JP4934641B2 - 射出圧縮成形機及び射出圧縮成形方法 - Google Patents

射出圧縮成形機及び射出圧縮成形方法 Download PDF

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本発明は、所定の隙間だけ開けて一次型締した金型に樹脂を射出充填し、二次型締により金型内の樹脂を圧縮する射出圧縮成形機及び射出圧縮成形方法に関する。
従来、第一型位置に一次型締した僅かな隙間を開けた金型に、射出装置から樹脂を射出充填するとともに、第一型位置から第二型位置まで閉じる二次型締により金型に充填された樹脂を圧縮するようにした射出圧縮成形機は、特許文献1により開示される射出圧縮成形機(型締装置)が知られている。
この射出圧縮成形機(型締装置)は、固定盤と可動盤とにキャビティ容積を一方の金型の移動により可変できる金型を備えた射出圧縮成形機の型締装置であって、可動盤を高速前後進させる高速移動手段と、可動盤を進退作動する型締ラムの前室と選択的に接続される第1の圧力源と、型締ラムの後室とサーボバルブを介して接続される第2の圧力源と、型締ラムの後室内の圧力を検出する圧力検出器及び可動盤の位置を検出する位置検出器と、圧力検出器及び位置検出器と接続され、各検出値と設定値の演算によりサーボバルブに指令信号を与える制御装置とを備えている。これにより、射出工程から圧縮工程への移行に伴う昇圧を速やかに行えるため、冷却固化の進行に伴う転写性及び歪みの悪化を防ぐことができるともに、成形品の品質を向上させることができる。
特開昭63−27228号公報
ところで、射出圧縮成形機は、通常の射出成形機とは異なる固有の成形手法、即ち、金型を僅かな隙間だけ開けて樹脂を充填する固有の成形手法を備えるため、このような固有の成形手法に基づく固有の課題も存在する。しかし、上述した従来の射出圧縮成形機(型締装置)では、このような固有の課題に対する対応策については十分と言えず、次のような更なる解決すべき課題が存在した。
第一に、可動型を固定型に対して僅かな間隔だけ開けた状態で位置制御を行う必要があるため、上述した従来の型締装置では、二台の固定容量油圧ポンプ及びサーボバルブにより二系統の油圧駆動系を構成し、可動型に対して正逆二方向から加圧することにより、樹脂圧に対抗できる安定した位置制御の実現を図っているが、二台の油圧ポンプに加え、高価なサーボバルブが必要になるなど、油圧駆動系全体のコストアップ及び大型化が無視できない。
第二に、可動型を固定型に対して僅かな間隔だけ開けた状態で樹脂を充填するため、可動型を位置制御する必要があり、一方向(型締方向)にのみ加圧することができない。したがって、充填初期に可動型に対して衝撃的な樹脂圧が付加された場合、可動型は、型開方向に僅かながら変位する。この変位はフィードバック制御により直ちに修正されるため、通常の成形品であれば無視できるが、レンズ成形品やメディアディスク成形品のように高度の精密性(品質)が要求される成形品にとっては無視することができず、成形品質の高度化(高精密化)を図るには限界があった。
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した射出圧縮成形機及び射出圧縮成形方法の提供を目的とするものである。
本発明に係る射出圧縮成形機Mは、上述した課題を解決するため、少なくとも金型2を所定の隙間L1だけ開けた第一型位置X1で樹脂を充填可能な一次型締及び金型2を第一型位置X1から第二型位置X2まで閉じて樹脂を圧縮可能な二次型締を行う型締装置Mcと、金型2に樹脂を射出充填可能な射出装置Miを備える射出圧縮成形機であって、型締装置Mcにおける型締シリンダ3の後油室3rに接続することにより型締力を付与可能に構成し、ポンプ本体4apを回転駆動する駆動モータ4amの回転数を可変して少なくとも吐出流量を可変可能な第一油圧ポンプ4aを有する第一油圧回路部Caと、型締シリンダ3の前油室3fに接続することにより型開力を付与可能に構成し、ポンプ本体4bpを回転駆動する駆動モータ4bmの回転数を可変して少なくとも吐出流量を可変可能な第二油圧ポンプ4bを有する第二油圧回路部Cbと、各駆動モータ4am,4bmの回転数を制御することにより、少なくとも第一型位置X1に対する位置制御を行う制御部5とを備えてなることを特徴とする。
この場合、発明の好適な形態により、射出装置Miには、射出シリンダ11に接続可能に構成し、ポンプ本体4cpを回転駆動する駆動モータ4cmの回転数を可変して少なくとも吐出流量を可変可能な第三油圧ポンプ4cを有する第三油圧回路部Ccを設けることができる。なお、各駆動モータ4am,4bm,4cmには、サーボ回路12a,12b,12cに接続したサーボモータ4ams,4bms,4cmsを用いることができる。また、制御部5には、射出装置Miから射出する樹脂の圧力(樹脂圧)を検出する樹脂圧検出部13と、検出した樹脂圧(検出値)Drを金型2内における樹脂圧に対抗する型締力に係わる増補値Dsに変換する樹脂圧変換部14と、この増補値Dsを少なくとも第一型位置X1に対する位置制御に係わる型締力の指令値Dcxに加算する増補値加算部15とを有する指令値増補機能部5aを設けることができる。この際、樹脂圧検出部13には、射出シリンダ11の後油室11rの油圧を検出して樹脂圧Drを得る第一樹脂圧センサ13a又は射出ノズル16に付設して射出ノズル16内の樹脂圧Drを検出する第二樹脂圧センサ13bの一方又は双方を用いることができる。
