JP4938570B2 - 手袋の掌補強構造および手袋 - Google Patents

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Description

本発明は手袋の掌補強構造および手袋に関し、さらに詳細には、レスキュー隊がヘリコプター救助において使用する手袋等、厳しい条件下で使用する手袋において、特に摩耗、損傷の激しい掌部分を補強する補強技術に関する。
各自治体の消防署、自衛隊、海上保安庁あるいは警察などのレスキュー隊において、水難事故救助や山岳遭難救助などの救助活動が人力では不可能な場合には、ヘリコプターによる救助活動が行われる。ヘリコプターによる救助活動は、傷病者の救急搬送、災害時の警戒指揮支援あるいは物資・資材・人員の搬送など、広範囲にわたるが、なかでも、ホイストを用いて傷病者等を吊り上げて救助するホイスト救助は、ヘリコプター救助ならではの救助法である。
このホイスト救助においては、図8(a)に示すように、救助隊員が片方の手(図示の場合は右手)aでホイストのワイヤケーブルbの昇降動作を案内しあるいはワイヤケーブルbを停止位置で支持しながら、もう片方の手(図示省略)でホイストの駆動モータの下降・上昇のオンオフ操作や動作速度の調整操作を行う。
ところで、このようにホイストのワイヤケーブルbを支持する側の手aは、通常の皮革製作業用手袋cの上に、補強手袋dを重ね着用して作業を行うのが通常である。これは、作業用手袋cは強度が不十分で断熱性にも乏しく、ホイストのワイヤケーブルbを直接支持する場合のワイヤケーブルbとの摩擦熱により、すぐに磨耗し破損してしまい、また手に熱傷を負うなどの問題があることから、作業用手袋cだけではとても実際の使用に耐えないからである。
上記補強手袋dは、図8(b)に示すように、通常の作業用手袋cと同様に、厚さ寸法が1mm程度の薄手の皮革製とされ、手首部位が開口されるとともに、5指の指先部位が切断開口された袋状に形成されてなるオーバーグローブタイプのものであり、上述のごとく作業用手袋cの上から重ね着用される構造とされている。そして、このように、補強手袋dを通常の作業用手袋cの上に重ね着用することにより、作業用手袋cの欠点を補うことができるのである。
しかしながら、従来の補強手袋dにあっては、通常の作業用手袋cと同様の薄手の皮革からなるため、作業性には優れるものの、やはり強度が不十分で、上記ホイストのワイヤケーブルbとの摩擦熱によりすぐに磨耗し破損してしまい、作業用手袋cの寿命自体は延ばすことができるものの、補強手袋d自体は、実質上、1回または2回の救助活動により使用不可能となってしまい、耐久性に乏しく、寿命が著しく短くて非常に不経済であるという問題があり、この点についてのさらなる改良が要望されていた。
なお、本出願人の知る限りにおいて、この従来技術を開示した特許文献等は存在しない。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、レスキュー隊がヘリコプター救助において使用する手袋等、厳しい条件下で使用する手袋において、特に摩耗、損傷の激しい掌部分を補強して、手袋の寿命を大幅に延ばすことができる手袋の掌補強構造を提供することにある。
また、本発明の他の目的とするところは、上記掌補強構造を備えた寿命の長い手袋を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の手袋の掌補強構造は、手袋本体の掌部分を補強するための補強構造であって、上記手袋本体の掌部分の輪郭形状に対応した外形輪郭を有する厚手皮革製の本体補強片と、この本体補強片の折曲部位を固定支持することにより、本体補強片を立体的に湾曲形成する立体形成片とを備えてなり、上記本体補強片の折曲部位は、上記手袋本体の掌部分の側縁部に沿った線状に設定され、上記立体形成片は、その外形輪郭縁の一部端縁が上記本体補強片の折曲部位を支持固定する形成支持部とされるとともに、この形成支持部の輪郭形状が、上記手袋本体の掌部分の形状に沿った湾曲形状とされ、これら本体補強片および立体形成片は、立体形成片の形成支持部が上記本体補強片の折曲部位の裏面に位置決め重合された状態で、上記手袋本体の掌部分に一体的に重合固定されていることを特徴とする。
