JP4937827B2 - 発色構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光干渉性を有する発色構造体の製造方法に関するものである。
自然界に存在する色は、大きく色素色と構造色に分けることができる。
色素色とは、物質そのものが色素を有しているものであるのに対し、構造色とは、物質そのものは色素を持たず、可視領域の光の波長あるいは、それ以下の微細構造を持つことで生じる光学現象(光の干渉、回折、散乱)によって発色する色のことである。構造色の代表的なものには、モルフォ蝶の羽、ルリイロスズメダイの表皮、孔雀の羽、玉虫の甲殻、オパールの遊色等を挙げることができる。
例えば、オパールの構造色は、自然で生成した粒子径の揃ったシリカ粒子が配列して、発するものである。即ち、シリカ粒子が自己集合化し、最密充填の結晶構造を形成し、このときの粒子間距離がちょうど波長(可視光)と同じオーダーであるため、周期構造により光が回折され色を呈する。
近年では、構造色を人工的につくる試みがなされており、例えば、球状粒子を規則的に配列させ、構造色を得る試みがなされている。
このような方法としては、例えば、球状粒子を自然沈降、堆積させる方法、引き上げによりコロイド結晶薄膜を作製する方法、電気泳動法、毛管法等が挙げられる。
しかし、これらの方法では、球状粒子を重力により安定化しているだけであり、外部刺激により、球状粒子の配列(コロイド結晶構造)が簡単に破壊されてしまう。このような問題に対し、球状粒子を固定化させ、球状粒子の配列(コロイド結晶構造)を長期にわたり維持する方法が種々提案されている。
例えば、非特許文献1では、球状粒子の表面に、高分子モノマーを結合させ、その後、重合することで、球状粒子を配列させ、かつ、固定化する方法が記載されている。しかし、このような方法では、重合過程が必要となり、長時間の合成時間が必要となる。
さらに、高分子モノマー等の液状物を出発物質とし、該液状物をゲル化させて、球状粒子を固定化させているため、その固定化の過程で、少なくとも揮発成分の揮発に伴う体積変化が起こっている。このような揮発成分の揮発に伴う微妙な体積変化により、球状粒子の配列が崩れる恐れがあり、発色構造体が製造できないおそれがあった。また製造できたとしても、再現性が得られ難く、複数色の構造色を簡便に得ることも困難であった。
また、非特許文献2では、予め球状粒子を基板表面に堆積(配列)させ、その後、バインダーを粒子間隙に流し込み固定化する方法が記載されている。この方法では、予め基板に球状粒子を配列させるために、基板への球状粒子の塗布、溶媒の蒸発、バインダー成分の流し込み、バインダー成分の硬化と多段階の工程が必要となる。
また、液状物であるバインダー成分を流し込んで硬化させるため、バインダー成分を流し込む際や、硬化させる際に、球状粒子の配列が乱れ、コロイド結晶状態が崩れる恐れがあり、発色構造体が得られ難く、複数色の構造色を簡便に得ることも困難であった。
さらに、基板に球状粒子を精密に配列させる必要があるため、長時間を必要とし、量産性にも問題があった。
吉永 耕二、小林 恒定、辛川 弘行、高分子論文集(Koubunshi Ronbunsyu)、Vol.57、No.4(2000)、第244頁〜第250頁 Hiroshi Fudouzi、Younan Xia、Advance Materials(2003)、Vol.15、No.11、June 5、第892頁〜第896頁
本発明は上記課題を解決するために、鋭意検討をした結果、熱塑性を有する発色構造体形成樹脂(a−1)中に、平均粒子径5nm〜800nm、粒子径分布の標準偏差が平均粒子径の20%以下で、軟化点が該発色構造体形成樹脂よりも高い球状粒子(b−1)が分散してなる固形状物(P)と、熱塑性を有する発色構造体形成樹脂(a−2)中に、平均粒子径5nm〜800nm、粒子径分布の標準偏差が平均粒子径の20%以下で、軟化点が該発色構造体形成樹脂よりも高く、(b−1)と平均粒子径の異なる球状粒子(b−2)が分散してなる固形状物(Q)とを、含む固形状物を出発物質とし、
この固形状物を特定の温度で圧延することにより、それぞれの球状粒子が規則的に配列した、複数色の構造色を示す発色構造体が簡便に得られることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.熱塑性を有する発色構造体形成樹脂(a−1)中に、平均粒子径5nm〜800nm、粒子径分布の標準偏差が平均粒子径の20%以下で、軟化点が該発色構造体形成樹脂よりも高い球状粒子(b−1)が分散してなる固形状物(P)と、
熱塑性を有する発色構造体形成樹脂(a−2)中に、平均粒子径5nm〜800nm、粒子径分布の標準偏差が平均粒子径の20%以下で、軟化点が該発色構造体形成樹脂よりも高く、(b−1)と平均粒子径の異なる球状粒子(b−2)が分散してなる固形状物(Q)とを、含む固形状物を、
該発色構造体形成樹脂(a−1)及び発色構造体形成樹脂(a−2)の軟化点よりも高く、該球状粒子(b−1)及び球状粒子(b−2)の軟化点よりも低い温度で圧延することを特徴とする光干渉性を有する発色構造体の製造方法。
2.球状粒子(b−1)及び(b−2)が、無機粒子であることを特徴とする1.に記載の光干渉性を有する発色構造体の製造方法。
本発明では、熱塑性を有する発色構造体形成樹脂(a−1)中に、平均粒子径5nm〜800nm、粒子径分布の標準偏差が平均粒子径の20%以下で、軟化点が該発色構造体形成樹脂よりも高い球状粒子(b−1)が分散してなる固形状物(P)と、熱塑性を有する発色構造体形成樹脂(a−2)中に、平均粒子径5nm〜800nm、粒子径分布の標準偏差が平均粒子径の20%以下で、軟化点が該発色構造体形成樹脂よりも高く、(b−1)と平均粒子径の異なる球状粒子(b−2)が分散してなる固形状物(Q)とを、含む固形状物を出発物質とし、該固形状物を特定の温度で圧延することにより、それぞれの球状粒子が規則正しく配列した、複数色の構造色を示す発色構造体を簡便に製造することができる。本発明によれば、このような発色構造体の製造安定性、再現性、量産性等においても有利な効果が得られる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明の発色構造体は、熱塑性を有する発色構造体形成樹脂(a−1)中に、平均粒子径5nm〜800nm、粒子径分布の標準偏差が平均粒子径の20%以下で、軟化点が該発色構造体形成樹脂よりも高い球状粒子(b−1)が分散してなる固形状物(P)と、
熱塑性を有する発色構造体形成樹脂(a−2)中に、平均粒子径5nm〜800nm、粒子径分布の標準偏差が平均粒子径の20%以下で、軟化点が該発色構造体形成樹脂よりも高く、(b−1)と平均粒子径の異なる球状粒子(b−2)が分散してなる固形状物(Q)とを、含む固形状物を、
該発色構造体形成樹脂(a−1)及び発色構造体形成樹脂(a−2)の軟化点よりも高く、該球状粒子(b−1)及び球状粒子(b−2)の軟化点よりも低い温度で圧延して得られるものである。
本発明では、圧延時に、平均粒子径の異なる球状粒子が分散してなる2種以上の固形状物を出発物質とし、該固形状物を該発色構造体形成樹脂の軟化点よりも高く、球状粒子の軟化点よりも低い温度で圧延して得ることを特徴とするものである。この際、圧延時には、発色構造体形成樹脂が軟化状態(液体状態に近い状態)となり、該球状粒子の自由度がある程度緩和された状態となる。このような状態で圧延することにより、球状粒子が最密充填されやすくなり、それに伴い規則正しく配列され、発色構造体を得ることができる。
該発色構造体形成樹脂の軟化点よりも低い温度で圧延する場合は、球状粒子の自由度が拘束され、規則正しく配列されない。また球状粒子の軟化点よりも高い温度で圧延する場合、球状粒子が軟化してしまい、形状が崩れ発色されない。
また、本発明では、固形状物を出発物質とするため、取扱いが簡便であり、かつ圧延により簡便に製造することができる。特に、圧延時には、揮発する物質がほとんどなく、圧延前後における体積変化がほとんど生じないため、体積変化による球状粒子の乱れを抑えることができる。
