JP4941874B2 - 酸素吸収性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、酸素存在下で劣化を起こしやすい内容品、特に飲料、食品、及び医薬品等の包装材料に用いられる酸化副生成物の生成が少ない酸素吸収性樹脂組成物に関する。
近年、包装容器としては、軽量で透明且つ易成形性等の利点を有するため、各種プラスチック容器が使用されている。
プラスチック容器は、金属容器やガラス容器と比べると、酸素バリヤー性が劣るため、容器内に充填された内容物の変質や、フレーバーの低下が問題になる。
これを防止するために、プラスチック容器では容器壁を多層構造とし、少なくとも一層を酸素バリヤー性に優れている樹脂、例えば、容器内部に残存する酸素及び容器外部から侵入してくる酸素を除去するために、1.低温での酸素吸収性能、酸化副生成物の低減を目的として、ポリテルペン、触媒、及びキャリアー樹脂のポリエチレン、被酸化性重合体から成る酸素吸収組成物(特許文献1)、2.酸素バリヤー性と酸素吸収性を目的として、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、環状ジエン化合物の重合体或いは誘導体から成る脂環式不飽和化合物、遷移金属化合物、及び光増感剤を配合した酸素吸収樹脂組成物(特許文献2)、3.エチレン不飽和重合体等の酸化可能な重合体、遷移金属触媒、及び希釈剤としてポリエチレン等の重合体から成る酸素吸収樹脂組成物(特許文献3)が提案されている。
一方、本発明者等は、炭素数2〜8のオレフィンを重合してなるポリオレフィン樹脂(A)に、樹脂(A)以外の樹脂であって樹脂(A)の酸化のトリガーとなる樹脂(B)と、遷移金属触媒(C)を特定量配合した樹脂組成物において、樹脂(B)がポリオレフィン樹脂(A)の酸化のトリガーとして作用してポリオレフィン樹脂(A)が酸素を吸収するため、樹脂組成物の酸素吸収量を大幅に向上できることを見出し提案した。(特許文献4)。
特表2001−507045号公報 特表2003−253131号公報 特表2002−523311号公報 国際公開2004−018556号公報
しかしながら、酸素吸収により発生する酸化副生成物の量はまだ多く、内容物によっては異味、異臭を感じるものもある。また、酸化により樹脂の脆化が進むと共に、一方では酸素吸収性能が未だ不十分といった問題がある。
本発明の目的は、酸素吸収時の酸化副生成物が更に少なく、酸化が進行しても実用的な機械的強度を維持でき、しかも酸素吸収時には酸素吸収性能に優れた酸化副生成物の生成が少ない酸素吸収性樹脂組成物を提供することである。
C2〜C20の単量体から重合された実質的にエチレン性不飽和結合を含有しない樹脂であって、前記樹脂が、(a)側鎖が0.003eq/g以下の直鎖状炭化水素から成る線状低密度ポリエチレン樹脂、または(b)脂肪族性の側鎖が合計量0.005eq/g以下の環構造の一部を主鎖と共有する環状炭化水素、或いは前記環状炭化水素及び直鎖状炭化水素から成る樹脂の少なくとも1種を含有することを特徴とする酸素吸収性樹脂組成物が提供される。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、包装体として用いた際に酸化副生成物が低減され、酸化が進行しても実用的な機械的強度を維持でき、しかも酸素吸収時には酸素吸収性能に優れる。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、C2〜C20の単量体から重合された実質的にエチレン性不飽和結合を含有しない樹脂であって、前記樹脂が、(a)側鎖が0.003eq/g以下の直鎖状炭化水素から成る線状低密度ポリエチレン、または(b)脂肪族性の側鎖が合計量0.005eq/g以下の環構造の一部を主鎖と共有する環状炭化水素、或いは前記環状炭化水素及び直鎖状炭化水素から成る樹脂の少なくとも1種である樹脂を含有することによって、酸化が進行してもケトン、アルデヒド、アセトン等の副生成物の発生を低減することができる。ここで、実質的にエチレン性不飽和結合を含有しないとは、エチレン性不飽和結合を全く含有しないのが好ましいが、0.0001eq/g程度含有する態様も含むことができる。
本発明では、特に、前記酸素吸収性樹脂がシングルサイト触媒を用いて重合されていることが好ましい。
従来の酸素吸収剤、例えば前述した特表2001−507045号公報等に開示されるポリエチレン等のキャリアー重合体、エチレン系不飽和炭化水素と遷移金属塩からなる酸素掃去組成物では、エチレン性不飽和炭化水素が有する不飽和結合の数により酸素吸収量が決まる。一般に上記酸素掃去剤はその用途に応じて他の熱可塑性樹脂に配合して用いられるが、上記酸素掃去剤の配合量を多くすると耐久性や成形性が低下し、また透明性が低下するといった問題が生じる。そのため、その配合量は制限され、樹脂組成物の酸素吸収量には限界があった。
