JP4948255B2 - 転がり軸受 - Google Patents

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Description

この発明は、転がり軸受に関し、例えば、アイドラプーリ、オルタネータ等の自動車補機に用いられる転がり軸受のグリース漏れと水素脆性による剥離等を解決する技術に関する。
アイドラプーリ、オルタネータ等の自動車補機に用いられる軸受には、耐グリース漏洩性、長寿命、低トルク、耐泥水性、耐高温性および耐低温性等多く要求される。これらの要求のうち、耐グリース漏洩性を高めるため、以下のような技術が種々提案されている。
(1)外輪に係止されたシールリングの内径側外側面のうち、円周方向複数個所に、内輪のシール溝の内側面に向けて突出部を形成する(例えば特許文献1)。
(2)内輪に円環状のスリンガを固定する。このスリンガは、シールと転動体との間に配設され、その内周縁部が内輪の外径面に固定される(例えば特許文献2)。
(3)シールリップ形状の変更、およびラビリンスすきまを形成する(例えば特許文献3)。
(4)封入したグリース中に、不動態化酸化剤を添加する(例えば特許文献4)。
(5)例えば、ポリαオレフィン系合成油からなる潤滑基油とジウレア系増ちょう剤とからなるウレアグリースに、ビスマスジチオカーバメートを添加する(例えば特許文献5)。
特開2006−250272号公報 特開2003−314573号公報 特開2005−330986号公報 特開平3−210394号公報 特開2005−42102号公報
上記特許文献1ないし3に開示のものでは、軸受の軸方向に突出部やスリンガを設けるためのスペースが必要であり、部品点数が増えて製造コストが高くなる。また、寿命面では通常の金属疲労により剥離と異なり、水素が原因の水素脆性による剥離があり、短寿命となる。これに対し、上記特許文献4,5による対策がなされるが、年々使用条件が過酷化される上記用途では、これら特許文献4,5による対策では不十分になってきている。
この発明の目的は、耐グリース漏洩性、水素脆性による剥離の発生を抑制した長寿命化、および省スペースを同時にかつ低コストで達成することができる転がり軸受を提供することである。
この発明における第1の転がり軸受は、内外輪間に介在する複数の玉が保持器に保持され、これら内輪および外輪の間の軸受空間にグリース組成物を封入し、前記外輪または内輪に設けたシール部材で前記軸受空間を塞ぐ転がり軸受において、前記グリース組成物は、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなり、前記添加剤は、アルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を含有し、このアルミニウム系添加剤の配合割合はベースグリース100重量部に対して0.05重量部以上10重量部以下であり、前記保持器は、複数の玉をそれぞれ保持するポケットを円周方向の複数箇所に有し、各ポケットの内面を、玉配列ピッチ円よりも内径側の部分が、保持器内径側開口縁に近づくに従って小径となる凹曲面状としたリング状の保持器であって、前記各ポケットの内面に、保持器内径側の開口縁から保持器外径側に延びる凹み部を設け、前記アルミニウム化合物は、炭酸アルミニウムまたは硝酸アルミニウムから選ばれた少なくとも一つの化合物であることを特徴とする。
この構成によると、グリース組成物は、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなり、この添加剤はアルミニウム系添加剤を含有し、このアルミニウム系添加剤の配合割合はベースグリース100重量部に対して0.05重量部以上10重量部以下であることにより、転走面で生じる白色組織変化を伴った特異的な剥離を防止することが可能となる。したがって、水素脆性による剥離の発生を抑制し、軸受の長寿命化を図ることができる。
さらに、保持器の各ポケットの内面に、保持器内径側の開口縁から保持器外径側に延びる凹み部を設けたことにより、内輪のシール溝にグリースが付着し難く、グリース漏れを防止できる。したがって、シール溝の形状を設計変更する必要がなく、また、軸受の軸方向に、例えばスリンガー等を設けるスペースを確保する必要もない。したがって、部品点数を上記特許文献に記載のものより少なくし製造コストの低減を図ることができる。
上記保持器および上記グリース組成物を適用することにより、水素脆性がない状態で軸受が運転可能でかつ、グリース漏れもないため、封入したグリースの持つ潤滑寿命特性が十分に発揮される。さらに、グリース漏れによる、エンジン補機用ベルトへの浸食やすべりによる異音等の外部汚染問題も解消される。
この発明における第2の転がり軸受は、内外輪間に介在する複数の玉が保持器に保持され、これら内輪および外輪の間の軸受空間にグリース組成物を封入し、前記外輪または内輪に設けたシール部材で前記軸受空間を塞ぐ転がり軸受において、前記グリース組成物は、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなり、前記添加剤は、アルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を含有し、このアルミニウム系添加剤の配合割合はベースグリース100重量部に対して0.05重量部以上10重量部以下であり、前記保持器は、複数の玉をそれぞれ保持するポケットを円周方向の複数箇所に有し、前記ポケットのある円周方向部分の内径の保持器中心からの半径を、ポケット間の円周方向部分の内径の保持器中心からの半径よりも大きくし、前記アルミニウム化合物は、炭酸アルミニウムまたは硝酸アルミニウムから選ばれた少なくとも一つの化合物であることを特徴とする。
この構成によると、ベースグリースに配合するアルミニウム系添加剤の配合割合は、ベースグリース100重量部に対して0.05重量部以上10重量部以下であることにより、転走面で生じる白色組織変化を伴った特異的な剥離を防止することが可能となる。したがって、水素脆性による剥離の発生を抑制し、軸受の長寿命化を図ることができる。
さらに、保持器のポケットのある円周方向部分の内径の保持器中心からの半径を、ポケット間の円周方向部分の内径の保持器中心からの半径よりも大きくしたので、内輪肩部や内輪シール溝にグリースが付着し難くなる。このことは、特に外輪回転時に特徴的に現れる。これにより、シールが接触形、非接触形のいずれの場合にも、グリースの漏洩を防止できる。また、シールリップの緊迫力を強くする必要がないため、トルクが増大しない。その他第1の転がり軸受と同様の作用、効果を奏する。
の発明において、前記増ちょう剤は、ウレア系増ちょう剤であっても良い。この発明において、前記基油は、アルキルジフェニルエーテル油およびポリ-α-オレフィン油から選ばれた少なくとも一つの油であっても良い。
