JP4942063B2 - 異常凝結遅延防止普通ポルトランドセメント - Google Patents

異常凝結遅延防止普通ポルトランドセメント Download PDF

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Description

この発明は、異常凝結遅延防止普通ポルトランドセメント、詳しくは遅延形AE減水剤を過剰に添加しても、作製されたモルタルおよびコンクリートが著しい凝結遅延を起こさない異常凝結遅延防止普通ポルトランドセメントに関する。
普通ポルトランドセメントの凝結に影響を及ぼす要因として、石膏の量および形態のほかに、SO量、クリンカー鉱物組成、セメントの粉末度、微量成分、アルカリ量などが挙げられる。
これらの要因を管理しながら、セメントペースト、モルタル、コンクリートの凝結時間の調節が行われている。その場合の凝結時間は、『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」8. 凝結試験』、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」付属書1「コンクリートの凝結時間試験方法」』等に準拠して測定されている。普通ポルトランドセメントの凝結に大きな影響を及ぼす石膏については、添加量が多すぎるとセメント硬化体が膨張するなどの問題が生じる。そのため、JIS規格では普通ポルトランドセメント中のSO量の上限値が3.0重量%と規定されている。
普通ポルトランドセメントがコンクリートとして使用された場合のコンクリートの凝結促進および凝結遅延に及ぼす要因として、普通ポルトランドセメントの成分のほかに、コンクリート用化学混和剤の種類および添加量が挙げられる。コンクリート用化学混和剤については、AE減水剤、AE剤、減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤、促進剤、急結剤、遅延剤、超遅延剤など多くの種類があり、その添加量によって凝結促進および凝結遅延の程度も大きく変化する。そのため、その種類毎に1m当たりの使用量について、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」』に製造業者の指定する量が記載されている。
コンクリート用化学混和剤の一種として、リグニンスルホン酸系遅延形AE減水剤(以下、LS系遅延形AE減水剤)が知られている。LS系遅延形AE減水剤が、非特許文献1に示すように、通常のコンクリートの製造時に過添加されるケースは、流動性改善を目的として製造業者の指定する量の2倍量程度までである。ただし、計量および人為的なミスなどで3倍量までは添加されるケースもあるが、4倍量添加されることはほとんどない。
ところで、LS系遅延形AE減水剤の過添加によるコンクリートの凝結遅延が強度に及ぼす影響については、凝結遅延が生じても時間が経過し、普通ポルトランドセメントの水和が始まれば、通常通りの強度が得られる。ただし、これはその添加量が製造業者の指定量の3倍までである。4倍量以上添加されると強度発現に異常をきたす可能性がある。
したがって、3倍までのLS系遅延形AE減水剤の過添加であれば、普通ポルトランドセメントの水和を促進させて強度発現を促すことが可能である。ただし、それにはコンクリート養生期間を延長する必要があった。または、コンクリートをヒータなどにより暖めるといった対策を施さなければならなかった。そのため、これらの対策がとれない場合は、打設したコンクリートを除去し、コンクリートを打設し直さなければならなかった。
この発明は、製造業者の指定する量の3倍のLS系遅延形AE減水剤を添加しても、異常な凝結遅延を発生しない普通ポルトランドセメントを提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、セメント中に含有される全SO量が2.0〜3.0重量%、そのうち石膏として添加されるSO3 量が0.9重量%以上で、添加される『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」4. 種類』に記載された遅延形AE減水剤がリグニンスルホン酸系遅延形AE減水剤で、該リグニンスルホン酸系遅延形AE減水剤を、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」6.1.2c)1m3 当たりの化学混和剤の使用量』に記載の製造業者の指定する量の3倍を使用した外は、『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」10.強さ試験』に記載された方法に則ってモルタルを作成し、得られたモルタルを『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」付属書1「コンクリートの凝結時間試験方法」』にしたがって測定したとき、前記モルタルの凝結の終結時間が、35時間以内である異常凝結遅延防止普通ポルトランドセメントである。
セメントに添加する石膏としては、凝結や出来あがるコンクリート構造物に負の影響を及ぼさず、かつ水溶性硫酸イオンを与えるものであればよい。
