以下、従来技術における課題について説明する。図15は従来の冷蔵庫を示す図である。冷蔵庫本体51は内部に冷凍室52と冷蔵室53を有し、これらの間を区画する中仕切壁56が設けられている。冷凍室52の前面開口部にはこの開口部を閉塞する冷凍室扉54が備えられ、冷蔵室53の前面開口部にはこの開口部を閉塞する冷蔵室扉55が備えられている。
中仕切壁56には冷凍室52内の食品と熱交換した冷気を後述する冷却器に戻す通路57と冷蔵室53内の食品と熱交換した冷気を冷却器に戻す通路58とが設けられている。通路57と通路58とを介して冷凍室52及び冷蔵室53と連通する冷却器室59が冷凍室52の背部に設けられており、この冷却器室59内には冷却器60、除霜ヒータ61、冷気循環ファン62が備えられる。冷却器室59と冷凍室の間には、これらの室間を仕切る区画仕切63が設けられており、この区画仕切63には冷気吹出口64が形成されている。これらの構成によって、冷却器60と熱交換して冷却された冷気は冷気循環ファン62によって、冷気吹出口64より冷凍室52に吹出される。
図16において、除霜ヒータ61と冷却器60との間にはアルミニウム製の屋根65が設けられ、冷却器60に付着した霜を除霜ヒータの熱で融解した時、除霜水が直接除霜ヒータにかかるのを防止する。
通常、除霜ヒータのガラス管61aは、除霜時に表面温度が500℃近辺の温度となる。この為、除霜中にガラス管に水滴が直接滴下すると水蒸気爆発状態を呈し、大きな音を発生させることとなる。このような水蒸気爆発状態に近い状態であれば、発生する音は冷蔵庫の外部にまで聞こえてしまうほどの音となり、使用者に不安感を与えてしまう。これを防ぐのが屋根65の役目である。
除霜ヒータ61の下部にはアルミニウム製の保護板66が設置されており、この保護板66はガラス管61aが衝撃等で割れたときに、除霜水を庫外に排水する樹脂製の樋67を保護するものである。図16はガラス管61aが衝撃等で割れた状態を示しており、保護板66は、ヒータ線61bが垂れ下がり樋67に触れるのを防止する。このアルミニウム製の保護板66は絶縁保持されているものであるから、もし、ヒータ線61bがこの保護板66に垂れ下がってきても、冷蔵庫本体51の金属部に電気がリークする等と云うことがない。
冷凍室52や冷蔵室53を冷却する場合には、冷却器60に冷媒を流し、冷却器60を冷却する。これと同時に運転される冷気循環ファン62の作用により、冷却器60と熱交換して冷却された冷気が冷気吹出口64より冷凍室52に吹き出される。冷凍室52に吹き出された冷気は冷凍室52内の冷凍食品を冷却し、通路57を介して再び冷却器60、除霜ヒータ61部に戻される。一方、冷蔵室53側は冷却器60で冷却された冷気を冷気循環ファン62で、図には示してないが冷蔵庫専用冷却通路を使って冷蔵室53に吹き出す構造となっている。ここでも冷蔵食品と熱交換して冷蔵食品を冷却する。そして冷却後の冷気は、通路58を通して冷却器60、除霜ヒータ61部に戻るようになっている。
冷凍室扉54及び冷蔵室扉55の開閉が行われることにより冷蔵庫内に湿気を含んだ外気が流入するため、冷蔵庫内の空気は水分を含んだ空気となる。また、冷凍室52及び冷蔵室53の食品に含まれる水分が蒸発することで、やはり冷蔵庫内の空気は水分を含んだ空気となる。このように水分を含んだ空気が冷却器60と熱交換するため、冷却器60にその湿気は霜となって着霜、堆積する。堆積量が増加するに従って、冷却器60表面と熱交換する空気との伝熱が阻害されると共に、通風抵抗となって風量が低下する。この結果、熱通過率が低下して冷却不足が発生する。
そこで、この冷却不足がおこる前に、除霜ヒータ61に通電を開始する。ヒータ線61bに通電が開始されると、ヒータ線61bからガラス管61aを介して冷却器60や周辺部品に熱線が放射される。このとき、保護板66に放射された熱線は保護板66の形状から、一部がガラス管61aを介してヒータ線61bに反射される。また、除霜ヒータから出る熱によって融解した除霜水は一部が直接樋67に落ち、その他は屋根65に落ちる。尚、この屋根65はガラス管61aに比較し、低温である為、ここでは水蒸気爆発には至らない。
一般的に、除霜ヒータ61のヒータ線61b表面温度及びガラス管61a表面温度は非常に高温度となる。これは、保護板66が除霜ヒータ61の近傍にあり、一旦ガラス管を介して放射された熱線が保護板66で反射し、ガラス管61aは勿論ヒータ線61bを異常に加熱してしまうことにも起因する。
このようにガラス管61aやヒータ線61bが過熱すると、除霜ヒータ61の両端を封止するゴム栓が熱で損傷する可能性があった。このゴム栓の損傷という問題を解決するため、ヒータ線61b端部に作られるコイルエンド部(コイル状でなくヒータ線61bを所定の長さで折り返して撚った直線部)を長くとると、コイルエンド部上部の冷却器60に着いた霜の融解が遅れ、除霜時間が長くなると云う課題があった。
