JP4935506B2 - 物体の三次元形状データの作成装置および作成方法 - Google Patents

物体の三次元形状データの作成装置および作成方法 Download PDF

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Description

本発明は、コンピュータを利用して物体の三次元形状データを作成する技術に関し、特に、三次元の基本物体の表面にシート状物体を張り付けた状態を示す三次元形状データを作成する技術に関する。
コンピュータの性能向上により、産業界の様々な分野でCG画像が利用されるようになってきている。たとえば、建築物、家具、自動車などの設計段階では、通常、多くのCG画像が利用されている。また、コンピュータを利用した製品のプレゼンテーションや映画などの種々の映像表現においても、物品の様々なCG画像が不可欠である。更に、最近では、商品カタログなどにも、実際の商品写真の代わりに、CG画像が利用される例も少なくない。一般に、CADを用いた設計段階を経て製品化された商品の場合、設計に用いたCADデータを流用してCG画像を作成することができるため、商品カタログに掲載するCG画像も、比較的容易に用意することが可能になる。
たとえば、下記の特許文献1には、家具や自動車の内装などのインテリア製品、衣服、バッグ、靴、鞄などのアパレル製品など、物品の表面にパイプ状構造体が付加された商品のCG画像を作成する技術が開示されている。
特開2006−331177号公報
ソファや椅子等の家具、自動車のシートや内装品などは、ウレタン等の材質からなる基本物体の表面に、布や皮革などのシート状物体を張り付けたり、覆い被せることにより構成される。このような製品をCG画像で表現する場合、布や皮革の厚みや質感(基本物体の表面形状に応じた形状変形のしかた、角の部分での丸まり具合、たるみ具合、ひだのでき方など)が十分に表現されるようにするのが好ましい。特に、インテリア製品や自動車内装品は、機能面だけでなく、デザイン性が重視されており、商品カタログや広告媒体にそのCG画像を掲載する場合、外観上、布地や革地の質感を細部まで表現することが重要である。しかしながら、従来の一般的なCG手法では、ウレタン等の材質からなる基本物体の三次元形状データのみを用意し、その表面に、布地や革地の柄をマッピングする単純な方法を採っているため、布地や革地の質感を細部まで表現することはできない。
そこで本発明は、基本物体の表面に布や皮革などのシート状物体を張り付けることにより構成される物品の外観を、良好な質感をもって表現することができる三次元形状データを作成する手法を提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、三次元の基本物体の表面にシート状物体を張り付けた状態を示す三次元形状データを作成する装置において、
基本物体の三次元形状データを格納する基本物体データ格納部と、
基本物体の表面を外側に向けて膨らませる度合いを示す圧力パラメータPと、シート状物体の表面張力の強さを示す張力パラメータTと、を設定するパラメータ設定部と、
基本物体の表面に多数のサンプル点を定義するサンプル点定義部と、
各サンプル点の位置に、基本物体外側表面に立てた法線を演算によって求める法線演算部と、
各サンプル点の位置における基本物体表面の曲がり具合の程度を示す曲率パラメータkを演算によって求める曲率パラメータ演算部と、
各サンプル点について、圧力パラメータPおよび張力パラメータT、ならびに当該サンプル点について求められた曲率パラメータkを用いて、移動距離dを、d=P−T×kなる演算によって求める移動距離演算部と、
各サンプル点を、当該サンプル点について求められた法線方向に、当該サンプル点について求められた移動距離dだけ移動させ、移動後の位置に新サンプル点を定義する新サンプル点定義部と、
新サンプル点に基づいて、基本物体の表面にシート状物体を張り付けた状態を示す三次元形状データを作成するシート状物体データ作成部と、
を設けたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る三次元形状データの作成装置において、
基本物体の表面に固定点を設定する固定点設定部を更に設け、
移動距離演算部が、固定点近傍に位置するサンプル点についての移動距離dを、所定の移動実効率E(0≦E≦1)を用いて、d=(P−T×k)×Eなる演算によって求めるようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第2の態様に係る三次元形状データの作成装置において、
移動距離演算部が、距離rの増加とともに単調増加する移動実効率関数E(r)を用い(但し、Emin ≦E(r)≦1)、サンプル点とその最近接固定点との距離rに基づいて、当該サンプル点についての移動距離dを、d=(P−T×k)×E(r)なる演算によって求めるようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第2または第3の態様に係る三次元形状データの作成装置において、
固定点設定部が、基本物体の表面上に固定線を定義することにより当該固定線上の点として固定点の設定を行う機能と、基本物体の表面上に固定領域を定義することにより当該固定領域内の点として固定点の設定を行う機能と、を有するようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第1〜第4の態様に係る三次元形状データの作成装置において、
基本物体データ格納部が、基本物体の三次元形状データを、ポリゴンの集合からなるデータとして格納し、
サンプル点定義部が、ポリゴンの各頂点をサンプル点として定義するようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第5の態様に係る三次元形状データの作成装置において、
法線演算部が、演算対象となる着目サンプル点の位置に立てた法線を求める際に、着目サンプル点を1頂点とするポリゴンを着目ポリゴンとして、各着目ポリゴンの外面に立てた単位法線ベクトルの和として求まる和ベクトルの方向を法線の方向とする処理を行うようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第5または第6の態様に係る三次元形状データの作成装置において、
曲率パラメータ演算部が、演算対象となる着目サンプル点の位置における曲率パラメータを求める際に、着目サンプル点を1頂点とするポリゴンを着目ポリゴンとし、着目サンプル点を一端とする各着目ポリゴンの辺を着目辺として、着目サンプル点から各着目辺に沿って伸びる単位ベクトルの平均として求まる平均ベクトルの大きさに基づいて、曲率パラメータkの絶対値を決定し、平均ベクトルが基本物体の内側に向かう場合は正、外側に向かう場合は負となるように、曲率パラメータkの符号を決定するようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第5〜第7の態様に係る三次元形状データの作成装置において、
シート状物体データ作成部が、基本物体データ格納部に格納されている基本物体の三次元形状データを参照して、新サンプル点相互の位置関係を認識し、これら新サンプル点を頂点とする新たなポリゴンの集合からなる三次元形状データを作成するようにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第1〜第4の態様に係る三次元形状データの作成装置において、
基本物体データ格納部が、基本物体の三次元形状データを、パラメトリック曲面を示す方程式および制御点の座標値を用いて表現されるパラメトリック曲面の集合からなるデータとして格納し、
サンプル点定義部が、パラメトリック曲面上の所定点をサンプル点として定義するようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第9の態様に係る三次元形状データの作成装置において、
サンプル点定義部が、パラメトリック曲面の媒介変数を特定の離散値に設定することにより、当該特定の離散値で示される点をサンプル点として定義するようにしたものである。
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第9または第10の態様に係る三次元形状データの作成装置において、
法線演算部が、パラメトリック曲面を示す方程式、制御点の座標値、サンプル点を示す媒介変数の離散値に基づいて、当該サンプル点の位置に立てた法線を演算し、
曲率パラメータ演算部が、パラメトリック曲面を示す方程式、制御点の座標値、サンプル点を示す媒介変数の離散値に基づいて、当該サンプル点の位置における曲率パラメータを演算するようにしたものである。
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第9〜第11の態様に係る三次元形状データの作成装置において、
シート状物体データ作成部が、パラメトリック曲面を示す方程式、新サンプル点の座標値、新サンプル点についての移動前のサンプル点の媒介変数の離散値に基づいて、新パラメトリック曲面の制御点の座標値を演算し、新パラメトリック曲面を示す方程式およびその制御点の座標値を用いて表現される新パラメトリック曲面の集合からなる三次元形状データを作成するようにしたものである。
(13) 本発明の第13の態様は、上述の第9〜第12の態様に係る三次元形状データの作成装置において、
基本物体データ格納部が、基本物体の三次元形状データを、2つの媒介変数u,v(0≦u≦1、0≦v≦1)と16個の制御点の座標値とを用いて表現されるBezier曲面の集合からなるデータとして格納し、
サンプル点定義部が、媒介変数uを、0,u′,u″,1の4通りの離散値に設定し(但し、0<u′<u″<1)、媒介変数vを、0,v′,v″,1の4通りの離散値に設定し(但し、0<v′<v″<1)、1つのBezier曲面について、これら離散値の組み合わせによって示される合計16通りのサンプル点を定義するようにしたものである。
(14) 本発明の第14の態様は、上述の第1〜第13の態様に係る三次元形状データの作成装置において、
パラメータ設定部が、圧力パラメータPとして、基本物体の表面を外側に向けて膨らませる基準寸法値を設定し、張力パラメータTとして、0<T≦Pなる寸法値を設定し、
曲率パラメータ演算部が、曲率パラメータkとして、−1≦k≦1なる値を求めるようにしたものである。
(15) 本発明の第15の態様は、三次元の基本物体の表面にシート状物体を張り付けた状態を示す三次元形状データを作成する方法において、
コンピュータが、基本物体の三次元形状データを入力する基本物体データ入力段階と、
コンピュータが、基本物体の表面を外側に向けて膨らませる度合いを示す圧力パラメータPと、シート状物体の表面張力の強さを示す張力パラメータTと、を設定するパラメータ設定段階と、
コンピュータが、基本物体の表面に多数のサンプル点を定義するサンプル点定義段階と、
コンピュータが、各サンプル点の位置に、基本物体外側表面に立てた法線を演算によって求める法線演算段階と、
コンピュータが、各サンプル点の位置における基本物体表面の曲がり具合の程度を示す曲率パラメータkを演算によって求める曲率パラメータ演算段階と、
コンピュータが、各サンプル点について、圧力パラメータPおよび張力パラメータT、ならびに当該サンプル点について求められた曲率パラメータkを用いて、移動距離dを、d=P−T×kなる演算によって求める移動距離演算段階と、
コンピュータが、各サンプル点を、当該サンプル点について求められた法線方向に、当該サンプル点について求められた移動距離dだけ移動させ、移動後の位置に新サンプル点を定義する新サンプル点定義段階と、
コンピュータが、新サンプル点に基づいて、基本物体の表面にシート状物体を張り付けた状態を示す三次元形状データを作成するシート状物体データ作成段階と、
を行うようにしたものである。
(16) 本発明の第16の態様は、上述の第15の態様に係る三次元形状データの作成方法において、
基本物体データ入力段階で、基本物体の表面に固定点を設定し、
移動距離演算段階で、固定点近傍に位置するサンプル点についての移動距離dを、所定の移動実効率E(0≦E≦1)を用いて、d=(P−T×k)×Eなる演算によって求めるようにしたものである。
(17) 本発明の第17の態様は、上述の第16の態様に係る三次元形状データの作成方法において、
移動距離演算段階で、距離rの増加とともに単調増加する移動実効率関数E(r)を用い(但し、0≦E(r)≦1)、サンプル点とその最近接固定点との距離rに基づいて、当該サンプル点についての移動距離dを、d=(P−T×k)×E(r)なる演算によって求めるようにしたものである。