普通ポルトランドセメントに含有される全SO量が2.0重量%未満では、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」6.1.2c)1m当たりの化学混和剤の使用量』に記載の製造業者の指定する量の3倍のLS系遅延形AE減水剤を添加した場合に著しい凝結遅延が生じる場合がある。また、3.0重量%を超えるとJIS規格を外れることになり、モルタルおよびコンクリートでの膨張が増大し、ひび割れが発生しやすくなる。
普通ポルトランドセメントに石膏として添加されるSO量が0.9重量%未満では、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」6.1.2c)1m当たりの化学混和剤の使用量』に記載の製造業者の指定する量の3倍のLS系遅延形AE減水剤を添加した場合に著しい凝結遅延が生じるという不都合が生じる。従って、本発明で石膏として添加される好ましいSO量は0.9〜2.0重量%である。
『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」4. 種類』には、減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤などの遅延形の減水剤が記載されている。ここでは、リグニンスルホン酸系遅延形AE減水剤が採用される。
『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」6.1.2c)』には、1m当たりの化学混和剤の使用量が記載されている。本発明では、ここに記載された製造業者の指定する量の3倍のリグニンスルホン酸系遅延形AE減水剤を使用しても、凝結の終結時間が実際の施工現場で許容できる範囲の普通ポルトランドセメントを提供する。ここでいう3倍とは、±3%の誤差を含む。
混和剤を過添加したモルタルの凝結試験方法は、以下の通りに行う。
『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」10.強さ試験』に則って試験に使うモルタルを作成する。具体的には、以下の通りである。
(1)練り混ぜ機は、『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」10.1(1)』の練り混ぜ機を使用する。
(2)標準砂は、『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」10.2』の砂を使用する。
(3)温度と湿度は、『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」10.3』に従い、20℃と50%R.H.以上とする。
(4)モルタルの配合は、『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」10.4.2』に従い、セメントが450g、標準砂が1350g、水が225gとする。この練り量は、凝結試験用モルタル約1/3個分に相当する。そのため、混練は3〜4バッチ必要となる。
(5)練り混ぜ水には混和剤を含む。練り上がりのモルタルにおいて所定量の混和剤を含むように混和剤を計量し、次いで、水で全量を225gとする。
(6)練混ぜ方法は、『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」10.4.3』に従い、練り混ぜ時間は休止時間を含めて4分間とする。
モルタルの凝結時間は、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」付属書1「コンクリートの凝結時間試験方法」』に則って測定される。具体的には、以下の通りである。
(1)器具は、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」付属書1「コンクリートの凝結時間試験方法」2.』に規定されるものを使用する。
(2)試料は、前記によって得られたモルタルをそのまま使用する(5mmでふるわない)。
(3)試験方法は、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」付属書1「コンクリートの凝結時間試験方法」4.』に従う。ただし、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」付属書1「コンクリートの凝結時間試験方法」4.(2)』に関しては、前記練混ぜの最後のバッチの時刻とする。
(4)計算は、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」付属書1「コンクリートの凝結時間試験方法」5.』に従う。
近年、セメント工場では製造コストを削減するため、高硫黄含有のオイルコークスを使用する場合がある。これにより、クリンカー中のSO量の変動が大きくなる傾向にある。また、クリンカー中のSO量は、ロータリーキルンの運転状況によっても大きく変動することがある。クリンカー中のSO量の変動によってクリンカーの鉱物組成も変り、また、それによってクリンカーを粉砕しながら添加する石膏量を変えねばならず、その結果としてセメントのSO量が変化し、これがセメントの品質に悪影響を及ぼすことが予想された。
