JP4932151B2 - パイプの材質設計方法、パイプの製造方法、パイプ、パイプライン - Google Patents

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本発明は、ガス・石油パイプライン等に用いるパイプの材質設計方法、パイプの製造方法、パイプ、パイプラインに関する。
ガスパイプライン、石油パイプラインはエネルギー供給の根幹として建設が進められて来ている。近年では、特に天然ガス需要の増大を背景とし、消費地から遠く離れた地にガス田が開発されることが多い。このため、パイプラインは長距離化の傾向を呈し、大量輸送のために大径化、高圧化の傾向が強まってきている。
かかるパイプラインの設計に焦点を当てたパイプライン建設のフローチャートを図13に示す。
従来のパイプラインの設計は、大きく(1)システム設計と(2)構造設計に分類される。
システム設計では、プロジェクト規模を表す輸送量と輸送距離を前提条件として、パイプラインの操業コストと建設コストが最小になるように、パイプの種類、管径、管厚、操業圧力が仮設定される。
構造設計では、システム設計で仮設定されたパイプの強度、形状および敷設場所の地形等から敷設時に想定されるパイプラインの形状である敷設線形に基づいて、地震時に発生する地盤変位などを考慮して構造解析を実施し、許容応力照査、許容歪照査、局部座屈照査を行う。
システム設計で仮設定されたパイプの諸元がこれらの照査条件を満足しない場合、再びシステム設計に戻ってパイプの諸元を再設定する。そして、上記照査条件を満足したときに当該システム設計で仮設定された諸元でパイプのスペックを確定し、鉄鋼会社にパイプの製造を発注する。受注した鉄鋼会社は、パイプライン会社の発注仕様に従ってラインパイプを製造して納入する。
局部座屈照査とは、システム設計で仮設定された条件によるパイプが、当該パイプラインが敷設される条件下で想定される最大圧縮歪および最大曲げひずみに耐えるのに十分な局部座屈性能を備えているかどうかを照査するものである。具体的には、設計されたパイプの局部座屈歪を求め、この局部座屈歪がパイプラインに発生する最大歪よりも大きいか否かで判断する。
ところで、この設計されたパイプの局部座屈歪の求め方は以下のようにしていた。
パイプの圧縮局部座屈歪は一般的に、圧縮局部座屈歪=係数(管厚/管径)指数、のように表されている。そして、上記関係式における係数及び指数は、実管の圧縮局部座屈実験データを図14に示すようにプロットし、実験データの下限を包絡するように曲線を描き、この下限包絡曲線にフィットするようにして求める。
上述の実管の座屈実験に基づいて取得された局部座屈歪推定式を表1に示す。
Figure 0004932151
なお、表1に示す現行の設計基準で規定されている局部座屈歪推定式は、X65(米国のAPI(American
Petroleum Institute)規格による強度グレード)以下のパイプの実験データに基づいている。図13において適用範囲をX65以下のラインパイプと限定してあるのはこのためである。
なお、表1に示されるものの他、局部座屈歪推定式としては、日本ガス協会の高圧ガス導管耐震設計指針に示される、ε=35(t/D)(%)がある(非特許文献1参照)。
このように実管の座屈実験に基づいて局部座屈歪推定式が取得されていることから、局部座屈照査においては、この推定式に基づいて圧縮局部座屈歪を求め、これが最大歪より大きいか否かを判断するのである。そして、最大歪よりも小さい場合にはシステム設計に戻って条件を再設定する。このときの再設定の方法としては、圧縮局部座屈歪=係数(管厚/管径)指数、の関係があることから管厚を増加することでパイプの局部座屈歪を増加させるようにしている。
上記は、局部座屈歪推定式が取得されているX65以下のラインパイプについてであるが、
局部座屈歪推定式が存在しないX70以上の鋼種をパイプラインに採用する場合には、図15に示すように、サンプル管を試作して局部座屈実験を実施し、当該パイプの局部座屈歪を取得する。そして、取得したパイプの局部座屈歪が、最大歪よりも大きいか否かを判断する。この場合にも、小さい場合には、X65以下の場合と同様に、管厚を増加させたサンプル管を再度製造して照査を行っている。
「高圧ガス導管耐震設計指針(改定版)」、社団法人 日本ガス協会発行、2000年3月、P39
前述のように、従来のパイプラインの設計では、局部座屈照査を実験式に基づいて行い、局部座屈照査で不可と判断された場合には、管厚を増すことにより局部座屈歪を増加させている。このため、以下のような問題がある。
(1)局部座屈照査を実験式に基づいて行っていることによる問題
前記のように、現行の設計指針や設計基準等ではX65以下のパイプの座屈歪推定式は座屈歪=係数(管厚/管径)指数 のように表され、「係数」と「指数」は実管の座屈実験で得られる安全側の値である。しかも、表1及び図14からも分かるように、実験結果及びこれに基づく式自体に大きなばらつきがある。
このように実験結果自体に大きなばらつきがあり、しかも安全側の実験値に基づく座屈歪推定式によって圧縮局部座屈歪を求めて局部座屈照査を行ったのでは、場合によっては実際には許容できるものまで、安全側に判断しすぎて適正な判断がなされない可能性が高い。
この場合、本来なら許容できるにも拘らず不可とされ、さらに安全側のスペックが要求されるので、オーバースペックとなり、コスト高となるという問題がある。
(2)管厚を増すことにより局部座屈歪を増加させていることの問題
近年の新しいパイプラインは長距離化の傾向を呈し、大量輸送のために大径化、高圧化の傾向が強まってきている。このような新しいパイプラインでは、高強度鋼管を適用して大口径でも薄い管厚で高い内圧に耐えられることが要求されるようになってきている。管厚を薄くすることによって、現地における溶接費やパイプの輸送費が低減されパイプラインの建設および操業のトータルコストの低減が図られるからである。
このようなことから高強度のパイプが要請されるのであるが、パイプライン用鋼管は、高強度であるほど降伏比(Y/T:引張強度Tと降伏応力Yとの比)が増加する傾向にある。
一方、管径と管厚が同一であることを前提とすれば、降伏比が高いほど局部座屈歪は減少するため、高強度なパイプほど局部座屈歪が減少する傾向にある。
このため、パイプの局部座屈歪を増加させる必要があるが、この必要性を満たすために管厚を増すという手段を講じたのでは、せっかく高強度のパイプを用いて、管厚を薄くしてパイプラインの建設および操業のトータルコストを低減しようとしたことに反することになる。
以上のように、従来のパイプラインの設計方法では、局部座屈照査が適切でなく、また、局部座屈歪を増加させる手段として管厚の増加のみによっていたことから、パイプラインのコスト高を招いていたのである。
このような事情は、パイプラインに限ったことではなく鋼管等を用いる建築資材においても言えることである。
なお、上記は座屈歪推定式のあるX65以下のパイプについてであるが、座屈歪推定式のないX70以上のパイプについては、実管の試作が必要となり手間がかかるし、また、局部座屈歪を増すために管厚を増す点は同様であり、X65以下のパイプの場合と同様の問題がある。
また、パイプラインの構造設計では、パイプの圧縮局部座屈歪の他に曲げ局部座屈歪が必要になる。圧縮局部座屈歪は前記のように基礎式が求められているが、曲げ局部座屈歪は基礎式が求められていない。そのため、上記X70以上のパイプと同様に実管による実験値によることになり、上記X70以上のパイプで述べたのと同様の問題がある。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、安全性を確保しつつコスト低減が可能なパイプの材質設計方法を得ることを目的としている。
また、該パイプの材質設計方法を用いたパイプの製造方法、さらには該パイプの製造方法によって製造されたパイプ及びパイプラインを得ることを目的としている。
従来のパイプラインの設計は、システム設計で設定された管径と管厚を基に推定式等で局部座屈歪を推定し、この推定値が要求値より小さい場合は管厚を増すというものである。しかし、この方法では推定式自体が実験式であり、必ずしも経済性と安全性の両方を満たすものとはいえず、この実験値に基づく推定式を使った局部座屈推定値を基準とする限り、必ずしも経済性と安全性の両方を満たすパイプ設計は出来ない。