(18) 本発明の第18の態様は、上述の第16または第17の態様に係る三次元形状データの作成方法において、
基本物体データ入力段階で、基本物体の表面上に固定線を定義することにより当該固定線上の点として固定点の設定を行うか、もしくは、基本物体の表面上に固定領域を定義することにより当該固定領域内の点として固定点の設定を行うようにしたものである。
(19) 本発明の第19の態様は、上述の第15〜第18の態様に係る三次元形状データの作成方法において、
基本物体データ入力段階で、基本物体の三次元形状データを、ポリゴンの集合からなるデータとして入力し、
サンプル点定義段階で、ポリゴンの各頂点をサンプル点として定義し、
法線演算段階で、演算対象となる着目サンプル点の位置に立てた法線を求める際に、着目サンプル点を1頂点とするポリゴンを着目ポリゴンとして、各着目ポリゴンの外面に立てた単位法線ベクトルの和として求まる和ベクトルの方向を法線の方向とする処理を行い、
曲率パラメータ演算段階で、演算対象となる着目サンプル点の位置における曲率パラメータを求める際に、着目サンプル点を1頂点とするポリゴンを着目ポリゴンとし、着目サンプル点を一端とする各着目ポリゴンの辺を着目辺として、着目サンプル点から各着目辺に沿って伸びる単位ベクトルの平均として求まる平均ベクトルの大きさに基づいて、曲率パラメータkの絶対値を決定し、平均ベクトルが基本物体の内側に向かう場合は正、外側に向かう場合は負となるように、曲率パラメータkの符号を決定し、
シート状物体データ作成段階で、基本物体データ格納部に格納されている基本物体の三次元形状データを参照して、新サンプル点相互の位置関係を認識し、これら新サンプル点を頂点とする新たなポリゴンの集合からなる三次元形状データを作成するようにしたものである。
(20) 本発明の第20の態様は、上述の第15〜第18の態様に係る三次元形状データの作成方法において、
基本物体データ入力段階で、基本物体の三次元形状データを、パラメトリック曲面を示す方程式および制御点の座標値を用いて表現されるパラメトリック曲面の集合からなるデータとして入力し、
サンプル点定義段階で、パラメトリック曲面の媒介変数を特定の離散値に設定することにより、当該特定の離散値で示される点をサンプル点として定義し、
法線演算段階で、パラメトリック曲面を示す方程式、制御点の座標値、サンプル点を示す媒介変数の離散値に基づいて、当該サンプル点の位置に立てた法線を演算し、
曲率パラメータ演算段階で、パラメトリック曲面を示す方程式、制御点の座標値、サンプル点を示す媒介変数の離散値に基づいて、当該サンプル点の位置における曲率パラメータを演算し、
シート状物体データ作成段階で、パラメトリック曲面を示す方程式、新サンプル点の座標値、新サンプル点についての移動前のサンプル点の媒介変数の離散値に基づいて、新パラメトリック曲面の制御点の座標値を演算し、新パラメトリック曲面を示す方程式およびその制御点の座標値を用いて表現される新パラメトリック曲面の集合からなる三次元形状データを作成するようにしたものである。
本発明に係る三次元形状データの作成装置および作成方法によれば、基本物体の表面に布や皮革などのシート状物体を張り付けることにより構成される物品の外観を表現する方法として、当該基本物体の表面を、各部の曲がり具合を考慮して膨らませる方法を採用したため、良好な質感をもった三次元形状データの作成が可能になる。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1.本発明の基本概念 >>>
はじめに、本発明の基本概念を説明する。図1は、本発明による三次元形状データ作成処理の材料となる基本物体10およびシート状物体20の一例を示す斜視図である。たとえば、自動車用のヘッドレストは、ウレタンなどからなる枕型の形状をした基本物体10を、布や皮革からなるシート状物体20で覆うことに構成される。通常、自動車の内装部品は、CADを用いた設計がなされており、ヘッドレスト用の基本物体10の三次元形状データも、CADデータとして用意することができる。したがって、このようなヘッドレストをCG画像で作成するためには、基本物体10の三次元形状データを利用して、その表面にシート状物体20を張り付けた外観を示す三次元形状データを作成すればよい。
図2は、図1に示す基本物体10の表面11に、シート状物体20を密着させて張り付けた状態を示す正断面図である。シート状物体20の厚みを均一とすれば、この厚みの寸法を与えることにより、図示のシート状物体20の表面21の三次元形状データは、比較的容易に作成することができる。すなわち、基本物体10の表面11を、厚みの寸法分だけ外側へ膨らませる処理をすれば、シート状物体20の表面21を得ることができる。
しかしながら、図2に示すように、シート状物体20を基本物体10の表面11にぴったりと密着させて張り付けるケースは、実用上、あまり多くはない。特に、ソファや椅子、自動車のシートや内装品などでは、ウレタン等の材質からなる基本物体10を、シート状物体20からなる袋で包み込むような構造が採られるのが一般的であり、この場合、図3に示すように、シート状物体20は、基本物体10の表面11から若干浮いた状態になることが多い。すなわち、家具や自動車の内装品など、基本物体10の表面にシート状物体20を被せた形態をもつ一般的な物品の場合、基本物体10とシート状物体20との相互の位置関係は、図2に示すような形態よりも、むしろ図3に示すような形態を採るケースが多く、外観を観察した場合、前者よりも後者の方が自然に見える。
本願発明者は、このような点に着眼し、基本物体の表面に布や皮革などのシート状物体を張り付けることにより構成される物品の外観を、良好な質感をもって表現するために、次のような手法が効果的であることを見出した。
まず、図4を見てみよう。この図4は、図3に示す状態における基本物体10の表面11の位置とシート状物体20の表面21の位置との関係を示す正面図である。図4を見れば、基本物体10の表面11を外側に膨らませることにより、シート状物体20の表面21を作成できることがわかる。但し、膨らませる程度は均一ではなく、各部によって異なっている。具体的には、上部左右に位置する角の部分については、膨らませる程度が小さいことがわかる。別言すれば、基本物体10の表面各部のうち、曲がり具合の程度が大きい部分については、膨らませる程度を小さくし、曲がり具合の程度が小さい部分については、膨らませる程度を大きくすると、実際の物品に似た自然な表現が可能になる。
このような現象が生じる理由は、シート状物体20に表面張力が作用しているためと考えられる。一般に、表面張力とは、物体の表面が縮まろうとしてその表面に沿って働く力を意味し、布地や皮革などのシート状物体20についても、そのような力が作用している。すなわち、布地や皮革などの弾力性を有するシート状物体20は、本来、平面に置かれた状態が最も安定した状態であり、これを曲げようとすると、元の平面状態に戻ろうとする性質がある。このため、曲がり具合の程度が大きい部分については、シート状物体20により大きな表面張力が作用する。その結果、曲がり具合の程度が大きい部分は、シート状物体20が基本物体10の表面に接近し、曲がり具合の程度が小さい部分は、シート状物体20が基本物体10の表面から離されることになる。
そこで、本発明では、図5に示すように、基本物体10の表面11を外側に向けて膨らませ、膨らんだ状態の表面12を、シート状物体20の表面21として利用する、という基本原理を採りつつ、次のような3つのパラメータを設定して膨らませる程度を制御している。
まず、第1のパラメータは、基本物体10の表面11を外側に向けて膨らませる度合いを示す圧力パラメータPである。これは、たとえば、風船を膨らませるために風船内部に加える圧力に相当するものであり、圧力パラメータPを大きく設定すればするほど、表面11はより大きく膨らむことになるので、膨らむ前の表面11と膨らんだ後の表面12との差は大きくなる。このように、圧力パラメータPは、概念としては、基本物体10内部の圧力に相当するパラメータであるが、後述する実施形態の場合、基本物体10の表面11を外側に向けて膨らませる基準寸法値を指定する値になる。圧力パラメータPを大きく設定すればするほど、シート状物体20が基本物体10に対して膨らんだ感じが強く表現されることになる。
第2のパラメータは、シート状物体20自体に潜在的に備わっている表面張力の強さを示す張力パラメータTである。前述したとおり、布地や皮革などの弾力性を有するシート状物体20には、表面張力が作用しており、曲げようとすると、元の平面状態に戻ろうとする性質がある。この表面張力の強さは、個々のシート状物体20の材質や繊維構造に応じて定まるものと考えられる。一般に、弾力性の強い糸からなる繊維や、編み目の細かな繊維は、表面張力が強くなると考えられる。このように、張力パラメータTは、概念としては、シート状物体20に固有の表面張力の強さを示すパラメータであるが、本発明では、基本物体10の表面11を外側に向けて膨らませる程度を抑制する因子(k>0の場合)として機能し、後述する実施形態の場合、寸法値として設定される。張力パラメータTを大きく設定すればするほど、曲面部分でのシート状物体20の膨らみ具合が抑制される(k>0の場合)。
第3のパラメータは、基本物体10の表面11の各部の曲がり具合の程度を示す曲率パラメータkである。ここで述べる基本的な実施形態の場合、上述した圧力パラメータPは、1つの基本物体10で共通した値として設定され、上述した張力パラメータTは、1枚のシート状物体20で共通した値として設定されるが、曲率パラメータkは、基本物体10の表面11の各部に応じて、それぞれ独立した値が設定される(もちろん、必要に応じて、圧力パラメータPおよび張力パラメータTを部分ごとに異ならせるような変則的な設定も可能である)。
一般に、任意曲面についての曲率とは、幾何学上、当該任意曲面に近似する球面の半径の逆数として定義される。たとえば、半径10mmの球面に近似できる任意曲面の曲率は、1/10(単位は、mm−1)となる。平面の場合、近似する球面は半径が無限大の球面になるので、曲率は0になる。ただ、本発明で用いる曲率パラメータkは、必ずしも幾何学的に正確な曲率にする必要はなく、基本物体10の表面11の曲がり具合の程度を示すことができるパラメータとなっていれば足り、曲がり具合が大きければ大きいほど、絶対値が大きくなればよい。したがって、その単位も、mm−1のような寸法値の逆数として与える必要はなく、後述する実施形態の場合、無名数として定義される。なお、曲率パラメータkの符号は、基本物体10の外側に凸となる曲面の場合を正とし、内側に凸となる曲面(窪んだ曲面)の場合を負とすればよい。
本発明では、図5に示すように、基本物体10の表面11を外側に向けて膨らませるときに、その膨らませる程度を、上記3つのパラメータを用いて「P−T×k」なる量で定義する。前述したとおり、ここで述べる実施形態の場合、圧力パラメータPおよび張力パラメータTは、いずれも寸法値(たとえば、単位mmで定義される値)として与えられ、曲率パラメータkは無名数として与えられる。したがって、「P−T×k」なる量は、たとえば、単位mmをもった寸法値になり、表面11を外側に移動させる移動距離を示す。
ここでは、圧力パラメータPとして、基本物体10の表面11を外側に向けて膨らませる基準寸法値を設定し、張力パラメータTとして、0<T≦Pなる寸法値を設定し、曲率パラメータkとして、−1≦k≦1なる値を設定した場合を考えてみる。この場合、表面11が平面をなす部分については、k=0になるので、「P−T×k」=Pとなり、当該部分は基準寸法値Pまで膨らむことになる。たとえば、図5に示す点Q1は、平面上の点であるから、上方に寸法値Pだけ移動することになる。一方、図5に示す点Q2は、外側に凸となる曲面上の点であり、点Q2の位置における曲率パラメータkは正の値になる。したがって、点Q2は、斜め左上方向に寸法値「P−T×k」だけ移動することになる。
これは、点Q1のように、平坦な箇所では、シート状物体20の表面張力による膨らみ抑制効果は発揮されず、圧力Pによる基準量の膨らみが生じるの対して、点Q2のように曲がり具合が大きい箇所では、シート状物体20の表面張力による膨らみ抑制効果が機能し、圧力Pによる基準量の膨らみは抑制されることを意味している。このような基本原理に基づいて、基本物体10の表面11の各部をそれぞれ外側に向けて膨らませることにより、膨らんだ後の表面12を得るようにすれば、この表面12は、図3に示すシート状物体20の表面21に近いものになる。したがって、上述した基本原理に基づいて、シート状物体20の表面21の形状データを作成すれば、より自然な良好な質感をもった外観形状データを得ることができる。なお、基本物体10の内側に凸となる曲面(窪んだ曲面)上の点については、曲率パラメータkは負の値となるので、移動量「P−T×k」の値は基準寸法値Pよりも大きくなる。これは、窪んだ箇所では、平坦な箇所より膨らみ効果が促進されることを意味し、やはり実際のシート状物体の変形態様に合致したものになる。
