JP4932333B2 - 消泡装置 - Google Patents
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Description
しかし、圧延油とアルカリが鹸化反応を起こし、鹸化成分が一定の濃度を越えると発泡現象を起こしやすくなり、その結果、洗浄設備やアルカリ貯蔵タンクのまわりに泡が漏れ、作業環境の悪化やアルカリ洗浄液の損失を招くという問題があった。
前者の例としては、アルカリ洗浄液中に高級アルコールを添加することで鹸化成分を溶かし、発泡を抑制する手段や、シリコーンオイルを添加することで界面張力を落とし破泡しやすくする手段が知られているが、いずれも費用の点で問題があり、シリコーンオイルの場合は、さらに、鋼板と塗装膜やメッキ層との密着性を低下させるという問題もある。
特許文献1には、洗浄タンクの側壁に垂直下向きのオーバーフロー管を設け、エジェクター装置によってタンクから吸い出した泡をオーバーフロー管内で消泡するとともに、オーバーフロー管の途中に水平方向のガス抜き管を設けて、消泡後の気液を分離する手段が記載されているが、重力差を用いて気液を分離するために垂直方向にある一定の長さが必要となり、洗浄タンクの深さを深くしなければならないという問題がある。また、エジェクター装置の圧縮空気吐出流速が大きい場合、消泡後の気液を十分に分離できないという問題もある。
請求項1の消泡装置の発明は、泡を吸引して消泡する消泡部と、消泡後の気液混合気流から気体と液体を分離する気液分離部よりなる消泡装置であって、消泡部は、消泡管と、消泡管の一端部近傍に消泡管と交差して取り付けられた吸引管と、消泡管の一端部に取り付けられ、該管内に高速エアーを吹き込んで高速ガス気流を形成し、そのエジェクター効果によって吸引管から泡を吸引するとともに、吸引した泡を消泡管内で高速ガス気流によって泡をせん断して消泡するためのエアーノズルとを備えており、気液分離部は、前記消泡管の他端部が取り付けられる外筒部と、外筒部の上端に上部円錐部を介して取り付けられた分離後の気体を排出する気流排出管と、外筒部の下端に下部円錐部を介して取り付けられた分離後の液体を排出する液体排出管とを備え、かつ、前記消泡管の他端部は、外筒部の下端部に、外筒部の接線に沿うように取り付けられており、消泡後の気液混合気流を外筒部内で高速旋回させて気体と液体を遠心分離することを特徴とする。
請求項3の消泡装置の発明は、さらに、前記消泡管の前記他端部を外筒部内部に延長し、消泡後の前記気液混合気流の流入口を外筒部内に形成したことを特徴とする。
請求項4の消泡装置の発明は、さらに、前記気流排出管が、円錐部を介して外筒部上端に取り付けられていることを特徴とする。
請求項3に係る発明によれば、消泡管の端部を外筒部内まで延長することで、流入口付近で旋回流と流入気流の衝突による圧力損失を低減することができる。
サイクロンによる遠心分離式の気液分離装置は、特許文献3にあるように上下の高さが大きく、タンク内に設置するためには高さを低くする必要がある。
本発明者は、消泡後の気液混合気流の流入口を気液分離装置の外筒部下部に位置させることで、気液分離装置の高さを低くできることを着想した。
本発明は、そのような着想を基に、更に検討を加えた結果なされたものである。
図1において、4は消泡管であり、その先端には外部の圧縮空気源から消泡管4内に圧縮空気を吹き込むためのエアーノズル1が設けられており、また、先端部近傍には、発生した泡を吸引するための吸引管3が、消泡管4に交差して設けられている。そして、以上によって消泡装置の消泡部が構成される。
外筒部6の下端部には、前記消泡管4が一体に取り付けられており、消泡後の気液混合気流は、消泡管4と外筒部6との接続部に形成された気流流入口5を通って、外筒部6内に流入されるようになっている。
気流排出管8には、外部から排気装置を接続して分離後の気体を排気する。
また、外筒部6内でより効果的に旋回流を形成するためには、外筒部6の径をc、消泡管4の径をb、気流排出管8の径をa、外筒部6の高さをhとすると、つぎの(1)、(2)の関係を満たすようにそれぞれを形成するのが望ましい。
(1) c>2×b+a
(2) h>2×b
