JP4934246B2 - プラスチック製包装用容器の成形型を使用する製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼリーやヨーグルト等のような半固形食品を収納して使い捨てにするプラスチック製の包装用容器を成形型を使用して製造するための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック製品を射出成形する場合、例えば特開昭55−39355号公報にても問題提起されている通り、プラスチック製品の肉厚部分や偏肉部分において、溶融プラスチックが凝固する際の収縮による「ひけ」が生じ易いことが分かっている。この「ひけ」が生じないようにするため、上記特開昭55−39355号公報にては、金型について「製品部容積(キャビティ)を予め大きく」しておくことが提案されている。
【0003】
しかしながら、図3及び図4に示すような包装用容器20については、「製品部容積を予め大きく」しておくことは困難である。図4に示した包装用容器20は、例えばゼリーやヨーグルト等のような半固形食品を収納して使い捨てにするものであり、外からの冷却を容易に行えるようにしなければならないし、低コストのものとすべく高速で大量に製造しなければならないため、ほぼ全体を非常に薄肉状態(後述する実施形態に関連する容器においては厚さ約0.63mm)のものにしなければならない。このような薄肉状態の包装用容器20を、上記のキャビティを大きくしておくという技術を採用して製造すれば、「ひけ」が解消されたとしても、材料を多く必要とするだけでなく、高速製造もできないため、製造された包装用容器20がコストの高いものとなってしまうからである。
【0004】
ところで、図3及び図4に示す薄肉状態の包装用容器20は、その上端開口部をヒートシールによって密閉しなければならないため、ヒートシールできるフランジ24が必要であるし、熱が簡単に移動しないようにするために、底壁22がテーブルに直接触れないようにするための糸尻23が必要である。そして、このような包装用容器20は、保管や輸送時等に多数をスタッキングする、つまり図5に示すような積み重ねを行うためには、側壁21について、下方が小径となるような傾斜面としておかなければならない。そうなると、上記の底壁22やフランジ24がその平面方向に収縮したとき、側壁21の上部や下部に、図6に示すような「ひけ部分30」を発生させることになる。つまり、肉厚部分や偏肉部分はないが、全体が非常に薄く形成される包装用容器20でも、場合によってはひけ部分30が形成されるのである。
【0005】
一方、この種の、全体が非常に薄く形成される包装用容器20では、その側壁21の外面に商品内容や製造者名等を印刷しなければならないが、この側壁21の上部や下部に、図6に示したようなひけ部分30が存在していると、その印刷が美麗に行えなくなるだけでなく、外観のよくないものとなってしまう。
【0006】
特に、ひけ部分30が側壁21の下部に発生していると、図5に示したようなスタッキングを行おうとしたとき、上側になる包装用容器20の糸尻23が、ひけ部分30の内側に係合してしまい、底壁22の上面には当接しなくなる。つまり、上側の包装用容器20が大きく浮き上がってしまって、効率的なスタッキングが行えないだけでなく、上下の包装用容器20同士が嵌合し合ってしまうのである。この種の包装用容器20は、内容物を詰める前は、約50個程度まとめてスタッキングしておき、ヨーグルト等を機械的に詰めるときに、一個一個機械的に取り出すことがなされるのであるが、互いに嵌合し合ってしまっていると、その機械的操作が行えなくなることは当然である。
【0007】
また、包装用容器に中身を充填するラインでは、包装用容器の側壁上端の外径にあわせた孔を開けておき、この孔に包装用容器の側壁を挿入して、包装用容器をフランジによって支えている。よって、フランジの下側が「ひけ」ていると、包装用容器を孔から取り出すときに、「ひけ」の部分に引っ掛かり、スムーズに取り出すことができなくなる。
【0008】
