JP4937822B2 - 復水器真空度制御システム及び該システムを備えた発電プラント - Google Patents

復水器真空度制御システム及び該システムを備えた発電プラント Download PDF

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本発明は、例えば発電プラント等において蒸気タービンから排出された蒸気を復水する復水器の真空度を制御する復水器真空度制御システムと、該システムを備えた発電プラントに関する。
一般に、発電プラントでは、ボイラで発生させた蒸気を用いて蒸気タービン内のロータを回転させることにより発電が行われる。発電プラントは、蒸気タービンから排出された蒸気を冷却する復水器を備えており、この復水器で蒸気を凝縮した後に、得られた復水を給水ポンプ等によって再度ボイラに送込んで循環させる構成になっている。
復水器では、内部に配設された復水管に冷却水を流し、蒸気と冷却水とを熱交換させることによって蒸気の冷却が行われる。また、復水器には、復水器内の空気を抽出する空気抽出器が接続されており、復水器と空気抽出器の間にある空気抽出調整弁の開度を調整することによって、復水器の真空度を制御できるようになっている。
復水器の真空度は、蒸気タービンの排出側の真空度と概ね同じ値になるため、復水器の真空度を適切に設定することにより、蒸気タービンの効率を最適化することができ、発電プラントを安定させると共に稼動効率を向上させることが可能になる。
特許文献1には、復水器の真空度を検出する真空度検出器を用いた復水器真空度制御技術が開示されている。この復水器真空度制御技術では、蒸気タービンの起動時において、真空度検出器で検出した復水器の真空度に基づいて、復水器の真空度を所定の設定値に設定するように自動制御することが可能である。
特開平5−113294号公報
しかしながら、上記特許文献1の復水器真空度制御技術は、蒸気タービンの起動時など、特定される操業に対しては有効であるが、例えば日々プラント負荷の上げ下げを行う発電プラントに適用した場合等には、その度毎に復水器の真空度の設定値を設定し直す必要があり、操作が面倒である。
また、予め設定された負荷に対しては蒸気状態が予測可能であるため、真空度の設定値も予め予測した値を使用することができるが、設備トラブル等の何らかの事由で予定外の負荷で発電プラントを運転する必要がある場合には、実際の蒸気状態と予測した蒸気状態との間のずれから復水器の真空度が不適切に設定されてしまう恐れがある。復水器の真空度が不適切であると、タービン排気蒸気の湿り度が高くなり(即ち、乾き度が低くなり)、蒸気タービンの例えば最終翼等へ水滴によるエロージョンが発生して設備が損壊する危険がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、蒸気タービンの蒸気状態が変動する場合にも復水器の真空度を適切に設定可能な復水器真空度制御技術を提供することをその目的とする。
上記課題を解決するために、本発明によれば、蒸気タービンから排出された蒸気を復水する復水器の真空度を制御する復水器真空度制御システムであって、前記復水器に空気抽出管を介して接続された空気抽出器と、前記空気抽出管に設けられた空気抽出調整弁と、
前記蒸気タービンに流入する蒸気の温度を検出する温度検出器と、前記蒸気タービンに流入する蒸気の圧力を検出する圧力検出器と、前記温度検出器及び前記圧力検出器に接続された制御装置と、を有し、前記制御装置は、式(1)〜式(8)より前記復水器の真空度を算出し、前記復水器の真空度が前記算出した真空度以下になるように前記空気抽出調整弁の開度を制御することを特徴とする、復水器真空度制御システムが提供される(ただし、真空度をPC 、飽和温度をTC 、蒸気の比エンタルピーをi、飽和温度TC の飽和水の比エンタルピーをi’、蒸気圧力PC の乾き飽和蒸気の比エンタルピーをi’’、許容可能な乾き度X における比エントロピーs、は飽和温度TC の飽和水の比エントロピーをs’、蒸気圧力PC の乾き飽和蒸気の比エントロピーをs’’とする)。