Lは、分離後の液体を下部円錐部9から液体排出管を通して排出するために必要な長さ以上あればよいが、吸引管3の吸引口2下端と液体排出管10下端とのレベル差を小さく設定して、消泡装置の高さをできるだけ低くするためには1/2・h以下が望ましい。
なお、一般のサイクロン分離器で、そのように気流流入口をサイクロン室の下端部に設置すると、気流排出口付近で気流の絞りが生じ、絞りによって発生する高流速によりスプラッシュが気流排出口に巻き上げられる現象が生じるが、本発明では、気流排出管8を外筒部6の上端部に設置して、そのような現象が生じるのを回避できる。
このとき、消泡管4の端部を、図1(c)に示されるように、外筒部内部にまで延長し、消泡後の前記気液混合気流の流入口5を外筒部内、特に中心部に形成するのが好ましい。そのようにすることで、流入口付近で旋回流と流入気流の衝突による圧力損失を低減することができる。
また、外筒部6の上端に上部円錐部7を設けることで外筒部内の旋回流をスムーズに気流排出管8に排出でき、気液分離部での圧力損失をさらに低減することができる。
図2において、11は、冷間圧延後の鋼帯に付着した圧延油を、例えばブラッシングにより脱脂するための洗浄装置であり、装置内に連続的に搬送されてくる鋼帯12に苛性ソーダなどを含有するアルカリ洗浄液を吹き付けつつブラッシングすることで脱脂洗浄が行われる。
消泡装置101は、消泡管が洗浄液の液面と平行、もしくは液面に対しやや前方下向きの傾斜となるように、かつ液面に接近して設置する。このとき、吸引管の吸引口2は、少なくとも通板ラインより下に設け、また、洗浄装置や樋などに開口部がある場合は、開口部より下に位置するように設置するのがよい。
エアーノズルから、吐出流速426Nm/sで消泡管4内に高速エアーを吹き込んだ。そのとき発生するエジェクター効果により、約13m3/minの割合で吸引口から泡を吸引した。
また、高速エアーの剪断力により、消泡前には比重0.02であった泡を、液体排出管からの排出時には比重0.80と、ほぼ完全に液化することができた。
このことから、上記の外筒部高さで、気液混合気流の旋回スペースを十分確保でき、気液を効果的に遠心分離できることが確認された。
本発明では、気液分離部での圧力損失を35mmAq程度に抑えることができ、遠心力を用いた気液分離手段とエジェクター式の吸引・消泡手段のそれぞれの能力を両立させることができた。
2 吸引口
3 吸引管
4 消泡管
5 気流流入口
6 外筒部
7 上部円錐部
8 気流排出管
9 下部円錐部
10 液体排出管
11 洗浄装置
12 鋼帯
13 循環タンク
14 洗浄液戻り用の樋
15 ポンプ
16 洗浄液
17 泡
18 エアーコンプレッサ
19 排気洗浄装置
101 消泡装置
Claims (3)
- 泡を吸引して消泡する消泡部と、消泡後の気液混合気流から気体と液体を分離する気液分離部よりなる消泡装置であって、消泡部は、消泡管と、消泡管の一端部近傍に消泡管と交差して取り付けられた吸引管と、消泡管の一端部に取り付けられ、該管内に高速エアーを吹き込んで高速ガス気流を形成し、そのエジェクター効果によって吸引管から泡を吸引するとともに、吸引した泡を消泡管内で高速ガス気流によって泡をせん断して消泡するためのエアーノズルとを備えており、気液分離部は、前記消泡管の他端部が取り付けられる外筒部と、外筒部の上端に上部円錐部を介して取り付けられた分離後の気体を排出する気流排出管と、外筒部の下端に下部円錐部を介して取り付けられた分離後の液体を排出する液体排出管とを備え、かつ、前記消泡管の他端部は、外筒部の下端部に、外筒部の接線に沿うように取り付けられており、消泡後の気液混合気流を外筒部内で高速旋回させて気体と液体を遠心分離することを特徴とする消泡装置。
- 外筒部下端と液体排出管下端との間の鉛直方向高さを外筒部鉛直方向高さの1/2以下としたことを特徴とする請求項1に記載の消泡装置。
- 前記消泡管の前記他端部を外筒部内部に延長し、消泡後の前記気液混合気流の流入口を外筒部内に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の消泡装置。
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