JP4934419B2 - 電池パック - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、リチウムイオン二次電池などを用いた電池パックに用いられる温度検出回路及び、その温度検出回路を備えた電池パックに関する。
現在、ノートPCに用いられるリチウムイオン二次電池の電池バッテリーパックとして、マイクロコンピュータを用いた残容量表示機能を有するものが広く使われるようになって来ている。マイクロコンピュータを用いた残容量表示機能を有する電池パックとして、例えば次のようなものが挙げられる。
特許文献1には、2つのサーミスタを備えており、一方のサーミスタを用いて基板温度を検出し、他方のサーミスタを用いて二次電池群の温度を検出するバッテリーパックが開示されている。このバッテリーパックでは、この2つのサーミスタによって検出された基板温度及び電池温度の差が所定値より大きくなると、その制御が停止されるようになっている。
特許文献2には、2つのサーミスタを備えた、二次電池の残容量の誤差を補正する補正回路が開示されている。この補正回路では、この2つのサーミスタを用いて、二次電池の周囲温度を検出し、あるいは二次電池の表面温度を検出し、あるいは二次電池の近傍の温度を検出する。この補正回路では、この2つのサーミスタの測定温度を用いることで、二次電池の放電末期電圧の温度による補正を実現する。
特許文献3には、バッテリ挿入部の内部にサーミスタを備え、このバッテリーパック挿入部にサーミスタを内蔵する電池パックを挿入可能とする電子カメラが開示されている。この電子カメラでは、電池パックの種類に応じて、バッテリ挿入部内のサーミスタあるいは電池パック内のサーミスタのうちのいずれかを用いて電池パックの温度を検出することで、電池パックの温度を正確に算出する。
特開2005−049216号公報 特開2002−260744号公報 特開2001−185231号公報
上述したような異なる2つの位置の温度を2つのサーミスタを用いて検出する場合、マイクロコンピュータにはそれぞれを用いるための端子が2つ必要である。一般に、リチウムイオン二次電池などを用いた電池パックの残容量算出などに使用することができるマイクロコンピュータとしては多種類存在するが、標準的なマイクロコンピュータでは、上述したようなサーミスタを用いるための端子は1つであることが多い。このため、標準的なマイクロコンピュータを使用した場合には、上述したような2つのサーミスタを用いて異なる位置の温度を検出することができないという問題点がある。
上記問題点に鑑み、本発明は、温度検出用の温度検出回路を制御する端子を1つしか持たない標準的なマイクロコンピュータを用いた場合であっても、複数のサーミスタを用いて、複数の位置の温度を検出することができる温度検出回路、及び、この温度検出回路を備えた電池パックを提供することを目的とする。
本発明に係る電池パックは、第1のサーミスタと第2のサーミスタとを直列接続して構成された直列接続回路と、前記第2のサーミスタに並列接続されたスイッチング素子と、高電位電源と低電位電源との間で、前記直列接続回路と直列接続された抵抗とを備え、前記スイッチング素子がONした時に、前記第2のサーミスタの両端間を短絡させることにより、前記第1のサーミスタの両端間の電圧を出力し、前記スイッチング素子がOFFした時に、前記直列接続回路の両端間の電圧を出力する温度検出回路と、複数のセルから成る組電池と、前記組電池の充放電を制御するFETとを備え、前記温度検出回路は、前記組電池のセルの温度と前記組電池の充放電を制御するFETの温度を検出する。
本発明に係る温度検出回路では、スイッチング素子をONし、第2のサーミスタの両端間を短絡させ、第1のサーミスタの両端間の電圧を出力する。このため、この温度検出回路を制御するマイクロコンピュータは、この第1のサーミスタの電圧から第1のサーミスタの抵抗値を算出し、その抵抗値から第1のサーミスタの周囲の温度を算出することができる。
