以下、本発明に係る電波修正時計用補助アンテナ装置の実施形態について説明する。
ここで、実施例1は本発明に係る電波修正時計用補助アンテナ装置の実施例ではなく、実施例2以下に示した本発明の各実施例の前提となる構成、作用、効果を説明するものである。
なお、実施例2以下の各実施例の説明において引用した実施例1の部分については、実施例2以下の各実施例の範囲において、本発明に係る電波修正時計用補助アンテナ装置の実施例に含まれる。
(実施例1)
図1は、本発明の第1実施例である電波修正時計用補助アンテナ装置100を示す分解斜視図、図2は、図1に示した補助アンテナ装置100の等価電気回路を示す図、図3(a)は補助アンテナ装置100に電波修正時計の腕時計200を配置した状態を示す斜視図、図3(b)は図3(a)におけるA−A線に沿った要部断面を示す断面図である。
図示の補助アンテナ装置100は、腕時計200の指示時刻を修正するために送信されている標準時刻電波を受信する、当該腕時計200の本体210内部に設けられた内蔵アンテナ230(図2,3参照)の受信感度を向上させるための装置である。
ここで、標準時刻電波は、東日本地域では第1の周波数f1(例えば、40kHz)、西日本地域では第2の周波数f2(例えば、60kHz)で送信されている。
内蔵アンテナ230は、これら第1の周波数f1と第2の周波数f2とにおいて、受信感度が極大となる受信周波数感度特性を有している。ただし、この2つの周波数f1,f2の各電波に対して同時に感度が極大となるのではない。
すなわち、第1の周波数f1の電波を受信しているときは、第1の周波数f1の電波に対する受信感度が極大となるように、第2の周波数f2の電波を受信しているときは、第2の周波数f2の電波に対する受信感度が極大となるように、図示しないマイコンによって制御して、受信周波数感度特性を切り替えている。
そして、本実施例1の補助アンテナ装置100は、図1および図2に示すように、ケース30の内部に、腕時計200の内蔵アンテナ230の受信周波数感度特性にそれぞれ影響を及ぼす第1のアンテナ体40(共振回路体)および第2のアンテナ体50(共振回路体)を備えている。
第1のアンテナ体40と第2のアンテナ体50とは、受信周波数感度特性が異なる特性を有しており、これら両アンテナ体40,50の受信周波数感度特性を合成した受信周波数感度特性が、第1の周波数f1および第2の周波数f2における受信感度が極大となるように設定されている。
第1のアンテナ体40は、棒状のコア41と、コア41の外周に巻回されたコイル42と、コイル42に接続されたキャパシタ(コンデンサ)43とにより形成されている。同様に、第2のアンテナ体50も、棒状のコア51と、コア51の外周に巻回されたコイル52と、コイル52に接続されたキャパシタ(コンデンサ)53とにより形成されている。
そして、アンテナ体40,50は、図1及び図3(b)に示すように、それらのコア41,51が、ケース30の下部側である底ケース20に、所定の距離L0(中心間距離、間隔)だけ離間して、略平行に保持されている。
一方、ケース30の上部側であるカバーケース10には、腕時計200の本体210とバンド220とを載置するときにこれらの載置位置をガイドする凹溝15(時計配置部)が形成されている。カバーケース10と底ケース20とは、これらの周壁端部同士が嵌合し、図示しないネジ等で締結されて、一体化している。
なお、凹溝15は、第1のアンテナ体40および第2のアンテナ体50と、腕時計210の内蔵アンテナ230とを所定の位置関係に維持する手段(部分)であり、図示するように、腕時計200を載置する手段(部分)として、カバーケース10に配設されている。
しかし、補助アンテナ装置100と腕時計200とは、図3に示すように、腕時計200を凹溝15に載置する形態に限定されるものではない。
すなわち、机上等に置かれた腕時計200の上方側から補助アンテナ装置100を覆い被せるようにしてもよい。このとき、補助アンテナ装置100は、腕時計200と接触していてもよいし、接触していなくてもよい。
腕時計200と補助アンテナ装置100とは、これら両者が接触状態であるか非接触状態であるかに拘わらず、磁気的結合を確保することができるため、内蔵アンテナ230の受信感度を高めることができる。
そして、内蔵アンテナ230と、第1のアンテナ体40および第2のアンテナ体50との間で磁気的結合が確保されている状態においては、腕時計200を覆い被せる形態の補助アンテナ装置100であっても、腕時計200が接触する領域や腕時計200が占める空間が時計配置部となる。このとき、内蔵アンテナ230とアンテナ体40,50とが非平行状態に配置されていても、受信感度は補助アンテナ装置100を使用しない場合よりも高くなる。
第1のアンテナ体40のコア41は、フェライト材料により略円柱状の棒状体として形成されており、周面には対向する2つの平坦面を有している。棒状体の長さは約80mm程度で、その直径は約10mm程度に設定されている。
第1のアンテナ体40は、コア41の断面積及び長さの寸法が大きくなるにしたがって、コイル42への誘導起電力が大きくなるため、腕時計200の内蔵アンテナ230に対して、容積が充分に大きくなるように設定されている。第2のアンテナ体50のコア51も、コア41と同様に、内蔵アンテナ230に対して容積が充分に大きくなるように形成されている。
なお、各コア41,51の形状としては、上述した略円柱形状に限定されるものではなく、完全な円柱形状や、楕円柱形状、四角柱形状等の多角柱形状であってもよい。
