JP4949230B2 - 細胞調製方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は造血幹細胞移植や活性化リンパ球療法をはじめ様々な細胞療法に用いられる治療用細胞を簡便かつ効率的に調製する方法および装置、また該方法および該装置によって得られた細胞集団に関する。
白血病患者に対する造血幹細胞移植や癌患者に対する活性化リンパ球療法が実用的な治療方法として確立され、さらには虚血性心疾患や下肢虚血性動脈疾患患者への骨髄または末梢血由来の単核球画分移植療法などが臨床応用されている。これら単核球画分移植療法においては、遠心分離または比重液を使用した遠心分離方法が広く使用されている。しかしながら、これら方法で調製される単核球画分には、治療に有効ではない不要細胞が混在するため、不要細胞を除去、ならびに単核球を選択的に濃縮する方法の開発が、治療効果を高めるために望まれている。ここでいう単核球画分とは、骨髄、末梢または臍帯血に含まれる間葉系幹細胞、造血幹細胞、血管前駆細胞、単球、マクロファージ、リンパ球などの細胞治療に有用な細胞画分を言う。細胞治療用の単核球画分の調製方法としては、造血幹細胞移植のための骨髄液またはG−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)やCY(シクロフォスファミド)等により幹細胞を動員した末梢血から細胞分離装置を用いた単核球画分の分離方法(非特許文献1、非特許文献2)があるが、高価な装置を必要とし、操作も煩雑である。また、このような装置により分離・回収された単核球画分には顆粒球等の不要細胞が混在しており移植時の炎症惹起の可能性が示唆されており、治療効果を低減する可能性が示されている(非特許文献3)。
上記の観点から種々の検討がなされており、例えば、特開2002−171965は、採取された骨髄液にHES(ヒドロキシエチル澱粉)を添加して赤血球を沈降させ、単核球細胞を含む上清を回収し、これを遠心分離することにより簡便に単核球細胞濃縮物を得る方法を開示する。この方法において必要な機器は簡単な遠心分離機であり、細胞分離装置のような大掛かりで煩雑な操作を要する機器を用いることなく、目的の単核球細胞濃縮物を得ることができる。しかし、この方法は骨髄液中の赤血球を沈殿させることによって単核球の濃度を濃縮するものであり、骨髄液中の顆粒球の除去する手段については何ら言及されていない。
特開2004−121144は、臍帯血から分離膜を使用して単核球を分離するシステムを開示する。本方法では、単核球と赤血球との分離は良好であるが、回収される単核球画分には顆粒球が混在する。
特開2002−171965 特開2004−121144 造血幹細胞マニュアル 3.移植の準備と造血幹細胞採取 日本医学館 p.225−p.274 末梢血幹細胞移植の実際 南江堂 IV 末梢血幹細胞の採取、保存、品質管理 3.成人における採取方法 p.62−p.67 Circulation 106巻 2019−2025 2002年
本発明の課題は、哺乳動物の体液、たとえば、末梢血、臍帯血、骨髄液等から、不要な細胞を除去するとともに、目的の細胞を簡便かつ効率的に分離し、細胞療法における治療用細胞を安全かつ安定に供給する方法、および装置、さらにそれらによって得られた細胞画分からなる治療用細胞組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、特定の細胞の選択的吸着法と遠心分離、細胞分離剤、または細胞分離膜を用いた細胞分離法とを組み合わせることにより、細胞医療に有用な単核球を含む細胞画分を選択的に分離する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明が提供するものは以下の通りである。
(1)単核球、顆粒球および赤血球を含有する哺乳動物の体液からの、単核球を含む細胞画分の調製法であって、
前記体液を顆粒球吸着材と接触させる工程Aと、
工程Aによる処理中または処理後の試料の、単核球と赤血球とを分離することができる条件下での遠心分離、工程Aによる処理中または処理後の試料への、単核球と赤血球とを分離することができる細胞分離剤の添加、および工程Aによる処理中または処理後の試料の、単核球と赤血球とを分離することができる細胞分離膜による分離からなる群から選択される少なくとも1種の処理を行う工程Bとを含む、単核球を含む細胞画分の調製法、あるいは
前記体液の、単核球と赤血球とを分離することができる条件下での遠心分離、前記体液への、単核球と赤血球とを分離することができる細胞分離剤の添加、および前記体液の、単核球と赤血球とを分離することができる細胞分離膜による分離からなる群から選択される少なくとも1種の処理を行う工程Cと、
工程Cによる処理後の試料を顆粒球吸着材と接触させる工程Dとを含む、単核球を含む細胞画分の調製法。
(2)工程Aまたは工程Dが、顆粒球吸着材が充填されたカラムに前記体液または工程Cによる処理後の試料を通過させるか、顆粒球吸着材と前記体液または工程Cによる処理後の試料とを同一容器内で接触させることにより行われる(1)記載の方法。
(3)工程Bまたは工程Cが、前記体液または工程Aによる処理中または処理後の試料の、単核球と赤血球とを分離することができる条件下での遠心分離、および前記体液または工程Aによる処理中または処理後の試料への、単核球と赤血球とを分離することができる細胞分離剤の添加からなる群から選択される少なくとも1種の処理を行う工程であり、かつ
工程Aと工程B、あるいは工程Cと工程Dとが同一容器内で行われる、(1)記載の方法。
(4)顆粒吸着材が、水不溶性粒子、不織布、多孔質体、平膜、および中空糸からなる群から選ばれる少なくとも1種である(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)細胞分離膜が、不織布、多孔質体、平膜、および中空糸からなる群から選ばれる少なくとも1種である(1)、(2)または(4)記載の方法。
(6)顆粒球吸着材が、無置換の水酸基と、基中のHが1種または2種以上の置換基Rによって置換された水酸基とを有する重合体化合物を含有する顆粒球吸着材である、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)前記重合体化合物が、無置換の水酸基と、基中のHが1種または2種以上の置換基Rによって置換された水酸基とを有するポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール共重合体または多糖類である(6)記載の方法。
(8)置換基Rがアシルである(6)または(7)記載の方法。
(9)水不溶性である(6)〜(8)のいずれかに記載の方法。