さらに、今度は、スイッチング素子をOFFさせることで、直列接続回路の両端間の電圧を出力する。このため、上記のマイクロコンピュータは、この直列接続回路の電圧から直列接続回路の抵抗値を算出し、さらに、既に算出した第1のサーミスタの抵抗値を用いて、第2のサーミスタの抵抗値を算出する。その抵抗値から第2のサーミスタの周囲の温度を算出することができる。
したがって、1つのスイッチング素子のON/OFFを制御することにより、異なる位置に配置された2つのサーミスタの周囲温度を検出することができる。また、2つのサーミスタとスイッチング素子とから成る簡単で安価な回路で実現することができる。
本発明に係る電池パックは、第1のサーミスタと第2のサーミスタとを並列接続して構成された並列接続回路と、前記第2のサーミスタに直列接続されたスイッチング素子と、高電位電源と低電位電源との間で、前記並列接続回路と直列接続された抵抗とを備え、前記スイッチング素子がOFFした時に、前記第2のサーミスタの両端間を開放させることで、前記第1のサーミスタの両端間の電圧を出力し、前記スイッチング素子がONした時に、前記並列接続回路の両端間の電圧を出力する温度検出回路と、複数のセルから成る組電池と、前記組電池の充放電を制御するFETとを備え、前記温度検出回路は、前記組電池のセルの温度と前記組電池の充放電を制御するFETの温度を検出する。
本発明に係る温度検出回路では、スイッチング素子をOFFし、第2のサーミスタの両端間を開放させ、第1のサーミスタの両端間の電圧を出力する。このため、この温度検出回路を制御するマイクロコンピュータは、この第1のサーミスタの電圧から第1のサーミスタの抵抗値を算出し、その抵抗値から第1のサーミスタの周囲の温度を算出することができる。
さらに、今度は、スイッチング素子をONさせることで、並列接続回路の両端間の電圧を出力する。このため、上記のマイクロコンピュータは、この並列接続回路の電圧から並列接続回路の抵抗値を算出し、さらに、既に算出した第1のサーミスタの抵抗値を用いて、第2のサーミスタの抵抗値を算出する。その抵抗値から第2のサーミスタの周囲の温度を算出することができる。
したがって、1つのスイッチング素子のON/OFFを制御することにより、異なる位置に配置された2つのサーミスタの周囲温度を検出することができる。また、2つのサーミスタとスイッチング素子とから成る簡単で安価な回路で実現することができる。
本発明に係る電池パックによれば、搭載するマイクロコンピュータが上記のような標準的なマイクロコンピュータであっても、組電池のセルの温度と、組電池の充放電を制御するFETの温度を検出することができる。このため、組電池のセルの温度を検出することで、組電池の残量の管理の精度を向上させ、パワートランジスタ等で構成されるFETの温度を検出することで、FET自体の保護動作を行うことができる。また、端子数の多いマイクロコンピュータを用いる必要がないので、電池パックのコストダウンも図ることができる。
上記の構成において、前記第1のサーミスタは前記組電池のセルの温度を検出し、前記第2のサーミスタは前記組電池の充放電を制御するFETの温度を検出することが好ましい。
この構成によれば、高い温度検出精度を要求する組電池のセルの温度の検出を高精度に行うことができる。
本発明によれば、温度検出用の端子が1つしか持たないような標準的なマイクロコンピュータを用いた場合であっても、温度検出回路を構成する2つのサーミスタを用いることができる。したがって、温度検出用の端子を複数備える高機能のマクロコンピュータを用いることなく、2つの異なる位置の温度を検出することが可能となる。同時に、温度検出回路の構成自体も、2つのサーミスタとスイッチング素子を使用するだけであり、簡単で安価な回路を用いて実現することができる。
以下図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る温度検出回路が適用された電池パックの構成を示すブロック図である。図1において、電池パック1には、電池パック1から電源供給される負荷機器2が接続されている。電池パック1及び負荷機器2は、給電を行う直流High側の端子T11、T21と、通信信号の端子T12、T22と、給電及び通信信号のためのGND端子T13、T23とによって相互に接続される。電池パック1の充電は、負荷機器2に接続されて、負荷機器2を介して行われる。あるいは、図示しない充電器によって充電が行われても良い。この場合、充電器にも同様の3つの端子が設けられる。