更に、図17に示す形状の除霜ヒータ61の管径は、冷却器60の奥行寸法D1に対し1/4〜1/5と小さい為に、熱線が冷却器60の全奥行D1に行き渡らず除霜時間を遅らせてしまうと云う課題があった。
尚、図16中、68はヒータ線61bに給電するリード線であり、69はこのリード線68とヒータ線61bの接続金具である。また、70はガラス管61a両端部を封止するゴム栓を示し、71は上記ゴム栓70中に設けたリード線68を通す為の穴を示している。
また、特許文献2に記載のように、ヒータ線を絶縁材で覆う構造とした場合、次のような問題があった。ヒータ線が通電されると、ヒータ線が発熱するためにシース管のみではなく、ヒータ線を覆う絶縁材自体も加熱される。上記の特許文献2では、シース管の両端をキャップで密閉しているため、ヒータ線周囲を絶縁材で覆うと、絶縁材を介してキャップに熱が伝えられることとなる。このとき、キャップにシリコンゴムのように耐熱特性の高いものを使用したとしても、その耐熱温度は約145℃程度であり、この耐熱温度よりも高温であればキャップが損傷することとなる。この場合、絶縁材とキャップとの間に断熱部材を別途設けることが必要となってしまう。
また、可燃性冷媒を用いた場合に、冷媒漏れを起こしたときに備えてヒータ線の発熱温度を低く設定すると、除霜ヒータとしての出力が低下することとなり、除霜ヒータとしての除霜性能を低下させることとなる。一方、絶縁材自体に断熱特性の優れたものを使用すると、ヒータ線の温度を外部に伝えることができず、この場合も除霜ヒータとしての性能を低下させることにつながる。
また、除霜ヒータ自体は冷却器の下部近傍に配置されているため、冷蔵庫の通常運転時には周囲の温度はマイナス30℃以下となる。除霜運転時にヒータ線は数百度となるものであるが、これらの温度変化に対する絶縁材の膨張収縮について考慮したものではなかった。
本発明の目的は、除霜ヒータのガラス管端部を封止するゴム線が熱によって損傷を受けることを抑制した冷蔵庫を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、冷媒として炭化水素系の冷媒を用いる冷蔵庫において、万一、冷蔵庫内に冷媒漏れが起きても、除霜性能の低下を抑制しつつ除霜ヒータによる引火を防止した冷蔵庫を提供することにある。
上記目的は、冷却器の下方に設けられ且つガラス管内に設置されたコイル状に巻かれたヒータ線及び該ガラス管の両端を封止する封止部材とを有する除霜ヒータを備えた冷蔵庫において、前記封止部材間に設けられ内周が前記ガラス管外周に接するか若しくは近接するよう設けられた帯状薄板をコイル状に巻き付けた放熱部材と、前記ガラス管の上部に設けられ前記封止部材に取付けられた上部カバーと、を備え、前記ガラス管を前記コイル状に巻き付けた放熱部材に挿通したことによって達成される。
また、上記他の目的は、内部に炭化水素系の冷媒が通流する冷却器の下方に設けられ且つガラス管内に設置されたコイル状に巻かれたヒータ線及び該ガラス管の両端を封止する封止部材とを有する除霜ヒータを備えた冷蔵庫において、前記封止部材間に設けられ内周が前記ガラス管外周に接するか若しくは近接するよう設けられた放熱部材を備え、前記放熱部材は帯状薄板をコイル状に巻き付けた放熱フィンであり、前記ガラス管を前記コイル状に巻き付けた放熱フィンに挿通して取り付けて、前記ヒータ線は前記冷媒の発火温度近傍に温度上昇する能力を有し、除霜運転時における前記ヒータ線の温度を前記冷媒の発火温度よりも低い温度になるように前記放熱部材を選定したことによって達成される。
また、上記目的は、前記コイル状に巻かれたヒータ線と前記ガラス管との隙間を0.5mm以下としたことによって達成される。
また、前記上部カバーの両端を折り曲げて形成した二又に分かれた取付脚と、この取付脚により前記封止部材を挾持し、この取付脚の一方に設けた締結片を他側の取付脚に締結するようにしたことによって達成される。
また、前記上部カバー及び前記放熱部材をアルマイト処理したことによって達成される。
本発明によれば、除霜ヒータのガラス管端部を封止するゴム線が熱によって損傷を受けることを抑制した冷蔵庫を提供することができる。
また、本発明によれば、冷媒として炭化水素系の冷媒を用いる冷蔵庫において、万一、冷蔵庫内に冷媒漏れが起きても、除霜性能の低下を抑制しつつ除霜ヒータによる引火を防止した冷蔵庫を提供することができる。
以下、本発明の実施例を図1から図14を用いて説明する。
図1は本発明を備えた冷蔵庫の縦断面図であり、図2は図1の要部拡大図であり、図3は図2の除霜ヒータ横断面説明図であり、図4は図3中の放熱フィン斜視図であり、図5は図3とは異なる実施例を説明する除霜ヒータの要部拡大斜視図であり、図6は本発明を備えた除霜ヒータの放熱フィンとヒータ線との巻き方向を説明する図であり、図7は図5中の除霜ヒータを矢印P方向から見た図で樋との関係を示す図であり、図8は図2のAA断面相当図であり、図9は図5とは異なる実施例を説明する除霜ヒータ横断面説明図であり、図10は図9の放熱フィン斜視図であり、図11は図9とは異なる放熱フィン斜視図であり、図12は図11のQ矢視図である。図13は除霜ヒータの巻線ピッチ等の説明図であり、図14は本発明を備えた冷凍サイクルの説明図である。
