[第1実施形態]
以下、図面を参照して、いわゆる山登りAF機能を有するカメラを例にして、本発明の第1実施形態に係るカメラの焦点状態表示装置を説明する。
まず、図1に示すブロック図を参照して、本第1実施形態に係るカメラの焦点状態表示装置の主要な構成を説明する。なお、動作制御の詳細は、他の図面を参照して後述する。
参照符号1が付されているのは、本第1実施形態に係るカメラの焦点状態表示装置が搭載されたカメラの撮影レンズを介して被写体像を結像し、且つ該結像した被写体像を光電変換により映像信号に変換する撮像部である。そして、この撮像部1は、上記映像信号を後述する合焦評価値演算部2へ出力する。
上記合焦評価値演算部2は、上記撮像部1から出力される上記映像信号に基づいて、現在時点における上記被写体像の合焦度合いを評価する合焦評価値を算出する。
また、ピーク検出部3は、上記合焦評価値演算部2から出力される上記合焦評価値を参照して、上記合焦評価値がその変化過程においてピーク値を通過したことを検出する部材である。すなわち、上記ピーク検出部3は、当該カメラのユーザーにより行われる撮影レンズの駆動(合焦操作)に起因する上記合焦評価値の変化過程において、上記合焦評価値がピーク値を通過したことを検出する。
ここで、合焦メーター作成部5が、上記合焦評価値演算部2から出力される上記合焦評価値に基づいて、上記合焦評価値を視覚的に表現する合焦メーター画像を作成する。なお、上記合焦メーター画像とは、上記AF合焦評価値を図形形状にて表現したものであり、その内部に表示バー等の表示図形を有する。なお、上記合焦メーター画像の詳細は、具体例を挙げて後述する。また、上記合焦メーター作成部5は、上記ピーク検出部3から出力される上記合焦評価値がピーク値を通過した旨の信号に従って、上記合焦メーター画像の表示スケールを変更する。なお、該表示スケールについては後に詳述する。
さらに、メーター形態制御部4が、上記ピーク検出部3が出力する上記合焦評価値のピーク検出に関する情報に基づいて、上記合焦メーター作成部5が作成する上記合焦メーターにおける上記表示バー等の表示形態、及び後述するピークホールド表示の有無等を指示する信号を生成して上記合焦メーター作成部5へ出力する。
そして、表示部6が、上記撮像部1から出力される上記映像信号と、上記合焦メーター作成部5から出力される上記合焦メーター画像とを合成して、該合成により作成した画像を例えばLCD等からなるモニタ7に出力する。すなわち、該モニタ7は、上記表示部6により生成された画像を表示する為の部材である。
図2は、本第1実施形態に係るカメラの焦点状態表示装置を搭載されたカメラの構成を詳細に示したブロック図である。以下、同図を参照して、通常のカメラで行われるAFを例に、当該カメラの構成部材を詳細に説明する。
なお、図1のブロック図に示す焦点状態表示装置の構成部材と、図2のブロック図に示すカメラの構成部材との対応は以下の通りである。すなわち、上記撮像部1による機能は、例えば図2に示す撮影光学系102、絞り104、シャッター部208、撮像素子212、及び撮像インターフェイス回路217により担われる。また、上記合焦評価値演算部2による機能、上記ピーク検出部3による機能、上記メーター形態制御部4による機能、上記合焦メーター作成部5による機能、及び上記表示部6による機能は、例えば図2に示す画像処理コントローラ218及びバッファメモリ219により担われる。そして、上記モニタ7による機能は、例えば図2に示す液晶モニタ222により担われる。
なお、上記撮像部1、上記合焦評価値演算部2、ピーク検出部3、合焦メーター作成部5、及び表示部6は、後述するボディ制御用マイクロコンピュータ(以下、Bucomと称する)201により、それぞれにおける処理を順次実行するよう画像処理コントローラ218及びバッファメモリ219に指示が出される。
まず、図2に示すように、本第1実施形態に係るカメラの焦点状態表示装置を搭載されたカメラは、レンズ鏡筒100とカメラ本体200とから構成されている。
ここで、上記レンズ鏡筒100の各部の制御はレンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、Lucomと称する)101によって行われる。一方、上記カメラ本体200の各部の制御はBucom201によって行われる。ここで、上記カメラ本体200にレンズ鏡筒100が装着された際には、通信コネクタ101aを介してLucom101とBucom201とが通信可能に接続される。この場合、カメラシステムとして、Lucom101がBucom201に従属するようにして稼動するようになっている。
上記レンズ鏡筒100の内部には、撮影光学系102が配設されている。ここで、図2においては、該撮影光学系102を構成する複数の光学レンズ(撮影レンズ)を1つの光学レンズで代表して図示している。この撮影光学系102は、レンズ駆動機構103内に存在する図示しないDCモータにより、その光軸方向に移動される。
また、上記撮影光学系102の後方には絞り104が設けられている。この絞り104は、絞り駆動機構105内に存在する図示しないステッピングモータによって開閉駆動される。上記絞り104の開閉が制御されることによって、上記撮影光学系102を介してカメラ本体200に入射する被写体からの光束の光量が制御される。
ここで、上記レンズ駆動機構103内のDCモータの制御及び上記絞り駆動機構105内のステッピングモータの制御は、Bucom201の指令を受けたLucom101によって行われる。また、上記レンズ鏡筒100の外周に設けられた回転可能な部材であるピントリング106がユーザーにより回転させられると、該回転に同期して上記レンズ駆動機構103により上記撮影光学系102が駆動される。すなわち、上記ピントリング106は、ユーザーによるマニュアルフォーカスの為の部材である。
また、カメラ本体200の内部には、メインミラー202a、ペンタプリズム202c、接眼レンズ202dから構成されるファインダー装置が設けられている。カメラが通常状態にある場合には、上記撮影光学系102を介して入射した被写体からの光束の一部がメインミラー202aで反射される。これによって、ペンタプリズム202c、及び接眼レンズ202dを介して観察用の像が形成される。
ここで、上記ペンタプリズム202cの近傍には測光回路204が設けられており、ペンタプリズム202cを通過した光束の一部が、上記測光回路204内の図示しないホトセンサに入射するようになっている。上記測光回路204では、ホトセンサで検出された光束の光量に基づき周知の測光処理が行われる。そして、上記測光回路204で処理された結果は、Bucom201に送信される。
Bucom201では、上記測光回路204から入力された結果に基づいて撮影時の露光量が演算される。この結果は、Bucom201からLucom101に送信される。Lucom101では、Bucom201から通知された露光量に基づいて上記絞り104の駆動制御が行われる。
なお、上記メインミラー202aを透過して上記サブミラー203で反射された光束は、自動焦点調節処理(AF処理)を行うためのAFセンサユニット205に導かれる。該AFセンサユニット205の内部には、エリアセンサ(不図示)が設けられており、このエリアセンサに入射した光束は、電気信号に変換される。