電池パック1には、給電を行う直流High側の端子T11と組電池14のHigh側端子との間に直流High側の給電経路11が敷設されている。この給電経路11には、組電池14の充電用と放電用とで、相互に導電形式が異なるFET12、13が介在されている。一方、GND端子13と組電池14のlow側端子との間には、直流low側の給電経路15が敷設されている。この給電経路15には、組電池14の充電電流及び放電電流を電圧値に変換する電流検出抵抗16が介在されている。
組電池の各セルの端子間電圧は電圧検出回路20によって読み取られ、マイクロコンピュータ18に入力される。また、電流検出抵抗16によって検出される電流値も、マイクロコンピュータ18に入力される。
さらに、電池パック1は、本発明の実施の形態1に係る温度検出回路17を備え、この温度検出回路17は、第1のサーミスタ42及び第2のサーミスタ43を含んでいる。組電池14は、複数の二次電池のセルが直並列に接続されて構成され、そのセルの温度は第1のサーミスタ42によって検出される。マイクロコンピュータ18は、第1のサーミスタ42の電圧を測定することで、セルの温度を検出する。一方、第2のサーミスタ43は、組電池14の充電及び放電に用いられるFET12、13の近傍に配置される。FET12、13近傍の温度は第2のサーミスタ43によって検出される。マイクロコンピュータ18は、第2のサーミスタ43の電圧を測定することで、FET12、13の温度を検出する。
マイクロコンピュータ18は、組電池14の残量が、満充電時の何%であるかを演算して、端子T12及び端子T22を介して負荷機器2へ送信する。また、マイクロコンピュータ18は、図示しない充電器に対して、出力を要求する充電電流の電圧値および電流値を演算し、通信部22から端子T12を介して送信する。さらに、マイクロコンピュータ18は、端子T11,T13間の短絡や充電器からの異常電流などの電池パック1の外部における異常や、組電池14の異常な温度上昇などに対して、FET12、13を遮断するなどの保護動作を行う。また、マイクロコンピュータ18は、組電池14に対する通常の充電及び放電においても、FET12、FET13の周囲温度からそれらのON抵抗を考慮して、その導通/遮断動作を制御し、あるいは、FET12、13自体の保護動作を行う。
負荷機器2では、マイクロコンピュータ30が前記の残量を受信し、各種の負荷回路33の消費電力から、電池パック1の残使用時間を演算し、表示パネル34に表示を行う。また、マイクロコンピュータ30は、図示しない入力操作装置の入力などに応答して、各種の負荷回路33を制御する。
次に、本実施の形態に係る温度検出回路の具体的な回路構成について説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る温度検出回路の構成を示す回路図である。図2に示すように、本実施の形態に係る温度検出回路17は、第1の抵抗41と、第1のサーミスタ42と、第2のサーミスタ43と、スイッチング素子44と、第1の電圧測定用端子45と、第2の電圧測定用端子46と、スイッチング素子44の制御用端子47と、を備える。
第1の抵抗41と、第1のサーミスタ42と、第2のサーミスタ43は、高電位電源と低電位電源との間で列接続される。低電位電源は高電位電源より電位が低ければよく、本実施の形態ではGNDとしている。スイッチング素子44は、第2のサーミスタ43と並列接続されており、制御端子47からの制御信号によってON/OFFする。スイッチング素子44のON抵抗は第2のサーミスタ43の抵抗値と比べて非常に小さい。このため、スイッチング素子44がOFFの場合には、高電位電源から第1の抵抗41、第1のサーミスタ42、第2のサーミスタ43を介してGNDに電流が流れるが、スイッチング素子44がONすると、高電位電源からGNDに流れる電流の経路は、第1の抵抗41、第1のサーミスタ42、スイッチング素子44を通る経路になる。