具体的には、上記手袋本体の掌部分の輪郭形状に対応した外形輪郭を有する厚手皮革製の本体補強片と、この本体補強片の左右折曲部位をそれぞれ固定支持することにより、本体補強片を立体的に湾曲形成する左右一対の立体形成片とを備えてなり、上記本体補強片の左右折曲部位は、上記手袋本体の掌部分の左右両側縁部にそれぞれ沿った線状に設定され、上記立体形成片は、その外形輪郭縁の一部端縁が上記本体補強片の折曲部位を支持固定する形成支持部とされるとともに、この形成支持部の輪郭形状が、上記手袋本体の掌部分の形状に沿った湾曲形状とされ、これら本体補強片および一対の立体形成片は、両立体形成片の形成支持部が上記本体補強片の左右折曲部位の裏面にそれぞれ位置決め重合された状態で、上記手袋本体の掌部分に一体的に縫合されていることを特徴とする。
好適な実施態様として、以下の構成が採用される。
(1)上記立体形成片の形成支持部に、上記本体補強片の屈曲動作部を形成する屈曲溝が設けられる。
(2)上記本体補強片の厚さ寸法が1.6〜2.3mmに設定される。
(3)上記立体形成片は、厚手皮革製とされる。
(4)上記本体補強片と立体形成片との縫合箇所は、手袋の作業対象物と接触干渉しない位置に設定される。
(5)上記本体補強片は、なめし剤として植物タンニンまたは合成タンニンを用いてなるタンニンなめしが施されてなる。
(6)上記本体補強片は、なめし剤として植物タンニンまたは合成タンニンと塩基性硫酸クローム塩の混合剤を用いてなる混合なめしが施されてなる。
本発明の手袋は、上記掌補強構造を手袋本体の掌部分に備えていることを特徴とする。
好適な実施態様として、以下の構成が採用される。
(1)上記手袋本体は、手に装着された手袋の外側に装着される形状寸法を有するオーバーグローブタイプとされた補強手袋の形態とされている。
(2)上記手袋本体は、手首部位のみが開口された袋状に形成されてなる。
(3)上記手袋本体は、手首部位が開口されるとともに、指先部位が切断開口された袋状に形成されてなる。
(4)上記立体形成片の形成支持部に設けられた屈曲溝により、上記本体補強片の屈曲動作部が形成され、この本体補強片の屈曲動作部の凹溝が、救助用ワイヤの摺動支持部として機能するように構成される。
(5)上記立体形成片の形成支持部に設けられた屈曲溝により、上記本体補強片の屈曲動作部が形成され、この本体補強片の屈曲動作部の凹溝が、車椅子の車輪操作部として機能するように構成される。
本発明の手袋の掌補強技術は、本発明者による種々の試験研究の努力の成果として生まれた。
すなわち、本発明者は、特に、レスキュー隊が人命救助に使用する手袋等において、その人命を預かるべき最も身近な作業用具である手袋として本来的に要求される着用作業性を損なうことなく、厳しい条件下で使用しても寿命の長い手袋の掌補強構造を模索してきた。
そして、本発明者は、従来の作業用手袋に使用される皮革材料についての技術常識を覆して、厚手の皮革(強度的には十分である反面、硬くて可撓性に乏しく曲げ難く、装着感が悪いと共に着用作業性も著しく悪いため、作業用手袋の材料としては不向き)を手袋の掌部分の補強材として使用することの可能性に着眼した。
つまり、厚手の皮革の長所(十分な強度を有する)を生かしつつ、その短所である着用作業性の悪さを克服するべく種々の研究・実験を繰り返した結果、その縫着構造を工夫することにより、厚手皮革の短所を解消し得ることを発見し、さらなる本発明者による試行錯誤の後、本発明が完成されるに至ったのである。