したがって、球状粒子が均一に配列された構造体、つまり優れた光干渉性を有する構造色を呈する構造体を簡便に得ることができる。
本発明の発色構造体の色彩は、主に、粒子の平均粒子径、粒子の分散度、粒子の形態などにより発現されるもので、本発明の製造方法においては、粒子の平均粒子径が5nm〜800nm、粒子径分布の標準偏差が平均粒子径の20%以下の球状の粒子を用いることにより発現される。球状粒子の平均粒子径が本発明の規定から外れる場合、構造発色を発現させることができず、球状粒子の粒子径分布の標準偏差が平均粒子径の20%より大きい場合、粒子が規則正しく配列しなくなり、構造発色を発現させることができない。
また、発色構造体の色彩は、球状粒子の充填度合い、粒子間距離等により、異なった構造発色を示す。例えば、粒子間距離が160nm〜170nm程度の間隔であれば紫系、180nm〜190nm程度の間隔であれば青系、200nm〜230nm程度の間隔であれば緑系、240nm〜260nm程度の間隔であれば黄系、270nm〜290nm程度の間隔であれば赤系、などに設定することができる。
本発明の製造方法においては、主に、固形状物中の球状粒子の平均粒子径により発色構造体の色彩を設定することができ、本発明では、特に、球状粒子(b−1)が分散してなる固形状物(P)と、球状粒子(b−1)と平均粒子径の異なる球状粒子(b−2)が分散してなる固形状物(Q)とを、含む固形状物を出発物質としているため、固形状物(P)から得られる発色構造体の構造色と固形状物(Q)から得られる発色構造体の構造色とがあいまった、複数色の構造色を示す優れた光干渉性を有する構造色を発現することができる。
本発明における固形状物(P)は、熱塑性を有する発色構造体形成樹脂(a−1)中に、平均粒子径5nm〜800nm、粒子径分布の標準偏差が平均粒子径の20%以下で、軟化点が該発色構造体形成樹脂よりも高い球状粒子(b−1)が分散してなるものである。
発色構造体形成樹脂(a−1)としては、熱塑性を有するものであり、圧延時に軟化するものであれば特に限定されず各種樹脂を用いることができる。
発色構造体形成樹脂(a−1)としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、酢酸ビニル−バーサチック酸ビニルエステル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルカプロラクタム樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、アクリル−シリコン樹脂、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂等が挙げられ、このような樹脂の無溶剤型、溶剤可溶型、NAD型、水可溶型、水分散型等を使用することができる。
また、発色構造体形成樹脂(a−1)としては、熱塑性を有し、圧延時に軟化するものであれば、架橋ネットワークを形成するものが含まれていることが好ましい。架橋ネットワークが形成されることにより、球状粒子の配列のみだれを防ぎ、構造発色をより長期に亘って維持するとともに、耐久性、耐水性等の物性も向上させることができる。
このような架橋ネットワークを形成する樹脂としては、次に示す反応性官能基の反応性を有するもの等が挙げられる。反応性官能基の組み合わせとしては、例えば、カルボキシル基と金属イオン、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、水酸基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジド基、エポキシ基とヒドラジド基、エポキシ基とアミノ基、加水分解性シリル基どうしの組み合わせ等が挙げられる。
このような反応性官能基の架橋は、上述した樹脂中に存在する反応性官能基同士の反応でもよいし、新たに、反応性官能基を有する架橋剤を添加してもよい。
このような反応性官能基量としては、該樹脂を形成する反応性官能基を有する単量体が、発色構造体を形成する樹脂全量に対し、50重量%以下、さらには0.5重量%以上40重量%以下、さらには1重量%以上30重量%以下含まれることが好ましい。50重量%より多い場合は、圧延時に軟化し難く、球状粒子が均一に配列された構造体が得られ難い。
本発明における発色構造体形成樹脂(a−1)の軟化点は、50℃〜300℃(好ましくは80℃〜200℃)程度であることが好ましい。発色構造体形成樹脂(a−1)の軟化点が50℃より低い場合、圧延により、構造発色を呈することはできるが、常温において軟化してしまい、球状粒子の配列が乱れ、構造発色を呈さなくなる可能性がある。
なお、発色構造体形成樹脂(a−1)の軟化点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度10℃/minで測定し、算出した値である。
本発明における発色構造体形成樹脂(a−1)の屈折率は、特に限定されないが、通常0.8〜1.8程度であればよい。
球状粒子(b−1)は、最終的に構造色を呈するものであれば特に限定されないが、構造色を呈するためには、球状粒子(b−1)の平均粒子径が5nm〜800nm(好ましくは、10nm〜500nm)であることが好ましい。
本発明では、さらに球状粒子(b−1)の大きさが揃っていることにより構造色を呈することができ、具体的には、球状粒子(b−1)の粒子径分布の標準偏差が平均粒子径の20%以下(さらには10%以下、さらには5%以下)であることにより、球状粒子(b−1)が規則正しく配列し、優れた構造色を呈することができる。
なお、本発明における平均粒子径は電子顕微鏡での観察による数平均値である。粒子径分布は遠心沈降法等による測定から得られるものである。
また、球状粒子(b−1)のアスペクト比は、1.0以上1.2未満(さらには1.0以上1.15以下、さらには1.0以上1.1以下)であることが好ましい。このような範囲であれば、球状粒子(b−1)が規則正しく配列し、より優れた構造色を呈することができる。ここに言うアスペクト比とは、粒子の長手方向の長さbと、それに対する短手方向の長さaとの比のb/aで表される値である。
球状粒子(b−1)としては、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、酸化ガドリニウム、酸化イットリウム、酸化バリウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、酸化バナジウム、酸化ハフニウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸水酸化亜鉛、チタン酸カリウム、水酸化酸化鉄、硫酸バリウム、炭酸バリウム、カーボンブラック等の無機粒子、ポリスチレンビーズ、アクリルビーズ、ポリオレフィンビーズ等の有機粒子等が挙げられ、これらのうち単独および2種以上を複合して用いることができる。本発明では、特に、無機粒子が好ましく、無機粒子のなかでも、特にシリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、酸化ガドリニウム、酸化イットリウム等が好ましい。
このような球状粒子(b−1)の軟化点は、前記熱塑性を有する発色構造体形成樹脂(a−1)の軟化点よりも高いもの使用する。例えば、球状粒子(b−1)の軟化点は、前記熱塑性を有する発色構造体形成樹脂(a−1)の軟化点よりも20℃以上、さらには50℃以上高いことが好ましい。
具体的に球状粒子(b−1)の軟化点は、80℃以上(さらに好ましくは、100℃以上)であればよい。なお球状粒子(b−1)の軟化点の上限は特に限定されないが、1500℃以下(さらには、1000℃以下)であることが好ましい。
なお、無機粒子の軟化点は、示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて、昇温速度10℃/minで測定し、算出した値である。