この発明における第1の転がり軸受は、グリース組成物は、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなり、この添加剤はアルミニウム系添加剤を含有し、このアルミニウム系添加剤の配合割合はベースグリース100重量部に対して0.05重量部以上10重量部以下であり、さらに、保持器の各ポケットの内面に、保持器内径側の開口縁から保持器外径側に延びる凹み部を設け、前記アルミニウム化合物は、炭酸アルミニウムまたは硝酸アルミニウムから選ばれた少なくとも一つの化合物であることにより、耐グリース漏洩性、水素脆性による剥離の発生を抑制した長寿命化、および省スペースを同時にかつ低コストで達成することができる。
この発明における第2の転がり軸受は、グリース組成物は、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなり、前記添加剤は、アルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を含有し、このアルミニウム系添加剤の配合割合はベースグリース100重量部に対して0.05重量部以上10重量部以下であり、さらに、保持器のポケットのある円周方向部分の内径の保持器中心からの半径を、ポケット間の円周方向部分の内径の保持器中心からの半径よりも大きくし、前記アルミニウム化合物は、炭酸アルミニウムまたは硝酸アルミニウムから選ばれた少なくとも一つの化合物であることにより、耐グリース漏洩性、水素脆性による剥離の発生を抑制した長寿命化、および省スペースを同時にかつ低コストで達成することができる。
この発明の一実施形態を図1と共に説明する。この一実施形態にかかる転がり軸受は、例えば、アイドラプーリ、オルタネータ等の自動車補機に用いられる。ただし、自動車補機用だけに必ずしも限定されるものではない。
この軸受は、内輪1と外輪2の軌道面1a,2aの間に、複数の転動体3を介在させ、これら転動体3を保持する後述する保持器4を設け、両側に軸受空間を密封する非接触形のシール部材5を設けたものである。転動体3は例えば玉からなり、この場合、軸受はシール付きの深溝玉軸受とされている。少なくとも前記転動体3の周囲に、本発明のグリース組成物Gsが封入される。
シール部材5は、環状の芯金6とこの芯金6に一体に固着されるゴム状部材7とで構成され、外輪2の内周面に形成されたシール取付溝8に外周部が嵌合状態に固定される。ゴム状部材7は合成ゴムからなり、芯金6は鋼板製とされる。内輪1は各シール部材5の内径部に対応する位置に、円周溝からなるシール溝9が形成され、シール部材5の内径側端と内輪1のシール溝9との間にラビリンスシール隙間10が形成される。シール取付溝8およびシール溝9は旋削仕上げとされている。
グリース組成物Gsについて説明する。
また、転がり軸受について、水素脆性による転走面での剥離を効果的に防止できる方法を鋭意検討の結果、アルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を配合したグリース組成物を封入した転がり軸受を用いて、急加減速試験を行ったところ、軸受寿命を延長できることがわかった。
グリース組成物にアルミニウム系添加剤を配合することにより、摩擦摩耗面または摩耗により露出した金属新生面においてアルミニウム化合物が反応し、酸化鉄と共にアルミニウム被膜が軸受転走面に生成することが、軸受転走面の表面分析の結果わかった。
この軸受転走面に生成した酸化鉄およびアルミニウム被膜が、グリース組成物の分解による水素の発生を抑制して、水素脆性による特異な剥離を防止できるため、転がり軸受の寿命が延長するものと考えられる。本発明はこれらの知見に基づくものである。
本発明の実施形態にかかるグリース組成物に添加するアルミニウム系添加剤は、アルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一つである。アルミニウム化合物としては、炭酸アルミニウムまたは硝酸アルミニウムから選ばれた少なくとも一つの化合物が挙げられる。アルミニウム化合物のその他の提案例として、硫化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムの水和物、硫酸アルミニウム、フッ化アルミニウム、臭化アルミニウム、よう化アルミニウム、酸化アルミニウムおよびその水和物、水酸化アルミニウム、セレン化アルミニウム、テルル化アルミニウム、りん酸アルミニウム、りん化アルミニウム、アルミン酸リチウム、アルミン酸マグネシウム、セレン酸アルミニウム、チタン酸アルミニウム、ジルコン酸アルミニウム等の無機アルミニウム、安息香酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム等の有機アルミニウムが挙げられる。これらアルミニウム系添加剤は、一種類または二種類を混合してグリースに添加してもよい。
本発明において特に好ましいのは、耐熱耐久性に優れ、熱分解しにくいため、極圧性効果の高いアルミニウム粉末である。
上記アルミニウム系添加剤の配合割合は、ベースグリース100重量部に対して0.05重量部以上10重量部以下である。すなわち、(1)アルミニウム系添加剤がアルミニウム粉末のみである場合、ベースグリース100重量部に対してアルミニウム粉末を0.05重量部以上10重量部以下、(2)アルミニウム系添加剤がアルミニウム化合物のみである場合、ベースグリース100重量部に対してアルミニウム化合物を0.05重量部以上10重量部以下、(3)アルミニウム系添加剤がアルミニウム粉末とアルミニウム化合物とである場合、ベースグリース100重量部に対して、アルミニウム粉末とアルミニウム化合物とを合わせて0.05重量部以上10重量部以下配合する。
アルミニウム系添加剤の配合割合がこの配合範囲未満であると、水素脆性による転走面での剥離を効果的に防止できない。また、アルミニウム系添加剤の配合割合が上記配合範囲を超えても、剥離防止効果がそれ以上に向上しない。
上記ベースグリースは、基油と増ちょう剤とからなる。本発明に使用できる基油としては、スピンドル油、冷凍機油、タービン油、マシン油、ダイナモ油等の鉱油、高精製度鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、フィッシャー・トロプシュ法により合成されたGTL油、ポリ-α-オレフィン油、アルキルナフタレン、脂環式化合物等の炭化水素系合成油、または、天然油脂、ポリオールエステル油、りん酸エステル油、ポリマーエステル油、芳香族エステル油、炭酸エステル油、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、アルキルベンゼン油、フッ素化油等の非炭化水素系合成油等を使用できる。
これらの中で、耐熱性と潤滑性に優れたアルキルジフェニルエーテル油、または、ポリ-α-オレフィン油を用いることが好ましい。
上記ベースグリースのうち、本発明に使用できる増ちょう剤としては、ベントン、シリカゲル、フッ素化合物、リチウム石けん、リチウムコンプレックス石けん、カルシウム石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウム石けん、アルミニウムコンプレックス石けん等の石けん類、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられる。