ユーザは、この3つのパラメータの設定の仕方により、好みの三次元形状データ(膨らんだ後の表面12のデータ)が得られるよう、調整を行うことができる。すなわち、圧力パラメータPの値を増減することにより、膨らみの程度を制御することができ、張力パラメータTの値を増減することにより、曲面部分での膨らみ抑制効果(k>0の場合)もしくは促進効果(k<0の場合)を制御することができる。
なお、曲率パラメータkは、基本物体10の表面11の形状に依存して定まる量であるから、ユーザが自由に設定することはできないが、スケーリングファクター(規格化の方法)を調整することにより、多少の形状調整を行うことは可能である。具体的には、演算により求めた幾何学的な曲率値(単位:mm−1)に基づいて曲率パラメータkを決定する場合、曲率値を−1≦k≦1なる範囲内の曲率パラメータkに変換する変換条件式や変換テーブルを任意に設定することにより、多少の形状調整を行うことが可能になる。たとえば、
「k=曲率値×10、但し、k>1になる場合はk=1とし、k<−1になる場合はk=−1とする」
のような変換条件式を設定した場合、半径50mmの球面に近似した外側に凸となる曲面については、k=(1/50)×10=0.2となるが、半径10mm以下の球面に近似した外側に凸となる曲面については、一律、k=1になる。
<<< §2.本発明に係る方法の基本手順 >>>
続いて、図6の流れ図を参照しながら、本発明に係る三次元形状データの作成方法の基本手順を説明する。ここでは、§1で述べた具体的な実施例、すなわち、図1に示す三次元の基本物体10の表面にシート状物体20を張り付けた状態を示す三次元形状データを作成する例についての手順を述べる。なお、図6のステップS1〜S8は、実際には、コンピュータを用いて行われる処理であり、個々の手順は、コンピュータが所定のプログラムに基づく自動演算を行うことにより実行されるか、もしくは、ユーザがコンピュータに対して入力や設定操作を行うことにより実行されることになる。
まず、ステップS1において、基本物体10の三次元形状データを入力する基本物体データ入力段階が実行される。具体的には、図1に示すような三次元の基本物体10の表面形状を示すデータが、コンピュータに入力されることになる。三次元物体の表面形状を示すデータの形式としては、ポリゴンやパラメトリック曲面を用いた形式が一般的に用いられている。なお、本発明では、シート状物体20の形態を示すデータは不要である。これは、§1で述べたとおり、本発明では、基本物体10の表面11を膨らませることにより、疑似的に、シート状物体20の表面21のデータを生成する手法を採るためである。
続くステップS2では、基本物体10の表面11を外側に向けて膨らませる度合いを示す圧力パラメータPと、シート状物体20の表面張力の強さを示す張力パラメータTと、を設定するパラメータ設定段階が実行される。前述したとおり、ここで述べる実施形態の場合、圧力パラメータPは、基本物体10の表面11を外側に向けて膨らませる基準寸法値として設定され、膨らみの程度を制御するパラメータになる。また、張力パラメータTは、0<T≦Pなる寸法値として設定され、曲面部分での膨らみ抑制効果を制御するパラメータになる。
次のステップS3では、基本物体10の表面11に多数のサンプル点を定義するサンプル点定義段階が実行される。サンプル点は、表面11を変形させるための指標として機能する点であり、表面11上に離散的に分布した点として定義される。図7(a) は、図1に示す基本物体10の表面11上に、5つのサンプル点Q1〜Q5を定義した例を示す正断面図である。ここでは、説明の便宜上、図7の断面図に現れている表面11の輪郭線上にサンプル点Q1〜Q5のみを定義した一次元の単純な例を示すが、実際には、表面11は、基本物体10の外面全体に広がる二次元の面であり、この二次元の面上に離散的に分布する多数のサンプル点が定義されることになる。
これらのサンプル点は、たとえば、所定ピッチで一様分布するように定義することもできるし、乱数に基づいてランダムに定義することもできる。ただ、実用上は、ステップS1で入力した基本物体10の三次元形状データの形態に応じて、最も効率的な定義方法を採るのが好ましい。基本物体10が、ポリゴンやパラメトリック曲面を用いた三次元形状データとして入力された場合の最適なサンプル点の定義方法は後述する。
ステップS4では、ステップS3で定義された各サンプル点の位置に、基本物体10の表面11の外側に立てた法線を演算によって求める法線演算段階が実行される。図7(b) には、各サンプル点Q1〜Q5の位置に、法線n1〜n5を定義した状態が示されている。基本物体10の表面11は任意曲面であるから、各サンプル点位置に立てた法線は、当該サンプル点位置における基本物体10に対する接面に直交する直線ということになる。既にステップS1において、基本物体10の表面11の形状を示す三次元形状データが、コンピュータに入力されているので、この三次元形状データを用いて、各サンプル点位置の法線を演算によって求めることが可能である。
次のステップS5では、各サンプル点Q1〜Q5の位置における基本物体10の表面11の曲がり具合の程度を示す曲率パラメータkを演算によって求める曲率パラメータ演算段階が実行される。図7(b) に示す例の場合、サンプル点Q1,Q3,Q5が位置する表面11は平面であるため、曲率パラメータはk=0になるが、サンプル点Q2,Q4が位置する表面11は外側に凸となる曲面であるため、曲率パラメータは0<k≦1となる(正確なkの値は、曲率値を曲率パラメータkに変換する際の規格化の条件に応じて決まる)。なお、図では外側に凸となる曲面が示されているが、内側に凸となる曲面についても、同様にして曲率パラメータk(−1≦k<0)を求めることができる。
続くステップS6では、各サンプル点Q1〜Q5について、ステップS2で設定された圧力パラメータPおよび張力パラメータT、ならびに当該サンプル点Q1〜Q5についてステップS5で求められた曲率パラメータkを用いて、移動距離dを、d=P−T×kなる演算によって求める移動距離演算段階が実行される。ここで述べる実施形態では、前述したとおり、圧力パラメータPとして、基本物体10の表面11を外側に向けて膨らませる基準寸法値を設定し、張力パラメータTとして、0<T≦Pなる寸法値を設定し、曲率パラメータkとして、−1≦k≦1なる値を求めるようにしているため、平面上に位置するサンプル点Q1,Q3,Q5についての移動距離は、d=P(基準寸法値)となるが、曲面上に位置するサンプル点Q2,Q4についての移動距離は、d=P−T×kとなり、図示の例のようにk>0の場合、0≦d<Pなる範囲の値となる。
ステップS7では、各サンプル点Q1〜Q5を、当該サンプル点について求められた法線方向(基本物体10の外側へ向かう方向)に、当該サンプル点について求められた移動距離dだけ移動させ、移動後の位置に新サンプル点QQ1〜QQ5を定義する新サンプル点定義段階が実行される。図7(c) は、このようにして定義された新サンプル点QQ1〜QQ5を示す。図示のd1〜d5は、それぞれ各サンプル点Q1〜Q5についてステップS6で求められた移動距離である。
なお、ここで述べる実施形態では、0<T≦P、−1≦k≦1なるパラメータ設定を行っているため、移動距離d=P−T×kは必ず0または正の値になるが、T>Pなる設定や、k>1もしくはk<−1なる設定を行った場合は、移動距離dは負の値になりうる。このように、移動距離dが負の値になった場合は、サンプル点を基本物体10の内側へ向かう方向に移動させればよい。この場合、基本物体10の表面11を膨らませる代わりに、内部へ縮ませる変形が行われることになるので、基本物体10の表面に厚みをもったシート状物体20を張り付けた状態を示す三次元形状データを作成する、という観点からは、非現実的な処理になるが、特殊な用途については利用価値のある処理になろう。
最後のステップS8では、新サンプル点QQ1〜QQ5に基づいて、基本物体10の表面11にシート状物体20を張り付けた状態を示す三次元形状データを作成するシート状物体データ作成段階が実行される。図7(c) には、新サンプル点QQ1〜QQ5に基づいて定義された三次元形状データが一点鎖線で示されている。この一点鎖線で示す面は、基本物体10の表面11を膨らませることにより得られた表面12であるが、本発明では、この膨らんだ表面12を、疑似的にシート状物体20の表面21を示す面として採用することになる。新サンプル点QQ1〜QQ5に基づいて、三次元形状データを作成するには、これら新サンプル点を滑らかに結ぶ曲面の形状データを作成すればよい。その具体的な方法は後述する。
<<< §3.ポリゴンを用いた実施例 >>>
ここでは、図6の流れ図を参照しながら§2で述べた基本手順を、ポリゴンを用いた三次元形状データに適用した具体例を述べる。任意の三次元形状をポリゴンの集合体として表現する方法は、三次元CGの技術では広く利用されている方法であり、本発明を実施する上でも、基本物体10の三次元形状データが、ポリゴンの集合体として与えられることは、最も一般的な実施例になるものと思われる。
まず、ステップS1の基本物体データ入力段階では、図1に示すような三次元の基本物体10の表面形状を示すデータが、ポリゴンの集合からなるデータとして入力されることになる。図8は、ポリゴンの集合からなる基本物体10の一部を示す上面図である。図示の例では、4つのポリゴンG1〜G4の集合により、基本物体10の一部が表現された例が示されている。もちろん、個々のポリゴンとしては、図示のような三角形に限らず任意の多角形を用いること可能であるが、ここでは、説明の便宜上、すべてのポリゴンが三角形によって構成されている例を述べる。
もちろん、通常、個々のポリゴンは肉眼では観察できない程度の微小領域によって構成され、基本物体10の表面形状は、このような微小なポリゴンを多数集めることにより表現される。したがって、図8は、このような微小ポリゴンから構成された基本物体10の表面の一部分の拡大図ということになる。図示の点A,B,C,D,Qは、各ポリゴンの頂点である。図では、頂点Qを白丸、それ以外の頂点A,B,C,Dを黒丸で示しているが、これは、後述する説明において、頂点Qが着目サンプル点となるためである。
個々のポリゴンは、その頂点の座標値によって定義することができる。たとえば、図8に示すポリゴンG1は、3つの頂点A,B,Qの三次元空間上での座標値によって定義することができる。また、個々のポリゴンの連結関係は、個々の頂点の連結関係によって定義することができる。たとえば、図8に示す例の場合、頂点Qに対して、頂点A,B,C,Dが辺a,b,c,dによって連結されており、頂点AB,頂点BC,頂点CD,頂点DAがそれぞれの辺によって連結されている、という連結関係を定義することにより、各ポリゴンG1〜G4の連結関係が定義される。
ステップS2で行われるパラメータ設定段階では、前述したとおり、圧力パラメータPと張力パラメータTとが設定される。このパラメータ設定段階では、三次元形状データがポリゴンの集合体として与えられたからといって、特別な設定を行う必要はない。
ステップS3のサンプル点定義段階では、基本物体10の表面11上に多数のサンプル点の定義を行うことになるが、ここに示す例のように、基本物体10が、ポリゴンの集合からなるデータとして与えられている場合には、個々のポリゴンの各頂点をそのままサンプル点として定義すればよい。たとえば、図8に示す例の場合、各頂点A,B,C,D,Qが、そのままサンプル点として定義される。したがって、実用上は、ステップS3としての特別な処理を行う必要はなく、以後の各ステップにおいて、ポリゴンの頂点をそのままサンプル点として取り扱うようにすれば足りる。
一方、ステップS4の法線演算段階では、各サンプル点の位置に立てた法線を求める処理を行う必要があるが、ポリゴンの各頂点をサンプル点として取り扱う場合、法線の定義方法に工夫を施す必要がある。なぜなら、ポリゴンの集合体として表現された三次元形状は、滑らかな曲面ではなく、隣接するポリゴン間の境界に不連続が生じているためである。
たとえば、図8において、中央のサンプル点Q(図では白丸で示す)に着目し、この着目サンプル点Qの位置に法線を立てることを考えてみる。この場合、着目サンプル点Qは、その周囲を取り囲む4つのポリゴンG1〜G4の境界に位置する不連続点であるため、幾何学的な法線を定義することはできない。そこで、演算対象となる着目サンプル点Qの位置に立てた法線を求める際に、この着目サンプル点Qを1頂点とするポリゴンG1〜G4を着目ポリゴンとして、これら着目ポリゴンの外面に立てた単位法線ベクトル(大きさ1のベクトル)の和として求まる和ベクトルの方向を法線の方向とする処理を行うようにする。