先ず図1〜図4に於いて、冷蔵庫本体1は内部に冷凍室2と冷蔵室3等を有している。冷凍室2の前面には開口部を閉塞する冷凍室扉4が備えられ、冷蔵室3の前面には開口部を閉塞する冷蔵室扉5が備えられている。冷凍室2と冷蔵室3間には両室の間を区画する中仕切壁6が設けられ、中仕切壁6には冷凍室2内の食品と熱交換した冷気を後述する冷却器に戻す通路7と冷蔵室3内の食品と熱交換した冷気を冷却器に戻す通路8とが設けられている。
冷凍室2の背部には区画仕切13によって仕切られた冷却器室9が配置され、この冷却器室9内には冷却器10、除霜ヒータ11、冷気循環ファン12が設けられている。本実施例では、除霜ヒータ11は冷却器10の下方に配置され、冷却器の上方に配置された冷気循環ファン12によって、冷却器室9内の下方から流入した戻り冷気が上方へと送られる。上方へと送られた冷気は冷却器10により冷却され、区画仕切13に設けられた冷気吹出口14より冷凍室2に吹出される。
除霜ヒータ11と冷却器10との間にはアルミニウム製の上部カバー(屋根)15が設けられる。この上部カバー15は、冷却器10に付着した霜を除霜ヒータ11の熱で融解した際に、冷却器10から滴下する除霜水が直接除霜ヒータ11にかかるのを防止するために設けられている。通常、除霜ヒータ11のガラス管11a(図3参照)は除霜ヒータ11発熱時、表面温度で500℃近辺の温度となる。このガラス管11aに水滴が直接滴下すると、水蒸気爆発状態を起こし冷蔵庫の外部にまで聞こえてしまう程の大きな音となり、使用者に不安感を与えてしまう。これを防ぐのが上部カバー15の役目である。
除霜ヒータ11のガラス管11aの外周には放熱部材が配設される。本実施例では、フィン形状のアルミニウム製放熱フィンがガラス管11aの外周に巻きつけられている。この放熱フィン16は、帯状薄板を図4に示す如くコイル状に巻いたものである。この帯状薄板は細長く薄い長方形の板材であり、これのコイル状に成形されたときに内径側となる長辺側に予めディンプル状の凹凸をつけて絞っておく。そしてこの絞った側の長辺が、ガラス管11aとほぼ同じ外径、あるいはそれよりも若干大きな外径をもつ棒状の成形用当て材(雇)に当接するように当てて、連続的にコイル状に巻き付け、所定寸法にカットして形成される。そしてこのできあがったスパイラルフィンを、ガラス管11aに通すことで形成される。なお、この実施例においては、スパイラル状に成形された際の内径となる長辺と外径となる長辺に曲率の違いが現れ、何等意識せずに巻回すると外径側長辺に亀裂が入る場合や、思わぬ個所が折れ曲がってしまうという問題がある。本実施例では、内側を絞ることで曲率の違いに対応しているが、外周側にスリットを入れることでも上記の問題は解決できる。しかし、本実施例の場合内側を絞る構造を採用することで、ガラス管に近い部分の放熱量の拡大も図っている。
本実施例におけるガラス管11aの直径は10.5mmとしているので、帯状薄板を巻き付ける成形用当て材の直径を11.1mmとした。この結果、コイル状に巻いた放熱フィン16の中心穴16aを略11.1mmに成形出来、10.5mmのガラス管11aに容易に挿通することができる。
このスパイラル状の放熱フィン16は従来の保護板の代わりも果たす。すなわち、ガラス管11aがなんらかの衝撃で割れるようなことがあっても、ガラス管11aの長手方向にわたって巻き付けられた形になっている放熱フィン16が、ガラス管11aが崩れてもそのガラス管11aの崩れをある程度防ぐので、ヒータ線11bをガラス管内に保持し、ガラス管11aが破損してもヒータ線11bの垂れ下がり抑制することができる。尚、本実施例においては先に説明した上部カバー15の剛性が後述する如く、この働きを補助してくれるものである。
次に図3に基づいて、除霜ヒータ11について説明する。外径10.5mm、内径8.5mmのガラス管11a内に、ヒータ線11bを配設し、このガラス管11aの両端部をゴム栓17で覆うことにより除霜ヒータ11が構成されている。なお、18は位置決め部材である。
ヒータ線11bの両端はリード線19に接続され、その接続部にはヒータ線11bの直線部11cとリード線19とを接続する接続金具21が配置される。この除霜ヒータ11は、直径10.5mm、肉厚1mmのガラス管11a内に、線径0.5mmのニクロム線を外径7.5mmのコイル状に巻いたヒータ線11bが挿入されている。また、図に示す如く仕切板18は、外径がガラス管11aの内径より大きく形成され、略中央部が一部を残してガラス管11aの内方に向かって切り起こされている。この切り起こし部には接続金具21が配置され(切り起こし部そのものを接続金具21としてもよいし、切り起こし部に接続金具21を固定しても良い)、ここでリード線19と直線部11cが接続される。ガラス管11aの長さとヒータ線11bの長さが決まれば、仕切板18はガラス管11a内には入り込まないので、ヒータ線11bの位置が決まる。更にゴム栓17によってガラス管11aの両端が封止されている。