そこで、木発明者は、この種の非常に薄肉の包装用容器20について、その底壁22やフランジ24が一体化されている側壁21に、ひけ部分30が発生しないようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、「ひけ部分の発生」はプラスチックの射出成形においては避けられないものであるから、むしろこのひけを積極的に利用することに思い至り、本発明を完成したのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の経緯に基づいてなされたもので、その解決しようとする課題は、外観を阻害し良好な印刷をできなくするひけ部分30のない包装用容器20を製造するための成形型を、簡単な構成によって提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、本発明の採った手段は、後述する実施の形態の説明中において使用する符号を付して説明すると、
「側壁21の上端開口部の外周にフランジ24を有するとともに、底壁22に糸尻23を有するプラスチック製の包装用容器20を、上型11と下型12とによってキャビティ13を構成する成形型10を使用する射出成形によって製造する方法であって、
キャビティ13のうち、側壁21の、フランジ24が一体化される部分に対応する側壁上部キャビティ13aについて、包装用容器20の製品線に対して、側壁21の肉厚に対して5〜25%外側となるように形成し、底壁22と糸尻23が一体化される部分に対応する側壁下部キャビティ13cについては、包装用容器10の製品線に対して、側壁21の肉厚に対して30〜70%外側となるように形成し、かつ、側壁21の中間部分に対応する側壁中央キャビティ13cについては、包装用容器20の製品線と同じとなるようにしておいて、
側壁中央キャビティ13c内の溶融プラスチックについては、成形型10による冷却によって凝固させて包装用容器20の製品線と同じとなるようにし、
側壁上部キャビティ13a及び側壁下部キャビティ13b内の溶融プラスチックについては、成形型10による冷却と成形型10から取り出したときの冷却とによってひけを積極的に発生させて包装用容器20の製品線と同じとなるようにしたことを特徴とする包装用容器20の製造方法。」
である。
【0011】
すなわち、本発明に係る包装用容器20の製造方法において使用される成形型10は、上端開口部の外周にフランジ24を有するとともに、底壁22に糸尻23を有するプラスチック製の包装用容器20を製造するためのものであるが、図1中の実線にて示すように、この型10によって形成されるキャビティ13のうち、包装用容器20の側壁21上端部の、フランジ24が一体化される部分に対応する側壁上部キャビティ13aを、包装用容器20の製品線(図では点線)に対して僅かに外側に位置するようにしたものである。
【0012】
この成形型10によって形成されるべきキャビティ13が、以上のような側壁上部キャビティ13aを有していることによって、成形後の包装用容器20の側壁21の上部において、図6に示したようなひけ部分30は形成されない。何故なら、側壁上部キャビティ13a内に溶融状態で射出されたプラスチック材料が凝固して「ひけ」たとしても、この側壁上部キャビティ13a部分は、もともと包装用容器20の製品線に対して僅かに外側に位置するように形成してあるため、むしろ「ひけ」によって製品線を形成することになるからである。
【0013】
また、側壁21の中間部分に対応する側壁中央キャビティ13cについては、包装用容器20の製品線と同じとなるようにしてあるから、図6に示したようなひけ部分30の発生はない。
【0014】
このため、この成形型10を使用した製造方法は、側壁上部キャビティ13a及び側壁中央キャビティ13c部分について、外観を阻害し良好な印刷をできなくするひけ部分30のない包装用容器20を製造することができるのである。
【0015】
また、この製造方法では、型10によって形成されるキャビティ13のうち、包装用容器20の、底壁22と糸尻23が一体化される部分に対応する側壁下部キャビティ13bを、包装用容器20の製品線(図では点線)に対して僅かに外側に位置するようにしてある。
【0016】
この成形型10によって形成されるべきキャビティ13が、以上のような側壁下部キャビティ13bを有していることによって、成形後の包装用容器20の側壁21の下部において、図6に示したようなひけ部分30は形成されない。何故なら、側壁下部キャビティ13b内に溶融状態で射出されたプラスチック材料が凝固して「ひけ」たとしても、二の側壁下部キャビティ13b部分は、もともと包装用容器20の製品線に対して僅かに外側に位置するように形成してあるため、むしろ「ひけ」によって製品線を形成することになるからである。