一方、本発明に係る射出圧縮成形方法は、型締装置Mcにより所定の隙間L1だけ開けた第一型位置X1に一次型締した金型2に射出装置Miから樹脂を射出充填する射出充填工程(S5)と、型締装置Mcにより第一型位置X1から第二型位置X2まで閉じる二次型締により金型2に充填された樹脂を圧縮する圧縮工程(S7)とを備える射出圧縮成形方法であって、ポンプ本体4apを回転駆動する駆動モータ4amの回転数を可変して少なくとも吐出流量を可変可能な第一油圧ポンプ4aを有する第一油圧回路部Caを、型締装置Mcにおける型締シリンダ3の後油室3rに接続して型締力を付与するとともに、ポンプ本体4bpを回転駆動する駆動モータ4bmの回転数を可変して少なくとも吐出流量を可変可能な第二油圧ポンプ4bを有する第二油圧回路部Vbを、型締シリンダ3の前油室3fに接続して型開力を付与し、制御部5により各駆動モータ4am,4bmの回転数を制御することにより、少なくとも第一型位置X1に対する位置制御を行うようにしたことを特徴とする。
この場合、発明の好適な態様により、射出充填工程(S5)では、射出装置Miから射出する樹脂の圧力(樹脂圧)を検出するとともに、検出した樹脂圧(検出値)Drを、金型2内における樹脂圧に対抗する型締力に係わる増補値Dsに変換し、この増補値Dsを、少なくとも第一型位置X1に対する位置制御に係わる型締力の指令値Dcxに加算する増補処理を行うことができる。この際、制御部5は、第二油圧回路部Cbにおける駆動モータ4bmの回転数を制御し、予め設定した目標値Dsoに基づいて型開力を一定に制御するとともに、第一油圧回路部Caにおける駆動モータ4amの回転数を制御し、型締力を可変して位置又は圧力に対するフィードバック制御を行うことができる。また、制御部5は、付与される目標値Dsx,Dspを入力するに際し、目標値Dsx…に向かって徐々に傾斜するランプ処理を行うことができる。
このような本発明に係る射出圧縮成形機M及び射出圧縮成形方法によれば、次のような顕著な効果を奏する。
(1) ポンプ本体4apを回転駆動する駆動モータ4amの回転数を可変して少なくとも吐出流量を可変可能な第一油圧ポンプ4aを有する第一油圧回路部Caを、型締シリンダ3の後油室3rに接続して型締力を付与するとともに、ポンプ本体4bpを回転駆動する駆動モータ4bmの回転数を可変して少なくとも吐出流量を可変可能な第二油圧ポンプ4bを有する第二油圧回路部Vbを、型締シリンダ3の前油室3fに接続して型開力を付与し、制御部5により各駆動モータ4am,4bmの回転数を制御して第一型位置X1に対する位置制御を行うようにしたため、高価なサーボバルブが不要になるなど、油圧駆動系全体のコスト(イニシャルコスト)削減及び小型化を図ることができる。しかも、各油圧ポンプ4a,4bに対するインバータ制御により、省エネルギ性の向上及びランニングコストの削減にも寄与できる。
(2) 好適な態様により、制御部5に、射出装置Miから射出する樹脂の圧力(樹脂圧)を検出する樹脂圧検出部13と、検出した樹脂圧(検出値)Drを金型2内における樹脂圧に対抗する型締力に係わる増補値Dsに変換する樹脂圧変換部14と、この増補値Dsを少なくとも第一型位置X1に対する位置制御に係わる型締力の指令値Dcxに加算する増補値加算部15とを有する指令値増補機能部5aを設ければ、樹脂圧が金型2(可動型2m)に付加される前にその大きさを検出し、かつ樹脂圧に対抗する型締力を可動型2mに反映できるため、いわば、充填初期に可動型2mに付加される衝撃的な樹脂圧を相殺することができる。したがって、制御上は、位置のフィードバック制御に対する応答遅れを解消できるとともに、成形上は、充填初期の樹脂圧により可動型2mが型開方向に僅かに変位する不具合を低減又は解消でき、特に、レンズ成形品やメディアディスク成形品等のように高度の精密性(品質)が要求される成形品であっても良好な成形を行うことができるなど、成形品質の更なる高度化(高精密化)を実現できる。
(3) 好適な態様により、樹脂圧検出部13に、射出シリンダ11の後油室11rの油圧を検出して樹脂圧Drを得る第一樹脂圧センサ13a又は射出ノズル16に付設して射出ノズル16内の樹脂圧Drを検出する第二樹脂圧センサ13bの一方又は双方を用いれば、射出圧縮成形機Mの動作環境等に応じて選択できる。即ち、第一樹脂圧センサ13aは、早期に検出できる点で有利になる反面、検出の正確性において不利になり、他方、第二樹脂圧センサ13bは、検出の正確性において有利になる反面、早期に検出できない点で不利になるため、これらの点を考慮して使い分けることができる。
(4) 好適な態様により、第二油圧回路部Cbにおける駆動モータ4bmの回転数を制御し、予め設定した目標値Dsoに基づいて型開力を一定に制御するとともに、第一油圧回路部Caにおける駆動モータ4amの回転数を制御し、型締力を可変して位置又は圧力に対するフィードバック制御を行う制御部5を設ければ、位置又は圧力に対するフィードバック制御は、実質的に片方の第一油圧回路部Caのみで行うことができるため、本発明に係る射出圧縮成形方法を容易かつ安定に行うことができるとともに、応答性及び精度の高い位置制御を行うことができる。
(5) 好適な態様により、射出装置Miに、射出シリンダ11に接続可能に構成し、ポンプ本体4cpを回転駆動する駆動モータ4cmの回転数を可変して少なくとも吐出流量を可変可能な第三油圧ポンプ4cを有する第三油圧回路部Ccを設ければ、射出装置Mi側と型締装置Mc側の干渉を回避できるとともに、射出装置Mi側においても高価なサーボバルブが不要になるなど、特に、射出装置Mi側における油圧駆動系のコストダウン及び小型化に寄与できる。
(6) 好適な態様により、各駆動モータ4am,4bm,4cmに、サーボ回路12a,12b,12cに接続したサーボモータ4ams,4bms,4cmsを用いれば、本発明に係る射出圧縮成形機M及び射出圧縮成形方法を容易かつ最適な態様で実施することができる。
(7) 好適な態様により、制御部5により、付与される目標値Dsx,Dspを入力するに際し、目標値Dsx…に向かって徐々に傾斜するランプ処理を行うようにすれば、PID制御系を構成した際におけるオーバシュート等の不安定動作を防止し、制御の安定性を高めることができる。したがって、応答性が弱点となる油圧式の射出圧縮成形機Mに用いて好適となる。