すなわち、本発明によれば、手袋本体の掌部分の輪郭形状に対応した外形輪郭を有する厚手皮革製の本体補強片と、この本体補強片の折曲部位を固定支持することにより、本体補強片を立体的に湾曲形成する立体形成片とを備えてなり、上記本体補強片の折曲部位は、上記手袋本体の掌部分の側縁部に沿った線状に設定され、上記立体形成片は、その外形輪郭縁の一部端縁が上記本体補強片の折曲部位を支持固定する形成支持部とされるとともに、この形成支持部の輪郭形状が、上記手袋本体の掌部分の形状に沿った湾曲形状とされ、これら本体補強片および立体形成片は、立体形成片の形成支持部が上記本体補強片の折曲部位の裏面に位置決め重合された状態で、上記手袋本体の掌部分に一体的に重合固定されていることにより、上記本体補強片が手袋本体の掌部分の湾曲立体形状に沿った縫着構造を実現することができる。
この結果、厚手の皮革の長所である十分な強度が生かされつつ、その短所である着用作業性の悪さも解消されて、例えば、レスキュー隊が人命救助に使用する手袋等においても、その本来的機能である着用作業性を損なうことなく、厳しい条件下で使用しても寿命の長い作業用手袋を提供することができるに至ったのである。
すなわち、上記本体補強片が手袋本体の掌部分の立体形状に沿った縫着構造とされることにより、手袋本体は、その掌部分に硬くて可撓性に乏しい厚手皮革製の本体補強片が用いられているにもかかわらず、着用当初から手袋本体を自然な手の動きに合わせて変形させることができ、良好な着用作業性を確保することができる。
また、上記立体形成片の形成支持部に、本体補強片の屈曲動作部を形成する屈曲溝が設けられていることにより、本体補強片の屈曲動作部が一定化して、より安定した手袋の操作性および作業性が確保される。
特に、ヘリコプター救助に使用される手袋においては、上記屈曲動作部に形成される凹溝が、救助用ワイヤつまりホイストのワイヤケーブルの摺動支持部として機能することになり、ワイヤケーブルの摺動通過する箇所が安定して得られ、ワイヤケーブルが掌の中で暴れて、その支持が安定せず、使いづらく危険という問題が有効に回避される。
同様に、例えば、車椅子の操作に使用される手袋においては、上記屈曲動作部に形成される凹溝が、車椅子の車輪操作部として機能することになり、車輪の操作箇所が安定して得られ、使用者が操作を誤るという危険が有効に回避される。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明に係る手袋を図1および図2に示し、この手袋1は、具体的には、各自治体の消防署、自衛隊、海上保安庁あるいは警察などのレスキュー隊が図6に示すように、ヘリコプター救助において使用する作業用手袋2と共に重ね着用して使用するのに適した補強手袋であって、手袋本体3の掌部分に掌補強構造Aを主要構成部として備えてなる。
手袋本体3は、手Hに装着された作業用手袋2の外側に装着される形状寸法を有するオーバーグローブタイプとされた薄手の人工皮革製のもので、手首部位が開口されるとともに、5指の指先部位が切断開口された袋状に形成されてなる。また、手袋本体3の手首部位は、図5に示すように、面ファスナー4aを備えた固定ベルト4により締付けおよび開放可能な構造とされている。
掌補強構造Aは、手袋本体3の掌部分を補強するための補強構造であって、皮革製の掌補強部材5が上記手袋本体3の掌部分に一体的に固定されてなる。図示の実施形態においては、手袋本体3が縫製される際に、掌補強部材5が同時にこの手袋本体3に縫着される構造とされている。
掌補強部材5は、本体補強片10と立体形成片11から構成されており、図示の実施形態においては、図3および図4に示すように、主要部である本体補強片10と、この本体補強片10の左右両側にそれぞれ一体的に重合固定される左右一対の立体形成片11a、11bとから構成されている。