第1のサーミスタ42と第2のサーミスタ43は、それぞれ異なる位置に配置される。例えば、図1に示す組電池14の各セルの温度を検出するサーミスタとして第1のサーミスタ42が配置され、図1のFET12及び13の周囲温度を検出するサーミスタとして第2のサーミスタ43が配置される。
スイッチング素子44の制御端子47は、マイクロコンピュータ18に接続される。マイクロコンピュータ18は、スイッチング素子44のON/OFFを制御する。マイクロコンピュータ18は、標準的なマイクロコンピュータであり、上記の第1のサーミスタ42及び第2のサーミスタ43を切り替えるための端子を1つ備えるものである。このマイクロコンピュータの端子は図2の制御端子47に接続し、マイクロコンピュータからの制御信号を、制御端子47を介してスイッチング素子44に伝達し、スイッチング素子47のON/OFF制御によって、第1のサーミスタ42及び第2のサーミスタ43が制御される。
第1の電圧測定用端子45は第1の抵抗41と第1のサーミスタ42との接続点に接続され、第2の電圧測定用端子46はGNDに接続される。この接続構成により、第1の電圧測定用端子45と第2の電圧測定用端子46との間には、スイッチング素子44がON時では、高電位電源とGNDとの電位差を第1の抵抗41の抵抗値と第1のサーミスタ42の抵抗値とで分圧した分圧電圧(以下、「第1の分圧電圧」と呼ぶ。)が出力される。一方、スイッチング素子44がOFF時では、端子45と端子46の端子間には、高電位電源とGNDとの電位差を第1の抵抗41の抵抗値と第1のサーミスタ42及び第2のサーミスタ43の合成抵抗の抵抗値とで分圧した分圧電圧(以下、「第2の分圧電圧」と呼ぶ。)が出力される。
上記のマイクロコンピュータは、第1の分圧電圧から第1のサーミスタ42の抵抗値を算出し、その抵抗値から第1のサーミスタ42の周囲温度を検出する。さらに、第2の分圧電圧から第1のサーミスタ42と第2のサーミスタ43の合成抵抗の抵抗値を算出し、既に算出した第1のサーミスタ42の抵抗値を用いて、第2のサーミスタ43の抵抗値を算出する。そして、その算出した抵抗値から第2のサーミスタ43の周囲温度を検出する。
スイッチング素子44は、上述したように、第2のサーミスタ抵抗43の抵抗値よりもON抵抗が小さければよく、例えば、MOSトランジスタやバイポーラトランジスタから成るFETで実現することができる。スイッチング素子44をMOSトランジスタで構成した場合には、そのゲート電極が制御端子47となり、バイポーラトランジスタで構成した場合には、そのベース電極が制御端子47となる。
次に、本発明の実施の形態1に係る温度検出回路の具体的な動作について説明する。図3は、本実施の形態に係る温度検出回路を用いて異なる2つの位置の温度を測定する処理手順を示すフローチャートである。
図3に示すように、上記のマイクロコンピュータは、温度検出回路の制御端子47を介してスイッチング素子44に制御信号を送り、スイッチング素子44をONする(ステップS101)。スイッチング素子44がONすることで、第2のサーミスタ43の両端は短絡し、高電位電源からGNDに流れる電流の経路は、第1の抵抗41、第1のサーミスタ42、スイッチング素子44を通る経路となる。
次に、第1の電圧測定用端子45と第2の電圧測定用端子46との間に出力される第1の分圧電圧を測定する(ステップS102)。第1の分圧電圧は、スイッチング素子44のON抵抗の値が第1のサーミスタ42の抵抗値よりも非常に小さいので、第1のサーミスタ42の両端間の電圧となる。
次に、上記のステップS102で測定した第1の分圧電圧、すなわち、第1のサーミスタ42の両端間の電圧から、第1のサーミスタ42の抵抗値を算出する。サーミスタは温度の違いによって電気抵抗が大きく変換する特性を有していることから、算出した抵抗値から第1のサーミスタ42の周囲の温度を算出することができる(ステップS103)。例えば、上記したように、図1に示す組電池の各セルの温度を検出するサーミスタとして第1のサーミスタ42が配置されている場合には、組電池14の温度を算出することができることになる。
