JP4946329B2 - 圧電デバイス - Google Patents
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Description
この図の圧電デバイス1は、パッケージ2の内側に圧電振動片3を収容し、蓋体4でパッケージ2を密封するようにしている。
そして、蓋体4は、金属体5の一部に、周波数調整用のガラス6が嵌め込まれている。すなわち、蓋体4をパッケージ2に接合する際の加熱により、圧電振動片3をパッケージ2に接合するための接着剤8からガスが発生するなどして、圧電振動片3の振動特性に影響を及ぼす。そこで、蓋体4をパッケージ2に接合した後であっても、レーザー光Lを、蓋体4の一部に設けたガラス6を透過させて、圧電振動片3に照射し、質量削減方式により周波数調整をするようにしている。
すなわち、パッケージ2と蓋体4の金属体5とを接合する際に、接着剤となる金属材料7を加熱すると、金属材料7は金属体5に濡れ拡がって、その高さHが低くなってしまう。このため、パッケージ2と蓋体4との接合性が悪化して、パッケージ2内の気密性が保てなくなるという問題がある。
さらに、近年、情報機器や計測機器等の小型化に伴って、圧電デバイス1も小型化されてきている。このため、蓋体4についても小型化せざるを得ず、図4に示されるような蓋体4では、金属体5とガラス6との接合面積が小さくなって、金属体5とガラス6との接合性が悪化することでも、パッケージ2内の気密性が保てなくなる。
また、第2の発明は、第1の発明の構成において、 前記金属体の前記内面は、前記切欠きの底面であって、前記底部の前記底面の反対側の上面である底部上面と、前記切欠きの側面であって、前記壁部の内面である壁部内面と、を含み、前記光透過部の前記切欠き内に配置された部分の表面が、前記底部上面と前記壁部内面とに接合されていることを特徴とする。
このため、蓋体は、少なくともパッケージの開口部側の端面と対向する領域以外に、光を透過する材料が配置されることになる。したがって、蓋封止後であっても、外側から圧電振動片にレーザー光を照射することによって周波数調整ができる。
また、蓋体とパッケージとを接合するための金属材料が、少なくともパッケージの開口部側の端面の幅寸法より大きな寸法をもって濡れ拡がることがなくなるため、金属材料の高さ方向の寸法を確保して、パッケージと蓋体との接合強度を向上させることができる。 さらに、蓋体は、従来に比べて、光を透過する材料と金属体との接触面積も拡がって、その接合強度も向上させることができる。
かくして、本発明によれば、蓋体の一部に周波数調整するための光を透過する材料を設けても、パッケージの気密性を高めて、優れた振動特性を発揮する圧電デバイスを提供することができる。
第2の発明の構成によれば、金属体の底面の形状は、パッケージの開口部側の端面の形状と同様になっている。したがって、蓋体とパッケージとを接合するための金属材料について、第1または第2の発明により高さ方向の寸法を確保しつつ、幅方向の寸法も確保できるため、最もパッケージと蓋体との接合強度を高めることができる。
第4の発明の構成によれば、光を透過する材料は酸化物を含有するガラス材料から形成されており、金属体はその内面に酸化膜を形成してから、ガラス材料と接合されている。したがって、金属体の内面の酸化膜と、ガラスに含まれる酸化物との間で拡散接合を促して、金属体とガラスとの接合強度を向上させることができる。
第5の発明の構成によれば、金属体は、低融点金属を用いて、パッケージに接合されている。なお、ここにいう低融点とは、圧電振動片をパッケージに接合するための接着剤が溶融しない程度の温度をいう。したがって、蓋封止の加熱の際に、圧電振動片を接合するための接着剤に与える悪影響を抑制できる。
第5の発明の構成によれば、低融点金属にはAu−Ge合金が用いられているので、鉛フリー化が可能となる。
第7の発明の構成によれば、低融点金属の熱膨張係数は、金属体の熱膨張係数に比べて大きい。そうすると、蓋封止の際、低融点金属を加熱した後の冷却で、枠状の金属体に付着した枠状の低融点金属は、金属体を中心部に向かわせる方向に収縮する。したがって、蓋封止の冷却工程の際、金属体は、その枠状の内面に接合されたガラスを締め付けることになり、金属体とガラスとの接合強度を向上させることができる。
