JP4947720B2 - 回転ダンパ - Google Patents

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本発明は、粘性流体の流動圧を利用して回転動作を緩衝する回転ダンパに係り、特に、一方向への回転と、これとは逆方向への回転とでダンパ特性が異なる形式の回転ダンパに関する。
例えば、便座の蓋体、給湯ポットや炊飯器の蓋体、自動販売機の商品取り出し口や釣り銭返却口の蓋体等のような、蓋体の一端に設けられた支持軸を支点として回転し開閉する蓋体(以降、回転式の蓋体と称す)においては、開けるときには弱い力で早く回転させることができ、自重で閉まるときには遅く回転して閉じたときの衝撃が弱くなるような構造を要求されるものがある。このような要求に対し蓋体の回転軸に設けられる回転ダンパとしては、特許文献1や特許文献2に示されるようなものが一般的な構造である。
すなわち、円筒状のケーシングの内周壁に突設された一対の隔壁によって、ケーシング内の空間が容積の等しい2つの円筒室に仕切られ、これら隔壁の先端に挟まれて回転自在に支持されたロータが備える2つの回転翼が、それぞれ各円筒室に配され、各円筒室には、粘度が高いオイル等の粘性流体が封入されている。円筒室は回転翼によって周方向に2分割され、ロータが回転して、回転翼で仕切られた円筒室の一方の室から他方の室に粘性流体が流入する際に、回転翼が制動力を受けてダンパ作用が生じる。
回転翼には、粘性流体の通路が形成されているとともに、この連通路には、一方向にロータが回転した場合には粘性流体の通過を許容するものの、これとは逆方向にロータが回転した場合には粘性流体の通過を遮断する弁体が設けられており、この弁体の作用によって、一方向への回転は軽く、他方向への回転は重くなるといったダンパ作用が生じるようになっている。
上記弁体として、特許文献1には弾性部材からなる舌片状の弾性弁部が記載されている。ところが、このような弁体では耐久性に劣ることから、長期の使用によって弾性が低下して制動力が弱くなり、ダンパ作用が徐々に衰えていくことが懸念される。
この点、特許文献2に示されるような、回転翼に形成した収容部に周方向に移動自在に収容される可動体であって、回転翼の回転に応じて収容部内を移動することにより、連通路を開放したり遮断したりする弁体であれば、耐久性には問題がなく、長期にわたって安定したダンパ作用が得られるという利点がある。
特開平7−301272号公報 特開2004−68991号公報
しかしながら、回転翼に可動体を収容した特許文献2に記載の技術では、回転翼に精密な加工を施す必要があり、しかも、それぞれの回転翼に加工と可動体を必要とするから、製造コストが割高になるという問題があった。また、制動力はロータの回転角度にかかわらず一定であり、制動力が徐々に強くなっていくというような機能の要求に応えられるものではない。
よって本発明は、耐久性に優れることは勿論のこと、部品点数を減らすことができることによって製造コストの低減を図ることができ、しかも制動力を可変とすることができる回転ダンパを提供することを目的としている。
本発明の回転ダンパは、有底円筒状をなして内周壁を有するとともに、該内周壁に突設された隔壁によって、円筒室が周方向に仕切られたケーシングと、このケーシングに回転自在に組み込まれ、円筒室を周方向に分割する回転翼を備えたロータと、ケーシングの一端に配置され円筒室を覆うカバーと、円筒室に封入される粘性流体と、ロータの端面とケーシングの底面との間に、該ロータと同軸的に配置され、ケーシングの隔壁を挟んで所定角度の範囲内で回転自在とする凹部が外周に形成された略リング状の弁体とを備え、弁体は、回転翼がケーシングに対して相対回転することで生じる粘性流体の圧力により回転し、弁体に設けられた凹部に、その一端側壁部が隔壁と当接したときに隔壁の両側の円筒室どうしを連通させるとともに、該凹部の他端側壁部が隔壁と当接したときに隔壁の両側の円筒室どうしの連通を閉塞する連通路を備え、さらに、弁体の回転翼への対向面には、一端側壁部に連なり、回転翼と摺動するかもしくは最も近接する強制動維持部と、この強制動維持部よりも高さが低く、他端側壁部に連なるリーク流路とが、強制動発生点を境界として略周方向に分けて形成されていることを特徴としている。