このエリアセンサからの出力は、AFセンサ駆動回路206を介してBucom201へ送信される。そして、Bucom201において測距処理が行われ、焦点調節に必要な撮影光学系102の焦点状態(デフォーカス量)が演算される。そしてこの演算結果は、Bucom201からLucom101に送信される。Lucom101では、Bucom201から通知された移動量に基づいて撮影光学系102の駆動制御が行われる。
ところで、当該カメラが撮影動作状態にあるときには、上記メインミラー202aが、撮影光学系102の光軸から退避する所定のアップ位置に移動される。このようなメインミラー202aの駆動は、ミラー駆動機構207によって行われる。また、ミラー駆動機構207の制御は、Bucom201によって行われる。ここで、メインミラー202aがアップ位置に移動された場合には、それに伴ってサブミラー203が折り畳まれるようになっている。
このように上記メインミラー202aがアップ位置に移動されることによって、上記撮影光学系102を透過した被写体からの光束は、シャッター部208の方向に入射する。上記シャッター部208を通過した光束は、その後上記シャッター部208の後方に配置された撮像素子212に入射する。なお、上記シャッター部208は先幕と後幕とから構成されるフォーカルプレーン式のシャッターである。ここで、上記先幕及び後幕を駆動するためのばね力は、シャッターチャージ機構209によってチャージされる。また、上記先幕及び後幕の駆動は、シャッター制御回路210によって行われる。なお、上記シャッターチャージ機構209及び上記シャッター制御回路210は、Bucom201によって制御される。
そして、上記撮像素子212で結像した被写体像の光束は、電気信号(映像信号)に変換される。そして、該電気信号は、所定タイミング毎に撮像インターフェイス回路217を介して読み出されてデジタル化される。そして、該撮像インターフェイス回路217でデジタル化されて得られた画像データは、画像処理コントローラ218を介してSDRAMなどで構成されたバッファメモリ219に格納される。ここで、該バッファメモリ219は、画像データなどのデータの一時保管用メモリであり、画像データに各種処理が施される際のワークエリアなどに利用される。また、上記バッファメモリ219は、図1における上記合焦評価値演算部2、上記ピーク検出部3、上記合焦メーター作成部5、及び表示部10により実行される処理に関するデータを一時的に記憶する為のメモリである。
その後、撮像インターフェイス回路217を介して読み出されバッファメモリ219に格納された上記画像データが、画像処理コントローラ218によって読み出される。該画像処理コントローラ218によって読み出された画像データは、ホワイトバランス補正や、階調補正、色補正などの周知の画像処理が施された後、上記バッファメモリ219に格納される。そして、画像記録時には、上記画像処理コントローラ218によって処理された画像データが、JPEG方式などの周知の圧縮方式によって圧縮される。このJPEG圧縮によって得られたJPEGデータは、上記バッファメモリ219に格納された後、所定のヘッダ情報が付加されたJPEGファイルとしてFlashRom220や記録メディア221に記録される。
ここで、上記FlashRom220はカメラに内蔵のメモリを想定しており、上記記録メディア221はカメラの外部に装着され得るものを想定している。また、上記記録メディア221としては、例えばカメラに着脱自在に構成されたメモリカードやハードディスクドライブなどが用いられる。
また、上記FlashRom220や上記記録メディア221に記録されたJPEGファイルから画像を再生する際には、上記FlashRom220や上記記録メディア221に記録されたJPEGデータが、上記画像処理コントローラ218によって読み出されて伸長される。その後、この伸長データがビデオ信号に変換された後、表示用の所定のサイズにリサイズされ、上記液晶モニタ222に出力表示される。
また、Bucom201には、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する不揮発性メモリ223がアクセス可能に接続されている。この不揮発性メモリ223は、例えば書き換え可能なEEPROMで構成されている。さらに、Bucom201には、電源回路224を介して電源としての電池225が接続されている。該電池225の電圧は、上記電源回路224により、当該カメラシステムの各部が必要とする電圧に変換され、当該カメラシステムの各部に供給される。
そして、Bucom201には、当該カメラの動作状態を表示出力によってユーザーに告知するための動作表示用LCD226と、当該カメラの各種操作部材の操作状態を検出するためのカメラ操作SW(カメラ操作スイッチ)227とが接続されている。
ところで、当該カメラにおいて電子ビューファインダー(EVF)表示が行われる時には、上記撮像インターフェイス回路217を介して読み出され、上記バッファメモリ219に格納された画像データが、上記画像処理コントローラ218によって読み出される。該画像処理コントローラ218によって読み出された画像データは、EVF表示用のホワイトバランス補正などの画像処理が施された後、上記バッファメモリ219に上記読み出した画像データとは別に格納される。その後、上記バッファメモリ219に格納された画像データは、フレーム単位で画像処理コントローラ218によって読み出されてビデオ信号に変換される。このビデオ信号は、表示用の所定のサイズにリサイズされた後、表示手段としての液晶モニタ222に出力表示される。ユーザーは、この液晶モニタ222に表示される画像により、撮影画像を確認することができる。
上述のようなEVF表示の動作制御を行えば、一般にスルー画像と称される表示を行うことができる。なお、スルー画像の表示を行うには、通常以下のような動作制御を行う。すなわち、まず上記メインミラー202aをアップ位置まで移動し、シャッター部208を開口する。これにより上記撮影光束は、直接に上記撮像素子212に入射する。その後、所定のフレームレート(1秒間の撮影画像数)での撮影で撮像素子212が撮像して取得した画像データを、上記画像処理コントローラ218によって読み出し液晶モニタ222に表示する。ユーザーは、この液晶モニタ222におけるスルー画像表示を観察することで、接眼レンズを覗かなくても被写体像を観察できる。
以下、本第1実施形態に係る合焦状態表示装置を搭載したカメラの背面図を示す図3を参照して、当該カメラにおけるユーザーが用いる各種操作部材について説明する。
同図に示すように当該カメラ11の背面には、メインダイヤル316と、AFフレームボタン317と、AEロックボタン318と、再生モードボタン319と、消去ボタン320と、プロテクトボタン321と、情報表示ボタン322と、メニューボタン323と、十字ボタン324と、OKボタン325と、ライブボタン326とが設けられている。そして、当該カメラ11の上面にはモードダイヤル303が設けられている。以下、それぞれの部材について順次説明していく。
まず、上記メインダイヤル316は、回転操作されることにより、現在ユーザーによって押されている操作部材に係る機能の設定変更を行う為の部材である。