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上記復水器真空度制御システムにおいて、前記空気抽出調整弁は、前記空気抽出器による空気の抽出を粗調整する空気抽出調整大弁と、前記空気抽出器による空気の抽出を微調整する空気抽出調整小弁と、を有していてもよい。
上記復水器真空度制御システムにおいて、前記制御装置は、前記復水器の真空度を低下させる場合には、前記空気抽出調整大弁の開度の調整をした後に前記空気抽出調整小弁の開度を調整するように制御し、前記復水器の真空度を上昇させる場合には、前記空気抽出調整小弁の開度を調整した後に前記空気抽出調整大弁の開度を調整するように制御してもよい。
本発明によれば、上記復水器真空度制御システムを備えていることを特徴とする発電プラントが提供される。
本発明によれば、蒸気タービンに流入する蒸気の温度及び圧力に基づいて、復水器からの空気の抽出を調整する制御を行うようにしたことによって、例えば発電プラントが負荷の上げ下げを行いながら運転される場合、又は発電プラントが事故等によって予想外のプラント負荷で運転された場合等のように、蒸気タービンの蒸気状態が変動する場合においても蒸気タービンに接続された復水器の真空度を適切に制御することができる。これにより、タービン排気蒸気の湿り度が高くなってしまうことを防止し、蒸気タービンに致命的なエロージョンが発生してしまう事態を回避できる。また、復水器に設定する真空度として湿り度が許容可能な真空度(乾き度が許容可能な真空度ともいえる)を算出する際に、蒸気タービンで行われる膨張仕事を比エンタルピー及び比エントロピーの近似関数で表すことにより、計算が非常に容易になる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明をする。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る復水器真空度制御システム1を備えた発電プラント2の一例を示す系統構成図である。図1を用いて発電プラント2及び復水器真空度制御システム1の構成について説明する。
まず、発電プラント2の構成について説明する。発電プラント2は、図1に示すように、配管4を通して供給された水を加熱して蒸気にするボイラ5と蒸気タービン6が主蒸気管3によって接続された構成を有する。これにより、ボイラ5で生成された蒸気が主蒸気管3経由で蒸気タービン6に供給され、蒸気タービン6内のロータ(図示せず)が蒸気によって回転し、蒸気タービン6に結合された発電機7の発電が行われる。
蒸気タービン6には排気ダクト10を介して復水器11が接続されており、蒸気タービン6から排出された蒸気がこの復水器11により冷却されて復水に凝縮されるようになっている。復水器11には、配管15、16等を介して給水ポンプ17が接続されており、凝縮された復水が給水ポンプ17に送られるようになっている。さらに、給水ポンプ17は、配管4を介してボイラ5に接続されており、配管16からの水をボイラ5に圧送して供給するようになっている。
以上述べたようにして、発電プラント2は、ボイラ5、蒸気タービン6、復水器11及び給水ポンプ17が順に接続されて蒸気サイクル(ランキンサイクル)の循環系が形成されている。
まず、発電プラント2の復水器11について説明する。本発明の実施の形態では、復水器11内を通過するようにして復水器冷却水管20が配設されており、冷却水として例えば海水等をこの復水器冷却水管20内に流すことによって復水器11内に導入された蒸気タービン6からの蒸気を冷却することができるように構成されている。復水器11内での冷却により蒸気から凝縮された復水は、配管15を経由して後述するセパレータ25に供給される。
復水器11には、図1に示すように、復水器11から空気を抽出する空気抽出器27が空気抽出管28を介して接続されている。本実施の形態では、空気抽出器27として例えば真空ポンプが用いられている。空気抽出管28は、空気抽出器27に接続されている。空気抽出管28には、開度の調整が可能な空気抽出調整弁31が設けられており、空気抽出器27による復水器11からの空気の抽出を調整することができるようになっている。