次に、本発明に係る最良の実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る射出圧縮成形機Mの構成について、図2〜図7を参照して説明する。
図2において、Mは射出圧縮成形機であり、射出装置Miと型締装置Mcを備える。射出装置Miは、前端に射出ノズル16を、後部にホッパ22をそれぞれ有する加熱筒21を備え、この加熱筒21の内部にはスクリュ23を挿入するとともに、加熱筒21の後端にはスクリュ駆動部24を設ける。スクリュ駆動部24は、片ロッドタイプの射出ラム25を内蔵する射出シリンダ(油圧シリンダ)11を備え、射出ラム25の前方に突出するラムロッド25rはスクリュ23の後端に結合する。また、射出ラム25の後端には、射出シリンダ11に取付けたオイルモータ27のシャフトがスプライン結合する。
一方、型締装置Mcは、固定した固定盤31と、この固定盤31から不図示の受圧盤に架設した複数(四本)のタイバー32…と、このタイバー32…にスライド自在に装填した可動盤33を備える。また、不図示の受圧盤には型締シリンダ3を固定する。型締シリンダ3はシリンダ本体3mを備え、このシリンダ本体3mにピストン34を内蔵するとともに、ピストン34のピストンロッドは可動盤33に結合する。ピストン34は高速用シリンダ部35を兼ねており、この高速用シリンダ部35の油室にはシリンダ本体3mの後端から前方に突出したブースタラム36が挿通する。さらに、シリンダ本体3mにはサブタンク37を付設し、このサブタンク37と後油室3r間に、サブタンク37と後油室3rを接続又は遮断するプレフィルバルブ38を設けるとともに、サブタンク37はオイルタンク51に接続する。したがって、型締装置Mcは、ブースタラム式型締機構を構成する。そして、固定盤31には固定型2cを取付けるとともに、可動盤33には可動型2mを取付ける。この固定型2cと可動型2mが金型2を構成する。
他方、型締装置Mcには、第一油圧回路部Ca及び第二油圧回路部Cbを備えるとともに、射出装置Miには、第三油圧回路部Ccを備える。この場合、第一油圧回路部Caは、第一油圧ポンプ4aと型締系切換バルブ回路41aを備え、第二油圧回路部Cbは、第二油圧ポンプ4bと型開系切換バルブ回路41bを備える。また、第三油圧回路部Ccは、第三油圧ポンプ4cと射出系切換バルブ回路41cを備える。したがって、これらの三つの油圧回路部Ca,Cb,Ccは、それぞれ相互に干渉することなく、独立して動作させることができる。
第一油圧回路部Caは次のように構成する。まず、第一油圧ポンプ4aには可変吐出型油圧ポンプを使用する。図3に、第一油圧ポンプ4aの具体的な構成を示す。第一油圧ポンプ4aは、ポンプ本体4apをサーボモータ4ams(駆動モータ4am)により回転駆動し、このサーボモータ4amsの回転数を可変することにより、吐出流量及び吐出圧力を可変することができる。サーボモータ4amsは、成形機コントローラ61の出力ポートに接続した交流サーボモータを用いるとともに、後端には当該サーボモータ4amsの回転数を検出するロータリエンコーダ4ameを付設する。この場合、成形機コントローラ61は、図4に示すように、成形機コントローラ本体61mと、三つのサーボ回路、即ち、型締系サーボ回路12a,型開系サーボ回路12b及び射出系サーボ回路12cを内蔵し、サーボモータ4ams及びロータリエンコーダ4ameは型締系サーボ回路12aに接続する。
一方、ポンプ本体4apは、斜板型ピストンポンプを用いる。したがって、ポンプ本体4apは、斜板43を備え、斜板43の傾斜角(斜板角)を大きくすれば、ポンプ本体4apにおけるポンプピストンのストロークが大きくなり、吐出流量が増加するとともに、斜板角を小さくすれば、同ポンプピストンのストロークが小さくなり、吐出流量が減少する。よって、斜板角を所定の角度に設定することにより、吐出流量が所定の大きさに固定される固定吐出流量を設定することができる。さらに、斜板43には、コントロールシリンダ44及び戻しスプリング45を付設するとともに、コントロールシリンダ44は、切換弁(電磁弁)46,絞り47,逆止弁48を介してポンプ本体4apの吐出口に接続する。これにより、斜板43の角度(斜板角)は、コントロールシリンダ44を制御することにより変更できる。なお、49はポンプ圧センサを示す。
また、ポンプ本体4apの吸入口は、オイルタンク51に接続するとともに、ポンプ本体4apの吐出口は、型締系切換バルブ回路41aの一次側に接続する。他方、型締系切換バルブ回路41aの二次側は、型締シリンダ3の後油室3r,高速用シリンダ部35の油室,サブタンク37,プレフィルバルブ38にそれぞれ接続する。この場合、型締系切換バルブ回路41aは 一又は二以上の切換バルブの組合わせにより構成し、作動油の方向切換をはじめ、作動油の供給・停止・排出を行うことができる。この型締系切換バルブ回路41aには、その他、逆止弁,絞り,リリーフ弁等の必要な付属油圧部品を含むが、高価なサーボバルブは含まない。
第二油圧回路部Cbは次のように構成する。第二油圧回路部Cbの第二油圧ポンプ4bには可変吐出型油圧ポンプを使用する。第二油圧ポンプ4bは、ポンプ本体4bpをサーボモータ4bms(駆動モータ4bm)により回転駆動し、このサーボモータ4bmsの回転数を可変することにより、吐出流量及び吐出圧力を可変することができる。このサーボモータ4bmsは、上述したサーボモータ4amsと同じである。したがって、第一油圧回路部Ca側と同様に、ロータリエンコーダ4bmeを備え、サーボモータ4bms及びロータリエンコーダ4bmeは、成形機コントローラ61に内蔵する型開系サーボ回路12bに接続する。また、ポンプ本体4bpも、上述したポンプ本体4apと同じである。そして、ポンプ本体4bpの吸入口は、オイルタンク51に接続するとともに、ポンプ本体4bpの吐出口は、型開系切換バルブ回路41bの一次側に接続する。他方、型開系切換バルブ回路41bの二次側は、型締シリンダ3の前油室3fに接続する。型開系切換バルブ回路41bは 一又は二以上の切換バルブの組合わせにより構成し、作動油の方向切換をはじめ、作動油の供給・停止・排出を行うことができる。この型締系切換バルブ回路41bには、その他、逆止弁,絞り,リリーフ弁等の必要な付属油圧部品を含むが、高価なサーボバルブは含まない。