上記モードダイヤル303は、各種撮影モードを設定する為の部材である。ここで該各種撮影モードの一例としてシーンモード(SCN)を挙げて、上記モードダイヤル303を説明する。すなわち、上記モードダイヤル303がSCNに設定されている状態で、上記メインダイヤル316がユーザーにより回転操作されることで、液晶モニタ222には所望のシーンに応じた撮影条件の設定に関するメニュー画面が表示される。ここで、上記所望のシーンとしては、例えばポートレート、スポーツ、記念撮影、風景、夜景のシーン等がある。そして、これらのうちユーザーにより選択されたシーンに応じて、露光、フラッシュ発光、測光モード、AF方式、連写間隔等の撮影時における各種撮影条件が設定される。
上記AFフレームボタン317は、撮影時のAF方式を選択するためのボタンである。このAFフレームボタン317が押されている状態で、メインダイヤル316のダイヤル操作がなされることにより、AF方式が、例えばマルチAF又はスポットAFに変更される。
なお、上記マルチAFでは、画面内の複数測距点の焦点状態が検出される。一方、スポットAFでは、画面内の一点(複数候補の中から選択できる)の焦点状態が検出される。
上記AEロックボタン318は、露光条件を固定するためのボタンである。このAEロックボタン318が押されている間は、そのとき演算されている露光量が固定される。
上記再生モードボタン319は、カメラ11の動作モードを、FlashRom220や記録メディア221に記録されたJPEGファイルから画像を液晶モニタ222に再生表示できる再生モードに切り替えるためのボタンである。
上記消去ボタン320は、再生モード中において画像データ(JPEGファイル)をFlashRom220や記録メディア221から消去するためのボタンである。
上記プロテクトボタン321は、再生モード中において、誤って画像データが消去されないように、画像データにプロテクトをかけるためのボタンである。
上記情報表示ボタン322は、画像データの付加情報(例えば、Exif情報)に基づく画像情報を液晶モニタ222に表示させるためのボタンである。
上記メニューボタン323は、液晶モニタ222にメニュー画面を表示させるためのボタンである。このメニュー画面は、複数の階層構造からなるメニュー項目によって構成されている。ユーザーは、所望のメニュー項目を十字ボタン324で選択することができ、OKボタン325で選択した項目を決定することができる。ここで、メニュー項目としては、例えばFlashRom220や記録メディア221のセットアップ、画像データの画質、画像処理、シーンモードなどの設定を行うことができる撮影メニュー、画像再生時の再生条件及び画像プリント時の設定などを行うことができる再生メニュー、撮影者の好みに応じた種々の細かい設定を行うことができるカスタムメニュー、及び警告音の種類などのカメラの動作状態を設定するセットアップメニュー等がある。
上記ライブボタン326は、上述したスルー画像の表示を行うモードを選択する為のボタンである。以降、スルー画像の表示を行うモードを、ライブビューモードと称する。上記ライブボタン326がユーザーにより押されると、液晶モニタ222におけるスルー画像の表示が開始される(上記ライブビューモードに入る)。その後、再度ライブボタン326が押されると、ライブビューモードから抜け出る。なお、上記ライブビューモード中においては、上記メインミラー202aが上記のアップ位置にある為、AFセンサユニット205には光束が入射しない。すなわち、この場合には、AF動作は不可能となる。したがって、ライブビューモードに入ると、上記Bucom210によりAF動作状態からMF動作状態に切り替えられる。
なお、ユーザーにより上記の各操作部材の操作で設定された内容は、上記バッファメモリ219又はBucom201内の不図示のメモリ等に保存される。
以下、図4(a)乃至(c)を参照して、本第1実施形態に係る合焦状態表示装置による実際の合焦状態表示場面を説明する。
まず、上述したように、ユーザーにより上記ライブボタン326が押されると、当該カメラはライブビューモードに入る。このとき、上記液晶モニタ222においては、被写体のスルー画像の表示が開始される。
また、当該カメラがライブビューモードに入ると図4(a)に示すように、上記液晶モニタ222の表示画面内に拡大領域を指定する上記拡大ボックス230が表示される(図4(a)においては被写体の描写は省略している)。
ここで、図4(a)及び(b)に示す拡大ボックス230は、図4(a)に示すように、上記液晶モニタ222上のユーザー所望の領域へ移動可能な表示である。したがって、ユーザーは、拡大表示させたい部分の画像を含む所望の領域に、上記拡大ボックス230を重ね合わせて選択する。なお、上記拡大ボックス230の移動は、ユーザーによる上記十字ボタン324の操作により行われる。すなわち、ユーザーによる上記十字ボタン324の操作で、上記拡大ボックス230は、上記液晶モニタ222の表示画面内のユーザー所望の位置に移動させられる。その後、ユーザーによる上記OKボタン325の操作により、上記拡大ボックス230が重ね合わされた領域の拡大表示が上記液晶モニタ222上に為される(図4(c)参照)。
このように、上記ライブビューモードにおいては、ユーザーは任意の領域を拡大表示させることができる。なお、このような任意の領域の拡大表示の目的は、MF時のユーザーによるピントを合わせを容易にする為である。以下、時系列に沿って説明する。
ここで、図4(b)及び(c)に示すように、例えば被写体231における頭部を含む領域を拡大表示させる場合には、ユーザーによる上記十字ボタン324の操作により被写体231における頭部を含む領域に上記拡大ボックス230が合わせられ、その後上記OKボタン325が押されることで、図4(c)に示すように、被写体231における頭部の領域が液晶モニタ222上に拡大表示される(拡大モードに移行する)。以降、図4(c)に示すように拡大表示を行うモードを拡大モードと称する。このようにして、ユーザーにより位置を設定された上記拡大ボックス230の領域内の画像(図4(b)参照)は、図4(c)に示すように上記液晶モニタ222の表示画面全域を使用した拡大表示が為される。
ここで、上記拡大モードにおいては、上記拡大ボックス230内の領域の画像(本例では被写体231の頭部の画像)が液晶モニタ222上に拡大表示される。そして、該液晶モニタ222における中心から上下左右方向に表示画面全体の50%の領域は合焦評価値演算領域232とされる。すなわち、合焦評価値演算領域232における合焦評価値が、所定のフレームレートおきに演算される。
そして、上記合焦評価値演算領域232において演算された合焦評価値は、例えば図4(c)に示すように液晶モニタ222上の表示画面右側における合焦メーター240内に、表示バー241として表示される。ここで、上記表示バー241の長さが長いほど合焦評価値が高く(合焦度合いが高い)、上記表示バー241の長さが短いほど合焦評価値が低い(合焦度合いが低い)。なお、ここでは拡大モード時のみ合焦評価値の表示バー241を表示するようにしているが、図4(b)に示す非拡大モード時においても同様に、上記合焦メーター240及び上記表示バー241を表示させるようにしても勿論よい。