空気抽出器27は、配管35を介してセパレータ25に接続されており、復水器11から抽出した空気をセパレータ25に排気するように構成されている。このセパレータ25は、空気抽出機27からの空気を不凝結ガスと水に分離することが可能である。図1に示すように、セパレータ25は、配管37を介して排気塔39に接続されており、分離した不凝結ガスを排気塔39に排気するようになっている。また、セパレータ25で分離された水は、復水器11から配管15を介してセパレータ25に供給された復水と共に、配管16経由で給水ポンプ17に送られるようになっている。
次に、発電プラント2が備える復水器真空度制御システム1について説明する。復水器真空度制御システム1は、図1に示すように、主蒸気管3に設けた温度検出器40及び圧力検出器41によって蒸気タービン6に流入する蒸気の温度及び圧力を各々検出することができるように構成されている。温度検出器40及び圧力検出器41は制御装置45に接続されており、検出された蒸気の検出温度及び検出圧力が制御装置45に入力されるようになっている。また、復水器11には、復水器11の真空度を検出する真空度検出器47が設けられており、この真空度検出器47も制御装置45に接続されている。これにより、真空度検出器47によって検出された復水器11の真空度が制御装置45に入力されるようになっている。制御装置45は、入力された蒸気の検出温度、検出圧力及び復水器11の真空度に基づいて、空気抽出調整弁31の開度を調整する制御を行うことができる。
以上のように構成された復水器真空度制御システム1によって復水器11の真空度を制御する手順の一例について説明する。本実施の形態では、復水器真空度制御システム1の制御装置45によって、以下で説明する制御が自動的に行われている。
蒸気タービン6に流入する蒸気の温度が温度検出器40により検出されると共に、蒸気タービン6に流入する蒸気の圧力が圧力検出器41により検出される。検出された蒸気の検出温度及び検出圧力は、復水器真空度制御システム1の制御装置45に入力される。制御装置45は、かような状態量(即ち、検出温度及び検出圧力)である蒸気が蒸気タービン6内で自由膨張により所定の仕事を行った場合に、蒸気タービン6の排出側で蒸気の湿り度が許容可能な値になる真空度の設定値を例えば後述する計算手順によって算出する。なお、蒸気タービン6の排出側で「蒸気の湿り度が許容可能な値」とは、蒸気タービン6内でエロージョン等の問題を発生させない適切な値であることを意味し、範囲のある値であるため、「蒸気の湿り度が許容可能な値になる真空度の設定値」も範囲のある値になるが、後述する計算手順では湿り度が許容可能になる値の臨界値に対応する真空度の値を設定値として求めている。
蒸気タービン6の排気側での圧力と復水器11の圧力(即ち、真空度)は、同じ値とみなすことができるため、制御装置45は、空気抽出調整弁31の開度を制御して空気抽出器27による復水器11からの空気の抽出を調整し、復水器11の真空度が算出した設定値になるように制御する。制御の際には、復水器11の真空度が真空度検出器47によって検出されて制御装置45に入力される。制御装置45は、入力された復水器11の真空度が算出した設定値に一致するように、空気抽出調整弁31の開度を制御する。復水器11の真空度が算出した設定値に一致すると制御が完了する。
蒸気タービン6の排出側で蒸気の湿り度を許容可能な値にする圧力の設定値(即ち、復水器11の真空度)を算出する具体的な計算手順について説明する。図2は、図1に示す発電プラント2における蒸気の状態量を示す蒸気i−s線図(比エンタルピー比エントロピー線図)である。図2において、横軸は蒸気の比エントロピー(s)を示し、縦軸は蒸気の比エンタルピー(i)を示している。