これらの図において、圧電デバイス20は、その例示として圧電振動子が図示されており、この圧電デバイス20は、収容容器としてのパッケージ36の内側に圧電振動片32を収容している。
本実施形態の場合、上から第1の基板36a、第2の基板36bの順に積層されており、第1の基板36aは、その内側に所定の孔を形成することで、積層した場合に内側に所定の内部空間S1を形成するようにされている。この内部空間S1が圧電振動片32を収容するための収容空間である。
なお、蓋体39は、開口部33を封止した後であって、レーザー光Lで圧電振動片32の質量を変更する方法により周波数調整を可能にするために、レーザー光Lを透過する材料を有することが好ましい。
この蓋体39の構成、及びパッケージ36と蓋体39との接合構造については、後で詳しく説明する。
尚、導電性接着剤43としては、接合力を発揮する接着剤成分としての合成樹脂剤に、銀製の細粒等の導電性の粒子を含有させたものが使用でき、柔軟性のあるシリコーン系の導電性接着剤等を利用することが好ましい。
また、圧電振動片32は、図1および図3に示されるように、基部51の端部(図では左側端部)の幅方向両端付近に、互いに異極となる引出し電極52,52が形成されている。引出し電極52,52は、パッケージ36側の電極部31,31と導電性接着剤43,43により接続される部分であり、図示しない励振電極と一体に形成されている。
このように、圧電デバイス20は、蓋体39に金属体55を用いることで、蓋体39とパッケージ36との接合強度を確保している。すなわち、従来の蓋体は、蓋封止後であっても周波数調整ができるように、全体が光を透過するガラス材料から形成されていたため、蓋体は低融点ガラスを用いてパッケージに接合されていた。そして、低融点ガラスでは、パッケージの開口部側の端面である封止代が小さくなったことに伴って、蓋体とパッケージとの接合強度を確保することが困難となってきた。そこで、図1ないし図3に示すように、蓋体39のパッケージ36の開口部33側の端面68と対向する領域を金属体55にして、この金属体55を、金属材料46を用いてパッケージ36に接合することで、蓋体39とパッケージ36との接合強度を確保することができた。
したがって、ガラス56を加熱・溶融させて金属体55に接合する際、金属体55の内面の酸化膜と、ガラスに含まれる酸化物との間で拡散接合が促されて、金属体55とガラス56との接合強度を向上させることができる。
これにより、蓋封止後であっても、ガラス56の外側から圧電振動片32の金属膜38にレーザー光Lを照射することによって周波数調整ができる。
また、従来のように圧電振動片32の金属膜38に対応した部分のみにガラスを設けた場合と比べて、ガラス56と金属体55との接触面積が増えて、その接合強度を向上させることができる。
さらに、封止用の金属材料46が、少なくともパッケージ36の開口部33側の端面68の幅寸法W2より大きな寸法をもって濡れ拡がることがなくなるため、金属材料46の高さ方向(図2の上下方向)の寸法を確保して、パッケージ36と蓋体39との接合強度を向上させることができる。
具体的には、Au−Ge合金のAuとGeの配合比は、Auを89〜87wt%、Geを11〜13wt%として、融点が約356℃となるように形成されている。
また、このAu−Ge合金を用いるため、図2の一点鎖線で囲った図に示されるように、Fe系の金属体55の表面に、下地層61として、金属体55側から順に、Ni(膜厚は1〜5μm)及びAu(膜厚は0.01〜0.5μm)が蒸着またはスパッタリングもしくはメッキ等により施されている。
また、パッケージ36にも下地層63として、パッケージ36側から順に、Wがメタライズされ、Ni及びAuが蒸着またはスパッタリングされている。
すなわち、Au−Ge合金は、鉛を含まない合金であるため、廃棄しても有害な鉛が生成されず、また、パッケージ36の開口側の端面68の幅が例えば200μmと極めて小さい場合であっても、接合力を発揮できる。