なお、上記合焦評価値を上記合焦メーター240内の上記表示バー241として表現する為の演算については後述する。
以下、上記ライブビューモードでの撮影動作におけるBucom201での動作制御の処理の流れを、図5(a)に示すフローチャートを参照して説明する。なお、当該カメラの構成部材の詳細な動作制御は図2を参照して上述した通りであるので、ここでは上記処理の流れを中心に説明する。
また、当該カメラにおけるレリーズスイッチ(不図示)は一般的な2段階スイッチである。すなわち、ユーザーにより半押しされることで第1レリーズスイッチがオンとなり、全押しされることで第2レリーズスイッチがオンとなる。なお、撮影動作は、上記第2レリーズスイッチがオンになった時に実行される。
まず、上述したライブビューモードへの移行操作が行われると(ユーザーにより上記ライブボタン326が押されると)、当該カメラはライブビューモードに入る。このとき、図4(a)乃至(c)を参照して前述した一連の処理がユーザー操作によって行われる。これは、本発明の要旨ではないので、この詳細は省略する。このようなライブビューモードの前段階の処理が行われた後、図5(a)に示すフローチャートの処理に移行する。
まず、本第1実施形態に係る合焦状態表示装置におけるライブビューモードの動作を行い、上記液晶モニタ222に、被写体のスルー画像の表示が開始される(ステップS1)。ここで、このステップS1に関しては、後に別のフローチャートを参照して詳述する。このステップS1におけるライブビューモード動作中に、不図示のレリーズボタンがユーザーにより全押しされると、上記第2レリーズスイッチがオンされる。これにより、上記ステップS1におけるライブビューモード動作の処理を終了する。そして、上記メインミラー202aを、上記アップ位置から、図2に示す上記メインミラー202aの位置であるダウン位置(初期位置)まで、上記ミラー駆動機構207を介して駆動する(ステップS2)。このステップS2は、測光動作を実行する為のステップである。
次に、上記測光回路204で測光を行い、上記シャッター部208の開口時間及び上記絞り104の絞り値を演算する(ステップS3)。そして、上記メインミラー202aを、ミラー駆動機構207で、上記アップ位置まで駆動する(ステップS4)。さらに、上記ステップS3にて算出した絞り値に基づいて、上記絞り104を駆動する(ステップS5)。
その後、上記撮像素子212の駆動を開始し、撮像動作を開始させる(ステップS6)。また、上記シャッター部208を、上記ステップS3で算出した開口時間に基づいて開口させ、再び閉口させる(ステップS7)。上記シャッター部208を閉口した後、上記撮像素子212の駆動を停止し、上記撮像インターフェイス回路217で、上記撮像素子212における画素データの読み出しを行う(ステップS8)。ここで、上記画像処理コントローラ218で、上記ステップS8にて上記撮像素子212から読み出した画素データを、画像処理する(ステップS9)。
そして、上記ステップS9で画像処理された画像データを、上記バッファメモリ219に一時的に格納する(ステップS10)。さらに、上記絞り104を開放位置まで戻す(ステップS11)。その後、当該画像データの画像ファイルを生成する(ステップS12)。このステップS12においては、上記ステップS10で上記バッファメモリ219に一時的に格納した画像データを上記記録メディア221へ書き込む形態として、当該画像データの画像ファイルを生成する。そして、上記ステップS12で生成した画像データの画像ファイルを記録メディア221へ記録する(ステップS13)。その後上記ステップS1に戻ってライブビューを再開する。
以下、ライブビューモードの動作を終了する場合のBucom201での処理の流れを示すフローチャートである図5(b)を参照して、ライブビューモードの終了動作を説明する。なお、上記ステップS1におけるライブビューモード動作中に、ユーザーにより上記ライブボタン326が押されることで、図5(b)に示すフローチャートの処理に移行する。
まず、上記液晶モニタ222におけるライブビュー表示を終了する(ステップS21)。つづいて、ライブビューモード中に設定されているMF動作状態を解除し、ライブビューモード以前に設定されていたAF動作状態に設定し直す(ステップS22)。
そして、開口している上記シャッター部208を閉口する(ステップS23)。さらに、この上記シャッター部208の閉口に伴って、上記撮像素子212の駆動を停止させる(ステップS24)。つづいて、上記メインミラー202aを、初期位置である上記ダウン位置まで駆動する(ステップS25)。その後、待機状態となる。
以下、図6を参照して、本第1実施形態に係る合焦状態表示装置の特徴部の一つである、マニュアルフォーカスの為の指標の表示例を説明する。ここで、図6(a)は、本第1実施形態における合焦評価値と撮影光学系102のレンズ位置との関係を示す図である。図6(b)は、図6(a)に示す移動(1)の過程の各レンズ位置における合焦評価値の表示の一例を示す図である。図6(c)は、図6(a)に示す移動(2)の過程における合焦評価値の表示の一例を示す図である。図6(d)は、上記移動(2)において、合焦点であるレンズ位置L4付近にて上記AFpeakよりもさらに高い合焦評価値が観測された場合の表示の一例を示す図である。
なお、図6(a)に示すように、拡大モードに切り替わった時点における合焦評価値を、AFstartと設定する。そして、この時の撮影光学系102のレンズ位置をレンズ位置L1とし、レンズ位置L1での合焦評価値AFstartは、かなり低い状態(かなりピンぼけした状態)であるとする。なお、拡大モードに切り替わった時から所定のフレームレートで合焦評価値演算が繰り返し行われる。
そして、図6(b)乃至(d)に示すように、本第1実施形態においては各レンズ位置における合焦評価値をそのまま表示バー241としてバー表示をし、且つ合焦評価値のその時点にまでにおけるピーク値をユーザーに対して明示する為に、ピークホールド表示242を同時に表示する。
まず、ユーザーにとっては、上記ピントリング106の回転操作により、上記撮影光学系102の位置を上記レンズ位置L2のレンズ位置から移動させる際に、最初どちらの回転方向に上記ピントリング106を回せば合焦状態に近付くのかが不明である。
したがって、ユーザーは、一旦何れか所望の方向に、上記ピントリング106を回転させて、上記撮影光学系102の位置を移動させることになる。例えば、ここで上記撮影光学系102の位置が、図6(a)に示すレンズ位置L1の位置の時よりもピンボケがひどくなってしまった場合には、合焦評価値がより低くなる方向に上記ピントリング106を回転させていることを意味する。したがって、このような場合には、ユーザーは、それまでとは逆方向に上記ピントリング106を回転させればよい。
そこで、ユーザーは、それまでとは逆方向に、上記ピントリング106を回転させると、上記撮影光学系102の位置はレンズ位置L1乃至レンズ位置L3を通過してレンズ位置L4の位置となり、該レンズ位置L4にて合焦評価値はピーク(最も合焦した状態)となる。すなわち、上記レンズ位置L4において、合焦評価値はピーク値(AFpeak)となる。