そこで、クリンカー中のSO量の変動が、普通ポルトランドセメントの品質に及ぼす影響を調べた。その結果、クリンカー中のSO量が多くなり、添加する石膏が少なくなった普通ポルトランドセメントは、LS系遅延形AE減水剤を『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」6.1.2c)1m当たりの化学混和剤の使用量』に記載の製造業者の指定量の3倍を添加すると、異常な凝結遅延が発生しやすくなることがわかった。この異常な凝結遅延の判定は、前述の混和剤を過添加したモルタルの凝結試験方法に基づいて測定されたモルタルの凝結の終結時間により評価できることもわかった。この判定でのモルタルの終結時間は35時間である。ここでは、35時間以内の場合を異常な凝結遅延を発生しない合格セメントとする。35時間を超える場合は異常な凝結遅延が発生する可能性がある。
ただし、実際に普通ポルトランドセメントが使用されるのは、ほとんどの場合、モルタルではなくコンクリートである。そこで、市販の普通ポルトランドセメントを調査し、不合格と判定された普通ポルトランドセメントのモルタルの終結時間と、この普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートの終結時間の対応を調べた。
コンクリートの終結時間の測定は、後述する『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」付属書1「コンクリートの凝結時間試験方法」』に従った。
その結果、添加された石膏量と凝結時間に相関は見られるものの、モルタルほど明瞭ではなかった。これには、図3のグラフと図4のグラフとの対比から明らかなように、コンクリートの終結時間の変動幅が、モルタルに比べて小さかったことも影響したと考えられる。しかしながら、LS系遅延形AE減水剤を製造業者の指定量の3倍添加したコンクリートの凝結試験結果を整理すると、以下のようなことがわかる。
合格セメントを用いたコンクリートでは、コンクリートの凝結が終結するまでの時間が、55時間を超えるものはない。全て、55時間以内で固まる(図4のグラフ)。不合格品の中にも55時間以内で固まるものがあるが、コンクリートの凝結の終結時間は、この55時間がモルタルの凝結の終結時間である35時間にほぼ対応するものと考察される。したがって、ここではモルタルの凝結の終結時間が35時間以内かつコンクリートの凝結の終結が55時間以下のものを合格コンクリートと呼称する。
ここで、図3のグラフに示すモルタルでの合否、図4のグラフに示すコンクリートでの合否の対応を確認する。すなわち、モルタルで合格するセメントは、コンクリートでも合格することがわかる。また、モルタルでは不合格でもコンクリートでは合格する場合もある。これと反対に、モルタルで合格したセメントがコンクリートでは不合格となるケースはなかった。その結果、請求項1に記載のモルタル凝結試験による判定は、普通ポルトランドセメントに対して有効な管理試験であることがわかった。
請求項1に記載のモルタル凝結試験によるモルタルの凝結の終結時間が35時間を超えると、工事の期間が長くなるという不都合が生じる。好ましいモルタルの凝結の終結時間は20〜35時間である。
請求項2に記載の発明は、『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」7. 粉末度試験』による比表面積が、2500〜4000cm/gである請求項1記載の異常凝結遅延防止普通ポルトランドセメントである。
『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」7. 粉末度試験』とは、『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」7.1.1』に記載のブレーン空気透過装置で比表面積を測定するというセメントの粉末度の試験である。
普通ポルトランドセメントの比表面積が2500cm/g未満では、初期材齢の強度発現が悪くなる。更に、『JIS R 5201「ポルトランドセメント」3.品質』の普通ポルトランドセメントの規定を満足しない。また、4000cm/gを超えると、初期材齢の強度が出すぎて、長期材齢の強度発現が悪くなり、粉砕コストも上昇する。
請求項3に記載の発明は、『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」8. 凝結試験』におけるセメントペーストの凝結の始発時間が1時間〜3時間で、このセメントペーストの凝結の終結時間が2時間30分〜5時間である請求項1または請求項2に記載の異常凝結遅延防止普通ポルトランドセメントである。
『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」8. 凝結試験』とは、機械練りと手練りの場合があり、セメントに標準軟度という所定の柔らかさになるまで水を加えて練り混ぜたセメントペーストを使用し、『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」8.1』に記載のビカー針装置を用いて始発時間と終結時間を測定するというセメントペーストの凝結に関する試験である。
セメントペーストの凝結の始発時間が1時間未満では、モルタルおよびコンクリートが早く固まり、コテ押さえ等に要する十分な作業時間を確保できなくなる。更に、『JIS R 5201「ポルトランドセメント」3.品質』の普通ポルトランドセメントの規定を満足しない。
また、3時間を超えると、モルタルおよびコンクリートがなかなか固まらず、施工時間が長くなり、工期が遅れる。セメントペーストの凝結の好ましい始発時間は、1〜3時間である。