また、有機粒子の軟化点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度10℃/minで測定し、算出した値である。
本発明では、球状粒子(b−1)として、特に無機粒子を用いることが好ましい。無機粒子は、耐久性等に優れるため、得られた発色構造体の耐久性を向上させるとともに、優れた色彩を長期にわたり維持することができる。また無機粒子は、発色構造体形成樹脂(a−1)に比べて軟化点が非常に高い。よって、圧延時の加熱温度の制限が緩和され、また使用できる発色構造体形成樹脂(a−1)の制限が緩和され、好ましい。
本発明における球状粒子の屈折率は、特に限定されないが、通常0.8〜4.5程度であればよい。また、発色構造体形成樹脂(a−1)と球状粒子(b−1)の屈折率の差が、0.01〜2.7、さらには0.02〜1.8程度であることが好ましく、このような範囲であれば、優れた色彩を発現することができる。
発色構造体形成樹脂(a−1)と球状粒子(b−1)の混合比率は、重量比で1:0.01〜1:10(さらには1:0.05〜1:8、さらには1:0.1〜1:5)であることが好ましい。このような比率であることにより、可視光領域の光の回折が効率よく行われ、人間の視覚には色として認識することができ、簡便に構造色を呈することができる。
球状粒子(b−1)が少なすぎる場合は、配列された球状粒子(b−1)の粒子間距離が長くなりすぎ、可視光の波長以上となってしまい、人間の視覚には色が認識されなくなってしまうため、発色構造体が得られにくい。また球状粒子(b−1)が多すぎる場合は、球状粒子同士の凝集が生じやすく、また、球状粒子の固定化が困難となり、コロイド結晶に自立性がなくなってしまう。
固形状物(P)を構成する成分として、上記球状粒子(b−1)以外に、平均粒子径600nm以下で、軟化点が発色構造体形成樹脂よりも高い非球状粒子を添加することが好ましい。このような非球状粒子を添加することで、最終的に得られる発色構造体の発色がより鮮明となる。ここでの発色性向上効果は、目視にて確認することができるが、紫外−可視吸収スペクトルまたは絶対反射率の測定により確認することもできる。
このような発色性向上効果が得られる作用機構は明確ではないが、非球状粒子が球状粒子の間隙に一定間隔で入りこむことによって、圧延時における球状粒子の配列の乱れが抑制されることが寄与しているものと考えられる。
このような非球状粒子としては、その平均粒子径が600nm以下であるものを使用するが、平均粒子径50〜600nmであるものがより好適である。平均粒子径が600nmより大きい場合は、発色構造体の透明性や光沢性等が損われるおそれがある。
さらに、非球状粒子としては、アスペクト比が1.2以上600以下(好ましくは1.5以上500以下)の針状あるいは鱗片状の粒子が好適である。ここに言うアスペクト比とは、粒子の長手方向の長さbと、それに対する短手方向の長さaとの比のb/aで表される値である。
非球状粒子としては、その軟化点が前記発色構造体形成樹脂の軟化点よりも高く、特に前記発色構造体形成樹脂の軟化点よりも20℃以上、さらには50℃以上高いものが好ましい。具体的に非球状粒子の軟化点は、80℃以上(さらに好ましくは、100℃以上)であればよい。非球状粒子の軟化点の上限は特に限定されないが、通常は1500℃以下(好ましくは1000℃以下)である。
本発明における非球状粒子としては、無機粒子が好適である。非球状粒子が無機粒子であれば、発色構造体の耐久性等が高まり、初期の発色性能を長期にわたり維持することができる。さらに、無機粒子は発色構造体形成樹脂に比べて軟化点が非常に高いため、圧延時の加熱温度の制限が緩和され、また適用可能な発色構造体形成樹脂の範囲が広がる。
このような非球状粒子としては、球状粒子と同様の材質のものも使用できるが、本発明では、例えば、鱗片状シリカ、針状酸化チタン、針状酸化亜鉛、針状酸化鉄、水酸化酸化鉄、炭酸水酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、酸化ガドリニウム、酸化イットリウム、酸化バリウム、酸化コバルト、酸化クロム、酸化バナジウム、酸化ハフニウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、クレー、カオリン、陶土、チャイナクレー、タルク、カーボンブラック、ホワイトカーボン、珪藻土、ベントナイト、ハイドロタルサイト等の無機粒子等が挙げられ、これらのうち単独および2種以上を複合して用いることができる。
発色構造体形成樹脂と非球状粒子の混合比率は、重量比で通常1:0.0001〜1:0.01、好ましくは1:0.0001〜1:0.005である。非球状粒子の添加量がこのような範囲内であれば、十分な発色性向上効果を得ることができる。
本発明では、上述した球状粒子、非球状粒子以外に、本発明の効果を阻害しない程度に、その他の粒子(例えば、粒子径分布の標準偏差が20%超の粒子や、平均粒子径が600nm超、50nm未満の粒子等)が含まれていてもよい。
その他の粒子としても、その軟化点が前記発色構造体形成樹脂の軟化点よりも高く、特に前記発色構造体形成樹脂の軟化点よりも20℃以上、さらには50℃以上高いものが好ましい。具体的にその他の粒子の軟化点は、80℃以上(さらに好ましくは、100℃以上)であればよい。その他の粒子の軟化点の上限は特に限定されないが、通常は1500℃以下(好ましくは1000℃以下)である。
本発明では、特に、拡散反射率が60%以下(好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下)である粒子(球状粒子、非球状粒子、その他の粒子)を含むことが好ましい。このような粒子を含むことによって、発色構造体の透過光が抑制され、発色構造体の反射光がより鮮明に認められるため、好ましい。
本発明では特に、拡散反射率が60%以下である粒子は、全粒子のうち、0.01重量%以上80重量%以下(好ましくは0.01重量%以上50重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以上10重量%以下)であることが好ましい。
さらに、本発明では、非球状粒子が、拡散反射率が60%以下である粒子であることが好ましい。非球状粒子として、拡散反射率が60%以下である粒子を使用することにより、発色構造体の反射光がより鮮明になるとともに、球状粒子による優れた構造発色を呈することができる。
なお、拡散反射率は、自己分光光度計を用いて、各粉体の可視光領域(本発明では、波長:550nm)の拡散反射スペクトルを計測することによって得られる値である。
本発明では、また、蓄光性を有する粒子(球状粒子、非球状粒子、その他の粒子)を含むことが好ましい。蓄光性を有する粒子を含むことによって、該粒子から発光される光が、構造発色体を通過し、構造発色の色相とあいまって、優れた美観性を得ることができる。また、蓄光性を有する粒子の含有量を調節することで、昼間は構造発色の呈する色が明確に確認することができるとともに、夜間は蓄光性を有する粒子に由来する色彩を呈することができる。
蓄光性を有する粒子としては、例えば、CaS:Bi、CaSr:Bi、ZnS:Cu、ZnCdS:Cu等の硫化物や、MAl(M=Ca、Sr、Ba)で表示される化合物で、賦活剤としてEuを添加し、共賦活剤として、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luを添加してなる物等が挙げられる。
蓄光性を有する粒子の平均粒子径は、5μm〜100μm、さらには10μm〜80μmであることが好ましい。このような範囲であることにより、上記効果をより明確に得ることができる。平均粒子径が大きすぎる場合は、構造発色性を阻害するおそれがある。平均粒子径が小さすぎる場合は、蓄光性が低下してしまい、夜間の蓄光性による効果が得られにくい。
蓄光性を有する粒子は、全粒子のうち、0.5重量%以上50重量%以下(好ましくは0.5重量%以上30重量%以下、さらに好ましくは1.0重量%以上20重量%以下)であることが好ましい。50重量%より多い場合は、球状粒子の配列を乱し、構造発色による色彩が損なわれるおそれがある。0.5重量%より少ない場合は、蓄光性が低下してしまい、夜間の蓄光性による効果が得られにくい。