なお、コイル状に巻いたヒータ線11bのコイル部の両側には図3にも示す如く、直線状に形成される直線部11cを有している。これはヒータ線11bが発熱する熱でゴム栓17が損傷するのを防止するためのものである。ゴム栓17はシリコンゴム等の耐熱特性の高い材料により作られるが、このゴム栓17の耐熱温度も通常145℃以下である。ところが、ヒータ線11bのコイル部の温度はガラス管11a内にあること等よりヒータ線表面温度で500℃と、ゴム栓17の耐熱温度よりもはるかに高い温度となる。この熱がガラス管内の空気を介し、そのままの温度でゴム栓17に伝わると、ゴム栓17は高熱によって損傷してしまう。しかし、直線部11cはもともとの発熱量が少ないため、500℃まで至らない。この理由から、本実施例ではヒータ線11bのコイル部の両側には直線部11cを備えるようにしている。この構成によって、直線部11cに対応したガラス管内空気温度、ガラス管表面温度をコイル部よりも低温化し、高温のヒータ線11b及びガラス管11aの熱がゴム栓17に伝導することを抑えている。
この直線部11cの距離は、長い程ゴム栓17への熱伝導を防ぐ効果を奏するのではあるが、距離を長くしすぎると除霜ヒータの能力が低下してしまう。このため、ゴム栓17の耐熱温度とヒータ線11bの発熱温度とを考慮した距離としている。すなわち、この直線部11cを長くとれば熱によるゴム栓17の損傷を確実に抑えられるが、限られたガラス管11aの長手方向長さ寸法の中でこの直線部11cを長くしすぎると、直線部上部の冷却器10に着いた霜の融解が遅れ、除霜時間が長くなってしまう。従って通常は15mm〜20mmに設定されている。
放熱フィン16は、500℃前後のヒータ線温度を例えば350℃近辺まで低下させる働きを有している。すなわち、この放熱フィン16はガラス管11aと熱交換してガラス管11a表面温度を300℃近辺まで低下させる働きを有し、放熱面積、熱伝導効率等はこの働きを達成するに見合った値としている。さらに、ヒータ線11bの温度は、ガラス管11aが放熱フィン16によって冷却されていることにより、ヒータ線11bの冷却が促進される結果、350℃近辺迄低下する。
一方、ガラス管11aと熱交換した放熱フィン16は、図2にも示す如く冷却器10の奥行寸法D2略全域に熱を放射する。換言すると、上記放熱フィン16の外径寸法は、上部カバー15の奥行寸法L1と同等若しくは大きくしてある。また、冷却器10の奥行寸法D2に対しては、冷却運転時の通風抵抗との関係で半分以下とする。したがって、この放熱フィン16の上部カバー15の下方投影面より外側に位置する部分は、冷却器10からの除霜水が滴下する場合があるが、放熱フィン16の当該部分は、ほぼ上下方向に鉛直に伸びた形状としているため、滴下した除霜水を溜めることなくそのまま樋20側に滴下させることができる。
このような放熱フィン16とすることにより、除霜水を受ける樋20、或いは通路7、8に付いた霜を除霜時に好適に融解することは勿論、冷却器10の除霜を短縮することができる。すなわち、放熱フィン16は、熱線を樋20、通路7、8に導くように方向付けをしていると云える。
かかる構成を有する冷蔵庫に於いて、冷却器10への霜の堆積量が増加すると、冷却器10表面と熱交換する空気との伝熱が阻害され通風抵抗が増加する。これを検知した冷蔵庫は、除霜ヒータ11への通電を開始する。
ヒータ線11bに通電が開始されると、ヒータ線11bからガラス管11a、放熱フィン16を介し冷却器10や周辺部品に熱線を放射する。これにより冷却器10や樋20等に着いた霜を除霜水に融解する。
このような放熱フィン16を巻回した本実施例における除霜ヒータ11は、細いガラス管11aに対して、上部カバーL1と同等若しくはそれより大きな放熱フィンを周囲に取り付けてあるので、冷却器10下端を広範囲な面で加熱する。これにより除霜時間の短縮を図ることができる。
尚、上記放熱フィン16の外径D3は29mmである。これは冷却器の奥行寸法D2を60mmとした時の数値で、上記放熱フィン16は目安として冷却器の奥行寸法D2の1/2以下とするのが良い。これは除霜ヒータ11が風の流れの抵抗になるのを阻止するためである。
これと共に、ガラス管11aが割れた場合でも、上記放熱フィン16がガラス管11a外周に取付けられていること、及びゴム栓同士を上部カバーで固着(後述)させたものであるから、ガラス管割れ時も、ゴム栓が上部カバーに支持されガラス管11aが斜くことがないので、垂れ下ったヒータ線が周囲部品に損傷を与えることがない。更には、ガラス管11a割れ時、冷蔵庫本体1の金属部に従来の如く電気がリークする等と云う問題がなくなるものである。
更には、コイル状に巻かれたヒータ線とガラス管との隙間を0.5mm以下としている。このため、0.5mmより大きくした場合と比較してヒータ線の単位長さ当りの発熱量を下げることができる。また、ガラス管が割れた時のコイル状ヒータ線の崩れをガラス管内壁で防止することができる。
