白質発現細胞におけるウイルス増殖を分析した結果を示す。
【図2】図2は、C蛋白質発現細胞におけるパラミクソウイルスの増殖を分析した結果を示す。
【図3】図3は、麻疹ウイルスC蛋白質発現細胞における麻疹ウイルスC蛋白質(MevC)の発現、及び当該細胞におけるウイルス増殖を分析した結果を示す。
【図4】図4は、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼを組み込んだ組換えセンダイウイルスを感染させて6時間後の親株HeLa、センダイウイルスC発現HeLa(C+)あるいは麻疹ウイルスC発現HeLa(MevC+)細胞の溶解液中のルシフェラーゼ活性を評価した結果を示す。
【図5】図5は、ウイルス増殖阻害を引き起こすC蛋白質の機能部位を解析した結果を示す。
【図6】図6は、ウイルス増殖阻害を引き起こすC蛋白質の機能部位を解析した結果を示す。
【図7】図7は、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼを組み込んだ各種の組換えセンダイウイルスを各細胞に感染させ、培養6時間後に細胞内の発現の程度を比較した結果を示す。
【図8】図8は、各種の組換えセンダイウイルス感染後24時間目の培養細胞の上清中に得られたウイルス量を比較した結果を示す。
【図9】図9は、ヒトパラインフルエンザウイルス3型、センダイウイルス、及びヒトパラインフルエンザウイルス1型のアミノ酸配列を示す。

Claims (4)

  1. 麻疹ウイルスC蛋白質を有効成分として含む、抗麻疹ウイルス剤。
  2. 下記の何れかのアミノ酸配列を有する蛋白質を有効成分として含む抗麻疹ウイルス剤。
    (a)配列番号に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質;
    (b)配列番号に記載のアミノ酸配列において1から複数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列を有し、C蛋白質と同等以上のウイルスRNA合成阻害作用を示す蛋白質;
  3. 麻疹ウイルスC蛋白質を発現できるDNA又はRNAを有効成分として含む、抗麻疹ウイルス剤。
  4. 下記の何れかの塩基配列を有するDNAまたはRNAを有効成分として含む、抗麻疹ウイルス剤。
    (a)配列番号に記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列;又は、(b)配列番号に記載のアミノ酸配列において1から複数個のアミノ酸の欠失、置換及び/又は付加を有するアミノ酸配列であって、C蛋白質と同等以上のウイルスRNA合成阻害作用を示すアミノ酸配列をコードする塩基配列;
    (c)配列番号16に記載の塩基配列;又は、(d)配列番号16に記載の塩基配列において1から複数個の塩基の欠失、置換及び/又は付加を有する塩基配列を有し、C蛋白質と同等以上のウイルスRNA合成阻害作用を示すアミノ酸配列をコードする塩基配列;
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