図2に示す飽和線の上側の領域は、気体のみが存在する状態を示しており、飽和線の下側の領域は、気体及び液体が存在する状態を示している。図2の点Aは、蒸気タービン6に流入する蒸気の状態量を示しており、蒸気の温度はT、圧力はPである。点Aで示す状態量の蒸気が蒸気タービン6で膨張して点線W1で示す仕事をすると、図2の点Bで示す状態量の蒸気になる。即ち、図2の点Bは、蒸気タービン6の排出側の蒸気の状態量を示している。点Bに示す状態では、蒸気の圧力はPc1であり、乾き度はXである。復水器11の圧力(即ち、真空度)と、蒸気タービン6の排気側の圧力とは概ね等しい値であるため、点Bに示す状態の蒸気の圧力は、復水器11の真空度として真空度検出器47で検出される値である。
上述した点Aから点Bへの蒸気の状態変化は適切に行われており、乾き度Xは、蒸気タービン6の例えば最終翼等に水滴によるエロージョンが発生しない最適な値の最低値(即ち、臨界値)であるとする。既述したように、この場合の計算手順では、「蒸気の湿り度が許容可能な値になる真空度」の設定値を、「湿り度が許容可能になる値」の臨界値に対応する値として求めている。なお、この場合には、湿り度の代わりに乾き度を用いて説明するが、「湿り度=1−乾き度」の関係があり、湿り度を用いて考えてもよい。
制御装置45は、上述したように点Aで示す蒸気タービン6に流入する蒸気の状態量(温度、圧力等)、点線W1で示す蒸気タービン6で行われる仕事、点Bで示す蒸気タービン6の排気側での蒸気の状態量(温度、圧力等)等、適切なケースの情報を指標として予め保持している。なお、これらの情報は制御装置45に後から入力されてもよい。
蒸気タービン6に流入する蒸気が、図2の点Aで示す状態から点Cで示すように温度がTのまま、圧力がPである状態に変化した場合について考える。復水器11の真空度が点Bと同じPC1に設定されている場合には、図2の点Cで示す蒸気は、蒸気タービン6内で膨張して図2の点線W2で示す仕事をした後に、図2の点Dで示す状態になる。点Dで示す状態では、乾き度はXであり、この値は、許容可能な乾き度の最低値であるXよりも小さく、蒸気タービン6でエロージョンが発生してしまう危険性がある。エロージョンの発生を回避するためには、図2の点Eで示す通り、仕事をした後の蒸気の乾き度が許容可能な乾き度がX以上になるように、復水器11の真空度をPC2以下に設定する必要がある。
制御装置45は、以下の計算手順によって蒸気が許容可能な乾き度の臨界値Xになる復水器11の真空度PC2を算出する。復水器11の内部の蒸気は飽和状態にあるから、復水器11の真空度PC2に相当する飽和温度TC2は、下記式(1)で表される。
Figure 0004937822
飽和温度TC2の飽和水の比エンタルピーi’は、下記式(2)で表される。
Figure 0004937822
蒸気温度TC2、蒸気圧力PC2の乾き飽和蒸気の比エンタルピーi''は、下記式(3)で表される。
Figure 0004937822
蒸気温度TC2、蒸気圧力PC2の乾き飽和蒸気の比エントロピーs''は、下記式(4)で表される。
Figure 0004937822
飽和温度TC2の飽和水の比エントロピーs’は、下記式(5)で表される。
Figure 0004937822
許容可能な乾き度Xにおける比エントロピーsは飽和温度TC2の飽和水の比エントロピーs’と、蒸気温度TC2、蒸気圧力PC2の乾き飽和蒸気の比エントロピーs''とを用いて下記式(6)で表される。
Figure 0004937822
許容可能な乾き度Xにおける比エンタルピーiは飽和温度TC2の飽和水の比エンタルーi’と、蒸気温度TC2、蒸気圧力PC2の乾き飽和蒸気の比エンタルピーi''とを用いて下記式(7)で表される。
Figure 0004937822
さらに、図2に示す点Cと点Dを結ぶ点線W2の傾きが点Aと点Bを結ぶ点線W1の傾き(αとする)と同じであると仮定すると、C点で示す蒸気温度T、蒸気圧力Pの蒸気状態で蒸気タービン6に流入した蒸気の膨張は、下記式(8)の近似関数で表すことができる。
Figure 0004937822