コイル42に接続されたキャパシタ43は、標準時刻電波の第1の周波数f1において共振作用が得られるように、コア41の軸線方向の所定位置においてコア41の外周表面に固着されている。
同様に、コイル52に接続されたキャパシタ53は、標準時刻電波の第2の周波数f2において共振作用が得られるように、コア51の軸線方向の所定位置においてコア51の外周表面に固着されている。上記アンテナ体40,50の電気的特性の等価電気回路は図2に示す通りである。
ケース30は、標準時刻電波の受信感度を低下させないように、そして、両アンテナ体40,50と腕時計200の内蔵アンテナ230との磁気的結合を低下させないように、例えば樹脂材料等の非金属材料等により形成されている。
底ケース20には、図示を略した略矩形平板状の基部と、この基部に対して一体的に形成された一対の支持部と、カバーケース10を取り付ける際に用いる係止リブとが形成されている。
一対の支持部には、アンテナ体40,50の凸部と嵌合する凹部がそれぞれ形成されている。すなわち、この一対の支持部にアンテナ体40,50の両端を嵌合させることによって、アンテナ体40,50は底ケース20の所定位置に保持される。
腕時計200に内蔵された内蔵アンテナ230は、その長手方向が時計文字板の「12時」と「6時」とを結ぶ直線と平行に、かつ「9時」に近い側に配置されている。
そして、図3(a)に示すように、カバーケース10に形成された凹溝15に、時計文字板の9時側を下向きにして、腕時計200の本体210およびバンド220を載置すると、本体210が凹溝15の略中央部に配置される。このとき、本体210内部の内蔵アンテナ230は、その長手方向が、補助アンテナ装置100の各アンテナ体40,50と略平行に配置される。
さらに、このとき、図3(b)に示すように、内蔵アンテナ230は、両アンテナ体40,50の間に配置される。しかも、内蔵アンテナ230は、2つのアンテナ体40,50から略等距離(L1≒L2)の位置、すなわち2つのアンテナ体40,50間の距離L0の略1/2の位置に配置されている。
なお、腕時計200は、バンド220だけでなく、内蔵アンテナ230を覆う本体210も含めて、金属製であってもよい。
次に、本実施例の補助アンテナ装置100の作用について説明する。
図3(a)に示すように、カバーケース10に形成された凹溝15に、腕時計200の本体210およびバンド220が載置された状態では、本体210が凹溝15の略中央部に配置され、内蔵アンテナ230のコアの軸線方向と、補助アンテナ装置100の各アンテナ体40,50のコア41,51の軸線方向とが、略平行となる。
この状態で、腕時計200が第1の周波数f1の標準時刻電波を受信している場合、補助アンテナ装置100の、第1の周波数f1の標準時刻電波に対して極大となる受信周波数感度特性を有する第1のアンテナ体40と、腕時計200の内蔵アンテナ230とは、図4に示すように、共振周波数が一致するため、効率良く磁気的結合を生じることになる。
したがって、この磁気的結合により、内蔵アンテナ230には、補助アンテナ装置100を使用しない場合より大きな誘導起電力が生じ、腕時計200は、第1の周波数f1の標準時刻電波に対する受信感度が高められる。
ここで、腕時計200の内蔵アンテナ230と、第2の周波数f2の標準時刻電波に対して極大となる受信周波数感度特性を有する第2のアンテナ体50とは、共振周波数が異なるため効率の良い磁気的結合は生じない。
一方、腕時計200が第2の周波数f2の標準時刻電波の受信を選択している場合、補助アンテナ装置100における、第2の周波数f2の標準時刻電波に対して極大となる受信周波数感度特性を有する第2のアンテナ体50と、腕時計200の内蔵アンテナ230とは、図4に示すように、共振周波数が一致するため、効率良く磁気的結合を生じることになる。
したがって、この磁気的結合により、内蔵アンテナ230には、補助アンテナ装置100を使用しない場合より大きな誘導起電力が生じ、腕時計200は、第2の周波数f2の標準時刻電波に対する受信感度が高められる。
ここで、腕時計200の内蔵アンテナ230と、第1の周波数f1の標準時刻電波に対して極大となる受信周波数感度特性を有する第1のアンテナ体40とは、共振周波数が異なるため効率の良い磁気的結合は生じない。
さらに、図4に示したグラフを用いて説明すると、特性61は、補助アンテナ装置100に載置されていない携帯状態の腕時計200が、第1の周波数f1の標準時刻電波の受信を選択している場合に、内蔵アンテナ230に電界が与えられたときの出力電圧を示す伝達特性である。特性63は、腕時計200が補助アンテナ装置100に載置された状態における内蔵アンテナ230の出力電圧を示す伝達特性である。
図4のグラフの特性63から明らかなように、内蔵アンテナ230は、第1のアンテナ体40と効率良く磁気的結合を生じ、特性61よりも大きな誘導起電力が第1の周波数f1に生じている。
一方、特性62は、補助アンテナ装置100に載置されていない携帯状態の腕時計200が、第2の周波数f2の標準時刻電波の受信を選択している場合における内蔵アンテナ230の、電界が与えられたときの出力電圧を示す伝達特性である。特性64は、腕時計200が補助アンテナ装置100に載置された状態における内蔵アンテナ230の出力電圧を示す伝達特性である。
図4のグラフの特性64から明らかなように、内蔵アンテナ230は、第2のアンテナ体50と効率良く磁気的結合を生じ、特性62よりも大きな誘導起電力が第2の周波数f2に生じている。