第三油圧回路部Ccは次のように構成する。第三油圧回路部Ccの第三油圧ポンプ4cには可変吐出型油圧ポンプを使用する。第三油圧ポンプ4cは、ポンプ本体4cpをサーボモータ4cms(駆動モータ4cm)により回転駆動し、このサーボモータ4cmsの回転数を可変することにより、吐出流量及び吐出圧力を可変することができる。このサーボモータ4cmsは、上述したサーボモータ4amsと同じである。したがって、第一油圧回路部Ca側と同様に、ロータリエンコーダ4cmeを備え、サーボモータ4cmsとロータリエンコーダ4cmeは成形機コントローラ61に内蔵する射出系サーボ回路12cに接続する。また、ポンプ本体4cpも、上述したポンプ本体4apと同じである。そして、ポンプ本体4cpの吸入口は、オイルタンク51に接続するとともに、ポンプ本体4cpの吐出口は、射出系切換バルブ回路41cの一次側に接続する。他方、射出系切換バルブ回路41cの二次側は、射出シリンダ11の前油室11f及び後油室11r,オイルモータ27の一対の入出力ポートにそれぞれ接続する。射出系切換バルブ回路41cは 一又は二以上の切換バルブの組合わせにより構成し、作動油の方向切換をはじめ、作動油の供給・停止・排出を行うことができる。この射出系切換バルブ回路41cには、その他、逆止弁,絞り,リリーフ弁等の必要な付属油圧部品を含むが、高価なサーボバルブは含まない。
よって、第一油圧回路部Caは、型締装置Mcにおける型締シリンダ3の後油室3rに接続して型締力を付与可能になるとともに、第二油圧回路部Cbは、型締シリンダ3の前油室3fに接続して型開力を付与可能になり、各サーボモータ4ams,4bmsの回転数を制御することにより、少なくとも後述する第一型位置X1に対する位置制御を行うことができる。一方、第三油圧回路部Ccは、射出シリンダ11に接続可能となり、サーボモータ4cmsの回転数を制御することにより、少なくとも金型2のキャビティ内に樹脂(溶融樹脂)を射出充填することができるとともに、スクリュ23が前進する際における射出速度及び射出圧力の制御を行うことができる。
さらに、射出圧縮成形機Mには、上述した成形機コントローラ61を中心とした制御部5を備える。成形機コントローラ61は、射出圧縮成形機M全体の制御を司り、各種シーケンス制御を含む制御処理及び演算処理を実行する。したがって、成形機コントローラ61はコンピュータ機能を備えており、本発明に係る射出圧縮成形方法を実行するための制御プログラム(処理プログラム)を格納する。そして、成形機コントローラ61の出力側には、各切換バルブ回路41a,41b及び41cに備える各切換バルブ(電磁バルブ)を接続するとともに、成形機コントローラ61の入力側には、次の各検出系、即ち、第一樹脂圧センサ13a,第二樹脂圧センサ13b,型締圧センサ63,可動盤位置センサ64,スクリュ位置センサ65,ロータリエンコーダ66をそれぞれ接続する。この場合、第一樹脂圧センサ13aは、射出シリンダ11の後油室11rの油圧を樹脂圧Drとして間接的に検出する機能を有するとともに、第二樹脂圧センサ13bは射出ノズル16に付設して射出ノズル16内の樹脂圧Drを検出する機能を有し、成形機コントローラ61の内部で選択して用いられる樹脂圧検出部13を構成する。型締圧センサ63は、型締シリンダ3の後油室3rの油圧を型締圧として間接的に検出する機能を有する。可動盤位置センサ64は、リニアスケール等を用いて可動型2mの位置を検出する機能を有する。スクリュ位置センサ65は、リニアスケール等を用いてスクリュ23の位置を検出する機能を有する。ロータリエンコーダ66はオイルモータ27の後端に付設して当該オイルモータ27の回転数を検出する機能を有する。
図5〜図7は、成形機コントローラ61に内蔵するサーボ回路、特に、本実施形態に係る射出圧縮成形方法に使用する型締系サーボ回路12a及び型開系サーボ回路12bの機能ブロック図を示す。
図5は、後述する一次型締及び二次型締(位置制御モード)で使用する位置制御時の型締系サーボ回路12aを示す。71は位置補償部であり、偏差演算器72とPID制御系73により構成する。PID制御系73には、積分器73a,1/積分値を出力する演算器73b,積分リミッタ73c,微分器73d,微分ゲイン設定器73e,加算器73f,減算器73g,比例ゲイン設定器73hが含まれ、図5に示す系統によりPID制御が行われる。また、偏差演算器72の非反転入力部には、予め設定した第一型位置X1,第二型位置X2等に対応して設定した位置目標値Dsxが付与されるとともに、偏差演算器72の反転入力部には、可動盤位置センサ64から得る可動型2mの位置検出値Ddxが付与される。この場合、位置目標値Dsxはランプ処理部74を介して偏差演算器72に付与される。このランプ処理部74により、入力する位置目標値Dsxに対し、目標値Dsx…に向かって徐々に傾斜するランプ処理が行われる。このようなランプ処理部74を設けることにより、PID制御系73を構成した際におけるオーバシュート等の不安定動作を防止し、制御の安定性を高めることができる。したがって、応答性が弱点となる油圧式の射出圧縮成形機Mに用いて好適となる。そして、サーボモータ4amsは、偏差演算器72から得られる偏差値に基づき、PID制御系73,速度変換部75,速度リミッタ76を介して駆動制御される。