そこで、発明者は、システム設計された管径と管厚を与えてパイプの局部座屈歪を推定するというようにパイプに要求される局部座屈歪を推定するという発想から、システム設計等によって求められた管径、管厚に加えて要求される局部座屈歪をも予め与え、この条件を満足するようなパイプの材質設計をするというように要求される局部座屈歪を予め与えるという発想に転換し、さらに、この材質設計には従来の構造設計では着目されていなかった新しいパラメータを活用することが有効であるとの知見を得た。そして、さらに検討を加えた結果、新しいパラメータとして、パイプの歪硬化特性がパイプの局部座屈挙動に大きく影響するパラメータであることを見出して本発明を完成させたものである。ここに歪硬化特性とは、応力の増加に対する歪の増加の程度あるいは歪の増加に対する応力の増加の程度を表すパラメータであり、例えば座屈点における応力歪曲線の接線の傾きを基準として、あるいは応力歪曲線における座屈点と補助点を組み合わせた複数点間の応力関係として与えられるものである。
(1)本発明に係るパイプの材質設計方法は、鋼製のパイプの直径D、管厚tを設定し、当該パイプに要求される圧縮局部座屈歪である要求圧縮局部座屈歪εreqを設定するパイプ条件設定工程と、
パイプ条件設定工程で設定した条件を満たすべきパイプの歪硬化特性を、歪硬化特性をH、応力歪座標において要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する仮想的な座屈点を仮定したときに該仮想的な座屈点における応力歪曲線の接線の傾きをE Treq としたときに、歪硬化特性Hが下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
Figure 0004932151
(2)また、パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大圧縮軸歪を求める最大圧縮軸歪算出工程と、
前記最大圧縮軸歪に基づいて要求圧縮局部座屈歪εreqを設定する要求圧縮局部座屈歪設定工程と、
前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、歪硬化特性をH、応力歪座標において要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する仮想的な座屈点を仮定したときに該仮想的な座屈点における応力歪曲線の接線の傾きをE Treq としたときに、歪硬化特性Hが下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
Figure 0004932151
パイプラインが曲げ変形を受ける場合には、曲げ局部座屈に対する安全性をパイプラインに付与する必要がある。しかし、パイプの曲げ局部座屈歪を計算する解析解は求められていない。そこで、パイプの圧縮局部座屈歪と曲げ局部座屈歪の関係(比率)を有限要素解析などにより定量的に求めておき、この定量的な比率を使って、要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪に変換し、この要求圧縮局部座屈歪みに基づいて上記の手段を用いることで、以下のようにパイプラインが曲げ変形を受ける場合におけるパイプの材質設計をすることができる。図7はパイプの圧縮局部座屈歪と曲げ局部座屈歪のそれぞれを有限要素解析によって求め、同一座標上にプロットしたものである。この例では、管径Dと管厚tの比D/tが50、60のそれぞれについて、降伏比(Y/T)(引張強度Tと降伏応力Yとの比)が0.80、0.85、0.90、0.93のものについての解析例である。図7から、圧縮局部座屈歪と曲げ局部座屈歪には安全側に評価して1:2の関係があることが分かる。
(3)パイプラインが曲げ変形を受ける場合のパイプの材質設計方法は、鋼製のパイプの直径D、管厚t、当該パイプに要求される曲げ局部座屈歪である要求曲げ局部座屈歪を設定するパイプ条件設定工程と、
曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、前記要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、歪硬化特性をH、応力歪座標において要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する仮想的な座屈点を仮定したときに該仮想的な座屈点における応力歪曲線の接線の傾きをE Treq としたときに、歪硬化特性Hが下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
Figure 0004932151
(4)また、パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大曲げ歪を求める最大曲げ歪算出工程と、
該最大曲げ歪に基づいて要求曲げ局部座屈歪を設定し、さらに曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、歪硬化特性をH、応力歪座標において要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する仮想的な座屈点を仮定したときに該仮想的な座屈点における応力歪曲線の接線の傾きをE Treq としたときに、歪硬化特性Hが下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
Figure 0004932151
ここで、上記(1)〜(4)の(1.1)式について説明する。
圧縮力を受けるパイプの座屈歪を表す基礎式として、下記(1.2)式がある。
Figure 0004932151
(1.2)式において、εcrは圧縮局部座屈歪、νはポアソン比、tはパイプの厚み、Dはパイプの径をそれぞれ示している。また、Escrは、連続硬化型の応力歪曲線を示した図8において、原点と座屈点とを結ぶ線の傾き(以下、「割線係数」という)を示し、ETcrは座屈点における応力歪曲線の傾き(以下、「接線係数」という)を示している。
(1.2)式において、塑性変形する場合のポアソン比νとして0.5を代入して整理すると下式(1.3)式となる。
Figure 0004932151
(1.3)式の両辺を二乗してETcrについて解くと次式(1.4)が得られる。
Figure 0004932151
また、応力歪曲線上におけるεcrに対応する応力をσcrとすれば、Escr=σcr/εcrであるから(図8参照)、(1.4)式は次式のように表される。
Figure 0004932151
ここで、要求値として入力する要求局部座屈歪の値は局部座屈歪εcr以上の値となるので、局部座屈歪εcrと区別するために要求局部座屈歪εreqと表記する。また、要求局部座屈歪εreqを用いたときに、求められる接線係数は要求条件を満足させる最小値である。したがって、(1.5)式にこれらの条件を加味すると、応力歪曲線が満たすべき条件としてのETreqは下記(1.6)式となる。
Figure 0004932151
(1.6)式においてσreqは応力歪曲線上でεreqに対応する点の応力である。(1.6)式の右辺にはεreqの従属変数であるσreqが含まれている。そこで、右辺を仮決め値および要求値の関数として整理し、左辺に従属変数σreqと要求値である接線係数Ereqを配置すると(1.7)式となり、これが上記(1)〜(4)に示したものである。
Figure 0004932151
なお、上記の説明においては、(1.2)式にポアソン比νとして0.5を代入して(1.3)式の定数を4/3としたが、種々の事情によりポアソン比νとして0.5以外の数値を代入する可能性もあり、その場合には(1.3)式の定数4/3は変動する。したがって、(1.3)式は一般的にはAを定数として下記(1.8)式のように表現できる。同様に、(1.7)式、(2.1)式、(4.1)式、(5.9)式の定数9/16は、1/A2と置き換えることができ、(3.9)式の定数9/32は1/(2A2)と置き換えることができる。
Figure 0004932151
(5)本発明の他のパイプの材質設計方法は、鋼製のパイプの直径D、管厚tを設定し、当該パイプに要求される圧縮局部座屈歪である要求圧縮局部座屈歪εreqを設定するパイプ条件設定工程と、