これらの中で、耐熱性、コスト等を考慮するとウレア系化合物が望ましい。
上記ウレア系化合物は、イソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させることにより得られる。反応性のある遊離基を残さないため、イソシアネート化合物のイソシアネート基とアミン化合物のアミノ基とは略当量となるように配合することが好ましい。
上記ジウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミンとの反応で得られる。ジイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、オクタデカンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート等が挙げられ、モノアミンとしては、オクチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ステアリンアミン、オレインアミン、アニリン、p−トルイジン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。
上記ポリウレア化合物は、例えば、ジイソシアネートとモノアミン、ジアミンとの反応で得られる。これらのうちジイソシアネート、モノアミンとしては、ジウレア化合物の生成に用いられるものと同様のものが挙げられ、ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサンジアミン、オクタンジアミン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
基油にウレア系化合物等の増ちょう剤を配合して、上記アルミニウム系添加剤等を配合するためのベースグリースが得られる。ウレア系化合物を増ちょう剤とするベースグリースは、基油中でイソシアネート化合物とアミン化合物とを反応させて作製する。
ベースグリース100重量部中に占める増ちょう剤の配合割合は、1重量部以上40重量部以下、好ましくは3重量部以上30重量部以下配合される。増ちょう剤の含有量が1重量部未満では増ちょう効果が少なくなり、増ちょう剤の含有量が40重量部を超えると、得られたベースグリースが硬くなり過ぎ、所期の効果が得られ難くなる。
また、アルミニウム系添加剤とともに、必要に応じて公知のグリース用添加剤を含有させることができる。この添加剤としては、例えば、有機亜鉛化合物、アミン系、フェノール系化合物等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾールなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレン等の粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤、金属スルホネート、多価アルコールエステルなどの防錆剤、有機モリブデンなどの摩擦低減剤、エステル、アルコールなどの油性剤、りん系化合物などの摩擦防止剤等が挙げられる。これらを単独または二種類以上組み合わせて添加できる。
[実施例]
実施例1〜実施例8
表1に示した基油の半量に、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製商品名のミリオネートMT、以下、MDIと記す)を表1に示す割合で溶解し、残りの半量の基油にMDIの2倍当量となるモノアミンを溶解した。それぞれの配合割合および種類は表1の通りである。
MDIを溶解した溶液を攪拌しながらモノアミンを溶解した溶液を加えた後、100℃以上120℃以下で30分間攪拌を続けて反応させて、ジウレア化合物を基油中に生成させた。
これにアルミニウム系添加剤および酸化防止剤を表1に示す配合割合で加えてさらに100℃以上120℃以下で10分間攪拌した。その後冷却し、三本ロールで均質化し、グリース組成物を得た。
表1において、基油として用いた合成炭化水素油は40℃における動粘度30mm/secの新日鉄化学社製商品名のシンフルード601を、アルキルジフェニルエーテル油は40℃における動粘度97mm/secの松村石油研究所社製商品名のモレスコハイルーブLB100を、それぞれ用いた。また、酸化防止剤は住友化学社製ヒンダードフェノールを用いた。
得られたグリース組成物の急加減速試験を行った。試験方法および試験条件を以下に示す。また、結果を表1に示す。
<急加減速試験>
電装補機の一例であるオルタネータを模擬し、回転軸を支持する内輪回転の転がり軸受に上記グリース組成物を封入し、急加減速試験を行った。この急加減速試験は、回転軸先端に取り付けたプーリに対する負荷荷重を1960N、回転速度は0rpm以上18000rpm以下で運転条件を設定し、さらに、試験軸受内に0.1Aの電流が流れる状態で試験を実施した。そして、軸受内に異常剥離が発生し、振動検出器の振動が設定値以上になって発電機が停止する時間(剥離発生寿命時間、h)を計測した。なお、試験は、500時間で打ち切った。
比較例1〜比較例3
実施例1に準じる方法で、表1に示す配合割合で、増ちょう剤、基油を選択してベースグリースを調整し、さらに添加剤を配合してグリース組成物を得た。得られたグリース組成物を実施例1と同様の試験を行って評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004948255
表1に示すように、各実施例では、急加減速試験は剥離発生寿命時間が全て400時間以上の優れた結果を示した。これは、アルミニウム系添加剤を所定割合で添加したことにより、転走面で生じる白色組織変化を伴った特異的な剥離を効果的に防止できたためであると考えられる。
この実施形態にかかる転がり軸受では、以下に示す保持器4を用いることで、内輪1のシール溝9にグリースが付着し難く、グリース漏れを防止することができる。
上記保持器4について、図2ないし図11と共に説明する。
この保持器4は、図2に斜視図で示すように、各玉を保持するポケット50を円周方向の複数箇所に有し、各ポケット50の内面を凹球面状としたリング状のものである。この保持器4は、図3に斜視図で示す環状体の保持器半体51の2個を、軸方向に対面して重ね合わせ、リベット孔52に挿通したリベット53で互いに接合して一体に構成される。これら保持器半体51は、内面がポケット50の半分を形成する部分的な球殻状の形状の球殻状板部50Aを複数有し、隣合うポケット50間の部分となる平板部51aと球殻状板部50Aとが円周方向に交互に並んだものとされる。前記球殻状板部50Aは、球殻の一部となる部分であり、換言すれば、内外両面が球面状となったカウンタシンク形状の膨らみ部分である。保持器半体51の軸方向の投影形状は、半径方向幅が全周に渡って一定のリング状である。
