JP4944403B2 - 固体高分子型燃料電池のカソードガス供給装置 - Google Patents

固体高分子型燃料電池のカソードガス供給装置 Download PDF

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Description

この発明は固体高分子型燃料電池のカソードガス供給装置に関する。
燃料電池は、電解質膜の含水量が減少すると発電効率が低下する。そこで、従来より、燃料電池にカソードガス(反応空気)を供給するカソードガス供給装置において、カソードガスの通路の途中に加湿器を設けてカソードガスを加湿し、燃料電池の電解質膜の含水量を増加させて発電効率を向上させるようにした技術が種々提案されている。
例えば特許文献1に記載される技術にあっては、カソードガスの通路と、燃料電池から排出されたカソードオフガスの通路と、それらを隔てる加湿膜(水蒸気透過膜)とからなる加湿器を設け、カソードオフガスに含まれる水蒸気(生成水)を加湿膜を介してカソードガスに供給することで、カソードガスを加湿するように構成している。
特開2003−17097号公報(段落0048,0049,0058、図1など)
しかしながら、カソードガスを所望の湿度になるまで加湿するには、上記したカソードガスやカソードオフガスの通路、および加湿膜などの面積をある程度増大させる必要がある。そのため、加湿器の体積が大きくなってしまい、装置の小型化の妨げになるという不具合があった。
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、燃料電池に供給されるカソードガスを所望の湿度になるまで加湿することができると共に、装置を小型化できるようにした固体高分子型燃料電池のカソードガス供給装置を提供することにある。
上記の目的を解決するために、請求項1にあっては、空気を吸引して固体高分子型の燃料電池にカソードガスとして供給するエアブロワと、前記エアブロワの上流側に配置され、前記エアブロワに吸引される空気に含まれる粉塵を除去するエアクリーナと、前記燃料電池から排出されるカソードオフガスの少なくとも一部を前記エアクリーナに供給し、前記エアクリーナにおいて前記カソードオフガスが前記空気に混合されるカソードオフガス供給流路とを備えるように構成した。
また、請求項2にあっては、前記カソードオフガス供給流路は、前記エアクリーナに供給される前記カソードオフガスの流量を調整する流量調整手段を備えるように構成した。
また、請求項3にあっては、前記カソードオフガス供給流路は、前記エアクリーナに供給される前記カソードオフガスを導入して気体成分と液体成分に分離する気液分離手段を備えるように構成した。
請求項1に係る固体高分子型燃料電池のカソードガス供給装置にあっては、空気を吸引して固体高分子型の燃料電池にカソードガスとして供給するエアブロワと、エアブロワの上流側に配置され、エアブロワに吸引される空気に含まれる粉塵を除去するエアクリーナと、燃料電池から排出されるカソードオフガスの少なくとも一部をエアクリーナに供給し、エアクリーナにおいてカソードオフガスが空気に混合されるカソードオフガス供給流路とを備える、即ち、カソードオフガスの少なくとも一部がエアブロワによって吸引され、カソードオフガス供給流路を介してエアクリーナに供給されるように構成したので、エアクリーナを通過するカソードガス(空気)を、カソードオフガスに含まれる生成水(水蒸気)によって加湿することができる。従って、加湿器のカソードガスやカソードオフガスの通路、および加湿膜などの面積を従来技術に比して減少させる、あるいは加湿器を除去したとしても、カソードガスを所望の湿度になるまで加湿することができる。また、加湿器を小型化あるいは除去することで装置全体を小型化できる。
また、請求項2に係る固体高分子型燃料電池のカソードガス供給装置にあっては、カソードオフガス供給流路は、エアクリーナに供給されるカソードオフガスの流量を調整する流量調整手段を備える、即ち、エアクリーナに供給されるカソードオフガスの流量を調整してカソードガスに供給されるカソードオフガスの生成水の量を調整するように構成したので、上記した効果に加え、エアクリーナを通過するカソードガスが所望の湿度以上に加湿されるのを防止することができる。