次に、マイクロコンピュータは、温度検出回路の制御端子47を介してスイッチング素子44に制御信号を送り、今度は、スイッチング素子44をOFFする(ステップS104)。スイッチング素子44がOFFすることで、高電位電源からGNDに流れる電流の経路は、第1の抵抗41、第1のサーミスタ42、第2のサーミスタ43を通る経路となる。
次に、第1の電圧測定用端子45と第2の電圧測定用端子46との間に出力される第2の分圧電圧を測定する(ステップS105)。第2の分圧電圧は、直接接続された第1のサーミスタ42と第2のサーミスタ43の合成抵抗の両端間の電圧となる。
次に、上記のステップS105で測定した第2の分圧電圧、すなわち、直接接続された第1のサーミスタ42と第2のサーミスタ43の両端間の電圧から、まず、直接接続された第1のサーミスタ42と第2のサーミスタ43の合成抵抗の抵抗値を算出する。その合成抵抗の抵抗値と上記のステップS103で算出した第1のサーミスタ42の抵抗値とを用いて、第2のサーミスタ43の抵抗値を算出する。そして、算出した第2のサーミスタ43の抵抗値から第2のサーミスタ43の周囲の温度を算出する(ステップS106)。上記したように、図1に示すFET12、13の周囲の温度を検出するサーミスタとして第2のサーミスタ43が配置されている場合には、FET13、14の周囲温度を算出することができることになる。
上述したステップS101〜ステップS106を一定のサンプリング周期で実行し、第1のサーミスタ42、第2のサーミスタ43のそれぞれの周囲温度を検出することができる。
本発明の実施の形態1によれば、温度検出用の端子が1つしか持たないような標準的なマイクロコンピュータを用いた場合であっても、温度検出回路を構成する2つのサーミスタを用いることができる。したがって、温度検出用の端子を複数備える高機能のマクロコンピュータを用いることなく、2つの異なる位置の温度を検出することが可能となる。同時に、温度検出回路の構成自体も、2つのサーミスタとスイッチング素子を使用するだけであり、簡単で安価な回路を用いて実現することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。上記の実施の形態1に係る温度検出回路は、2つのサーミスタを直列接続して構成されるものであった。これに対して、本発明の実施の形態2に係る温度検出回路は、2つのサーミスタを並列接続して構成されるものである。本実施の形態に係る温度検出回路は、上記の実施の形態1と同様、例えば電池パックに適用されるものである。本実施の形態に係る温度検出回路が適用された電池パックの構成は、上記実施の形態1と同様であるので、その構成の説明についてはここでは省略する。
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る温度検出回路の構成を示す回路図である。図4に示すように、本実施の形態に係る温度検出回路は、第2の抵抗51と、第3のサーミスタ52と、第4のサーミスタ53と、スイッチング素子54と、第1の電圧測定用端子55と、第2の電圧測定用端子56と、スイッチング素子54の制御用端子57と、を備える。
第3のサーミスタ52と第4のサーミスタ53は並列接続され、並列接続された第3のサーミスタ52と第4のサーミスタ53と、第2の抵抗51とは、高電位電源と低電位電源との間で直列接続される。上記実施の形態1と同様、低電位電源は高電位電源より電位が低ければよい。ここでは、低電位電源をGNDとしている。第2のスイッチング素子54は、第4のサーミスタ53と直列接続されており、第2の制御端子57からの制御信号によってON/OFFする。第2のスイッチング素子54のON抵抗は、第4のサーミスタ53の抵抗値と比べて非常に小さくなるように設定されている。
第2のスイッチング素子54のON/OFFの切り替えによって、高電位電源からGNDに流れる電流の経路は、次のように変化する。すなわち、第2のスイッチング素子54がOFFの場合には、高電位電源から第2の抵抗51、第3のサーミスタ52を介してGNDに電流が流れる。一方、第2のスイッチング素子54がONすると、高電位電源から第2の抵抗51、第3のサーミスタ52を介してGNDに流れる経路と、第2の抵抗51、第4のサーミスタ53を介してGNDに流れる経路の2つとなる。