図9は、図8に示す基本物体の一部の斜視図であり、着目サンプル点Qについて定義された着目ポリゴンG1〜G4に、それぞれ単位法線ベクトルN1〜N4を定義した状態が示されている。着目ポリゴンG1〜G4は、いずれも平面であるため、それぞれ単位法線ベクトルN1〜N4を幾何学的に定義することができる。そこで、これら単位法線ベクトルN1〜N4の和ベクトルΣNを求め、図10に示すように、この和ベクトルΣNの始点を着目サンプル点Qの位置へ置いたときの当該和ベクトルΣNの方向を法線の方向とする。このようにして求めた和ベクトルΣNの方向は、各単位法線ベクトルN1〜N4の向きの中間的な方向となるため、周囲を着目ポリゴンG1〜G4によって取り囲まれた着目サンプル点Qに相応しい法線方向になる。
以上、図8の中央に示されているサンプル点Qを着目サンプル点として、当該着目サンプル点Qの位置に法線を定義する方法を説明したが、前述したとおり、ここで述べる実施形態の場合、ポリゴンの頂点はすべてサンプル点として取り扱われることになるので、図示する頂点A,B,C,Dのそれぞれの位置についても、これらを着目サンプル点として、それぞれの法線が定義されることになる。
次のステップS5の曲率パラメータ演算段階では、各サンプル点の位置における曲率パラメータkを求める処理を行う必要がある。ここで述べるポリゴンを用いた実施形態の場合、ある1つの着目サンプル点位置の曲率パラメータkを求めるには、この着目サンプル点を1頂点とするポリゴンを着目ポリゴンとし、着目サンプル点を一端とする各着目ポリゴンの辺を着目辺として、着目サンプル点から各着目辺に沿って伸びる単位ベクトル(大きさ1のベクトル)の平均として求まる平均ベクトルの大きさに基づいて、曲率パラメータkの絶対値を決定し、平均ベクトルが基本物体の内側に向かう場合は正、外側に向かう場合は負となるように、曲率パラメータkの符号を決定する。
たとえば、図11に示す例において、中央のサンプル点Qに着目し、この着目サンプル点Qについて、曲率パラメータkの値を求めることを考えてみる。この場合、着目サンプル点Qを1頂点とするポリゴンとして、4つの着目ポリゴンG1〜G4が定義され、着目サンプル点Qを一端とする各着目ポリゴンG1〜G4の辺として、4つの着目辺a,b,c,dが定義される。そして、図11に太線矢印で示すように、着目サンプル点Qから各着目辺a,b,c,dに沿って伸びる単位ベクトルVa,Vb,Vc,Vdが定義される。そこで、これら単位ベクトルVa,Vb,Vc,Vdの平均として、図12の斜視図に示されているような平均ベクトルVmを求め、この平均ベクトルVmの大きさ(すなわち、長さ)に基づいて、曲率パラメータkの絶対値を決定すればよい。また、図12において、着目サンプル点Qの上方が基本物体10の外側、下側が基本物体10の内側であるとすると、着目サンプル点Qは、外側に凸となる曲面上の点であるから、曲率パラメータkの符号を正にすればよい。別言すれば、曲率パラメータkの符号は、図示のように、平均ベクトルVmが基本物体10の内側に向かう場合は正とし、逆に外側に向かう場合は負とすればよい。
平均ベクトルVmは、単位ベクトルVa,Vb,Vc,Vdの和ベクトルを、その総数4で除した(すなわち、大きさを1/4とした)ベクトルである。和ベクトルの代わりに平均ベクトルを用いるのは、着目辺の数が、個々のサンプル点について異なるような場合に、曲率パラメータkの値が着目辺の数に左右されるのを避けるためである。したがって、すべての着目サンプル点について、着目辺の総数が一定であれば、平均ベクトルではなく、和ベクトルを用いても、等価な結果が得られる。
図13は、図12に示す例よりも、曲がり具合のより大きな基本物体の一部について求められた平均ベクトルVmを示す斜視図である。図12に示す平均ベクトルVmと図13に示す平均ベクトルVmとを比較すると、前者よりも後者の方が大きくなることがわかる。これは、着目サンプル点Qに関する限り、図12に示す形状よりも、図13に示す形状の方が、曲がり具合が大きいためである。着目サンプル点Qが平面上の点である場合には、平均ベクトルVm=0になる。また、ベクトルVa,Vb,Vc,Vdは単位ベクトルであり、その大きさはいずれも1であるから、平均ベクトルVmの最大値は1である。よって、平均ベクトルVmの大きさ(ベクトルの長さ)を、そのまま曲率パラメータkの絶対値として用いるようにすれば、曲率パラメータkの値は、−1≦k≦1となる。
続くステップS6の移動距離演算段階では、各サンプル点について、圧力パラメータP、張力パラメータT、曲率パラメータkを用いて、移動距離dを、d=P−T×kなる演算によって求める処理が実行される。ここで述べる実施形態の場合、圧力パラメータPおよび張力パラメータTとして、0<T≦Pなる寸法値を設定しており、曲率パラメータkの値は、上述したとおり−1≦k≦1であるから、個々のサンプル点ごとに、それぞれ0≦d≦2Pなる範囲内の移動距離dが求められる。
ステップS7の新サンプル点定義段階では、各サンプル点を、法線方向に移動距離dだけ移動させ、移動後の位置に新サンプル点を定義する処理が実行される。たとえば、図14に示すように、ポリゴンの頂点としてサンプル点Q1〜Q5(黒丸で示す)が定義されていた場合、各サンプル点を、それぞれの法線方向にそれぞれの移動距離dだけ移動させることにより、新サンプル点QQ1〜QQ5(黒星で示す)が定義される。具体的には、各サンプル点Q1〜Q5の座標値と、法線方向および移動距離dを示す情報に基づく幾何学的な演算処理により、各新サンプル点QQ1〜QQ5の座標値を得ることができる。
最後に、ステップS8のシート状物体データ作成段階では、新サンプル点QQ1〜QQ5に基づいて、新たな三次元形状データ(基本物体10の表面11にシート状物体20を張り付けた状態を示す三次元形状データ)の作成が行われる。そのためには、図14に一点鎖線で示されている新たなポリゴンを認識し、これらポリゴンの集合からなる三次元形状データを作成すればよい。既にステップS7において、新サンプル点QQ1〜QQ5の座標値が得られているので、このステップS8で行う処理は、基本物体10の三次元形状データを参照して、新サンプル点相互の位置関係を認識し、これら新サンプル点を頂点とする新たなポリゴンの集合からなる三次元形状データを作成する処理ということになる。たとえば、基本物体10の三次元形状データを参照すれば、サンプル点Q1,Q5,Q4が互いに連結関係にあり、1つのポリゴンを構成する頂点になっていることが認識できるので、新サンプル点QQ1,QQ5,QQ4も互いに連結関係にあり、1つのポリゴンを構成する頂点になっている、との認識を行うことが可能である。
かくして、多数のポリゴンの集合体として、新たな三次元形状データの作成が行われる。こうして作成された三次元形状データは、もとの基本物体10の表面11を所定の条件下で膨らませることにより得られた表面を示すデータであるが、シート状物体20を張り付けた状態を示す三次元形状データとして利用することができる。
以上、ポリゴンとして、三角形を用いた実施例を説明したが、本発明は、必ずしも三角形を用いた例に限定されるものではなく、任意のポリゴンを用いて定義された曲面に広く適用可能である。要するに、図6の流れ図において、ステップS1の基本物体データ入力段階で基本物体10の三次元形状データを、ポリゴンの集合からなるデータとして入力し、ステップS3のサンプル点定義段階で、これらポリゴンの各頂点をサンプル点として定義し、ステップS4の法線演算段階で、演算対象となる着目サンプル点の位置に立てた法線を求める際に、着目サンプル点を1頂点とするポリゴンを着目ポリゴンとして、各着目ポリゴンに立てた単位法線ベクトルの和として求まる和ベクトルの方向を法線の方向とする処理を行い、ステップS5の曲率パラメータ演算段階で、演算対象となる着目サンプル点の位置における曲率パラメータを求める際に、着目サンプル点を1頂点とするポリゴンを着目ポリゴンとし、着目サンプル点を一端とする各着目ポリゴンの辺を着目辺として、着目サンプル点から各着目辺に沿って伸びる単位ベクトルの平均として求まる平均ベクトルの大きさに基づいて、曲率パラメータkの絶対値を決定し、平均ベクトルが基本物体の内側に向かう場合は正、外側に向かう場合は負となるように、曲率パラメータkの符号を決定し、ステップS8のシート状物体データ作成段階で、基本物体10の三次元形状データを参照して、新サンプル点相互の位置関係を認識し、これら新サンプル点を頂点とする新たなポリゴンの集合からなる三次元形状データを作成するようにすればよい。
<<< §4.固定点の設定 >>>
これまで述べてきた実施形態では、基本物体10の表面11を膨らませる程度は、専ら、表面11の曲がり具合に基づいて決定されていた。すなわち、ある部分の曲がり具合が大きければ大きいほど、その部分を膨らませる程度を小さくする(外側に凸の曲面の場合)もしくは大きくする(内側に凸の曲面の場合)ような処理が行われていた。しかしながら、実際の物品には、基本物体10の形状とは無関係に、膨らませる程度を制御すべき部分が存在することも少なくない。このような部分には、予め固定点を設定しておき、この固定点近傍に位置するサンプル点についての移動を制限する処理を行うことが可能である。
たとえば、図15は、基本物体10上に固定点15、固定線16、固定領域17を定義した状態を示す斜視図である。固定点15は、たとえば、シート状物体20が基本物体10に対して鋲などで留められた部分に相当する。このように、シート状物体20の1点を固定すると、この固定点周辺のシート状物体20の表面は、いわば臍のような形状をなすことになる。このような固定点15が設定されていた場合、その近傍に位置するサンプル点についての移動距離dは、所定の移動実効率E(0≦E≦1)を用いて、d=(P−T×k)×Eなる演算によって求めるようにする。たとえば、移動実効率E=0に設定すると、d=0となるので、固定点15の近傍に位置するサンプル点は、全く移動しないことになり、基本物体10の表面11上の位置に留まる。その結果、固定点15の周囲におけるシート状物体20の表面は、臍のような形状をなす。
図15に示す固定線16は、基本物体10の表面上に定義された線であり、多数の固定点を一次元に配置したものに相当する。このような固定線16は、たとえば、シート状物体20上に形成された縫い目を表現することができる。この固定線16の近傍に位置するサンプル点について、所定の移動実効率Eを用いてd=(P−T×k)×Eなる演算によって移動距離dを求めるようにすれば、固定線16に沿った部分のシート状物体20の表面は、縫い目のような形状をなす。
図15に示す固定領域17は、基本物体10の表面上に定義された面であり、多数の固定点を二次元に配置したものに相当する。このような固定領域17は、たとえば、シート状物体20の一部に接着剤を塗布して基本物体10の表面に固着した部分を表現することができる。この固定領域17の内部および近傍に位置するサンプル点について、所定の移動実効率Eを用いてd=(P−T×k)×Eなる演算によって移動距離dを求めるようにすれば、固定領域17の部分のシート状物体20の表面には、窪み部が形成されることになる。
このように、固定点は、幾何学上の1点として設定することもできるが、基本物体の表面上に固定線を定義することにより当該固定線上の点として固定点の設定を行うことも可能である。また、基本物体の表面上に固定領域を定義することにより当該固定領域内の点として固定点の設定を行うことも可能である。
こうして設定した固定点の近傍に位置するサンプル点については、移動距離dを求める式として、d=(P−T×k)なる式の代わりに、所定の移動実効率E(0≦E≦1)を用いて、d=(P−T×k)×Eなる式を用いるようにすればよい。あるサンプル点が固定点の「近傍」か否かは、当該サンプル点の最近接固定点との距離rに基づいて決定すればよい。すなわち、この距離rが、所定のしきい値rt未満であった場合には、当該サンプル点についての移動距離dの計算には、d=(P−T×k)×Eなる式を用い、所定のしきい値rt以上であった場合には、当該サンプル点についての移動距離dの計算には、d=(P−T×k)なる式を用いればよい。
たとえば、図16(a) に示すように、固定点Fが設定されている場合、サンプル点Qと固定点Fとの距離rは、両点の幾何学的な距離として与えられる。一方、図16(b) に示すように、固定線Lが設定されている場合、サンプル点Qと固定線Lとの距離rは、サンプル点Qから固定線Lに下ろした垂線の長さとして与えられる(垂線の足の位置が最近接固定点ということになる)。また、図16(c) に示すように、固定領域Sが設定されている場合、サンプル点Qと固定領域Sとの距離rは、サンプル点Qと「固定領域S内の点の中で、サンプル点Qに最も近接した点」との距離として与えられる。