しかしながら、上記撮影光学系102の位置が上記レンズ位置L4となり、合焦評価値がピーク値となった場合でも、その時点ではその値がピーク値であるか否かは、ユーザーにとっては不明である。したがって、上記撮影光学系102の位置が上記レンズ位置L4となった後も、ユーザーは、上記ピントリング106の回転操作を続行すると考えられる。
そして、例えば上記撮影光学系102の位置がレンズ位置L5となると、上記レンズ位置L4の時点に比べて表示画像のピントがややボケる(上記レンズ位置L1から上記レンズ位置L5への上記撮影光学系102の移動過程を移動(1)と呼ぶ)。そこで、ユーザーは、合焦位置を通過したことを認識し、上記ピントリング106を逆回転させて上記レンズ位置L4の位置まで戻す操作を行う(上記移動(1)に対して上記撮影光学系102が逆方向へ移動する移動過程を移動(2)と呼ぶ)。
また、本第1実施形態においては、図6(a)乃至(d)に示すようにピークホールド表示242は二つの三角形のマーク及び一本のラインにて表したが、ピークホールドがユーザーに認識され得るものであればどのような形状としても勿論良い。すなわち、例えば単純に一本のラインでも、ピークホールド表示としての機能を果たし得る。
図6(b)に示す例のように、上記レンズ位置L1から上記レンズ位置L4まで撮影光学系102を移動する場合には、常に現在のレンズ位置にて合焦評価値はピーク値となるので、現在の合焦評価値が、ピークホールド表示242によりピーク値としてピークホールド表示される。そして、レンズ位置L4の位置を過ぎると、上記レンズ位置L4の位置における合焦評価値がピーク値であるAFpeakであるので、上記レンズ位置L4における合焦評価値がピークホールド表示242によりピーク値としてピークホールド表示される。
したがって、ユーザーは、上記ピークホールド表示242によって、常に合焦評価値のピーク値を認識し、上記レンズ位置L4に上記撮影光学系102のレンズ位置を合わせるよう、上記ピントリング106を回転させることができる。
図6(c)は、ユーザーが上記ピントリング106を回転させて上記移動(1)で上記撮影光学系102の位置を一旦レンズ位置L5の位置まで移動させた後、上記表示バー241及び上記ピークホールド表示242により既にピークを通過したことを認識し、今度は上記ピントリング106を逆回転させて上記レンズ位置L4のレンズ位置まで又はその先のレンズ位置まで、上記撮影光学系102を移動させる過程の、上記表示バー241の表示の一例を示している。
ここで、本第1実施形態においては、上記移動(2)の過程においてユーザーが上記表示バー241を上記ピークホールド表示242の位置に一致させるよう上記ピントリング106を回転させて上記撮影光学系102の位置を調節する際に、該調節中に上記撮影光学系102のレンズ位置が上記レンズ位置L4に一致したことを明確にユーザーに示すために、上記撮影光学系102のレンズ位置が上記レンズ位置L4に一旦一致した時点で表示バー241の表示形態を変更する。すなわち、合焦評価値がAFpeakの値に達した時点で表示バー241の表示形態を変更する。
これにより、上記移動(2)の過程におけるMFによる合焦調節のしやすさは格段に向上する。なお、図6(c)に示す例では、上記表示バー241の表示形態の変更は、上記表示バー241の表示色の変更としている(例えば、上記表示バー241の表示色が通常白色の場合に、上記のように撮影光学系102のレンズ位置がレンズ位置L4すなわち合焦点に一旦一致した時点で黒色に変更する)。
このように撮影光学系102のレンズ位置がレンズ位置L4すなわち合焦点に一致したことをユーザーに報知する手段としては、さまざまな変形例が考えられる。すなわち、ここでは上記表示バー241の表示色を変更する場合を示したが、上記表示バー241のテクスチャーパターンを変更(例えばストライプ状に変更)したり、別途合焦表示マークを設けて点灯表示させたり、音声による報知等さまざまな方法が考えられる。
ところで、上述したように上記表示バー241の表示形態を変更した後、ユーザーによる上記ピントリング106の更なる回転操作により、上記撮影光学系102のレンズ位置が上記レンズ位置L1の位置の方向に移動させられた場合(上記撮影光学系102のレンズ位置が上記レンズ位置L4から外れた場合)、上記ピークホールド表示242は上記レンズ位置L4における合焦評価値をAFpeakとして示したまま、上記表示バー241の表示形態は通常の表示形態、すなわち図6(b)に示す表示形態と同様の表示形態に戻す。これは、既に上記撮影光学系102のレンズ位置が合焦点にないことを考慮して、上記表示バー241の表示形態も通常の表示形態(図6(b)に示す表示形態)に戻すべきであるからである。なお、本例においては上記表示バー241の表示色を、黒色から白色に戻す。
図6(d)は、上記移動(2)において、合焦点であるレンズ位置L4付近にて上記AFpeakよりもさらに高い合焦評価値が観測された場合の表示例を示している。同図に示すように、上記AFpeakよりもさらに所定レベル以上高い合焦評価値が観測された場合には、該新しい合焦評価値のピーク値を新たにAFpeakとして扱う。
すなわち、例えば上記表示バー241の表示色の変更で合焦点をユーザーに報知する直前に新たなAFpeakが観測された場合、その時点で上記ピークホールド表示242の指し示す位置を更新する。これにより、合焦評価値のピーク値が変わったことがユーザーにより認識されなくとも、上記表示バー241を視認しているユーザーにより上記ピントリング106が再度逆方向に回転させられ、上記表示バー241の指し示す値が新たなAFpeakに一致すれば、合焦状態となり上記の合焦した旨の報知を行う。
一方、上記表示バー241の表示色の変更で合焦点をユーザーに報知した直後に新たなAFpeakが観測された場合、上記表示バー241の表示形態を通常の表示形態に戻し(本例においては上記表示バー241の表示色を、黒色から通常の表示色すなわち白色に戻し)、上記ピークホールド表示242の表示を新たなAFpeakに更新する。これにより、ユーザーは、合焦評価値のピーク値である上記AFpeakの値が更新されたことを認識することができるので、さらなる合焦調節を容易に行うことができる。
なお、合焦点であるレンズ位置L4付近にて上記AFpeakよりもさらに高い合焦評価値が観測される事態は、合焦評価値演算の繰り返しばらつき、被写体の微妙な移動、または手ぶれ等の要因が存在すれば容易に起こり得ることである。
以下、図7(a)乃至(f)を参照して、拡大モードでの実際の液晶モニタ222における表示の遷移を説明する。なお、図7(a)乃至(f)は、マクロ撮影でよく利用される被写体である花の中心部(おしべ及びめしべを含む)を被写体として、拡大モードで撮影する場合の液晶モニタ222における表示を示している。
まず、図7(a)は、被写体が完全にローコントラストである場合の液晶モニタ222における表示を示している。このような場合には、合焦評価値が非常に低い為、上記表示バー241の指し示す値は非常に低い値となっており、上記ピークホールド表示242は現状の上記表示バー241の上面を指し示している。
図7(b)は、被写体がまだ大ぼけ状態である場合の液晶モニタ222における表示を示している。このような場合、まだ上記表示バー241の指し示す値は低い値となっており、上記ピークホールド表示242は現状の上記表示バー241の上面を指し示している。なお、このときの撮影光学系102のレンズ位置は、例えば図6(a)及び(b)に示すレンズ位置L1に対応する。