第3のサーミスタ52と第4のサーミスタ54は、上記の実施の形態1と同様、それぞれ異なる位置に配置される。例えば、図1に示す組電池14の各セルの温度を検出するサーミスタとして第3のサーミスタ52が配置され、図1のFET12及び13の周囲の温度を検出するサーミスタとして第4のサーミスタ53が配置される。
第2のスイッチング素子54の第2の制御端子57はマイクロコンピュータ18に接続され、第2のスイッチング素子54のON/OFFの制御を、マイクロコンピュータ18が第2の制御端子57を介して実行する。上記の実施の形態1と同様、このマイクロコンピュータ18は標準的なマイクロコンピュータであり、本実施の形態に係る温度検出回路を制御するための端子を1つ備えるものである。その端子は、図4の制御端子57と接続しており、マイクロコンピュータ18は制御信号を、制御端子57を介してスイッチング素子44に伝達する。そして、その制御信号によって、スイッチング素子47のON/OFFを制御し、それにより第3のサーミスタ52及び第4のサーミスタ53を制御する。
第3の電圧測定用端子55は第2の抵抗51と第3のサーミスタ52との接続点に接続される。この接続点には第3のサーミスタ52と並列接続される第4のサーミスタ53も接続される。一方、第4の電圧測定用端子56はGNDに接続される。この接続構成により、第3の電圧測定用端子55と第4の電圧測定用端子56との間には、第2のスイッチング素子54がOFF時には、高電位電源とGNDとの電位差を第2の抵抗51の抵抗値と第3のサーミスタ52の抵抗値とで分圧した分圧電圧(以下、「第3の分圧電圧」と呼ぶ。)が現れることになる。それに対し、第2のスイッチング素子54がON時には、端子55と端子56の端子間には、高電位電源とGNDとの電位差を第2の抵抗51の抵抗値と第3のサーミスタ52及び第4のサーミスタ53の合成抵抗の抵抗値とで分圧した分圧電圧(以下、「第4の分圧電圧」と呼ぶ。)が現れることになる。
上記のマイクロコンピュータは、第3の分圧電圧から第3のサーミスタ52の抵抗値を算出し、その抵抗値から第3のサーミスタ52の周囲温度を検出する。さらに、第4の分圧電圧から第3のサーミスタ52と第4のサーミスタ53の合成抵抗の抵抗値を算出し、既に算出した第3のサーミスタ52の抵抗値を用いて、第4のサーミスタ53の抵抗値を算出する。そして、その算出した抵抗値から第4のサーミスタ53の周囲温度を検出する。
第2のスイッチング素子54は、上記の実施の形態1の第1のスイッチング素子44と同様、例えば、MOSトランジスタやバイポーラトランジスタから成るFETで実現可能である。第2のスイッチング素子54をMOSトランジスタで構成した場合には、そのゲート電極が制御端子57となり、バイポーラトランジスタで構成した場合には、そのベース電極が制御端子57となる。
次に、本発明の実施の形態2に係る温度検出回路の具体的な動作について説明する。図5は、本実施の形態に係る温度検出回路を用いて異なる2つの位置の温度を測定する処理手順を示すフローチャートである。
図5に示すように、上記のマイクロコンピュータは、本実施の形態に係る温度検出回路の制御端子57を介して第2のスイッチング素子54に制御信号を送る。第2のスイッチング素子54は、その制御信号に基づき、OFFする(ステップS201)。第2のスイッチング素子54がOFFすると、第4のサーミスタ53は開放される。このため、高電位電源からGNDに流れる電流の経路は、第2の抵抗51、第3のサーミスタ52を通る経路のみとなる。
次に、第3の電圧測定用端子55と第4の電圧測定用端子56との間に出力される第3の分圧電圧を測定する(ステップS202)。ここで測定される第3の分圧電圧は、第3のサーミスタ52の両端間の電圧である。
次に、上記のステップS202で測定した第3の分圧電圧、すなわち、第3のサーミスタ52の両端間の電圧から、第3のサーミスタ52の抵抗値を算出する。さらに、その算出した抵抗値から第3のサーミスタ52の周囲の温度を検出する(ステップS203)。第3のサーミスタ52が図1に示す組電池14の各セルの温度を検出するサーミスタとして配置されている場合には、組電池14の温度を算出することができる。