もっとも、実用上は、距離rとしきい値rtとの大小関係に基づいて、d=(P−T×k)なる式か、d=(P−T×k)×Eなる式かの二者択一を行う代わりに、距離rの増加とともに単調増加する移動実効率関数E(r)を用い(但し、Emin ≦E(r)≦1)、サンプル点とその最近接固定点との距離rに基づいて、当該サンプル点についての移動距離dを、d=(P−T×k)×E(r)なる演算によって求めるようにするのが好ましい。
図17は、距離rの増加とともに単調増加する移動実効関数E(r)の一例を示すグラフである。図示の例の場合、関数E(r)の値は、r=0において最小値Emin をとり、r>rtまでの範囲ではrの増加とともに単調増加し、r≧rt以降は最大値1になる。このような関数E(r)を用いて、すべてのサンプル点についての移動距離dを、d=(P−T×k)×E(r)なる式で求めるようにすれば、r≧rtの場合は、E(r)=1になるので、これまでの例と同様に、d=(P−T×k)なる式を適用したときと全く同様の結果が得られる。一方、0≦r<rtの場合は、rが小さいほど(すなわち、固定点に近いほど)、移動距離dは本来の値よりも小さく制限される。なお、図17に示す例では、最小値Emin を0<Emin <1の任意の値に設定しているが、Emin =0に設定してもかまわない。
<<< §5.パラメトリック曲面を用いた実施例 >>>
ここでは、§2で述べた基本手順を、パラメトリック曲面を用いた三次元形状データに適用した具体例を述べる。三次元CGの技術分野では、任意の三次元形状をパラメトリック曲面の集合体として表現する手法も広く利用されている。本発明は、基本物体10の三次元形状データが、パラメトリック曲面の集合体として与えられた場合にも適用可能である。ただ、その具体的な手法は、§3で述べたポリゴンを用いた実施例とは若干異なる。そこで、以下、その具体的な手法の要点を説明する。
一般に、パラメトリック表現とは、媒介変数を用いた方程式で、曲線や曲面を表現することを指し、パラメトリック曲面は、媒介変数を用いた方程式で表現される曲面ということになる。三次元CGの技術分野で最も一般的に利用されているパラメトリック曲面は、Bezier曲面やNurbs曲面である。三次元形状は、このようなパラメトリック曲面の集合体として表現することができる。本発明で取り扱う基本物体10の三次元形状データが、パラメトリック曲面の集合体として表現されていた場合、このパラメトリック曲面上に多数のサンプル点を定義し、これを所定の移動距離dだけ移動させ、移動後の新サンプル点に基づいて、新たなパラメトリック曲面を作成する処理を行うことになる。ここでは、このようなパラメトリック曲「面」についての具体的手法の説明を行う前に、パラメトリック曲「線」の基本的な性質を簡単に述べておく。
図18は、Bezier曲線Hの一般的な定義方法を示す図である。図示のとおり、Bezier曲線Hは、左端点P0〜右端点P3までを結ぶ任意形状の曲線であり、この曲線上の任意の点Ptは、変数tを用いて表すことができる。すなわち、左端点P0の位置を変数t=0とし、右端点P3の位置を変数t=1とすれば、Bezier曲線H上の任意の点Ptは、0≦t≦1の範囲内の変数tで示すことができる。
このBezier曲線Hは、所定の方程式と制御点の座標値とによって一義的に定義される。Bezier曲線は、その方程式に含まれる変数tの次数に応じて、3次Bezier曲線、4次Bezier曲線、5次Bezier曲線、.....と様々な曲線の定義が可能であるが、一般にn次Bezier曲線を定義するためには、(n+1)個の制御点が必要になる。図18には、最も一般的に利用されている3次Bezier曲線の例が示されており、この場合、4個の制御点を用いた定義が行われる。
3次Bezier曲線の場合、4個の制御点のうちの2個は、Bezier曲線の両端点であり、残りの2個は、Bezier曲線外の点になる。図18に示すBezier曲線Hの場合、その両端点P0,P3と、曲線外の2点P1,P2が制御点となる。図では、この4個の制御点の位置を×印で示し、そのxy座標値とともに、P0(x0,y0),P1(x1,y1),P2(x2,y2),P3(x3,y3)なる符号で示してある。制御点P0,P3は、Bezier曲線Hの両端点を規定する役割を果たし、制御点P1,P2は、この両端点間の曲線の形状を規定する役割を果たす。
ここで、このBezier曲線H上の任意の点Ptを、その座標値とともに、Pt(xt,yt)と示すことにすれば、点Ptの座標値xt,ytは、図示のような2本の式によって定義される。すなわち、
<<<式(1)>>>
xt=x0B0(t)+x1B1(t)+x2B2(t)+x3B3(t)
<<<式(2)>>>
yt=y0B0(t)+y1B1(t)+y2B2(t)+y3B3(t)
ここで、x0,y0,x1,y1,x2,y2,x3,y3は、上述したとおり、4個の制御点P0,P1,P2,P3の座標値である。また、B0(t),B1(t),B2(t),B3(t)は、3次Bezier曲線の係数であり、変数tについての関数になる。具体的には、図18にも示されているように、次のとおりになる。
<<<式(3)>>>
0≦t≦1
<<<式(4)>>>
B0(t)=(1−t)
<<<式(5)>>>
B1(t)=3t(1−t)
<<<式(6)>>>
B2(t)=3t(1−t)
<<<式(7)>>>
B3(t)=t
<<<式(8)>>>
B0(t)+B1(t)+B2(t)+B3(t)=1
結局、上記式(1),(2)は、0≦t≦1なる範囲内の媒介変数tを用いた式ということになる。たとえば、t=0を代入すると、xt=x0,yt=y0となるので、Pt(xt,yt)=P0(x0,y0)に一致し、t=1を代入すると、xt=x3,yt=y3となるので、Pt(xt,yt)=P3(x3,y3)に一致する。tが0<t<1の場合、Pt(xt,yt)は、図示されている曲線H上のいずれかの点ということになり、tが0から1へ増加すると、点Ptの位置は図の左から右へと移動する関係にある。
図19は、このようなBezier曲線H上に4つのサンプル点Q0〜Q3を定義した状態を示す平面図である。図示のとおり、サンプル点Q0,Q3は、Bezier曲線Hの両端点に位置し、制御点P0,P3と同一の点ということになる。サンプル点Q1,Q2は、その中間に定義された点である。なお、図示されている点P1,P2は、残りの2個の制御点である。
サンプル点Q0〜Q3は、媒介変数tの値を決めることにより一義的に定義できる。ここでは、一例として、t=0,0.4,0.7,1の4つの値を決めることにより、4つのサンプル点Q0,Q1,Q2,Q3を定義したものとしよう。もっとも、左端のサンプル点Q0はt=0、右端のサンプル点Q3はt=1の点として定義されるが、中間のサンプル点Q1,Q2についてのtの値は、必ずしも0.4,0.7にする必要はない。ただ、サンプル点は、できるだけ均一に分布するように定義するのが好ましいので、tの値は、0〜1の範囲内でできるだけ均一に分布する離散値を定義するのがよい。
図20は、図19に示すサンプル点Q0〜Q3を移動して、新サンプル点QQ0〜QQ3を求めた状態を示す平面図である。新サンプル点QQ0〜QQ3を求めるには、まず、サンプル点Q0〜Q3の位置において、Bezier曲線Hに対する法線n0〜n3を求める。次に、各サンプル点Q0〜Q3の位置について、Bezier曲線Hの曲がり具合を示す曲率パラメータkを計算し、§2で述べたように、圧力パラメータPおよび張力パラメータT、ならびに曲率パラメータkを用いて、移動距離dを、d=P−T×kなる演算によって算出する。
図20に示す例は、各サンプル点Q0〜Q3について、それぞれd0〜d3なる移動距離が算出された場合を示しており、各法線n0〜n3に沿って、各サンプル点Q0〜Q3(黒丸)をそれぞれ移動距離d0〜d3だけ移動することにより、新サンプル点QQ0〜QQ3(黒星)が得られている。前述したとおり、各サンプル点Q0〜Q3の座標値は、式(1),(2)に、媒介変数tの値(具体的には、t=0,0.4,0.7,1)を代入することによって計算することができる。したがって、新サンプル点QQ0〜QQ3の座標値も、幾何学的な演算によって求めることができる。ここでは、新サンプル点QQ0〜QQ3を、その座標値とともに、QQ0(α0,β0),QQ1(α1,β1),QQ2(α2,β2),QQ3(α3,β3)と記述することにする。
こうして、4つの新サンプル点QQ0〜QQ3の位置が求まったら、これらに基づいて、新たなBezier曲線の定義を行う。図21は、図20に示す新サンプル点QQ0〜QQ3に基づいて、新たなBezier曲線HHを定義した状態を示す平面図である。新たなBezier曲線HHは、次のような方法で定義することができる。
まず、新サンプル点QQ0〜QQ3には、移動前のサンプル点Q0〜Q3に与えられていた媒介変数tの離散値をそのまま付与する。すなわち、上述の例の場合、QQ0にはt=0、QQ1にはt=0.4、QQ2にはt=0.7、QQ3にはt=1が付与される。また、新サンプル点QQ0〜QQ3は、その座標値(α0,β0),(α1,β1),(α2,β2),(α3,β3)が求まっているので、新たなBezier曲線HHを規定する4個の制御点PP0,PP1,PP2,PP3の座標値を、それぞれ(a0,b0),(a1,b1),(a2,b2),(a3,b3)とすれば、式(1),(2)に基づいて、これらの座標値を算出することができる。
たとえば、新サンプル点QQ1(α1,β1)に関して式(1),(2)を適用すると、xt=α1、yt=β1であるから、
α1=a0B0(t)+a1B1(t)+a2B2(t)+a3B3(t)
β1=b0B0(t)+b1B1(t)+b2B2(t)+b3B3(t)
なる式が成り立つ。ここで、t=0.4である。このような式が、4個の新サンプル点QQ0〜QQ3のすべてについて成り立つので、これらを連立させて解くことにより、4個の制御点PP0(a0,b0),PP1(a1,b1),PP2(a2,b2),PP3(a3,b3)を求めることができる。これらの4個の制御点PP0,PP1,PP2,PP3を定めることは、新たなBezier曲線HHを定めることと等価である。
なお、ここで述べる実施例では、制御点PP0(a0,b0)は、新サンプル点QQ0(α0,β0)に一致し、制御点PP3(a3,b3)は、新サンプル点QQ3(α3,β3)に一致するので、a0=α0、b0=β0、a3=α3、b3=β3であり、これらの座標値についての実質的な演算は不要である。
かくして、もとのBezier曲線H上に定義した4個のサンプル点Q0〜Q3を、それぞれ法線n0〜n3の方向に距離d0〜d3だけ移動させた位置に新サンプル点QQ0〜QQ3を求め、これら新サンプル点QQ0〜QQ3に基づいて、新たなBezier曲線HH(を定義するための4個の制御点PP0,PP1,PP2,PP3)が求められたことになる。
これまで、1つのBezier曲線Hについて、新Bezier曲線HHを求める処理を説明したが、複数のBezier曲線を連結して構成される任意曲線についても、全く同様の手法を適用することにより、複数の新Bezier曲線を連結して構成される新たな曲線を求めることができる。
たとえば、図23に示すように、第1のBezier曲線H10と第2のBezier曲線H20とを連結してなる任意曲線を考える。この場合、第1のBezier曲線H10上に4個のサンプル点(黒丸)が定義され、第2のBezier曲線H20上にも4個のサンプル点(黒丸)が定義されるが、両Bezier曲線H10,H20は連結した曲線であるため、第1のBezier曲線H10の右端のサンプル点は、第2のBezier曲線H20の左端のサンプル点に一致する。図示のとおり、第1のBezier曲線H10は、区間h11,h12,h13から構成され、第2のBezier曲線H20は、区間h21,h22,h23から構成されている。
ここで、各サンプル点(黒丸)を移動させ、新サンプル点(黒星)を定義すれば、これら新サンプル点を連結する曲線として、新たな曲線を定義することができる。図示の例の場合、区間hh11,hh12,hh13から構成される第1の新Bezier曲線HH10と、区間hh21,hh22,hh23から構成される第2の新Bezier曲線HH20とが定義される。第1の新Bezier曲線HH10の右端点と第2の新Bezier曲線HH20の左端点とは一致するため、両Bezier曲線は連結した1本の曲線になる。