また、蛍光性を有する粒子を含むことによって、蛍光性を有する粒子から発光される光が、構造発色体を通過し、構造発色の色相とあいまって、優れた美観性を得ることもできる。
本発明における固形状物(Q)は、熱塑性を有する発色構造体形成樹脂(a−2)中に、平均粒子径5nm〜800nm、粒子径分布の標準偏差が平均粒子径の20%以下で、軟化点が該発色構造体形成樹脂よりも高く、球状粒子(b−1)と平均粒子径の異なる球状粒子(b−2)が分散してなるものである。
球状粒子(b−2)は、球状粒子(b−1)と平均粒子径が異なっているため、本発明では固形状物(P)から得られる発色構造体の構造色と固形状物(Q)から得られる発色構造体の構造色とがあいまった優れた光干渉性を有する構造色を発現することができる。
熱塑性を有する発色構造体形成樹脂(a−2)としては、前述した(a−1)と同様のものを使用することができる。また、球状粒子(b−2)としては、前述した(b−1)と同様のものを使用することができる。
固形状物(Q)としては、上記球状粒子(b−2)以外に、前述したような平均粒子径600nm以下で、軟化点が発色構造体形成樹脂よりも高い非球状粒子を添加することが好ましい。
本発明では、上述した球状粒子、非球状粒子以外に、本発明の効果を阻害しない程度に、その他の粒子(例えば、粒子径分布の標準偏差が20%超の粒子や、平均粒子径が600nm超、50nm未満の粒子等)が含まれていてもよい。
固形状物(P)と固形状物(Q)においては、球状粒子の平均粒子径以外に、球状粒子の屈折率の違い、発色構造体形成樹脂の屈折率の違い、球状粒子と発色構造体形成樹脂の屈折率の差の違い、球状粒子の混合比率の違い、球状粒子の形態の違い等によっても、異なる構造発色を発現することができる。また、固形状物としては、固形状物(P)と固形状物(Q)以外の固形状物を含むこともでき、2種または3種以上の固形状物から得られる2種または3種以上の複数の構造色があいまった、より優れた構造色を発現することもできる。
本発明における固形状物(固形状物(P)、固形状物(Q)等)を製造する方法は、特に限定されない。
本発明では、後述する圧延により、球状粒子を規則正しく配列するものであり、固形状物製造時に、必ずしも球状粒子を規則正しく配列する必要がない。そのため、簡便に固形状物を製造することができる。
例えば、固形状物を得る方法としては、球状粒子を、発色構造体形成樹脂と溶媒とからなる樹脂溶液に混合し、球状粒子が分散した混合溶液を作製し、該混合溶液から、溶媒を除去することにより、固形状物を得ることができる。溶媒の除去は、通常、30〜200℃で、5分〜24時間程度で行えばよい。球状粒子に加え非球状粒子を併せて使用する場合は、上記混合溶液にさらに非球状粒子を添加したものを作製した後、溶媒を除去すればよい。
このような方法では、球状粒子が均一、かつ高分散した固形状物を得やすく、このような固形状物を圧延することで、球状粒子が均一に配列しやすく、構造色を呈する構造体を簡便に得ることができる。また、得られた固形状物は、そのまま圧延することもできるし、予め加圧してフィルム状にした後、圧延することもできる。予め加圧して圧延する方法では、圧延工程時に発色が容易になるだけでなく、固形状物が圧延工程時に引き伸ばされることもなくなる。
また、固形状物(P)と固形状物(Q)の混合の度合いにより、様々な色彩を発現することができる。例えば、同じ大きさの固形状物(P)と固形状物(Q)とを特定の混合比率で均一に混合した固形状物、異なる大きさの固形状物(P)と固形状物(Q)とを特定の混合比率で均一に混合した固形状物、フィルム状の固形状物(P)の上に特定大きさの固形状物(Q)を散布した固形状物等の固形状物を出発物質とすることにより、同じ固形状物(P)と固形状物(Q)を用いた場合でも、様々な色彩を発現することができる。
また、このような方法の製造では、発色構造体形成樹脂として、溶媒に可溶な溶媒可溶型の熱塑性を有する樹脂、特に水可溶型の熱塑性を有する樹脂を用いることが好ましい。
このような樹脂を用いた場合、発色構造体形成樹脂と溶媒とからなる樹脂溶液中に球状粒子が均一に高分散しやすく、かつ得られる固形状物において発色構造体形成樹脂や球状粒子の偏りが抑えられるため好ましい。さらに、透明性に優れる固形状物が得られやすく、良好な構造発色性を示すことができる。特に、発色構造体形成樹脂と溶媒の相溶性に優れるものを選択することによって、よりいっそう優れた構造発色性を示すことができる。
ここで用いられる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールエタン、グリセリン等の多価アルコール類、セロソルブ、ブチルセロソルブ、イソブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、n−ブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ペンタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン等の脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート等のエステル類等が挙げられる。
本発明では、溶媒として特に水を含むものが好ましく、よって、発色構造体形成樹脂として、水に可溶な水可溶型の熱塑性を有する樹脂を用いることが好ましい。
このような方法では、溶媒に可溶な溶媒可溶型の熱塑性を有する樹脂自体が、球状粒子の分散剤としての効果を発揮するものが好ましい。
例えば、球状粒子表面が負の電荷をもつものであれば、ノニオン性および/またはアニオン性の熱塑性を有する樹脂、また、球状粒子表面が正の電荷をもつものであれば、ノニオン性および/またはカチオン性の熱塑性を有する樹脂を選択することが好ましい。また、立体障害効果を有するものや、相互作用(疎水親水相互作用を含む)を有するもの、球状粒子と溶媒との界面を活性させる効果を有するものでもよい。
例えば、球状粒子として、無機粒子を用いる場合、無機粒子の表面は負の電荷を帯びるものが多く、熱塑性を有する樹脂としてはノニオン性および/またはアニオン性の熱塑性を有する樹脂を用いることが好ましい。
本発明における固形状物を形成する成分としては、上述の成分の他に、本発明の効果を阻害しない程度に、分散剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、顔料等の添加剤が混合されていてもよい。
本発明では、このようにして得られた固形状物を、発色構造体形成樹脂(発色構造体形成樹脂(a−1)及び発色構造体形成樹脂(a−2))の軟化点よりも高く、球状粒子(球状粒子(b−1)及び球状粒子(b−2))の軟化点よりも低い温度で圧延することを特徴とする。
このような温度領域で圧延することにより、発色構造体形成樹脂が液体に近い状態になり、球状粒子が動きやすくなり、その結果、球状粒子を最密に充填させることができ、規則正しく配列させることが可能となり、簡便に光干渉性を有する発色構造体を得ることができる。
圧延温度が発色構造体形成樹脂の軟化点よりも低い場合、圧延できず、構造発色性が得られ難くなってしまう。また、球状粒子の軟化点よりも高い温度の場合、球状粒子が溶融してしまい、発色構造体が得られなくなってしまう。
固形状物において球状粒子と非球状粒子を併用する場合は、発色構造体形成樹脂の軟化点よりも高く、球状粒子の軟化点及び非球状粒子の軟化点よりも低い温度領域で圧延を行えばよい。
また、本発明では、特に、固形状物を出発物質とするため、揮発成分がほとんどなく、圧延前後における体積変化がほとんどない。したがって、体積変化にともなう、球状粒子の乱れを抑えることができ、球状粒子が均一に配列された光干渉性を有する発色構造体を簡便に得ることができる。