次に、マイクロコンピュータは、本実施の形態の温度検出回路の制御端子47を介して第2のスイッチング素子54に制御信号を送り、今度は、第2のスイッチング素子54をONする(ステップS204)。第2のスイッチング素子54がONすることで、高電位電源からGNDに流れる電流の経路は、第2の抵抗51、第3のサーミスタ52を通る経路と、第2の抵抗51、第4のサーミスタ53を通る経路の2つとなる。
次に、第3の電圧測定用端子55と第4の電圧測定用端子56との間に出力される第4の分圧電圧を測定する(ステップS205)。第4の分圧電圧は、並列接続された第3のサーミスタ52と第4のサーミスタ53の合成抵抗の両端間の電圧となる。
次に、上記のステップS205で測定した第4の分圧電圧、すなわち、並列接続された第3のサーミスタ52と第4のサーミスタ53の合成抵抗の両端間の電圧から、まず、その合成抵抗の抵抗値を算出する。その合成抵抗の抵抗値と上記のステップS205で算出した第3のサーミスタ52の抵抗値とを用いて、第4のサーミスタ53の抵抗値を算出する。そして、算出した第4のサーミスタ53の抵抗値から第4のサーミスタ53の周囲の温度を算出する(ステップS206)。第4のサーミスタ53が図1に示すFET12、13の周囲温度を検出するサーミスタとして配置されている場合には、FET12、13の周囲温度を算出することができる。
上述したステップS201〜ステップS206を一定のサンプリング周期で実行し、第3のサーミスタ52、第3のサーミスタ53のそれぞれの周囲温度を検出することができる。
本発明の実施の形態2によれば、温度検出用の端子が1つしか持たないような標準的なマイクロコンピュータを用いた場合であっても、温度検出回路を構成する2つのサーミスタを用いることができる。したがって、温度検出用の端子を複数備える高機能のマクロコンピュータを用いることなく、2つの異なる位置の温度を検出することが可能となる。同時に、温度検出回路の構成自体も、2つのサーミスタとスイッチング素子を使用するだけであり、簡単で安価な回路を用いて実現することができる。
本実施の形態において、第3のサーミスタ52の抵抗値を第4のサーミスタ53の抵抗値よりも大きくする。第3のサーミスタ52の抵抗値を第4のサーミスタ53の抵抗値よりも大きくすることで、第4のサーミスタ53の温度の検出誤差は、第3のサーミスタ52の検出誤差に(第4のサーミスタ53の抵抗値/第3のサーミスタ52の抵抗値)の比率をかけた分だけ増加するのみで、第4のサーミスタ53そのものの検出誤差とほとんどかわらず、実使用上問題がない。
例えば、図1の組電池14とFET12、13のそれぞれの温度を検出する場合、高い温度検出精度が要求される組電池14側に第3のサーミスタ52を配置すればよい。それにより、組電池14の温度を高精度に検出することができる。例えば、第3のサーミスタ52の抵抗値を100kΩ程度とし、第4のサーミスタ53の抵抗値を10kΩ程度にすれば良い。こうすれば、第4のサーミスタ53の検出誤差は、第4のサーミスタ53の検出誤差に第3のサーミスタ52の検出誤差の10分の1程度が増加するのみで、実使用上問題がない。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は実施の形態1及び実施の形態2によって記載したが、これらに限定されるものではない。
上記の実施の形態1及び実施の形態2では、2つの異なる位置に2つのサーミスタをそれぞれ配置したが、例えば、図6及び図7に示すように、3つのサーミスタを備え、それぞれ異なる位置に配置するようにしても良い。図6は、図2の実施の形態1に係る温度検出回路にさらにもう1つサーミスタを設けた構成を示している。制御端子47a及び制御端子47bを介してスイッチング素子44a及びスイッチング素子44bを制御することで、3つのサーミスタ42、43a、43bの温度を算出することができる。また、図7には、図4の実施の形態2に係る温度検出回路にさらにもう1つのサーミスタを設けた構成を示している。制御端子57a及び制御端子57bを介してスイッチング素子54a及びスイッチング素子54bを制御することで、3つのサーミスタ52、53a、53bの温度を算出することができる。もちろん、4つ以上のサーミスタを設けても構わない。