(10)置換基Rによって置換されている水酸基の割合が全水酸基の35〜53%である(6)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(11)前記重合体化合物が、アセチル基によって置換されている水酸基の割合が全水酸基の35〜53%である酢酸セルロースである(10)記載の方法。
(12)(1)〜(11)のいずれかに記載の方法により調製された、単核球を含む細胞画分を含む細胞医療用組成物。
(13)単核球、顆粒球および赤血球を含有する哺乳動物の体液から、単核球を含む細胞画分を調製するための装置であって、
顆粒球吸着材を収容してなる第1手段と、
前記体液または(1)に定義される工程Aによる処理中または処理後の試料を遠心分離する手段、単核球と赤血球とを分離することができる細胞分離剤を収容してなる手段、および単核球と赤血球とを分離することができる細胞分離膜を備えた手段からなる群から選択される第2手段とを備える、前記装置。
(14)第1手段と第2手段とが液体連通している、(13)記載の装置。
(15)単核球、顆粒球および赤血球を含有する哺乳動物の体液から、単核球を含む細胞画分を調製するための装置であって、
顆粒球吸着材と、単核球と赤血球とを分離することができる細胞分離剤とを収容してなる手段を備える、前記装置。
(16)単核球、顆粒球および赤血球を含有する哺乳動物の体液から、単核球を含む細胞画分を調製するための装置であって、
顆粒球吸着材を収容してなる遠心分離用容器と、該容器を遠心する手段とを備える、前記装置。
(17)(13)〜(16)のいずれかに記載の装置を用いて調製された、単核球を含む細胞画分を含む細胞医療用組成物。
本発明の方法または装置を用いることにより、哺乳動物の末梢血、臍帯血、骨髄液等の体液から、顆粒球および赤血球等の不要な細胞を除去するとともに、単核球を含む細胞画分を簡便かつ選択的に分離し、細胞療法において高い治療効果を示す治療用細胞を調製することができる。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2005−058748号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
本発明に言う哺乳動物の体液とは、単核球、顆粒球および赤血球を含有する哺乳動物の体液である限り特に限定されないが、典型的には、末梢血、臍帯血、骨髄液、およびそれらの希釈液を言う。
また、本発明に言う単核球とは、哺乳動物の体液に含まれる単球、マクロファージ、リンパ球、造血幹細胞、間葉系幹細胞、間質細胞、ストローマ細胞、血管内皮細胞、樹状細胞、ランゲルハンス細胞など、細胞医療の分野で有用とされる細胞を言う。
本発明に言う顆粒球吸着材とは、哺乳動物体液をはじめ、顆粒球を含む細胞液と接触させることにより顆粒球を吸着できるものであれば、その形状、様態、成分、素材の種類、また分離の原理を問わない。顆粒球吸着材の形状、様態としては、水不溶性粒子、不織布、多孔質体、平膜、および中空糸などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。顆粒球吸着材の成分、素材の種類も特に限定されるものではなく、顆粒球吸着能の観点から、好ましくは、架橋ポリビニルアルコール単独、あるいはポリビニルアルコールとの共重合体、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体、スチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリレート−ビニルアルコール共重合体、アクリルアミド−ビニルアルコール共重合体、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン等の合成ポリマー、およびセルロース、セファロース、デキストラン、アガロース、キチン、キトサン等の多糖類やそれらの誘導体、さらに好ましくは、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロース、キトサンやそれらの誘導体が挙げられ、そのなかでも、無置換の水酸基と、基中のHが1種または2種以上の置換基Rによって置換された水酸基とを有する重合体化合物が好ましく用いられ、より好ましくは、後述の本明細書実施例に記載された部分鹸化酢酸セルロースが用いられる。
前記の、無置換の水酸基と、基中のHが1種または2種以上の置換基Rによって置換された水酸基とを有する重合体化合物は、典型的には、架橋ポリビニルアルコール単独、あるいはポリビニルアルコールとの共重合体、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体、スチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリレート−ビニルアルコール共重合体、アクリルアミド−ビニルアルコール共重合体、あるいは多糖類が有する複数の水酸基の一部において、基中のHが1種または2種以上の置換基Rによって置換されたものである。前記多糖類としては、これらに限定されるものではないが、セルロース、セファロース、デキストラン、アガロース、キチン、キトサンなどが挙げられる。好ましくは、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロース、キトサンなどの重合体化合物の有する水酸基の一部において、基中のHが1種または2種以上の置換基Rによって置換されたものである。
本発明における「置換基R」は、前記の、置換前の重合体化合物の水酸基のHを置換しうる任意の原子団を意味する。具体的には、「置換基R」は、水酸基と「他の化合物」との反応(典型的には脱水反応)により生じる、「他の化合物」に由来する基であると理解される。ここで「他の化合物」としては、前記の、置換前の重合体化合物の水酸基と反応し、重合体化合物−化合物の結合体を形成し得る任意の化合物を使用し得る。ここで、該結合は、アルカリ性条件下で、特に温和なアルカリ溶液との接触により、切断され得るものが好ましい。具体的には、「他の化合物」の非限定的な例としては、無機酸、例えばリン酸、硫酸;有機酸、例えば、飽和または不飽和の分枝または直鎖脂肪族1価、2価または多価カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸;飽和または不飽和の分枝または直鎖芳香族1価、2価または多価カルボン酸、例えば安息香酸;アミノ酸、例えばグルタミン酸;アルコール、例えば、飽和または不飽和の分枝または直鎖脂肪族1価、2価または多価アルコール、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリン;飽和または不飽和の分枝または直鎖芳香族1価、2価または多価アルコール、例えばベンゾイルアルコール;が挙げられる。好ましくは、飽和脂肪族カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、パルミチン酸、ステアリン酸;または安息香酸を使用することができる。