液状物やゲル状物を出発物質とする場合、揮発成分が蒸発してしまい、製造前後で体積変化が起こってしまう。よって、体積変化に伴う、球状粒子の乱れが生じ、優れた光干渉性を有する発色構造体を得ることが難しい。また、揮発成分の蒸発を抑制するために液状物やゲル状物を封止して製造する場合もあるが、製造過程が複雑になり、簡便な方法とはいえない。
また、加熱圧延時の圧力は、特に限定されないが、固形状物の面積が約2倍以上に引き伸ばされることが好ましく、1MPa〜100MPa(さらには10MPa〜50MPa)の加圧であることが好ましい。それ以下である場合、樹脂が引き伸ばされ難く、球状粒子が規則正しく配列しにくく、構造発色性が生じ難くなるため好ましくない。また、逆に、加圧が高い場合は、得られる発色構造体が薄くなり、光の回折よりも光の透過率の方が高くなり、構造発色性が認められにくくなるため好ましくない。
本発明の固形状物は、圧延により、面方向に対し、垂直および平行方向に圧力を加えることで、球状粒子の配列が規則正しくなり、構造発色性が生じるものである。ここで、面方向に対し、垂直および平行方向に圧力を加える具体的な方法としては、2本のロールを用いて、固形状物を湾曲させ、ロール側ともう一つのロール側の移動距離に差を生じさせることにより、面方向に対し、平行方向に圧力が加えられる。また、この時に、2本のロールで固形状物を挟み込むことで、面方向に対し垂直方向に圧力を加えることで発色構造体を得ることができる。また、1本のロールを用いて行うことも可能であり、固形状物に圧力を加え、ロールを軸に180°方向転換させて、せん断応力を加えることにより、発色構造体を得ることもできる。その際、固形状物を、発色構造体形成樹脂の軟化点よりも、軟化点が高い柔軟なフィルムで挟み込むことで球状粒子が配列し易くなる。
このようにして得られる発色構造体は、必要により所定の大きさに調整して用いることができる。
例えば、所定の大きさに調整した発色構造体を、各基材の上に積層し、積層体として使用することができる。基材としては、例えば、アルミ鋼板、亜鉛鋼板、ステンレス鋼板、銅鋼板等の金属鋼板、プラスチックシート・ボード、押出成形板、陶磁器、ガラス、焼成タイル、磁器タイル、木材、コンクリート、モルタル、石膏ボード、繊維混入セメント板、珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、ALC板、サイディング板等が挙げられ、このような基材に、公知の接着剤等を介して発色構造体を積層することができる。
また、発色構造体を砕いて発色構造チップを得、該発色構造チップを結合材中に混合したカラーコーティング層用組成物を各基材の上に塗付積層し、積層体として使用することもできる。このような場合、発色構造チップの大きさとしては、特に限定されないが、0.1mm以上50mm以下(さらには0.5mm以上30mm以下)であることが好ましい。また発色構造チップの厚さは1μm以上500μm未満(好ましくは5μm以上200μm未満)であることが好ましい。
結合材としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、酢酸ビニル−バーサチック酸ビニルエステル樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルカプロラクタム樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、セルロース樹脂、アクリル−シリコン樹脂、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、塩ビ樹脂、ビニル樹脂等が挙げられ、このような樹脂の無溶剤型、溶剤可溶型、NAD型、水可溶型、水分散型等を使用することができる。
発色構造チップと結合材の混合量は、結合材の固形分100重量部に対し、0.001重量部〜20重量部、さらには0.01重量部〜10重量部であることが好ましい。
またカラーコーティング層用組成物には、この他、本発明の効果を損なわない程度に、着色材、骨材、染料、体質顔料、繊維、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒、架橋剤等を混合することもできる。
カラーコーティング層用組成物を塗付積層する方法では、基材の上に、刷毛、ローラー、スプレー等の塗装器具を用いて塗付すればよく、1回塗り、複数回塗り等特に限定されない。カラーコーティング層用組成物の所要量としては、特に限定されないが、30g/m〜5000g/m、さらには100g/m〜4000g/mあることが好ましい。
カラーコーティング層用組成物を塗付積層して得られるカラーコーティング層としては、発色構造チップの色相及び基材の色相が認識できる程度の透明性を有しているものが好ましい。カラーコーティング層の透明性としては、特に限定されないが、光透過率が、20%〜95%(好ましくは40%〜90%、さらに好ましくは50%〜88%)程度であることが好ましい。光透過率がこのような範囲であることにより、発色構造チップの色彩、輝度感を失わずに積層体を得ることができる。また、基材が着色されている場合は、基材の色相を表現することができ、多色、多彩な、積層体が得ることができる。
なお、光透過率は、JIS K 7105−1981 5.5「光線透過率及び全光線反射率」に規定する測定法Aに準拠し、積分球式光線透過率測定装置(例えば、株式会社島津製作所社製)を用いて測定した全光線透過率の値である(膜厚0.4mm)。
カラーコーティング層の厚み(乾燥膜厚)は、0.1mm〜5mm(さらには0.2mm〜2mm)程度であることが好ましい。さらに、カラーコーティング層の厚みが、0.5mm以上である場合、奥ゆき感、深みのある美観性に優れた積層体を得ることができる。
さらに、カラーコーティング層の上に、トップコート層を積層することもできる。
トップコート層としては、例えば、アクリル樹脂、アクリルーシリコン樹脂、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等を結合剤とするトップコート層用組成物から得ることができる。
本発明では、結合材として、特に、メタクリル酸メチルモノマー及び/またはメタクリル酸メチルオリゴマーを50重量%以上含むアクリル樹脂を用いることが好ましい。このようなアクリル樹脂を用いることにより、耐擦り傷性、耐摩耗性にも優れるトップコート層を形成することができる。また、アクリルーシリコン樹脂、シリコーン樹脂を含む結合材を用いることにより、汚染防止性に優れるトップコート層を形成することもできる。
またこの他に、本発明の効果を損なわない程度に、着色材料、骨材、体質顔料、繊維、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒、架橋性化合物等を混合することもできる。
本発明では、特に、架橋性化合物を混合することにより、耐擦り傷性、耐摩耗性を向上させることができ、好ましい。架橋性化合物としては、例えば、反応性官能基を有する化合物、特に、分子内に2個以上の反応性官能基を有する化合物等が挙げられる。
反応性官能基の組合せとしては、例えば、ビニル基どうしの他に、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、水酸基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジド基、エポキシ基とアミノ基、反応性シリル基どうし、カルボキシル基と金属イオン等が挙げられる。
架橋性化合物としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンメトキシ化トリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシ化トリアクリレート等が挙げられる。
架橋性化合物の混合量は、特に限定されないが、トップコート層用組成物全量に対し1重量%以上20重量%であることが好ましい。
トップコート層の透明性としては、光透過率が、60%以上(好ましくは70%〜99%)程度であることが好ましい。
積層する方法としては、予め各成分を含むトップコート層用組成物をフィルム化(シート化)しておいたトップコートフィルム(シート)を、カラーコーティング層の上に、接着剤等を介して貼着すればよい。