また、前記エチレン系不飽和炭化水素から成る被酸化性重合体による酸素掃去時、或いはポリエチレン等のキャリアー重合体の酸化時に副生成物を発生し、包装容器として内容物を充填密封した際に異味、異臭を生じる。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、C2〜C20の単量体から重合された実質的にエチレン性不飽和結合を含有しない樹脂であって、前記樹脂が、(a)側鎖が0.003eq/g以下の直鎖状炭化水素から成る線状低密度ポリエチレン、または(b)脂肪族性の側鎖が合計量0.005eq/g以下の環構造の一部を主鎖と共有する環状炭化水素、或いは前記環状炭化水素及び直鎖状炭化水素から成る樹脂の少なくとも1種から選択された樹脂を含有することを特徴とする。ここで、側鎖が0.003eq/g以下の直鎖状炭化水素から成る線状低密度ポリエチレンにおけるeq/gは、樹脂1g中の側鎖数を求め、それをアボガドロ数で除した値であり、アボガドロ数をN、樹脂1g中の側鎖数をnで表すと、n/Nより計算することができる(以下同じ)。
前述した本発明の酸素吸収性樹脂組成物で用いる線状低密度ポリエチレンは、直鎖状の側鎖を形成できるコモノマーを選択し、エチレンと共重合することにより、側鎖を0.003eq/g以下の直鎖状炭化水素とする。
側鎖を、直鎖状炭化水素とすることにより、側鎖に枝分かれがある場合のような、枝分かれ部位の分子切断を防ぐことができ、低分子揮発成分の生成を抑制できる。また、酸化されやすい三級炭素部位を意図的に分子鎖に導入することにより、酸化の進行を制御することができ、二級炭素部位等の酸化に伴う無秩序な分子切断を避けることができる。
前記重合においてはシングルサイト触媒を用いて重合することにより、確実に各分子量成分に亘って共重合組成比の変動が抑制することが防止できる。その結果、分子構造が均一となり、酸化が各分子鎖間で均一に進行することによって、過剰な副反応を抑制し、無意味な分子切断による酸化副生成物の発生を抑制することができるため、好ましい。
好適な触媒としては、メタロセン系触媒が挙げられる。他の触媒としてはポストメタロセン系触媒に位置づけられるオレフィン重合用触媒、特にフェノキシイミン触媒(FI触媒)が好適である。
一方、シングルサイト触媒以外の触媒である例えば、チーグラーナッタ触媒等のマルチサイト触媒を用いて重合した場合は、エチレンとコモノマーとの共重合比が各分子鎖間で揃い難く、酸化が局所的に集中するなどの好ましくない状況が発生する。
また、主鎖から分岐する側鎖が0.003eq/gを超えると、選択的に酸化が起き易い、側鎖の結合点に当たる三級炭素が主鎖中に多くなり、主鎖切断により低分子の生成頻度が増えて、やはりフレーバー等に悪影響を与える低分子成分の発生の原因となる。
側鎖の好適範囲は、0.0003〜0.003eq/g、特に0.0005〜0.003eq/gであり、この範囲にあることで、酸化副生成物の低減の他に、安定な酸素吸収性、熱安定性が確保されるので好ましい。
前記した線状低密度ポリエチレンとしては、例えば、メタロセン系触媒を重合触媒として使用したエチレンと1−ブテンの共重合体、エチレンと1−ヘキセンの共重合体、エチレンと1−オクテンの共重合体等のエチレンとα−オレフィンとの共重合体が好ましい。
これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前述した樹脂のシングルサイト触媒による重合は、工業的に可能な方法であればどのような方法でも良いが、最も広く使用されている点から液相法で行うのが好ましい。
一方、前述した本発明の酸素吸収性樹脂組成物において用いる脂肪族性の側鎖が合計量0.005eq/g以下の環構造の一部を主鎖と共有する環状炭化水素、或いは前記環状炭化水素及び直鎖状炭化水素から成る樹脂は、エチレンとエチレン性不飽和結合を有する脂環属炭化水素との共重合、或いはエチレン、エチレン性不飽和結合を有する脂環属炭化水素、及び直鎖状の側鎖を形成できるコモノマーを共重合することで得ることができる。
この樹脂は、主鎖に、環構造の一部を主鎖と共有する環状炭化水素が結合しているため、主鎖状の三級炭素が同時に二箇所切断しないと環状部分の分離が起きないため、酸素吸収量に比べてやはり酸化副生成物の発生が起き難い。
また、化学式1に記載した形の側鎖を形成すると、側鎖中に三級炭素部分が酸化される場合には、スキーム1を示したように低分子成分の発生が起きない。