前記酸と、複数の水酸基を有する重合体化合物との反応は、適切な触媒、例えば硫酸の存在下、エステル結合を形成させることによって達成し得る。前記アルコールと、水酸基を有する重合体化合物との反応は、適切な触媒、例えば硫酸の存在下、エーテル結合を形成させることによって達成し得る。
あるいは、置換基Rとしては、当業界周知の水酸基の保護基を利用してもよい。水酸基の保護基は、例えば、T.H.GreeneおよびP.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons、ニューヨーク(1999年)に記載されている。
水酸基の保護基の例としては、エーテル系の保護基、アセタール系の保護基、シリル系の保護基またはエステル系の保護基が挙げられる。エーテル系の保護基とは水酸基を保護する目的でエーテル結合を形成する保護基を意味し、水酸基のHと置換されたメチル基、エチル基、tert−ブチル基、オクチル基、アリル基、ベンジル基、p−メトキシメチル基、フルオレニル基、トリチル基、ベンズヒドリル基等を挙げることができる。アセタール系の保護基とは水酸基を保護する目的でアセタール結合を形成する保護基を表わし、例えば、メトキシエチル基、エトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等を挙げることができる。シリル系の保護基とは、水酸基を保護する目的でシリルオキシ基結合を形成する保護基を意味し、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基等を挙げることができる。また、エステル系の保護基とは、水酸基を保護する目的でエステル結合を形成する保護基を表わし、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、トリクロロアセチル基等を挙げることができる。
前記水酸基の保護基の前駆体化合物は、前記「他の化合物」に含まれることが理解される。
好ましい置換基Rの例としては、飽和または不飽和の、直鎖または分枝鎖の、脂肪族アシル(例えばアルコキシカルボニル、アセチル、オレイルなど)、飽和または不飽和の、直鎖または分枝鎖の芳香族アシル(例えばアリールオキシカルボニル、ベンゾイル、シンナモイルなど)、飽和または不飽和の、直鎖または分枝鎖の、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシなどが挙げられ、より好ましい置換基Rとしては脂肪族または芳香族の、飽和アシル(例えばベンゾイルなど)が挙げられ、最も好ましくはアセチルが挙げられる。前記置換基は任意の置換基例えばハロゲンで置換されてもよい。
本発明に用いられる顆粒球吸着材は、例えば、(a)複数の水酸基を有する重合体化合物の水酸基と1種または2種以上の他の化合物とがアルカリ性条件下で切断可能な様式で結合して形成された重合体化合物−化合物の結合体を得る工程、および(b)前記結合体をアルカリ性条件下で処理して、前記重合体化合物の水酸基と前記他の化合物との結合の一部を切断する工程を含む方法により製造することができる。
工程(a)について。前記重合体化合物−化合物結合体(例えば酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニル)は商業的に入手可能である。また前記重合体化合物と他の化合物とを自体公知の方法にしたがって反応させて重合体化合物−化合物結合体を入手することも可能である。例えばパルプ等より得られるセルロースに、無水酢酸等を含むアセチル化剤を添加することによって酢酸セルロースを得ることができる。或いは、水酸基を有する重合体化合物(例えばセルロース)を、自体公知の方法により、他の化合物(例えば酢酸)と反応させることによっても酢酸セルロースを得ることができる。更にまた、水酸基を有する単量体化合物と他の化合物とが結合したものを重合させることにより前記結合体を得ることも可能である。例えば、ポリ酢酸ビニルは、単量体酢酸ビニル、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)などからなる混合物を、水、ポリビニルアルコールなどを含む水相に仕込み、平板状の撹拌翼と2枚の邪魔板を有するセパラブルフラスコ中で室温にて、十分な撹拌混合および窒素置換を行い、内温を65℃に5時間保持して懸濁重合することにより得ることができる。
工程(b)について。前記重合体化合物−化合物結合体には、前記重合体化合物の水酸基と前記他の化合物との結合が複数含まれている。工程(b)では前記結合体を温和なアルカリ性条件下で処理することにより、前記複数の結合の一部を例えば加水分解反応により切断する。切断の程度は結合体の種類および顆粒球吸着材の使用目的に応じて適宜調整できる。本発明の顆粒球吸着材としては、例えば、アセチル基によって置換されている水酸基の割合が全水酸基(無置換水酸基と置換水酸基を含む)の好ましくは35〜53%、より好ましくは35〜49%であるポリ酢酸ビニルが使用できる。本発明の顆粒球吸着材としては、例えば、アセチル基によって置換されている水酸基の割合が全水酸基(無置換水酸基と置換水酸基を含む)の好ましくは35〜53%、より好ましくは40〜53%、より一層好ましくは45〜53%である酢酸セルロースが使用できる。
本明細書において「重合体化合物の全水酸基(無置換水酸基と置換水酸基を含む)のうち置換基Rにより置換されている水酸基の割合」を、「水酸基の置換基Rによる置換率」、「置換基Rによる置換率」または単に「置換率」と称することがある。
酢酸セルロースの水酸基のアセチル基による置換率(%)は、例えば以下のように測定することができる。被検物質を十分に乾燥させた後、乾燥重量を精密天秤にて測定し(0.5g前後)、フラスコに入れる。被検物質を溶解し得る溶媒(例えばアセトン水溶液)を50ml添加し、室温にて1時間、スターラーにて攪拌する。次に0.2規定水酸化ナトリウム水溶液50mlを添加し、5分間攪拌後、3時間室温にて静置する。次に0.2規定塩酸50mlを該フラスコ中に入れ5分間攪拌後、1時間室温にて静置する。次にフェノールフタレイン液2,3滴をフラスコ中に入れ、0.1規定水酸化ナトリウム水溶液をビュレットにて滴下し、溶液が淡い赤色に変化したときを終点として、滴定量(A(ml))を求める。また被検物質を入れない以外は前記と同様の操作を行って同様に滴定量(B(ml))を求める。以上の測定から酢酸セルロースのアセチル基による置換率(%))は、下式により求めることができる。