以上説明した型締系サーボ回路12aは、通常のサーボ回路の構成となるが、本実施形態では、さらに、指令値増補機能部5aを備える。この指令値増補機能部5aは、射出装置Miから射出する樹脂の圧力(樹脂圧)を検出する樹脂圧検出部13と、検出した樹脂圧(検出値)Drを金型2内における樹脂圧に対抗する型締力に係わる増補値Dsに変換する樹脂圧変換部14と、この増補値Dsを少なくとも第一型位置X1に対する位置制御に係わる型締力の指令値Dcxに加算する増補値加算部15とを備える。
この場合、樹脂圧検出部13は、前述した第一樹脂圧センサ13aと第二樹脂圧センサ13bを備え、樹脂圧選択部81により、第一樹脂圧センサ13aから得る樹脂圧Drと第二樹脂圧センサ13bから得る樹脂圧Drを選択できる。樹脂圧変換部14は、樹脂圧検出部13から得る樹脂圧Drを金型2内における樹脂圧に対抗する型締力に変換する型締力変換処理部82と、この型締力変換処理部82の出力をゲイン調整するゲイン調整部83と、このゲイン調整部83の出力を速度変換する速度変換部83を備える。増補値加算部15は、速度変換部75と速度リミッタ76間に設けた加算器77により構成し、この加算器77により、速度変換部75から出力する指令値Dcxに対して速度変換部83から出力する増補値Dsを加算することができる。また、モード選択部85により、指令値増補機能部5aと加算器77を接続し又は接続を解除し、指令値増補機能部5a(増補値Ds)を使用するモードと使用しないモードを選択することができる。
図6は、後述する一次型締及び二次型締で使用する圧力制御時の型開系サーボ回路12bを示す。91は圧力補償部であり、偏差演算器92とPID制御系93により構成する。PID制御系93には、積分器93a,1/積分値を出力する演算器93b,積分リミッタ93c,微分器93d,微分ゲイン設定器93e,加減算器93f,比例ゲイン設定器93gが含まれ、図6に示す系統によりPID制御が行われる。また、偏差演算器92の非反転入力部には、圧力目標値Ddo等が付与されるとともに、偏差演算器92の反転入力部には、型開方向の圧力(型開圧(検出値)Ddo)が付与される。そして、サーボモータ4bmsは、偏差演算器92から得られる偏差値に基づき、PID制御系93,速度リミッタ94を介して駆動制御される。
図7は、後述する二次型締(圧力制御モード)で使用する圧力制御時の型締系サーボ回路12aを示す。101は圧力補償部であり、偏差演算器102とPID制御系103により構成する。PID制御系103には、積分器103a,1/積分値を出力する演算器103b,積分リミッタ103c,微分器103d,微分ゲイン設定器103e,加算器103f,減算器103g,比例ゲイン設定器103hが含まれ、図7に示す系統によりPID制御が行われる。また、偏差演算器102の非反転入力部には、ランプ処理部104を介して、予め設定した型締力に対応する圧力(型締圧)の目標値Dspが付与されるとともに、偏差演算器102の反転入力部には、型締圧(検出値)Ddpが付与される。この型締圧Ddpは、次のように得られる。即ち、型締圧センサ63から検出した実際の型締圧(検出値)Dppは、型締力変換部105により型締力に変換されるとともに、偏差演算部106において型締力(検出値)と予め設定した型開力の設定値Dfoとの偏差値が求められ、この偏差値が型締圧変換部107により上述した型締圧Ddpに変換される。そして、サーボモータ4amsは、偏差演算器102から得られる偏差値に基づき、PID制御系103,加算器108,加算器110を介して駆動制御される。なお、加算器108では、ランプ処理部104の出力がフィードフォワードゲインを設定したフィードフォワードゲイン設定部109を介して加算されるとともに、加算器110では、指令値増補機能部5aから得る増補値Dsが加算される。なお、図7の指令値増補機能部5aでは、図5に示した速度変換部84は使用しない。
よって、このような本実施形態に係る射出圧縮成形機Mによれば、ポンプ本体4apを回転駆動するサーボモータ4amsの回転数を可変して少なくとも吐出流量を可変可能な第一油圧ポンプ4aを有する第一油圧回路部Caを、型締シリンダ3の後油室3rに接続して型締力を付与するとともに、ポンプ本体4bpを回転駆動するサーボモータ4bmsの回転数を可変して少なくとも吐出流量を可変可能な第二油圧ポンプ4bを有する第二油圧回路部Vbを、型締シリンダ3の前油室3fに接続して型開力を付与し、成形機コントローラ61により各サーボモータ4ams,4bmsの回転数を制御して第一型位置X1に対する位置制御を行うようにしたため、高価なサーボバルブが不要になるなど、油圧駆動系全体のコスト(イニシャルコスト)削減及び小型化を図ることができる。しかも、各油圧ポンプ4a,4bに対するインバータ制御により、省エネルギ性の向上及びランニングコストの削減にも寄与できる。また、射出装置Miに、射出シリンダ11に接続可能に構成し、ポンプ本体4cpを回転駆動するサーボモータ4cmsの回転数を可変して少なくとも吐出流量を可変可能な第三油圧ポンプ4cを有する第三油圧回路部Ccを設けたため、射出装置Mi側と型締装置Mc側の干渉を回避できるとともに、射出装置Mi側においても高価なサーボバルブが不要になるなど、特に、射出装置Mi側における油圧駆動系のコストダウン及び小型化に寄与できる。
次に、このような射出圧縮成形機Mを用いた本実施形態に係る射出圧縮成形方法について、特に、型締装置Mcの動作を中心にして、図1に示すフローチャート及び図8のタイミングチャートを参照して説明する。