本体補強片10は、上記手袋本体3の掌部分の輪郭形状に対応した外形輪郭を有する厚手皮革製のもので、その厚さ寸法は1.6〜2.3mmに設定され、より望ましくは1.8〜2.0mmに設定される。本体補強片10の厚さ寸法がこのような範囲に設定されるのは、厚さ寸法が1.6mmよりも小さい(薄い)と、所望の強度が得られず、一方、厚さ寸法が2.3mmよりも大きい(厚い)と、強度的には十分であるが、硬くて可撓性に乏しく曲げ難くなり、手袋の構成材料には不向きであるからである。
ちなみに、前述したように、通常の作業用手袋の皮革材料は、その厚さ寸法が1mm程度の薄手のものであり、厚さ寸法が1.6〜2.3mmという厚手の皮革は、従来、野球グローブのように、特に強度が要求される一方、通常の手作業のような細かな動きを要求されないような特殊用途の手袋にしか使用されておらず、本実施形態のように、ヘリコプター救助に使用される手袋のように、着用作業性が要求される手袋には使用不可能とされていた。
また、上記本体補強片10を構成する皮革材料のなめし処理としては、なめし剤として植物タンニンまたは合成タンニンを用いてなるタンニンなめし、あるいは、なめし剤として植物タンニンまたは合成タンニンと塩基性硫酸クローム塩の混合剤を用いてなる混合なめしが好適に施されてなる。上記なめし剤におけるタンニンや塩基性硫酸クローム塩の混合の割合を適宜工夫することで、目的に応じた最適な硬さや耐熱性などを得ることができる。
本体補強片10の具体的な外周輪郭形状は、図1および図4に示すように、手袋本体3の掌部分の輪郭形状に対応するとともに、第1指(親指)〜第5指(小指)の付け根部位の掌側にそれぞれ被覆重合する指部 位10a〜10eを有している。また、第2指〜第5指の付け根部位に対応する指部位10b〜10eには、これら指部位の折り曲げやすさを担保するための切欠部き12、12 、…が設けられている。また、図4において、13は本体補強片10の立体的な湾曲形成を可能とする切欠きを示している。
立体形成片11a、11bは、本体補強片10の折曲部位を固定支持することにより、本体補強片10を立体的に湾曲形成する厚手皮革製のもので、その厚さ寸法やなめし処理などは、上記本体補強片10と同様である。
両立体形成片11a、11bはそれぞれ、図3および図4に示すように、その外形輪郭縁の一部端縁15a、15bが上記本体補強片10の手袋本体3に縫着される際の折曲部位20(20a、20b)を支持固定する形成支持部とされている。
また、上記本体補強片10の折曲部位20(20a、20b)は、図1に示すように、上記手袋本体3の掌部分の左右側縁部3a、3bにそれぞれ沿った線状に設定される。
立体形成片11a、11bの形成支持部15a、15bは、その輪郭形状が、上記手袋本体3の人間工学に基づいて設計された掌部分の形状に沿った湾曲形状とされている。
つまり、人間の手を自然に開いた状態では、全体として内側(掌側)へ湾曲しているが、手袋本体3はこの人間の手を自然に開いた状態に対応した形状に形成される。上記立体形成片11a、11bの形成支持部15a、15bの輪郭形状は、この人間工学に基づいて設計された手袋本体3の掌部分の湾曲立体形状に沿うように形成されている。
また、形成支持部15a、15bには、後述するように、本体補強片10の屈曲動作部21を形成する屈曲溝16a、16bがそれぞれ設けられている。
換言すれば、本体補強片10は、手袋本体3に縫着された状態において、この手袋本体3の屈曲動作する部位に対応して屈曲しやすいことが必須の設計条件となる。本実施形態においては、この手袋本体3の屈曲動作する部位に対応して屈曲すべき本体補強片10のほぼ直線状の部位を屈曲動作部位21とし、このほぼ直線状の屈曲動作部位21の両端部分に対応する立体形成片11a、11bの形成支持部15a、15bの位置に、上記屈曲溝16a、16bが形成されている。