置換率(%)=(A−B)F×0.6005/被検物質重量(g)
F:滴定に使用した0.1規定水酸化ナトリウム水溶液のファクター
温和なアルカリ性条件は、当業者が過度の実験なくして達成できる。
酢酸セルロース以外の他の重合化合物(ポリ酢酸ビニル等)の水酸基の置換基Rによる置換率(%)は、元素分析や赤外吸収スペクトルなどによる分析により、或いは、公知の方法でケン化率(鹸化度)を求めた後にその数値から逆算(置換率=100−ケン化率(%))することにより求められる。元素分析により水酸基の置換率を求める場合は、ジェイ・サイエンス・ラボ製の元素分析装置(マイクロコーダーJM10型)等を使用することができる。
工程(a)で得られる重合体化合物−化合物の結合体が酢酸セルロース等の水酸基置換多糖類である場合、工程(b)における部分的分解反応は次の条件で行われることが好ましい。アルカリ溶液の規定度は0.01N(規定)から2.0Nの範囲が好ましく、0.05Nから1Nの範囲がより好ましく、0.07Nから0.5Nの範囲が最も好ましい。反応時間は1分間から120分間の範囲が好ましく、1分間から100分間の範囲がより好ましく、5分間から60分間の範囲がより好ましく、10分間から40分間の範囲が最も好ましい。反応温度は10℃から90℃の範囲が好ましく、15℃から75℃の範囲がより好ましく、20℃から58℃の範囲が最も好ましい。
工程(a)で得られる重合体化合物−化合物の結合体がポリ酢酸ビニルである場合、工程(b)における部分的分解反応は次の条件で行われることが好ましい。アルカリ溶液の規定度は0.01N(規定)から6.0Nの範囲が好ましく、0.1Nから5.0Nの範囲がより好ましく、1Nから3.8Nの範囲が最も好ましい。反応時間は約1分間から10時間の範囲が好ましく、30分間から6時間の範囲がより好ましく、1時間から5.5時間の範囲が最も好ましい。反応温度は10℃から90℃の範囲が好ましく、15℃から75℃の範囲がより好ましく、20℃から58℃の範囲が最も好ましい。
アルカリ溶液中には、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールが添加されていてもよい。この場合、アルコールの含有率は、0.1%(V/V)から99%(V/V)の範囲内にあれば、いずれの含有率で処理してもよいが、5%(V/V)から50%(V/V)が好ましく、10%(V/V)から40%(V/V)がより好ましい。
所望であれば工程(b)の後、前記切断生成物を精製してもよい。精製方法は特に限定されないが、例えば水洗等の洗浄により精製を行うことができる。
本発明の顆粒球吸着材は水不溶性であることが好ましい。
本発明は第一に、単核球、顆粒球および赤血球を含有する哺乳動物の体液からの、単核球を含む細胞画分の調製法であって、
前記体液を顆粒球吸着材と接触させる工程Aと、
工程Aによる処理中または処理後の試料の、単核球と赤血球とを分離することができる条件下での遠心分離、工程Aによる処理中または処理後の試料への、単核球と赤血球とを分離することができる細胞分離剤の添加、および工程Aによる処理中または処理後の試料の、単核球と赤血球とを分離することができる細胞分離膜による分離からなる群から選択される少なくとも1種の処理を行う工程Bとを含む、単核球を含む細胞画分の調製法に関する。
工程AおよびBは、それぞれ複数回行ってもよい。換言すれば、工程Aと工程Bとはそれぞれ少なくとも1回行われればよい。工程Bに用いられる「工程Aによる処理中または処理後の試料」には、複数回の工程Aによる処理中または後の試料も包含される。また、「工程Aによる処理中または処理後の試料」には、工程Aによる処理中または処理後の溶液を希釈または濃縮した試料も包含される。
本方法はまた、単核球、顆粒球および赤血球を含有する哺乳動物の体液からの、単核球を含む細胞画分の調製法であって、
前記体液の、単核球と赤血球とを分離することができる条件下での遠心分離、前記体液への、単核球と赤血球とを分離することができる細胞分離剤の添加、および前記体液の、単核球と赤血球とを分離することができる細胞分離膜による分離からなる群から選択される少なくとも1種の処理を行う工程Cと、
工程Cによる処理後の試料を顆粒球吸着材と接触させる工程Dとを含む、単核球を含む細胞画分の調製法に関する。
工程CおよびDは、それぞれ複数回行ってもよい。換言すれば、工程Cと工程Dとはそれぞれ少なくとも1回行われればよい。工程Dに用いられる「工程Cによる処理後の試料」には、複数回の工程Cによる処理中または後の試料も包含される。また、「工程Cによる処理後の試料」には、工程Cの処理により得られた溶液を希釈または濃縮した試料も包含される。
本明細書では、「工程Aによる処理中または処理後の試料」、および「工程Cによる処理後の試料」を総称して、「体液から調製された試料」と称する場合がある。
工程AまたはDについて説明する。
工程AまたはDは、体液を顆粒球吸着材で処理することにより、哺乳動物の体液または工程Cによる処理後の試料から、主として、顆粒球の少なくとも1部、好ましくは65%以上、より好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上を、顆粒球吸着材を用いて除去する工程である。除去率は除去処理前の細胞の個数に占める、除去された細胞の個数の割合を百分率で示したものである。
工程AまたはDにおいて、哺乳動物の体液または工程Cによる処理後の試料を顆粒球吸着材で処理する方法は、該体液または該試料と該顆粒球吸着材が接触する方法であれば、特定に限定されるものではないが、具体的には、顆粒球吸着材が充填されたカラムに該体液または該試料を通過させ通過液を回収するか、顆粒球吸着材を含む容器に該体液または該試料を入れ、あるいは該体液または該試料を含む容器に顆粒球吸着材を入れ、必要に応じて振盪し、該容器から細胞を含む体液を回収することにより実施される。
本発明により提供される、単核球を含む細胞画分の調製法において、顆粒球吸着材処理に用いられるカラムの形状、材質について特に制限は無く、顆粒球吸着材が外に漏れ出ることなく充填でき、カラム材質の溶出による影響がないものであればどのようなものでも使用できる。カラムの形状としては、柱状、錘状、らせん状等様々なものが考えられるが、哺乳動物の体液または体液から調製された試料が通過できる形状のものであれば、特に限定されない。カラムの材質としては、金属、ガラス、セラミック、合成ポリマー等が考えられ、剛性のあるものであっても、柔軟なものであってもよいが、滅菌操作に耐えられるものが好ましい。
次に工程BまたはCについて説明する。