今、型締装置Mcは型開状態にあるものとする。したがって、金型2の可動型2mは、図8中、ta時点において、同図(a)に示すように、固定型2cに対して全開位置にあり、可動型2mと固定型2cの間隔はLoとなる。型締工程の開始により、最初に高速型閉工程が行われる(ステップS1)。高速型閉工程では、図8(d)に示す第一油圧ポンプ4aのみが作動し、図5に示す型締系サーボ回路12aを用いた速度制御が行われる。なお、高速型閉工程及び次の低速低圧型閉工程では、指令値増補機能部5aは使用しないため、モード選択部85は切断側が選択される。高速型閉工程では、成形機コントローラ61により型締系切換バルブ回路41aが切換制御され、第一油圧ポンプ4aから吐出する作動油が高速用シリンダ部35に供給される。これにより、ピストン34が前進して高速型閉が行われる。また、作動油は、プレフィルバルブ38にも付与され、プレフィルバルブ38が開くことにより、サブタンク37の作動油が型締シリンダ3の後油室3rに流入するとともに、型締シリンダ3の前油室3fの作動油は、型開系切換バルブ回路41bを経由してオイルタンク51に戻される。この場合、サブタンク37の作動油が後油室3rに流入するため、ピストン34の高速前進移動に対応でき、型閉じの高速化及び高応答化を図ることができる。
そして、高速型閉工程が進行し、可動型2mが低速低圧型閉移行点tbに達すれば、低速低圧型閉工程に移行し、低速低圧型閉工程が行われる(ステップS2)。低速低圧型閉工程が進行し、可動型2mが第一型位置X1に達すれば、一次型締工程が行われる(ステップS3,S4)。図8中、tcが第一型位置X1に到達した時点を示す。第一型位置X1では、図8(a)に示すように、可動型2mと固定型2c間は、予め設定した隙間L1だけ開いた状態となる。なお、この隙間L1は、通常、0.1〔mm〕程度に設定される。第一型位置X1では、図8(e)に示す第二油圧ポンプ4bが作動する。即ち、第一油圧ポンプ4aと第二油圧ポンプ4bが共に作動して第一型位置X1に対する位置制御が行われる(ステップCS11)。この状態が一次型締工程となる。
一次型締工程では、成形機コントローラ61により型開系切換バルブ回路41bが切換制御され、第二油圧ポンプ4bから吐出する作動油が型締シリンダ3の前油室3fに付与される。これにより、ピストン34に対して型開力が付与されるとともに、図6に示す型開制御系61bにより第二油圧ポンプ4bが駆動制御される。即ち、型開系サーボ回路12bによりサーボモータ4bmsの回転数が制御され、予め設定した圧力目標値Dsoとなるように、型開圧(型開力)が一定に制御される。具体的には、前述したように、圧力目標値Dsoが偏差演算部92に付与されるとともに、検出された実際の型開圧(検出値)Ddoが偏差演算部92が付与される。そして、偏差演算部92から得られた偏差値がPID制御系93に付与され、速度リミッタ94を介してサーボモータ4bmsが駆動制御される。これにより、型開圧(型開力)が予め設定した圧力目標値Dsoとなるようにフィードバック制御される。したがって、型開方向に対しては一定の型開力となるように圧力制御され、第一型位置X1に対する位置制御は行われない。
また、一次型締工程では、成形機コントローラ61により型締系切換バルブ回路41aが切換制御され、第一油圧ポンプ4aから吐出する作動油が型締シリンダ3の後油室3rに付与される。これにより、ピストン34に対して型締力が付与されるとともに、図5に示す型締系サーボ回路12aにより第一油圧ポンプ4aが駆動制御される。即ち、型締系サーボ回路12aによりサーボモータ4amsの回転数が制御され、型締方向に対する圧力を可変することにより第一型位置X1に対する位置制御(フィードバック制御)が行われる。なお、型締系サーボ回路12aは、図5に示すモード選択部85により接続側が選択され、指令値増補機能部5aの出力である増補値Dsが加算器77により指令値Dcxに付与される。さらに、樹脂圧検出部13は、樹脂圧選択部84により、射出ノズル16内の樹脂圧Drを検出する第二樹脂圧センサ13bが選択されているものとする。ところで、樹脂圧検出部13は、射出シリンダ11の後油室11rの油圧を検出して樹脂圧Drを得る第一樹脂圧センサ13aと射出ノズル16に付設して射出ノズル16内の樹脂圧Drを検出する第二樹脂圧センサ13bを用いるため、射出圧縮成形機Mの動作環境等に応じて選択できる。即ち、第一樹脂圧センサ13aは、早期に検出できる点で有利になる反面、検出の正確性において不利になり、他方、第二樹脂圧センサ13bは、検出の正確性において有利になる反面、早期に検出できない点で不利になるため、これらの点を考慮して使い分けることができる。
型締系サーボ回路12aでは、前述したように、第一型位置X1に係わる位置目標値X1sが偏差演算部72に付与されるとともに、検出された可動型33の実際の位置が位置センサ64により検出され、検出された位置検出値X1dが偏差演算部72に付与される。これにより、偏差演算部72からは偏差値が得られ、PID制御系73に付与される。そして、速度変換部75,速度リミッタ76を介してサーボモータ4amsが駆動制御され、第一型位置X1に対する位置制御が行われる。なお、前述したように、偏差演算部72に付与される位置目標値X1sは、ランプ処理部74によりランプ処理が行われる。
したがって、このような一次型締工程では、可動型2mが型締方向に変位しようとすれば、型開系サーボ回路12bにより型締シリンダ3が型開方向に加圧され、速やかに第一型位置X1に復帰するように制御されるとともに、可動型2mが型開方向に変位しようとすれば、型締系サーボ回路12aにより型締シリンダ3が型締方向に加圧され、速やかに第一型位置X1に復帰するように制御される。このように、第二油圧回路部Cbにおけるサーボモータ4bmsの回転数を制御し、予め設定した目標値Dsxに基づいて型開圧(型開力)を一定に制御するとともに、第一油圧回路部Caにおけるサーボモータ4amsの回転数を制御し、型締力を可変して位置に対するフィードバック制御を行えば、位置に対するフィードバック制御は、実質的に片方の第一油圧回路部Caのみで行うことができるため、本発明に係る射出圧縮成形方法を容易かつ安定に行うことができるとともに、応答性及び精度の高い位置制御を行うことができる。