また、カラーコーティング層の上に、トップコート層用組成物を直接塗付積層することもできる。直接塗付積層する方法では、カラーコーティング層の上に、刷毛、ローラー、スプレー、コーター、コテ等の塗装器具を用いて塗付すればよく、1回塗り、複数回塗り等特に限定されない。
(実験例1)
<固形状物Aの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、温度23℃、相対湿度50%(以下、「標準状態」ともいう。)で、樹脂Aを溶媒Aに混合した樹脂溶液を作製し、該樹脂溶液に粒子Aを混合して混合溶液を作製した。該混合溶液を、アルミニウム製の容器(φ100mm)に50g入れ、120℃、3時間で、溶媒Aを揮発させ、固形状物Aを得た。得られた固形状物Aは、透明であり、粒子が均一に分散していた。
<固形状物Bの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Bを得た。得られた固形状物Bは、透明であり、粒子が均一に分散していた。
得られた固形状物A、固形状物Bをそれぞれφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物A50重量部、固形状物B50重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、130℃、30MPaで圧延、湾曲させた。
圧延後の物体は、紫系を示す構造色と黄色系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。
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(実験例2)
<固形状物Cの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Cを得た。得られた固形状物Cは、透明であり、粒子が均一に分散していた。
得られた固形状物B、固形状物Cをそれぞれφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物B40重量部、固形状物C60重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、130℃、30MPaで圧延、湾曲させた。
圧延後の物体は、黄色系を示す構造色と紫系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。
(実験例3)
<固形状物Dの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Dを得た。得られた固形状物Dは、透明であり、粒子が均一に分散していた。
得られた固形状物Aをφ3mm、固形状物Dをφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物A50重量部、固形状物D50重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、80℃、30MPaで圧延、湾曲させた。
圧延後の物体は、紫系を示す構造色と赤系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。
(実験例4)
得られた固形状物Aをφ4mm、固形状物Bをφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物A30重量部、固形状物B70重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、80℃、30MPaで圧延、繰り返し湾曲させた。
圧延後の物体は、紫系を示す構造色と黄色系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。
(実験例5)
得られた固形状物A、固形状物Bをそれぞれφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物A50重量部、固形状物B50重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPENフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、170℃、30MPaで圧延、繰り返し湾曲させた。
圧延後の物体は、紫系を示す構造色と黄色系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。
(実験例6)
得られた固形状物Aを加圧プレスし、フィルム状に成形後、φ7mmの大きさに粉砕し、また、得られた固形状物Bをφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物A30重量部、固形状物B70重量部を混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、130℃、30MPaで圧延、繰り返し湾曲させた。
圧延後の物体は、固形状物Bに由来する黄色系の構造色の中に、固形状物Aに由来する紫系の構造色が斑点状に描写された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。
(実験例7)
得られた固形状物Aを加圧プレスし、フィルム状に成形後、φ8mmの大きさに粉砕し、また、得られた固形状物Dをφ3mmの大きさに粉砕し、固形状物A20重量部、固形状物B80重量部を混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、80℃、30MPaで圧延、繰り返し湾曲させた。
圧延後の物体は、固形状物Dに由来する赤色系の構造色の中に、固形状物Aに由来する紫系の構造色が斑点状に描写された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。
(実験例8)
<固形状物Eの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Eを得た。得られた固形状物Eは、透明であり、粒子が均一に分散していた。
<固形状物Fの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Fを得た。得られた固形状物Fは、透明であり、粒子が均一に分散していた。
得られた固形状物E、固形状物Fをそれぞれφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物E50重量部、固形状物F50重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、130℃、30MPaで圧延、湾曲させた。
圧延後の物体は、紫系を示す構造色と黄色系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。
(実験例9)
<固形状物Gの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Gを得た。得られた固形状物Gは、透明であり、粒子が均一に分散していた。
<固形状物Hの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Hを得た。得られた固形状物Hは、透明であり、粒子が均一に分散していた。
得られた固形状物Gをφ10mm、固形状物Hをφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物G30重量部、固形状物H70重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、130℃、30MPaで圧延、湾曲させた。
圧延後物体は、紫系を示す構造色と黄色系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。
(実験例10)