これにより、自動2局受信(第1の周波数f1の標準時刻電波の受信と第2の周波数f2の標準時刻電波の受信)の腕時計200を、夜間等の、腕から外された未装着状態の定時受信時に、この補助アンテナ装置100の凹溝15に載置するだけで、標準時刻電波による時刻の自動修正をより確実に行なわせることができる。
なお、図3(b)に示した距離L0は、例えば約40mmであり、距離L1およびL2は、いずれも約20mmである。
以上のように、本実施例1に係る補助アンテナ装置100によれば、所定の電波を受信して自動的に時刻の修正を行う腕時計200(電波修正時計)に内蔵された内蔵アンテナ230の受信周波数感度特性に対して影響を与えるアンテナ体40,50(共振回路体)を2つ備え、2つのアンテナ体40,50は、受信周波数感度特性に対して与える影響の周波数範囲が異なるように設定されている。
したがって、アンテナ体40,50が、内蔵アンテナ230の受信周波数感度特性に対して異なる周波数範囲にそれぞれ独立して影響を与えることができる。
なお、内蔵アンテナ230は、2つのアンテナ体40,50の配置面と同一平面上に配置される必要はない。図3(b)において、2つのアンテナ体40,50の配置面からカバーケース10方向の上方向や、底ケース20方向の下方向にずれた位置に内蔵アンテナ230を配置してもよい。
すなわち、内蔵アンテナ230は、アンテナ体40,50が形成する磁束の影響が実質的に及ぶ範囲内に配置すればよい。
ただし、内蔵アンテナ230を2つのアンテナ体40,50の配置面と同一平面上に配設した構成は、補助アンテナ装置100の高さをコンパクトに形成することができるとともに、内蔵アンテナ230と各アンテナ体40,50との離間距離の測定を容易にすることができる。
また、内蔵アンテナ230の受信周波数感度特性は、第1の周波数f1において受信感度が極大となる第1の受信周波数感度特性と、第1の周波数f1とは異なる第2の周波数f2において受信感度が極大となる第2の受信周波数感度特性とのうちいずれか一方の受信周波数感度特性となるように切替可能に設定され、または、第1の周波数f1および第2の周波数f2において受信感度がそれぞれ極大となる受信周波数感度特性に設定されている。
2つのアンテナ体40,50の受信周波数感度特性の合成により、凹溝15に配置された腕時計200の内蔵アンテナ230の位置において、内蔵アンテナ230の第1の周波数f1および第2の周波数f2における受信感度をそれぞれ増大させるように、2つのアンテナ体40,50の各受信周波数感度特性がそれぞれ設定されている。
このため、2つのアンテナ体40,50の、設定された受信周波数感度特性の合成によって、凹溝15に配置された腕時計200の内蔵アンテナ230の位置において、この内蔵アンテナ230の第1の周波数f1および第2の周波数f2における受信感度がそれぞれ向上される。そして、内蔵アンテナ230が第1の周波数f1、第2の周波数f2いずれの周波数の標準時刻電波を受けた場合にも、受信感度を向上させることができる。
さらに、凹溝15は、腕時計200が配置された状態における内蔵アンテナ230が2つのアンテナ体40,50から略等距離の位置となるように形成されているため、内蔵アンテナ230が各アンテナ体40,50から受ける受信周波数感度特性への各影響を、略同等にすることができる。
したがって、第1の周波数f1として、東日本地域を対象として発信されている標準時刻電波の周波数である40kHz、第2の周波数f2として、西日本地域を対象として発信されている標準時刻電波の周波数である60kHz、をそれぞれ適用した補助アンテナ装置100では、東日本における標準時刻電波の受信感度と西日本における標準時刻電波の受信感度との間で大きな差異は生じない。
また、2つのアンテナ体40,50の容積が、内蔵アンテナ230の容積に対して大きい。このため、内蔵アンテナ230の受信感度よりもアンテナ体40,50による受信感度を高めることができ、このアンテナ体40,50との共振作用により、内蔵アンテナ230の受信感度を大幅に向上させることができる。
なお、アンテナ体40,50の容積を内蔵アンテナ230の容積に対して大きく設定する代わりに、アンテナ体40,50のQ値を内蔵アンテナ230のQ値に対して大きく設定するようにしてもよい。
この結果、内蔵アンテナ230の受信感度よりもアンテナ体40,50による受信感度を高めることができ、このアンテナ体40,50との共振作用により、内蔵アンテナ230の受信感度も大幅に向上させることができる。
さらに、2つのアンテナ体40,50と、凹溝15に配置された腕時計200の内蔵アンテナ230とが、略平行に配置されるように、2つのアンテナ体40,50と凹溝15とが形成されているため、凹溝15に配置された腕時計200の内蔵アンテナ230が、各アンテナ体40,50による影響を最も有効に受けることができる。
(実施例2)
次に、本発明に係る電波修正時計用補助アンテナ装置の第2実施例(実施例2)について、図1、図5および図6を用いて説明する。この実施例2における補助アンテナ装置100′は、実施例1における補助アンテナ装置100の構成に対して、第1のアンテナ体40に代えて、他の第3のアンテナ体80(共振回路体)が備えられている点で異なる以外は、実施例1の補助アンテナ装置100と同じ構成である。
すなわち、実施例2の補助アンテナ装置100′は、図3(b)相当の図5に示すように、ケース30の内部に、腕時計200の内蔵アンテナ230の受信周波数感度特性にそれぞれ影響を及ぼす第3のアンテナ体80および第2のアンテナ体50(共振回路体)を備えている。