パイプ条件設定工程で設定した条件を満たすべきパイプの歪硬化特性Hを、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするものである。
Figure 0004932151
歪硬化特性が複数点間の部分的な応力関係として与えられることにより、例えば既存の製造方法によって製造されるパイプが要求する歪硬化特性を満たすかどうかの判定が容易になる。すなわち、既存の製造方法によって製造されるパイプの応力歪関係は点列として与えられていることから、要求する歪硬化特性を複数点間の部分的な応力関係として与えることで、既存のデータとの比較が容易となり、上記判定を簡便に行うことができる。
(6)本発明の他のパイプの材質設計方法は、パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大圧縮軸歪を求める最大圧縮軸歪算出工程と、
前記最大圧縮軸歪に基づいて要求圧縮局部座屈歪εreqを設定する要求圧縮局部座屈歪設定工程と、
前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするものである。
Figure 0004932151
(7)本発明の他のパイプの材質設計方法は、鋼製のパイプの直径D、管厚t、当該パイプに要求される曲げ局部座屈歪である要求曲げ局部座屈歪を設定するパイプ条件設定工程と、
曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、前記要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が、下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするものである。
Figure 0004932151
(8)本発明の他のパイプの材質設計方法は、パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大曲げ歪を求める最大曲げ歪算出工程と、
該最大曲げ歪に基づいて要求曲げ局部座屈歪を設定し、さらに曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が、下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするものである。
Figure 0004932151
ここで、上記(5)〜(8)の(2.1)式について説明する。
想定される連続硬化型応力歪曲線を図9に示す。図9の横軸はパイプの圧縮軸歪、縦軸は圧縮軸応力を表している。横軸上のεcrは要求圧縮局部座屈歪、ε2はεcrの右側に任意間隔で設定される補助点2の歪である。横軸上のεcrとε2に対応する応力歪曲線上の点をそれぞれ座屈点C、補助点2と呼ぶ。座屈点Cおよび補助点2における応力をそれぞれσcrおよびσ2と表す。割線係数EScrは座標原点と座屈点Cを結んだ線分の勾配で表される。座屈点Cと補助点2の応力関係が線形関係であると仮定すれば、接線係数および割線係数は次式のように表される。
Figure 0004932151
パイプの局部座屈歪は前出のように、下記(2.4)式で与えられる。
Figure 0004932151
(2.4)式に(2.2)式及び(2.3)式を代入して整理すると、下記(2.5)式が得られる。
Figure 0004932151
ここで、前述の(1)〜(4)の場合と同様に、要求値として入力する要求局部座屈歪を局部座屈歪εcrと区別するために要求局部座屈歪をεreqと表記する。また、応力歪曲線上における要求局部座屈歪εreqに対応する応力をσreqとして、(2.5)式の右辺を仮決め値および要求値の関数として整理すると、下記(2.6)式となる。
Figure 0004932151
(2.6)式は最低値を示すものであるから、結局、パイプの応力歪線図が満たすべき条件としての複数点間の部分的な応力関係としては、下記(2.7)式となり、これが上記(2.1)式と同一のものである。
Figure 0004932151
(9)また、本発明に係る他のパイプの材質設計方法は、鋼製のパイプの直径D、管厚tを設定し、当該パイプに要求される圧縮局部座屈歪である要求圧縮局部座屈歪εreqを設定するパイプ条件設定工程と、
パイプ条件設定工程で設定した条件を満たすべきパイプの歪硬化特性Hを、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするものである。
Figure 0004932151
(10)また、本発明に係る他のパイプの材質設計方法は、パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大圧縮軸歪を求める最大圧縮軸歪算出工程と、
前記最大圧縮軸歪に基づいて要求圧縮局部座屈歪εreqを設定する要求圧縮局部座屈歪設定工程と、
前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするものである。
Figure 0004932151
(11)また、本発明に係る他のパイプの材質設計方法は、鋼製のパイプの直径D、管厚t、当該パイプに要求される曲げ局部座屈歪である要求曲げ局部座屈歪を設定するパイプ条件設定工程と、
曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、前記要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が、下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするものである。
Figure 0004932151
(12)また、本発明に係る他のパイプの材質設計方法は、パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大曲げ歪を求める最大曲げ歪算出工程と、
該最大曲げ歪に基づいて要求曲げ局部座屈歪を設定し、さらに曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が、下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするものである。
Figure 0004932151
ここで、上記(9)〜(12)の(3.1)式について説明する。
想定される連続硬化型応力歪曲線を図10に示す。図10の横軸はパイプの圧縮軸歪、縦軸は圧縮軸応力を表している。横軸上のεcrは圧縮局部座屈歪、ε1とε2はεcrの左右に任意間隔で設定される補助点1と2の歪である。なお、εcrとε1の間隔と、εcrとε2の間隔は等間隔とする。
横軸上のεcr、ε1およびε2に対応する応力歪曲線上の点をそれぞれ座屈点C、補助点1および補助点2と呼ぶ。座屈点C、補助点1および補助点2に対応する縦軸の応力をそれぞれσcr、σ1およびσ2と表記する。さらに、A点は1点とC点の中点、B点はC点と2点の中点をそれぞれ表している。A点とB点に対応する横軸の歪をεA、εBと表すが、それぞれの値は、ε1とεcr、εcrとε2の平均値となる。このεAとεに対応する縦軸の応力はそれぞれσA、σBである。これらの関係を式で表すと下記(3.2)式〜(3.5)式となる。
Figure 0004932151
座屈点(C点)における接線係数ETcrと割線係数Ecrは次式で表される。
Figure 0004932151
(1.2)式の両辺を二乗して(3.6)式と(3.7)式を代入して整理すると(3.8)式が得られる。
Figure 0004932151
ここで、前述の(1)〜(4)の場合と同様に、要求値として入力する要求局部座屈歪を局部座屈歪εcrと区別するために要求局部座屈歪εreqと表記する。また、応力歪曲線上における要求局部座屈歪εreqに対応する応力をσreqとする。(3.8)式は最低値を示すものであるから、結局、パイプの応力歪曲線が満たすべき複数点間の部分的な応力関係としては、下記(3.9)式となり、これが上記(3.1)式と同一のものである。
Figure 0004932151
(13)また、本発明に係る他のパイプの材質設計方法は、鋼製のパイプの直径D、管厚tを設定し、当該パイプに要求される圧縮局部座屈歪である要求圧縮局部座屈歪εreqを設定するパイプ条件設定工程と、