<固形状物Iの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Iを得た。得られた固形状物Iは、透明であり、粒子が均一に分散していた。
<固形状物Jの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Jを得た。得られた固形状物Jは、透明であり、粒子が均一に分散していた。
得られた固形状物I、固形状物Jをそれぞれφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物I50重量部、固形状物J50重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、80℃、30MPaで圧延、湾曲させた。
圧延後の物体は、紫系を示す構造色と赤系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。
(実験例11)
<固形状物Kの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Kを得た。得られた固形状物Kは、透明であり、粒子が均一に分散していた。
<固形状物Lの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Lを得た。得られた固形状物Lは、透明であり、粒子が均一に分散していた。
得られた固形状物Kをφ1mm、固形状物Lをφ3mmの大きさに粉砕し、固形状物K90重量部、固形状物L10重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、80℃、30MPaで圧延、湾曲させた。
圧延後の物体は、紫系を示す構造色と赤系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。また、得られた発色構造体を、水中静置しておいたところ、24時間後も優れた構造発色を示した。
(実験例12)
<固形状物Mの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Mを得た。得られた固形状物Mは、赤色透明であり、粒子が均一に分散していた。
<固形状物Nの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Nを得た。得られた固形状物Nは、赤色透明であり、粒子が均一に分散していた。
得られた固形状物Mをφ2mm、固形状物Nをφ5mmの大きさに粉砕し、固形状物M50重量部、固形状物N50重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、80℃、30MPaで圧延、湾曲させた。
圧延後の物体は、鮮明な紫系を示す構造色と鮮明な赤系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。
(実験例13)
<固形状物Oの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Oを得た。得られた固形状物Oは、透明であり、粒子が均一に分散していた。
<固形状物Pの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Pを得た。得られた固形状物Pは、透明であり、粒子が均一に分散していた。
得られた固形状物O、固形状物Pをそれぞれφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物O50重量部、固形状物P50重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、80℃、30MPaで圧延、湾曲させた。
圧延後の物体は、鮮明な紫系を示す構造色と鮮明な赤系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。
(実験例14)
<固形状物Qの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Qを得た。得られた固形状物Qは、黒色透明であり、粒子が均一に分散していた。
<固形状物Rの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Rを得た。得られた固形状物Rは、黒色透明であり、粒子が均一に分散していた。
得られた固形状物Qをφ2mm、固形状物Rをφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物Q20重量部、固形状物R80重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、130℃、30MPaで圧延、湾曲させた。
圧延後の物体は、鮮明な紫系を示す構造色と鮮明な黄色系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。
(実験例15)
<固形状物Sの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Sを得た。得られた固形状物Sは、黄色透明であり、粒子が均一に分散していた。
<固形状物Tの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Tを得た。得られた固形状物Tは、黄色透明であり、粒子が均一に分散していた。
得られた固形状物S、固形状物Tをそれぞれφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物S40重量部、固形状物T60重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、130℃、30MPaで圧延、湾曲させた。
圧延後の物体は、紫系を示す構造色と黄色系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。また、蛍光灯下で20分放置し、暗所で蓄光性を確認したところ、目視で2時間の蓄光性が確認された。
(実験例16)
<固形状物Uの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Uを得た。得られた固形状物Uは、黒色透明であり、粒子が均一に分散していた。
<固形状物Vの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Vを得た。得られた固形状物Vは、黒色透明であり、粒子が均一に分散していた。
得られた固形状物U、固形状物Vをそれぞれφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物U50重量部、固形状物V50重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、130℃、30MPaで圧延、湾曲させた。
圧延後の物体は、鮮明な紫系を示す構造色と鮮明な黄色系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。また、蛍光灯下で20分放置し、暗所で蓄光性を確認したところ、目視で2時間の蓄光性が確認された。
(実験例17)
得られた固形状物A、固形状物Nをそれぞれφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物A50重量部、固形状物N50重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、80℃、30MPaで圧延、湾曲させた。
圧延後の物体は、紫系を示す構造色と鮮明な赤系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。
(実験例18)
得られた固形状物A、固形状物Tをそれぞれφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物A30重量部、固形状物N70重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、130℃、30MPaで圧延、湾曲させた。