保持器半体51の一部を拡大して図5に斜視図で示す。図4は、図5と対応する部分につき、ポケット内面を単調な球面とした場合の図である。図4において、2点鎖線で示す部分Aは、この保持器半体51における平板部51aが周方向に並ぶ円周帯域を示す。その円周帯域Aの平板部51aでない部分にポケット50の半分である前記球殻状板部50Aが形成される。同図における球殻状板部50Aの一側部が保持器4の内径側部分50Aiとなり、球殻状板部50Aの他側部が保持器4の外径側部分50Aoとなる。
この実施形態の保持器4のポケット50(球殻状板部50A)の内面は、図5に示すように、保持器4の上記内径側部分50Aiにおいて、保持器内径側の開口縁から保持器外径側に延びる凹み部54を設け、この凹み部54の内面の保持器円周方向に沿う断面形状(すなわち保持器中心軸に垂直な平面で断面した断面形状)を、ポケット50の内面となる凹球面の曲率半径Raよりも小さな曲率半径Rbの円弧状としている。
この凹み部54は、ポケット50の開口縁における保持器円周方向の中心OW50から両側に広がって1箇所に設けられ、凹み部54の幅W54は、ポケット50の保持器円周方向の幅W50の略全体にわたる幅としている。凹み部54の幅W54は、ポケット50の幅W50の半分よりも大きいことが好ましく、2/3以上、あるいは3/4以上であることがより好ましい。
凹み部54の内面形状は、同図(B)に示すように、保持器4の半径方向の直線Lを中心とする仮想円筒Vの表面に略沿う円筒面状の形状である。上記仮想円筒Vは、凹み部54を加工する砥石の表面であっても良い。この凹み部54は、保持器半径方向につき、保持器内径側の開口縁から玉配列ピッチ円PCDまで延びていて、保持器内径縁から玉配列ピッチ円PCDに至るに従って、徐々に小さく、つまり徐々に浅くかつ幅が狭くなる形状とされている。凹み部54は、この実施形態では、丁度、玉配列ピッチ円PCDまで延びているが、玉配列ピッチ円PCDよりも保持器外径側まで若干延びていても、また玉配列ピッチ円PCDに若干達しないものであっても良い。なお、玉配列ピッチ円PCDはポケットPCDとも呼ぶ。
凹み部54の深さは、ポケット内面の凹球面の中心O50から凹み部54の最深位置までの距離Rcが、玉3の半径の1.05倍以上となる深さ(丁度1.05倍であって良い)であることが好ましい。ポケット50の内面となる凹球面の曲率半径Raは、玉3の半径よりも僅かに大きくし、玉3の半径の1.05未満としている。
図6は、保持器4のポケット50(球殻状板部50A)の内面の他の形状例を示す。この例では、ポケット50(球殻状板部50A)の内面の内径側部分50Aiに設けられる凹み部54Aを、ポケット50の開口縁における保持器円周方向の中心OW50の両側に位置する2箇所としている。各凹み部54Aの内面形状は、保持器円周方向に沿う断面形状(すなわち保持器中心軸に垂直な平面で断面した断面形状)が、ポケット50の内面となる凹球面の曲率半径Raよりも小さな曲率半径RAbの円弧状であり、詳しくは同図(B)に示すように、保持器4の半径方向の直線LAを中心とする各仮想円筒VAの表面に略沿う円筒面状の形状である。この凹み部54Aは、保持器半径方向につき、保持器内径側の開口縁から玉配列ピッチ円PCDの付近まで延びていて、保持器内径縁から玉配列ピッチ円PCDに近づくに従って徐々に小さく、つまり徐々に浅くかつ幅狭となる形状である。
2個の凹み部54Aの位置は、例えば、ポケット50の開口縁における保持器円周方向の中心OW50に対する周方向の配向角度を40°±15°とした対称な2箇所である。この例でも、凹み部54Aの深さは、ポケット内面の凹球面の中心O50から凹み部54Aの最深位置までの距離RAcが、玉3の半径の1.05倍以上となる深さであることが好ましい(丁度1.05倍であって良い)。
なお、この実施形態では凹み部54Aを2箇所としたが、3箇所以上としても良い。
図7は、保持器4(図1)のポケット50(球殻状板部50A)の内面のさらに他の形状例を示す。この例は、図6の実施形態において、凹み部54Aの断面形状(保持器円周方向に沿う断面形状)を円弧状とする代わりに、多角形状としたものである。詳しくは、同図(B)に示すように、保持器4の半径方向の直線LAを中心とする各多角形柱(図示の例では正10角形柱)VCの表面に略沿う多角形状の形状である。この凹み部54Cは、保持器半径方向につき、保持器内径側の開口縁から玉配列ピッチ円PCDの付近まで延びていて、保持器内径縁から玉配列ピッチ円PCDに近づくに従って徐々に小さく、つまり徐々に浅くかつ幅狭となる形状である。この実施形態におけるその他の構成は、図6の例と同様である。
図8は、保持器4のポケット50(球殻状板部50A)の内面のさらに他の形状例を示す。この例は、ポケット50(球殻状板部50A)の内面の内径側部分50Aiに設けられる凹み部54Bが、ポケット50の開口縁における保持器円周方向の中心OW50の両側に位置して2箇所に設けられていることでは図6の実施形態と同様であるが、各凹み部54Bが、保持器外径縁付近まで延びている。これら凹み部54Bの内面の保持器円周方向に沿う断面形状は、ポケット50の内面となる凹球面の曲率半径Raよりも小さな曲率半径RBbの円弧状であり、詳しくは同図(B)に示すように、一つの仮想リングVBの表面に略沿った形状である。この仮想リングVBは、凹み部54Bを加工する砥石の外周面であっても良い。前記仮想リングVBは、ポケット50内に収まるリング外径であって、任意周方向位置の断面形状が円形となるドーナツ状であり、図9のように、リング中心OVBが保持器中心軸Oに対して傾きを持つ。
なお、この発明において、凹み部54A〜54Cの保持器円周方向に沿う断面形状は、図6〜図8の各例の形状に限らず、部分楕円状や、矩形溝状、台形溝状や、その他任意の断面形状としても良い。また、凹み部54A〜54Cの上記断面形状は、凹み部中心に対して非対称の形状であっても良い。
ポケット50における内面形状は、球面状に限らず、玉配列ピッチ円PCDよりも内径側の部分が、保持器内径側開口縁に近づくに従って小径となる形状であれば良く、例えば玉配列ピッチ円PCDよりも外径側の部分が円筒面状、内径側の部分が円すい面状であっても良い。
図10は、上記保持器4の製造方法を示す。この製造方法は鉄板打ち抜き保持器の製造方法であって、先ず鋼板をプレスしてリング状の金属帯材55を打ち抜く。次に、図10(A)のように、前記保持器半体51の球殻状板部50Aの内面を成形する凸側プレス金型56と、前記球殻状板部50Aの外面を成形する凹側プレス金型57とでなるプレス金型組58を用意し、これら凸側プレス金型56と凹側プレス金型57の間に前記リング状の金属帯材55を挟み込んで、図10(B)のように保持器半体51をプレス成形する。このプレス成形は、粗押しと仕上げ押しの2段階で行っても良く、また一度で行っても良い。
なお、凸側プレス金型56および凹側プレス金型57は、図ではそれぞれ1個のみ示しているが、これら凸側プレス金型56および凹側プレス金型57は、それぞれ保持器半体51の球殻状板部50Aの個数分だけ円周方向に並べて互いに一体の金型として設けられ、複数の球殻状板部50Aを同時に成形する。