本発明の回転ダンパでは、ロータの回転翼がケーシングに対して相対回転することで生じる粘性流体の圧力により、弁体が回転する。今、ロータを一方向へ回転させて弁体に設けられた凹部の一端側壁部が隔壁と当接したとすると、そのときには、隔壁の両側の円筒室どうしが連通路を介して連通する。このため、粘性流体は回転翼に押されて一方の円筒室から連通路を通って他方の円筒室に流れ込む。したがってロータは回転が自由状態となる。なお、このとき、ロータは粘性流体の流動抵抗によってある程度の制動力を受けるが、ここでは自由状態と定義する。
一方、ロータを上記一方向とは反対方向の他方向に回転させると、凹部の他端側壁部が隔壁と当接し、このとき、隔壁の両側の円筒室どうしは連通せず閉塞される。したがってロータを他方向へ回転させたときには粘性流体が他方の円筒室に流れ込むことができなくなって抵抗が大きくなり、制動状態となる。
ところで、このようにロータを他方向、すなわち制動がかかる方向(制動方向)に回転させた場合において、回転翼がリーク流路を通過している間は、回転翼と弁体との間にリーク流路が空いており、したがって、回転翼で仕切られている1つの円筒室のうちの回転翼の回転前方側(第1圧力室)と、回転後方側(第2圧力室)とは、リーク流路を介して連通している。このため、回転前方側の第1圧力室から、粘性流体がリーク流路を通って回転後方側の第2圧力室にリークし、第1圧力室の圧力はそれほど高くならず、弱制動状態となる。もしもリーク流路がなかった場合には、第1圧力室内の粘性流体の行き場はなく、強い制動力が生じる。
さらにロータが制動方向に回転し、回転翼が弁体の強制動発生点に到達すると、第1圧力室がリーク流路を介して第2圧力室と連通する状態が回転翼によって閉塞され、第1圧力室から第2圧力室への粘性流体のリークは起こらなくなる。この状態から、さらにロータを制動方向に回転させていき、回転翼が強制動維持部を摺動する間は、第1圧力室から第2圧力室への粘性流体のリークは生じないことから、第1圧力室内の粘性流体の圧力が高まって回転に対する抵抗が増大し、強制動状態となる。
本発明では、ロータを制動方向に回転させたとき、回転初期から回転翼が強制動発生点に至るまでは弱制動状態となり、続いて強制動発生点に到達してから強制動維持部に沿って回転翼が回転する回転終期のときには、強制動状態を得ることができる。すなわち、ロータの回転し始めてからある回転角度までは制動力が弱く、回転終期には制動力が強くなるように、制動力を可変とすることができる。
本発明によれば、ロータを一方向に回転させると制動がかからない(もしくは制動力が弱い)自由状態となり、他方向に回転させると制動状態となるため、例えば回転式の蓋体に適用した場合には、開けるときには弱い力で早く回転させることができ(自由状態)、自重で閉まるときには遅く回転して(制動状態)閉じたときの衝撃が弱くなるような構造とすることができる。
また、ロータを制動がかかる方向に回転させたとき、回転初期には制動力が弱く、回転終期には制動力が強くなるように、制動力を可変とすることができる。したがって、上記のように蓋体に適用した場合、蓋体の閉まる時間を短縮しながらも閉じるときの衝撃は弱くできるといった構造を得ることができる。このような制動力の強弱は、弁体に形成するリーク流路の形状や強制動発生点の位置、すなわち弁体の形状によって任意に制御することができる。
そして本発明では、上記のような構造を1つの弁体により達成することができるから、部品点数の増加を抑えることができ、コストの低減を図ることができる。また、回転ダンパの組み立てに際して、弁体、ロータの順にケーシングの円筒室に挿入するだけでよく、上記特許文献1,2のようにロータの回転翼先端に弁部材を取り付けた上で円筒室に挿入する場合に比して組み立て易さが向上し生産性が増大する。
