JP4934324B2 - エストロゲン様作用剤、ヒアルロン酸産生促進剤、表皮角化細胞増殖剤、及びスリミング剤 - Google Patents
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ところが、紫外線、著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等のある種の外的因子の影響を受けたり、加齢が進むと、細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲンの産生量が減少すると共に、架橋による弾性低下が生じる。また、エラスチンも、分解及び変質を起こす。更に、外的因子の影響や加齢に伴う線維芽細胞の増殖率低下も、コラーゲンの産生量の減少、天然保湿因子であるヒアルロン酸の産生量の低下を生じる。その結果、皮膚の弾力性や保湿機能は低下し、角質は異常剥離を引き起こし、肌は張りや艶を失い、荒れ、しわ、くすみ等の老化症状を呈するようになる。
そこで、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用を有する物質を天然物から抽出することが試みられており、例えば、藤茶抽出物(特許文献6参照)、カエデ属植物の抽出物(特許文献7参照)などが報告されている。
また、本発明は、第2に、前記抗老化剤、及び前記スリミング剤の少なくともいずれかを有効成分として配合してなり、皮膚のシワや弾力の低下の防止及び改善、皮膚の乾燥による肌荒れの防止、更には肥満の防止を図れる皮膚化粧料を提供することを目的とする。
<1> ラカシシュの抽出物を含有することを特徴とする抗老化剤である。
<2> エストロゲン様作用、ヒアルロン酸産生促進作用、及び表皮角化細胞増殖作用から選択される少なくともいずれかを有する前記<1>に記載の抗老化剤である。
<3> ラカシシュの抽出物を含有することを特徴とするスリミング剤である。
<4> サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用を有する前記<3>に記載のスリミング剤である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載のラカシシュ抽出物を有効成分として含有することを特徴とする皮膚化粧料である。
本発明のスリミング剤によると、優れたサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用を通じて、脂質代謝が活発になり、肥満を防止することができる。
また、本発明の抗老化剤、及びスリミング剤は、使用感と安全性に優れているので皮膚化粧料に配合するのに好適なものである。
本発明の抗老化剤、及びスリミング剤は、ラカシシュの抽出物を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記抗老化剤は、抗老化作用として、エストロゲン様作用、ヒアルロン酸産生促進作用、及び表皮角化細胞増殖作用から選択される少なくともいずれかを有していることが好ましい。
前記スリミング剤は、スリミング作用として、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用を有していることが好ましい。
前記ラカシシュには、止血作用、抗菌作用、鎮痛作用などを有することは知られているが、エストロゲン様作用、ヒアルロン酸産生促進作用、表皮角化細胞増殖作用、及びサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用を有し、抗老化剤、及びスリミング剤として有効であることは、これまで全く知られておらず、これらのことは、本発明者らによる新知見である。
前記抽出溶媒として使用し得る水としては、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
なお、前記水と親水性有機溶媒との混合溶媒を使用する場合には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1〜40質量部添加することが好ましい。多価アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部添加することが好ましい。
本発明のスリミング剤は、優れたサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用を通じて、脂質代謝が活発になり、肥満を防止することができる。
したがって、本発明の抗老化剤、及びスリミング剤は、上述した抗老化作用、及びスリミング作用の少なくともいずれかを有し、使用感と安全性に優れているので、特に以下の本発明の皮膚化粧料に配合するのに好適なものである。
本発明の皮膚化粧料は、本発明の抗老化剤、及びスリミング剤の少なくともいずれかを有効成分として含有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなる。
前記その他の成分としては、抗老化作用、及びスリミング作用の妨げにならない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択した成分が挙げられ、例えば、収斂剤、殺菌剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、細胞賦活剤、抗酸化剤、活性酸素除去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料、などが挙げられる。これらの成分は、前記ラカシシュ抽出物と共に併用した場合、相乗的に作用して、通常期待される以上の優れた作用効果をもたらすことがある。