圧延後の物体は、紫系を示す構造色と鮮明な黄色系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。また、蛍光灯下で20分放置し、暗所で蓄光性を確認したところ、目視で2時間の蓄光性が確認された。
(実験例19)
得られた固形状物A、固形状物B、固形状物Cをそれぞれφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物A30重量部、固形状物B40重量部、固形状物C30重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、130℃、30MPaで圧延、湾曲させた。
圧延後の物体は、紫系を示す構造色と黄色系を示す構造色と青色系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。
(実験例20)
<固形状物Wの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Wを得た。得られた固形状物Wは、白色であり、粒子が均一に分散していた。
得られた固形状物A、固形状物B、固形状物Wをそれぞれφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物A50重量部、固形状物B40重量部、固形状物W10重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、130℃、30MPaで圧延、湾曲させた。
圧延後の物体は、白色となる部分と、紫系を示す構造色と黄色系を示す構造色が縞模様状に発現された優れた美観性を有していた。さらに、得られた発色構造体を、標準状態で1週間静置しておいたところ、1週間後も優れた構造発色を示した。
(実験例21)
得られた固形状物A、固形状物Wをそれぞれφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物A50重量部、固形状物W50重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、130℃、30MPaで圧延、湾曲させた。
圧延後の物体は、紫系の構造発色を示す部分と、構造発色性を示さずに白色となる部分からなるフィルムになった。
(実験例22)
<固形状物Xの作製>
表1に示す原料を用い、表2に示す混合比率で、固形状物Aと同様の方法で、固形状物Xを得た。得られた固形状物Xは、透明であり、粒子が均一に分散していた。
得られた固形状物W、固形状物Xをそれぞれφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物W50重量部、固形状物X50重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、130℃、30MPaで圧延、湾曲させた。圧延後の物体は、構造発色性を示さず、得られたフィルムは、白色であった。
(実験例23)
得られた固形状物A、固形状物Dをそれぞれφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物A50重量部、固形状物D50重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、130℃、30MPaで圧延、湾曲させた。圧延後の物体は、紫系の構造発色を示す部分と、構造発色性を示さずに白色となる部分からなるフィルムになった。
(実験例24)
得られた固形状物W、固形状物Xをそれぞれφ2mmの大きさに粉砕し、固形状物W50重量部、固形状物X50重量部を均一に混合した。混合した固形状物をPETフィルム(100mm×100mm)に挟み込み、加熱圧延ローラーを用いて、130℃、30MPaで圧延、湾曲させた。圧延後の物体は、構造発色性を示さず、得られたフィルムは、白色であった。
(実験例25)
表1に示す原料を用い、標準状態で、溶媒A100重量部と粒子A10重量部を混合し、ディップコート法で、アルミニウム基板へ塗布し、構造発色性を有するフィルムを作製した。得られたフィルムは、光による干渉を示したが、自立性がなく、指で擦ると粒子が剥離した。
(実験例26)
実験例1で得られた発色構造体を、大きさ1〜30mm程度の大きさに砕き、発色構造チップ(厚み100μm)を得た。
表面を黒色に着色した磁器タイル板(100mm×100mm×6mm、L=10)の上に、エポキシ樹脂(固形分:100重量%)100重量部、発色構造チップ5重量部を混合したカラーコーティング層用組成物を、厚み(乾燥膜厚)が0.4mmとなるように刷毛で塗付し、温度80℃、相対湿度50%で、24時間乾燥硬化させ、カラーコーティング層を得、積層体を得た。なお該カラーコーティング層用組成物から形成されるカラーコーティング層の光透過率は71%であった。
得られた積層体の表面は、黒地の中に落ち着きのある紫色と黄色の輝度感を有し、やわらかい、深みのある美観性をかもしだしていた。
(実験例27)
実験例26で得られた積層体の上に、メタクリル酸メチル75重量部、2−エチルヘキシルアクリレート25重量部、石英粉末(平均粒子径:30μm、屈折率:1.45)3重量部、過酸化ベンゾイル2重量部からなるトップコート層用組成物Aを、厚み(乾燥膜厚)が1.0mmとなるように塗付し、温度25℃、相対湿度50%で、2時間乾燥硬化させ、トップコート層を得、積層体を得た。なおトップコート層用組成物Aから形成されるトップコート層の光透過率は85%、屈折率は1.49であった。
得られた積層体の表面は、黒地の中に落ち着きのある紫色と黄色の輝度感を有し、やわらかい、深みのある美観性をかもしだしていた。
さらにJIS K 5400 8.9耐摩耗性試験を行った。テーパー形摩耗輪は、CS17を用いた。その結果、摩耗減量は、18g/100cmであった。
(実験例28)
実験例26で得られた積層体の上に、メタクリル酸メチル75重量部、2−エチルヘキシルアクリレート25重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート6重量部、石英粉末(平均粒子径:30μm、屈折率:1.45)3重量部、過酸化ベンゾイル2重量部からなるトップコート層用組成物Bを、厚み(乾燥膜厚)が1.0mmとなるように塗付し、温度25℃、相対湿度50%で、2時間乾燥硬化させ、トップコート層を得、積層体を得た。なおトップコート層用組成物Bから形成されるトップコート層の光透過率は85%、屈折率は1.49であった。
得られた積層体の表面は、黒地の中に落ち着きのある紫色と黄色の輝度感を有し、やわらかい、深みのある美観性をかもしだしていた。
さらにJIS K 5400 8.9耐摩耗性試験を行った。テーパー形摩耗輪は、CS17を用いた。その結果、摩耗減量は、13g/100cmであった。

Claims (2)

  1. 熱塑性を有する発色構造体形成樹脂(a−1)中に、平均粒子径5nm〜800nm、粒子径分布の標準偏差が平均粒子径の20%以下で、軟化点が該発色構造体形成樹脂よりも高い球状粒子(b−1)が分散してなる固形状物(P)と、
    熱塑性を有する発色構造体形成樹脂(a−2)中に、平均粒子径5nm〜800nm、粒子径分布の標準偏差が平均粒子径の20%以下で、軟化点が該発色構造体形成樹脂よりも高く、(b−1)と平均粒子径の異なる球状粒子(b−2)が分散してなる固形状物(Q)とを、含む固形状物を、
    該発色構造体形成樹脂(a−1)及び発色構造体形成樹脂(a−2)の軟化点よりも高く、該球状粒子(b−1)及び球状粒子(b−2)の軟化点よりも低い温度で圧延することを特徴とする光干渉性を有する発色構造体の製造方法。
  2. 球状粒子(b−1)及び(b−2)が、無機粒子であることを特徴とする請求項1に記載の光干渉性を有する発色構造体の製造方法。

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