JP4940720B2 - 路面反力推定装置 - Google Patents
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Description
この方法は、パワーステアリング装置やステアバイワイヤシステムなどの、車両の操舵装置に有用なものである。
FrE = drE −Frip −Ffric …(1)
花本、外3名、「周期性外乱を有するブラシレスDCモータの微小振動抑制制御」、平成9年電気学会論文集D編、117巻3号、p.335〜341
このため、特許文献1や特許文献2に記載の従来技術によれば、生じた推定誤差がその後も保持され続ける結果、路面反力の推定値に大きな零点誤差(オフセット)が生じてしまうことがあった。
即ち、本発明の第1の手段は、転舵モータを用いて車両の転舵輪を転舵する操舵装置において路面反力を推定する路面反力推定装置において、転舵モータの角速度関連値と相電流に基づいて、転舵モータに作用する外乱を推定する外乱オブザーバと、転舵モータの角速度関連値に基づいて、転舵モータの電気角の回転周波数を決定し、その回転周波数の自然数倍の周波数をノッチ周波数として可変設定されるノッチフィルタを用いて、外乱の推定値が有する脈動を除去する脈動除去手段とを備えることである。
また、上記のノッチフィルタの段数は任意でよく、上記の自然数も1以上の任意の値を取ることができる。
また、上記の転舵モータの相数は任意で良い。
なお、以下では、上記のノッチ周波数の2π〔radian〕倍をノッチ角速度と言うことがある。
ただし、この下限値としては、脈動の除去処理作用に関して特に問題が生じない範囲内において、適当に大きな値を設定すれば良い。
また、上記の転舵モータの相数は任意で良い。
ただし、ここで言う機械系とは、転舵モータに対して機械的な摩擦力を及ぼす、例えば減速機などのことである。
(条件a)前回の制御周期において摩擦力が静止摩擦力であると判定された。
(条件b)今回の制御周期における外乱の推定値が、前回の制御周期における零点誤差が除去された外乱推定値と動摩擦力との和よりも大きい。
(条件c)今回の制御周期における外乱の推定値が、前回の制御周期における零点誤差が除去された外乱推定値と動摩擦力との和よりも小さい。
(条件d)今回の制御周期における角速度関連値が所定の閾値ε1(≧0)よりも大きい。
(条件e)今回の制御周期における角速度関連値が所定の閾値ε2(≦0)よりも小さい。
なお、上記の閾値ε1や閾値ε2は、上記の角速度関連値の測定誤差が0に近づく時に0に近づく安全定数であって、理論的には0でよい。また、特に、この閾値ε1を0に設定する場合には、条件bが成り立てば条件dも必然的に満たされるため、この場合、条件bの判定処理を実行していれば条件dの判定処理は省略することができる。同様に、上記の閾値ε2を0に設定する場合には、条件cが成り立てば条件eも必然的に満たされるため、この場合、条件cの判定処理を実行していれば条件eの判定処理は省略することができる。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
したがって、本発明の第1の手段によれば、外乱の推定値がノイズの影響を受け難くすることができ、かつ、脈動項も効果的に除去されるので、路面反力を高精度に推定することができる。
即ち、ノッチ周波数が低過ぎると転舵モータの角速度が小さい場合に、当該フィルタリング処理の過渡応答性の劣化現象を招くが、本発明の第2の手段によれば、上記の閾値設定により転舵モータの角速度が小さい場合には、当該フィルタリング処理が事実上省略されるため、その様な過渡応答性の劣化現象が生じる恐れも必然的に払拭される。また、この様な場合には、脈動の影響は小さいので事実上無視することができ、よって当該フィルタリング処理の省略も許される。
(1)転舵モータの角速度関連値と外乱推定値の履歴に基づいて摩擦力を除去する。
(2)静止摩擦が作用している時は、前時刻(前制御周期)でのオフセットが除去された外乱推定値をそのまま維持する。
(3)動摩擦が作用している時は、現時刻の角速度関連値の符号と現時刻の外乱推定値に基づいて摩擦力を除去する。
(4)転舵モータに作用する摩擦力が、静止摩擦から動摩擦に変わったかは、現時刻の角速度関連値の符号と現時刻の外乱推定値と前時刻のオフセットが除去された外乱推定値に基づいて判定する。