本発明では、弁体と回転翼との間に形成されるリーク流路の容積を、弁体の凹部への連通部から強制動発生点に向かうにしたがって漸次小さくなっている構成にすることにより、ロータが制動方向に回転するにつれて制動力が漸次強くなるといったように、制動力を調整することができる。そのような作用を得るためには、弁体のリーク流路が、凹部への連通部から強制動発生点に向かうにしたがって、段差状、もしくはスロープ状に形成されている形態で可能である。またこの他には、リーク流路の幅が、凹部への連通部から強制動発生点に向かうにしたがって漸次狭くなっている形態でも可能である。
本発明の回転ダンパによれば、隔壁に当接する方向により連通路が開放されたり閉塞されたりする弁体を備えているので部品点数を少なくすることができ、このため、回転ダンパの製造コストを低減することができるという効果を奏する。また、特に制動方向にロータが回転するときには、回転初期には制動力が弱く、回転終期には制動力が強くなるといったように制動力をロータの回転角度に応じて可変とすることができ、そのような制動力の変動を弁体の形状によって任意に制御することができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
[1]回転ダンパの構成
以下、本発明の一実施形態を説明する。図1は一実施形態に係る回転ダンパの横断面を示す図である。この回転ダンパは、有底円筒状のケーシング10(図2〜図4)と、このケーシング10に、同軸的、かつ回転自在に収容されるロータ20(図5)と、ロータ20とケーシング10との間に介装された弁体30(図6,図7)と、カバー40(図8)とを備えている。
ケーシング10は、円筒部11と、この円筒部11の一端側の底部12とを有している。ケーシング10の側部には、平面視で三角形状をなす一対のフランジ部13が形成されている。当該回転ダンパは、フランジ部13を利用して所定の機器に取り付けられる。
図2および図4に示すように、底部12には、軸方向へ向けて突出する中空の軸15が形成されている。また、ケーシング10の内部であって、内周壁14および底部12には、中心に向かって径方向に延びる一対の隔壁16が、互いに向かい合うように突出して形成されている。これら隔壁16は、厚さ(軸方向の長さ)がケーシング10の内部高さの半分強とされている。そして、これら隔壁16と軸15との間に、ロータ20が回転自在に支持されている。
図5に示すように、ロータ20は、円筒状の筒部21を有し、この筒部21の外周面の互いに180°離れた位置に放射状に延びる一対の回転翼22が形成されたものである。ロータ20は、筒部21を隔壁16と軸15との間に回転自在に挟んだ状態で、ケーシング10内に回転自在に嵌め込まれている。
各回転翼22は、先端に向かうにしたがって周方向の幅が次第に大きくなる扇状を呈している。回転翼22の先端面は、ケーシング10の内壁周14に沿った周面に形成されている。筒部21と反対側の端部には、断面D字状の取付孔23aを有するボス23が形成されている。取付孔23aには、本実施形態の回転ダンパが適用される機器のシャフトが挿入され、かつ、一体回転するように固定される。また、ボス23と筒部21との間には、リング状をなす仕切24が形成されている。この仕切24とケーシング10の底部12との間に、一対の隔壁16によって、周方向に仕切られた2つの扇状の円筒室60が形成されている(図9参照)。
ロータ20の筒部21とケーシング10の底部12との間には、弁体30が介装されている。図6に示すように、弁体30は比較的薄い板厚の略リング状をなしており、その外周の互いに180°離れた位置には、凹部31が形成されている。これら凹部31は、周方向に互い対向する一対の側面(一端側壁部と他端側壁部)39,35と、底部38とによって略コ字状に切り欠いた形状をなしている。