ここで、第3のアンテナ体80は、実施例1の第1のアンテナ体40の受信周波数感度特性と異なる受信周波数感度特性を有する。実施例1の第1のアンテナ体40と実施例2の第3のアンテナ体80とのこの受信周波数感度特性の相違は、第1のアンテナ体40のキャパシタ43の容量と第3のアンテナ体80のキャパシタ83の容量との差異に基づく。
なお、コア81はコア41と、コイル82はコイル42と、それぞれ同一である。そして、この第3のアンテナ体80は、腕時計200の内蔵アンテナ230に対して共振作用を及ぼさない共振回路体である。
図6は、共通の電界を与えられたときの、実施例2の補助アンテナ装置100′に腕時計200を載置した状態における内蔵アンテナ230の出力電圧の伝達特性と、補助アンテナ装置100′を用いない状態における内蔵アンテナ230の出力電圧の伝達特性とを示すグラフである。
なお、本実施例2の補助アンテナ装置100′が、受信感度を向上させる対象となる電波修正時計としての腕時計200は、その内蔵アンテナ230が、少なくとも第2の周波数f2(例えば、60kHz;特定周波数帯域)において受信感度が極大となる受信周波数感度特性を有するものであればよい。
もちろん、実施例1と同様に2つの周波数f1(例えば、40kHz),f2においてそれぞれ受信感度が極大となる受信周波数感度特性を有するものであってもよいが、本実施例2の補助アンテナ装置100′が、直接的に受信感度の絶対値を向上させる効果を発揮するのは、腕時計200の内蔵アンテナ230が、第2の周波数f2の標準時刻電波を受信する場合である。
そして、第3のアンテナ体80および第2のアンテナ体50の受信周波数感度特性の合成により、凹溝15に載置された腕時計200の内蔵アンテナ230の位置において、内蔵アンテナ230の周波数f2に対する受信感度を増大させるとともに、この周波数f2とは異なる周波数であって、内蔵アンテナ230の感度を相対的に低下させる妨害電波(障害電波)である第4の周波数f4(例えば、55kHz;特定周波数帯域とは異なる周波数帯域)に対する感度を低減させるように、両アンテナ体50,80の各受信周波数感度特性がそれぞれ設定されている。
つまり、第2のアンテナ体50は、標準時刻電波の1つである第2の周波数f2において共振点が得られるように設定され、第3のアンテナ体80は、第3の周波数f3(例えば、78kHz)において共振点が得られるように設定されている。
このように構成された実施例2の補助アンテナ装置100′の凹溝15に腕時計200が載置された状態で、腕時計200が第2の周波数f2の標準時刻電波を受信している場合、図6に示すように、補助アンテナ装置100′の、第2の周波数f2の標準時刻電波に対して極大となる受信周波数感度特性を有する第2のアンテナ体50と腕時計200の内蔵アンテナ230とは、共振周波数が一致するため効率良く磁気的結合を生じることになる。
したがって、この磁気的結合により、内蔵アンテナ230には、補助アンテナ装置100′を使用しない場合より大きな誘導起電力が生じ、腕時計200は、第2の周波数f2の標準時刻電波に対する受信感度が高められる。
一方、腕時計200の内蔵アンテナ230と、第3の周波数f3の電波に対して極大となる受信周波数感度特性を有する第3のアンテナ体80とは、共振周波数が異なるため効率の良い磁気的結合は生じない。
なお、図6における特性71は、補助アンテナ装置100′に載置されていない携帯状態の腕時計200が第2の周波数f2(60kHz)を選択している場合の内蔵アンテナ230の伝達特性である。
また、特性72は、腕時計200が、第2のアンテナ体50のみを備えて第3のアンテナ体80を備えない補助アンテナ装置(従来の補助アンテナ装置)に載置された状態における内蔵アンテナ230の伝達特性である。この特性71と特性72との比較によれば、内蔵アンテナ230と第2のアンテナ体50とが効率良く磁気的結合を生じ、第2の周波数f2において、特性72は特性71より大きな誘導起電力を生じている。
一方、特性73は、腕時計200が、第2のアンテナ体50および第3のアンテナ体80を備えた本実施例2の補助アンテナ装置100′に載置された状態における内蔵アンテナ230の伝達特性である。
この特性71と特性73とを比較すると、内蔵アンテナ230と第2のアンテナ体50とが効率良く磁気的結合を生じ、第2の周波数f2において、特性73は特性71より大きな誘導起電力を生じている。
一方、特性72と特性73との比較では、第2の周波数f2において、特性72の方が特性73よりもg1(=13[dB])だけ大きな誘導起電力を生じている。
しかし、特性72は、妨害電波の周波数f4においても特性73よりも大きな誘導起電力を生じており、その起電力の差は、周波数f2における差g1よりも大きい差g2(=19[dB])となっている。
つまり、実施例2の補助アンテナ装置100′を用いた場合の特性73は、従来の補助アンテナ装置を用いた場合の特性72よりも、周波数f2で発信されている標準時刻電波に対する受信感度と周波数f4で発信されている妨害電波に対する感度との差を増大させることができる。
よって、実施例2の補助アンテナ装置100′は、第4の周波数f4の電波を排除あるいは抑制しようとする場合に、実施例1の補助アンテナ装置100より有効である。
このように、妨害電波のような、不要でかつ出力の大きい第4の周波数f4の電波が発信されている状況下において、第2の周波数f2の標準時刻電波を受信しようとするとき、実施例2の補助アンテナ装置100′の凹溝15に腕時計200を載置することにより、妨害電波に対する感度を抑制しつつ、標準時刻電波に対する受信感度を高めることができる。