Figure 0004941874






スキームI
Figure 0004941874
これらの脂肪族性環状側鎖を有する樹脂は、ガラス転移温度が高い傾向があるが、ガラス転移温度が高いと常温において分子鎖の運動性が不十分となり、酸素吸収速度が低下する傾向があり、この意味で適度なエチレンを共重合した樹脂、或いはエチレン以外の直鎖状のコモノマーを共重合し、直鎖状炭化水素の側鎖を設けることにより、適度にガラス転移点を下げることができる。この場合、側鎖は前記直鎖状炭化水素の側鎖はC4以上であることが好ましい。好ましいガラス転移点は50℃以下である。
脂肪族性の側鎖が合計量0.005eq/g以下の環構造の一部を主鎖と共有する環状炭化水素、或いは前記環状炭化水素及び直鎖状炭化水素から成る樹脂においては、環状側鎖を有する単量体がブロック共重合されていても、ランダム共重合されていても、或いは交互共重合されていても構わないが、脂肪族性環状側鎖部位は、分子運動性が低くなりやすいため、ランダム共重合や交互共重合のような形態を取ることが好ましい。
主鎖に結合する前記脂肪族性の側鎖が0.005eq/gを超えると、主鎖中の三級炭素密度が高くなりすぎ、主鎖切断により低分子の生成頻度が増えて、やはりフレーバー等に悪影響を与える低分子成分の発生の原因となる。
脂肪族性の側鎖の好適範囲は、0.0005〜0.005eq/g、特に、0.001〜0.005であり、この範囲にあることで、酸化副生成物の低減の他に、安定な酸素吸収性、熱安定性が確保されるので好ましい。
環構造の一部を主鎖と共有する環状炭化水素、或いは前記環状炭化水素及び直鎖状炭化水素から成る樹脂は、シングルサイト触媒を用いて重合することが、種々の共重合体を得ることができ、更に共重合体のミクロ構造が制御できるので好ましい。シングルサイト触媒としては、前記メタロセン触媒やポストメタロセン系触媒に位置づけられるオレフィン重合用触媒が好適に使用できる。具体的には、これに限定されないが、中心金属として、TiやZrを用い、配位子として、2つのインデニル基を有するものやシクロペンタジエニル基とベンゾインデニル基を有するもの等が挙げられる。また、シクロペンタジエニル型配位子をフェノキシ配位子と組み合わせたフェノキシチタン系触媒等も好適に使用される。シングルサイト触媒を用いた環状側鎖を有する樹脂の例としては、環状オレフィン共重合体(APEL:三井化学(株))等があげられる。
前記環構造の一部を主鎖と共有する環状炭化水素、或いは前記環状炭化水素及び直鎖状炭化水素から成る樹脂は、例えばジルコニウムを中心金属とするメタロセン系のシングルサイト触媒を用いて、エチレンとシクロブテン、エチレンとシクロペンテン、エチレンとシクロヘキセン、エチレンとシクロオクテン等を共重合することで得ることができる。また、上記の2元系に更に、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のコモノマーを用いることで、直鎖状の脂肪族性の側鎖を導入できる。また、触媒の種類を選ぶことにより、共重合体の構造も前述したようにブロック、ランダム等各種形態のものを得ることができる。
上記共重合体の組成比を制御することで、本発明の側鎖数を有する樹脂を得ることができる。
前記環状炭化水素は、それを構成する一部の水素原子が他の原子や原子団により置換されていても良い。原子団としては、アルキル基、アルデヒド基、カルボキシル基、水酸基等が挙げられる。例えば、シクロヘキセンの場合、3−シクロヘキセン−1−カルボクスアルデヒド、3−シクロヘキセン−1−カルボン酸、3−シクロヘキセン−1−メタノール等の単量体が試薬として容易に入手し得る。原子団による水素原子の置換は、環状炭化水素からなる側鎖1つ当たり1つ以下であることが好ましい。
置換原子団が極性を有する場合には、分子の嵩高さ、極性の程度等に応じて、中心金属や配位子を適宜選択すればよい。エチレンと極性単量体であるメチルメタクリレートの共重合触媒として、Smを中心金属とし、2つのシクロペンタジエニル基を有するメタロセン系触媒が知られている。
樹脂中に脂肪族性以外の例えばフェニル基のような芳香族性の側鎖があっても良いが、この場合芳香族性側鎖を有する部分は例えばスチレンブロックのような形態で樹脂中に存在するのが良い。