パイプ条件設定工程で設定した条件を満たすべきパイプの歪硬化特性Hを、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするものである。
Figure 0004932151
(14)また、本発明に係る他のパイプの材質設計方法は、パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大圧縮軸歪を求める最大圧縮軸歪算出工程と、
前記最大圧縮軸歪に基づいて要求圧縮局部座屈歪εreqを設定する要求圧縮局部座屈歪設定工程と、
前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするものである。
Figure 0004932151
(15)また、本発明に係る他のパイプの材質設計方法は、鋼製のパイプの直径D、管厚t、当該パイプに要求される曲げ局部座屈歪である要求曲げ局部座屈歪を設定するパイプ条件設定工程と、
曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、前記要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が、下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするものである。
Figure 0004932151
(16)また、本発明に係る他のパイプの材質設計方法は、パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大曲げ歪を求める最大曲げ歪算出工程と、
該最大曲げ歪に基づいて要求曲げ局部座屈歪を設定し、さらに曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が、下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするものである。
Figure 0004932151
(4.1)式について説明する。
応力歪曲線の全体を単一の累乗関数で表すと、下記(4.2)式となる。
σ=Aε ---------------------------------------(4.2)
ここに、σは応力、εは歪、Aは係数、nは歪硬化指数である。
パイプの応力歪関係を累乗硬化則で(4.2)式のように表すと、接線係数ETと割線係数ESはそれぞれ次式のように表される。
Figure 0004932151
したがって、パイプの座屈歪を表す基礎式(1.3)式の根号は次式のように表される。
Figure 0004932151
(4.6)式を(1.2)式に代入すると、座屈歪は次式のように得られる。
Figure 0004932151
応力歪関係が上記(4.2)で表される場合、図11に示すように応力歪関係を両対数軸上にプロットし、点εcrの右側にε2(補助点2)を設けると、歪硬化指数nは次式で計算される。
Figure 0004932151
ここで、応力歪関係は単調増加関数であり、本明細書で検討している塑性域における局部座屈の場合には、上式右辺分子の二点の応力関係は次の(4.9)式のようになる。
Figure 0004932151
また、対数関数においてxが正数で0に近い微小量xに対して次の(4.10)式のように近似できる。
Figure 0004932151
(4.11)式を(4.8)式に代入すると、
Figure 0004932151
Figure 0004932151
Figure 0004932151
ここで、前述の(1)〜(4)の場合と同様に、要求値として入力する要求局部座屈歪を局部座屈歪εcrと区別するために要求局部座屈歪εreqと表記する。また、応力歪曲線上における要求局部座屈歪εreqに対応する応力をσreqとする。(4.14)式は最低値を示すものであるから、結局、パイプの応力歪曲線が満たすべき複数点間の部分的な応力関係としては、下記(4.15)式となり、これが上記(4.1)式と同一のものである。
Figure 0004932151
(17)また、本発明に係る他のパイプの材質設計方法は、鋼製のパイプの直径D、管厚tを設定し、当該パイプに要求される圧縮局部座屈歪である要求圧縮局部座屈歪εreqを設定するパイプ条件設定工程と、
パイプ条件設定工程で設定した条件を満たすべきパイプの歪硬化特性Hを、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするものである。
Figure 0004932151
(18)また、本発明に係る他のパイプの材質設計方法は、パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大圧縮軸歪を求める最大圧縮軸歪算出工程と、
前記最大圧縮軸歪に基づいて要求圧縮局部座屈歪εreqを設定する要求圧縮局部座屈歪設定工程と、
前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするものである。
Figure 0004932151
(19)また、本発明に係る他のパイプの材質設計方法は、鋼製のパイプの直径D、管厚t、当該パイプに要求される曲げ局部座屈歪である要求曲げ局部座屈歪を設定するパイプ条件設定工程と、
曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、前記要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が、下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするものである。
Figure 0004932151
(20)また、本発明に係る他のパイプの材質設計方法は、パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大曲げ歪を求める最大曲げ歪算出工程と、
該最大曲げ歪に基づいて要求曲げ局部座屈歪を設定し、さらに曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が、下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするものである。
Figure 0004932151
ここで、上記(17)〜(20)の(5.1)式について説明する。
想定される連続硬化型応力歪曲線を図12に示す。図12の横軸はパイプの圧縮軸歪、縦軸は圧縮軸応力を表している。
応力歪関係を累乗関数で表した場合も、上述の線形関係で現した場合と同等に、横軸上(歪軸上)におけるεcr、ε1およびε2に対応する応力歪曲線上の点と応力をそれぞれ座屈点C(σcr)、補助点1(σ1)および補助点2(σ2)とすると、次式の関係が得られる。
Figure 0004932151
歪硬化指数は、二点表示の場合と同様に近似式を採用し、次式で表される。
Figure 0004932151
Figure 0004932151
ここで、前述の(1)〜(4)の場合と同様に、要求値として入力する要求局部座屈歪を局部座屈歪εcrと区別するために要求局部座屈歪εreqと表記する。また、応力歪曲線上における要求局部座屈歪εreqに対応する応力をσreqとする。(5.8)式は最低値を示すものであるから、結局、パイプの応力歪曲線が満たすべき複数点間の部分的な応力関係としては、下記(5.9)式となり、これが上記(5.1)式と同一のものである。
Figure 0004932151
(21)また、本発明に係る他のパイプの材質設計方法は、上記(1)〜(20)のものにおいて、歪硬化特性に加え、材料の規格あるいは要求条件によって定まる降伏応力範囲及び引張応力範囲をパイプの応力歪曲線が満たすべき条件としたものである。
このように、降伏応力範囲及び引張応力範囲を条件とすることにより、既存の製造方法によって製造されるパイプの中から設計条件を満たすパイプを選択する場合には、歪硬化特性の検討の前に降伏応力範囲及び引張応力範囲によって絞り込みができるので、パイプの選択が容易になる。また、材質設計に基づいて新たにパイプの製造をする場合にも、降伏応力範囲及び引張応力範囲を条件とすることにより、製造方法の絞り込みができる。