また、請求項3に係る固体高分子型燃料電池のカソードガス供給装置にあっては、カソードオフガス供給流路は、エアクリーナに供給されるカソードオフガスを導入して気体成分と液体成分に分離する気液分離手段を備える、換言すれば、生成水を含むカソードオフガスを、気体となった水分(生成水)を含むカソードオフガスと、液体となった水分(生成水)とに分離するように構成したので、上記した効果に加え、液体となった水分がカソードガスに供給されるのを防止できる。これによりエアブロワは、気体となった水分のみを含むカソードガスを吸引することとなるため、液体となった水分を吸引することで発生する故障などを防止することができる。
以下、添付図面に即してこの発明に係る固体高分子型燃料電池のカソードガス供給装置の最良の実施の形態について説明する。
図1は、この発明の第1実施例に係る燃料電池のカソードガス供給装置を含む燃料電池の構成を示す概略図である。
図1において、符号10は燃料電池(スタック)を示す。燃料電池10は、電解質膜(固体高分子膜)と、それを挟持するカソード極(空気極)とアノード極(燃料極)と、各電極の外側に配置されるセパレータとから構成される単電池を複数個積層して形成された、公知の固体高分子型燃料電池である。
燃料電池10には、燃料電池10のカソード極にカソードガスを供給するカソードガス供給系(以下「カソードガス供給装置」という)12と、アノード極にアノードガス(水素ガス)を供給するアノードガス供給系14と、燃料電池10に冷却水を循環させる冷却/熱出力系18と、燃料電池10で発生した電力を制御する電力制御系20とが接続される。
カソードガス供給装置12は、大気(空気)を吸引して燃料電池10にカソードガスとして供給するエアブロワ24と、エアブロワ24の上流側に配置されてエアブロワ24に吸引される空気に含まれる粉塵を除去するエアクリーナ26と、エアクリーナ26の上流側に配置されてエアクリーナ26を通過する空気量に応じた信号を電子制御ユニット(後述)へ出力する流量センサ28と、エアブロワ24の下流側に配置されると共に、カソードガスを燃料電池10から排出されるカソードガス(以下「カソードオフガス」という)によって加湿する加湿器30とを備える。エアブロワ24は、その吸入口(図示せず)がエアクリーナ26を介して大気と連通されると共に、吐出口(図示せず)が加湿器30を介して燃料電池10のカソードガス導入口(図示せず)に接続される。
カソードガス供給装置12はさらに、カソードオフガス供給流路34を備える。カソードオフガス供給流路34の一端は、加湿器30を介して燃料電池10のカソードガス排出口(図示せず)に接続される一方、他端はエアクリーナ26に接続される。これにより、燃料電池10から排出されたカソードオフガスは、カソードオフガス供給流路34を介してエアクリーナ26に供給される。
カソードオフガス供給流路34の途中には、エアクリーナ26に供給されるカソードオフガスを導入して気体成分と液体成分に分離する気液分離器(気液分離手段)36と、エアクリーナ26に供給されるカソードオフガスの流量を調整する流量調整弁(流量調整手段)38とが配置される。尚、流量調整弁38は、ノーマル・クローズ型の電磁弁(非通電時に閉弁し、通電時に開弁する電磁弁)であり、燃料電池10の非運転時は閉弁されているものとする。
また、気液分離器36にはカソードオフガス排気流路40が接続され、その一端は気液分離器36に接続される一方、他端は大気に開放される。これにより、気液分離器36に導入されたカソードオフガスの内、エアクリーナ26に供給されないカソードオフガスは、カソードオフガス排気流路40を介して大気中に排気される。
尚、以下において、カソードオフガス供給流路34であって、カソードオフガスの流れにおいて気液分離器36より上流側の部分を「第1のカソードオフガス供給流路」と呼び、符号34aで示すと共に、下流側の部分を「第2のカソードオフガス供給流路」と呼び、符号34bで示す。