次に図5、図6を用いて実施例1と異なる実施例を説明する。先ず図5に於いて、17はゴム栓であり、16は放熱フィンであり、11aはガラス管である。放熱フィン16は幅方向の一端縁がガラス管11aに当接(放熱フィン16の面がガラス管11aに直交)するように巻き付けられているため、前述したように、当然内径側と外径側における曲率の違いを吸収する必要がある。このため放熱フィン16の内側(ガラス管側)近くには絞り部16cが設けられ反ガラス管側は平面に作られている。このようにして放熱フィン16は図に示す如くゴム栓17間のガラス管11aに巻き付けられている。換言すると、この放熱フィン16はガラス管11aの両端に設けられたゴム栓間のガラス管11aの長さ一杯に設けられている。
16bは放熱フィンの巻き始めと終りに設けられた折り曲げ部である。この折り曲げ部16bは放熱フィンに巻き始めと終りにできる端部が上記ゴム栓17を損傷することを防止するためのものである。実施例1とは、この点が相違する。
勿論、この折り曲げ部16bのL2寸法は巻ピッチP1寸法より小さく作られているので、巻ピッチP1寸法がこの折り曲げ部16bのために変わることはない。尚、この巻ピッチP1は5mm〜15mmである。
次に図6に於いて、11aはガラス管、11bはヒータ線、16は放熱フィンを示す。先にも記述した如く、この放熱フィン16の巻ピッチP1は5〜15mmである。
そして、この放熱フィン16の巻ピッチP1及び外径寸法は、ガラス管11a表面温度を300℃近辺とするのに必要な放熱面積が確保できるピッチであり、外形寸法も25〜40mm(ここでは29mm)を有している。
尚、ヒータ線11bは発熱すると500℃近辺となる。このヒータ線11bの温度を350℃迄低下させるには、ガラス管11aの温度を300℃まで低下させる必要がある。これを放熱フィン16によって実現している。
図中符号P2はヒータ線11bの巻ピッチを示す。このヒータ線11bの巻ピッチP2を変えることによってもヒータ線11bの温度を可変することができる。しかし、本実施例の場合、ヒータ線11b温度が500℃以下になるようヒータの抵抗値が設定されている。
また、放熱フィン16のガラス管11aへの巻き方向はコイル状に巻いたヒータ線11bの巻き方向と逆にしている。すなわち、両者が交差するように巻回している。これはガラス管11aを介し放熱フィン16とガラス管11aとが重なるのを防止するためである。放熱フィン16とヒータ線11bとが重なると、放熱フィン16の内径側端縁によってガラス管11aの表面が蓋されたような形になり、ガラス管11aより放熱フィン16側に放熱されるべき熱が放熱フィン16の端縁で反射しヒータ線11b側に戻されヒータ線11bの温度を上げてしまう結果となるからである。
尚、図6は、ガラス管11a内のヒータ線11bと、ガラス管11a外の放熱フィン16との関係がより理解できるように模式的に描写した図であり、理解の妨げとなりうる線は省略している。
また、図6はヒータ線11bと放熱フィン16とが交差していることを強調するために描いたものであり、実際はヒータ線11bのピッチP2が小さい。
次に、図7、図8を用いてガラス管ヒータ11の取付け方について説明する。図に於いて、10は冷却器、11は除霜ヒータ、11aはガラス管、11bはヒータ線、15は上部カバー、15aは上部カバー15の取付脚、15bは取付脚15a同士を締結する締結片、16は放熱フィン、17はゴム栓、20は樋、20aは樋の排水口、20bは樋加熱用金属板(アルミニウム板)、19はヒータ線11bに給電するリード線、20cは除霜用ヒータを樋20に支える取付脚である。
上部カバー15は、薄いアルミニウムの板で作られており、放熱フィン16と同様ガラス管11aの放熱作用を行なわせるため、放熱フィン16に当接させている。勿論この上部カバー15は冷却器10より滴下する除霜水が直接ガラス管に当ることを防止する機能を有している。また、上部カバー15は、上部カバー15の両端を折り曲げて形成した取付脚15aを有しており、ゴム栓17に取付けられている。
この取付脚15aは、図7及び図8に示す如く、折り曲げられた部分に略U字状に切り欠くことで二又に分かれた2枚の取付脚となし、ゴム栓17側に設けられた取付溝17a内に上方から差し込むことでゴム栓17を挾持する。そして、この取付脚15aはゴム栓17を挾持した後、ゴム栓17の下部より下方に突き出した取付脚15a同士を絡めて締結している。すなわち、一方の取付脚15aに設けられた締結片15bを他側の取付脚に巻き付けるようにして締結している。これにより、上部カバー15はゴム栓17に対し、強固に、且つ回り止めされた状態で取付けられる。