他方、一次型締工程が開始すれば、続いて射出装置Miの第三油圧ポンプ4cが作動して射出充填工程が行われる(ステップS5)。図8に示すtdが射出充填工程の開始時点を示す。射出充填工程では、成形機コントローラ61により射出系切換バルブ回路41cが切換制御され、第三油圧ポンプ4cから吐出する作動油が射出シリンダ11の後油室11rに付与される。これにより、射出ラム25が予め設定された射出速度(速度目標値Dsi)で前進し、スクリュ23の前方に計量蓄積された樹脂が射出ノズル16を通って金型2のキャビティ内に充填される。
ところで、この際、可動型2mと固定型2c間が僅かな隙間L1だけ開いた金型2のキャビティ内に樹脂が射出充填されるため、充填初期には可動型2mに対して衝撃的な樹脂圧が付加される。したがって、可動型2mは型開方向に僅かながら変位する問題を生じるが、本実施形態に係る射出圧縮成形方法では、指令値増補機能部5aにより、いわば、当該変位を相殺する制御が行われる。即ち、射出充填工程が開始し、樹脂が射出ノズル16を通過する際に、樹脂圧センサ13bにより樹脂圧(検出値)Drが検出される(ステップCS12)。そして、この樹脂圧Drは、樹脂圧変換部14により、金型2内における樹脂圧に対抗する型締力に係わる増補値Dsに変換され、この増補値Dsは、増補値加算部15により指令値Dcxに加算される(ステップCS13)。
具体的には、樹脂圧Drは、型締力変換部82により、金型2内における樹脂圧に対抗する型締力に対応した大きさに変換される。この際の変換処理は、例えば、〔(樹脂圧×キャビティの投影面積)/定格型締力〕の演算式により求めることができる。次いで、型締力変換部82の出力をゲイン調整部83によりゲイン調整する。この場合、調整係数は成形環境など応じて任意に設定でき、例えば、×1であってもよいが、強すぎるため、通常は、×0.1〜×0.4程度に設定することができる。次いで、ゲイン調整部83の出力は速度変換部84に付与され、速度に対応した大きさに変換されることにより増補値Dsを得る。そして、この増補値Dsが加算部77により指令値Dcxに加算される。
したがって、このような指令値増補機能部5aを用いれば、樹脂圧が金型2(可動型2m)に付加される前にその大きさを検出し、かつ樹脂圧に対抗する型締力を可動型2mに反映できるため、いわば、充填初期に可動型2mに付加される衝撃的な樹脂圧を相殺することができる。したがって、制御上は、位置のフィードバック制御に対する応答遅れを解消できるとともに、成形上は、充填初期の樹脂圧により可動型2mが型開方向に僅かに変位する不具合を低減又は解消でき、特に、レンズ成形品やメディアディスク成形品等のように高度の精密性(品質)が要求される成形品であっても良好な成形を行うことができるなど、成形品質の更なる高度化(高精密化)を実現できる。
一方、射出充填工程が進行し、二次型締開始点に達したなら二次型締工程を行う(ステップS6,S7)。二次型締開始点は、図8(b),(c)に示すように、射出充填工程の終了時又はその直前に設定する。例示の場合、直前となるte時点に設定している。このte時点に達したなら、二次型締工程を開始する。二次型締工程は、圧力制御モード又は位置制御モードを選択して実行できる。圧力制御モードと位置制御モードの相違は、二次型締工程を圧力制御により行うか位置制御により行うかの相違である。例示は、圧力制御モードであり、図7が二次型締工程で用いる型締系サーボ回路12aを示す。二次型締工程では第一位置X1に対する位置制御が解除され、金型2(可動型2m)には予め設定した圧力の目標値に基づく型締力が作用し、可動型2mが第一位置X1から前進して固定型2cに当接(圧接)する(ステップS8)。この場合、可動型2mが固定型2cに当接する位置が第二位置X2となる。したがって、二次型締工程では、図8(a)に示すように、可動型2mが第一位置X1から第二位置X2に変位し、金型2内の樹脂を圧縮する圧縮工程が行われる。図8中、tfが射出充填工程の終了時点、tgが圧縮工程の終了時点を示している。通常、二次型締工程では多段の保圧力が付与されるとともに、後段では冷却工程が行われて樹脂が固化する(ステップS9)。図8中、thが冷却開始時点、tjが冷却工程の終了時点を示す。
そして、冷却工程の終了により型開工程が行われる(ステップS10)。以上が、型締装置Mcの動作に着目した一サイクルの動作となる。図8中、SMは計量区間を示す。なお、サーボモータ4amsと4bmsは、図8(d),(e)に示すように、冷却工程の終了まで作動を維持し、サーボモータ4amsと4bmsの回転数に対する制御が行われるとともに、サーボモータ4cmsは、計量工程の終了により作動を停止する。また、図5に示すモード選択部85により接続側が選択され、指令値増補機能部5aの出力である増補値Dsが加算器77により指令値Dcxに付与される動作は一次型締工程から冷却工程が終了するまで行われる。この際、一次型締工程では、図5に示す型締系サーボ回路12aと図6に示す型開系サーボ回路12bが用いられるが、二次型締工程の開始以降は、圧力制御モードでは、上述したように図7に示す型締系サーボ回路12aが用いられが、位置制御モードでは図5に示す型締系サーボ回路12aが用いられる。
以上、最良の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値.手法(手順)等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。例えば、各駆動モータ4am,4bm,4cmに、各サーボ回路12a,12b,12cに接続したサーボモータ4ams,4bms,4cmsを用いた場合を例示したが、同様の制御を行うことができれば他の駆動モータの使用を排除するものではない。なお、サーボモータ4ams,4bms,4cmsを用いれば、本発明に係る射出圧縮成形機M及び射出圧縮成形方法を容易かつ最適な態様で実施することができる。また、指令値増補機能部5aにおける増補値Dsについてはその大きさやタイミング(遅延調整)を任意に調整できるような可変調整部(可変設定部)を設けてもよい。さらに、樹脂圧検出部13として、第一樹脂圧センサ13a又は第二樹脂圧センサ13bを選択して用いる場合を例示したが、両者の平均値を用いるなど、両者を同時に使用してもよい。