セメントペーストの凝結の終結時間が2時間30分未満では、モルタルおよびコンクリートが早く固まり、コテ押さえ等に要する十分な作業時間を確保できなくなる。
また、5時間を超えると、モルタルおよびコンクリートがなかなか固まらず、施工時間が長くなり、工期が遅れる。セメントペーストの凝結の好ましい終結時間は2時間30分〜5時間である。
藤本洋一、「ある工事で発生したコンクリートの硬化不良現象」、コンクリート・ジャーナル、Vol1.9、No.12、1971年12月号、P12〜P17
この発明の異常凝結遅延防止普通ポルトランドセメントによれば、全SO量が2.0〜3.0重量%、そのうち石膏として添加されるSO量が0.9重量%以上で、添加されるLS系遅延形AE減水剤を製造業者が指定する量の3倍としたときのモルタルの凝固の終結時間が35時間以内である。そのため、製造業者が指定する量の3倍の遅延形AE減水剤を添加しても、例えばモルタルまたはコンクリートを暖めるなどの凝結を促進させる各種の対策を施さなくても、異常な凝結遅延を発生しない。
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。
宇部三菱セメント(株)、太平洋セメント(株)、住友大阪セメント(株)、(株)トクヤマ社製の普通ポルトランドセメントを使用した。また、これらの普通ポルトランドセメントに純薬石膏を更に添加したものを使用した。コンクリート用化学混和剤は、(株)エヌエムビー社製のLS系遅延形AE減水剤ポゾリスNo.8を使用した。LS系遅延形AE減水剤は、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」4. 種類』に記載されたものである。そのLS系遅延形AE減水剤の添加量は、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」6.1.2c)1m当たりの化学混和剤の使用量』に記載の製造業者の指定する量の3倍である。また、このLS系遅延形AE減水剤が添加された普通ポルトランドセメントの比表面積は、『JIS R5201「セメントの物理試験方法」7. 粉末度試験』による比表面積で、2900〜3700cm/gである。
得られた普通ポルトランドセメントから、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」10.強さ試験に記載された方法に則ってモルタルを作成する。具体的には、以下の通りである。練り混ぜ機として、『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」10.1(1)』の練り混ぜ機を使用し、標準砂として、『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」10.2』の砂を使用する。温度は20℃、湿度は50%R.H.以上とする。
モルタルの配合は、セメントが450g、標準砂が1350g、水が225gとする。練り混ぜ水には混和剤を含ませる。練り上がりのモルタルにおいて所定量の混和剤を含むように混和剤を計量し、次いで、水で全量を225gとする。練混ぜ方法は、『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」10.4.3』に従い、練り混ぜ時間は休止時間を含めて4分間とする。
その後、モルタルをJIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」付属書1「コンクリートの凝結時間試験方法」に則って、モルタルの凝結の終結時間を測定する。具体的には、器具としては、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」付属書1「コンクリートの凝結時間試験方法」2.』に規定されるものを使用する。試料は、前記モルタルをそのまま使用する。試験方法は、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」付属書1「コンクリートの凝結時間試験方法」4.』に従う。ただし、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」付属書1「コンクリートの凝結時間試験方法」4.(2)』に関しては、前記練混ぜの最後のバッチの時刻とする。計算は、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」付属書1「コンクリートの凝結時間試験方法」5.』に従う。その結果を表1および図1のグラフに示す。モルタルの凝結の終結時間が35時間以下であれば合格(○)とし、この終結時間が35時間を超えると不合格(×)とする。ここでは、モルタルが合格となるセメントを合格セメント、不合格となるセメントを不合格セメントと呼称する。
Figure 0004942063
また、前記普通ポルトランドセメントおよびLS系遅延形AE減水剤を使用し、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」6.1コンクリート試験』に記載された方法に則ってコンクリートを作成する。具体的には、コンクリートの配合は、単位セメント量が291kg/m、水セメント比(W/C)が54.0%、細骨材率(s/a)が48.0%、LS系遅延形AE減水剤(ポゾリスNo.8)をセメント量に対し0.75%添加する条件とした。コンクリートの練混ぜは、容量55リットルのパン形強制練りミキサを使用し、20℃・80%R.H.の環境条件で、セメント、細骨材および粗骨材を投入後、30秒間空練りし、水およびLS系遅延形AE減水剤を投入後、90秒間練混ぜた。これにより、コンクリートが作製される。