アノードガス供給系14は、図示しない改質器などを備える。アノードガス供給系14の一端は燃料電池10のアノードガス導入口(図1で図示せず)に接続されると共に、他端は都市ガスの供給源(図示せず)に接続される。アノードガス供給系14は、都市ガスを改質して得た水素ガスを、燃料電池10にアノードガスとして供給する。
冷却/熱出力系18は、冷却水を燃料電池10に圧送する冷却水ポンプ42と、冷却水を放熱させるラジエータ44と、冷却水と熱負荷(例えば、コージェネレーションシステム用の温水器など)46と熱の交換(授受)を行う熱交換器48と、冷却水の不純物を除去するイオンフィルタ50とからなる。冷却水ポンプ42は、その吐出口(図示せず)が燃料電池10の冷却水導入口(図1で図示せず)に接続されると共に、吸入口(図示せず)がラジエータ44、熱交換器48、イオンフィルタ50を介して燃料電池10の冷却水排出口(図1で図示せず)に接続される。
電力制御系20は、マイクロコンピュータからなる電子制御ユニット(Electronic Control Unit。以下「ECU」という)52と、燃料電池10が発生した電力(直流電流)を所定の周波数の交流電流に変換するインバータ54などからなり、燃料電池10が発生した電力を出力する出力端子56に接続される。
ECU52は、前記した流量センサ28およびインバータ54などと信号線58を介して接続される。さらにECU52は、流量調整弁38の駆動回路(図示せず)に信号線58を介して接続されると共に、流量調整弁38を励磁・非励磁することで開閉弁し、その動作を制御する。またインバータ54には、電気負荷(例えば、コージェネレーションシステム用の照明器具などの交流電気機器)60が接続される。
上記した如く、燃料電池10には、燃料電池10を動作させて発電を行うことにより電力が供給される電気負荷60と、その発電に伴う燃料電池10の排熱を利用して熱エネルギーが供給される熱負荷46とが接続される。従って、燃料電池のアノードガス供給装置12を含む燃料電池10は、コージェネレーションシステムの一部として組み込まれる。
次いで、燃料電池のカソードガス供給装置12について、コージェネレーションシステムの一部として構成したときを例にとってさらに説明する。
図2は、燃料電池のカソードガス供給装置12をコージェネレーションシステムの一部として構成したときのコージェネレーションシステムの斜視図である。尚、図2において、カソードガス供給装置12の構成がよく示されるように、配管や壁面など一部の構成について図示を省略した。
図2において、符号62はコージェネレーションシステムを示す。コージェネレーションシステム62は、直方体を呈するフレーム64の内部空間に収容される。以下、フレーム64の内部空間の内、上側の内部空間を「上側内部空間」と呼び、符号64aで示す。また、下側の内部空間を「下側内部空間」と呼び、符号64bで示す。尚、この明細書において、上側、下側、あるいは上部や下部などの上下関係を示す記載は、全て重力方向における上下関係を表すものとする。
上側内部空間64aには、前記した燃料電池10が配置される。燃料電池10には、上記したアノードガス導入口10a、アノードガス排出口10b、カソードガス導入口、カソードガス排出口(いずれも見えず)、冷却水導入口10cおよび冷却水排出口10dが形成されると共に、出力端子56が接続される。
一方、下側内部空間64bであって図2の右側の空間には、上記した冷却/熱出力系18、即ち、冷却水ポンプ42と、ラジエータ44と、熱交換器48と、イオンフィルタ50が適宜に配置される。
また、下側内部空間64bであって図2の左側の空間には、カソードガス供給装置12、即ち、エアブロワ24と、エアクリーナ26が収容されるエアクリーナボックス66と、流量センサ28と、加湿器30と、第1および第2のカソードオフガス供給流路34a,34b(第1のカソードオフガス供給流路34aは見えず)と、気液分離器36と、流量調整弁38(図2で見えず)と、カソードオフガス排気流路40が配置される。
図に示すように、エアブロワ24とエアクリーナボックス66は一体的に形成され、その上端付近には流量センサ28が取り付けられる。流量センサ28の近傍には、矢印で示す方向から大気(空気)が流入される流入口68が配置される。また、一体的に形成されたエアブロワ24とエアクリーナボックス66の紙面において奥側には、加湿器30が配置される。