そして、図7(c)は、図7(b)に示す状態にて、上記ピントリング106がユーザーにより合焦方向に更に回転させられ、合焦評価値がピーク値となるレンズ位置に上記撮影光学系102のレンズ位置が設定された時の、液晶モニタ222における表示を示している。この時、上記ピークホールド表示242は現状の上記表示バー241の上面を指し示す。このとき、ユーザーは、拡大表示された表示画像の合焦度合いから、このレンズ位置付近が合焦位置であることは認識出来るものの、まさにこのレンズ位置が合焦位置であるとは断定できない。なお、このときの撮影光学系102のレンズ位置は、例えば図6(a)及び(b)に示すレンズ位置L4に対応する。
その後、上記ピントリング106がユーザーによりさらに同一方向に回転させられると、上記撮影光学系102のレンズ位置は、合焦評価値がピーク値からやや低下する位置となる(図7(d)参照)。なお、このときの撮影光学系102のレンズ位置は、例えば図6(a)及び(b)に示すレンズ位置L5に対応する。この時、図7(d)に示すように、上記ピークホールド表示242は、図7(c)に示す時と同様の表示を保持する。したがって、ユーザーは上記表示バー241及び上記ピークホールド表示242を見て、既に合焦評価値がピーク値となるレンズ位置を過ぎたことを認識し、上記ピントリング106をそれまでとは逆方向に回転操作する。
そして、図7(d)に示す状態からユーザーにより上記ピントリング106が逆方向に回転操作され、合焦評価値がピーク値となる時のレンズ位置(図7(c)に示すレンズ位置)に上記撮影光学系102のレンズ位置が一致して合焦状態を得ている時、液晶モニタ222の表示は図7(e)に示すようになる。すなわち、上記表示バー241が、ユーザーによる上記ピントリング106の回転操作により、上記ピークホールド表示242の指し示す値と再び一致する位置に到達する。このとき、図7(e)に示すように、合焦状態となった旨をユーザーに報知する。ここでは、該報知の為に上記表示バー241の表示形態(本例では表示色)を変更する。なお、このときの撮影光学系102のレンズ位置は、例えば図6(a)及び(c)に示すレンズ位置L4に対応する。
なお、図7(e)に示すように上記表示バー241の表示形態(表示色)を変更してユーザーに合焦状態を得たことを報知した直後に新たなAFpeakが観測された場合には、液晶モニタ222には図7(f)に示すような表示を行う。すなわち、図7(f)に示すように、上記表示バー241の表示形態(表示色)を通常時の表示形態(表示色)に戻し、且つ上記ピークホールド表示242の指し示す位置を更新する。なお、このときの撮影光学系102のレンズ位置は、例えば図6(d)に示すレンズ位置L4に対応する。
以下、図8に示すフローチャートを参照して、ライブビューモードにおいて図6に示す合焦評価値を実際に表示する為の上記Bucom201での動作制御を説明する。なお、図8に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートにおけるステップS1の処理を詳細に示すフローチャートでもある。また、同フローチャート中において同じ処理を行うステップは、同じステップ番号を付して説明も省略する。
なお、ライブビューモードにおいてはAFモードは使用不能である。したがって、もしAFモードに切り替える為のAFモード選択スイッチ(不図示)によってAFモードが選択されている場合でも、まず強制的にMFモードに切り替える(ステップS31)。すなわち、まずステップS31における処理で、ライブビューモードを実行する為にMFモードに切り替える。
続いて、上記メインミラー202aを上記アップ位置まで移動し、シャッター部208を開口する(ステップS32)。これにより、該開口を通して、撮像素子212に全光束が入射するようになる。その後、合焦評価値が一旦ピーク値を越えたことを判断する為の指標であるピーク越えフラグflag_peakを0に初期化する(ステップS33)。なお、このピーク越えフラグflag_peakは上記ステップS33、後述するS46及びステップS51でセット又はクリアされるフラグである。
そして、同期信号の入力を待つ(ステップS34)。ここで該同期信号とは、上記撮像素子212を所定間隔おきに駆動して映像信号を得る為の信号である。例えばフレームレートが30フレーム/sである場合には、1秒間に30回映像信号を得るようなフレームレートである。すなわち、この場合33.33ms毎に同期信号が上記撮像インターフェイス回路217より入力されることとなる。
その後、上記同期信号の入力があったと判断した場合には、上記撮像インターフェイス回路217で上記撮像素子212の電荷蓄積動作を行う(ステップS35)。そして、上記撮像素子212の電荷蓄積動作を終了すると、上記撮像インターフェイス回路217によって画像データの読み出しを行う(ステップS36)。
さらに、今回の撮像データに公知の演算を施して露出を評価するAE評価値を演算し、該演算結果に基づいて、次回の撮像素子212駆動時の露光量を演算する(ステップS37)。なお、上記撮像素子212は公知の電子シャッター機能を搭載しており、上記撮像素子212の電荷蓄積時間は、上記ステップS37において算出した露光量に基づいて、同ステップにて設定する。
続いて、設定エリア(ここで該設定エリアとは図4(c)に示す上記合焦評価値演算領域232のこと;以下同様)内の合焦評価値を演算し、その値をAFnowとする。(ステップS38)。なお、合焦評価値は、撮像素子212の出力にハイパスフィルタ処理を施して高周波成分を抽出し、更に公知の演算を行うことによって得られる値であり、従来よりさまざまな演算式が知られている。また、この合焦評価値は、ピントが合うほど高周波成分が多くなるので大きな値になる。
そして、上記合焦メーター240における上記表示スケールが決定済みであるか否かを判断する(ステップS39)。なお、MFモードに移行した直後には上記表示スケールは定まっていない。したがって、この場合上記ステップS39をNoに分岐して後述するステップS40へ移行する。そして、一度ステップS40の処理を実行すると、次回以降は上記ステップS39をYESに分岐し後述するステップS41へ進む。すなわち、上記表示スケールが初期化されるまではステップS40に移行することはない。ここで、上記表示スケールが初期化される例としては、例えば後述するスタートスイッチ(不図示)等が操作される場合が挙げられる。
上記ステップS39をNOに分岐する場合は、上記ステップS38で取得した最新の合焦評価値AFnowの値に基づいて、上記合焦メーター240の最大値及び最小値を決定する(ステップS40)。この上記合焦メーター240の最大値及び最小値の決定については、例えば最大値として上記表示バー241が最大に振れる値をAFnow×50と設定し、最小値として上記表示バー241が全く表示されないときの値を0と設定して、上記合焦メーター240の表示のスケールを自動スケーリングする。