したがって、標準時刻電波の受信に基づいた腕時計200の指示時刻自動修正を、従来よりも確実に行なわせることができる。
なお、第3の周波数f3は、補助アンテナ装置100′に載置される腕時計200の受信感度とは直接的な関係はなく、第3の周波数f3における誘導起電力は小さくてもよい。
つまり、内蔵アンテナ230と第3のアンテナ体80との距離(図5におけるL3に相当)は、内蔵アンテナ230と第2のアンテナ体50の距離(図5におけるL2に相当)より大きくてもよく(L3>L2)、内蔵アンテナ230において第4の周波数f4の伝達特性を低下させるものであればよい。
同様に、第4の周波数f4の伝達特性を低下させる限りにおいて、第3のアンテナ体80の容積は第2のアンテナ体50の容積より小さくてもよく、また、第3のアンテナ体80のQ値は第2のアンテナ体50のQ値より小さくてもよい。
以上のように、本実施例2に係る補助アンテナ装置100′によれば、所定の電波を受信して自動的に時刻の修正を行う腕時計200に内蔵された内蔵アンテナ230の受信周波数感度特性に対して影響を与えるアンテナ体80,50(共振回路体)を2つ備え、2つのアンテナ体80,50は、受信周波数感度特性に対して与える影響の周波数範囲が異なるように設定されている。
このため、各アンテナ体80,50が、内蔵アンテナ230の受信周波数感度特性に対して異なる周波数範囲にそれぞれ独立して影響を与えることができる。
なお、内蔵アンテナ230は、2つのアンテナ体80,50の配置面と同一平面上に配置される必要はない。
すなわち、図5において、内蔵アンテナ230は2つのアンテナ体80、50の配置面から、カバーケース10側である上方向にずれた位置や、底ケース20側である下方向にずれた位置に配置されていてもよい。つまり、内蔵アンテナ230は、アンテナ体80,50が形成する磁束の影響が実質的に及ぶ範囲内に配置すればよい。
ただし、内蔵アンテナ230を、2つのアンテナ体80,50の配置面と同一平面上に配置した構成は、補助アンテナ装置100′の高さをコンパクトに形成することができ、さらに、内蔵アンテナ230と各アンテナ体80,50との離間距離の測定を容易にすることができる。
また、内蔵アンテナ230の受信周波数感度特性は、第2の周波数f2において受信感度が極大となる受信周波数感度特性に設定されている。
2つのアンテナ体80,50の受信周波数感度特性の合成により、凹溝15に配置された腕時計200の内蔵アンテナ230の位置において、内蔵アンテナ230の第2の周波数f2における受信感度を増大させるとともに、第2の周波数f2とは異なる周波数であって、内蔵アンテナ230が第2の周波数f2の標準時刻電波を受信したときの受信感度を相対的に低下させる妨害電波(第4の周波数f4の障害電波)に対する感度を低減させるように、2つのアンテナ体80,50の各受信周波数感度特性がそれぞれ設定されている。
このため、2つのアンテナ体80,50の、設定された受信周波数感度特性の合成によって、凹溝15に配置された腕時計200の内蔵アンテナ230の位置において、この内蔵アンテナ230の第2の周波数f2の標準時刻電波に対する受信感度が向上され、一方、内蔵アンテナ230の第4の周波数f4の妨害電波に対する感度を低減させることができる。
さらに、凹溝15は、腕時計200が配置された状態における内蔵アンテナ230が2つのアンテナ体80,50のうち、妨害電波の周波数f4に対する感度を低下させるアンテナ体80よりも、標準時刻電波の周波数f2に対する受信感度を高めるアンテナ体50が近くなるように形成されている。
このため、内蔵アンテナ230に対する、周波数f4における妨害電波の感度を低下させる第3のアンテナ体80による影響よりも、周波数f2における標準時刻電波の受信感度を向上させる第2のアンテナ体50による影響を、相対的に大きく及ぼすことができ、標準時刻電波に対する受信感度の一層の向上を図ることができる。
また、2つのアンテナ体80,50の容積が、内蔵アンテナ230の容積に対して大きいため、内蔵アンテナ230の受信感度よりもアンテナ体80,50による受信感度を高めることができ、このアンテナ体80,50との共振作用により、内蔵アンテナ230の受信感度も大幅に向上させることができる。
なお、アンテナ体80,50の容積を内蔵アンテナ230の容積に対して大きく設定する代わりに、アンテナ体80,50のQ値を内蔵アンテナ230のQ値に対して大きく設定するようにしてもよい。
この結果、内蔵アンテナ230の受信感度よりもアンテナ体80,50による受信感度を高めることができ、このアンテナ体80,50との共振作用により、内蔵アンテナ230の受信感度も大幅に向上させることができる。
さらに、2つのアンテナ体80,50と、凹溝15に配置された腕時計200の内蔵アンテナ230とが略平行に配置されるように、2つのアンテナ体80,50と凹溝15とが形成されている。このため、凹溝15に配置された腕時計200の内蔵アンテナ230が、各アンテナ体80,50による影響を最も有効に受けることができる。
(実施例3)
次に、本発明に係る電波修正時計用補助アンテナ装置の第3実施例(実施例3)について、図7を用いて説明する。