(22)また、上記(1)〜(21)のものにおいて、歪硬化特性取得工程で取得された歪硬化特性をパイプの応力歪曲線が満たすべき条件としたときに当該条件を満たす応力歪曲線の示す機械的性質を有するパイプが製造可能か否かを判定する判定工程と、該判定工程において製造可能と判定された場合には、設定あるいは仮決めされた前記パイプの直径及び管厚を採用し、製造不可能と判定された場合には、再びパイプ条件設定工程からやり直すことを特徴とするものである。
本発明においては、管径、管厚に加えて要求される局部座屈歪をも予め与え、この条件を満足するようなパイプの材質設計をするようにしたので経済性と安全性の両方を満たすパイプの材質設計が可能となる。
そして、このパイプの材質設計方法を用いることによって経済性と安全性の両方を満足するパイプの製造方法が実現できる。
さらに、この製造方法によって製造されたパイプ及びこのパイプを接続して構成されるパイプラインは経済性と安全性を満足するものとなる。
[実施の形態1]
図1は本発明の一実施の形態に係るパイプの材質設計方法を説明するフローチャートである。本実施の形態は、図1に示すように、プロジェクト規模によって決定されるパイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて(S1)、前記パイプラインに用いるパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程(S3)と、前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大圧縮軸歪を求める最大圧縮軸歪算出工程(S5)と、前記最大圧縮軸歪に基づいて要求圧縮局部座屈歪εreqを設定する要求圧縮局部座屈歪設定工程(S7)と、前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの条件全てを満たすべきパイプの座屈点近傍における歪硬化特性を求める歪硬化特性取得工程(S9)と、前記歪硬化特性を前記パイプの応力歪曲線の条件とする工程(S11)と、歪硬化特性取得工程で取得された歪硬化特性をパイプの応力歪曲線の条件としたときに当該条件を満たす応力歪曲線の示す機械的性質を有するパイプが製造可能か否かを判定する判定工程(S13)とを備えている。
以下、各工程について詳細に説明する。
<パイプ条件設定工程>
パイプラインにて輸送する加圧流体の輸送量及び輸送距離を前提として、操業コスト及び建設コストを最低にすべくパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めする。
操業コストは、運転圧力P、管径Dの関数であり、また、運転圧力は、輸送量Q、管径D、輸送距離Lの関数である。また、管径Dは、輸送量Q、運転圧力P、輸送距離Lの関数である。
建設コストは、管径D、管厚t、材料グレードTS(降伏強度)の関数であり、管厚tは、輸送圧力P、材料グレードTSの関数である。
したがって、相互に関連するパラメータを調整して最低コストとなるように、直径D、管厚t及び輸送圧力を決定する必要がある。
この例では、外径D=610.0mm、管厚t=12.2mm、材料グレードTS:API
5L X80とし、設計内圧=10MPaと仮決めした。なお、API 5L X80は、規格最小降伏点(YSmin)551MPa、引張強度の許容幅TSmin=620MPa、TSmax=827MPaである。
<最大圧縮軸歪算出工程>
本例では地盤の側方流動に対し、曲げ局部座屈しないための歪硬化特性を求める場合を例にあげる。
側方流動が発生する際に考慮すべき地盤の変位分布を図2に示す。また、同図には、側方流動によって変形される埋設パイプラインの一般概念を示してある。側方流動による地盤の変位分布は、側方流動の幅Wと最大変位量δmaxで表すことができる。実際の耐震設計において、液状化の幅Wを推定することは困難であるため、ここでは、Wを変数として取り扱い、パイプラインに発生する曲げ歪が最大になるWを計算した上で、要求歪硬化特性を求める。この試算例ではδmaxを2.0mとする。
パイプ条件設定工程で仮決めされた管径D、管厚t、材料グレードTS、輸送圧力Pの条件に基づいて図2に示すパイプラインをシェル要素でモデル化し、有限要素解析プログラムによって最大圧縮曲げ歪と最大引張曲げ歪を計算する。なお、地盤のバネ特性は、ガス導管液状化耐震設計指針(2003)に基づいて設定した。また、この段階では、材料の応力歪曲線は、API規格で規定される規格最小降伏応力(SMYS)と規格最小耐力(SMTS)を満足するように仮決めする。
有限要素解析プログラムで計算した結果のうち、パイプラインの最大圧縮曲げ歪(正符号)と最大引張曲げ歪(負符号)を図3に示す。図3に示すように、当該パイプラインに発生する最大曲げ歪は、側方流動幅Wが30mのところで極大値を示している。局部座屈を検討するうえで重要な最大圧縮曲げ歪もWが30mのところで最大になっておりその値は約2%である。曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪とは、圧縮曲げ歪の1/2が圧縮局部歪となるという定量的な関係があるので(図7参照)、この場合の最大圧縮軸歪は約1%である。
<要求圧縮局部座屈歪設定工程>
最大圧縮軸歪が算出されると、次に、要求圧縮局部座屈歪を決定する。要求座屈歪は最大圧縮軸歪以上で所定の安全率を加味して決定するが、この例では、最大圧縮軸歪とほぼ同一の1%としている(S7)。
<歪硬化特性取得工程>
本実施の形態では歪硬化特性を取得する手段として、要求圧縮局部座屈歪εreqに対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1の補助点を仮定したときに、仮想的な座屈点と前記1の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係として与えるようにした。具体的には、下記に示す前記した(2.1)式に基づいて歪硬化特性を与える。
Figure 0004932151
上式の左辺のεreq:0.010、0.015(補助点2は要求座屈歪1.0%に0.5%を追加して1.5%のところに設定した。)、t:12.2mm、D:610.0mmを代入すると、
Figure 0004932151
<歪硬化特性をパイプの応力歪曲線の条件とする工程>
歪硬化特性H=σ2/σreq≧1.07であるから、応力歪曲線において、1%歪における応力と1.5%歪における応力の比が1.07以上であれば、外径610.0mmで管厚12.2mmのパイプの圧縮局部座屈歪は1%以上になる。
<判定工程>
図4は判定工程を説明するためのフローチャートである。以下、図4に基づいて判定工程を説明する。パイプ条件設定工程(S3)で設定された材料グレードはAPI 5L X80であり、製造されるべきパイプは、API 5L X80の規格最小降伏点(YSmin)551MPa、引張強度の許容幅TSmin=620MPa、TSmax=827MPaを満足すると共に、上記歪硬化特性H≧1.07を満足させる必要がある。そこで、従来の製造実績から、候補となる製造方法A、B、C、D、E、Fを選択し(S51)、それぞれの応力歪曲線から要求座屈歪εreq(1.0%)に対応する応力σ1.0%、歪(1.5%)に対応する応力σ1.5%を読み取り、H(1.0-1.5)を計算する。このとき製造方法ごとに求められたH(1.0-1.5)の値を表1に示す。
Figure 0004932151
表1に基づいて、求められたH(1.0-1.5)の値が上記の歪硬化特性Hよりも大きくなる製造方法があるかどうかを判定する(S53)。求める製造方法があった場合は、当該製造方法を選択することによって、外径610.0mm、管厚12.2mmのパイプの局部座屈歪を1%以上とすることができる。この例では、表1に示すように、製造方法A、B、D、Fでは製造不可能であり、製造方法CとEで製造可能であることが分かる。このように複数の製造方法が選択可能な場合にはより最適の方法、例えば製造安定性向上や製造コスト低減、あるいは耐座屈性能の向上が図られる方法を選択できる。この場合は、局部座屈歪がより大きくなるようにHの値の大きい方法Cを選択し(S55)、図1のS15へと進む。このとき選択された製造方法Cによれば、側方流動に対して要求される要求圧縮局部歪を満足するパイプが得られ、安全性を満たしている。しかも、このときの管厚tはパイプ条件設定工程でコストを考慮して決定されたものであり、経済性にも優れるものである。