尚、上記除霜ヒータ11のゴム栓17は樋20(合成樹脂製)に立設された取付脚20cに図8に示す如く取付けられている。樋20以外、例えば熱交換器10、に設けられた取付脚20cによって取付けられても機能的には何等問題がない。ゴム栓17に設けられる取付溝17aは、例えゴム栓17が丸形であっても、例えば角形に形成され、取付脚15aとの間の回り止めが可能な構造となっている。
また、図8に示すストッパー38は上部カバー15に設けられている。放熱フィン16は自身のもつ伸縮性によりガラス管11aの一方に片寄る場合がある。放熱フィン16が片寄ると、フィンが密集していないガラス管11a部分の放熱性能が低下し、温度上昇を招くといった問題がある。放熱フィン16が片寄る原因としては、冷蔵庫の搬送が挙げられる。例えば、集合住宅の階段を冷蔵庫を傾けて運搬する場合に片寄りが発生し、その後、この片寄りが解消しないままキッチンに据え付けられる状態が想定される。本実施例においては、ストッパー38をゴム栓17近くの上部カバー15に設けたので、冷蔵庫を傾けられても放熱フィン16が片寄ることを防止する。また、ストッパー38を上部カバー15とは別に、別部品として上部カバー15に取付けても良い。さらに、複数個のストッパー38を設けることで効果的に片寄りを防止することができる。要は、ガラス管11aに対し、放熱フィン16が動かなければ良く、如何なる形状でも構わない。
次に図9、図10を用いて実施例1とは異なる実施例を説明する。図に於いて、11は除霜ヒータ。この除霜ヒータ11はガラス管11a、ヒータ線11b、コイルエンド部11c、ゴム栓17等より構成されている。
21は接続金具でコイルエンド部11cとリード線19を接続する。そしてこの接続金具21はガラス管11a内に位置している。上記除霜ヒータ11は実施例1と同じものである。
実施例1と大きく異なる点は、ガラス管11aの外周に巻き付けられた放熱部材(放熱フィン)22である。この放熱フィン22は棒状(針金状)部材をコイル状に巻いて形成されている。この放熱フィン22は、実施例1に示した放熱フィン16に比較して放熱面積を取ることができないので巻ピッチが狭くなっている。この巻きピッチは、先にも記述したように、5〜15mm内である。
また、この放熱部材22は、放熱源を実施例1ほど大きくすることはできないが、発熱量を例えば160Wから140Wに低下させたヒータ線11bと組み合わせることによって、ガラス管11a、ヒータ線11b温度を所望の温度まで低下させることが可能である。すなわち、ヒータ線11bの温度は先の実施例で説明したヒータ線11bの温度略500℃より低いヒータとする分、放熱フィン22の放熱量を下げることができる。これにより、ガラス管11a、ヒータ線11bの温度を大巾に低減することができる。更に、万一、ガラス管11aが割れた場合でも、ガラス管11aは放熱フィン22により崩れを防止されるので、ヒータ線11bの垂れ下がりを抑えることができる。
図11、図12を用いて実施例1、3、4と異なる実施例を説明する。図に於いて、23は放熱部材(放熱フィン)付門形形状の上部カバーである。この上部カバー23の水平片、所謂天井面23aは、冷却器からの除霜水の滴下から除霜ヒータ11(図2)を保護する部材である。この上部カバー23は補助部材たる両側の垂直片23bを有している。この両側の垂直片23bは、除霜ヒータ11(図2)の熱を放熱する放熱フィン24を形成している。
すなわち、両側の補助部材たる垂直片23bに予め除霜ヒータ11を挿通することができる穴25を開けておき、これを図11に示す如く、互い違いに内側に折り曲げ、これら穴25を一致させ、ここに除霜ヒータ11を挿通するものである。このようにすることにより上部カバー23と放熱フィン24とを一枚のアルミニウム板によって製作することができるので、上部カバー23を放熱フィン24として活用できることは勿論、放熱フィン24を折り曲げ形成した後にできる窓26は加熱された空気の出口等になるので、門形形状の上部カバー23内に加熱空気が溜ることなく、冷却器側に送り込めるものである。
この時、穴25の穴径は除霜ヒータ11が直径10.5mmであった場合には、少し大きめ(10.7〜11.5mm位)に形成し、除霜ヒータ11のガラス管11aをこれら穴25にスムーズに挿通することができるようにしている。
尚、本実施例では門形形状の上部カバー23の補助部材たる垂直片23bの両方に切込みスリットを入れ、そのスリットより内側に折り曲げ、放熱フィンを形成した。しかし、上部カバー23を放熱フィン24の一部として利用する思想であれば、門形ではなく放熱面積との関係で種々の形状を選択しても構わない。
上記の如く構成することにより、ガラス管11aの放熱面積は放熱フィン24分拡大する。このことによりガラス管11a温度は大巾に低減される。
換言すると、ヒータ線11bの温度も低下する結果となり、ゴム栓17(図3)が熱の為、損傷することがないという効果を奏する。
更に、万一、ガラス管11aが割れるようなことがあっても、ガラス管11aは放熱フィン24により支えられるので、ガラス管が崩れ、内部のヒータ線11bが樋20(図2)側に垂れ下がることを抑える効果がある。