【0017】
換言すれば、この成形型10は、図1中の実線にて示すように、そのキャビティ13のうち、包装用容器20の側壁21上端部の、フランジ24が一体化される部分に対応する側壁上部キャビティ13aを、包装用容器20の製品線に対して僅かに外側に位置するようにしたものである。この側壁上部キャビティ13aは、製品線より肉厚に対して5〜25%外側となるように形成し、一方、側壁下部キャビティ13bは、製品線より肉厚に対して30〜70%外側となるように形成している。このことからも解るように、側壁上部キャビティ13aより側壁下部キャビティ13bが外側になるように形成している。
【0018】
このため、この成形型10を使用した製造方法は、側壁下部キャビティ13b及び側壁中央キャビティ13c部分について、外観を阻害し良好な印刷をできなくするひけ部分30のない包装用容器20を製造することができるのである。
【0019】
なお、上記包装用容器20の製造において、その使用材料をポリエチレンとすると、成形型10に対する離型性を良好にすることができて、多数の包装用容器20の高速製造を可能にすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、上記のように構成した本発明を、図面に示した実施の形態に係る成形型10に基づいて説明するが、この実施形態に係る成形型10は、本発明を実質的に含むものであるから、以下では、この成形型10を中心に説明していくこととする。
【0021】
その前に、この成形型10によって製造されるべき包装用容器20について説明すると、この包装用容器20は、図3及び図4に示したように、例えばゼリーやヨーグルト等のような半固形食品を収納して使い捨てにするものであり、ほぼ全体を非常に薄肉状態(本実施形態においては厚さ約0.63mm)のものにして、外からの冷却を容易に行えるようにしているとともに、高速で大量に製造して低コストのものとなるようにしてある。
【0022】
さらに、この包装用容器20は、その側壁21の上端開口部をヒートシールによって密閉するためのフランジ24と、底壁22が直接皿やテーブルに触れないようにして、熱の移動が簡単になされないようにするための糸尻23とを有しているものである。そして、このような包装用容器20の側壁21については、これらの包装用容器20の多数を、図5に示したようにスタッキングするために、下方が小径となるような傾斜面としてある。
【0023】
そして、この包装用容器20は、主としてポリエチレンを材料として、後述する成形型10によって射出成形したものであるが、ヨーグルトのような乳製品を対象とする場合には、次のような材料を使用することもある。つまり、この包装用容器20が乳製品を収納対象とする場合には、2.5g/kg以下のステアリン酸カルシウム、または0.3g/kg以下のグリセリン脂肪酸エステルを含むポリエステル樹脂が材料プラスチックとされる。
【0024】
勿論、この包装用容器20は、逆円錐台状のものや円筒状のものに限らず、角筒状や箱型に形成されるものでもよく、要するに「ひけ」を発生させることになる底壁22やフランジ24を有して、印刷がなされる傾斜した側壁21を有するものであれば、どのような形状のものであってもよいものであることは、言うまでもない。
【0025】
さて、本発明に係る成形型10であるが、この実施形態に係る成形型10は、図1及び図2に示したように、通常一般の金型のように、上型11及び下型12からなるものであり、これらの上型11及び下型12を互いに型締めしたときに、図1及び図2に示したようなキャビティ13を形成するものである。
【0026】
この成形型10は、まず図1中の実線にて示したように、そのキャビティ13のうち、包装用容器20の側壁21上端部の、フランジ24が一体化される部分に対応する側壁上部キャビティ13aを、上述した包装用容器20の製品線に対して僅かに外側に位置するようにしたものである。本実施形態では、この側壁上部キャビティ13aは、製品線より肉厚に対して5〜25%、好ましくは10〜20%程度外側となるように形成し、一方、後述する側壁下部キャビティ13bは、製品線より肉厚に対して30〜70%、好ましくは40〜60%程度外側となるように形成している。このことからも解るように、側壁上部キャビティ13aより側壁下部キャビティ13bが外側になるように形成している。
【0027】