本発明の最良の実施形態に係る射出圧縮成形方法の処理手順を説明するためのフローチャート、 本発明の最良の実施形態に係る射出圧縮成形機の全体構成図、 同射出圧縮成形機の油圧回路部に使用する油圧ポンプの構成図、 同射出圧縮成形機の制御系の概略構成を示すブロック系統図、 同射出圧縮成形機の成形機コントローラにおける位置制御時の型締系サーボ回路の機能ブロック図、 同成形機コントローラにおける圧力制御時の型開系サーボ回路の機能ブロック図、 同成形機コントローラにおける圧力制御時の型締系サーボ回路の機能ブロック図、 同射出圧縮成形方法を用いた際における工程を説明するためのタイミングチャート、
符号の説明
2:金型,3:型締シリンダ,3r:型締シリンダの後油室,3f:型締シリンダの前油室,4a:第一油圧ポンプ,4b:第二油圧ポンプ,4c:第三油圧ポンプ,4ap:ポンプ本体,4bp:ポンプ本体,4cp:ポンプ本体,4am:駆動モータ,4bm:駆動モータ,4cm:駆動モータ,4ams:サーボモータ,4bms:サーボモータ,4cms:サーボモータ,5:制御部,5a:指令値増補機能部,11:射出シリンダ,11r:射出シリンダの後油室,12a:型締系サーボ回路,12b:型開系サーボ回路,12c:射出系サーボ回路,13:樹脂圧検出部,13a:第一樹脂圧センサ,13b:第二樹脂圧センサ,14:樹脂圧変換部,15:増補値加算部,16:射出ノズル,M:射出圧縮成形機,Mc:型締装置,Mi:射出装置,L1:所定の隙間,X1:第一型位置,X2:第二型位置,Ca:第一油圧回路部,Cb:第二油圧回路部,Cc:第三油圧回路部,Dr:樹脂圧(検出値),Ds:増補値,Dc:指令値,Dsp:目標値,Dsx:目標値,(S5):射出充填工程,(S7):圧縮工程

Claims (9)

  1. 少なくとも金型を所定の隙間だけ開けた第一型位置で樹脂を充填可能な一次型締及び前記金型を前記第一型位置から第二型位置まで閉じて樹脂を圧縮可能な二次型締を行う型締装置と、前記金型に樹脂を射出充填可能な射出装置を備える射出圧縮成形機において、前記型締装置における型締シリンダの後油室に接続することにより型締力を付与可能に構成し、ポンプ本体を回転駆動する駆動モータの回転数を可変して少なくとも吐出流量を可変可能な第一油圧ポンプを有する第一油圧回路部と、前記型締シリンダの前油室に接続することにより型開力を付与可能に構成し、ポンプ本体を回転駆動する駆動モータの回転数を可変して少なくとも吐出流量を可変可能な第二油圧ポンプを有する第二油圧回路部と、前記各駆動モータの回転数を制御することにより、少なくとも前記第一型位置に対する位置制御を行う制御部とを備えることを特徴とする射出圧縮成形機。
  2. 前記射出装置は、射出シリンダに接続可能に構成し、ポンプ本体を回転駆動する駆動モータの回転数を可変して少なくとも吐出流量を可変可能な第三油圧ポンプを有する第三油圧回路部を備えることを特徴とする請求項1記載の射出圧縮成形機。
  3. 前記各駆動モータは、サーボ回路に接続したサーボモータを用いることを特徴とする請求項1又は2記載の射出圧縮成形機。
  4. 前記制御部は、前記射出装置から射出する樹脂の圧力(樹脂圧)を検出する樹脂圧検出部と、検出した樹脂圧を金型内における樹脂圧に対抗する型締力に係わる増補値に変換する樹脂圧変換部と、この増補値を少なくとも前記第一型位置に対する位置制御に係わる型締力の指令値に加算する増補値加算部とを有する指令値増補機能部を備えることを特徴とする請求項1,2又は3記載の射出圧縮成形機。
  5. 前記樹脂圧検出部は、前記射出シリンダの後油室の油圧を検出して樹脂圧を得る第一樹脂圧センサ又は射出ノズルに付設して射出ノズル内の樹脂圧を検出する第二樹脂圧センサの一方又は双方を用いることを特徴とする請求項4記載の射出圧縮成形機。
  6. 型締装置により所定の隙間だけ開けた第一型位置に一次型締した金型に射出装置から樹脂を射出充填する射出充填工程と、前記型締装置により前記第一型位置から第二型位置まで閉じる二次型締により前記金型に充填された樹脂を圧縮する圧縮工程とを備える射出圧縮成形方法において、ポンプ本体を回転駆動する駆動モータの回転数を可変して少なくとも吐出流量を可変可能な第一油圧ポンプを有する第一油圧回路部を、前記型締装置における型締シリンダの後油室に接続して型締力を付与するとともに、ポンプ本体を回転駆動する駆動モータの回転数を可変して少なくとも吐出流量を可変可能な第二油圧ポンプを有する第二油圧回路部を、前記型締シリンダの前油室に接続して型開力を付与し、制御部により前記各駆動モータの回転数を制御することにより、少なくとも前記第一型位置に対する位置制御を行うことを特徴とする射出圧縮成形方法。
  7. 前記射出充填工程では、前記射出装置から射出する樹脂の圧力(樹脂圧)を検出するとともに、検出した樹脂圧を、金型内における樹脂圧に対抗する型締力に係わる増補値に変換し、この増補値を、少なくとも前記第一型位置に対する位置制御に係わる型締力の指令値に加算する増補処理を行うことを特徴とする請求項6記載の射出圧縮成形方法。
  8. 前記制御部は、前記第二油圧回路部における駆動モータの回転数を制御し、予め設定した目標値に基づいて前記型開力を一定に制御するとともに、前記第一油圧回路部における駆動モータの回転数を制御し、前記型締力を可変して位置又は圧力に対するフィードバック制御を行うことを特徴とする請求項6又は7記載の射出圧縮成形方法。
  9. 前記制御部は、付与される目標値を入力するに際し、前記目標値に向かって徐々に傾斜するランプ処理を行うことを特徴とする請求項6,7又は8記載の射出圧縮成形方法。
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