このようにして得られた2つの保持器半体51を、図10(C)のように重ね合わせ、図10(D)のように保持器半体51の平板部51aが重なり合う部分をリベット53で接合して保持器4とする。
図11には、プレス成形における仕上げ押し工程に用いる上記凸側プレス金型56および凹側プレス金型57として、図6の保持器半体51の成形用のものを示している。凸側プレス金型56の半球状凸面には、ポケット50(球殻状板部50A)における凹み部54Aの内面を成形する凹み部成形用型部56aが部分的に形成されている。また、凹側プレス金型57には、ポケット50(球殻状板部50A)における凹み部54Aの外面を成形する凹み部裏面成形用型部57aが部分的に形成されている。保持器ポケットの外面側に凸部が形成されることになるが、シールと非接触であれば、機能上問題ない。この場合の凸側プレス金型56および凹側プレス金型57も、それぞれ保持器半体51の球殻状板部50Aの個数分だけ、互いに一体の金型として設けられ、複数の球殻状板部50Aを同時に成形する。
図6の保持器半体51を成形する場合、その球殻状板部50Aの内面は単純な半球状凹面の一部に、凹み部54Aを有する形状であるため、仕上げ押し工程で単純な半球状凹面を成形した後で、その半球状凹面の一部にさらに凹み部54Aをプレス成形するものとすると、従来の鉄板打ち抜き保持器の成形の場合に比べて製造工程が一工程増えることになる。
この実施形態では、上記したように、仕上げ押し工程に用いる凸側プレス金型56の半球状凸面に、ポケット50(球殻状板部50A)における凹み部54Aの内面を成形する凹み部成形用型部56aを部分的に形成しているので、仕上げ押し工程で凹み部54Aも同時に成形でき、製造工程を増やすことなく効率的に保持器4を製造できる。
また、仕上げ押し工程に用いる上記凸側プレス金型56の半球状凸面の形状および面粗さは、保持器ポケット50の内面に転写され、そのポケット内面は軸受に組み込まれた場合に玉3(図1)と接触するため、ポケット内面の面粗さは小さくする必要がある。従来の鉄板打ち抜き保持器ではポケット内面が単純な凹球面であるため、凸側プレス金型の半球状凸面を凹形状の砥石等で研磨することで面粗さを小さくしている。しかし、この実施形態の場合、上記したように凸側プレス金型56の半球状凸面は、単純な半球状凸面の一部にポケット内面の上記凹み部54Aに対応する凹み部成形用型部56aを有する形状であり、従来例の場合のように凹形状の砥石等で研磨して面粗さを小さくすることはできない。
そこで、この実施形態では、仕上げ押し工程に用いる凸側プレス金型56の成形凸球面を、ショットブラスト、または電子ビームによる研磨、または研磨剤の噴射によるラッピングで表面仕上げする。この場合のラッピングは、研磨砥粒に水分を含有させることで弾力性および粘着性を有する研磨材を得て、この研磨材を被加工材である金型の表面に高速で滑走させて発生する摩擦力によって表面仕上げする方法が好ましい。このようなラッピングとして、金型の超鏡面仕上げ装置として販売されているエアロラッピング(株式会社ヤマシタワークス)等が採用できる。このように、ショットブラストや電子ビーム、あるいは研磨剤の噴射によるラッピングで凸側プレス金型56の成形凸球面を表面仕上げすることにより、手作業による研磨などが要らず、ばらつきなく低コストで凸側プレス金型56の成形凸球面の面粗さを小さくできる。
図12〜図14は、グリース付着状態の確認を行った試験結果を示す。この試験では、この実施形態(図5の実施形態、および図6の実施形態)の保持器4を組み込んだ玉軸受と、一般的な鉄板打ち抜き保持器を組み込んだ玉軸受とを、次の表2の条件で運転して比較した。
図12および図13はこの実施形態(それぞれ図5の実施形態、および図6の実施形態)の保持器4を用いた玉軸受のグリース付着状態を示し、図14は一般的な鉄板打ち抜き保持器を用いた玉軸受のグリース付着状態を示す。
Figure 0004948255
図12〜図14の試験結果から、一般的な鉄板打ち抜き保持器を組み込んだ玉軸受(図14)では、内輪シール溝にグリースが付着するが、この実施形態の保持器4を組み込んだ玉軸受(図12,図13の例)ではグリースの付着がないことが分かる。
この実施形態にかかる転がり軸受の保持器4では、ポケット50の形状を上記したように従来例のものと異なるものとしたことにより、内輪肩部へのグリースの付着を無くすことができる。すなわち、玉に最もグリースが付着する位置である保持器内径側の開口縁に開口する凹み部を設けたため、グリースの掻き取りが生じる際の、玉の表面の掻き取りが減少し、保持器内径面に溜まるグリース量が減少する。
そのため、内輪シール溝へグリースが付着することがなく、接触形および非接触形のいずれのシールを用いても、グリース漏れは発生しない。この効果は、特に外輪回転時に特徴的に現れる。したがって、一般的な鉄板打ち抜き保持器のようにシールにグリースが付着することによる不具合は発生しない。さらに、シール機能にグリース漏れを防ぐ要素を付加させる必要がないので、耐泥水、耐ダスト、および低トルクに特化したシール設計が可能となる。また、この実施形態の玉軸受用保持器4はプレス加工が可能なため、低コストで高強度のものを製造でき、一般的な鉄板打ち抜き保持器と比べてシールとの距離も変わらない。
なお、上記各実施形態では、鉄板打ち抜き保持器の場合を示したが、図15および図16に示すような樹脂製保持器59の場合にも適用できる。この樹脂製保持器59は、樹脂成形品からなる2枚の環状体60,60を有する。各環状体60の互いに衝合される一側面には、玉の外周に沿う半球状のポケット61Aが周方向に等間隔に複数形成される。隣接するポケット61A,61A間には結合部となる係合孔62と係合爪63とが設けられ、一方の環状体60の係合爪63を、他方の環状体60の係合孔62に挿入させることにより、両環状体60が一体に接合されて保持器59とされる。
以上説明した転がり軸受の構成によると、この保持器4,59は、複数の玉3をそれぞれ保持するポケット50を円周方向の複数箇所に有し、各ポケット50の内面を、玉配列ピッチ円PCDよりも内径側の部分が、保持器内径側開口縁に近づくに従って小径となる凹曲面状としたリング状であり、各ポケット50の内面に、保持器内径側の開口縁から保持器外径側に延びる凹み部54(54A,54B,54C)を設けたため、内輪1のシール溝9にグリースが付着し難く、グリース漏れを防止できる。このように、軸受からグリースが漏れないので、軸受の長寿命化を図ることができる。また、漏れたグリースがベルト等に付着せず、ベルト鳴きの発生を未然に防止しベルトを痛めることがない。
上記保持器4,59および上記グリース組成物を適用することにより、水素脆性がない状態で軸受が運転可能でかつ、グリース漏れもないため、封入したグリースの持つ潤滑寿命特性が十分に発揮される。さらに、グリース漏れによる、エンジン補機用ベルトへの浸食やすべりによる異音等の外部汚染問題も解消される。
上記保持器を用いることでグリース漏れが発生しないので、シールを接触型とする必要がなく換言すればシール部材5を非接触型とし、低トルク化も図ることができる。また、この転がり軸受の構成によると、軸受の軸方向に突出部やスリンガを設けるスペースを確保する必要がなく、部品点数も上記特許文献に記載のものより少なくし製造コストの低減を図ることができる。