さらに、この成形型10によって形成されるキャビティ13のうち、側壁21の中間部分に対応する側壁中央キャビティ13cについては、包装用容器20の製品線と同じとなるようにしたものである。
【0028】
そして、この成形型10は、図2中の実線にて示したように、包装用容器20の、底壁22と糸尻23が一体化される部分に対応する側壁下部キャビティ13bを、包装用容器20の製品線に対して僅かに外側に位置するようにしたものである。
【0029】
【発明の効果】
以上、詳述した通り、本発明においては、 「側壁21の上端開口部の外周にフランジ24を有するとともに、底壁22に糸尻23を有するプラスチック製の包装用容器20を、上型11と下型12とによってキャビティ13を構成する成形型10を使用する射出成形によって製造する方法であって、
キャビティ13のうち、側壁21の、フランジ24が一体化される部分に対応する側壁上部キャビティ13aについて、包装用容器20の製品線に対して、側壁21の肉厚に対して5〜25%外側となるように形成し、底壁22と糸尻23が一体化される部分に対応する側壁下部キャビティ13cについては、包装用容器10の製品線に対して、側壁21の肉厚に対して30〜70%外側となるように形成し、かつ、側壁21の中間部分に対応する側壁中央キャビティ13cについては、包装用容器20の製品線と同じとなるようにしておいて、
側壁中央キャビティ13c内の溶融プラスチックについては、成形型10による冷却によって凝固させて包装用容器20の製品線と同じとなるようにし、
側壁上部キャビティ13a及び側壁下部キャビティ13b内の溶融プラスチックについては、成形型10による冷却と成形型10から取り出したときの冷却とによってひけを積極的に発生させて包装用容器20の製品線と同じとなるようにしたこと」
にその構成上の特徴があり、これにより、外観を阻害し良好な印刷をできなくするひけ部分30のない包装用容器20を製造することができるのである。
【0030】
なお、上記成形型10による包装用容器20の製造において、その使用材料をポリエチレンとすれば、成形型10に対する離型性を良好にすることができて、多数の包装用容器20の高速製造を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にて使用する成形型の側壁上部キャビティを形成する部分を中心に示した部分拡大断面図である。
【図2】同成形型の側壁下部キャビティを形成する部分を中心に示した部分拡大断面図である。
【図3】本発明によって成形された包装用容器の正面図である。
【図4】同包装用容器の拡大縦断面図である。
【図5】同包装用容器をスタッキングしたときの部分拡大断面図である。
【図6】従来の製法によって包装用容器にひけ部分が形成された状態を示す部分拡大縦断面図である。
【符号の説明】
10 成形型
11 上型
12 下型
13 キャビティ
13a 側壁上部キャビティ
13b 側壁下部キャビティ
13c 側壁中央キャビティ
20 包装用容器
21 側壁
22 底壁
23 糸尻
24 フランジ
25 隔離突条
30 ひけ部分
Claims (1)
- 側壁の上端開口部の外周にフランジを有するとともに、底壁に糸尻を有するプラスチック製の包装用容器を、上型と下型とによってキャビティを構成する成形型を使用する射出成形によって製造する方法であって、
前記キャビティのうち、前記側壁の、前記フランジが一体化される部分に対応する側壁上部キャビティについて、前記包装用容器の製品線に対して、前記側壁の肉厚に対して5〜25%外側となるように形成し、前記底壁と糸尻が一体化される部分に対応する側壁下部キャビティについては、前記包装用容器の製品線に対して、前記側壁の肉厚に対して30〜70%外側となるように形成し、かつ、前記側壁の中間部分に対応する側壁中央キャビティについては、前記包装用容器の製品線と同じとなるようにしておいて、
前記側壁中央キャビティ内の溶融プラスチックについては、前記成形型による冷却によって凝固させて前記包装用容器の製品線と同じとなるようにし、
前記側壁上部キャビティ及び側壁下部キャビティ内の溶融プラスチックについては、前記成形型による冷却と前記成形型から取り出したときの冷却とによってひけを積極的に発生させて前記包装用容器の製品線と同じとなるようにしたことを特徴とする包装用容器の製造方法。
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