その後、上記ステップS40で決定した上記表示スケールにて、上記合焦メーター240内に上記表示バー241として現在の合焦評価値AFnowを表示する(ステップS41)。つづいて、上記ピーク越えフラグflag_peakが0であるか否かの判定を行う(ステップS42)。
上記ステップS42に最初に移行したときは、上記ステップS33により上記ピーク越えフラグflag_peakは0に設定されているので、YESに分岐してステップS43に移行する。このステップS43においては、上記AFnowの値がピーク値であるか否かを判断する。このステップS43で上記AFnowの値がピーク値であると判断した場合には、上述したピークホールド表示を行い且つピーク値AFpeakを現在のAFnowの値に更新する(ステップS44)。
一方、上記ステップS43をNOに分岐した場合及び上記ステップS44の処理を経た後には、
AFpeak−AFnow>第1所定値 …(1)
の関係を、AFpeakとAFnowとが満たすか否かを判断する(ステップS45)。ここで、上記第1所定値とは、図8(b)に示すように、AFnowの値がAFpeakの値から所定値だけ低い値となっているか否かを判断するための閾値を意味している。すなわち、上記(1)式を満たすことは、図8(b)からわかるように、ユーザーによりピントリング106が回転させられて合焦評価値がピーク値を一旦越えた後も、さらに該回転が継続させられ上記ピーク値を越えた後充分にAFnowの値が低下したことを意味する。ここで、上記ステップS45をNOに分岐する場合には、上記ステップS34へ戻る。
上記ステップS45をYESに分岐する場合、合焦評価値がピーク越えを果たしたことを示す為に、上記ピーク越えフラグflag_peakを1にセットする(ステップS46)。その後、上記ステップS34へ戻る。
ところで、上記ステップS46にて合焦評価値が一旦ピーク越えをしたと判断して上記ピーク越えフラグflag_peakを1にセットした場合、その後再び移行する上記ステップS42においてはNOに分岐することになる。ここで、上記ステップS42をNOに分岐した場合、
|AFpeak−AFnow|<第2所定値 …(2)
の関係をAFpeakとAFnowとが満たすか否かを判断する(ステップS47)。ここで上記第2所定値とは、上記ステップS46にて合焦評価値が一旦ピーク越えをしたと判断した後における、被写体の微妙な変化や輝度変化等によるAFpeakの値の変化、または合焦評価値演算の繰り返しばらつきによるAFpeakの値の変化が生じる可能性を考慮して設定した値である。すなわち、上記第2所定値とは、合焦評価値のピーク値の状態を適切に判断する為に必要な、合焦評価値のピーク値における不感帯領域を作る為の値である。なお、図8(b)に示すように、上記第2所定値は上記第1所定値よりも小さい値である。
上記ステップS47をYESに分岐する場合はAFnowが再度AFpeakと一致した場合であるので、図7(e)に示すように、その旨をユーザーに報知する(ステップS48)。なお、ここでは上述したように上記表示バー241の表示形態すなわち表示色を変更する。そして、このときユーザーにより上記第2レリーズスイッチがオンされると、当該合焦状態にて撮影動作を実行する。なお、ユーザーにより上記第2レリーズスイッチがオンされない場合には、再度上記ステップS34に戻る。
一方、上記ステップS47をNOに分岐する場合は未だAFnowがAFpeakに再度一致していない場合であるので、
AFnow>AFpeak+第2所定値 …(3)
の関係を、AFnowとAFpeakとが満たすか否かを判断する(ステップS49)。
このステップS49にて上記(3)式を満たさないと判断した場合は、上記ステップS46にて合焦評価値が一旦ピーク越えをしたと判断した後に、AFnowの値がAFpeakの値に再度一致していない場合である。したがって、上記ステップS49をNOに分岐し、上記表示バー241の表示形態を通常の表示形態に戻すか、または通常の表示形態を維持する(ステップS52)。その後、上記ステップS34へ戻る。
なお、上記ステップS48で上記表示バー241の表示色を変更し、その後上記ステップS49にてAFnow≦AFpeak+第2所定値となった場合も、このステップS52によって表示色が元に戻る。
一方、上記ステップS49においてAFnowとAFpeakとが上記(3)式の関係を満たすと判断する場合は、上記ステップS48で上記表示バー241の表示形態(表示色)を変更した後、より大きな値であるAFpeakが観測された場合である。したがって、この場合は上記ステップS49をYESに分岐し、AFnowの値にて上記ピークホールド表示を行い、AFpeakの値を更新する(ステップS50)。そして、このステップS50にてAFpeakの値を更新したので、上記ピーク越えフラグflag_peakを0に初期化し(ステップS51)、上記ステップS52へ進む。なお、このステップS51における処理により、次回上記ステップS42はYESへ分岐することになる。
以下、割り込み処理のステップについて説明する。
まず、上記ステップS34乃至上記ステップS52における処理の最中に、ユーザーにより不図示の表示スタートスイッチが押されると、Bucom201の割り込み処理で上記ステップS33の処理に移行し、再度最初からライブビュー表示を行う(ステップS53)。
また、上記ステップS34乃至上記ステップS52における処理の最中であって所定のフレームレートによるライブビュー表示の更新動作を実行している間に、ユーザーにより上記第2レリーズスイッチがオンされると、Bucom201の割り込み処理にて当該フローチャートにおけるシーケンスを抜けて、図5を参照して説明した上記ステップS2の処理に移行し、撮影動作を行う(ステップS54)。なお、このとき上記表示バー241は非表示にする。
さらに、上記ステップS34乃至上記ステップS52における処理の最中であって所定のフレームレートによるライブビュー表示の更新動作を実行している間に、ユーザーにより上記ライブボタン326が押されると、Bucom201の割り込み処理にて当該フローチャートにおけるシーケンスを抜けて、図5を参照して説明した上記ステップS21の処理に移行し、ライブビューモードの終了動作を行う(ステップS55)。
以上説明したように、本第1実施形態によれば、以下のような効果を奏するカメラの焦点状態表示装置を提供することができる。
まず、上記ピークホールド表示242により、ユーザーは合焦評価値のピーク値を明確に認識できる。また、撮影光学系102のレンズ位置が、一旦合焦評価値がピーク値となる位置を越えた後、再度合焦評価値がピーク値となる位置に到達した場合、その旨を上述したように報知するので、ユーザーはMFを非常に容易に行える。
このように、撮影光学系102のレンズ位置が合焦点に一致したことをユーザーに報知することで、上記ピークホールド表示242または上記表示バー241のみの場合に比べて、ユーザーは、合焦した旨をより正確に認識することができ、MFでのピント合わせがより容易になる。
さらに、合焦評価値を自動的にスケーリングして液晶モニタ222に表示するので、被写体条件に大きく左右されることなく上記表示バー241の振れ幅を所定レベルに保つことができる。したがって、本第1実施形態に係るカメラの焦点状態表示装置によれば、例えばある条件の被写体においては実際には合焦点に達していても上記表示バー241がほとんど振れなかったり、逆に別の条件の被写体では上記表示バー241が最大値付近まで振れたりするということが少ない。