さらに、前述した側鎖が0.003eq/g以下の直鎖状炭化水素から成る線状低密度ポリエチレン樹脂、と脂肪族性の側鎖が合計量0.005eq/g以下の環構造の一部を主鎖と共有する環状炭化水素、或いは前記環状炭化水素及び直鎖状炭化水素から成る樹脂はブレンドして用いても良い。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物においては、酸素吸収性を効果的に発揮させるために、上記酸素吸収性樹脂をマトリックス樹脂(A)とし、この樹脂(A)の酸化のトリガーとなるトリガー樹脂(B)及び遷移金属触媒(C)を用いるのが好ましい。このようなトリガー樹脂(B)としては、前記マトリックス樹脂(A)に対する酸化のトリガー効果の点で、スチレンユニットを有することが好ましく、機械的特性の点で、分子末端部分にポリスチレンブロックを有するブロック共重合体であるのが好ましい。
スチレンユニットを有する樹脂としては、イソプレン単位乃至ブタジエン単位を有するスチレン−ジエン共重合体が挙げられるが、特にこれらスチレン−ジエン共重合体の水添物である水添スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体が、成形時の劣化や着色を抑制できる点で好ましく、さらに、トリガー時の副生成物の発生が少ない点で前記水添スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体がより好ましい。また、前記スチレン−ジエンブロック共重合体の水添物の別の態様として、水添スチレン−ブタジエンランダム共重合体や水添スチレン−ブタジエン−オレフィン結晶トリブロック共重合体等も好ましく用いられる。
また、成形中の熱安定性及びマトリックス樹脂(A)の酸化のトリガーとしての機能の観点から、トリガー樹脂(B)は、ベンゼン環以外の炭素−炭素二重結合量が過剰に存在すると、マトリックス樹脂(A)の酸化を抑制する傾向がある。
前記トリガー樹脂(B)はマトリックス樹脂(A)中に分散した状態で存在するのが好ましく、平均粒径が10μm以下、特に5μm以下の微粒子状で分散するのが特に好ましい。
また、マトリックス樹脂(A)とトリガー樹脂(B)の割合は、マトリックス樹脂が90乃至99重量%の範囲が好ましく、92.5乃至97.5重量%がより好ましい。
一方、トリガー樹脂(B)は、1.0乃至10重量%の範囲が好ましく、2.5乃至7.5重量%の範囲がより好ましい。
遷移金属触媒(C)としては、公知の鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族の金属成分、銅、銀等の第I族金属、錫、チタン、ジルコニウム等の第IV族金属、バナジウムの第V族、クロム等VI族、マンガン等のVII族の金属成分を挙げることができる。好ましくは、鉄、コバルト、ニッケル等の周期律表第VIII族の金属成分であり、特に、コバルト成分は、酸素吸収速度が大きいため好ましい。
遷移金属触媒(C)は、上記遷移金属の低価数の無機酸塩、有機酸塩又は錯塩の形で使用される。
上記遷移金属触媒(C)は、少なくともマトリックス樹脂(A)中に存在するのが好ましく、樹脂(A)の酸化反応の進行を促進し、効率良く酸素を吸収することができる。より好ましくは、遷移金属触媒(C)は樹脂(A)及び樹脂(B)中に存在させて、樹脂(B)のトリガー機能を促進させることができる。また、遷移金属触媒(C)の配合量は、使用する遷移金属触媒の特性に応じて樹脂(A)の酸化反応を進行できる量であれば良く、樹脂(A)の酸化反応を十分に促進し、流動特性の悪化による成形性低下の防止の点から、一般的には10〜3000ppmの範囲が好ましく、50〜1000ppmの範囲がより好ましい。
遷移金属触媒(C)を溶解させる溶媒としては、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒を用いることができる。遷移金属触媒(C)の濃度は、5〜90重量%が好ましい。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物には、公知のラジカル開始剤や光増感剤等の種々の添加剤を配合することができる。
その他の添加剤としては、充填剤、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属セッケンやワックス等の滑剤、改質用樹脂又はゴム等の添加剤が挙げられ、それ自体公知の処方に従って添加することができる。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、粉末、粒状、フィルム又はシート等の形態、ライナー、ガスケット用又は被覆形成用の樹脂やゴム中に配合して、或いはフィルム、シートの形態の包装材料、また、カップ、トレイ、ボトル、チューブ、キャップ等の形態の包装体における残存酸素の吸収、外部からの酸素バリヤーに用いることができる。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物は、これを含む少なくとも一層と、他の樹脂の層からなる積層体の形で使用することが好ましい。