工程BまたはCは、哺乳動物の体液または工程Aによる処理中または処理後の試料から赤血球などの不要細胞を除去する工程である。工程BまたはCでは赤血球が実質的に除去されるだけでなく、顆粒球も少なからず除去され得る。ここで「赤血球が実質的に除去される」とは、本発明の方法により調製される、単核球を含む細胞画分の用途における有用性を妨げない程度にまで赤血球が除去されることを指し、典型的には90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の赤血球が除去されることをいう。除去率は除去処理前の細胞の個数に占める、除去された細胞の個数の割合を百分率で示したものである。
本明細書では、赤血球や、顆粒球などの、単核球を含む細胞画分の用途に寄与しない細胞を不要細胞と称する場合がある。
工程BまたはCでは、哺乳動物の体液または工程Aによる処理中または処理後の試料の遠心分離、前記体液または前記試料への細胞分離剤の添加、および前記体液または前記試料の細胞分離膜による分離からなる群から選択される少なくとも1種の処理を行う。前記遠心分離処理は、単核球と赤血球とを分離することができる条件下で行われることが好ましく、単核球と、赤血球および顆粒球とを分離できる条件下で行われることがより好ましい。このような遠心分離処理は、公知の赤血球分離を目的とした遠心分離処理によって適宜行うことができる。また、遠心分離する手段として、既存の血球成分分離装置(例えば、Baxter社製CS−3000、Haemonetics社製Multiなど)などの連続、または間歇遠心分離装置を用いることも可能である。前記細胞分離剤は、単核球と赤血球とを分離することができる細胞分離剤であることが好ましく、単核球と、赤血球および顆粒球とを分離することができる細胞分離剤であることがより好ましい。前記細胞分離膜は、単核球と赤血球とを分離することができる細胞分離膜であることが好ましく、単核球と、赤血球および顆粒球とを分離することができる細胞分離膜であることがより好ましい。
哺乳動物の体液または体液から調製された試料から遠心分離法により赤血球などの不要細胞を除去する場合、具体的には、哺乳動物の体液または体液から調製された試料を容器に入れ、容器ごと遠心分離に付すことによりなされるが、フィコール等の多糖類、パーコール、塩化セシウム等の無機物等の比重液を添加して、密度勾配遠心分離することも可能である。使用される容器の材質、形状は特に限定されるものではないが、遠心分離用細胞バッグ、または遠心分離用チューブなどを使用することが好ましい。
また、細胞分離剤を用いた、体液または体液から調製された試料からの赤血球などの不要細胞の除去においては、HES(ヒドロキシエチル澱粉)などの細胞分離剤が使用できる。具体的には、体液または体液から調製された試料と細胞分離剤とを混合した後、静置する、あるいは遠心分離することにより、赤血球などの不要細胞を沈殿させ、単核球を含む細胞画分を回収する。また、遠心分離する手段として、前述したような、既存の血球成分分離装置(例えば、Baxter社製CS−3000、Haemonetics社製Multiなど)などの連続、または間歇遠心分離装置を用いることも可能である。
また、細胞分離膜を使用することによって、体液または体液から調製された試料にふくまれる赤血球などの不要細胞と単核球とを分離し、選択的に単核球を含む細胞画分を回収することもできる。この場合、使用する細胞分離膜は、赤血球などの不要細胞と単核球を含む細胞画分を分離するものであれば特に限定されるものでないが、不織布、多孔質体、平膜、あるいは中空糸が好ましい。細胞分離膜として、赤血球は通過させるが赤血球よりも外郭が大きい単核球は通過させない細胞分離膜を用い、哺乳動物の体液または体液から調製された試料を当該細胞分離膜を通過するように通液させると、赤血球は当該細胞分離膜を通過するが、赤血球よりも外郭が大きい単核球は細胞分離膜を通過せず、赤血球と単核球とは分離される。そして、細胞分離膜を透過しなかった側を単核球含有画分として回収することができる。かかる形態が典型的な例であるが、これには限定されず、例えば細胞分離膜として、赤血球を捕捉できる細胞分離膜を用いることもできる。
工程Bまたは工程Cが遠心分離法または細胞分離剤を用いた方法により行われる場合には、工程Aと工程B、あるいは工程Cと工程Dとが同一容器内で行われてもよい。かかる実施形態においては、典型的には、哺乳動物の体液を顆粒球吸着材で処理し、該処理体液を回収することなく遠心分離、または細胞分離剤により赤血球などの不要細胞と単核球を含む細胞画分とを分離し、該単核球画分が回収される。具体的には、顆粒球吸着材が含まれる容器に哺乳動物の体液を加える、あるいは該体液が含まれる容器に顆粒球吸着材を加えた後、必要に応じて振盪等を行うことにより、顆粒球吸着材と体液を接触させ、顆粒球吸着材処理を行う。さらに、該処理体液の含まれる容器を遠心分離する、またはさらに該容器に細胞分離剤を添加することにより赤血球などの不要細胞と単核球を含む細胞画分とを分離する。遠心分離により単核球画分を分離する場合には、フィコールなどの比重液を添加し、密度勾配遠心分離してもよい。使用する容器の材質、形状は特に限定されるものではないが、遠心分離用細胞バッグ、または遠心分離用チューブなどを使用することが好ましい。また、細胞分離剤を用いて単核球画分を分離する場合には、HESなどの細胞分離剤を使用し、該処理体液と細胞分離剤を混合した後、静置する、あるいは遠心分離することにより、赤血球などの不要細胞を沈殿させ、単核球を含む細胞画分を回収する。
本発明により提供される、単核球を含む細胞画分の調製法において、工程A〜Dに使用する容器の形状、材質についても特に制限はなく、各工程に関与する材料(顆粒球吸着材、細胞分離剤、体液等)が外に漏れ出ることなく、容器材質の溶出による影響がないものであればどのようなものでも使用できる。容器の形状としては、袋状、筒状、箱状、チューブ状等が考えられるが、閉鎖性の確保、および操作のしやすさの観点から、好ましくは血液バッグ、細胞培養バッグ、あるいはそれらを加工したもの、または細胞処理用チューブ、およびそれを加工したものである。
本発明により提供される、単核球を含む細胞画分の調製法により哺乳動物体液を処理する過程においては、該哺乳動物体液に対して抗凝固措置を取ることが好ましい。この場合、該哺乳動物体液、あるいは、細胞分離剤、顆粒球吸着材に対して、負の影響を与えない抗凝固措置であれば、いかなるものも適用することができる。好ましい抗凝固措置の具体例としては、簡便さの観点から、該哺乳動物体液に抗凝固剤を添加することが挙げられる。抗凝固剤の具体例としては、ヘパリン、低分子量ヘパリン、メシル酸ナファモスタット、メシル酸ガベキサート、アルガトロバン、あるいは、アシッド・シトレート・デキストロース液(ACD液)やシトレート・フォスフェート・デキストロース液(CPD液)等のクエン酸含有抗凝固剤などがあり、いずれを用いてもよい。