なお、上式(8)中のβは、β=i−α×sで求まる値である。ここで、iは、上式(3)中の蒸気温度TC2、蒸気圧力PC2を各々、点Cで示す状態の蒸気温度T、蒸気圧力Pに置換えて得られる比エンタルピーである。また、sは、上式(4)中の蒸気温度TC2、蒸気圧力PC2を各々、点Cで示す状態の蒸気温度T、蒸気圧力Pに置換えて得られる比エントロピーである。
未知数がPC2、TC2、i、i’、i’’、s、s’、s’’の8個であり、関係式の数も上式(1)〜(8)に示したように同数の8個あるので、これら8個の式(1)〜(8)を演算することによって、8個の未知数を求めることが可能である。即ち、制御装置45は、上式(1)〜(8)の連立方程式を演算することによって、蒸気が許容可能な乾き度Xになる復水器11の真空度PC2を算出する。
以上の本発明の第1の実施の形態によれば、蒸気タービン6に流入する蒸気の温度及び圧力を温度検出器40及び圧力検出器41で検出して制御装置45に入力し、検出された蒸気の検出温度及び検出圧力に基づいて制御装置45が空気抽出弁31の開度を制御するようにしたことによって、蒸気タービン6に流入する蒸気の状態が変化した場合にも、復水器11の真空度を適切に設定することが可能になる。これによって、蒸気タービン6の排気側で蒸気の湿り度が高くなってしまうことを防止することができ、蒸気タービン6に致命的なエロージョンが発生してしまう事態を回避できる。
特に、制御装置45が復水器11に設定する真空度として、湿り度が許容可能な真空度を算出する際に、蒸気タービン6で行われる膨張仕事W2を比エンタルピー及び比エントロピーの近似関数(上式(8))で表すことにより、上述したように連立方程式を解くことだけで算出することができ、計算が非常に容易化される。
本発明の第2の実施の形態として、図3に示すように、復水器真空度制御システム1が制御する空気抽出調整弁として、空気の抽出の粗調整を行う空気抽出調整大弁31aと、空気の抽出の微調整を行う空気抽出調整小弁31bの2種類の弁が併用されていてもよい。本発明の第2の実施の形態では、図3に示すように、2本の空気抽出管28a、28bが別個に復水器11に接続されている。これらの空気抽出管28a、28bの空気抽出器27側で合流し、1本になって空気抽出器27に接続されている。合流前の空気抽出管28aには、空気抽出調整大弁31aが設けられており、合流前の空気抽出管28bには、空気抽出調整小弁31bが設けられている。
空気抽出調整大弁31aの絶対的な最大開度は、空気抽出調整小弁31bの絶対的な最大開度よりも大きくなっている。また、制御装置45は、空気抽出調整大弁31aと、空気抽出調整小弁31bとを個別に制御して各々の開度を調整することができるようになっている。
上述した2種類の空気抽出調整弁31a、31bを用いて、制御装置45が復水器11の真空度を調整する手順を図4を用いて説明する。図4の上図(a)は、空気抽出器27によって復水器11の真空度を初期設定値PC1(図4に示す場合には750mmHg)から新設定値PC2(図4に示す場合には700mmHg)に変更する際に、真空度検出器47で検出された復水器11の真空度の時間推移の一例を関数L1として示している。なお、図4の上図(a)の縦軸は、復水器11の真空度(mmHg)を示し、横軸は時間を示している。真空度は、大気圧から絶対圧を減じて得られる値であり、例えば絶対真空(絶対圧0mmHg)の場合の真空度は、760−0=760mmHgになる。
図4の下図(b)は、空気抽出調整大弁31a及び空気抽出調整小弁31bの各開度を制御する際に制御装置45から各々に送信される制御信号の大きさの時間推移の一例を関数L2、L3として示している。図4の下図(b)の縦軸は、制御信号の大きさを示しており、横軸は時間を示している。なお、制御信号の大きさは、空気抽出調整小弁31a及び空気抽出調整大弁31bの開度と比例し、制御信号が大きいほど開度が大きくなっている。また、図4の上図(a)の横軸と下図(b)の横軸は対応しており、横軸の同じ位置は同じ時間の状態を示している。