凹部31の、図6で反時計回り方向側の側面39には、一段低くした段部32が形成され、また、底部38には、連通路34が形成されている。連通路34の周方向の長さは、隔壁16の周方向の長さよりも長く設定されている。また、連通路34は、図6で時計回り方向において凹部31の側面35の手前まで延在している。したがって、側面35が隔壁16に当接した状態では、連通路34の片側は、隔壁16とロータ20の筒部21により閉塞された状態となる。さらに、凹部31の時計回り方向の側面35の角には、一段低くした切欠33が形成されている。これら切欠33,段部32および連通路34は、弁体30の、ロータ20への対向面に形成されており、高さは同一であって、例えば弁体30の厚さの半分程度とされている。
ロータ20は、弁体30のロータ20側に面する対向面30Aに接触して回転摺動するようになっている。なお、本実施形態で言う接触とは、部材間に形成された油膜を介して接触する状態(いわゆる流体潤滑状態)を含むものとする。対向面30Aにおける外周部であって一対の凹部31間には、図7にも示すように、弁体30の外周面側に開放し、対向面30Aよりもやや低くされた、回転翼22が接触しない円弧状のリーク流路71が形成されている。このリーク流路71は、幅が一定で、高さは、切欠33,段部32および連通路34よりも高く設定されている。リーク流路71を形成する段差周面72は、弁体30の周方向に沿って延びている。
リーク流路71の切欠33側の端部は凹部31に連通しており、一方、その切欠33側とは反対側の端部は段部32にまでは延びておらず、途中で緩やかな曲線を描いて弁体30の外周面に開放している。すなわち、リーク流路71は、周方向一端側は切欠33および凹部31に連通しているが、周方向他端側は閉じており、R状の端面73が形成されている。この端面73は、ロータ20が図9においてR方向に回転した際に強い制動力が発生する強制動発生点となっている。そして、対向面30Aにおける強制動発生点73から周方向に沿った段部32までの領域が、回転翼22と摺動して強い制動が継続して維持される強制動維持部74とされている。つまり、対向面30Aにおける回転翼22が通過する外周部は、リーク流路71と強制動維持部74とが、強制動発生点73を境界として周方向に分けて形成されている。リーク流路71の周方向長さは任意であるが、ここでは、強制動維持部74の周方向長さのおよそ2倍程度に設定されている。
図1に示すように、ロータ20が収納されたケーシング10の開口側には、図8に示すカバー40が螺合されている。カバー40の中央には孔41が形成され、孔41はロータ20のボス23に貫通されている。なお、図1において符号17,25は粘性流体の漏出を防ぐOリングである。
上記各回転翼22は各円筒室60内に配され、ロータ20が回転すると、回転翼22は、ケーシング10と、弁体30の強制動維持部74に摺動する。回転する回転翼22が弁体30のリーク流路71の領域を通過するときには、そのリーク流路71によって回転翼22と弁体30との間には隙間が形成される。また、ロータ20の筒部21の外周面は、隔壁16の内周面に摺動する。
[2]実施形態の動作
次に、図9および図10を参照して実施形態の回転ダンパの動作を説明する。図9は図1のIX−IX断面図、図10は図1のX−X断面図である。回転翼22によって、隔壁16で仕切られた円筒室60は2分割される。ここで、2分割されたうちの一方(図9中、矢印Rで示す回転翼22の時計回り側)を第1圧力室61、他方を第2圧力室62と定める。
各円筒室60内には、高い粘度(例えば10万〜100万cSt)を有する粘性流体が充填、封入される。図9(A)〜(B)に示すように、ロータ20の回転翼22がリーク流路71の中間部分にある状態からロータ20を矢印R方向(制動方向)へ回転させると、第1圧力室61内の粘性流体の圧力が上昇することにより、連通路34の周方向を向く面および凹部31の側面39が粘性流体により押圧される。また、粘性流体は、ロータ20の筒部21の下に位置する連通路34を通って第2圧力室62へ流入しようとする。なお、図10(A),(B)は、弁体30の動きをわかりやすくするため図9(A),(B)からロータ20を省いたもので、図9(A),(B)に対応した図である。