凹み部54は、例えば、図5に示すように、前記ポケット50の開口縁における保持器円周方向の中心から両側に広がって1箇所に設けられ、ポケット50の保持器円周方向の幅W50の半分よりも大きな幅W54を有し、前記凹み部54の内面形状が、保持器4の半径方向の直線Lを中心とする仮想円筒Vの表面に略沿う円筒面状の形状であり、この凹み部54は、保持器内径側の開口縁から玉配列ピッチ円PCDの付近まで延びていて、保持器内径縁から玉配列ピッチ円PCDに近づくに従って徐々に浅くかつ幅狭となる形状とすることで、前述の作用、効果を奏する。
また、凹み部54Aは、例えば、図6に示すように、ポケット50の開口縁における保持器円周方向の中心OW50の両側に位置して複数箇所に設けられ、各凹み部54Aの内面形状が、保持器4の半径方向の直線LAを中心とする各仮想円筒VAの表面に略沿う円筒面状の形状であり、この凹み部54Aは、保持器内径側の開口縁から玉配列ピッチ円PCDの付近まで延びていて、保持器内径縁から玉配列ピッチ円PCDに近づくに従って徐々に浅くかつ幅狭となる形状とすることで、前述の作用、効果を奏する。
また、凹み部54Bは、例えば、図8,図9に示すように、ポケット50の開口縁における保持器円周方向の中心OW50の両側に位置して2箇所に設けられて、保持器外径縁付近まで延び、これら2箇所の凹み部54Bの内面形状が、一つの仮想リングVBの表面に略沿った形状であり、前記仮想リングVBは、ポケット50内に収まるリング外径で、任意周方向位置の断面形状が円形であり、リング中心OVBが保持器中心軸Oに対して傾きを持つ形状とすることで、前述の作用、効果を奏する。
図17ないし図19は、第2の発明に対応する実施形態を示す。この実施形態にかかる転がり軸受の保持器4Aは、図2ないし図6と共に前述した保持器4と、特に説明する事項を除いて同様である。
この保持器4Aは、図1と共に前述した転がり軸受に用いられる保持器であって、玉3を保持するポケット50を円周方向の複数個所に有するリング状であり、2個の環状体の保持器半体51を軸方向に対面して重ね合わせてなる。これら保持器半体51は、それぞれ内面が前記各ポケットの半分を形成する球殻状板部50Aと、隣合うポケット50間の部分となる平板部51aとが円周方向に交互に並ぶ形状とされる。各保持器半体51は、金属板のプレス成形品(例えば鉄板打ち抜き品)であり、平板部51aに設けられたリベット孔52に挿通したリベット53により、2枚の保持器半体51が互いに接合して一体に構成される。以上の構成は、図2ないし図6に示す実施形態と同様である。
また、保持器4Aは、図17,図19に示すように、内輪1の軌道面1aの両側の肩部高さとなる外径面部1bに、軸方向に重なる範囲を持つ。
この実施形態の保持器4Aは、上記構成において、球殻状板部50Aにおける玉配列ピッチである玉配列ピッチ円PCDよりも内径側部分に薄肉部分50Aaを形成している。この薄肉部分50Aaは、内輪1の軌道面1aの両側の肩部高さとなる外径面部1bに位置する部分の板厚t1を、平板部51aの板厚t0よりも薄くしたものである。肩部高さとなる外径面部1bは、内輪1の軌道面1aの肩部の高さで続く外径面部分のことであり、シール溝9が設けられている場合、軌道面1aとシール溝9との間の外径面部分のことである。球殻状板部50Aは、この外径面部分1bの軸方向範囲Wに位置する部分の板厚t1を薄くする。なお、図17において、球殻状板部50Aを薄肉化しない場合の断面形状を想像線で示している。
板材t1を薄くする形態は、保持器半径方向において、玉配列ピッチ円PCDに相当する箇所から内径側に至る範囲の全体を薄くしても良く、また玉配列ピッチ円PCDと保持器内径縁間の途中の箇所から内径縁至る範囲を薄くなるようにしても良い。これらの場合に、板厚t1は、保持器半径方向の内径側に至るに従って次第に薄くなって内径縁が最小板厚となるようにしても良く、また薄くする範囲の全体を略一定して薄くしても良い。さらに、球殻状板部50Aのポケット内面形状を維持したままで、外面側の形状が変わるように板厚を薄くしても、また球殻状板部50Aの外面形状を維持したままで、ポケット内面側の形状が変わるように板厚を薄くしても良い。
また、この実施形態では、図18のように、球殻状板部50Aの内径縁に沿う円弧状の範囲において、両端を残し、ほぼ全体を薄くしているが、内輪1の肩部高さとなる外径面部1bと保持器4Aの幅の関係によっては、図20のように、板厚を薄くした薄肉部分50Aaが、球殻状板部50Aにおける内径縁の円弧の中央を除く両側となる2箇所に分かれていても良い。
この保持器4Aは、このようにポケット50を構成する球殻状板部50Aの内径部に薄肉部分50Aaを成形しており、この薄肉部分50Aaは、内輪1の肩部高さの外径面部1bと軸方向に重なり合う部分であって、玉3の表面に付着したグリースが保持器4Aで掻き取られる部分、またはその掻き取られたグリースが移動してくる部分である。この部分50Aaの板厚t1が薄ければ、ここに堆積し得るグリース量が減少するため、内輪1の外径面部1bに到達し得る頻度や量が減少し、結果としてグリースの軸受外部への漏れが防止できる。すなわち、保持器4Aの外径側へグリースが移動しやすくなり、内径側に留まり得るグリース量が減少する。
しかしながら、保持器の全体の板厚を薄くすることは、保持器の単体の強度が低下するため、ミスアライメント下あるいは外部加振下において保持器に繰り返し応力が作用する場合に保持器の破損が生じやすくなるなど、難しい。
そこで、保持器4Aの内径部において、内輪1の肩部となる外径面部1bと軸方向に重なり合う範囲Wのみの板厚を薄くしており、これにより、実質上の保持器4Aの強度の低下が無く、かつグリース漏れを防止可能な玉軸受用保持器4Aが成立する。このように、軸受からグリースが漏れないので、軸受の長寿命化を図ることができる。また、漏れたグリースがベルト等に付着せず、ベルト鳴きの発生を未然に防止しベルトを痛めることがない。
上記保持器4Aを用いることでグリース漏れが発生しないので、シールを接触形とする必要がなく換言すればシール部材5を非接触形とし、低トルク化も図ることができる。また、この転がり軸受の構成によると、軸受の軸方向に突出部やスリンガを設けるスペースを確保する必要がなく、部品点数も上記特許文献に記載のものより少なくし製造コストの低減を図ることができる。上記保持器4Aおよび上記グリース組成物を適用することにより、水素脆性がない状態で軸受が運転可能でかつ、グリース漏れもないため、封入したグリースの持つ潤滑寿命特性が十分に発揮される。さらに、グリース漏れによる、エンジン補機用ベルトへの浸食やすべりによる異音等の外部汚染問題も解消される。
なお、上記の板厚t1の低減には、最初に円環に打ち抜いた平板の内径側のみを薄くしておき、プレス成形しても良い。また均一厚の円環平板からプレスで保持器を成形する場合のプレス金型において、図18や図20で示した領域の板厚のみが減少するように、一対の金型間のすきま分布を変更しても良い。また、この実施形態では深溝玉軸受の鉄板製打ち抜き保持器の場合を示したが、第2の発明は、図15,図16などと共に前述した2分割の樹脂保持器にも適用することができる。