次に図13、図14をもって、炭化水素系のイソブタンを冷媒として使った冷蔵庫に除霜ヒータを使った例を説明する。除霜ヒータとしては、上記実施例1乃至実施例5に示したもののいずれを利用しても有効である。
図14は冷凍サイクルを示している。圧縮機26、凝縮器27、キャピラリチューブ28、冷却器29が直列にしかも環状に接続され、冷凍サイクルが構成されている。従来、この冷凍サイクル内に封入される冷媒には物性が安定し、扱いやすい点からフロン系冷媒が使用されていた。
しかし、近年はオゾン層破壊や地球温暖化への影響が極めて少ない炭化水素系冷媒、例えばプロパン(R−290a)やイソブタン(R600a)の展開が図られている。以下この炭化水素系冷媒をHC冷媒と称する。
上記冷凍サイクルには、このHC冷媒が封入されている。このHC冷媒は冷却器29の溶接部等に破損があった場合、除霜運転時に冷蔵庫内に漏洩することが考えられる。このHC冷媒が冷蔵庫内に充満すると、除霜ヒータが発熱した時、HC冷媒に引火する危険性がある。
即ち、除霜運転時には除霜ヒータより冷却器が加熱されるため、冷却器29内のイソブタンは大気圧よりも高い圧力(約3kg/cm2)となり、冷蔵庫内に漏洩する。尚、冷却運転時には冷却器内のイソブタンは大気圧に対し、負圧になっておりイソブタンが冷蔵庫内に漏洩することはない。
次に図14において、30は冷気循環ファン、31は除霜ヒータである。冷気循環ファン30は冷却器29で冷却された冷気を冷凍室、或いは冷蔵室に強制的に冷気を循環する。また、除霜ヒータ31は上記冷却器29に霜が堆積した時、その霜を融解する為のもので、具体的構成は図13の通りである。
図において31は除霜ヒータであり、31aはガラス管を示し、31bはヒータ線を示す。このヒータ線31bはコイル部aとコイルエンド部bから成り、コイル部aはガラス管31aの内径が8.5mmの時には外径7.5mmのコイルに巻かれている。そしてこの巻ピッチは2.0mm以下で巻かれている。巻ピッチ2.0mm以下とすると隣り合うヒータ線同士の影響を受け、ヒータ線31bのコイル部a自身の発熱以上に温度上昇する。
上述のような構成を備える除霜ヒータ31にあっては、コイル部aに対向するガラス管31a温度は、先の実施例で説明したようにヒータ線31bの温度近くまで上昇する。本実施例では、コイル部aは外径7.5mmに巻かれており、ガラス管31aの内径を8.5mmとしているため、ガラス管31aのうち、コイル部aに対向する部分の温度がヒータ線31bの温度と近くなるため、この熱で両端のゴム栓32はその熱で損傷してしまうこととなる。
ヒータ線31bの直線部bは、両端のゴム栓32の損傷を防止するためヒータ線31bを直線状にした部分を指している。この部分の発熱量は当然少ないため、この直線部bに対向するガラス管31aの部分の温度は、コイル部aに相当するガラス管31a温度迄には到達しない。
しかし、この直線部bの寸法が短い時にはコイル部aの熱影響を受け、ガラス管内の空気温度、ガラス管31aも当然加熱される。この為、通常はL2寸法を15mm以上確保しておく必要がある。
ゴム栓32はガラス管31aの両端を封止するもので耐熱性(例えば145℃)のシリコンゴム等で作られている。
33は仕切板でガラス管端部に設けられ、ヒータ線31bのコイル部aの位置決めを行なう。34はコイルエンド部bとリード線35を接続する接続金具。この接続金具34の位置も先の仕切板33により位置決めされる。このことにより、ゴム栓32とコイル部aのL2寸法は所定寸法に設定できるものである。
かかる構成を有する除霜ヒータ31を備えた冷蔵庫に於いて、冷却器29に霜が堆積し、霜取りを必要とした時には除霜ヒータ31への通電が開始される。この除霜ヒータへの通電が開始された時、若し冷却器29に破損部があった場合、その破損部よりHC冷媒が漏洩する。このHC冷媒、例えばイソブタンの発火温度は494℃であるため、この発火温度よりもヒータ線31bの温度を低くする必要がある。本実施例では、さらに安全を考慮し例えば394℃に設定している。
すなわち、本実施例は先の除霜ヒータ31(ガラス管31a、ヒータ線31b)に放熱フィン36を設け394℃以下にするものである。この放熱フィン36は実施例1、2、3等で示す形状及び形態で任意に選べば良い。必要なのは除霜ヒータ31の温度を下げることができる放熱部材(放熱フィン)、例えば、ガラス管31aよりも熱伝導率の高い部材を放熱部材である。
なお、本実施例においては、可燃性冷媒に対して防爆性を考慮し使用される二重ガラス管ヒータでなく、一重のガラス管としている。上述のような一重ガラス管においては、放熱フィン36によりガラス管31a温度を低下させることができ、この作用によってガラス管31a内の空気温度をも下げることができるので、ガラス管内設けられるヒータ線31bの温度の上昇を抑えヒータ線31bの温度までも394℃以下にすることができる。