本発明はまた、単核球、顆粒球および赤血球を含有する哺乳動物の体液から、単核球を含む細胞画分を調製するための装置に関する。当該装置は、顆粒球吸着材を収容してなる第1手段と、前記体液または工程Aによる処理中または処理後の試料を遠心分離する手段、単核球と赤血球とを分離することができる細胞分離剤を収容してなる手段、および単核球と赤血球とを分離することができる細胞分離膜を備えた手段からなる群から選択される第2手段とを備える。前記遠心分離手段は、単核球と赤血球とを分離することができる条件下で遠心分離を行うことができるものであることが好ましい。
第1手段は、上記の工程AまたはDを行うための手段であり、顆粒球の少なくとも1部を除去するための手段である。第2手段は上記の工程BまたはCを行うための手段であり、赤血球を実質的に除去するとともに、その他の不要細胞(例えば顆粒球)を除去するための手段である。ここで、「顆粒球の少なくとも1部を除去する」という文言と、「赤血球を実質的に除去する」という文言の意味と好適な範囲については本明細書で既に定義したとおりである。
第1手段と第2手段とは両手段間の処理体液の移動を容易にするため液体連通していることが好ましく、具体的には、移送用のチューブで連結されていることが好ましい。ここで言う移送用のチューブとは、処理体液を無菌的に両手段間を移動させることができるものであれば、その材質、形状に制限はない。該移送用チューブはまた、処理終了後、移送の必要がなくなれば、第1手段と第2手段とを切り離すことができるように、脱着可能な構造を有していることが好ましい。
本発明により提供される装置に含まれる容器等の各部材の材質は、使用される哺乳動物体液、細胞分離剤、および顆粒球吸着材等に対して負の影響を与えないものであれば、いかなるものであっても使用することができる。具体的には、合成ポリマー、金属、ガラス、陶器等が挙げられる。使用される哺乳動物体液、細胞分離剤、および顆粒球吸着材に対して負の影響を与えないという観点から、合成ポリマーとしては非反応性ポリマーが好ましく、具体例としては、アクリロニトリルブタジエンスチレンターポリマー等のアクリロニトリルポリマー等、ハロゲン化ポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、コポリマーテトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレン等、ポリアミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルクロリドアクリルコポリマー、ポリカーボネートアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン等が挙げられるが、これらに限定されることはない。また、同じ観点から、金属としては、生体適合性が高い金属が好ましく、具体例としては、ステンレス鋼、チタン、白金、タンタル、金、およびそれらの合金、並びに金メッキ合金鉄、白金メッキ合金鉄、コバルトクロミウム合金、および窒化チタン被覆ステンレス鋼等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに同じ観点から、ガラス、および陶器は好ましい材質である。以上の中でも、オートクレーブ、ガンマ線照射、EOG(エチレンオキサイドガス)の暴露等の滅菌操作に耐えうる材質が更に好ましく、このような材質としては、具体的には、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニール、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリメチルペンテン、ガラス、陶器等が挙げられる。
本発明により提供される装置に含まれる容器の形態は、特に限定はされないが、具体的には、球状、筒状、袋状等が挙げられる。
本発明により提供される装置に含まれる容器の大きさについても、特に限定されるものではないが、分離の対象とする哺乳動物体液の量の観点から、好ましくは0.1〜2,000ml、より好ましくは0.5〜1,000ml、さらにより好ましくは1〜200mlである。
本発明により提供される装置について、さらに詳細に説明する。
第1手段の典型的な形態は、顆粒球吸着材を充填してなるカラム、または顆粒球吸着材を収容してなる容器である。第1手段において用いられるカラムは、その形状、材質について特に制限は無く、顆粒球吸着材が外に漏れ出ることなく充填でき、カラム材質の溶出による影響がないものであればどのようなものでも使用できる。カラムの形状としては、柱状、錘状、らせん状等様々なものが考えられるが、哺乳動物体液または体液から調製された試料が通過できる形状のものであれば、特に限定されない。カラムの材質としては、金属、ガラス、セラミック、合成ポリマー等が考えられ、剛性のあるものであっても、柔軟なものであってもよいが、滅菌操作に耐えられるものが好ましい。また、顆粒球吸着材を収容するための容器としては、該容器中に顆粒球吸着材と、哺乳動物体液または体液から調製された試料を収容することができ、必要であれば振盪、あるいは転倒させることにより、該哺乳動物体液または体液から調製された試料と該顆粒球吸着材とを接触させることができるものであれば、いかなるものでも使用可能である。該容器としては、該哺乳動物体液または体液から調製された試料を移入しやすいこと、また、密閉性および無菌性が保たれること、さらに振盪、あるいは転倒などの衝撃に耐えうることから、細胞移入孔、細胞移入用チューブ、密閉できる活栓などを具備した細胞培養用バッグ、または血液バッグ、さらに細胞培養用チューブ、または遠心分離用チューブなどが好ましい具体例として挙げられる。さらに第1手段には、哺乳動物体液を貯留する容器が連結されていてもよい。この場合、第1手段と貯留容器は、脱着可能な移送用チューブで連結されていることが好ましい。
第2手段は、体液または体液から調製された試料を遠心分離する手段、細胞分離剤を収容してなる手段、または細胞分離膜を備えた手段のいずれの形態であっても、哺乳動物体液を収容するための容器を少なくとも具備する。該容器は、哺乳動物体液を外部に漏れ出すことなく収容できるものであれば、どのようなものでも使用できるが、好ましい具体例としては、哺乳動物体液を移入しやすいこと、また、密閉性および無菌性が保たれること、さらにまた、遠心分離操作による衝撃に耐えうることから、細胞移入孔、細胞移入用チューブ、密閉できる活栓などを具備した細胞培養用バッグ、または血液バッグ、さらに細胞培養用チューブ、または遠心分離用チューブなどが挙げられる。
第2手段が、体液または体液から調製された試料を遠心分離する手段である場合、当該手段として、血液成分分離装置を用いることができる。この場合、Baxter社製CS−3000、Haemonetics社製Multiなど)などの連続、または間歇遠心分離装置が好ましい具体例として挙げられるが、これらに限定されることはない。血液成分分離装置には、遠心分離用チューブが含まれる。