図21ないし図23は、この発明の実施形態を示す。この実施形態にかかる転がり軸受の保持器4Bは、図1と共に前述した転がり軸受に用いられる保持器である。この保持器4Bは、リング状の部材であって、ボール3(図1)を収容保持する窓状のポケット4Baが、周方向に等間隔でボール3と同数だけ形成されている。ポケット4Baのある円周方向部分の内周面4Bbは外径側に凹む形状となるよう傾斜させてあり、ポケット4Baのある円周方向部分の内径の保持器中心からの半径Rpがポケット4Ba間の円周方向部分の内径の保持器中心からの半径Riよりも大きくなっている(Rp>Ri)。この実施形態では、前記内周面4Bbが、軸方向から見て凹曲線となる曲面形状、具体的には円弧状面とされている。
この保持器4Bは、例えば鉄板をプレスにより打ち抜きおよび成形加工して製作された2枚の環状部材64から成る。各環状部材64は、円周方向に等間隔で並びそれぞれがポケット4Baの内壁面を構成する複数の半球状のポケット壁部64aと、隣合うポケット壁部64a同士を連結する平板状の結合板部64bとを交互に形成したものである。鉄板製である環状部材64の結合板部64bには、リベット孔64cが穿設されている。2枚の環状部材64は、それぞれの各結合板部64bを互いに重ね合わせ、前記リベット孔64cにリベット65を挿通し、そのリベット65の両端部を加締めることにより結合されている。このように、2枚の環状部材64を互い結合して1個の保持器4Bとする構成とすれば、上記のような内径の保持器中心からの半径が各部で異なる形状でありながら、保持器4Bの加工が容易である。
この実施形態の保持器4Bは、ポケット4Baのある円周方向部分の内周面4Bbが外径側に凹む形状となっているため、全体の強度低下が懸念される。しかし、図27に示すような従来の標準形状の保持器Hr(Rp=Ri)の損傷は、その大部分がポケットHra間の円周方向部分からポケットHraのある円周方向部分へのR部Hr7で生じることが経験的に知られている。この実施形態の保持器4Bは、この部分の形状変更を行なっていないため、全体の強度低下が生じないと言える。
この転がり軸受における運転中のグリースの状態を調べるために、表3に示す条件で試験を行った。運転停止後のグリースの軸受各部への付着状態は図23に示すようになった。比較のため、図27に示す従来の保持器Hrを組み込んだ軸受についても、同一条件で試験を行った。運転停止後のグリースの軸受各部への付着状態は図28に示すようになった。
Figure 0004948255
この試験により、従来の保持器Hrを組み込んだ軸受の場合、内輪シール溝Hr1aにグリースGが付着するが、本発明の保持器4を組み込んだ転がり軸受では、内輪シール溝にグリースが付着しないことが判った。このため、シールを設けた転がり軸受において、呼吸による内輪シール溝の部分からのグリースの漏洩を防止できるということが推論される。
次に、接触形のシール(エヌティエヌ株式会社製LUシール)を組付けた軸受を用いて、グリース漏れ頻度の確認試験を行った。試験条件は、表3の条件に対して運転時間のみを15分に変更した。目視により30〜100mg程度の量のグリースが軸受外部に飛び出していると確認された場合に、グリース漏れがあるとした。試験結果は表4に示すようになった。
Figure 0004948255
従来の保持器Hrを組み込んだ軸受では10個中9個のグリース漏れが発生したが、本発明の保持器4を組み込んだ軸受では10個中グリース漏れが発生したものはなかった。これにより、前記推論が正しいことが立証された。
上記実施形態では保持器4Bを構成する2枚の環状部材64を鉄板製としたが、環状部材64を樹脂製としてもよい。その場合、図24および図25に示す保持器4Cのように、結合板部64bに係合爪66と係合孔67とを設け、両者66,67を互いに嵌合させることにより、2枚の環状部材64を結合する構成とすることができる。この場合も、ポケット4Caのある円周方向部分の内径の保持器中心からの半径Rpをポケット4Ca間の円周方向部分の内径の保持器中心からの半径Riよりも大きくする(Rp>Ri)。また、2枚の樹脂製の環状部材64を接着剤等により接合してもよい。
保持器に使用される合成樹脂材料としては、例えばPA66、PA46等のポリアミド樹脂やポリフェニルサルファイド樹脂が好適であり、さらに必要に応じてグラスファイバ等の強化繊維材を混入してもよい。
また、2枚の環状部材64を結合して1個の保持器とする構成に限らず、鋼材から所定の形状に削り出すもみ抜き保持器としてもよく、あるいは樹脂材料で一体に成形した成形保持器としてもよい。
図26は異なる実施形態を示す。この保持器4Dは、ポケット4Daのある円周方向部分の内周面4Dbの形状が、軸方向から見て多角形状とされている。具体的には、前記内周面4Dbは、ポケット4Da間の円周方向部分の内周面4Dcに対し外径側へ傾斜する一対の傾斜面部4Dbaと、両端がこれら一対の傾斜面部4Dbaの外径側端に連なり内径が一定な一定径面部4Dbbとで成る台形状をしている。この保持器4Dも、前記実施形態の保持器4B,4Cと同様、ポケット4Daのある円周方向部分の内周面4Dbが外径側に凹む形状となるよう傾斜したものであり、ポケット4Daのある円周方向部分の内径の保持器中心からの半径Rpがポケット4Da間の円周方向部分の内径の保持器中心からの半径Riよりも大きくなっている(Rp>Ri)。
このようにポケット4Daのある円周方向部分の内周面4Dbの形状を軸方向から見て多角形状とした保持器4Dも、前記実施形態の保持器4B,4Cと同様、全体の強度低下が生じることがなく、かつ図1のように転がり軸受に組み込んだ場合に、軸受の内輪シール溝の部分からのグリースの漏洩を防止できる。
なお、ポケット4Daのある円周方向部分の内周面4Dbを複数の角部を有する多角形状とする場合、その角部の数は特に限定しない。また、径方向の直線に対して非対称な形状であってもよい。さらに、ポケット4Daのある円周方向部分の内周面4Dbは、平面と曲面を組み合わせたものであっても良い。
要するに、本発明は、材質や加工方法については問わず、ポケットのある円周方向部分の内径の保持器中心からの半径がポケット間の円周方向部分の内径の保持器中心からの半径よりも大きいという条件を満たす形状の保持器に適用できるものである。
以上説明したように、転がり軸受において、この軸受に組み込まれる前記保持器は、ポケットのある円周方向部分の内径の保持器中心からの半径を、ポケット間の円周方向部分の内径の保持器中心からの半径よりも大きくしたことにより、内輪肩部や内輪シール溝にグリースが付着し難くなる。このことは、特に外輪回転時に特徴的に現れる。これにより、シールが接触形、非接触形のいずれの場合にも、グリースの漏洩を防止できる。すなわち非接触形のシールを適用することが可能となり、低トルク化を図ることが可能となる。また、シールリップの緊迫力を強くする必要がないため、トルクが増大しない。ポケットのある円周方向部分の内径面が、軸方向から見て凹曲線となる曲面形状、および複数の角部を有する多角形状のいずれの場合でも、上記の各作用が得られる。