エアブロワ24とエアクリーナボックス66の右側、別言すれば、エアブロワ24とイオンフィルタ50との間には、気液分離器36が配置される。気液分離器36は、前述したように、第1のカソードオフガス供給流路34aを介して燃料電池10のカソードガス排出口(図示せず)に接続されると共に、第2のカソードオフガス供給流路(気相配管)34bを介してエアクリーナ26が収容されたエアクリーナボックス66に接続される。
図3は、図2に示すコージェネレーションシステム62に組み込まれたカソードガス供給装置12の気液分離器36の断面図である。
気液分離器36は、外観視において略円筒状を呈すると共に、その上面が開口されたケース70と、ケース70の開口を封止するプレート(蓋)72とを備える。ケース70の内部には空間が形成され、その空間は、ケース70の中央付近に配置されたセパレータ74によって、上部空間70aと下部空間70bの2つの空間に区画される。セパレータ74の中央部には、円形状の孔74aが穿設される。従って、上部空間70aと下部空間70bは、孔74aによって連通される。
ケース70の下部空間70bの側面には、第1の開口部70cが穿設される。第1の開口部70cには、第1のカソードオフガス供給流路34aが接続される。即ち、気液分離器36の下部空間70bには、燃料電池10から排出されたアノードオフガスの導入口が設けられる。
また、下部空間70bにおいて第1の開口部70cより下方の側面には、第2の開口部70dが穿設される。第2の開口部70dには、図3に示すように、排水管76が接続される。
排水管76は、図示の如く、逆U字管からなる。排水管76について具体的に説明すると、排水管76の一端76aは、ケース70の底面(下面)付近となるように配置され、一端76aから屈曲して上方に突出する円弧状部76bが形成される。排水管76の他端76cは、円弧状部76bから下方に向けて延設される。このとき、他端76cの底面76c1は、ケース70の底面より下方の位置となるように配置される。また他端76cには、排水管76を流動する液体を外部に排出する排水流路(図示せず)が接続される。このように、ケース70の下部空間70bにおいて前記第1の開口部70cよりも下方の位置には、ケース70の底面に集められる液体の排水口が設けられる。
ケース70の上部空間70aであって第1の開口部70cと略対向する側面には、第3の開口部70eが穿設される。第3の開口部70eには、第2のカソードオフガス供給流路34bが接続される。即ち、気液分離器36の上部空間70aには、エアクリーナ26に供給されるべきカソードオフガスの排出口が設けられる。
さらに、上部空間70aの側面には、第4の開口部70fが穿設される。第4の開口部70fには、カソードオフガス排気流路40が接続される。従って、上部空間70aには、気液分離器36に導入されたカソードオフガスの内、エアクリーナ26に供給されないカソードオフガスの排出口が設けられる。
次いで、燃料電池のカソードガス供給装置12を含む燃料電池10の動作について、図1を参照して説明する。
カソードガス(大気)は、エアブロワ24によって吸引されると共に、エアクリーナ26で粉塵が除去される。このとき、エアクリーナ26付近はエアブロワ24の吸引によって大気圧以下(負圧)の状態となるため、燃料電池10から排出されたカソードオフガスは、第1および第2のカソードオフガス供給流路34a,34bを介してエアクリーナ26に流入(供給)させられることとなる。
ここで、上記したカソードオフガスは、第1のカソードオフガスガス流路34aを介して気液分離器36に導入される。気液分離器36に導入されたカソードオフガスは、図3に示すケース70の下部空間70bに流入した後、セパレータ74の孔74aを通過して上部空間70aに流入する。
尚、このカソードオフガスには、後述する如く、燃料電池10によって生成された水分(生成水)、正確には、気体となった水分と液体となった水分が含まれる。従って、カソードオフガスは、セパレータ74の孔74aを通過することで気体となった水分を含むカソードオフガスである気体成分と、液体となった水分である液体成分とに分離される。