これら本体補強片10および立体形成片11a、11bは、両立体形成片11a、11bの形成支持部15a、15bが上記本体補強片10の折曲部位20a、20bの裏面にそれぞれ位置決め重合された状態で、つまり、図4において、上記形成支持部15a、15bが上記折曲部位20a、20bの裏面にほぼ当接一致した位置で、上記本体補強片10と立体形成片11a、11bが重ね合わされて(図4におけるハッチング部分が重合部分)、この重合状態のまま上記手袋本体3の掌部分に一体的に縫合されて固定される。
これにより、掌補強部材5(10、11a、11b)は、手袋本体3の立体的な外周面に沿って縫着されることになるところ、この際、両立体形成片11a、11bの端縁である形成支持部15a、15bが本体補強片10の立体湾曲形成エッジとして作用して、上記本体補強片10は手袋本体3の掌部分の湾曲立体形状に沿った縫着構造が完成する(図3(a)、(b)および(c)参照)。
なお、補強手袋1の実際の製造工程においては、手袋本体3の縫製時に上記掌補強部材5(10、11a、11b)も手袋本体3に縫着されることになり、この際、上記本体補強片10と立体形成片11a、11bとの縫合箇所30は、補強手袋1の作業対象物(図示の実施形態においてはホイストのワイヤケーブルCと接触干渉しない位置に設定されている。
しかして、以上のように構成された補強手袋1は、図5に示すように、手Hに装着された作業用手袋2の外側に重ね着用して使用される。
この場合、補強手袋1の掌補強構造Aにおいて、立体形成片11a、11bの形成支持部15a、15bの立体形成作用により、本体補強片10が手袋本体3の掌部分の湾曲立体形状に沿った縫着構造とされているため、手袋本体3は、その掌部分に硬くて可撓性に乏しい厚手皮革製の本体補強片10が用いられているにもかかわらず、着用当初から手袋本体3を自然な手の動きに合わせて変形させることができ、良好な着用作業性を確保することができる。
また、上記立体形成片11a、11bの形成支持部15a、15bに、本体補強片10の屈曲動作部21を形成する屈曲溝16a、16bが設けられていることにより、本体補強片10の屈曲動作部21が一定化して、より安定した手袋の操作性および作業性が確保される。
特に、図示の実施形態のようにヘリコプター救助に使用される補強手袋1においては、上記屈曲動作部21に形成される凹溝が、ホイストのワイヤケーブルCの摺動支持部として機能することになり、ワイヤケーブルCの摺動通過する箇所が安定して得られ、ワイヤケーブルCが掌の中で暴れて、その支持が安定せず、使いづらく危険という問題が有効に回避される。
以上のように、従来の作業用手袋に使用される皮革材料についての技術常識を覆して、縫着構造の工夫により、厚手の皮革(強度的には十分である反面、硬くて可撓性に乏しく曲げ難く、装着感が悪いと共に着用作業性も悪いため、作業用手袋の材料としては不向き)を補強手袋1の掌部分の補強材として使用することが可能となったことで、厚手の皮革の長所(十分な強度を有する)を生かしつつ、その短所である着用作業性の悪さが克服されて、図示の実施形態のように、レスキュー隊がヘリコプター救助において使用する補強手袋1を始めとして、厳しい条件下で使用する各種手袋において、特に摩耗、損傷の激しい掌部分を補強して、手袋の寿命を大幅に延ばすことができる。
ちなみに、従来のこの種の手袋においては、実質上、1回または2回のヘリコプター救助における救助活動により使用不可能となってしまっていたところ、図示の実施形態の補強手袋1にあっては、20回以上の救助活動においても使用可能であることが実験的に判明している。
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく、その範囲において種々の設計変更が可能であり、例えば、以下に列挙するような改変が可能である。
(1)図示の実施形態においては、手袋本体3が縫製される際に、掌補強部材が同時にこの手袋本体3に縫着される構造とされているが、掌補強部材は接着剤等他の固定方法により手袋本体3に付設されてもよい。