なお、鉛フリー化が可能で、パッケージ36の開口側端面68の幅が小さくても接合力を発揮できるものにAu−Sn合金等があるが、Au−Sn合金等では修理のためのリペア工程を行なった場合の保証ができない。すなわち、電子部品実装の鉛フリー化によってこれまでよりも融点の高いハンダが使用されてきている背景から、通常、リペア工程では圧電デバイス20に320℃程度の温度が加えられる。このため、融点が約280℃であるAu−Sn合金では、リペア工程に耐えられない恐れがある。また、パッケージ36の内部空間S1が真空雰囲気であっても、Au−Ge合金であれば、外圧によりリークし難い。
そうすると、蓋封止の際、金属材料46であるAu−Ge合金を加熱した後の冷却工程で、Au−Ge合金は、その温度変化により金属体55よりも大きく縮むため、枠状の金属体55に付着した枠状のAu−Ge合金は、金属体55を中心部に向かわせる方向(図3の矢印の方向)に収縮する。したがって、蓋封止の冷却の際、金属体55は、枠状の壁部55aで、囲まれたガラス56を締め付けることになり、金属体55とガラス56との接合強度を向上させることができる。
なお、この締め付け効果を効果的に発揮するためには、壁部56の内面が、水平方向(図2の左右方向)について、パッケージ36の開口部33側の端面68の範囲内にあることが好ましい。また、締め付け効果を発揮し過ぎると、ガラス56を破損させる恐れもあるので、Au−Ge合金の厚みには注意を要する。
このため、蓋体55とパッケージ36とを接合するための金属材料46が、少なくともパッケージ36の開口部側の端面68の幅寸法W2より大きな寸法をもって濡れ拡がることがなくなるため、金属材料46の高さ方向の寸法を確保して、パッケージ36と蓋体39との接合強度を向上させることができる。
さらに、蓋体39は、少なくともパッケージ36の開口部側の端面68と対向する領域以外がガラス56となるため、従来に比べて、ガラス56と金属体55との接触面積も拡がって、その接合強度も向上させることができる。
かくして、蓋体39の一部に周波数調整するためのガラス56を設けても、パッケージ36の気密性を高めて、優れた振動特性を発揮する圧電デバイス20を提供することができる。
また、この発明は、パッケージ内に圧電振動片を収容するものであれば、圧電振動子、圧電発振器、水晶フィルタ、SAWデバイス、ジャイロ、角度センサ等の名称にかかわらず、全ての圧電振動片とこれを利用した圧電デバイスに適用することができる。
Claims (5)
- 開口部を有しているパッケージ、前記パッケージに収容されている圧電振動片、前記開口部を封止している蓋体を備え、
前記蓋体は、酸化物を含有しているガラス製の光透過部、前記光透過部を囲んで支えており前記パッケージに接合されている枠状の金属体を備え、
前記金属体は、前記パッケージと接合されている側に底面、前記底面に対して裏面であって前記金属体の内周辺から前記金属体の外周辺に向かって延在している底部上面、前記底面に対して裏側にあって前記底部上面と前記外周辺との間にあって前記底部上面よりも厚み方向に延在している内壁面を有している壁部、を備え、
前記金属体の前記底面の幅寸法は、前記パッケージの前記開口部側の端面の幅寸法以下であり、
前記光透過部は、前記内壁面と前記底部上面に酸化膜を介して接合されていることを特徴とする圧電デバイス。 - 前記金属体の前記底面の形状は、前記パッケージの前記開口部側の前記端面の形状と同様になっていることを特徴とする請求項1の圧電デバイス。
- 前記圧電振動片は、前記パッケージ内に導電性接着剤により接合されており、
前記金属体の前記底面と、前記パッケージの前記開口部側の前記端面と、の間に金属材料を備え、
前記金属材料は、その融点が前記導電性接着剤の溶融温度未満である、低融点金属であることを特徴とする請求項1または2の圧電デバイス。 - 前記低融点金属は、Au−Ge合金であることを特徴とする請求項3の圧電デバイス。
- 前記低融点金属の熱膨張係数は、前記金属体の熱膨張係数に比べて大きいことを特徴とする請求項3または4の圧電デバイス。
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