ここで、第1圧力室61側では、連通路34の周方向を向く面および凹部31の側面39が粘性流体に押圧されるのに対して、隔壁16で隔てられた第2圧力室62側では、連通路34の周方向を向く面および凹部31の側面35が粘性流体により押圧される。このとき、矢印L方向を向く面よりも矢印R方向を向く面の方が大きいこと、および粘性流体であるため圧力伝播が遅くなるため回転翼22に近い側では粘性流体の圧力が大きく、かつ、遠い側では粘性流体の圧力が小さくなることから、この圧力差によって、弁体30は矢印L方向へ回転し、図9(B)に示すように、弁体30の凹部31の矢印L方向を向く面である側面35が隔壁16に当接する。これによって、一方の円筒室60の第1圧力室61と他方の円筒室60の第2圧力室62とは、隔壁16によって遮断され、互いに連通しない状態となる。
このように隔壁16によって第1圧力室61と第2圧力室62とが連通していない状態であっても、図9(B)に示すように、ロータ20が制動方向であるR方向に回転する初期のときには、回転翼22の回転前方側である第1圧力室61と回転後方側の第2圧力室62とがリーク流路71を介して連通している。このため、第1圧力室61から、圧力が高まる粘性流体がリーク流路71を通って回転後方側の第2圧力室62にリークし、第1圧力室61の圧力はそれほど高くならない。このため、制動力が比較的弱い弱制動状態でロータ20は回転する。
この弱制動状態から、さらにロータ20がR方向を回転させ、図9(C)に示すように回転翼22が弁体30の強制動発生点73に到達すると、第1圧力室61がリーク流路71を介して第2圧力室62と連通する状態が回転翼22によって閉塞される。したがって、第1圧力室61から第2圧力室62への粘性流体のリークは起こらなくなる。そして、この状態から、図9(D)に示すように、さらにロータ20をR方向に回転させていくと、第1圧力室61から第2圧力室62への粘性流体のリークは生じないことから、第1圧力室61内の粘性流体の圧力が高まって回転に対する抵抗が増大し、強制動状態となる。この後、回転翼22が強制動維持部74に摺動しながらロータ20がR方向に回転する間は、強制動がかかった状態となる。
次に、図9(D)に示す状態から、ロータ20を矢印L方向へ回転させると、第2圧力室62の粘性流体が弁体30の切欠33に流入する。すると、これによって生じる圧力変動により、図9(E),図10(C)に示すように弁体30がR方向に回転する。次いで第2圧力室62側では、凹部31の側面35と連通路34の矢印L方向を向く面が粘性流体の圧力に曝されるのに対して、第1圧力室61側では、連通路34の矢印R側を向く面だけが粘性流体の圧力により押圧される。この圧力差により、弁体30はさらに矢印R方向へ回転する。これによって、図9(F),図10(D)に示すように、弁体30の凹部31の矢印R方向を向く側面39が隔壁16に当接するとともに、連通路34を介して、隔壁16を間に挟んだ第1圧力室61と第2圧力室62とが連通する。
隔壁16を間に挟んだ第1圧力室61と第2圧力室62とが連通することによって、第2圧力室62内の粘性流体が連通路34を通って第1圧力室61へ流入することができる。このため、ロータ20は制動力を受けず自由状態となり、ロータ20をL方向に軽い力で回転させることができる。なお、自由状態といえども、ロータ20は粘性流体の流動抵抗によってある程度の制動力を受けるが、ロータ20をR方向へ回転させるために要する力と比べるとL方向へ回転させる力の方が格段に弱い。
以上のように、本実施形態では、ロータ20を矢印R方向へ回転させるときには強い制動力が働き、ロータ20を矢印L方向へ回転させるときには制動力が弱い自由状態で回転させることができる。したがって、この回転ダンパを例えば回転式の蓋体に適用した場合には、開けるときには弱い力で早く回転させることができ(ロータ20がL方向回転の自由状態)、自重で閉まるときには遅く回転して(ロータ20がR方向回転の制動状態)閉じたときの衝撃が弱くなるような構造とすることができる。