(2)図示の本体補強片10の外周輪郭形状に代えて、図7に示すような形状が採用され得る。つまり、図7において、本体補強片10は、手袋本体3の掌部分の輪郭形状に対応するとともに、第1指(親指)および第2指(人差指)の付け根部位の掌側をそれぞれ被覆重合するとともに、残りの3指(第3指(中指)〜第5指(小指))の付け根部位の掌側全体を被覆重合する形状とされている。
(3)図示の実施形態の手袋本体3においては、5指の指先部位が切断開口された袋状に形成されてなるオーバーグローブタイプとされているが、手首部位のみが開口された袋状に形成されて、手Hに直接着用する単体使用タイプとされても良い。
(4)手袋本体3の素材は、図示の実施形態においては、作業用手袋と重ね着用される補強手袋ということで、薄手の人工皮革製とされているが、作業用手袋として単体で使用される場合には、比較的丈夫な薄手皮革製とするなど、目的に応じて種々設計変更可能である。
(5)図示の実施形態の補強手袋1を車椅子使用者の車輪操作用手袋としても適用可能であり、この場合、掌補強構造Aにおいて、立体形成片11a、11bの形成支持部15a、15bに設けられた屈曲溝16a、16bにより形成される本体補強片10の屈曲動作部21は、その凹溝が車椅子の車輪操作部として機能する結果、車輪の操作箇所が安定して得られ、使用者が操作を誤るという危険が有効に回避される。
本発明の一実施形態である補強手袋の掌側から見た斜視図である。 同補強手袋の手袋本体と掌補強部材を分解して示す斜視図であり、図2(a)は小指側から見た斜視図、図2(b)は親指側から見た斜視図である。 同補強手袋の掌補強部材を示し、図3(a)は表側正面図、図3(b)は裏側正面図、図3(c)は親指側側面図である。 同補強手袋の掌補強部材の分解正面図である。 同補強手袋の装着状態を示し、図5(a)は作業用手袋の上から補強手袋を重ね着用した状態を示す斜視図、図5(b)は作業用手袋を着用した手に対して補強手袋を着用する前の状態を示す斜視図である。 同補強手袋のヘリコプター救助における装着使用状態を示し、図6(a)はホイストのワイヤケーブルを案内支持した状態を手の甲側から見た斜視図、図6(b)は同じくホイストのワイヤケーブルを案内支持した状態を掌側から見た斜視図である。 本発明の他の実施形態である補強手袋の掌側から見た斜視図である。 従来の補強手袋を示し、図8(a)はヘリコプター救助における同補強手袋の装着使用状態を示す斜視図、図8(b)は作業用手袋を着用した手に対して同補強手袋を着用する前の状態を示す斜視図である。
符号の説明
A 掌補強構造
1 補強手袋
2 作業用手袋
3 手袋本体
5 掌補強部材
10 本体補強片
11(11a、11b) 立体形成片
15a、15b 形成支持部
16a、16b 屈曲溝
20(20a、20b) 折曲部位
21 屈曲動作部
30 縫合箇所

Claims (14)

  1. 手袋本体の掌部分を補強するための補強構造であって、
    前記手袋本体の掌部分の輪郭形状に対応した外形輪郭を有する厚手皮革製の本体補強片と、
    この本体補強片の折曲部位を固定支持することにより、本体補強片を立体的に湾曲形成する立体形成片とを備えてなり、
    前記本体補強片の折曲部位は、前記手袋本体の掌部分の側縁部に沿った線状に設定され、
    前記立体形成片は、その外形輪郭縁の一部端縁が前記本体補強片の折曲部位を支持固定する形成支持部とされるとともに、この形成支持部の輪郭形状が、前記手袋本体の掌部分の形状に沿った湾曲形状とされ、
    これら本体補強片および立体形成片は、立体形成片の形成支持部が前記本体補強片の折曲部位の裏面に位置決め重合された状態で、前記手袋本体の掌部分に一体的に重合固定されている
    ことを特徴とする手袋の掌補強構造。