気体となった水分を含むカソードオフガスは、上部空間70aから第2のカソードオフガス供給流路34bへ流入する。このときECU52は、流量調整弁38の動作を制御して第1のカソードオフガス供給流路34aを流動するカソードオフガスの流量を調整する。具体的には、ECU52は、流量センサ28から出力される信号に基づいて、カソードガス(新気)に対するカソードオフガスの割合が所定値、具体的には約40%以下となるように流量調整弁38を励磁して開弁する。
流量調整弁38で流量が調整されたカソードオフガスは、エアクリーナボックス66、正確には、エアクリーナボックス66のエアクリーナ26に供給される。また、気体となった水分を含むカソードオフガスの内、流量調整弁38での流量調整によってエアクリーナボックス66のエアクリーナ26に供給されないカソードオフガスは、カソードオフガス排気流路40を介して排気される。
一方、液体となった水分は、ケース70の底面に集められる。ケース70の底面に集められた水分は、排水管76の一端76aから排水管76に流入し、円弧状部76bに達すると、他端76cへ流動し、そこから排水流路に流出して外部に排水される。
このように、燃料電池10から排出されたカソードオフガスは、気液分離器36によって気体成分と液体成分(別言すれば、気体となった水分のみを含むカソードオフガスと液体となった水分)とに分離させられ、気体成分の少なくとも一部のみが第2のカソードオフガス供給流路34bを介してエアクリーナ26に供給される。これによりカソードガスは、エアクリーナ26において、気体となった水分のみを含むカソードオフガスと混合されて加湿される。
図1の説明を続けると、エアクリーナ26でカソードオフガスが混合されたカソードガスは、加湿器30に流入し、そこで燃料電池10から排出されたカソードオフガスに含まれた水分(生成水)の供給を受けて所望の湿度となるまで加湿された後、燃料電池10のカソード極に供給される。
燃料電池10のカソード極に供給されたカソードガスは、アノード極に供給されたアノードガスと電気化学反応を生じる。カソード極およびアノード極で生じる電極反応は、具体的には下記の通りである。
アノード極:H→2H+2e
カソード極:1/2O+2H+2e→H
従って、全体の反応は下記となる。
全体:H+1/2O→H
上記の反応によって燃料電池10が発生した電力(直流電流)は、出力端子56から取り出され、その一部がECU52や冷却水ポンプ42、エアブロワ24などの補機類の電源として使用されると共に、残部がインバータ54によって所定の周波数の交流電流に変換された後、電気負荷60に供給される。
燃料電池10から排出されたカソードオフガスは、加湿器30を通過した後、少なくとも一部は、前述したように、第1および第2のカソードオフガス供給流路34a,34bを介してエアクリーナ26に供給される一方、残部はカソードオフガス排気流路40を介して大気中に排出される。
加湿器30は、カソードガスが通過するカソードガス通路と、カソードオフガスが通過するカソードオフガス通路と、各通路を隔てる水蒸気透過膜(いずれも図示せず)とからなる。上記した電極反応から明らかなように、カソードオフガスには発電によって生成された水分(生成水)が含まれる。かかる生成水は、加湿器30の内部に設けられた水蒸気透過膜を透過してカソードガスに供給され、所望の湿度になるまで加湿する。
尚、これらカソードガス通路、カソードオフガス通路および水蒸気透過膜の面積は従来技術のそれに比して減少させられ、加湿器30は小型化される。即ち、加湿器30を通過するカソードガスは、上記した如く、エアクリーナ26においてカソードオフガスの生成水、正確には、気体となった水分が供給されて予め加湿されているため、小型の加湿器30であってもカソードガスを所望の湿度になるまで加湿できる。
燃料電池10のアノードガス排出口(図1で図示せず)から排出されたアノードガス(未反応ガス)は、アノードガス供給系14に還流されて再度燃料電池10に供給され、再利用される。