上記保持器4B,4C,4Dの少なくともいずれか一つと、上記グリース組成物とを転がり軸受に適用することにより、水素脆性がない状態で軸受が運転可能でかつ、グリース漏れもないため、封入したグリースの持つ潤滑寿命特性が十分に発揮される。さらに、グリース漏れによる、エンジン補機用ベルトへの浸食やすべりによる異音等の外部汚染問題も解消される。
ここで、図29は、この発明の一実施形態にかかる軸受をアイドラプーリに設けた断面図である。この実施形態では、軸Shの外周に同軸受を嵌合し、この軸受によりプーリPLを回転自在に支持している。このアイドラプーリ用軸受によると、前述の保持器を設けると共に上記グリース組成物を封入したことにより、水素脆性がない状態で軸受が運転可能でかつ、グリース漏れもないため、封入したグリースの持つ潤滑寿命特性が十分に発揮される。また、軸受の長寿命化等を図ることができる。
図30は、この発明の一実施形態にかかる軸受をオルタネータに設けた断面図である。この実施形態では、オルタネータONTにおいて、オルタネータ用軸受NN1,NN2にシャフトSh1が挿入され、突き出た端部にプーリPLが取り付けられている。プーリ1PLには、図示していない伝動ベルトが掛けられる係合溝PL1が設けられる。このオルタネータ用軸受NN1,NN2によると、前述の保持器を設けると共に上記グリース組成物を封入したことにより、水素脆性がない状態で軸受が運転可能でかつ、グリース漏れもないため、封入したグリースの持つ潤滑寿命特性が十分に発揮される。また、軸受の長寿命化等を図ることができる。
この発明の一実施形態にかかる転がり軸受の断面図である。 この実施形態の保持器の斜視図である。 同保持器の構成部材である保持器半体の斜視図である。 同保持器半体の一部につきポケット形状を単純化して示す部分拡大斜視図である。 (A)は同保持器半体における球殻状板部の内面の一例を強調して示す部分拡大斜視図、(B)は同斜視図に仮想円筒を加えた状態を示す斜視図である。 (A)は同保持器半体における球殻状板部の内面の他の一例を強調して示す部分拡大斜視図、(B)は同斜視図に仮想円筒を加えた状態を示す斜視図である。 (A)は同保持器半体における球殻状板部の内面のさらに他の一例を強調して示す部分拡大斜視図、(B)は同斜視図に仮想多角柱を加えた状態を示す斜視図である。 (A)は同保持器半体における球殻状板部の内面のさらに他の一例を強調して示す部分拡大斜視図、(B)は同斜視図に仮想円筒を加えた状態を示す斜視図である。 同球殻状板部と仮想リングの関係を断面で示す説明図である。 この実施形態の保持器の製造工程を示す説明図である。 同製造工程に用いられるプレス金型組の斜視図である。 図5に示す構造の保持器を組み込んだ転がり軸受のグリース漏れ試験の結果の説明図である。 図6に示す構造の保持器を組み込んだ転がり軸受のグリース漏れ試験の結果の説明図である。 一般的な鉄板打ち抜き保持器を組み込んだ玉軸受のグリース漏れ試験の結果の説明図である。 この実施形態の保持器が適用可能な樹脂製保持器の分解斜視図である。 同樹脂製保持器の断面図である。 この発明の他の実施形態に係る保持器を組み込んだ転がり軸受の一部破断斜視図である。 同保持器の保持器半体における球殻状板部を示す部分拡大斜視図である。 同実施形態の保持器を内輪に組み込んだ組立体を示す平面図である。 同保持器の保持器半体における球殻状板部の変形例を示す部分拡大斜視図である。 この発明の一実施形態にかかる転がり軸受に組み込まれた保持器の正面図である。 図21のA―A断面図である。 同保持器を組み込んだ玉軸受に対して行った試験結果を示す図である。 異なる保持器の正面図である。 同保持器の環状部材の要部を示す分解斜視図である。 この発明の異なる実施形態にかかる保持器の正面図である。 従来の保持器の正面図である。 同保持器を組み込んだ玉軸受に対して行った試験結果を示す図である。 この発明の一実施形態にかかる軸受をアイドラプーリに設けた断面図である。 この発明の一実施形態にかかる軸受をオルタネータに設けた断面図である。
符号の説明
1…内輪
2…外輪
3…玉
4,4A,4B…保持器
4Ba…ポケット
5…シール部材
50…ポケット
54,54A,54B…凹み部
Gs…グリース組成物
PCD…玉配列ピッチ円
Ri,Rp…半径

Claims (4)

  1. 内外輪間に介在する複数の玉が保持器に保持され、これら内輪および外輪の間の軸受空間にグリース組成物を封入し、前記外輪または内輪に設けたシール部材で前記軸受空間を塞ぐ転がり軸受において、
    前記グリース組成物は、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなり、前記添加剤は、アルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を含有し、このアルミニウム系添加剤の配合割合はベースグリース100重量部に対して0.05重量部以上10重量部以下であり、
    前記保持器は、複数の玉をそれぞれ保持するポケットを円周方向の複数箇所に有し、各ポケットの内面を、玉配列ピッチ円よりも内径側の部分が、保持器内径側開口縁に近づくに従って小径となる凹曲面状としたリング状の保持器であって、前記各ポケットの内面に、保持器内径側の開口縁から保持器外径側に延びる凹み部を設け、前記アルミニウム化合物は、炭酸アルミニウムまたは硝酸アルミニウムから選ばれた少なくとも一つの化合物であることを特徴とする転がり軸受。
  2. 内外輪間に介在する複数の玉が保持器に保持され、これら内輪および外輪の間の軸受空間にグリース組成物を封入し、前記外輪または内輪に設けたシール部材で前記軸受空間を塞ぐ転がり軸受において、
    前記グリース組成物は、基油と、増ちょう剤とからなるベースグリースに添加剤を配合してなり、前記添加剤は、アルミニウム粉末およびアルミニウム化合物から選ばれた少なくとも一つのアルミニウム系添加剤を含有し、このアルミニウム系添加剤の配合割合はベースグリース100重量部に対して0.05重量部以上10重量部以下であり、
    前記保持器は、複数の玉をそれぞれ保持するポケットを円周方向の複数箇所に有し、前記ポケットのある円周方向部分の内径の保持器中心からの半径を、ポケット間の円周方向部分の内径の保持器中心からの半径よりも大きくし、前記アルミニウム化合物は、炭酸アルミニウムまたは硝酸アルミニウムから選ばれた少なくとも一つの化合物であることを特徴とする転がり軸受。
  3. 請求項1または請求項2において、前記増ちょう剤は、ウレア系増ちょう剤である転がり軸受。
  4. 請求項1ないし請求項のいずれか1項において、前記基油は、アルキルジフェニルエーテル油およびポリ-α-オレフィン油から選ばれた少なくとも一つの油である転がり軸受。
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