(5)転舵モータに作用する摩擦力が、動摩擦から静止摩擦に変わったかは、角速度関連値の符号変化に基づいて判定する。
ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。
上記の転舵モータ10は、U相電流Iu とV相電流Iv を電流センサ9で検出することにより、物理的には3相制御されるが、UVW/dq変換処理部1800、電流制御部1600、及びdq/UVW変換処理部1900などを用いて、論理的にはdq座標空間で電流制御される。
路面反力推定部100は、本発明の路面反力推定装置に相当する部分であり、転舵速度演算部から入力される転舵軸12のその軸方向へのスライド速度(以下、転舵速度vr と言う)と、UVW/dq変換処理部1800から出力されるq軸電流Iq とに基づいて、所望の路面反力推定値FrEを算出する。
以下、これらの各部の構成と動作をそれぞれ順に説明する。
ただし、ここでsは複素周波数であり、Ktrは転舵モータ10のトルク定数、Gr はそのゲイン、Mr は転舵モータ10の慣性係数である。また、ローパスフィルタ111のフィルタ特性は、パラメータωorとパラメータξorのチューニングによって最適に決定することができる。
(1段目)
ωn =Ω1=max(C,ωe ) (Cは所定の定数)
(2段目)
ωn =Ω2=max(C,2ωe )
また、上記のmax関数は、2つの引数の中から小さくない方を選択する関数であるが、この様な下限値Cをノッチ角速度ωn に対して設けるのは、ノッチ周波数ωn が小さ過ぎるとフィルタ出力drE′の過渡応答が遅くなり好ましくないからである。逆に、電気角速度ωe が小さい時にはモータに生じる脈動力Frip も小さいので、その場合には特にフィルタリングを実行する必要も無いからだと言うこともできる。
(外乱推定値drE′)
drE′= FrE + Ffric …(2)
即ち、動摩擦が作用している時は、
vr >0ならば、drE′=f1(FrE) 、
vr <0ならば、drE′=f2(FrE) …(3)
(FrE(k)の暫定)
FrE(k)=f1 -1(drE′(k)) (ステップ220),
FrE(k)=f2 -1(drE′(k)) (ステップ230) …(4)
(関数値f0 )
f0 =f1 (FrE(k−1)) (ステップ225),
f0 =f2 (FrE(k−1)) (ステップ235), …(5)
次に、ステップ250では、外乱推定値drE′と関数値f0 との差D(=drE′(k)−f0 )を求める。一方、ステップ260では、その代わりに、この変数Dに前回の転舵軸の速度vr (k−1)を代入する。
(1)前時刻k−1に静止摩擦が作用していた場合(M(k−1)=0の時)
a)drE′(k)> f1(FrE(k−1)) 、かつ、vr (k)>0の時
ステップ270により転舵モータに働く摩擦力が静止摩擦力から動摩擦力に変わったと判定され、次式の出力結果を得る。
FrE(k) =f1 -1(drE′(k))
ステップ270により転舵モータに働く摩擦力が静止摩擦力から動摩擦力に変わったと判定され、次式の出力結果を得る。
FrE(k) =f2 -1(drE′(k))
ステップ270により転舵モータに静止摩擦が作用していると判定され、ステップ285の作用により次式の出力結果を得る。
FrE(k)=FrE(k−1)
a)vr (k−1)>0、かつ、vr (k)>0の時
ステップ270により転舵モータに動摩擦が作用していると判定され、次式の出力結果を得る。
FrE(k) =f1 -1(drE′(k))
ステップ270により転舵モータに動摩擦が作用していると判定され、次式の出力結果を得る。
FrE(k) =f2 -1(drE′(k))
ステップ270により転舵モータに働く摩擦力が動摩擦力から静止摩擦力に変わったと判定され、ステップ285の作用により次式の出力結果を得る。
FrE(k)=FrE(k−1)
トルク制御部1200は、検出された操舵トルクTh と上記の目標値Th * に基づいて、反力モータが出力すべきトルクの目標値uh * を算出する。この目標値uh * は、例えば本図7に例示する様な比例制御などによって求めることができる。
また、電流制御部1300では、反力モータに給電されている電流Ih と上記の目標値uh * を用いた比例積分制御によって、モータ駆動回路7が出力すべき目標電圧Vh * を算出する。