冷却水ポンプ42から吐出された冷却水は、燃料電池10の内部を通過して燃料電池10を冷却する。燃料電池10を冷却することによって昇温させられた冷却水は、不純物がイオンフィルタ50によって除去された後、熱交換器48に供給され、そこで温水器などの熱負荷46と熱の授受が行われる。次いで、冷却水はラジエータ44を通過して大気に放熱させられる。イオンフィルタ50、熱交換器48およびラジエータ44を通過した冷却水は、冷却水ポンプ42に吸入され、上記した経路を再度循環する。
このように、この発明に係る固体高分子型燃料電池のカソードガス供給装置12にあっては、空気を吸引して固体高分子型の燃料電池10にカソードガスとして供給するエアブロワ24と、エアブロワ24の上流側に配置され、エアブロワ24に吸引される空気に含まれる粉塵を除去するエアクリーナ26と、燃料電池10から排出されるカソードオフガスの少なくとも一部をエアクリーナ26に供給し、エアクリーナ24においてカソードオフガスが空気に混合されるカソードオフガス供給流路34とを備える、即ち、カソードオフガスの少なくとも一部がエアブロワ24によって吸引され、カソードオフガス供給流路34を介してエアクリーナ26に供給されるように構成したので、エアクリーナ26を通過するカソードガスを、カソードオフガスに含まれる生成水(水蒸気)によって加湿することができる。従って、加湿器30のカソードガスやカソードオフガスの通路、および加湿膜などの面積を従来技術に比して減少させたとしても、カソードガスを所望の湿度になるまで加湿することができる。また、加湿器30を小型化することで装置全体を小型化できる。
また、カソードオフガス供給流路34は、エアクリーナ26に供給されるカソードオフガスの流量を調整する流量調整弁38を備える、即ち、エアクリーナ26に供給されるカソードオフガスの流量を調整、具体的には、カソードガス(新気)に対するカソードオフガスの割合が所定値(約40%以下)となるように調整してカソードガスに供給されるカソードオフガスの生成水の量を調整するように構成したので、エアクリーナ26を通過するカソードガスが所望の湿度以上に加湿されるのを防止することができる。
また、カソードガスとカソードオフガスは共に、エアブロワ24によって流動するように構成したので、流量調整弁38をカソードガスに対するカソードオフガスの割合が所定値となるように一度調整すれば、エアブロワ24に吸引されるカソードガスの多寡にかかわらず、その割合を保つことができる。
具体的に説明すると、燃料電池10に多量のカソードガスが供給されるときには、エアクリーナ26付近、即ち、エアクリーナボックス66の負圧も大きくなり、よってエアクリーナ26へ供給されるカソードオフガスの量も多くなって前記した割合を保つことができる。一方、燃料電池10に少量のカソードガスが供給されるときには、エアクリーナボックス66の負圧も小さくなり、よってエアクリーナ26へ供給されるカソードオフガスの量も少なくなって前記した割合を保つことができる。尚、カソードオフガスの量が少なくなると、加湿器30でカソードガスに供給される生成水の量も減少することとなる。しかしながら、加湿器30の加湿能力はカソードガスとカソードオフガスの水蒸気透過膜を介して接触している時間の長短によるので、カソードガスは、カソードオフガスの量が少ない場合であっても、カソードオフガスとの接触時間が長くなることで所望の湿度まで加湿される。
さらに、流量調整弁38を調整してカソードガスに対するカソードオフガスの割合を前記した所定値よりも増加させると、カソードガスをエアクリーナ26において所望の湿度になるまで加湿することが可能となる。これにより、加湿器30を除去することができ、よって装置全体をより一層小型化できる。
また、カソードオフガス供給流路34は、エアクリーナ26に供給されるカソードオフガスを導入して気体成分と液体成分に分離する気液分離器36を備える、換言すれば、生成水を含むカソードオフガスを、気体となった水分(生成水)を含むカソードオフガスと、液体となった水分(生成水)とに分離するように構成したので、液体となった水分がカソードガスに供給されるのを防止できる。これによりエアブロワ24は、気体となった水分のみを含むカソードガスを吸引することとなるため、液体となった水分を吸引することで発生する故障などを防止することができる。