−ラカシシュの水抽出物の調製−
ラカシシュの地上部の乾燥物を細切りしたもの200gに水2Lを加え、還流抽出器で80℃、2時間加熱抽出し、熱時濾過した。残渣について、更に同様の抽出処理を行った。得られた2つの抽出液を合わせて減圧下に濃縮し、乾燥してラカシシュの水抽出物を得た。得られた抽出物の収率を表1に示す。
−ラカシシュの50質量%エタノール抽出物の調製−
ラカシシュの地上部の乾燥物を細切りしたもの200gに50質量%エタノール(水とエタノールとの質量比1:1)2Lを加え、還流抽出器で80℃、2時間加熱抽出し、熱時濾過した。残渣について、更に同様の抽出処理を行った。得られた2つの抽出液を合わせて減圧下に濃縮し、乾燥して、ラカシシュの50質量%エタノール抽出物を得た。得られた抽出物の収率を表1に示す。
−ラカシシュのエタノール抽出物の調製−
ラカシシュの地上部の乾燥物を細切りしたもの200gにエタノール2Lを加え、還流抽出器で80℃、2時間加熱抽出し、熱時濾過した。残渣について、更に同様の抽出処理を行った。得られた2つの抽出液を合わせて減圧下に濃縮し、乾燥して、ラカシシュのエタノール抽出物を得た。得られた抽出物の収率を表1に示す。
−エストロゲン様作用試験−
被験試料として、製造例1〜3のラカシシュの抽出物を用い、以下のようにして、エストロゲン様作用を試験した。
エストロゲン依存性細胞の増殖に対する影響を調べるThomasらの方法(In Vitro Cell.Dev.Biol.28A,595−602,1992)に準拠して試験を行った。
ヒト乳ガン由来のMCF−7細胞を75cm2フラスコでコンフルエント様になるまで培養し、トリプシン処理によりこのMCF−7細胞を集め、10質量%FBS(活性炭処理済み)、1質量%NEAA及び1mMピルビン酸ナトリウムを含みフェノールレッドを含まないMEM(minimam essential medium)培地(以下、「MEM培地」と略記する)を用いて、3×104cells/mLに調製した。
調製したMCF−7細胞を24穴プレートに0.9mLずつ播種し、これを定着させるために37℃、5%CO2−95%airの下で培養した。6時間後(0日日)、MEM培地で終濃度の10倍の濃度に調製した各試料溶液100μLを上記プレートに添加し、培養を続けた。
培養開始から6日目、培地を0.97mmol/LのMTT(3-(4,5-Dimethyl-2-thiazolyl)-2,5-diphenyl-2H-tetrazolium Bromide)を含むMEM培地に交換し、2時間培養後、培地をイソプロパノールに交換して細胞内に生成したブルーホルマザンを抽出した。溶出したブルーホルマザンを含有するイソプロパノールについて、ブルーホルマザンの吸収極大点がある570nmの吸光度を測定した。
なお、付着細胞の影響を補正するため、同時に650nmの吸光度も測定し、両吸光度の差をもってブルーホルマザンの生成量に比例する値とした(下記の数式1における吸光度はこの補正済み吸光度である)。
陽性対照としては、10−9mol/Lのエチニルエストラジオールを使用した。エストロゲン様作用(エストロゲン依存性増殖作用)の強さは、試料無添加時の吸光度を100%として、下記数式1により算出した。試料濃度が50μg/mLのときの結果を表2に示す。
<数式1>
エストロゲン様作用(%)=(A/B)×100
ただし、前記数式1中、Aは試料添加の場合の吸光度、Bは試料無添加の場合の吸光度を表す。
−ヒアルロン酸産生促進作用試験−
被験試料として、製造例1〜3のラカシシュ抽出物を用い、以下のようにして、ヒアルロン酸産生促進作用を試験した。
ヒト正常皮膚線維芽細胞(NB1RGB)を10質量%FBS含有α−MEM(minimam essential medium)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を2.2×105cells/mLの濃度に0.5質量%FBS含有α−MEMで希釈した後、96wellプレートに1well当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、0.5質量%FBS含有α−MEMに溶解した各被験試料を各wellに100μL添加し、3日間培養した。培養後、各wellの培地中のヒアルロン酸量を間接的ELISA法により測定した。
測定結果から、下記数式2によりヒアルロン酸産生促進作用(%)を求めた。試料濃度が100μg/mLのときの結果を表3に示す。
<数式2>
ヒアルロン酸産生促進率(%)=(A/B)×100
ただし、前記数式2中、Aは、被験試料添加時のヒアルロン酸量を表す。Bは、被験試料無添加時のヒアルロン酸量を表す。
−表皮角化細胞増殖促進作用試験−
被験試料として、製造例1〜3のラカシシュ抽出物を用い、以下のようにして、角化細胞増殖促進作用を試験した。
正常ヒト新生児包皮角化細胞(NHEK)を、正常ヒト表皮角化細胞長期培養用増殖培地(EpiLife−KG2)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.5×104cells/mlの濃度にEpiLife−KG2で希釈した後、コラーゲンコートした96wellプレートに1well当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、EpiLife−KG2で溶解した各被験試料を各wellに100μL添加し、3日間培養した。