積層体としては、上記の酸素吸収性樹脂を含む層(以下、酸素吸収層という)を少なくとも一層有している。尚、酸素吸収性樹脂を含む層とは、上記の酸素吸収性樹脂のみからなる層、他の樹脂等を基材とし酸素吸収性樹脂を配合してなる層、或いは酸素吸収性樹脂を基材として他の酸化トリガー樹脂を配合してなる層等の場合を含む。
積層体を構成する酸素吸収層以外の樹脂層は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂から、その使用態様や要求される機能により適宜選択できる。例えば、オレフィン系樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、酸素バリヤー性樹脂等が挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)又はこれらのブレンド物等が挙げられる。
熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、又はこれらの共重合ポリエステル、さらに、これらのブレンド物等が挙げられる。
酸素バリヤー性樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を挙げることができる。例えば、エチレン含有量が20〜60モル%、好ましくは、25〜50モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、好ましくは、99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が使用される。
酸素バリヤー性樹脂の他の例としては、ポリメタキシリデンアジパミド(MXD6)等のポリアミド樹脂、ポリグリコール酸等のポリエステル樹脂等を用いることができる。
また、積層体を成形する工程において発生したスクラップ等を含有する樹脂組成物から成るリグラインド樹脂を用いることもできる。
この積層体に、各樹脂層間に必要により接着剤樹脂を介在させることもできる。このような接着剤樹脂としては、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸を主鎖又は側鎖に、1〜700ミリイクイバレント(meq)/100g樹脂、好ましくは、10〜500meq/100g樹脂、の濃度で含有する重合体が挙げられる。
接着剤樹脂としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、アクリル酸グラフトポリオレフイン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド等があり、これらを二種以上の組み合わせたものでもよい。
本発明の酸素吸収性樹脂組成物を用いる積層体においては、酸素吸収時に発生する副生成物を低減することができるが、より一層低減させるため、上記の層のいずれか、特に、酸素吸収材層より内層側に位置する層に脱臭剤或いは酸化副生成物の吸着剤を使用するのが好ましい。
これらの脱臭剤或いは吸着剤としては、それ自体公知のもの、例えば天然ゼオライト、合成ゼオライト、シリカゲル、活性炭、添着活性炭、活性白土、活性酸化アルミニウム、クレー、珪藻土、カオリン、タルク、ベントナイト、セピオライト、アタバルジャイト、酸化マグネシウム、酸化鉄、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、合成ハイドロタルサイト、アミン担持多孔質シリカが使用できる。
この内、アルデヒドとの反応性の点でアミン担持多孔質シリカ、特に450m2/g以上の比表面積及び80Å以下の平均細孔径を有する多孔質シリカの表面に、アミノ基を有するシランカップリング剤が結合してなるアミン担持多孔質シリカが効率良く臭気成分を捕捉する点で好ましい。
また、アルデヒドに加えてケトン、炭化水素等にも優れた吸着性を示し、しかも透明である点でシリカ/アルミナ比が大きい所謂ハイシリカゼオライト、特にシリカ/アルミナ比が80以上のハイシリカ型ゼオライトが、高温多湿の条件下で用いても効率良く臭気成分を捕捉できる点でより一層好ましい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[評価]
1.酸素吸収性樹脂の構造解析