上述した実施例2の補助アンテナ装置100′は、腕時計200の内蔵アンテナ230、妨害電波に対する感度を低減させる第3のアンテナ体80と、標準時刻電波2波のうち第2の周波数f2の標準時刻電波に対する受信感度を向上させる第2のアンテナ体50とを備えた構成であるが、第2のアンテナ体50に代えて、図7に示すように、標準時刻電波2波のうち第1の周波数f1の標準時刻電波に対する受信感度を向上させる第1のアンテナ体40を備えた構成としてもよい。
すなわち、この実施例3である補助アンテナ装置100′は、図7に示すように、ケース30の内部に、腕時計200の内蔵アンテナ230の受信周波数感度特性にそれぞれ影響を及ぼす第1のアンテナ体40および第3のアンテナ体80を備えており、第1のアンテナ体40は、実施例1の補助アンテナ装置100における第1のアンテナ体40と同じである。
このように構成された実施例3の補助アンテナ装置100′の凹溝15に腕時計200が載置された状態で、腕時計200が第1の周波数f1の標準時刻電波を受信している場合、補助アンテナ装置100′の、第1の周波数f1の標準時刻電波に対して極大となる受信周波数感度特性を有する第1のアンテナ体40と腕時計200の内蔵アンテナ230とは、共振周波数が一致するため効率良く磁気的結合を生じることになる。
したがって、この磁気的結合により、内蔵アンテナ230には、実施例3の補助アンテナ装置100′を使用しない場合より大きな誘導起電力が生じ、腕時計200は、第1の周波数f1の標準時刻電波に対する受信感度が高められる。
一方、腕時計200の内蔵アンテナ230と、第3の周波数f3の電波に対して極大となる受信周波数感度特性を有する第3のアンテナ体80とは、共振周波数が異なるため効率の良い磁気的結合は生じない。
したがって、実施例3の補助アンテナ装置100′は、第4の周波数f4の電波を排除あるいは抑制しようとする場合に、実施例1の補助アンテナ装置100より有効である。
このように、妨害電波のような、不要でかつ出力の大きい第4の周波数f4の電波が発信されている状況下において、第1の周波数f1の標準時刻電波を受信しようとするとき、実施例3の補助アンテナ装置100′の凹溝15に腕時計200を載置することにより、妨害電波に対する感度を抑制しつつ、標準時刻電波に対する受信感度を高めることができる。
よって、標準時刻電波の受信に基づいた腕時計200の指示時刻自動修正を、従来よりも確実に行なわせることができる。
なお、第3の周波数f3は、補助アンテナ装置100′に載置される腕時計200の受信感度とは直接的な関係はなく、第3の周波数f3における誘導起電力は小さくてもよい。
つまり、内蔵アンテナ230と第3のアンテナ体80との距離(図7におけるL3に相当)は、内蔵アンテナ230と第1のアンテナ体40の距離(図7におけるL1に相当)より大きくてもよく(L3>L1)、内蔵アンテナ230における第4の周波数f4の伝達特性を低下させるものであればよい。
同様に、第4の周波数f4の伝達特性を低下させる限りにおいて、第3のアンテナ体80の容積は第1のアンテナ体40の容積より小さくてもよく、また、第3のアンテナ体80のQ値は第1のアンテナ体40のQ値より小さくてもよい。
以上のように、本実施例2に係る補助アンテナ装置100′によれば、所定の電波を受信して自動的に時刻の修正を行う腕時計200に内蔵された内蔵アンテナ230の受信周波数感度特性に対して影響を与えるアンテナ体80,40(共振回路体)を2つ備え、2つのアンテナ体80,40は、受信周波数感度特性に対して与える影響の周波数範囲が異なるように設定されているため、各アンテナ体80,40が、内蔵アンテナ230の受信周波数感度特性に対して異なる周波数範囲にそれぞれ独立して影響を与えることができる。
なお、内蔵アンテナ230は、2つのアンテナ体80,40の配置面と同一平面上に配置される必要はない。
すなわち、図7において、内蔵アンテナ230は2つのアンテナ体80、40の配置面から、カバーケース10側である上方向にずれた位置や、底ケース20側である下方向にずれた位置に配置されていてもよい。つまり、内蔵アンテナ230は、アンテナ体80,40が形成する磁束の影響が実質的に及ぶ範囲内に配置すればよい。
ただし、内蔵アンテナ230を、2つのアンテナ体80,40の配置面と同一平面上に配置した構成は、補助アンテナ装置100′の高さをコンパクトに形成することができ、さらに、内蔵アンテナ230と各アンテナ体80,40との離間距離の測定を容易にすることができる。
また、内蔵アンテナ230の受信周波数感度特性は、第1の周波数f1において受信感度が極大となる受信周波数感度特性に設定されている。
2つのアンテナ体80,40の受信周波数感度特性の合成により、凹溝15に配置された腕時計200の内蔵アンテナ230の位置において、内蔵アンテナ230の第1の周波数f1における受信感度を増大させるとともに、第1の周波数f1とは異なる周波数であって、内蔵アンテナ230が第1の周波数f1の標準時刻電波を受信したときの受信感度を相対的に低下させる妨害電波(第4の周波数f4の障害電波)に対する感度を低減させるように、2つのアンテナ体80,40の各受信周波数感度特性がそれぞれ設定されている。
このため、2つのアンテナ体80,40の、設定された受信周波数感度特性の合成によって、凹溝15に配置された腕時計200の内蔵アンテナ230の位置において、この内蔵アンテナ230の第1の周波数f1の標準時刻電波に対する受信感度が向上され、一方、内蔵アンテナ230の第4の周波数f4の妨害電波に対する感度を低減させることができる。