角化細胞増殖作用は、MTTアッセイ法を用いて測定した。即ち、培養終了後、培地を抜き、終濃度0.4mg/mLでPBS(−)に溶解したMTT(3-(4,5-Dimethyl-2-thiazolyl)-2,5-diphenyl-2H-tetrazolium Bromide)を各wellに100μLずつ添加した。2時間培養した後に、細胞内に生成したブルーホルマザンを2−プロパノール100μLで抽出した。抽出後、波長570nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として波長650nmにおける吸光度を測定し、両者の差をもってブルーホルマザン生成量とした。また、同様の方法で空試験を行い補正した。
これらの結果から、下記数式3により、角化細胞増殖促進率を求めた。試料溶液が濃度3.125μg/mLのときの結果を表4に示す。
表皮角化細胞増殖促進率(%)=(St/Ct)×100
ただし、前記数式3中、Stは被験試料を添加した細胞での吸光度を表す。Ctは被験試料を添加しない細胞での吸光度を表す。
−サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用試験−
被験試料として、製造例1〜3のラカシシュ抽出物を用い、以下のようにして、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用を試験した。
5mmol/L塩化マグネシウム含有50mmol/LのTris−HCl緩衝液(pH7.5)0.2mLに、2.5mg/mLウシ血清アルブミン溶液0.1mL、及び0.1mg/mLのホスホジエステラーゼ溶液0.1mL、各被験試料溶液0.05mLを加え、37℃で5分間予備反応した。これに0.5mg/mLのcAMP溶液0.05mLを加え、37℃で30分間反応した。3分間沸騰水浴上で煮沸することにより反応を停止した。これを遠心(2260×g、10分間、4℃)し、上清を被験試料反応液として、下記の条件でHPLC分析した。同様の方法で空試験を行い補正した。
〔HPLC条件〕
・Colimn:Wakosil C18−ODS 5μm
・Mobilphase:1mM TBAP in 25mM KH2PO4:CH3CN=90:10
・Flow rate:1.0mL/min
・Detector:260nm
・Atten:32〜64
<数式4>
ホスホジエステラーゼ活性阻害率(%)=(1−A/B)×100
ただし、前記数式4中、Aは被験試料添加でのcAMPのピーク面積を表す。BはコントロールでのcAMPのピーク面積を表す。
−乳液−
下記組成の乳液を、常法により製造した。
・ホホバオイル・・・4.0g
・プラセンタエキス・・・0.1g
・オリーブオイル・・・2.0g
・スクワラン・・・2.0g
・セタノール・・・2.0g
・モノステアリン酸グリセリル・・・2.0g
・ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O)・・・2.5g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O)・・・2.0g
・1,3−ブチレングリコール・・・3.0g
・ヒノキチオール・・・0.15g
・香料・・・0.05g
・ラカシシュのエタノール抽出物(製造例3)・・・0.01g
・精製水・・・残部(全量を100gとする)
−クリーム−
下記組成のクリームを、常法により製造した。
・流動パラフィン・・・5.0g
・サラシミツロウ・・・4.0g
・セタノール・・・3.0g
・スクワラン・・・10.0g
・ラノリン・・・2.0g
・ステアリン酸・・・1.0g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O)・・・1.5g
・モノステアリン酸グリセリル・・・3.0g
・1,3−ブチレングリコール・・・6.0g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・1.5g
・香料・・・0.1g
・ラカシシュの50質量%エタノール抽出物(製造例2)・・・0.1g
・精製水・・・残部(全量を100gとする)
−パック−
下記組成のパックを、常法により製造した。
・ポリビニルアルコール・・・15g
・ポリエチレングリコール・・・3g
・プロピレングリコール・・・7g
・エタノール・・・10g
・パラオキシ安息香酸エチル・・・0.05g
・香料・・・0.05g
・ラカシシュの水抽出物(製造例1)・・・0.05g
・精製水・・・残部(全量を100gとする)
Claims (5)
- ラカシシュ(学名:Callicarpa nudiflora Hook.etArn.)の葉部、茎部、及び花部からなる地上部の水抽出物、前記ラカシシュの地上部の50質量%エタノール抽出物、及び前記ラカシシュの地上部のエタノール抽出物のいずれかを含有し、エストロゲン様作用を有することを特徴とするエストロゲン様作用剤。
- ラカシシュ(学名:Callicarpa nudiflora Hook.etArn.)の葉部、茎部、及び花部からなる地上部の水抽出物、前記ラカシシュの地上部の50質量%エタノール抽出物、及び前記ラカシシュの地上部のエタノール抽出物のいずれかを含有し、ヒアルロン酸産生促進作用を有することを特徴とするヒアルロン酸産生促進剤。
- ラカシシュ(学名:Callicarpa nudiflora Hook.etArn.)の葉部、茎部、及び花部からなる地上部の水抽出物、前記ラカシシュの地上部の50質量%エタノール抽出物、及び前記ラカシシュの地上部のエタノール抽出物のいずれかを含有し、表皮角化細胞増殖作用を有することを特徴とする表皮角化細胞増殖剤。
- ラカシシュの抽出物を含有することを特徴とするスリミング剤。
- サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用を有する請求項4に記載のスリミング剤。
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