すなわち、二重ガラス管を用いた場合には、内側のガラス管と外側のガラス管との間の空気が断熱材の役目を果してしまい、たとえ放熱フィンを付けても直ちにヒータ線温度を394℃以下にすることはできず、他に巻き線のピッチを変える等の方法が必要となってしまう。本実施例は二重ガラス管とは異なる構造としており、ヒータ線31bの熱がガラス管を経て放熱フィンに奪われるため、ガラス管及びヒータ線の温度を394℃以下とすることができる。また、このように効率的にヒータ線31bの熱が放熱フィン36によって周囲に伝わるため、冷却器29の除霜を小さい消費電力で行うことが可能となる。
なお、以上示した実施例における冷蔵庫は、上から冷凍室、冷蔵室を備えた冷蔵庫であるが、本発明にかかる冷蔵庫はこれに限らず、冷却器の下部に除霜ヒータを配置し、その下部に樋を有する冷蔵庫であれば、例えば上から回転扉式の冷蔵室、引出し扉式の野菜室、引出し扉式の冷凍室を備えたものであっても構わない。また、当然ながら、冷気の戻り流路についても、図1に示された流路に限らず、他形式、例えば、冷却器の側方下部に戻る流路形式であっても何等差し支えない。
以上、実施例1乃至実施例5に示した実施例によれば次のような効果を有する。
即ち、ガラス管内にコイル状に巻かれたヒータ線を内蔵し、両端をゴム栓で密封した除霜用ヒータを、樋側に設けた取付脚に設置した冷蔵庫において、内周が上記ガラス管外周に接するか若しくは近接するよう取付けられた放熱部材(放熱フィン)をゴム栓間に設けたことにより、ヒータ線から出た熱線が再び除霜ヒータに戻ることがない。また、コイル状に巻かれたヒータ線とガラス管との隙間を0.5mm以下とし、ヒータ線からのガラス管への伝熱を良くしたので、ガラス管温度は勿論、ヒータ線の温度を下げることができるものである。このことによって、ゴム栓の損傷等をなくすことができる冷蔵庫が得られるものである。
また、上部カバーをアルミニウム等の薄板金属板で形成すると共に、この上部カバーの両端取付脚をゴム栓に取付けたものであるから、例えガラス管が割れるようなことがあっても上記上部カバー部材が芯材となり上記ガラス管が割れ部から座屈し、例えばV字状に変形するのを防止することができるものである。
また、上部カバーの両端を折り曲げて形成した取付脚を二又に分かれた取付脚とし、ゴム栓を挾持した後、取付脚の一方に設けた締結片を他側の取付脚に締結するようにしたので、上部カバーとゴム栓との締結は確実となり、ガラス管割れ時等にはゴム栓を介し、上部カバーがガラス管の座屈を防止できるものである。
また、放熱部材を形成する帯状薄板をコイル状にガラス管に巻き付け放熱部(放熱フィン)を構成すると共に、放熱フィンのガラス管への巻き方向をコイル状に巻いたヒータ線の巻き方向と逆にしたものであるから、ヒータ線と放熱フィンとが重なりヒータ線の放熱が阻害されることがないものである。
また、ガラス管に巻き付けられるアルミニウム等の放熱フィンとガラス管との隙間を0.1〜0.5mmとし、ガラス管から放熱フィンへの伝熱を良くしたので、ガラス管への放熱フィンの組み込みが容易に行なえることは勿論、ガラス管から放熱フィンへの伝熱も良好に行なわれるものである。
また、冷却器の幅方向に除霜ヒータの長手方向を設置すると共に、アルミニウム製放熱フィンの外径を冷却器厚みの1/2以下としたので、除霜用ヒータ下部より吸い込まれ、この除霜ヒータを経由して冷却器に吸い込まれる冷気の妨げとならない。
また、アルミニウム製放熱フィンの端部が、ガラス管端部を封止するゴムキャップに当らないようゴムキャップと反対側に折り曲げたので、放熱フィンによりゴム栓を損傷することがない。
また、上部カバー及び放熱フィンを、吸熱作用を促進する塗装若しくはアルマイト処理したので、ガラス管を含めヒータ線の熱は効率よく放熱フィンを通して冷却器側に放熱されるものである。
また、帯状薄板金属板はガラス管と接する側が絞られ、他側が平面としたので、曲率の異なる金属板をガラス管に巻き付けることができることは勿論、ガラス管に近い所の放熱フィン部の面積を拡大できるものである。
また、ガラス管内にコイル状に巻かれ、HC冷媒の発火温度(近傍)まで温度上昇可能な能力(熱容量の大きい)を持つヒータ線を内蔵し、両端をゴム栓で封止した除霜ヒータを冷却器下部に設置し、冷媒として炭化水素系のイソブタンを用いた冷蔵庫において、除霜ヒータを構成するガラス管の表面温度及びヒータ線温度とを設定温度以下に抑えるような放熱効果を持つ放熱部材(放熱フィン)に選定したので、通常の除霜運転時は、ヒータ線が発する熱量の多くを温度としてではなく熱容量として霜に供給することができ、冷却器の破損部等よりHC冷媒が漏れるようなことがあってもHC冷媒のヒータ線の温度上昇を抑えているので発火源とはならない。また、上部カバーを放熱部材の一員として利用すればさらに放熱容量を増すことができる。
また、除霜ヒータの発熱時の温度を炭化水素系のイソブタンの発火点温度494℃から、例えばマイナス100℃である394℃とするために放熱部材(放熱フィン)の巻き方向をヒータ線の巻き方向とは逆にしたものであるから、除霜ヒータがHC冷媒の引火源とならない。