線状低密度ポリエチレン樹脂0.2gを冷凍粉砕器(JFC-300:日本分析工業(株))で10分間冷却後、10分間粉砕した。次いで、得られたペレット0.06gに対し、ベンゼン/オルトジクロロベンゼン=1/3重水素化体の混合溶媒を0.6ml加えて溶封し、13C-NMR(EX-270:日本電子(株))測定を行ない、側鎖の組成を評価した。
2.酸素吸収性の評価
酸素吸収性樹脂、酸化トリガー樹脂及び遷移金属触媒から成る酸素吸収性樹脂組成物0.1gを内容積85ccの密封容器に空気中で封入し、30℃で保管した。経時1ヶ月の時点で容器内の酸素濃度をガスクロマトグラフィー(GC3BT:島津製作所(株)、検出器:TCD(60℃)、カラム:モレキュラーシーブ5A(100℃)、キャリアーガス:アルゴン)により測定し、酸素吸収性樹脂組成物1gあたりの酸素吸収量を測定した。酸素吸収量が10cc/g未満のものを×、10cc/g以上のものを○とした。
3.酸化副生成物の評価
線状低密度ポリエチレン樹脂、酸化トリガー樹脂及び遷移金属触媒から成る酸素吸収性樹脂組成物を封入した密封容器を30℃で保管し、線状低密度ポリエチレン樹脂1g当たりほぼ30ccの酸素を吸収させた。
この時の密封容器中の気体をシリンジで5cc採取し、パージ&トラップ法によりGC−MS(TEKMAR-4000:agilent社 カラム:DB-1)で酸化副生成物の分析を行なった。
得られたガスクロマトグラフのスペクトルの面積値を酸化副生成物の量とし、その値が1×107未満のものを○、1×107〜2×107未満のものを△、2×107以上のものを×とした。
実施例1
エチレンと1−ヘキセンを単量体とし、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて重合した、主鎖から分岐する側鎖が0.002eq/gの直鎖状炭化水素から成る線状低密度ポリエチレン樹脂(エボリュー0510B:三井化学(株)製)95重量%に対し、酸化のトリガー樹脂として水添スチレン−ブタジエン−スチレントリブロック共重合体樹脂(タフテック P2000:旭化成(株)製)5重量%と、コバルト金属含有率9.5重量%のステアリン酸コバルト(大日本インキ化学工業(株)製)をコバルト換算で150ppm配合し、撹拌乾燥機(ダルトン(株)製)で予備混練後ホッパーに投入した。
次いで、出口部分にストランドダイを装着した二軸押出機(TEM35B:東芝機械(株))を用いて、スクリュー回転数100rpmで高真空ベントを引きながら、ストランド状に押出し、酸素吸収材樹脂組成物ペレットを作製した。
この材料について、上記評価方法により酸化副生成物量、機械的強度の評価を行った結果、良好な酸素吸収性を示し、しかも酸化副生成物量も少なかった。
実施例2
主鎖から分岐する側鎖が0.0011eq/gの直鎖状炭化水素である線状低密度ポリエチレン樹脂(ZM063:宇部興産(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にして酸素吸収性樹脂組成物を作製と評価を行った。この材料も良好な酸素吸収性を示し、しかも酸化副生成物量は少なかった。
比較例1
樹脂を、線状低密度ポリエチレンとは呼べない通常の高圧法低密度ポリエチレン樹脂(JB221R:日本ポリエチレン(株)製)にした以外は、実施例1と同様にして酸素吸収性樹脂組成物の作製と評価を行なった。この樹脂は、種々の鎖長の枝分かれを有する0.0011eq/gの鎖状側鎖を有していた。鎖状側鎖の形態が本発明と異なるため、酸化副生成物が多かった。
前記実施例及び比較例の結果を表1にまとめて示す。

Figure 0004941874
本発明の副生成物の生成が少ない酸素吸収性樹脂組成物は、飲料、食品、化粧品、医薬品等の内容物の酸化劣化を防止するために用いられる酸素吸収性を有する包装体において、酸化副生成物の低減、酸化による実用的な機械的強度の維持、しかも酸素吸収時には酸素吸収性能に優れる。

Claims (3)

  1. C2〜C20の単量体から重合された実質的にエチレン性不飽和結合を含有しない樹脂であって、前記樹脂が、(a)側鎖が0.003eq/g以下の直鎖状炭化水素から成る線状低密度ポリエチレン樹脂で、酸化部位として三級炭素部位を有する酸素吸収性樹脂90〜99質量%、及び遷移金属触媒10〜3000ppmを含有することを特徴とする酸素吸収性樹脂組成物。
  2. 前記酸素吸収性樹脂がシングルサイト触媒を用いて重合されていることを特徴とする請求項1に記載の酸素吸収性樹脂組成物。
  3. 前記酸素吸収性樹脂の酸化のトリガーとなるスチレンユニットを有するトリガー樹脂(B)1〜10質量%をさらに含有する請求項1又は2記載の酸素吸収性樹脂組成物。
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