さらに、凹溝15は、腕時計200が配置された状態における内蔵アンテナ230が2つのアンテナ体80,40のうち、妨害電波の周波数f4に対する感度を低下させるアンテナ体80よりも、標準時刻電波の周波数f1に対する受信感度を高めるアンテナ体40が近くなるように形成されている。
このため、内蔵アンテナ230に対する、周波数f4における妨害電波の感度を低下させる第3のアンテナ体80による影響よりも、周波数f1における標準時刻電波の受信感度を向上させる第1のアンテナ体40による影響を、相対的に大きく及ぼすことができ、標準時刻電波に対する受信感度の一層の向上を図ることができる。
また、2つのアンテナ体80,40の容積が、内蔵アンテナ230の容積に対して大きいため、内蔵アンテナ230の受信感度よりもアンテナ体80,40による受信感度を高めることができ、これらアンテナ体80,40との共振作用により、内蔵アンテナ230の受信感度も大幅に向上させることができる。
なお、アンテナ体80,40の容積を内蔵アンテナ230の容積に対して大きく設定する代わりに、アンテナ体80,40のQ値を内蔵アンテナ230のQ値に対して大きく設定するようにしてもよい。
この結果、内蔵アンテナ230の受信感度よりもアンテナ体80,40による受信感度を高めることができ、このアンテナ体80,40との共振作用により、内蔵アンテナ230の受信感度も大幅に向上させることができる。
さらに、2つのアンテナ体80,40と、凹溝15に配置された腕時計200の内蔵アンテナ230とが、略平行に配置されるように、2つのアンテナ体80,40と凹溝15とが形成されている。このため、凹溝15に配置された腕時計200の内蔵アンテナ230が、各アンテナ体80,40による影響を最も有効に受けることができる。
(実施例4)
次に、本発明に係る電波修正時計用補助アンテナ装置の第4実施例(実施例4)について図8を用いて説明する。
図3(b)相当の断面図である図8に示した実施例4に係る補助アンテナ装置100″は、実施例1の補助アンテナ装置100と実施例2の補助アンテナ装置100′とを組み合わせて、2つの周波数f1,f2の標準時刻電波の受信感度を向上させつつ妨害電波に対する感度を低減させて当該両標準時刻電波の受信感度を相対的に一層向上させる補助アンテナ装置である。
なお、実施例4の補助アンテナ装置100″は、実施例1の補助アンテナ装置100に、実施例2の補助アンテナ装置100′における第3のアンテナ体80をさらに備えた構成である。
ここで、図8に示すように、第3のアンテナ体80は、第1のアンテナ体40と第2のアンテナ体50との間であって、内蔵アンテナ230との距離L3が、第1のアンテナ体40と内蔵アンテナ230との距離L1や、第2のアンテナ体50と内蔵アンテナ230との距離L2よりも大きくなる位置に配置する。
また、第3のアンテナ体80は、その長手方向が第1のアンテナ体40および第2のアンテナ体50の各長手方向と略平行となるように、配設されている。
このように構成された実施例4の補助アンテナ装置100″によれば、アンテナ体40,50,80が、内蔵アンテナ230の受信周波数感度特性に対して異なる周波数範囲にそれぞれ独立して影響を与えることができる。
また、実施例1の補助アンテナ100と同様に、2つのアンテナ体40,50の設定された受信周波数感度特性の合成によって、凹溝15に配置された腕時計200の内蔵アンテナ230の位置において、この内蔵アンテナ230の第1の周波数f1および第2の周波数f2における受信感度がそれぞれ向上される。そして、内蔵アンテナ230が第1の周波数f1、第2の周波数f2いずれの周波数の標準時刻電波を受けた場合にも、受信感度を向上させることができる。
さらに、凹溝15は、腕時計200が配置された状態における内蔵アンテナ230が2つのアンテナ体40,50から略等距離の位置となるように形成されているため、内蔵アンテナ230が各アンテナ体40,50から受ける受信周波数感度特性への各影響を、略同等にすることができる。
したがって、第1の周波数f1として、東日本地域を対象として発信されている標準時刻電波の周波数である40kHz、第2の周波数f2として、西日本地域を対象として発信されている標準時刻電波の周波数である60kHz、をそれぞれ適用した補助アンテナ装置100″では、東日本における標準時刻電波の受信感度と西日本における標準時刻電波の受信感度との間で大きな差異は生じない。
一方、妨害電波のような、不要でかつ出力の大きい第4の周波数f4の電波が発信されている状況下において、第1の周波数f1の標準時刻電波または第2の周波数f2の標準時刻電波を受信しようとするとき、妨害電波に対する感度を抑制しつつ、標準時刻電波に対する受信感度を高めることができる。
したがって、標準時刻電波の受信に基づいた腕時計200の指示時刻自動修正を、実施例1の補助アンテナ装置100より確実に行なわせることができる。
さらに、凹溝15は、腕時計200が配置された状態における内蔵アンテナ230が3つのアンテナ体40,50,80のうち、妨害電波の周波数f4に対する感度を低下させるアンテナ体80よりも、他の標準時刻電波の周波数f1,f2に対する受信感度を高めるアンテナ体40,50が近くなるように形成されている。
このため、内蔵アンテナ230に対する、周波数f4における妨害電波の感度を低下させる第3のアンテナ体80による影響よりも、周波数f1,f2における標準時刻電波の受信感度を向上させるアンテナ体40,50による影響を、相対的に大きく及ぼすことができ、標準時刻電波に対する受信感度の一層の向上を図ることができる。