発電プラント2は、初期状態(即ち、図4に示す時間0)において、図2の点Aで示す状態の蒸気が蒸気タービン6に流入し、且つ復水器11の真空度がPC1(即ち、図2の点B)に設定されて運転されていたとする。その後、時間が図4に示す時間tになり、蒸気タービン6に流入する蒸気が図2の点Cで示す状態に変化したものと仮定する。制御装置45は、温度検出器40から入力された蒸気の検出温度と、圧力検出器41から入力された蒸気の検出温度に基づいて、復水器11に新たに設定する最適な真空度の新設定値をPC2と算出する。新設定値PC2の算出方法は、本発明の第1の実施の形態と同様にして行われる。
次に、制御装置45は、例えばPC1+(PC2−PC1)×0.5の計算式で計算される値を、空気抽出調整大弁31aと空気抽出調整小弁31bを切替える弁切替値Pswiとして設定する。図4に示す場合には、PC1=750(mmHg)、PC2=700(mmHg)であるので、Pswi=725(mmHg)になる。なお、(PC2−PC1)に乗じる数値は0.5以外の任意の数値であってもよいが、0.5〜0.7の範囲に設定するのが好ましい。
図4に示す例では、復水器11の真空度を低下させる(即ち、圧力を上昇させる)動きとなるので、まず、制御装置45から空気抽出調整大弁31aに制御信号が出力される。復水器11の真空度が上述した弁切替値Pswiに到達する時間tになった時点で、制御装置45は、空気抽出調整大弁31aの制御信号(即ち、開度)を固定し、空気抽出調整小弁31bへの制御信号の出力を開始する。なお、復水器11の真空度を上昇させる(即ち、圧力を低下させる)動きをさせる場合には、前記空気抽出調整小弁31bの開度を調整した後に前記空気抽出調整大弁31aの開度を調整するように制御する。
本発明の第2の実施の形態によれば、空気抽出調整弁として空気抽出調整大弁31aと空気抽出調整小弁31bの2種類を設け、制御装置45が復水器11の真空度を低下させる場合には、空気抽出調整大弁31aの開度の調整をした後に空気抽出調整小弁31bの開度を調整するように制御したことによって、従来公知の場合のように空気抽出調整弁の閉動作が大き過ぎて真空度が設定値を超過し、タービン設備保護の観点で設定されている真空度の許容値を越え、タービンがトリップしてしまう危険を回避することができる。一方、復水器11の真空度を上昇させる場合には、空気抽出調整小弁31bの開度を調整した後に空気抽出調整大弁31aの開度を調整するように制御するようにしたことによって、空気抽出調整小弁31bの開度を通常全開状態で待機させ(例えば、720mmHg以上の真空度の場合は常に全開状態)、真空度を低下させる際に、微調整の効く空気抽出調整小弁31bの能力をフルに発揮させるようにすることができる。また、本発明の第2の実施の形態では、図1に示す第1の実施の形態と同様の効果を有する。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上述した実施形態においては、復水器真空度制御システム1が発電プラント2に適用されている場合について説明したが、復水器真空度制御システム1は発電プラント2以外の設備に設置されてもよい。
上述した実施形態においては、復水器真空度制御システム1の制御装置45が自動的に制御を行う場合について説明したが、制御の一部又は全部が手動で行われてもよい。
上述した実施形態においては、空気抽出器27として真空ポンプが用いられている場合について説明したが、真空ポンプ以外にエジェクタ等その他の装置が用いられてもよい。
上述した実施形態においては、制御装置45が上式(1)〜(8)を演算することによって、蒸気が許容可能な乾き度Xになる復水器11の真空度を算出する場合について説明したが、その他の計算手順により蒸気が許容可能な乾き度になる復水器の真空度を算出するようにしてもよい。
上述した実施形態においては、制御装置45が「蒸気の湿り度が許容可能な値になる真空度の設定値」として、「蒸気の湿り度が許容可能な値」の臨界値に対応する値を算出し、復水器11の真空度がこの設定値になるように制御する場合について説明したが、「蒸気の湿り度が許容可能な値になる真空度の設定値」は、「蒸気の湿り度が許容可能な値」の範囲のある値のうち、任意の値に対応する値であってもよいし、範囲のある値として設定されてもよい。