また、本実施形態では、ロータ20を制動がかかるR方向に回転させたとき、回転初期には制動力が弱く、回転終期には制動力が強くなるように、制動力を2段階に可変とすることができる。したがって、上記のように蓋体に適用した場合、蓋体の閉まる時間を短縮しながらも閉じるときの衝撃は弱くできるといった構造を得ることができる。
さらに本実施形態では、弁体30という1つの部品だけで上記のような作用を得ることができるので、部品点数を減らすことができる。その弁体30は、リング状の部品に、一対の凹部31と、これら凹部31の周囲の段部32,切欠33,連通路34と、リーク流路71を形成した単純な形状である。したがって回転ダンパが組み立てやすくなって生産性が向上し、かつ、製造コストを低減することができる。
[3]弁体の変形例(凹部31周辺の変更)
次に、図11(B)〜(F)を参照して弁体30の変形例を説明する。図11(A)は比較のために上記実施形態の図10(A)に相当する構成を示している。図11(B)は、連通路34が弁体30の中空部に開放しており、ケーシングの軸15が連通路34に露出する状態とされた例である。図11(C)は、連通路34が弁体30の壁部を厚さ方向へ除去した切欠により形成されている例である。図11(D)は、段部32に代えて、弁体30の壁部を厚さ方向へ除去した切欠36を形成した例である。図11(E)は、図11(B)における段部32を切欠36に代えたものである。図11(F)は、図11(A)の段部34と図11(D)の切欠36とを組み合わせたものである。
図1〜11示した上記実施形態では、ロータ20が図9においてR方向への制動方向へ回転すると、回転翼22がリーク流路71に沿って回転している回転初期は弱制動状態で、回転翼22が強制動発生点73に到達してから先は強制動状態といったように、制動力が弱から強へと2段階に分けられる。弱制動のときの制動力は、リーク流路71の高さが低くて弁体30と回転翼22との間に空く隙間が大きいと粘性流体の抵抗が弱いので弱く、逆にリーク流路71の高さが低くて該隙間が狭いと、粘性流体の抵抗が強くなって弱制動時の制動力は強くなる。また、リーク流路71の長さを短くして強制動発生点73を側面35側に近付ければ、弱制動の時間は短くなり、逆にリーク流路71の長さを長くして強制動発生点73を側面39側に近付ければ、弱制動の時間は長くなる。このように、制動力の強弱や弱制動とその次に生じる強制動の時間の割合などは、弁体30の形状によって任意に制御可能である。
上記実施形態では、リーク流路71の高さは一定であり、幅もほぼ一定であることから、弱制動のときの弁体30と回転翼22との間に形成されるリーク流路71の容積は、側面35から凹部31への連通部である始点から終点の強制動発生点73まで、ほぼ一定である。つまり、弱制動時の制動力はほぼ一定である。ここで、リーク流路71の容積、すなわち断面積を、弱制動の発生初期から強制動発生点73に向かうにしたがって漸次小さくすることにより、制動力が漸次強くなるように調整することができる。
[4]弁体の変形例(リーク流路71の変更)
図12〜図15はその具体例を示しており、図12および図13の弁体30では、リーク流路71の高さが、矢印Rで示す回転翼22の制動方向に延びるにつれて、すなわち強制動発生点73に向かうにしたがって、段差状に高くなっている。この場合のリーク流路71は、高さが最も低い第1流路71aと、第1流路71aと強制動維持部74との間の中間の高さの第2流路71bを経て、強制動発生点73に至っている。そして、制動方向に回転する回転翼22が第1流路71aから第2流路71bに移行する段部75にかかったとき、弱制動よりもやや強い制動(中間制動)がかかり、次いで強制動発生点73に至ると強制動がかかるようになっている。この場合は、2段階に制動力が高まるようになっているが、段部75の数を増やしてリーク流路71を多段状にすれば、弱制動時の制動力を細かく変化させることができる。
図14に示す弁体30では、リーク流路71を形成する底面76が、回転翼22の制動方向Rに向かうにつれて一定の割合で徐々に高くなるスロープ状に形成されている。この場合のリーク流路71は強制動発生点73になだらかに移行しており、この弁体30を用いると、弱制動時は制動力が一定の割合で徐々に強くなり、強制動発生点73に至ったときの圧力変化は弱く、穏やかに強制動に移行する。