以上、Bezier曲線についての取り扱いを述べたが、これを二次元に拡張すれば、Bezier曲面について同様の取り扱いが可能である。図24は、Bezier曲面Wの一般的な定義方法を示す図である。Bezier曲線の場合は、1つの媒介変数t(0≦t≦1)をパラメータとして用いることにより、曲線上の任意の点Ptを定義することができた。これに対して、Bezier曲面の場合は、2つの媒介変数u(0≦u≦1)およびv(0≦v≦1)をパラメータとして用いることにより、曲面上の任意の点Puvを定義することができる。すなわち、0〜1の範囲内の特定の値u,vを決めることにより、このBezier曲面W上の任意の1点Puv(x(u,v),y(u,v),z(u,v))を示すことができる。ここで、x(u,v),y(u,v),z(u,v)は、1点Puvのxyz座標値である。
このようなBezier曲面Wを定義するために、図24に示すように、Bezier曲面Wの4隅に、制御点P00,P30,P03,P33が定義される。ここで、制御点P00は媒介変数u=0,v=0の点であり、制御点P30は媒介変数u=1,v=0の点であり、制御点P03は媒介変数u=0,v=1の点であり、制御点P33は媒介変数u=1,v=1の点である。そして、制御点P00とP30とを連結する曲線上の点は、いずれも媒介変数v=0の点であり、左端から右端に向かって、媒介変数uが0から1へと増加してゆく。同様に、制御点P03とP33とを連結する曲線上の点は、いずれも媒介変数v=1の点であり、左端から右端に向かって、媒介変数uが0から1へと増加してゆく。一方、制御点P00とP03とを連結する曲線上の点は、いずれも媒介変数u=0の点であり、手前端から向こう端に向かって、媒介変数vが0から1へと増加してゆく。同様に、制御点P30とP33とを連結する曲線上の点は、いずれも媒介変数u=1の点であり、手前端から向こう端に向かって、媒介変数vが0から1へと増加してゆく。
上記4個の制御点P00,P30,P03,P33は、Bezier曲面Wの4隅に位置する制御点であるが、この他に、Bezier曲面Wの外部に12個の制御点が定義され、合計16個の制御点によって、1つのBezier曲面Wが規定されることになる。ここでは、図24に示すように、これら16個の制御点を、その座標値とともに、P00(x(0,0),y(0,0),z(0,0))〜P33(x(3,3),y(3,3),z(3,3))と表すことにする。たとえば、x(0,0)は第1の制御点P00のx座標値、y(0,0)はy座標値、z(0,0)はz座標値である。
このように、16個の制御点の座標値を定めることにより、1つのBezier曲面Wが規定される。そして、当該曲面上の任意の点Puvのxyz座標値を、それぞれx(u,v)、y(u,v)、z(u,v)と表せば、これら各座標値は、図25に示す式(9)〜式(11)で与えられる。これらの式において、x(0,0)、x(0,1)などは、上述したように、各制御点の座標値である。また、B0(u)、B0(v)などは、媒介変数uやvを引数とする所定の関数である(これら各関数の内容は、Bezier曲面を定義する関数として公知であるため、ここではその詳細説明は省略する)。
さて、続いて、基本物体10の三次元形状データが、図24に示すようなBezier曲面Wの集合体として与えられた場合に本発明を適用する手順を説明しよう。図24には、1つのBezier曲面Wしか示されていないが、実際には、多数のBezier曲面の連続体として、基本物体10の表面11が構成されることになる。隣接するBezier曲面は、その輪郭線が共通になるように設定されるため、全体として、連続した任意曲面が形成される。前述したとおり、Bezier曲面は、図24に示す各制御点の座標値および図25に示す方程式を用いて表現された曲面であり、基本物体10は、そのような情報の集合体として与えられることになる。以下、1つのBezier曲面Wについての膨らませ処理の手順を説明する。
まず、Bezier曲面W上の所定点をサンプル点として定義する。そのためには、Bezier曲面Wの媒介変数u,vを特定の離散値に設定することにより、当該特定の離散値で示される点をサンプル点として定義すればよい。ここでは、uに関して、0,0.4,0.7,1という4種類の離散値を設定し、vに関しても同様に、0,0.4,0.7,1という4種類の離散値を設定した例を述べる。この場合、uとvとの組み合わせによって、合計16個のサンプル点が定義される。これら16個のサンプル点は、いずれもBezier曲面W上の点である。
図26は、図24に示すBezier曲面W上に16個のサンプル点(黒丸)を定義した状態を示す斜視図である。Bezier曲面W上に示す曲線は、媒介変数u,vの値を示す指標線であり、Bezier曲面W上で、u=0,0.4,0.7,1の値をとる点、v=0,0.4,0.7,1の値をとる点の位置が示されている。前述したとおり、Bezier曲面Wの4隅の点は、「u=0,v=0」の点、「u=1,v=0」の点、「u=0,v=1」の点、「u=1,v=1」の点であり、これら4点は、制御点P00,P30,P03,P33に一致する。
もちろん、媒介変数u,vの離散値は、必ずしも0,0.4,0.7,1にする必要はない。実用上は、4通りの離散値のうち、最初の離散値を0、最後の離散値を1に設定するのが好ましいが、中間の離散値は、必ずしも0.4および0.7に設定する必要はない。要するに、ここで述べる実施例の場合、基本物体10の三次元形状データを、2つの媒介変数u,v(0≦u≦1、0≦v≦1)と16個の制御点の座標値とを用いて表現されるBezier曲面の集合からなるデータとして用意し、媒介変数uを、0,u′,u″,1の4通りの離散値に設定し(但し、0<u′<u″<1)、媒介変数vを、0,v′,v″,1の4通りの離散値に設定し(但し、0<v′<v″<1)、1つのBezier曲面について、これら離散値の組み合わせによって示される合計16通りのサンプル点を定義することができればよい。ただ、サンプル点は、Bezier曲面W上にできるだけ均一に分布するように定義するのが好ましいので、u,vの離散値は、0〜1の範囲内でできるだけ均一に分布する値とするのが好ましい。
図27は、図26に示す16個のサンプル点(黒丸)を移動して、新サンプル点(黒星)を求めた状態を示す斜視図である。新サンプル点を求めるには、まず、サンプル点の位置において、Bezier曲面Wに対する法線を求める。一般に、Bezier曲面等のパラメトリック曲面上の1点についての法線は、当該パラメトリック曲面を示す方程式、制御点の座標値、サンプル点を示す媒介変数の離散値に基づいて演算によって求めることができる(具体的な手法は、たとえば、「CAD・CG技術者のためのNURBS早わかり」三浦曜監修、中嶋孝行・大野敏則著 ISBN 4-7693-5124-0 などの書籍にも記載されているように公知技術である)。
次に、各サンプル点の位置について、Bezier曲面Wの曲がり具合を示す曲率パラメータkを計算する。パラメトリック曲面上の1点についての曲率も、当該パラメトリック曲面を示す方程式、制御点の座標値、サンプル点を示す媒介変数の離散値に基づいて演算によって求めることができる(具体的な手法は、やはり前掲書籍にも記載されているように公知技術である)。したがって、この公知手法で求めた曲率値を、0〜1の範囲になるように規格化した値を曲率パラメータkの絶対値として用いればよい。曲率パラメータkの符号は、ポリゴンの実施例と同様に、外側に凸となる曲面上の点の場合は正、内側に凸となる曲面上の点の場合は負と定義すればよい。曲率パラメータkが求まれば、§2で述べたように、圧力パラメータPおよび張力パラメータT、ならびに曲率パラメータkを用いて、移動距離dを、d=P−T×kなる演算によって算出することができる。
図27に示す例は、16個のサンプル点(黒丸)を、こうして求められた各移動距離だけ法線に沿って移動することにより、新サンプル点(黒星)を求めた例である。前述したとおり、各サンプル点の座標値は、図25に示す式(9)〜(11)に、媒介変数u,vの値(具体的には、0,0.4,0.7,1のいずれか)を代入することによって計算することができる。したがって、新サンプル点の座標値も、幾何学的な演算によって求めることができる。なお、§4で述べた固定点の設定を行う場合には、所定の移動実効率E(0≦E≦1)を用いて、d=(P−T×k)×Eなる演算によって移動距離dを演算すればよい。移動実効率Eとしては、図17に示すような移動実効率関数E(r)を用いることができる。
こうして、16個の新サンプル点(黒星)の位置が求まったら、これらに基づいて、図27に示すような新たなBezier曲面WWの定義を行う。新たなBezier曲面WWは、次のような方法で定義することができる。
まず、各新サンプル点には、移動前のサンプル点に与えられていた媒介変数u,vの離散値(図26に示されている離散値)をそのまま付与する。これら新サンプル点は、その座標値が求まっているので、これら座標値と上記離散値とに基づいて、新たなBezier曲面WWを規定する16個の制御点PP00〜PP33の座標値を算出することができる。
たとえば、x座標値に関しては、図25に示す式(9)に、(u,v)についての16通りの組み合わせを代入することにより、x(0,0)〜x(3,3)の16個の未知数(すなわち、新たなBezier曲面WWを規定する16個の制御点PP00〜PP33のx座標値)を含む連立方程式を16本作成することができる。ここで、各連立方程式の左辺x(u,v)は、新サンプル点のx座標値である。この16本の連立方程式を解くことにより、未知数x(0,0)〜x(3,3)を求めることができる。同様に、式(10)を用いて未知数y(0,0)〜y(3,3)を求め、式(11)を用いて未知数z(0,0)〜z(3,3)を求めることができる。
こうして、16個の制御点PP00〜PP33の位置を定めることは、新たなBezier曲面WWを定めることと等価である。なお、ここで述べる実施例では、4隅の制御点PP00,PP30,PP03,PP33は、4個の新サンプル点に一致するので、これら4個の制御点の座標値についての実質的な演算は不要である。
かくして、もとのBezier曲面W上に定義した16個のサンプル点を、それぞれ法線方向に所定距離だけ移動させた位置に新サンプル点を求め、これら新サンプル点に基づいて、新たなBezier曲面WW(を定義するための16個の制御点PP00〜PP33)が求められたことになる。
このように、パラメトリック曲面を示す方程式、新サンプル点の座標値、新サンプル点についての移動前のサンプル点の媒介変数の離散値に基づいて、新パラメトリック曲面の制御点の座標値を演算し、新パラメトリック曲面を示す方程式およびその制御点の座標値を用いて表現される新パラメトリック曲面の集合からなる三次元形状データを作成することができる。
なお、図27では、1つのBezier曲面Wについて、新Bezier曲面WWを求める処理を説明したが、複数のBezier曲面を連結して構成される任意曲面についても、全く同様の手法を適用することにより、複数の新Bezier曲面を連結して構成される新たな曲線を求めることができる。
ここで述べる例の場合、図26に示すように、媒介変数u,vの最初の離散値を0、最後の離散値を1に設定し、全16個のサンプル点のうち、12個のサンプル点がBezier曲面Wの輪郭線上にくるようにしている。そのため、複数のBezier曲面の連続体からなる任意曲面に本発明を適用しても、生成される複数の新Bezier曲面は、その輪郭線上でサンプル点を共有するため、相互に連結したものとなる。したがって、実用上は、媒介変数u,vの最初の離散値を0、最後の離散値を1に設定するのが好ましい。
媒介変数u,vを、たとえば、0.1,0.3,0.6,0.9のような4つの離散値に設定した場合、1つのBezier曲面のサンプル点と隣接する別なBezier曲面のサンプル点とに共有点が存在しなくなるため、生成される複数の新Bezier曲面は、その輪郭線上で不連続になる。しかしながら、このような不連続を解消するような処理(たとえば、不連続部分を滑らかに連結するような曲面に置き換える処理)を行うようにすれば、離散値を上例のように設定しても、本発明は実施可能である。
かくして、Bezier曲面の集合体として、新たな三次元形状データの作成が行われる。こうして作成された三次元形状データは、もとの基本物体10の表面11を所定の条件下で膨らませることにより得られた表面を示すデータであるが、シート状物体20を張り付けた状態を示す三次元形状データとして利用することができる。