第2手段が細胞分離剤を収容してなる手段である場合、当該手段として、細胞分離剤が収容されてなる上記の容器を用いることができる。この場合、細胞分離剤は該容器に具備された細胞移入孔、および細胞移入用チューブを介して移入されてもよいが、独立した移入孔、および移入用チューブを設け、それらを介して移入されることもできる。
第2手段が細胞分離膜を備えた手段である場合、当該手段として、細胞分離膜を内部に備えた上記の容器を用いることができる。細胞分離膜は、哺乳動物体液を通過させることにより、赤血球などの不要細胞を除去できるものであれば、材質、形状などに特に制限はないが、好ましい具体例としては、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートなどの不織布、ポリウレタンなどの多孔質材料、あるいはエジプト綿などが挙げられるが、これらに限定されることはない。また、細胞分離膜は、旭メディカル製セパセル、テルモ製イムガードなどの既存の細胞分離フィルターから選択されてもよい。
さらに、第2手段には、赤血球除去処理を終了した哺乳動物体液を回収するための容器が連結されていてもよい。この場合、第2手段と該回収容器は、脱着可能な移送用チューブで連結されていることが好ましい。
本発明はまた、単核球、顆粒球および赤血球を含有する哺乳動物の体液から、単核球を含む細胞画分を調製するための装置であって、顆粒球吸着材と細胞分離剤とを同一容器内に収容してなる手段を備える、前記装置に関する。本装置では、工程Aと工程B、あるいは工程Cと工程Dとが同一容器内で行われる。本装置の使用方法は具体的には次のようなものである。まず、顆粒球吸着材が収容されてなる容器に哺乳動物体液を加える、あるいは該体液が含まれる容器に該吸着材を加えた後、必要に応じて振盪等を行うことにより、該吸着材と該体液を接触させ、顆粒球吸着材処理を行う。次いで、該容器に細胞分離剤を添加することにより赤血球などの不要細胞と単核球を含む細胞画分とを分離する。細胞分離剤としてはHESなどの細胞分離剤を使用し、該処理体液と細胞分離剤を混合した後、静置する、あるいは遠心分離することにより、赤血球などの不要細胞を沈殿させ、単核球を含む細胞画分を回収する。
本発明はまた、単核球、顆粒球および赤血球を含有する哺乳動物の体液から、単核球を含む細胞画分を調製するための装置であって、顆粒球吸着材を収容してなる遠心分離用容器と、該容器を遠心する手段とを備える、前記装置に関する。容器を遠心する手段は、単核球と赤血球とを分離することができる条件下で容器を遠心できる手段であることが好ましい。本装置では、工程Aと工程B、あるいは工程Cと工程Dとが同一容器内で行われる。本装置の使用方法は具体的には次のようなものである。まず、顆粒球吸着材が収容されてなる遠心分離用容器に哺乳動物体液を加える、あるいは該体液が含まれる遠心分離用容器に該吸着材を加えた後、必要に応じて振盪等を行うことにより、該吸着材と該体液を接触させ、顆粒球吸着材処理を行う。次いで、遠心分離用容器を遠心して、赤血球などの不要細胞と単核球を含む細胞画分とを分離する。遠心分離の際には、フィコールなどの比重液を添加し、密度勾配遠心分離を行ってもよい。遠心分離用容器の材質、形状は特に限定されるものではないが、遠心分離用細胞バッグ、または遠心分離用チューブなどを使用することが好ましい。
本発明はまた、本発明により提供された方法、または装置により得られた、単核球を含む細胞画分を含む細胞医療用組成物を提供する。該細胞医療用組成物には、本発明により提供された細胞画分だけでなく、臨床適用上許容される媒体により希釈、または再分散することが可能である。ここで言う臨床適用上許容される媒体とは、生理食塩水、リン酸緩衝液、アルブミン溶液、デキストラン溶液、あるいは哺乳動物体液中の血漿、または血清などが挙げられるが、医療用途に用いられるものであれば、上記以外のものでも使用することができる。
該組成物により治療する対象疾患としては、虚血性心疾患、下肢虚血性動脈疾患等の血管疾患、白血病等の血液疾患、多発性硬化症、全身性エリトマトーデス等の自己免疫疾患、あるいは、癌、骨軟骨疾患、皮膚疾患、神経疾患、眼疾患等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明により開示された方法、あるいは装置の処理対象となる哺乳動物体液は、採取後すぐに該方法、あるいは該デバイスにより処理することができるが、該哺乳動物体液を冷蔵保存した後、または冷凍保存したものを解凍した後、処理することもできる。
以下、本発明を更に詳しく説明するため、本発明方法の実施例を挙げる。
(実施例1)
哺乳動物体液としてヒト末梢血、細胞分離材としてHES、顆粒球吸着材として部分鹸化酢酸セルロースビーズを用いて以下の操作を行った。
(1)部分鹸化酢酸セルロースの調製
酢酸セルロースをジメチルスルホキシドとプロピレングリコールの混合溶剤に溶解し、この溶液を特開昭63−117039に記載された方法(振動法)により液滴化し、凝固させて酢酸セルロースの球形の粒子を得た。得られた球形粒子の粒径は、約300μmであった。この粒子を沈降体積比で、0.1規定水酸化ナトリウム水溶液と1:1(V/V)の割合で混合し、30分間接触させることにより、部分加水分解反応を行った。吸着体沈降体積の約200倍量の蒸留水にて洗浄後、生理食塩水液(最終濃度で5IU/mlのヘパリンを含む)にて置換を行い、部分鹸化酢酸セルロースビーズを得た。このときの部分鹸化酢酸セルロースビーズの鹸化度は、47.5%(置換率は52.5%)であった。
(2)ヒト末梢血の調製
健常人ボランティアから末梢血を採取した。このものは、1mlあたり赤血球を4.3×109個、白血球を4.6×106個(そのうち単核球が2.1×106個、顆粒球が約2.3×106個)が含まれるものであった。
(3)末梢血の処理
(1)で調製した沈降体積1mlの部分鹸化酢酸セルロースビーズに(2)で調製した末梢血を2ml加え、37℃、1時間、20rpmで撹拌しながらインキュベートした。この操作を吸着材処理とした。吸着材処理後、細胞分離剤として400μl(全量に対してHES濃度が1%となる量)のHES40(NIPRO社製、6%HES含有0.9%食塩液)を加え、50gで5分間遠心して、上清を回収し、これを処理区1とした。また、吸着材処理後、1500μl(全量に対してHES濃度が2.57%となる量)のHES40を加え、50gで5分間遠心して、上清を回収し、これを処理区2とした。さらに、吸着材処理後、RPMI1640培養液(Gibco)を2ml加え、800μl(全量に対してHES濃度が1%となる量)のHES40を加え、50gで5分間遠心して、上清を回収し、これを処理区3とした。