図15に示す弁体30では、リーク流路71の高さは一定であるが、幅が制動方向Rに向かうにつれて徐々に狭くなっている。すなわち、図7で示した段差周面72が、この場合外周方向に徐々にせり出す円弧状に形成されており、外周面に移行した位置が強制動発生点73となる。この場合にも、弱制動時は制動力が一定の割合で徐々に強くなり、強制動発生点73に至ったときの圧力変化は弱く、穏やかに強制動に移行する。
本発明の一実施形態に係る回転ダンパの横断面図である。 ケーシングを示す平面図である。 図2のIII矢視図である。 ケーシングを示す断面図である。 (A)はロータの断面図であり、(B)は(A)のB矢視図、(C)は(A)のC矢視図である。 (A)は弁体の平面図、(B)は(A)のb−b断面図である。 一実施形態に係る弁体の斜視図である。 カバーの(A)平面図、(B)断面図、(C)裏面図である。 (A)〜(F)の順に弁体の作用を示す図1におけるIX−IX断面図である。 (A)〜(D)の順に弁体の作用を示す図1におけるX−X断面図である。 一実施形態の弁体の凹部の周囲を変更した変形例を示す図1におけるX−X断面図である。 一実施形態の弁体のリーク流路を変更した変形例を示す平面図である。 図12の弁体の斜視図である。 弁体の他の変形例を示す平面図である。 弁体のさらに他の変形例を示す平面図である。
符号の説明
10…ケーシング
14…内周壁
16…隔壁
20…ロータ
22…回転翼
30…弁体
30A…対向面
34…連通路
35…側面(他端側壁部)
39…側面(一端側壁部)
40…カバー
60…円筒室
61…第1圧力室
62…第2圧力室
71…リーク流路
73…強制動発生点
74…強制動維持部

Claims (4)

  1. 有底円筒状をなして内周壁を有するとともに、該内周壁に突設された隔壁によって、円筒室が周方向に仕切られたケーシングと、
    このケーシングに回転自在に組み込まれ、前記円筒室を周方向に分割する回転翼を備えたロータと、
    前記ケーシングの一端に配置され前記円筒室を覆うカバーと、
    前記円筒室に封入される粘性流体と、
    前記ロータの端面と前記ケーシングの底面との間に、該ロータと同軸的に配置され、前記ケーシングの隔壁を挟んで所定角度の範囲内で回転自在とする凹部が外周に形成された略リング状の弁体とを備え、
    前記弁体は、前記回転翼が前記ケーシングに対して相対回転することで生じる前記粘性流体の圧力により回転し、
    前記弁体に設けられた前記凹部に、その一端側壁部が前記隔壁と当接したときに前記隔壁の両側の前記円筒室どうしを連通させるとともに、該凹部の他端側壁部が前記隔壁と当接したときに前記隔壁の両側の前記円筒室どうしの連通を閉塞する連通路を備え、
    さらに、前記弁体の前記回転翼への対向面には、
    前記一端側壁部に連なり、回転翼と摺動するかもしくは最も近接する強制動維持部と、
    この強制動維持部よりも高さが低く、前記他端側壁部に連なるリーク流路とが、強制動発生点を境界として略周方向に分けて形成されていることを特徴とする回転ダンパ。
  2. 前記弁体と前記回転翼との間に形成される前記リーク流路の容積が、前記凹部への連通部から前記強制動発生点に向かうにしたがって漸次小さくなっていることを特徴とする請求項1に記載の回転ダンパ。
  3. 前記リーク流路を形成する前記対向面が、前記凹部への連通部から前記強制動発生点に向かうにしたがって、段差状、もしくはスロープ状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の回転ダンパ。
  4. 前記リーク流路の幅が、前記凹部への連通部から前記強制動発生点に向かうにしたがって漸次狭くなっていることを特徴とする請求項2に記載の回転ダンパ。
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