また、3つのアンテナ体40,50,80の容積が、内蔵アンテナ230の容積に対して大きいため、内蔵アンテナ230の受信感度よりもアンテナ体40,50,80による受信感度を高めることができ、このアンテナ体40,50,80の共振作用により、内蔵アンテナ230の受信感度も大幅に向上させることができる。
なお、アンテナ体40,50,80の容積を内蔵アンテナ230の容積に対して大きく設定する代わりに、アンテナ体40,50,80のQ値を内蔵アンテナ230のQ値に対して大きく設定するようにしてもよい。
この結果、内蔵アンテナ230の受信感度よりもアンテナ体40,50,80による受信感度を高めることができ、このアンテナ体40,50,80との共振作用により、内蔵アンテナ230の受信感度も大幅に向上させることができる。
さらに、3つのアンテナ体40,50,80と、凹溝15に配置された腕時計200の内蔵アンテナ230とが、略平行に配置されるように、アンテナ体40,50,80と凹溝15とが形成されている。このため、凹溝15に配置された腕時計200の内蔵アンテナ230が、各アンテナ体40,50,80による影響を最も有効に受けることができる。
(実施例5)
図9は、本発明の第5実施例(実施例5)である電波修正時計用化粧ケース300を示す斜視図であり、腕時計200を内部に収納するとともに、本発明に係る電波修正時計用の上記実施例1の補助アンテナ装置100から実施例4の補助アンテナ装置100″のうちいずれかの補助アンテナ装置100(または100′,100″)を備えたものである。
ここで、化粧ケース300は、腕時計200の陳列や販売、あるいは保管等の際に、当該腕時計200が収容される箱体であり、例えば、樹脂製のものや革張り製のもの、金属製のものなどである。
本実施例5の化粧ケース300は、腕時計200が保持される樹脂製の下ケース320と、ヒンジにより開閉自在に下ケース320に軸支された、透明樹脂製の蓋ケース310とから構成されている。
蓋ケース310を開いた状態を図6(a)に、蓋ケース310を閉じて腕時計200を内部に収納した状態を図6(b)に示す。
ここで、下ケース320は、上述した実施例1の補助アンテナ装置100から実施例4の補助アンテナ装置100″と同じ構成である。
このように構成された本実施例5の化粧ケース300によれば、搬送時における衝撃力の入力防止や落下等による傷つき防止のために、あるいは保管時や展示時における時計の保持のために用いられていた化粧ケース300が、電波修正時計用補助アンテナ装置100(または補助アンテナ装置100′,100″)としても機能するため、上述した補助アンテナ装置100(または補助アンテナ装置100′,100″)の作用効果により、化粧ケース300を有効に利用することができる。
すなわち、この電波修正時計用の化粧ケース300は、本発明に係る電波修正時計用補助アンテナ装置を備えることにより、陳列販売用の保管ケースと補助アンテナ装置を兼用することができる。
しかも、ユーザが腕時計200の買上げ時には、この化粧ケース300に入れた状態で引き渡すことで、腕時計200とともに補助アンテナ装置100(または補助アンテナ装置100′,100″)も、忘れずに添付することができる。
なお、腕時計200を保持する時計保持部が、補助アンテナ装置100(または補助アンテナ装置100′,100″)の凹溝15として形成されているため、時計配置部としての凹溝15を、時計保持部とは異なる位置にわざわざ設ける必要がなく、製造コストを低減するとともに、スペース利用効率を向上させることができる。
また、蓋ケース310は透光性を有する透明樹脂から形成されている。このため、発電手段として太陽電池を備える腕時計200であれば、化粧ケース300の時計配置部に腕時計200を配置すると、蓋ケース310を透過した光が太陽電池に照射され光発電を行なうことができる。本実施例5の化粧ケース300によれば、内蔵アンテナの受信感度を向上させるとともに、光発電が可能となる。
蓋ケース310は、全体が透光性部材で構成されたものでもよいが、腕時計200への光照射に関与しない部分(例えば背面部分)は、非透光性としてもよい。すなわち、蓋ケース310の一部を非透光性としてもよい。
なお、上述した各実施例1〜4(変形例含む)においては、腕時計200の内蔵アンテナ230が時計文字板の9時位置に配設されたものとして説明したが、腕時計200の内蔵アンテナ230が、時計文字板の12時位置や6時位置に配設されたものや、時計文字板の12時と3時との間に配設されたものや時計文字板の3時と6時との間に配設されたものや、時計文字板の6時と9時との間に配設されたものや、あるいは時計文字板の9時と12時との間に配設されたものに対しても、内蔵アンテナ230の受信感度を高めることができる。
このように、腕時計200の内蔵アンテナ230と各補助アンテナ装置100,100′,100″に備えられたアンテナ体40,50,80とは、略平行の配置形態だけでなく、直交状態に近い非平行な配置状態であっても、補助アンテナ装置100,100′,100″を用いた場合の方が、内蔵アンテナ230だけの場合よりも、標準時刻電波に対する受信感度を高めることができる。
以上、図5、図7および図8を用いて説明した本発明の第2実施例、第3実施例および第4実施例は、内蔵アンテナ230と第3のアンテナ体80との距離を、内蔵アンテナ230と第1のアンテナ体40や第2のアンテナ体50との距離より大きく設定した構成であるが、内蔵アンテナ230と第3のアンテナ体80との距離を、内蔵アンテナ230と第1のアンテナ体40や第2のアンテナ体50との距離と略等しく設定した構成としてもよい。