その後、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」付属書1「コンクリートの凝結時間試験方法」』に則って、コンクリートの凝結の終結時間を測定する。具体的には、上記のコンクリートを呼び寸法が5mmのふるいでふるって粗骨材を除去したモルタルについて、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」付属書1「コンクリートの凝結時間試験方法」2.1』記載のスプリングによる貫入抵抗試験装置を使用し、凝結時間を測定した。この貫入抵抗が28.0N/mmになるまでの経過時間を測定するという試験により、コンクリートの凝結の終了時間を測定する。その結果を表1および図2のグラフに示す。コンクリートの凝結の終結時間が55時間以下であれば合格(○)とし、この終結時間が55時間を超えると不合格(×)とする。
表1および図1,図2のグラフから明らかなように、LS系遅延形AE減水剤が添加された普通ポルトランドセメントに含まれる全SO3 量が2.0〜3.0重量%で、しかも石膏で添加されるSO3 量が0.9重量%以上の場合で、そのほとんどがモルタルで合格となり、モルタルで合格となったものはその全てがコンクリートでも合格となった。その結果、製造業者の指定する量の3倍の遅延形AE減水剤を添加しても、モルタルまたはコンクリートに異常な凝結遅延が発生しなかった。
以上説明したように、従来から普通ポルトランドセメント中のSO量を増加させると凝結遅延が抑制され、LS系遅延形AE減水剤を過添加すれば著しく凝結が遅延するということは知られている。しかしながら、この発明のようにLS系遅延形AE減水剤を製造業者の指定量の3倍という過添加されたモルタルまたはコンクリートの凝結を制御する手段として、セメント中の全SO量と添加石膏SO量との関係を系統的に検討調査し、それを解決したものは存在しない。
この発明の一実施例に係る異常凝結遅延防止普通ポルトランドセメントから得られたモルタルと、従来の普通ポルトランドセメントから得られたモルタルとにおいて、凝結の終結時間の合否、全SO量と、石膏として添加されたSO量との関係を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る異常凝結遅延防止普通ポルトランドセメントから得られたコンクリートと、従来の普通ポルトランドセメントから得られたコンクリートとにおいて、凝結の終結時間の合否、全SO量と、石膏として添加されたSO量との関係を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る異常凝結遅延防止普通ポルトランドセメントから得られた合格セメントと、従来の普通ポルトランドセメントから得られた不合格セメントとにおいて、石膏として添加されたSO量とモルタルの凝結の終結時間との関係を示すグラフである。 この発明の一実施例に係る異常凝結遅延防止普通ポルトランドセメントから得られた合格セメントと、従来の普通ポルトランドセメントから得られた不合格セメントとにおいて、石膏として添加されたSO量とコンクリートの凝結の終結時間との関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. セメント中に含有される全SO量が2.0〜3.0重量%、そのうち石膏として添加されるSO量が0.9重量%以上で、
    添加される『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」4. 種類』に記載された遅延形AE減水剤がリグニンスルホン酸系遅延形AE減水剤で、該リグニンスルホン酸系遅延形AE減水剤を、『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」6.1.2c)1m当たりの化学混和剤の使用量』に記載の製造業者の指定する量の3倍を使用した外は、『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」10.強さ試験』に記載された方法に則ってモルタルを作成し、得られたモルタルを『JIS A 6204「コンクリート用化学混和剤」付属書1「コンクリートの凝結時間試験方法」』にしたがって測定したとき、前記モルタルの凝結の終結時間が、35時間以内である異常凝結遅延防止普通ポルトランドセメント。
  2. 『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」7. 粉末度試験』による比表面積が、2500〜4000cm/gである請求項1記載の異常凝結遅延防止普通ポルトランドセメント。
  3. 『JIS R 5201「セメントの物理試験方法」8. 凝結試験』におけるセメントペーストの凝結の始発時間が1時間〜3時間で、このセメントペーストの凝結の終結時間が2時間30分〜5時間である請求項1または請求項2に記載の異常凝結遅延防止普通ポルトランドセメント。
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