本発明は、蒸気タービンから排出された蒸気を復水する復水器を備えた発電プラントに特に有用である。
本発明の第1の実施の形態に係る復水器真空度制御システム1を備えた発電プラント2の一例を示す系統構成図である。 図1に示す発電プラント2における蒸気の状態量を示す蒸気i−s線図(比エンタルピー比エントロピー線図)である。 本発明の第2の実施の形態に係る復水器真空度制御システム1を備えた発電プラント2の一例を示す系統構成図である。 制御装置45が復水器11の真空度を調整する際の手順を説明する説明図であり、上図(a)は、真空度検出器47で検出された復水器11の真空度の時間推移の一例を示し、下図(b)は、この真空度の制御の際に制御装置45から空気抽出調整大弁31a及び空気抽出調整小弁31bに各々送信される制御信号の大きさの時間推移の一例を示している。
符号の説明
1 復水器真空度制御システム
2 発電プラント
3 主蒸気管
4、15、16、35、37 配管
5 ボイラ
6 蒸気タービン
7 発電機
10 排気ダクト
11 復水器
17 給水ポンプ
20 復水器冷却水管
25 セパレータ
27 空気抽出器
28、28a、28b 空気抽出管
31 空気抽出調整弁
31a 空気抽出調整大弁
31b 空気抽出調整小弁
39 排気塔
40 温度検出器
41 圧力検出器
45 制御装置
47 真空度検出器
A〜E 蒸気の状態
L1 復水器の真空度の時間推移を示す関数
L2 空気抽出調整大弁31aに送られる制御信号の時間推移を示す関数
L3 空気抽出調整小弁31bに送られる制御信号の時間推移を示す関数
P1、P2 圧力
C1、PC2 真空度(圧力)
swi 弁切替値
温度
W1、W2 仕事
、X 乾き度

Claims (4)

  1. 蒸気タービンから排出された蒸気を復水する復水器の真空度を制御する復水器真空度制御システムであって、
    前記復水器に空気抽出管を介して接続された空気抽出器と、
    前記空気抽出管に設けられた空気抽出調整弁と、
    前記蒸気タービンに流入する蒸気の温度を検出する温度検出器と、
    前記蒸気タービンに流入する蒸気の圧力を検出する圧力検出器と、
    前記温度検出器及び前記圧力検出器に接続された制御装置と、を有し、
    前記制御装置は、式(1)〜式(8)より前記復水器の真空度を算出し、
    前記復水器の真空度が前記算出した真空度以下になるように前記空気抽出調整弁の開度を制御することを特徴とする、復水器真空度制御システム(ただし、真空度をPC 、飽和温度をTC 、蒸気の比エンタルピーをi、飽和温度TC の飽和水の比エンタルピーをi’、蒸気圧力PC の乾き飽和蒸気の比エンタルピーをi’’、許容可能な乾き度X における比エントロピーs、は飽和温度TC の飽和水の比エントロピーをs’、蒸気圧力PC の乾き飽和蒸気の比エントロピーをs’’とする)。
    Figure 0004937822
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  2. 前記空気抽出調整弁は、前記空気抽出器による空気の抽出を粗調整する空気抽出調整大弁と、前記空気抽出器による空気の抽出を微調整する空気抽出調整小弁と、を有することを特徴とする、請求項1に記載の復水器真空度制御システム。
  3. 前記制御装置は、前記復水器の真空度を低下させる場合には、前記空気抽出調整大弁の開度の調整をした後に前記空気抽出調整小弁の開度を調整するように制御し、前記復水器の真空度を上昇させる場合には、前記空気抽出調整小弁の開度を調整した後に前記空気抽出調整大弁の開度を調整するように制御することを特徴とする、請求項2に記載の復水器真空度制御システム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の復水器真空度制御システムを備えていることを特徴とする、発電プラント。
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