S53の判定において、既存の製造方法の全てについてH(1.0-1.5)が歪硬化特性Hよりも小さい場合には、もっとも有力と思われる既存製造方法をもとにして、製造条件(圧延温度、冷却温度)の調整若しくは化学成分の調整等を行って要求される歪硬化特性Hを満たすかどうかを検討する(S57)。製造条件の調整等によってH(1.0-1.5)の値が上記の要求される歪硬化特性Hよりも大きくできる場合には、その製造方法を選択して、図1のS15へと進む。
なお、S57における製造条件の調整方法としては、降伏棚がなく局部座屈歪の大きい鋼はフェライトと硬質相(ベイナトナイト、マルテンサイトなど)の2相組織からなるところ、熱間圧延終了後の冷却開始温度及び/又は冷却速度、さらには冷却停止温度を変化させることで硬質相の組織や硬質相分率を変化させることで歪硬化特性を変えることができる。また、化学成分の調整方法の例としては、例えばカーボン(C)やマンガン(Mn)の量を変えることによっても硬質相の組織や硬質相分率を変化させることができる。
既存の製造方法で歪硬化特性Hの条件を満たさず、かつ、製造条件の調整若しくは化学成分の調整等を行っても歪硬化特性Hの条件を満たさない場合には、製造不可と判定して、再びパイプ条件設定工程(S3)に戻って、パイプの諸元を再設定して同様の処理を繰り返す。
判定工程(S13)で製造可能と判定された場合には、決定された製造方法とパイプ諸元を発注者に提示して確認を取る(S15)。発注者はパイプ諸元等を確認して了解すれば製造者に対して発注し、発注を受けた製造者は前記確定した製造方法を遵守して製造する(S17)。製造されたパイプは発注者に納入されパイプラインが施工され(S19)、施工後に操業が開始される(S21)。
[実施の形態2]
本実施の形態は横ずれ断層に対して局部座屈しないための材質設計方法に関するものである。本実施の形態の処理の流れは基本的には実施の形態1と同様であるので、重複する部分は簡潔に、異なる部分は詳細に説明する。
<パイプ条件設定工程>
実施の形態1と同様に、パイプラインにて輸送する加圧流体の輸送量及び輸送距離を前提として、操業コスト及び建設コストを最低にすべくパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めする。
本実施の形態において仮決めされたパイプ諸元は、実施の形態1と同様であり、外径D=610.0mm、管厚t=12.2mm、材料グレードTS:API
5L X80とし、設計内圧=10MPaと仮決めした。なお、API 5L X80は、規格最小降伏点(YSmin)551MPa、引張強度の許容幅TSmin=620MPa、TSmax=827MPaである。
<最大圧縮軸歪算出工程>
本実施の形態は横ずれ断層に関するものであり、図5に横ずれ断層によって変形される埋設パイプラインの一般概念を示す。この試算例では最大変位量δmaxを実施の形態と同様に2.0mとし、また、地盤のバネ特性も実施の形態1と同様に設定した。
有限要素解析プログラムで計算した結果のうち、パイプラインの最大圧縮曲げ歪(正符号)と最大引張曲げ歪(負符号)を図6に示す。図6に示すように、当該パイプラインに発生する最大曲げ歪は、断層面から約5m離れたところに発生しており、局部座屈を検討するうえで重要な最大圧縮曲げ歪は約2.4%である。圧縮曲げ歪の1/2が圧縮局部歪であることから最大圧縮軸歪は約1.2%である。
<要求圧縮局部座屈歪設定工程>
最大圧縮軸歪が算出されると、次に、要求圧縮局部座屈歪を決定する。この例では、安全率1.25を考慮し、要求局部座屈歪εreqを1.5%と決定した。
<歪硬化特性取得工程>
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に(2.1)式に基づいて歪硬化特性を取得することとした。補助点についても、実施の形態1と同様に、要求座屈歪(1.5%)に0.5%を追加して2.0%のところに設定した。(2.1)式に必要な数値を入れて計算すると下記のようになる。
Figure 0004932151
<歪硬化特性をパイプの応力歪曲線の条件とする工程>
H=σ2/σreq≧1.11であるから、応力歪曲線において、1.5%歪における応力と2.0%歪における応力の比が1.11以上であれば、外径610.0mmで管厚12.2mmのパイプの圧縮局部座屈歪は1.5%以上になる。
<判定工程>
製造されるべきパイプは、材料グレードAPI 5L X80の規格最小降伏点(YSmin)551MPa、引張強度の許容幅TSmin=620MPa、TSmax=827MPaを満足しながら、上記歪硬化特性H≧1.11を満足させる必要がある。実施の形態1と同様に、従来の製造実績から候補となる製造方法A、B、C、D、E、Fを選択し、それぞれの応力歪曲線から要求座屈歪εreq(1.5%)に対応する座屈応力σreqと参照歪(2.0%)に対応する応力(σ2)を読み取り、H(1.5-2.0)を計算する。このとき製造方法ごとに求められたH(1.5-2.0)の値を表2に示す。
Figure 0004932151
表3に示すように、求められたH(1.5-2.0)の値が上記の歪硬化特性Hよりも大きくなる製造方法があれば、当該製造方法を選択することによって、外径610.0mm、管厚12.2mmのパイプの局部座屈歪を1.5%以上とすることができる。表2に示すように、製造方法A、B、D、E、Fでは製造不可能であり、製造方法Cによって製造可能であることが分かる。この製造方法Cによれば、横ずれ断層に対して必要とされる要求圧縮局部歪を満足するパイプが得られ、安全性を満たしている。しかも、このときの管厚tはパイプ条件設定工程でコストを考慮して決定されたものであり、経済性にも優れるものである。
以後の処理については、実施の形態1と同様である。
以上のように、本実施の形態1,2によれば、パイプ条件設定工程でコストを考慮して決定された管厚を可及的に採用可能となり、安全性を満たすと共に経済性にも優れたパイプの材質設計が実現できる。
なお、上記実施の形態1,2で例に挙げた連続硬化型の応力歪曲線となる材料の場合には、要求座屈歪を任意に指定できるという効果を奏する。すなわち、降伏棚型の応力歪曲線となる材料の場合には、要求座屈歪を歪硬化領域以降の値で指定しなければならないのに対して、連続硬化型の応力歪曲線となる材料の場合には、このような制約なく任意の値で指定できるので、材質設計が簡便になる。
また、本実施の形態においては、図1の要求圧縮局部座屈歪設定工程(S7)〜判定工程(S13)に示すような従来パイプライン会社側では知り得なかった材質設計という概念を提示したことで、パイプライン会社側からも施工コストをより有利にできるパイプを製造メーカーに要求することが可能になり、逆に、製造メーカーとしてもパイプライン会社側の条件を満たす範囲で製造コストを抑えたラインパイプの製造が可能になる。
なお、上記実施の形態1,2においては、パイプ条件設定工程において曲げ局部座屈歪を要求条件として与えて曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から曲げ局部座屈歪を圧縮局部座屈歪に変換する場合を例に挙げて説明したが、圧縮局部座屈歪を要求条件として与える場合には、上記変換の工程がなくなるのみで、その他は上記実施の形態1、2と同様の処理が可能である。
また、上記実施の形態1,2においては、歪硬化特性が複数点間の部分的な応力関係として与えられる例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、要求圧縮局部座屈歪εreqに対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点を仮定したときに、該仮想的な座屈点における応力歪曲線の接線の傾きとして、あるいは該傾きを基準として与えることもできる。
さらに、上記実施の形態1,2においては、パイプ条件設定工程においてパイプの満たすべき条件として材料グレード(材料規格)を用いた例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、パイプライン会社等の要求条件(YS、TSの範囲等)をパイプ条件設定工程におけるパイプの満たすべき条件として用いてもよい。