なお、本第1実施形態に係るカメラの焦点状態表示装置では、その有する一部の機能すなわち上記ピークホールド表示242または上記報知のみを実施することによっても、ユーザーがMFしやすくなるという面において所定の効果を得ることが出来る。また、上述した機能を組み合わせることにより、さらに大きな効果を得ることが出来ることは言うまでもない。
ところで、合焦評価値の絶対値は、その性質上、被写体のコントラスト、輝度、及びユーザーによる手ぶれ等によって大きく変化する。したがって、上記合焦メーター240の上記表示スケールの最大値及び最小値を事前に決定した値に設定して合焦評価値を表示すると、表示バー241が被写体や撮影条件によって大きく振れたり小さく振れたりすることになり、ピークは検出できるものの、合焦評価値について知識の乏しい一般ユーザーから見ると、表示バー241がマニュアルフォーカスし易くするための役割を果たしているとは言いがたい。しかしながら、本第1実施形態に係るカメラの焦点状態表示装置によれば、実際の撮影にて取得した映像信号を基に算出した合焦評価値に基づいて、上記合焦メーター240の表示スケールの最大値及び最小値を決定するので、上記表示バー241の振れ幅が安定する為、ユーザーはMFにおいて合焦位置を捉えやすくなる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るカメラの焦点状態表示装置について説明する。なお、上記第1実施形態に係るカメラの焦点状態表示装置と相違する内容についてのみ説明する。
本第2実施形態では、上述した非拡大モード時においても合焦評価値を演算し且つ表示バー241として表示する。その為に、本第2実施形態では非拡大モード時における合焦評価値演算領域である第2合焦評価値演算領域332を設定する。したがって、上記合焦評価値演算部2は、非拡大モード時においては、上記第2合焦評価値演算領域332内の合焦評価値を演算する。さらに、この第2合焦評価値演算領域332において算出した合焦評価値を、合焦メーター240内に表示バー241として表示する。
なお、非拡大モード時における合焦評価値演算領域である上記第2合焦評価値演算領域332を、拡大モード時における合焦評価値演算領域である上記合焦評価値演算領域232とは異なる領域として設定する理由については後述する。
図9は、本第2実施形態に係るカメラの焦点状態表示装置を搭載されたカメラの非拡大モード時の液晶モニタ222における表示画面を示す図である。以下、同図を参照して、上記合焦評価値演算領域232と上記第2合焦評価値演算領域332との相違点について説明する。
一般的に、非拡大モード時におけるスルー画表示では、撮像素子212の有する画素のうち全ての画素からの電気信号が、撮像インターフェイス回路217を介して読み出されて用いられるわけではない。
なぜならば、撮像素子212における全画素から電気信号を読み出すには相応の時間を要するので、所定のフレームレート内に撮像素子212における全画素から電気信号を読み出すことは困難であり、また液晶モニタ222の分解能以上の画素数は不要でもあるからである。したがって、非拡大モード時においては、撮像素子212における画素数をかなり間引いてのスルー画表示が行われている。
ところで、拡大モード時においては、液晶モニタ222に表示された画像のうち一部の領域に示されている画像が拡大されて表示される。したがって、上述したように非拡大モード時における間引いた画素数では、拡大モード時における表示の為には画素数が不足する。そこで、拡大ボックス230内の画像データのみ間引き率を小さくしてスルー画表示に使用する。
上述したように、拡大モードと非拡大モードとでは、スルー画表示に使用する画素数が異なる。したがって、合焦評価値演算の精度を確保する為には、非拡大モード時と拡大モード時とで、合焦評価値演算を行う領域の画素数を異ならせることが必要である。このような事情に鑑みて、本第2実施形態においては、非拡大モード時における合焦評価値の演算領域すなわち上記第2合焦評価値演算領域332を、上記合焦評価値演算領域232とは異なる領域として設定している。通常、上記第2合焦評価値演算領域332は、上記合焦評価値演算領域232より大きな領域として設定する。
以上説明したように、本第2実施形態によれば、上記第1実施形態に係るカメラの焦点状態表示装置と同様の効果を奏する上に、次のような効果を奏するカメラの焦点状態表示装置を提供することができる。
すなわち、本第2実施形態に係るカメラの焦点状態表示装置によれば、拡大モード時のみならず非拡大モード時においても、精度の高い合焦評価値を演算し且つ表示することができるので、MFでのピント合わせを容易且つ正確に行うことができる。
以上、第1実施形態及び第2実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形及び応用が可能なことは勿論である。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態においては、カメラの焦点状態表示装置をレンズ交換可能な一眼レフレックスカメラに搭載した場合を例にして説明したが、他にも山登りAF機能とMF機能とを併せ持つ他種のカメラすなわちスチルカメラやビデオカメラ等にも上記の各実施形態を適用することができることは勿論である。
また、第1実施形態及び第2実施形態においては、上記合焦メーター240は上記表示バー241の長さで合焦度合いを示すよう構成したが、ユーザーが一目見て認識及び判断できる構成であれば、上記表示バー241の代わりに他の図形の形状により合焦の度合いを表すようにしても勿論良い。例えば、上記表示バー241の代わりに、円形の表示インジケータを採用し、この円形表示インジケータの半径により合焦の度合いを表すようにする例が挙げられる。さらに、上記表示バー241の代わりにサイズを固定した三角形インジケータを採用し、該三角形インジケータの液晶モニタ222中における所定の範囲内での左右移動により、合焦の度合いを表すようにする例も挙げられる。
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
1…撮像部、 2…合焦評価値演算部、 3…ピーク検出部、 4…メーター形態制御部、 5…合焦メーター作成部、 6…表示部、 7…モニタ、 101…レンズ制御用マイクロコンピュータ、 102…撮影光学系、 103…レンズ駆動機構、 105…絞り駆動機構、 106…ピントリング、 201…ボディ制御用マイクロコンピュータ、 202a…メインミラー 204…測光回路、 205…AFセンサユニット、 208…シャッター部、 212…撮像素子、 217…撮像インターフェイス回路、 218…画像処理コントローラ、 219…バッファメモリ、 221…記録メディア、 222…液晶モニタ、 230…拡大ボックス、 232…合焦評価値演算領域、 240…合焦メーター、 241…表示バー、 242…ピークホールド表示、 303…モードダイヤル、 316…メインダイヤル、 317…AFフレームボタン、 326…ライブボタン、 332…第2合焦評価値演算領域。