上記の実施の形態1及び実施の形態2では、単一の電池パック内の異なる位置の温度を検出する例を用いて説明したが、例えば、異なる電池パックのそれぞれの組電池の温度を検出する場合にも本発明は適用可能である。本発明は、異なる複数の位置の温度を検出する場合であれば、適用可能である。
本発明は、リチウムイオン二次電池を用いた電池パック等、複数の位置の温度検出を必要とする機器に好適に利用することができる。
本発明の実施の形態1に係る温度検出回路が適用された電池パックの構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る温度検出回路の構成を示す回路図である。 本発明の実施の形態1に係る温度検出回路を用いて異なる2つの位置の温度を測定する処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る温度検出回路の構成を示す回路図である。 本発明の実施の形態2に係る温度検出回路を用いて異なる2つの位置の温度を測定する処理手順を示すフローチャートである。 図2の実施の形態1に係る温度検出回路にさらにもう1つサーミスタを設けた構成を示す回路図である。 図4の実施の形態2に係る温度検出回路にさらにもう1つサーミスタを設けた構成を示す回路図である。
符号の説明
1 電池パック
2 負荷機器
11 給電経路
12、13 FET
14 組電池
16 電流検出抵抗
17 温度検出回路
18、30 マイクロコンピュータ
20 電圧検出回路
33 負荷回路
34 表示パネル
41、51 抵抗
42、43、43a、43b、52、53、53a、53b サーミスタ
44、44a、44b、54、54a、54b スイッチング素子
45、46、55、56 電圧測定用端子
47、47a、47b、57、57a、57b スイッチング素子の制御用端子
T11、T12、T13、T21、T22、T23 端子

Claims (3)

  1. 第1のサーミスタと第2のサーミスタとを直列接続して構成された直列接続回路と、前記第2のサーミスタに並列接続されたスイッチング素子と、高電位電源と低電位電源との間で、前記直列接続回路と直列接続された抵抗とを備え、前記スイッチング素子がONした時に、前記第2のサーミスタの両端間を短絡させることにより、前記第1のサーミスタの両端間の電圧を出力し、前記スイッチング素子がOFFした時に、前記直列接続回路の両端間の電圧を出力する温度検出回路と、
    複数のセルから成る組電池と、
    前記組電池の充放電を制御するFETと
    を備え、
    前記温度検出回路は、前記組電池のセルの温度と前記組電池の充放電を制御するFETの温度を検出することを特徴とする電池パック。
  2. 第1のサーミスタと第2のサーミスタとを並列接続して構成された並列接続回路と、前記第2のサーミスタに直列接続されたスイッチング素子と、高電位電源と低電位電源との間で、前記並列接続回路と直列接続された抵抗とを備え、前記スイッチング素子がOFFした時に、前記第2のサーミスタの両端間を開放させることで、前記第1のサーミスタの両端間の電圧を出力し、前記スイッチング素子がONした時に、前記並列接続回路の両端間の電圧を出力する温度検出回路と、
    複数のセルから成る組電池と、
    前記組電池の充放電を制御するFETと
    を備え、
    前記温度検出回路は、前記組電池のセルの温度と前記組電池の充放電を制御するFETの温度を検出することを特徴とする電池パック。
  3. 前記第1のサーミスタは前記組電池のセルの温度を検出し、前記第2のサーミスタは前記組電池の充放電を制御するFETの温度を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の電池パック。
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