また、上記実施の形態1,2においては、図1のフローチャートに示すように、輸送量及び輸送距離に基づくパイプ条件設定工程(S1、S3)及び最大圧縮軸歪算出工程(S5)をパイプライン会社が行い、要求圧縮局部座屈歪設定工程(S7)〜判定工程(S13)までを鉄鋼会社が行う例を挙げた。しかし、輸送量及び輸送距離に基づくパイプ条件設定工程(S1、S3)及び最大圧縮軸歪算出工程(S5)をパイプライン会社以外、例えば鉄鋼会社あるいはコンサルティング会社が行ってもよい。また、要求圧縮局部座屈歪設定工程(S7)〜判定工程(S13)を鉄鋼会社以外、例えばパイプライン会社あるいはコンサルティング会社が行ってもよい。
このように、図1のフローチャートに示された各工程を誰が行うかはビジネスの状況に応じて全く自由に選択することができる。
本発明の実施の形態1を説明するフローチャートである。 本発明の実施の形態1における地盤の側方流動分布の説明図である。 本発明の実施の形態1に係る有限要素解析結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態1における判定工程を説明するフローチャートである。 本発明の実施の形態2における地盤の横ずれ断層の説明図である。 本発明の実施の形態2に係る有限要素解析結果を示すグラフである。 パイプの圧縮局部座屈歪と曲げ局部座屈歪の関係を説明する説明図である。 連続硬化型の応力歪曲線における局部座屈の概念の説明図である。 本発明における応力歪座標上の複数点間の応力関係の説明図である(その1)。 本発明における応力歪座標上の複数点間の応力関係の説明図である(その2)。 本発明における応力歪座標上の複数点間の応力関係の説明図である(その3)。 本発明における応力歪座標上の複数点間の応力関係の説明図である(その4)。 一般的なガスパイプライン建設の処理の流れを説明するフローチャートである(その1)。 局部座屈歪に関する実験データと設計式の関係の説明図である。 一般的なガスパイプライン建設の処理の流れを説明するフローチャートである(その2)。

Claims (22)

  1. 鋼製のパイプの直径D、管厚tを設定し、当該パイプに要求される圧縮局部座屈歪である要求圧縮局部座屈歪εreqを設定するパイプ条件設定工程と、
    パイプ条件設定工程で設定した条件を満たすべきパイプの歪硬化特性を、歪硬化特性をH、応力歪座標において要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する仮想的な座屈点を仮定したときに該仮想的な座屈点における応力歪曲線の接線の傾きをE Treq としたときに、歪硬化特性Hが下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  2. パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
    前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大圧縮軸歪を求める最大圧縮軸歪算出工程と、
    前記最大圧縮軸歪に基づいて要求圧縮局部座屈歪εreqを設定する要求圧縮局部座屈歪設定工程と、
    前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、歪硬化特性をH、応力歪座標において要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する仮想的な座屈点を仮定したときに該仮想的な座屈点における応力歪曲線の接線の傾きをE Treq としたときに、歪硬化特性Hが下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  3. 鋼製のパイプの直径D、管厚t、当該パイプに要求される曲げ局部座屈歪である要求曲げ局部座屈歪を設定するパイプ条件設定工程と、
    曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、前記要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
    前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、歪硬化特性をH、応力歪座標において要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する仮想的な座屈点を仮定したときに該仮想的な座屈点における応力歪曲線の接線の傾きをE Treq としたときに、歪硬化特性Hが下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  4. パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
    前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大曲げ歪を求める最大曲げ歪算出工程と、
    該最大曲げ歪に基づいて要求曲げ局部座屈歪を設定し、さらに曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
    前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、歪硬化特性をH、応力歪座標において要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する仮想的な座屈点を仮定したときに該仮想的な座屈点における応力歪曲線の接線の傾きをE Treq としたときに、歪硬化特性Hが下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  5. 鋼製のパイプの直径D、管厚tを設定し、当該パイプに要求される圧縮局部座屈歪である要求圧縮局部座屈歪εreqを設定するパイプ条件設定工程と、
    パイプ条件設定工程で設定した条件を満たすべきパイプの歪硬化特性Hを、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  6. パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
    前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大圧縮軸歪を求める最大圧縮軸歪算出工程と、
    前記最大圧縮軸歪に基づいて要求圧縮局部座屈歪εreqを設定する要求圧縮局部座屈歪設定工程と、
    前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  7. 鋼製のパイプの直径D、管厚t、当該パイプに要求される曲げ局部座屈歪である要求曲げ局部座屈歪を設定するパイプ条件設定工程と、
    曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、前記要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
    前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が、下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  8. パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
    前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大曲げ歪を求める最大曲げ歪算出工程と、
    該最大曲げ歪に基づいて要求曲げ局部座屈歪を設定し、さらに曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
    前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が、下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  9. 鋼製のパイプの直径D、管厚tを設定し、当該パイプに要求される圧縮局部座屈歪である要求圧縮局部座屈歪εreqを設定するパイプ条件設定工程と、