  2. 手袋本体の掌部分を補強するための補強構造であって、
    前記手袋本体の掌部分の輪郭形状に対応した外形輪郭を有する厚手皮革製の本体補強片と、
    この本体補強片の左右折曲部位をそれぞれ固定支持することにより、本体補強片を立体的に湾曲形成する左右一対の立体形成片とを備えてなり、
    前記本体補強片の左右折曲部位は、前記手袋本体の掌部分の左右両側縁部にそれぞれ沿った線状に設定され、
    前記立体形成片は、その外形輪郭縁の一部端縁が前記本体補強片の折曲部位を支持固定する形成支持部とされるとともに、この形成支持部の輪郭形状が、前記手袋本体の掌部分の形状に沿った湾曲形状とされ、
    これら本体補強片および一対の立体形成片は、両立体形成片の形成支持部が前記本体補強片の左右折曲部位の裏面にそれぞれ位置決め重合された状態で、前記手袋本体の掌部分に一体的に縫合されている
    ことを特徴とする手袋の掌補強構造。
  3. 前記立体形成片の形成支持部に、前記本体補強片の屈曲動作部を形成する屈曲溝が設けられている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の手袋の掌補強構造。
  4. 前記本体補強片の厚さ寸法が1.6〜2.3mmに設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の手袋の掌補強構造。
  5. 前記立体形成片は、厚手皮革製とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の手袋の掌補強構造。
  6. 前記本体補強片と立体形成片との縫合箇所は、手袋の作業対象物と接触干渉しない位置に設定されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の手袋の掌補強構造。
  7. 前記本体補強片は、なめし剤として植物タンニンまたは合成タンニンを用いてなるタンニンなめしが施されてなる
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の手袋の掌補強構造。
  8. 前記本体補強片は、なめし剤として植物タンニンまたは合成タンニンと塩基性硫酸クローム塩の混合剤を用いてなる混合なめしが施されてなる
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の手袋の掌補強構造。
  9. 手袋本体の掌部分に、請求項1から8のいずれか一つに記載の補強構造を備えている
    ことを特徴とする手袋。
  10. 前記手袋本体は、手に装着された手袋の外側に装着される形状寸法を有するオーバーグローブタイプとされた補強手袋の形態とされている
    ことを特徴とする請求項9に記載の手袋。
  11. 前記手袋本体は、手首部位のみが開口された袋状に形成されてなる
    ことを特徴とする請求項9に記載の手袋。
  12. 前記手袋本体は、手首部位が開口されるとともに、指先部位が切断開口された袋状に形成されてなる
    ことを特徴とする請求項10に記載の手袋。
  13. 前記立体形成片の形成支持部に設けられた屈曲溝により、前記本体補強片の屈曲動作部が形成され、
    この本体補強片の屈曲動作部の凹溝が、救助用ワイヤの摺動支持部として機能するように構成されている
    ことを特徴とする請求項9から12のいずれか一つに記載の手袋。
  14. 前記立体形成片の形成支持部に設けられた屈曲溝により、前記本体補強片の屈曲動作部が形成され、
    この本体補強片の屈曲動作部の凹溝が、車椅子の車輪操作部として機能するように構成されている
    ことを特徴とする請求項9から12のいずれか一つに記載の手袋。
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