以上のように、この発明の第1実施例にあっては、空気を吸引して固体高分子型の燃料電池(10)にカソードガスとして供給するエアブロワ(24)と、前記エアブロワの上流側に配置され、前記エアブロワに吸引される空気に含まれる粉塵を除去するエアクリーナ(26)と、前記燃料電池から排出されるカソードオフガスの少なくとも一部を前記エアクリーナに供給し、前記エアクリーナにおいて前記カソードオフガスが前記空気に混合されるカソードオフガス供給流路(34。第1および第2のカソードオフガス供給流路34a,34b)とを備えるように構成した。
また、前記カソードオフガス供給流路(34)は、前記エアクリーナ(26)に供給される前記カソードオフガスの流量を調整する流量調整手段(ECU52。流量調整弁38)を備えるように構成した。
また、前記カソードオフガス供給流路(34)は、前記エアクリーナ(26)に供給される前記カソードオフガスを導入して気体成分と液体成分に分離する気液分離手段(気液分離器36)を備えるように構成した。
尚、上記において、カソードオフガスの流量を流量調整弁(電磁弁)38によって調整、具体的にはECU52によって電磁弁の動作を制御し、自動的に調整するように構成したが、流量調整弁38を手動弁としてオペレータが操作する、あるいはカソードオフガス供給路34の管径を適宜な値に設定して流量を調整するようにしてもよい。
また、流量調整弁38を調整してカソードガスに対するカソードオフガスの割合を約40%以下となるようにしたが、その数値は例示であって限定されるものではない。
また、カソードオフガス供給流路34のカソードオフガスにおいて、液体となった水分を気液分離器36によって分離するようにしたが、カソードオフガス供給流路34を、排気系16のカソードオフガスの流れにおいて加湿器30より下流側の通路の上部から分岐し、カソードオフガス供給流路34に液体となった水分が流入しないようする構成であってもよい。
また、燃料電池10を固体高分子型としたが、それに限られるものではなく、他の形式であってもよい。
また、カソードガス供給装置12が搭載される機器をコージェネレーションシステム62としたが、他の機器に搭載してもよい。
また、燃料電池10の燃料として都市ガスを使用するよう構成したが、LPガス、灯油、メタノール、ナフサ、バイオマス、ガソリンなどであってもよい。
この発明の第1実施例に係る燃料電池のカソードガス供給装置を含む燃料電池の構成を示す概略図である。 図1に示す燃料電池のカソードガス供給装置をコージェネレーションシステムの一部として構成したときのコージェネレーションシステムの斜視図である。 図2に示すコージェネレーションシステムに組み込まれたカソードガス供給装置の気液分離器の断面図である。
符号の説明
10 燃料電池、24 エアブロワ、26 エアクリーナ、34a 第1のカソードオフガス供給流路(カソードオフガス供給流路)、34b 第2のカソードオフガス供給流路(カソードオフガス供給流路)、36 気液分離器(気液分離手段)、38 流量調整弁(流量調整手段)、52 電子制御ユニット(ECU。流量調整手段)

Claims (3)

  1. 空気を吸引して固体高分子型の燃料電池にカソードガスとして供給するエアブロワと、前記エアブロワの上流側に配置され、前記エアブロワに吸引される空気に含まれる粉塵を除去するエアクリーナと、前記燃料電池から排出されるカソードオフガスの少なくとも一部を前記エアクリーナに供給し、前記エアクリーナにおいて前記カソードオフガスが前記空気に混合されるカソードオフガス供給流路とを備えることを特徴とする固体高分子型燃料電池のカソードガス供給装置。
  2. 前記カソードオフガス供給流路は、前記エアクリーナに供給される前記カソードオフガスの流量を調整する流量調整手段を備えることを特徴とする請求項1記載の固体高分子型燃料電池のカソードガス供給装置。
  3. 前記カソードオフガス供給流路は、前記エアクリーナに供給される前記カソードオフガスを導入して気体成分と液体成分に分離する気液分離手段を備えることを特徴とする請求項1または2記載の固体高分子型燃料電池のカソードガス供給装置。
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