上記の路面反力推定値FrEは、例えばこの様に、反力モータの出力を路面反力に応じて最適に制御する場合に有効に利用することができる。
本発明の実施形態は、上記の形態に限定されるものではなく、その他にも以下に例示される様な変形を行っても良い。この様な変形や応用によっても、本発明の作用に基づいて本発明の効果を得ることができる。
(変形例1)
例えば、上記の実施例1では、転舵モータ10に3相のブラシレスDCモータを使用したが、本発明の脈動除去手段(例:図3の脈動除去部120)を当該装置100に備えない場合には、転舵モータ10は、必ずしもブラシレスDCモータである必要はない。即ち、転舵モータに例えばブラシ付きのDCモータなどを使用した場合にも、本発明のオフセット除去手段(例:図6のオフセット除去部130)の作用により、上記と同様のオフセット除去効果を得ることができる。
100 : 路面反力推定装置
110 : 外乱オブザーバ
120 : 脈動除去部
130 : オフセット除去部
1000 : 制御装置
Claims (7)
- 転舵モータを用いて車両の転舵輪を転舵する操舵装置において路面反力を推定する路面反力推定装置において、
前記転舵モータの角速度関連値と相電流に基づいて、前記転舵モータに作用する外乱を推定する外乱オブザーバと、
前記転舵モータの前記角速度関連値に基づいて、前記転舵モータの電気角の回転周波数を決定し、その回転周波数の自然数倍の周波数をノッチ周波数として可変設定されるノッチフィルタを用いて、前記外乱の推定値が有する脈動を除去する脈動除去手段とを有する
ことを特徴とする路面反力推定装置。 - 前記回転周波数の自然数倍の周波数が定められた下限値より小さい場合には、前記ノッチ周波数は、その下限値に設定されることを特徴とする請求項1に記載の路面反力推定装置。
- 転舵モータを用いて車両の転舵輪を転舵する操舵装置において路面反力を推定する路面反力推定装置において、
前記転舵モータの角速度関連値と相電流に基づいて、
前記転舵モータに作用する外乱を推定する外乱オブザーバと、
前記外乱の推定値と前記転舵モータの角速度関連値の履歴に基づいて、
前記外乱の推定値が有する零点誤差を除去するオフセット除去手段と
を有する
ことを特徴とする路面反力推定装置。 - 前記外乱の推定値と前記転舵モータの角速度関連値の履歴に基づいて、
前記外乱の推定値が有する零点誤差を除去するオフセット除去手段と
を有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の路面反力推定装置。 - 前記オフセット除去手段は、
前記転舵モータに係わる機械系から前記転舵モータが受ける摩擦力が、静止摩擦力であるか動摩擦力であるかを判定する判定手段を有し、
前記零点誤差が除去された前記外乱の推定値を算出するための複数の演算式の中から、前記判定手段の判定結果に基づいて、用いるべき最適な演算式を択一的に選択する
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の路面反力推定装置。 - 前回の制御周期において前記摩擦力が静止摩擦力であると判定された場合に、
前記オフセット除去手段は、
もし、今回の制御周期における前記外乱の推定値が、前回の制御周期における前記零点誤差が除去された外乱推定値と動摩擦力との和よりも大きく、かつ、今回の制御周期における前記角速度関連値が所定の閾値ε1(≧0)よりも大きければ、或いは、
もし、今回の制御周期における前記外乱の推定値が、前回の制御周期における前記零点誤差が除去された外乱推定値と動摩擦力との和よりも小さく、かつ、今回の制御周期における前記角速度関連値が所定の閾値ε2(≦0)よりも小さければ、
前記摩擦力が静止摩擦力から動摩擦力に変化したと判定する
ことを特徴とする請求項5に記載の路面反力推定装置。 - 前記オフセット除去手段は、
前記摩擦力が静止摩擦力であると判定される期間中の、前記零点誤差が除去された外乱推定値として、前記摩擦力が動摩擦力であると最後に判定された制御周期において算出された、前記零点誤差が除去された外乱推定値を継続的に採用する
ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の路面反力推定装置。
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