以上、パラメトリック曲面として、Bezier曲面を用いた例を説明したが、本発明は、必ずしもBezier曲面を用いた例に限定されるものではなく、制御点を用いたパラメトリック曲面に広く適用可能である。要するに、図6の流れ図において、ステップS1の基本物体データ入力段階で、基本物体10の三次元形状データを、パラメトリック曲面を示す方程式および制御点の座標値を用いて表現されるパラメトリック曲面の集合からなるデータとして入力し、ステップS3のサンプル点定義段階で、パラメトリック曲面の媒介変数を特定の離散値に設定することにより、当該特定の離散値で示される点をサンプル点として定義し、ステップS4の法線演算段階で、パラメトリック曲面を示す方程式、制御点の座標値、サンプル点を示す媒介変数の離散値に基づいて、当該サンプル点の位置に立てた法線を演算し、ステップS5の曲率パラメータ演算段階で、パラメトリック曲面を示す方程式、制御点の座標値、サンプル点を示す媒介変数の離散値に基づいて、当該サンプル点の位置における曲率パラメータを演算し、ステップS8のシート状物体データ作成段階で、パラメトリック曲面を示す方程式、新サンプル点の座標値、新サンプル点についての移動前のサンプル点の媒介変数の離散値に基づいて、新パラメトリック曲面の制御点の座標値を演算し、新パラメトリック曲面を示す方程式およびその制御点の座標値を用いて表現される新パラメトリック曲面の集合からなる三次元形状データを作成するようにすればよい。
<<< §6.本発明に係る装置の構成 >>>
最後に、図28のブロック図を参照して、本発明に係る三次元形状データの作成装置の基本構成を説明する。この図28に示す装置は、図6の流れ図のステップS1〜S8を実行するための装置であり、三次元の基本物体の表面にシート状物体を張り付けた状態を示す三次元形状データを作成する装置である。実際には、この装置は、コンピュータに専用のプログラムを組み込むことによって実現される。なお、この装置は、§4で述べた固定点の設定機能を有している。
基本物体データ格納部110は、外部から入力された基本物体データを格納する構成要素であり、この基本物体データ格納部110に対して、図6の流れ図のステップS1が実行される。ここに格納される基本物体データは、基本物体10の表面形状を示すデータであれば、どのような形式のデータであってもかまわない。具体的には、§3で述べたようなポリゴンの集合体からなるデータや、§5で述べたようなパラメトリック曲面の集合体からなるデータを用いることができる。
サンプル点定義部120は、基本物体データ格納部110内に格納された基本物体データに基づいて、基本物体10の表面に多数のサンプル点を定義する構成要素であり、図6の流れ図におけるステップS3の処理を実行する機能を有している。具体的なサンプル点の定義処理については、既に、§3や§5で述べたとおりである。
曲率パラメータ演算部130は、サンプル点定義部120によって定義された各サンプル点の位置における基本物体10の表面の曲がり具合の程度を示す曲率パラメータkを演算によって求める構成要素であり、図6の流れ図におけるステップS5の処理を実行する機能を有している。曲率パラメータkの演算は、基本物体データ格納部110内に格納された基本物体データに対して実行されることになるが、その具体的な演算方法については、既に、§3や§5で述べたとおりである。
パラメータ設定部140は、外部からの設定操作に基づいて、圧力パラメータPと張力パラメータTとを設定する構成要素であり、図6の流れ図におけるステップS2の処理を実行する機能を有している。既に述べたとおり、圧力パラメータPは、基本物体10の表面を外側に向けて膨らませる度合いを示すパラメータであり、張力パラメータTは、シート状物体20の表面張力の強さを示すパラメータである。ユーザは、これらのパラメータを任意の値に設定することにより、最終的に得られるシート状物体データによって表現される物体外形の形状を調整することができる。
移動距離演算部150は、サンプル点定義部120によって定義された各サンプル点について、パラメータ設定部140で設定された圧力パラメータPおよび張力パラメータT、ならびに当該サンプル点について、曲率パラメータ演算部130によって求められた曲率パラメータkを用いて、移動距離dを、d=(P−T×k)・E(r)なる演算によって求める構成要素であり、図6の流れ図におけるステップS6の処理を実行する機能を有している。ここで、E(r)は、§4で述べた移動実効率関数であり、たとえば、図17のように、距離rの増加とともに単調増加する関数E(r)になる。移動距離演算部150内には、このような関数E(r)を示すデータが格納されており、基本物体データ格納部110に格納されている基本物体データを参照することにより、サンプル点と、その最近接固定点との距離rを求め、関数E(r)の値を算出することができる。
法線演算部160は、サンプル点定義部120によって定義された各サンプル点の位置に、基本物体10の表面に立てた法線を演算によって求める構成要素であり、図6の流れ図におけるステップS4の処理を実行する機能を有している。法線を求める具体的な処理方法については、既に、§3や§5で述べたとおりである。
新サンプル点定義部170は、サンプル点定義部120によって定義された各サンプル点を、法線演算部160によって求められた法線方向に、移動距離演算部150によって求められた移動距離dだけ移動させ、移動後の位置に新サンプル点を定義する構成要素であり、図6の流れ図におけるステップS7の処理を実行する機能を有している。新サンプル点を求める具体的な処理方法については、既に、§3や§5で述べたとおりである。
シート状物体データ作成部180は、新サンプル点定義部170で定義された新サンプル点に基づいて、基本物体10の表面にシート状物体20を張り付けた状態を示す三次元形状データを作成する構成要素であり、図6の流れ図におけるステップS8の処理を実行する機能を有している。その具体的な処理方法については、既に、§3や§5で述べたとおりである。ここで作成されたシート状物体データは、外部へと出力される。このシート状物体データは、基本物体データ格納部110に格納されているデータで表現される基本物体10の表面に、シート状物体20を張り付けた状態を示す三次元形状データとして用いられるCG用データであるが、実際には、基本物体10の表面を膨らませる処理を行うことにより得られたデータということになる。
固定点設定部190は、§4で述べた固定点を設定するための構成要素である。この固定点は、実際には、図15に示す例のように、文字通りの点として固定点15のような設定を行うこともできるし、基本物体10の表面上に固定線16を定義することにより当該固定線16上の点として設定することもできるし、基本物体10の表面上に固定領域17を定義することにより当該固定領域17内の点として設定することもできる。実用上は、基本物体データ格納部110に格納されているデータに基づいて、図15に示すように、ディスプレイ画面上に、基本物体10の形状を表示させ、この表示画面上における操作入力により、固定点15、固定線16、固定領域17などを設定できるようなインターフェイスを用意しておくのが好ましい。こうして設定された固定点に関する情報は、基本物体データ格納部110に格納されている基本物体データに付加される。移動距離演算部150は、前述したとおり、この固定点に関する情報を含んだ基本物体データに基づいて、各サンプル点について、その最近接固定点との距離rを求め、関数E(r)の値を算出する。
本発明に係る装置による作成処理の材料となる基本物体10およびシート状物体20の一例を示す斜視図である。 基本物体10の表面にシート状物体20を密着させて張り付けた状態を示す正断面図である。 基本物体10を包み込むようにシート状物体20を張り付けた状態を示す正断面図である。 図3に示す状態における基本物体10の表面11の位置とシート状物体20の表面21の位置との関係を示す正面図である。 基本物体10の表面11を外側に向けて膨らませることにより、シート状物体20の表面21を形成する原理を示す正面図である。 本発明に係る三次元形状データの作成方法の基本手順を示す流れ図である。 基本物体10の表面11上に定義されたサンプル点Q1〜Q5を法線方向に移動させることにより膨らんだ表面12を求める原理を示す正断面図である。 ポリゴンの集合からなる基本物体の一部を示す上面図である。 図8に示す基本物体の一部を構成する各ポリゴンに単位法線ベクトルN1〜N4を定義した状態を示す斜視図である。 図9に示す単位法線ベクトルN1〜N4の和ベクトルΣNを着目サンプル点Q上に求めた状態を示す斜視図である。 図8に示す基本物体の一部を構成する各ポリゴンの辺に、単位ベクトルVa〜Vdを定義した状態を示す上面図である。 図11に示す単位ベクトルVa〜Vdの平均ベクトルVmを着目サンプル点Q上に求めた状態を示す斜視図である。 より曲がり具合の大きな基本物体の一部について求められた平均ベクトルVmを示す斜視図である。 各ポリゴンの頂点となるサンプル点Q1〜Q5を移動して、新サンプル点QQ1〜QQ5を頂点とする新たなポリゴンを求めた状態を示す斜視図である。 基本物体10上に固定点15、固定線16、固定領域17を定義した状態を示す斜視図である。 サンプル点Qと固定点F、固定線L、固定領域Sとの位置関係を示す平面図である。 距離rの増加とともに単調増加する移動実効関数E(r)の一例を示すグラフである。 Bezier曲線Hの一般的な定義方法を示す図である。 Bezier曲線H上に4つのサンプル点Q0〜Q3を定義した状態を示す平面図である。 図19に示すサンプル点Q0〜Q3を移動して、新サンプル点QQ0〜QQ3を求めた状態を示す平面図である。 図20に示す新サンプル点QQ0〜QQ3に基づいて、新たなBezier曲線HHを定義した状態を示す平面図である。 図21に示すBezier曲線HHを定義するための制御点PP0〜PP3を示す平面図である。 複数のBezier曲線で表現される任意曲線を移動して新たな曲線を求めた状態を示す平面図である。 Bezier曲面Wの一般的な定義方法を示す図である。 図24に示すBezier曲面W上の任意の点Puvの座標値を求める式を示す図である。 図24に示すBezier曲面W上に16個のサンプル点を定義した状態を示す斜視図である。 図26に示す16個のサンプル点を移動させることにより、新たなBezier曲面WWを定義した状態を示す斜視図である。 本発明に係る三次元形状データの作成装置の基本構成を示すブロック図である。
符号の説明
10:基本物体
11:基本物体の表面
12:膨らんだ基本物体の表面
15:固定点
16:固定線
17:固定領域
20:シート状物体
21:シート状物体の表面
110:基本物体データ格納部
120:サンプル点定義部
130:曲率パラメータ演算部
140:パラメータ設定部
150:移動距離演算部
160:法線演算部
170:新サンプル点定義部
180:シート状物体データ作成部
190:固定点設定部
A〜D:ポリゴンの頂点
a〜d:ポリゴンの辺
a0,a1,a2,a3:x座標値
B0(t)〜B3(t):方程式の係数
B0(u)〜B3(u):方程式の係数
B0(v)〜B3(v):方程式の係数
b0,b1,b2,b3:y座標値
d0〜d5:移動距離
E(r):移動実行率関数
F:固定点
G1〜G4:ポリゴン(三角形)
H,H10,H20,HH,HH10,HH20:Bezier曲線
h11,h12,h13,h21,h22,h23:Bezier曲線の各区間
hh11,hh12,hh13,hh21,hh22,hh23:Bezier曲線の各区間
k:曲率パラメータ
L:固定線
N1〜N4:単位法線ベクトル
ΣN:和ベクトル
n0〜n5:法線
P:圧力パラメータ
P0〜P3:Bezier曲線の制御点
P00〜P33:Bezier曲面の制御点
PP0〜PP3:Bezier曲線の制御点
Puv:Bezier曲面上の任意の点
Q:着目サンプル点
Q0〜Q5:サンプル点
QQ0〜QQ5:新サンプル点
r:サンプル点Qと最近接固定点との距離
rt:距離のしきい値
S:固定領域
S1〜S8:流れ図の各ステップ
T:張力パラメータ
t:Bezier曲線の媒介変数
u,v:Bezier曲面の媒介変数
Va〜Vd:単位ベクトル
Vm:平均ベクトル
W,WW:Bezier曲面
x0,x1,x2,x3,xt:x座標値
x(u,v),x(0,0)〜x(3,3):x座標値
y0,y1,y2,y3,yt:y座標値
y(u,v),y(0,0)〜y(3,3):y座標値
z(u,v),z(0,0)〜z(3,3):z座標値
α0,α1,α2,α3:x座標値
β0,β1,β2,β3:y座標値

Claims (20)

  1. 三次元の基本物体の表面にシート状物体を張り付けた状態を示す三次元形状データを作成する装置であって、
    基本物体の三次元形状データを格納する基本物体データ格納部と、
    前記基本物体の表面を外側に向けて膨らませる度合いを示す圧力パラメータPと、前記シート状物体の表面張力の強さを示す張力パラメータTと、を設定するパラメータ設定部と、