対照区としては、末梢血2mlを対照区1とした。また、末梢血2mlに400μl(全量に対してHES濃度が1%となる量)のHES40を加え、50gで5分間遠心して、上清を回収し、これを対照区2とした。また、末梢血2mlに1500ul(全量に対してHES濃度が2.57%となる量)のHES40を加え、50gで5分間遠心して、上清を回収し、これを対照区3とした。さらに、末梢血2mlにRIMI1640培養液を2ml加え、800ul(全量に対してHES濃度が1%となる量)のHES40を加え、50gで5分間遠心して、上清を回収し、これを対照区4とした。
かくして得られた対照区および処理区の赤血球除去率および顆粒球除去率を表1に示した。
Figure 0004949230

対照区2〜4においては、赤血球除去率は全て98%以上と優れていたが、顆粒球除去率は最も高い対照区2で64%に留まり、対照区3,4では30%程度であった。
処理区においては、赤血球除去率は全て99%であり、更に顆粒球除去率は95%程度と優れたものであった。
単核球回収率については、処理区と対照区2〜4間で大きな差は見られなかった。
(実施例2)
哺乳動物体液としてブタ骨髄液、細胞分離剤としてHES、顆粒球吸着材として部分鹸化酢酸セルロースビーズを用いて以下の操作を行った。
(1)部分鹸化酢酸セルロースの調製
酢酸セルロースをジメチルスルホキシドとプロピレングリコールの混合溶剤に溶解し、この溶液を特開昭63−117039に記載された方法(振動法)により液滴化し、凝固させて酢酸セルロースの球形の粒子を得た。得られた球形粒子の粒径は、約300μmであった。この粒子を沈降体積比で、0.1規定水酸化ナトリウム水溶液と1:1(V/V)の割合で混合し、30分間接触させることにより、部分加水分解反応を行った。吸着体沈降体積の約200倍量の蒸留水にて洗浄後、生理食塩水液(最終濃度で5IU/mlのヘパリンを含む)にて置換を行い、部分鹸化酢酸セルロースビーズを得た。このときの部分鹸化酢酸セルロースビーズの鹸化度は、47.5%(置換率は52.5%)であった。
(2)ブタ骨髄液の調製
ミニブタ(クラウン、30kg)の腸骨より骨髄液を採取した。このものは、1mlあたり赤血球が5.0×109個、白血球が1.0×107個(そのうち単核球画分細胞が3.0×106個、顆粒球が5.0×106個)含まれるものであった。
(3)骨髄液の処理
(1)で調製した沈降体積1mlの部分鹸化酢酸セルロースビーズに(2)で調製したブタ骨髄液を2ml加え、37℃、1時間、20rpmで撹拌しながらインキュベートした。この操作を吸着材処理とした。吸着材処理後、400ul(全量に対してHES濃度が1%となる量)のHES40(NIPRO社製、6%ヒドロキシエチルデンプン加0.9%食塩液)を加え、50gで5分間遠心して、上清を回収し、これを処理区4とした。また、吸着材処理後、1500ul(全量に対してHES濃度が2.57%となる量)のHES40を加え、50gで5分間遠心して、上清を回収し、これを処理区5とした。さらに、吸着材処理後、RIMI1640培養液(Gibco)を2ml加え、800ul(全量に対してHES濃度が1%となる量)のHES40を加え、50gで5分間遠心して、上清を回収し、これを処理区6とした。
対照区としては、末梢血2mlを対照区5とした。また、末梢血2mlに400ul(全量に対してHES濃度が1%となる量)のHES40を加え、50gで5分間遠心して、上清を回収し、これを対照区6とした。また、末梢血2mlに1500ul(全量に対してHES濃度が2.57%となる量)のHES40を加え、50gで5分間遠心して、上清を回収し、これを対照区7とした。さらに、末梢血2mlにRIMI1640培養液を2ml加え、800ul(全量に対してHES濃度が1%となる量)のHES40を加え、50gで5分間遠心して、上清を回収し、これを対照区8とした。
かくして得られた対照区および処理区の物性を表2に示した。
Figure 0004949230

対照区6〜8では、赤血球は除去できるものの、顆粒球画分除去は3〜20%程度であったのに対し、処理区4〜6では赤血球、顆粒球共に80%以上であり、処理区5、6では顆粒球画分除去率が90%以上であった。
単核球回収率については、処理区と対照区6〜8間で大きな差は見られなかった。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。

Claims (6)

  1. 単核球、顆粒球および赤血球を含有する哺乳動物の体液からの、単核球を含む細胞画分の調製法であって、
    前記体液をアセチル基によって置換されている水酸基の割合が全水酸基の35〜53%である酢酸セルロースである顆粒球吸着材と接触させる工程Aと、
    工程Aによる処理中または処理後の試料への、単核球と赤血球とを分離することができるHES(ヒドロキシエチル澱粉)である細胞分離剤の添加を行う工程Bとを含む、単核球を含む細胞画分の調製法、あるいは
    前記体液への、単核球と赤血球とを分離することができるHES(ヒドロキシエチル澱粉)である細胞分離剤の添加を行う工程Cと、
    工程Cによる処理後の試料をアセチル基によって置換されている水酸基の割合が全水酸基の35〜53%である酢酸セルロースである顆粒球吸着材と接触させる工程Dとを含む、単核球を含む細胞画分の調製法。
  2. 工程Aまたは工程Dが、顆粒球吸着材が充填されたカラムに前記体液または工程Cによる処理後の試料を通過させるか、顆粒球吸着材と前記体液または工程Cによる処理後の試料とを同一容器内で接触させることにより行われる請求項1記載の方法。
  3. 工程Aと工程B、あるいは工程Cと工程Dとが同一容器内で行われる、請求項1記載の方法。
  4. 単核球、顆粒球および赤血球を含有する哺乳動物の体液から、単核球を含む細胞画分を調製するための装置であって、
    アセチル基によって置換されている水酸基の割合が全水酸基の35〜53%である酢酸セルロースである顆粒球吸着材を収容してなる第1手段と、
    単核球と赤血球とを分離することができるHES(ヒドロキシエチル澱粉)である細胞分離剤を収容してなる第2手段とを備える、前記装置。
  5. 第1手段と第2手段とが液体連通している、請求項記載の装置。
  6. 単核球、顆粒球および赤血球を含有する哺乳動物の体液から、単核球を含む細胞画分を調製するための装置であって、
    アセチル基によって置換されている水酸基の割合が全水酸基の35〜53%である酢酸セルロースである顆粒球吸着材と、単核球と赤血球とを分離することができるHES(ヒドロキシエチル澱粉)である細胞分離剤とを収容してなる手段を備える、前記装置。
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