    パイプ条件設定工程で設定した条件を満たすべきパイプの歪硬化特性Hを、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  10. パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
    前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大圧縮軸歪を求める最大圧縮軸歪算出工程と、
    前記最大圧縮軸歪に基づいて要求圧縮局部座屈歪εreqを設定する要求圧縮局部座屈歪設定工程と、
    前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  11. 鋼製のパイプの直径D、管厚t、当該パイプに要求される曲げ局部座屈歪である要求曲げ局部座屈歪を設定するパイプ条件設定工程と、
    曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、前記要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
    前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が、下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  12. パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
    前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大曲げ歪を求める最大曲げ歪算出工程と、
    該最大曲げ歪に基づいて要求曲げ局部座屈歪を設定し、さらに曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
    前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が、下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  13. 鋼製のパイプの直径D、管厚tを設定し、当該パイプに要求される圧縮局部座屈歪である要求圧縮局部座屈歪εreqを設定するパイプ条件設定工程と、
    パイプ条件設定工程で設定した条件を満たすべきパイプの歪硬化特性Hを、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  14. パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
    前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大圧縮軸歪を求める最大圧縮軸歪算出工程と、
    前記最大圧縮軸歪に基づいて要求圧縮局部座屈歪εreqを設定する要求圧縮局部座屈歪設定工程と、
    前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  15. 鋼製のパイプの直径D、管厚t、当該パイプに要求される曲げ局部座屈歪である要求曲げ局部座屈歪を設定するパイプ条件設定工程と、
    曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、前記要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
    前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が、下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  16. パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
    前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大曲げ歪を求める最大曲げ歪算出工程と、
    該最大曲げ歪に基づいて要求曲げ局部座屈歪を設定し、さらに曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
    前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が、下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  17. 鋼製のパイプの直径D、管厚tを設定し、当該パイプに要求される圧縮局部座屈歪である要求圧縮局部座屈歪εreqを設定するパイプ条件設定工程と、
    パイプ条件設定工程で設定した条件を満たすべきパイプの歪硬化特性Hを、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  18. パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
    前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大圧縮軸歪を求める最大圧縮軸歪算出工程と、
    前記最大圧縮軸歪に基づいて要求圧縮局部座屈歪εreqを設定する要求圧縮局部座屈歪設定工程と、
    前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  19. 鋼製のパイプの直径D、管厚t、当該パイプに要求される曲げ局部座屈歪である要求曲げ局部座屈歪を設定するパイプ条件設定工程と、
    曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、前記要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
    前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が、下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  20. パイプラインにて輸送する加圧流体の少なくとも輸送量及び輸送距離に基づいて、前記パイプラインに用いる鋼製のパイプの直径D、管厚t及び輸送圧力を仮決めするパイプ条件設定工程と、
    前記仮決めされた直径及び管厚を有するパイプに敷設線形を考慮してパイプラインを構造設計し、構造設計されたパイプラインに前記輸送圧力、地盤変位及び又は外力が作用したときに前記パイプに発生する最大曲げ歪を求める最大曲げ歪算出工程と、
    該最大曲げ歪に基づいて要求曲げ局部座屈歪を設定し、さらに曲げ局部座屈歪と圧縮局部座屈歪の定量的な関係から、要求曲げ局部座屈歪を要求圧縮局部座屈歪εreqに変換する局部座屈歪変換工程と、
    前記直径D、管厚t及び要求圧縮局部座屈歪εreqの各条件全てを満たすべきパイプの歪硬化特性を、要求圧縮局部座屈歪ε req に対応する応力歪座標上の仮想的な座屈点及び当該座屈点から歪値が離れた位置にある1以上の補助点を仮定したときに、前記仮想的な座屈点と前記1以上の補助点とを用いて複数点間の部分的な応力関係が、下式を満たすように取得する歪硬化特性取得工程と、
    該歪硬化特性取得工程において取得された前記歪硬化特性を、前記パイプの応力歪曲線が満たすべき条件とする工程とを有することを特徴とするパイプの材質設計方法。
    Figure 0004932151
  21. 歪硬化特性に加え、材料の規格あるいは要求条件によって定まる降伏応力範囲及び引張応力範囲をパイプの応力歪曲線が満たすべき条件とすることを特徴とする請求項1乃至20の何れかに記載のパイプの材質設計方法。
  22. 歪硬化特性取得工程で取得された歪硬化特性をパイプの応力歪曲線が満たすべき条件としたときに当該条件を満たす応力歪曲線の示す機械的性質を有するパイプが製造可能か否かを判定する判定工程と、
    該判定工程において製造可能と判定された場合には、設定あるいは仮決めされた前記パイプの直径及び管厚を採用し、製造不可能と判定された場合には、再びパイプ条件設定工程からやり直すことを特徴とする請求項1乃至21の何れか一項に記載のパイプの材質設計方法。
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