    前記基本物体の表面に多数のサンプル点を定義するサンプル点定義部と、
    前記各サンプル点の位置に、前記基本物体外側表面に立てた法線を演算によって求める法線演算部と、
    前記各サンプル点の位置における前記基本物体表面の曲がり具合の程度を示す曲率パラメータkを演算によって求める曲率パラメータ演算部と、
    前記各サンプル点について、前記圧力パラメータPおよび前記張力パラメータT、ならびに当該サンプル点について求められた曲率パラメータkを用いて、移動距離dを、d=P−T×kなる演算によって求める移動距離演算部と、
    前記各サンプル点を、当該サンプル点について求められた法線方向に、当該サンプル点について求められた移動距離dだけ移動させ、移動後の位置に新サンプル点を定義する新サンプル点定義部と、
    前記新サンプル点に基づいて、前記基本物体の表面にシート状物体を張り付けた状態を示す三次元形状データを作成するシート状物体データ作成部と、
    を備えることを特徴とする三次元形状データの作成装置。
  2. 請求項1に記載の作成装置において、
    基本物体の表面に固定点を設定する固定点設定部を更に設け、
    移動距離演算部が、前記固定点近傍に位置するサンプル点についての移動距離dを、所定の移動実効率E(0≦E≦1)を用いて、d=(P−T×k)×Eなる演算によって求めることを特徴とする三次元形状データの作成装置。
  3. 請求項2に記載の作成装置において、
    移動距離演算部が、距離rの増加とともに単調増加する移動実効率関数E(r)を用い(但し、Emin ≦E(r)≦1)、サンプル点とその最近接固定点との距離rに基づいて、当該サンプル点についての移動距離dを、d=(P−T×k)×E(r)なる演算によって求めることを特徴とする三次元形状データの作成装置。
  4. 請求項2または3に記載の作成装置において、
    固定点設定部が、基本物体の表面上に固定線を定義することにより当該固定線上の点として固定点の設定を行う機能と、基本物体の表面上に固定領域を定義することにより当該固定領域内の点として固定点の設定を行う機能と、を有することを特徴とする三次元形状データの作成装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の作成装置において、
    基本物体データ格納部が、基本物体の三次元形状データを、ポリゴンの集合からなるデータとして格納し、
    サンプル点定義部が、前記ポリゴンの各頂点をサンプル点として定義することを特徴とする三次元形状データの作成装置。
  6. 請求項5に記載の作成装置において、
    法線演算部が、演算対象となる着目サンプル点の位置に立てた法線を求める際に、前記着目サンプル点を1頂点とするポリゴンを着目ポリゴンとして、各着目ポリゴンの外面に立てた単位法線ベクトルの和として求まる和ベクトルの方向を法線の方向とする処理を行うことを特徴とする三次元形状データの作成装置。
  7. 請求項5または6に記載の作成装置において、
    曲率パラメータ演算部が、演算対象となる着目サンプル点の位置における曲率パラメータを求める際に、前記着目サンプル点を1頂点とするポリゴンを着目ポリゴンとし、前記着目サンプル点を一端とする前記各着目ポリゴンの辺を着目辺として、前記着目サンプル点から前記各着目辺に沿って伸びる単位ベクトルの平均として求まる平均ベクトルの大きさに基づいて、曲率パラメータkの絶対値を決定し、前記平均ベクトルが基本物体の内側に向かう場合は正、外側に向かう場合は負となるように、曲率パラメータkの符号を決定することを特徴とする三次元形状データの作成装置。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の作成装置において、
    シート状物体データ作成部が、基本物体データ格納部に格納されている基本物体の三次元形状データを参照して、新サンプル点相互の位置関係を認識し、これら新サンプル点を頂点とする新たなポリゴンの集合からなる三次元形状データを作成することを特徴とする三次元形状データの作成装置。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載の作成装置において、
    基本物体データ格納部が、基本物体の三次元形状データを、パラメトリック曲面を示す方程式および制御点の座標値を用いて表現されるパラメトリック曲面の集合からなるデータとして格納し、
    サンプル点定義部が、前記パラメトリック曲面上の所定点をサンプル点として定義することを特徴とする三次元形状データの作成装置。
  10. 請求項9に記載の作成装置において、
    サンプル点定義部が、パラメトリック曲面の媒介変数を特定の離散値に設定することにより、当該特定の離散値で示される点をサンプル点として定義することを特徴とする三次元形状データの作成装置。
  11. 請求項9または10に記載の作成装置において、
    法線演算部が、パラメトリック曲面を示す方程式、制御点の座標値、サンプル点を示す媒介変数の離散値に基づいて、当該サンプル点の位置に立てた法線を演算し、
    曲率パラメータ演算部が、パラメトリック曲面を示す方程式、制御点の座標値、サンプル点を示す媒介変数の離散値に基づいて、当該サンプル点の位置における曲率パラメータを演算することを特徴とする三次元形状データの作成装置。
  12. 請求項9〜11のいずれかに記載の作成装置において、
    シート状物体データ作成部が、パラメトリック曲面を示す方程式、新サンプル点の座標値、新サンプル点についての移動前のサンプル点の媒介変数の離散値に基づいて、新パラメトリック曲面の制御点の座標値を演算し、新パラメトリック曲面を示す方程式およびその制御点の座標値を用いて表現される新パラメトリック曲面の集合からなる三次元形状データを作成することを特徴とする三次元形状データの作成装置。
  13. 請求項9〜12のいずれかに記載の作成装置において、
    基本物体データ格納部が、基本物体の三次元形状データを、2つの媒介変数u,v(0≦u≦1、0≦v≦1)と16個の制御点の座標値とを用いて表現されるBezier曲面の集合からなるデータとして格納し、
    サンプル点定義部が、媒介変数uを、0,u′,u″,1の4通りの離散値に設定し(但し、0<u′<u″<1)、媒介変数vを、0,v′,v″,1の4通りの離散値に設定し(但し、0<v′<v″<1)、1つのBezier曲面について、これら離散値の組み合わせによって示される合計16通りのサンプル点を定義することを特徴とする三次元形状データの作成装置。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の作成装置において、
    パラメータ設定部が、圧力パラメータPとして、基本物体の表面を外側に向けて膨らませる基準寸法値を設定し、張力パラメータTとして、0<T≦Pなる寸法値を設定し、
    曲率パラメータ演算部が、曲率パラメータkとして、−1≦k≦1なる値を求めることを特徴とする三次元形状データの作成装置。
  15. 三次元の基本物体の表面にシート状物体を張り付けた状態を示す三次元形状データを作成する方法であって、
    コンピュータが、基本物体の三次元形状データを入力する基本物体データ入力段階と、
    コンピュータが、前記基本物体の表面を外側に向けて膨らませる度合いを示す圧力パラメータPと、前記シート状物体の表面張力の強さを示す張力パラメータTと、を設定するパラメータ設定段階と、
    コンピュータが、基本物体の表面に多数のサンプル点を定義するサンプル点定義段階と、
    コンピュータが、前記各サンプル点の位置に、前記基本物体外側表面に立てた法線を演算によって求める法線演算段階と、
    コンピュータが、前記各サンプル点の位置における前記基本物体表面の曲がり具合の程度を示す曲率パラメータkを演算によって求める曲率パラメータ演算段階と、
    コンピュータが、前記各サンプル点について、前記圧力パラメータPおよび前記張力パラメータT、ならびに当該サンプル点について求められた曲率パラメータkを用いて、移動距離dを、d=P−T×kなる演算によって求める移動距離演算段階と、
    コンピュータが、前記各サンプル点を、当該サンプル点について求められた法線方向に、当該サンプル点について求められた移動距離dだけ移動させ、移動後の位置に新サンプル点を定義する新サンプル点定義段階と、
    コンピュータが、前記新サンプル点に基づいて、前記基本物体の表面にシート状物体を張り付けた状態を示す三次元形状データを作成するシート状物体データ作成段階と、
    を有することを特徴とする三次元形状データの作成方法。
  16. 請求項15に記載の作成方法において、
    基本物体データ入力段階で、基本物体の表面に固定点を設定し、
    移動距離演算段階で、前記固定点近傍に位置するサンプル点についての移動距離dを、所定の移動実効率E(0≦E≦1)を用いて、d=(P−T×k)×Eなる演算によって求めることを特徴とする三次元形状データの作成方法。
  17. 請求項16に記載の作成方法において、
    移動距離演算段階で、距離rの増加とともに単調増加する移動実効率関数E(r)を用い(但し、0≦E(r)≦1)、サンプル点とその最近接固定点との距離rに基づいて、当該サンプル点についての移動距離dを、d=(P−T×k)×E(r)なる演算によって求めることを特徴とする三次元形状データの作成方法。
  18. 請求項16または17に記載の作成方法において、
    基本物体データ入力段階で、基本物体の表面上に固定線を定義することにより当該固定線上の点として固定点の設定を行うか、もしくは、基本物体の表面上に固定領域を定義することにより当該固定領域内の点として固定点の設定を行うことを特徴とする三次元形状データの作成装置。
  19. 請求項15〜18のいずれかに記載の作成方法において、
    基本物体データ入力段階で、基本物体の三次元形状データを、ポリゴンの集合からなるデータとして入力し、
    サンプル点定義段階で、前記ポリゴンの各頂点をサンプル点として定義し、
    法線演算段階で、演算対象となる着目サンプル点の位置に立てた法線を求める際に、前記着目サンプル点を1頂点とするポリゴンを着目ポリゴンとして、各着目ポリゴンの外面に立てた単位法線ベクトルの和として求まる和ベクトルの方向を法線の方向とする処理を行い、
    曲率パラメータ演算段階で、演算対象となる着目サンプル点の位置における曲率パラメータを求める際に、前記着目サンプル点を1頂点とするポリゴンを着目ポリゴンとし、前記着目サンプル点を一端とする前記各着目ポリゴンの辺を着目辺として、前記着目サンプル点から前記各着目辺に沿って伸びる単位ベクトルの平均として求まる平均ベクトルの大きさに基づいて、曲率パラメータkの絶対値を決定し、前記平均ベクトルが基本物体の内側に向かう場合は正、外側に向かう場合は負となるように、曲率パラメータkの符号を決定し、
    シート状物体データ作成段階で、基本物体データ格納部に格納されている基本物体の三次元形状データを参照して、新サンプル点相互の位置関係を認識し、これら新サンプル点を頂点とする新たなポリゴンの集合からなる三次元形状データを作成することを特徴とする三次元形状データの作成方法。
  20. 請求項15〜18のいずれかに記載の作成方法において、
    基本物体データ入力段階で、基本物体の三次元形状データを、パラメトリック曲面を示す方程式および制御点の座標値を用いて表現されるパラメトリック曲面の集合からなるデータとして入力し、
    サンプル点定義段階で、前記パラメトリック曲面の媒介変数を特定の離散値に設定することにより、当該特定の離散値で示される点をサンプル点として定義し、
    法線演算段階で、前記パラメトリック曲面を示す方程式、前記制御点の座標値、サンプル点を示す媒介変数の離散値に基づいて、当該サンプル点の位置に立てた法線を演算し、
    曲率パラメータ演算段階で、前記パラメトリック曲面を示す方程式、前記制御点の座標値、サンプル点を示す媒介変数の離散値に基づいて、当該サンプル点の位置における曲率パラメータを演算し、
    シート状物体データ作成段階で、前記パラメトリック曲面を示す方程式、新サンプル点の座標値、新サンプル点についての移動前のサンプル点の媒介変数の離散値に基づいて、新パラメトリック曲面の制御点の座標値を演算し、新パラメトリック曲面を示す方程式およびその制御点の座標値を用いて表現される新パラメトリック曲面の集合からなる三次元形状データを作成することを特徴とする三次元形状データの作成方法。
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